特許第6872972号(P6872972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872972発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、ポリスチレン系予備発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872972
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、ポリスチレン系予備発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20210510BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C08J9/16CET
   C08J9/16CFH
   C08F290/00
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-97588(P2017-97588)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2018-193460(P2018-193460A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】田村 充宏
(72)【発明者】
【氏名】大原 洋一
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−109279(JP,A)
【文献】 特開2016−183255(JP,A)
【文献】 特開昭47−010495(JP,A)
【文献】 特公昭47−013059(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
B29C 44/00−44/60、67/20
C08F 283/01、290/00−290/14、
299/00−299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系単量体と官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体からなる共重合体を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、スチレン系単量体の重合転化率60%以上99%以下の時点で、ラジカルの発生する開始剤と同時に、共重合体100重量%に対して官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体0.5重量%以上11.0重量%以下を、0.2重量%/hr以上10.0重量%/hr以下の速度で添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加速度が共重合体100重量%に対して、0.4重量%/hr以上8.0重量%/hr以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
ラジカルを発生する開始剤が過酸化物系であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加量が0.8重量%以上10.2重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
表層部の主成分がポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とするポリスチレン系予備発泡粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形してなることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレン系単量体と官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体からなる共重合体を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系発泡成形体は、その軽量性や緩衝性能から、容器、梱包材、建築土木部材、自動車部材など多岐にわたって使用されている。
【0003】
しかし、発泡性ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、発泡成形体同士や他の樹脂部材、鋼板などと擦り合わされた場合、キュッキュという不快な擦れ音が発生しやすいという問題点がある。特に自動車部材分野では悪路走行などで振動を伴いやすいため、擦れ音の発生が使用感を損ねる原因となる。
【0004】
このような問題を解決するため、脂肪族系化合物やシリコーン系化合物を表面に塗布または樹脂粒子に混練された発泡成形体が開示されている。例えば特許文献1には脂肪酸アマイド、及び飽和脂肪酸とグリセリンのモノエステルが表面に付着させた熱可塑性樹脂予備発泡粒子からなる発泡粒子成形体で擦れ音の発生を抑制する方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2では炭化水素系ワックスとジメチルポリシロキサンを付着させた発泡粒子からなる発泡粒子成形体で擦れ音の発生を抑制する方法が記載されている。
【0006】
しかしながらこれら公報では潤滑成分を発泡粒子の表面に大量に塗布するため、これらの成分の剥離による擦れ音防止性能悪化や予備発泡機や成形金型の汚染が問題となる。
【0007】
一方、シリコーン化合物を樹脂粒子表面に存在させる例として、特許文献3で発泡性粒子の表面をジメチルポリシロキサンで被覆処理することで発泡粒子の凝集を低減する方法が記載されている。また、特許文献4ではオルガノシロキサンを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に均一に混練することにより発泡粒子の気泡を均一化し、機械的強度や断熱性に優れた発泡成形体を得る方法が記載されている。
【0008】
しかしながら、擦れ音抑制を考える場合はこれら特許文献記載のような少量添加では効果を得ることができない。
【0009】
また、マクロモノマーをスチレン系単量体に共重合させる例として、先行文献5〜8に記載されている。しかしながら、これらの手法はいずれもマクロモノマーに擦れ音抑制性能を期待したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−100443号公報
【特許文献2】特開2015−017155号公報
【特許文献3】特開2013−142106号公報
