【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたような構成においては、工具の刃面の検査を専用の検査装置で行うため、検査に際しては、工具を加工機械から取り外す必要がある。このため、工具の検査を行っている間、加工機械で工具を用いた加工を行うことができない。また、検査後には、工具を加工機械に装着する必要がある。このように、工具の加工機械への脱着に手間がかかり、その結果、加工機械の稼働率が低下してしまう。
【0006】
これに対し、工具を加工機械に取り付けたままの状態で、工具の刃面を撮像することで、刃面の検査を行うことも考えられる。しかし、加工機械で用いられる工具の外径は様々に異なる。したがって、加工機械に工具を取り付けたまま、工具の刃面を撮像しようとすると、撮像装置から刃面までの距離が、工具の外径に応じて変わることになる。このため、工具の刃面を撮像する撮像装置においては、外径が様々に変わり得る複数種の工具の刃面に対し、それぞれピントを合わせる必要がある。
【0007】
また、撮像装置において、外径が様々に変わり得る工具の刃面にピントを合わせる他の手法として、撮像装置に、ピントを調整するための焦点距離調整機構を備える構成がある。この構成によれば、撮像装置を移動させることなく、様々な外径を有した工具の刃面にピントを合わせることができる。しかし、撮像装置にこのような焦点距離調整機構を備えると構造の複雑化、装置コストの上昇を招く。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造の複雑化や装置コストの上昇を抑えつつ、工具を加工機械に取り付けたままの状態で工具を検査して加工機械の稼働率を高めることができる工具検査装置、加工機械、加工機械の工具検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一の態様では、加工機械
に設けられて所定方向に移動可能な加工ヘッドに取り付けられた状態の工具を検査する工具検査装置であって、
前記加工ヘッドの移動により焦点距離に合う位置に移動した前記工具を撮像する撮像部と、
前記焦点距離に合う位置に移動した前記工具が、前記撮像部で撮像する撮像画における前記工具の検査に適した位置となるように前記撮像部を回転させる撮像部回転機構と、を備える。
【0010】
このような構成によれば、加工ヘッドを撮像部における撮像方向に交差する方向に移動させると、撮像部と加工ヘッドに取り付けられた工具との距離が変化する。これにより、加工ヘッドに取り付けられた工具を、撮像部の焦点距離に合わせた位置に移動させることができる。したがって、撮像部を移動させる機構や、撮像部に焦点距離調整機構を備えることなく、撮像部において、様々な外径を有した工具にピントを合わせることができる。
また、加工ヘッドの移動によって、撮像部で撮像する撮像画において、工具が移動する。そこで、撮像部回転機構によって、工具の移動に追従させて撮像部を回転させることで、撮像画中における工具の位置を、工具の検査に適した位置に調整することができる。
このようにして、様々な外径を有した工具にピントを合わせて撮像部における撮像を行い、工具の検査を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の第二の態様では、加工機械は、加工対象物を支持する支持部と、前記支持部に対向して設けられ、前記加工対象物に対して所定の加工を施す工具を保持する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを
所定方向に移動させるヘッド移動機構と、
前記加工ヘッドの移動により焦点距離に合う位置に移動した前記工具を撮像する撮像部と、
前記焦点距離に合う位置に移動した前記工具が、前記撮像部で撮像する撮像画における前記工具の検査に適した位置となるように、前記撮像部を回転させる撮像部回転機構と、を備える。
【0012】
このような構成の加工機械によれば、加工ヘッドを撮像部における撮像方向に交差する方向に移動させると、撮像部と加工ヘッドに取り付けられた工具との距離が変化する。これにより、加工ヘッドに取り付けられた工具を、撮像部の焦点距離に合わせた位置に移動させることができる。したがって、撮像部を移動させる機構や、撮像部に焦点距離調整機構を備えることなく、撮像部において、様々な外径を有した工具にピントを合わせることができる。
また、加工ヘッドの移動によって、撮像部で撮像する撮像画において、工具が移動する。そこで、撮像部回転機構によって、工具の移動に追従させて撮像部を回転させることで、撮像画中における工具の位置を、工具の検査に適した位置に調整することができる。