【特許文献4】特開2012−214750号公報
【特許文献5】特開平08−134252号公報
【特許文献6】WO2006/106653号公報
【特許文献7】特開2008−231175号公報
【特許文献8】特開2011−246588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のような状況に鑑み、本発明は多量に添付剤を塗布することなく、また予備発泡機や成形金型を汚染することなく擦れ音を抑制できる発泡成形体が得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、擦れ音を抑制し得る発泡成形体を得るためには、ポリスチレン粒子表面にのみポリシロキサンを共重合することで、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0013】
本発明の第1は、スチレン系単量体と官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体からなる共重合体を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、スチレン系単量体の重合転化率60%以上99%以下の時点で、ラジカルの発生する開始剤と同時に、共重合体100重量%に対して官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体0.5重量%以上11.0重量%以下を、0.2重量%/hr以上10.0重量%/hr以下の速度で添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0014】
本発明の第2は、官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加速度が共重合体100重量%に対して、0.4重量%/hr以上8.0重量%/hr以下であることを特徴とする第1の発明記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0015】
本発明の第3は、ラジカルを発生する開始剤が過酸化物系であることを特徴とする第1または2の発明記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0016】
本発明の第4は、官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加量が0.8重量%以上10.2重量%以下であることを特徴とする第1〜3の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0017】
本発明の第5は、表層部の主成分がポリシロキサンであることを特徴とする第1〜4の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0018】
本発明の第6は、第1〜5の発明のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とするポリスチレン系予備発泡粒子の製造方法に関する。
【0019】
本発明の第7は、第6の発明記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形してなることを特徴とする発泡成形体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多量に添付剤を塗布することなく、また予備発泡機や成形金型を汚染することなく擦れ音を抑制できる発泡成形体が得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が得られる製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、スチレン系単量体と官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体からなる共重合体を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、スチレン系単量体の重合転化率60%以上99%以下の時点で、ラジカルの発生する開始剤と同時に、共重合体100重量%に対して官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体0.5重量%以上11.0重量%以下を、0.2重量%/hr以上10.0重量%/hr以下の速度で添加することを特徴とする。
【0022】
本発明におけるポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加時期は、ポリスチレン系樹脂粒子の重合転化率60%以上99%以下であり、より好ましくは75%以上95%以下である。重合転化率が60%未満であると、粒子同士が凝集し異常重合となる傾向がある。重合転化率が99%を超えると、スチレン系樹脂粒子とポリシロキサン含有マクロモノマー単量体との重合反応が進まず、凝集する傾向がある。
【0023】
本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成する基材樹脂における単量体組成は、共重合体100重量%に対してスチレン系単量体89.0重量%以上99.5重量%以下、ポリシロキサン含有マクロモノマー単量体0.5重量%以上11.0重量%以下であり(スチレン系単量体とポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の合計量が100重量%)、より好ましくは、スチレン系単量体89.8重量%以上99.2重量%以下、ポリシロキサン含有マクロモノマー単量体0.8重量%以上10.2重量%以下である。ポリシロキサン含有単量体成分比率が多いと、発泡剤が抜けやすくなるため発泡性、成形性に劣る傾向があり、表面が美麗な発泡成形体を得づらい。ポリシロキサン含有単量体成分が少ないと擦れ音抑制性能が十分に発揮されない。
【0024】
本発明における官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の添加速度は、共重合体100重量%に対して0.2重量%/hr以上10.0重量%/hr以下であり、より好ましくは0.4重量%/hr以上8.0重量%/hr以下である。添加速度が0.2重量%/hr未満であると、生産性が悪化し大量生産に不向きである。添加速度が10.0重量%/hrを超えると重合中の粒子同士が凝集し、異常重合となる傾向がある。
【0025】
本発明で用いられる官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の官能基は、スチレン系単量体と反応する官能基であれば特に制限はないが、スチレン系単量体との反応性からビニル基が好ましく、メタクリロイル基若しくはアクリロイル基がさらに好ましい。
【0026】
官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体を構成する主鎖の例として、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体などのポリオルガノシロキサン、側鎖アルキル基の一部が水素原子に置換されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンなどを用いることができる。なかでもポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体が好ましく、さらにポリジメチルシロキサンが経済的にも容易に入手できるので最も好ましい。
【0027】
官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の官能基の官能基数は、1.5個以上であることが好ましく、1.7個以上がさらに好ましい。官能基数が1.5個未満であるとスチレン系単量体との反応性が低いために共重合し難い傾向がある。上限は、50.0個以下であり、好ましくは30.0個以下、より好ましくは10.0個以下である。50.0個を超えると、ポリシロキサン含有マクロモノマー同士の反応が起こり、スチレン系単量体との反応性が悪化する問題ある。
【0028】
前記官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体は、スチレン系単量体と共重合するため、官能基を有する。少なくとも1分子あたり複数個の官能基を側鎖若しくは両末端に有するのがより好ましい。官能基の官能基当量は、100g/mol以上2万g/mol以下が好ましく、1千g/mol以上1万g/mol以下がより好ましい。官能基当量が100g/mol未満になると、ポリシロキサン含有マクロモノマー同士の重合が増えるためにスチレンとの共重合体得られ難くなる傾向がある。官能基当量が2万g/molを超えるとスチレン系単量体との反応性が低いために共重合し難い傾向がある。
【0029】
前記官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体を得る方法に特に限定はなく、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが用いられる。
【0030】
側鎖型のポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の製造方法として例えば、環状、直鎖状または分岐状のオルガノシロキサン、好ましくは環状オルガノシロキサンを、酸、アルカリ、塩、フッ素化合物などの触媒を用いて重合する方法を挙げることができる。前記重合に用いるオルガノシロキサンのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2万以下、より好ましくは1万以下である。前記方法において、前記オルガノシロキサンとともに官能基を有するシランおよび/または官能基を有する環状、直鎖状、または分岐状オルガノシロキサンを用いる方法を、より好ましくあげることができる。
【0031】
あるいは、溶液中、スラリー中、もしくはエマルジョン中においてポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が好ましくは2万以上、より好ましくは5万以上、さらには10万以上のポリシロキサンと好ましくは官能基を有するシランおよび/または官能基を有する環状、直鎖状または分岐状オルガノシロキサンとを前述と同様の触媒などの存在下平衡化する方法をあげることができる。
【0032】
また、側鎖型のポリシロキサン含有マクロモノマーの製造方法は、例えば、特開2006−291122号公報に記載の公知の乳化重合法により得ることができる。
【0033】
すなわち、1,3,5,7−オクタメチルシクロテトラシロキサンに代表される環状シロキサン、および/またはジメチルジメトキシシランなどの加水分解性基を有する2官能シラン、必要に応じてメチルトリエトキシシラン、テトラプロピルオキシシランなどの3官能以上のアルコキシシラン、メチルオルソシリケートなどの3官能以上のシランの縮合体、並びに必要に応じてメルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルフェニルジメトキシメチルシランなどの官能基を用いてポリシロキサン含有マクロモノマーを得ることができる。中でも、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランが、スチレン系単量体との共重合の観点から好ましい。
【0034】
ポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の粘度は動粘度として25℃で10mm2/s以上が好ましく、50mm2/s以上がより好ましい。粘度が高いほどシロキサン鎖が長いため擦れ音抑制性能が発現しすくなる。
【0035】
官能基を有するポリシロキサン含有マクロモノマー単量体の主鎖であるポリシロキサンの分子量は、GPCを用いて求めたポリスチレン換算重量平均分子量で1千以上50万以下が好ましく、3千以上30万以下がより好ましい。分子量が高いほどシロキサン鎖が長いため擦れ音抑制性能が発現しやすいが、粘度が高すぎるとハンドリング性が悪くなり重合が難しくなる。
【0036】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、表層部の主成分がポリシロキサンであることが好ましい。
【0037】
本発明における表層部とは、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の最外層より30nm以上250nm以下の範囲を示し、主成分がポリシロキサンとは、ポリシロキサン成分が共重合体100重量%に対して50重量%以上含まれている状態であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。
【0038】
主成分であるポリシロキサンが50重量%未満であると擦れ音抑制性能が発現し難くなる傾向がある。
【0039】