このようにして、様々な外径を有した工具にピントを合わせて撮像部における撮像を行い、工具の検査を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の第三の態様では、上記第二の態様において、前記ヘッド移動機構の動作を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記加工ヘッドに保持された前記工具の外周面が、前記撮像部から前記撮像部の焦点距離に合致する位置に配置されるよう、前記加工ヘッドを移動させてもよい。
【0014】
このような構成によれば、制御部によって加工ヘッドを移動させることで、加工ヘッドに保持された工具の外周面が、撮像部の焦点距離の合致する位置に合わせて配置される。これにより、撮像部において、工具の外周面に自動的にピントを合わせることが可能となる。
【0015】
本発明の第四の態様では、上記第三の態様において、前記制御部は、前記撮像部で撮像した撮像画において前記工具が予め定めた所定位置に位置するよう、前記撮像部回転機構で前記撮像部を回転させてもよい。
【0016】
このように構成することで、撮像画中における工具の位置を、工具の検査に適した位置に、自動的に調整することができる。
【0017】
本発明の第五の態様によれば、上記第四の態様において、前記工具に光を照射する照明部をさらに備え、前記制御部は、前記撮像画において前記工具が前記照明部における光の照射方向正面に位置するよう、前記撮像部回転機構で前記撮像部を回転させてもよい。
【0018】
このような構成によれば、工具を、撮像部においてピントが合う位置に配置し、かつ、照明部の光を正面から照射した状態で、撮像することができる。これにより、工具の検査を、条件の整った状態で行うことができ、検査を確実に行うことができる。
【0019】
本発明の第六の態様によれば、上記第三から第五の態様において、前記加工ヘッドを前記工具の中心軸回りに回転させるヘッド回転機構を備え、前記制御部は、前記工具の前記中心軸回りの向きが、予め定めた向きとなるよう、前記ヘッド回転機構の動作を制御してもよい。
【0020】
このように構成することで、工具を中心軸回りに回転させて、検査すべき部位を撮像部に向けて、検査を行うことができる。
【0021】
本発明の第七の態様によれば、上記第六の態様において、前記工具の形状が、予め記憶された特定方向から見たときの前記工具の外形形状に合致しているか否かを判定する判定部をさらに備え、前記制御部は、前記工具の前記中心軸回りの向きを、特定方向から見たときの前記外形形状に対応した向きとなるよう、前記ヘッド回転機構の動作を制御してもよい。
【0022】
このような構成によれば、工具の向きを、予め記憶された、特定方向から見たときの工具の外形形状に合わせた状態で、工具の検査を行うことができる。
【0023】
本発明の第八態様によれば、第二から第七の態様において、前記撮像部回転機構は、前記工具に追従させて前記撮像部を直線的に移動させる直進機構を有していてもよい。
【0024】
このような構成によれば、撮像部が直線的に移動可能であることで、撮像部において、工具の外周面にさらに容易にピントを合わせることが可能となる。
【0025】
本発明の第九態様によれば、第二態様の加工機械における工具の検査方法であって、前記工具を保持する前記加工ヘッドを、前記撮像部における撮像方向に交差する方向に移動させ、前記工具の外周面と前記撮像部との間隔を前記撮像部の焦点距離に合わせる工程と、前記撮像部を、前記加工ヘッドに取り付けられた前記工具の移動に追従させて回転させる工程と、前記撮像部で前記工具を撮像する工程と、前記撮像部で撮像した撮像画に基づき、前記工具の検査を行う工程と、を備える。
【0026】
このような構成によれば、加工ヘッドに取り付けられた工具を、撮像部の焦点距離に合わせた位置に移動させることができる。したがって、撮像部を移動させる機構や、撮像部に焦点距離調整機構を備えることなく、撮像部において、様々な外径を有した工具にピントを合わせることができる。
また、加工ヘッドの移動によって、撮像部で撮像する撮像画において、工具が移動する。そこで、撮像部回転機構によって、工具の移動に追従させて撮像部を回転させることで、撮像画中における工具の位置を、工具の検査に適した位置に調整することができる。
このようにして、様々な外径を有した工具にピントを合わせて撮像部における撮像を行い、工具の検査を行うことが可能となる。
【0027】
本発明の第十の態様によれば、第九の態様において、前記撮像部を、前記加工ヘッドに取り付けられた前記工具の移動に追従させて直線的に移動させる工程をさらに備えてもよい。
【0028】
このような構成によれば、撮像部が直線的に移動可能であることで、撮像部において、工具の外周面に、さらに容易にピントを合わせることが可能となる。