本発明におけるTHFに不溶なゲル分は5wt%以上45wt%以下であることが好ましく、より好ましくは12wt%以上40wt%以下である。ゲル分が5wt%未満であると、擦れ音抑制性能が十分に発揮されない。ゲル分が45wt%を超えると、発泡性、成形性が劣る傾向があり、表面美麗な発泡成形体を得難くなる傾向がある。
【0040】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子はTHFに可溶な成分のGPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が、20万以上40万以下であることが好ましく、25万以上35万以下がより好ましい。重量平均分子量が低いと部材として使用する際の圧縮強度などの機械的強度に劣る傾向にあり、高いと表面性のよい成形体が得られづらい。本発明では分子量の調整のためにジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの二官能性単量体を用いることができる。
【0041】
本発明で用いられるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体を使用することができる。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に、スチレンであることが、発泡性、成形加工性が良好である点から好ましい。
【0042】
本発明では、スチレン系単量体にスチレンと共重合可能なモノマーを本発明の効果を阻害しない範囲で使用しても良い。スチレンと共重合が可能な成分としては、例えばメチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体も包含する。これら共重合が可能な成分を1種又は2種以上使用し共重合に供しても良い。
【0043】
これらは、本発明におけるスチレン系単量体に加算されることから、スチレンと他モノマーの合計量が共重合体100重量%に対して89.0重量%以上99.5重量%以下で無ければならない。
【0044】
本発明では、スチレン系単量体の重合転化率60%以上99%以下の時点で、ポリシロキサン含有マクロモノマー単量体添加すると同時にラジカルの発生する開始剤を添加しなければならない。ラジカルが発生する開始剤としては、過酸化物系及び/またはアゾ化合物系開始剤が好ましく、過酸化物系がより好ましい。代表的なものとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、などの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても良い。
【0045】
本発明の発泡性樹脂粒子を製造する方法としては、水性懸濁液中でスチレン系単量体を重合させ懸濁重合し続いてポリシロキサン含有マクロモノマー単量体を添加して重合する方法、または、ポリスチレン系樹脂粒子を含む水性懸濁液に、スチレン系単量体およびポリシロキサン含有単量体を連続的または断続的に添加することにより、ポリスチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体およびポリシロキサン含有マクロモノマー単量体を含浸させ、重合させるいわゆるシード重合法、等があげられる。
【0046】
水性懸濁液とは樹脂粒子および単量体液滴を、水または水溶液に分散させた状態を指し、水中には水溶性の界面活性剤や単量体が溶解していても良く、また、水に不溶の分散剤、開始剤、連鎖移動剤、架橋剤、気泡調整剤、難燃剤、可塑剤等が共に分散していても良い。
【0047】
樹脂と水の重量比は、得られる樹脂/水の比として、1.0/0.6〜1.0/3.0が好ましい。
【0048】
本発明の懸濁重合は一段階目の重合を行い主要な反応を行った後、一段階目よりも高温で二段階目の重合反応で残存モノマーを低減させることが好ましい。
【0049】
一段階目の重合に用いられる重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができ、代表的なものとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、などの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても良い。
【0050】
懸濁重合に使用できる分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、カオリンなどの難水溶性無機塩、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子などが挙げられ、難水溶性無機塩を使用する場合には、α―オレフィンスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダなどのアニオン系界面活性剤を併用することが効果的である。これらの分散剤は必要に応じて重合の途中で添加しても良い。
【0051】
分散剤の使用量は、種類によるが難水溶性無機塩としては水100重量部に対して0.1重量部以上3.0重量部以下、アニオン系界面活性剤や水溶性高分子としては30ppm以上500ppm以下が好ましい。
【0052】
発泡剤としては、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタン等の炭素数3以上5以下の炭化水素である脂肪族炭化水素類、例えば、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン等のオゾン破壊係数がゼロであるハイドロフルオロカーボン類等の揮発性発泡剤があげられる。これらの発泡剤は併用しても何ら差し支えない。また、使用量としては、ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは4重量部以上10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上9重量部以下である。発泡剤の量が少ないと発泡倍率を得ることが難しく、発泡剤の量が多いと発泡剤含浸工程で樹脂の凝集が生じやすくなる。
【0053】
本発明において使用する添加剤としては、目的に応じて溶剤、可塑剤、気泡調整剤、外添剤、難燃剤等が使用できる。
【0054】
溶剤としては沸点50℃以上のものがあげられ、トルエン、へキサン、ヘプタン等のC6以上の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタン等のC6以上の脂環族炭化水素、などが挙げられる。
【0055】
可塑剤としては、沸点200℃以上の高沸点可塑剤が挙げられ、例えば、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の植物油、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等の脂肪族エステル、流動パラフィン、シクロヘキサン等の有機炭化水素等があげられる。
【0056】
気泡調整剤としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪族ビスアマイド、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0057】
外添剤の具体例としては、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸トリグリセライド、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドなどの脂肪酸ジグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドなどの脂肪酸モノグリセライド、ひまし油、大豆油、オリーブ油などの植物油、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエート等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。これら外添剤及び添付剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。中でも、ステアリン酸トリグリセライド及びひまし油は発泡体の融着を促進するために好ましい。また、これら外添剤及び添付剤は発泡剤含浸時に水系に添加してもよいし、脱水後に若しくは乾燥後に添加し被覆してもよく、被覆方法によらない。好ましい被覆方法は、乾燥後に添付し、混合撹拌することにより被覆する方法である。
【0058】
本発明において用いられる難燃剤および難燃助剤としては、公知慣用のものが使用できる。
【0059】
難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2",3"−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン等の臭素化フェノール誘導体、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、臭素化スチレン・ブタジエングラフと共重合体などの臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製EMERALD3000、及び、特表2009−516019号公報に開示されている)などが挙げられる。これら難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0060】
難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等の開始剤を使用してもよい。
【0061】
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、一般的な予備発泡方法によって、予備発泡粒子とすることができる。具体的には攪拌機を具備した容器内に入れ水蒸気等の熱源により加熱することで、所望の発泡倍率までに予備発泡を行う。
【0062】
更に発泡性スチレン系予備発泡粒子は、一般的な型内成形方法によって成形し、発泡成形体にすることができる。具体的には、閉鎖し得るが密閉しえない金型内に充填し、水蒸気により加熱融着することでスチレン系発泡成形体とする。
【0063】
本発明のスチレン系発泡成形体は発泡倍率45倍に予備発泡し、成形した場合の擦れ音を評価した。
【実施例】
【0064】
以下に実施例、及び比較例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0065】
<GPC測定>
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子0.02gをテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す場合がある)20mlに溶解させた後、ゲル成分をろ過した。次いで、THFに可溶な成分のみをゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件にてGPC測定を行い、GPC測定チャートおよび、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を得た。尚、得られた値はポリスチレン換算の相対値である。
測定装置:東ソー社製、高速GPC装置 HLC−8220
使用カラム:東ソー社製、SuperHZM−H×2本、SuperH−RC×2本
カラム温度:40℃、移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.35ml/分、注入量:10μl
検出器:RI。
【0066】
<予備発泡粒子の製造>
篩により所定の粒子径に分級した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機「大開工業製、BHP」を用いて、吹き込み蒸気圧0.09〜0.12MPaの条件でかさ倍率45倍への予備発泡し、その後、常温下で1日放置して嵩倍率45倍の予備発泡粒子を得た。
【0067】
<発泡成形体の製造>
得られたスチレン系予備発泡粒子を、成形機「ダイセン製、KR−57」を用いて吹き込み蒸気圧0.10MPaで型内成形を行うことで、厚み25mmで長さ400mm×幅350mmの平板状の発泡成形体を得た。
【0068】
<成形体の表面性>
発泡成形体の表面の状態を目視観察にて評価した。数値が大きいほうが粒子同士の隙間が少ない美麗な表面状態であり、5点満点で表現した3以上を合格とした。
5:隙間が見当たらない
4:部分的に隙間があるが、ほとんどわからない
3:ところどころ隙間があるが、全体としては許容できる
2:隙間が目立つ
1:隙間が多い。
【0069】
<静止摩擦係数測定>
得られた発泡成形体を、バーチカルスライサー(桜エンジニアリング製)を用いて長さ60mm幅60mm厚み4mmの片面スキンの試験片を切り出した。
【0070】
試験片を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室に12時間静止した。その後、同環境下で試験片を表面性試験機HEIDON Type:14FW(新東科学株式会社製)を使用し、荷重200g、往復距離50mm、摺動速度3000mm/分の条件で鉄板と10往復擦り合わせ、擦れあわせごとの静止摩擦係数の平均値を求めた。
【0071】
<擦れ音測定>
得られた発泡成形体を、バーチカルスライサー(桜エンジニアリング製)を用いて長さ300mm幅60mm厚み25mmの両面スキンの直方体の試験片を切り出した。また、底辺120mm高さ60mm厚み25mmの両面スキンの三角柱の試験片を切り出し、両者を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室に12時間静置した。その後、同環境下で直方体の試験片の上に三角柱の試験片を角部が当たるように載せ、三角錐の試験片の上に2000gの荷重を載せた。その状態で試験片を幅50mmの区間を6000mm/分の速度で10往復させた。
【0072】
その際に発生した擦れ音を集音マイクで広い、音域と音圧を測定した。人間が不快と感じる5000以上2万Hz以下の音域で最も大きい音圧を求めた。
【0073】
<燃焼速度>
得られた型内発泡成形体から、熱線スライサーを用いて、長さ356mm×幅101.6mm×厚み12mmのサンプルに切断して、燃焼試験用試験片を得た。
燃焼速度は、得られた試験片を用いて、米国自動車安全基準FMVSS302に準拠した方法で評価した。
【0074】
炎の延焼速度は次の式で求めた。
燃焼速度(mm/min.)=60*(D/T)
D:炎が進んだ距離(mm)、最後まで延焼した場合は25.4cm
T:延焼に要した時間(秒)
評価は以下の基準とした。
○:標線前に自消。
×:燃焼速度80mm/min.超。
【0075】
<使用ポリシロキサン含有マクロモノマー種>
MPS:側鎖型メタクリロイル含有ポリシロキサン(分子量:20万、粘度:不明、官能基数:7.5個、官能基当量:9300g/mol)
X−22−164B:両末端型メタクリロイル含有ポリシロキサン(分子量:0.35万、粘度:55mm2/s、官能基数:2.1個、官能基当量:1630g/mol)(信越シリコーン社製)
KF−96−50:ジメチルポリシロキサン(分子量:0.35万、粘度:50mm2/s、官能基なし)(信越シリコーン社製)
KF−96−300:ジメチルポリシロキサン(分子量:1.5万、粘度:300mm2/s、官能基なし)(信越シリコーン社製)
KF−2012:片末端型メタクリロイル含有ポリシロキサン(分子量:0.40万、粘度:60mm2/s、官能基数:0.8個、官能基当量:4600g/mol)(信越シリコーン社製)
X−22−2426:片末端型メタクリロイル含有ポリシロキサン(分子量1.0万:、粘度:200mm2/s、官能基数:0.8個、官能基当量:12000g/mol)(信越シリコーン社製)。
【0076】
<使用添加開始剤種>
HTP:ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート(10時間半減期温度83℃)(化薬アクゾ社製:カヤエステルHTP−65W)
PBE:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度99℃)(日本油脂社製:パーブチルE)。
【0077】
(実施例1)
<ポリスチレン系樹脂種粒子の製造>
攪拌機を具備した反応器に、純水100重量部、第3リン酸カルシウム0.4重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、塩化ナトリウム0.5重量部及び造核剤としてポリエチレンワックス0.07重量部を入れて攪拌して水懸濁液とした後、スチレン単量体100重量部に重合開始剤として,ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.2重量部を溶解し、反応器に加え、98℃に昇温してから4.5時間かけて重合した後冷却して、その内容物を取り出し脱水・乾燥し、篩い分けして粒子径0.4〜0.5mmのポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
【0078】
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水重量167重量部、第3リン酸カルシウム1.2重量部、α―オレフィンスルフォン酸ソーダ0.022重量部、塩化ナトリウム0.2重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度99℃)0.04重量部、粒子径が0.4〜0.5mmのスチレン系樹脂種粒子20重量部を仕込んだ後、攪拌を開始した。続いて、90℃まで昇温させた後、ベンゾイルパーオキサイド30%溶液0.22重量部を5時間、スチレン単量体78.0重量部を5時間30分かけて反応器中に仕込みながら重合した。この際、スチレン単量体の添加終了時期(90℃昇温後5時間目)にメタクリロイル含有ポリシロキサン(メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン含有量:2.5重量%、分子量:20万)2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.10重量部を4時間かけて仕込み、30分間90℃を保持した。その後、120℃まで昇温し1時間保持した後、98℃まで冷却してシクロヘキサン1.0重量部、ノルマルリッチブタン(ノルマルブタン70%、イソブタン30%)6.5重量部を仕込み、更に110℃に昇温して1.5時間保持した後、40℃まで冷却した。懸濁液を取り出し脱水・乾燥・分級して、粒子径が0.6〜1.15mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0079】
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を篩い分けして粒子径0.5〜1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得、更に加圧式予備発泡機「BHP−300(大開工業製)」で予備発泡し嵩倍率45倍の予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を室温で1日養生させた後、成形機「KR−57(ダイセン製)」を用いて300×450×25(t)mmサイズの金型にて発泡成形品を得、成形体の表面性、静止摩擦係数、擦れ音を評価した。評価結果は表1に示した。
【0080】
(実施例2〜14、比較例1〜5、比較例8〜10)
表1、および表2に記載のとおり、ポリシロキサン含有マクロモノマーの種類、量、添加時期、添加時間及び添加開始剤の種類、量等を変更した以外は、実施例1と同様の方法で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得て、同様の評価を実施した。
【0081】
(実施例15)
撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水重量167重量部、第3リン酸カルシウム1.2重量部、α―オレフィンスルフォン酸ソーダ0.022重量部、塩化ナトリウム0.2重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度99℃)0.04重量部、粒子径が0.4〜0.5mmのスチレン系樹脂種粒子20重量部を仕込んだ後、攪拌を開始した。次いで、難燃剤としてピロガードSR−130(第一工業製薬製)3.0重量部とジクミルパーオキサイド0.6重量部をスチレン10重量部に溶解した後、上記懸濁液の中に添加した。その後、60℃で1時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド30%溶液0.03重量部を添加し、90℃まで昇温し1時間30分保持した。続いて、ベンゾイルパーオキサイド30%溶液0.2重量部を4時間30分、スチレン単量体68重量部を4時間50分かけて反応器中に仕込みながら重合した。この際、スチレン単量体の添加終了時期(90℃昇温後4時間20分目)にメタクリロイル含有ポリシロキサン(メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン含有量:2.5重量%、分子量:20万)2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.1重量部を2時間かけて仕込み、30分間90℃を保持した。その後の操作は実施例1と同様の操作を行い、評価結果を表1に示した。
【0082】
(実施例16)
撹拌機付き6Lオートクレーブに水96重量部、第3リン酸カルシウム0.17重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.048重量部、難燃剤として臭素化ブタジエン・スチレン共重合体(ケムチュラ社製「EMERALD 3000」臭素含有量64%)3.0重量部、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド0.2重量部、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1重量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.37重量部、及び、可塑剤としてやし油1.4重量部を仕込んだ後、スチレン98重量部を仕込み、98℃まで昇温して重合を実施した。重合2時間目に第3リン酸カルシウム0.10重量部添加し、5時間重合を行った。続いてメタクリロイル含有ポリシロキサン(メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン含有量:2.5重量%、分子量:20万)2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.1重量部を2時間かけて添加し、更に30分重合した。更に、シクロヘキサン1.0重量部とノルマルリッチブタン(ノルマルブタン70%、イソブタン30%)6.5重量部を仕込んで120℃まで昇温し4時間発泡剤の含浸と重合を行った。その後、40℃まで冷却後、洗浄・脱水・乾燥することにより発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0083】
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を篩い分けして粒子径0.5〜1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得、更に加圧式予備発泡機「BHP−300(大開工業製)」で予備発泡し嵩倍率45倍の予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を室温で1日養生させた後、成形機「KR−57(ダイセン製)」を用いて300×450×25(t)mmサイズの金型にて発泡成形品を得、成形体の表面性、静止摩擦係数、擦れ音を評価した。評価結果は表1に示した。
【0084】
(実施例17)
スチレン系単量体78.0重量部の変わりに、スチレン単量体73重量部とアクリル酸ブチル5重量部を事前に混合し、合計78重量部の単量体を5時間30分掛けて添加し、メタクリロイル含有ポリシロキサン2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.1重量部を2時間かけて仕込んだ以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0085】
(比較例6)
撹拌機付き6Lオートクレーブに水96重量部、第3リン酸カルシウム0.17重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.048重量部、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1重量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.37重量部、及び、可塑剤としてやし油1.4重量部、メタクリロイル含有ポリシロキサン(メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン含有量:2.5重量%、分子量:20万)2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.1重量部を仕込んだ後、スチレン98重量部を仕込み、98℃まで昇温して重合を行った。その結果、重合1時間目で缶内が凝集し、異常重合となったためポリスチレン系樹脂粒子を得ることができなかった。
【0086】
(比較例7)
メタクリロイル含有ポリシロキサン(メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン含有量:2.5重量%、分子量:20万)2.0重量部とジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.1重量部を重合初期に一括に添加するのではなく、重合1時間目から2時間かけて添加を実施したところ、重合2時間目で缶内が凝集し、異常重合となったためポリスチレン系樹脂粒子を得ることができなかった。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】