特許第6873034号(P6873034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873034
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】結晶性有機半導体材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20210510BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20210510BHJP
   C07D 495/14 20060101ALI20210510BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/48 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C07D471/04 112Z
   C07D495/04 101
   C07D495/14 A
   C09K11/06 635
   C09K11/06 645
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250H
   H01L29/28 310J
   H01L29/78 618A
   H01L29/78 618B
   H01L31/04 154C
   H01L31/04 154D
   H01L31/04 182A
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】19
【全頁数】112
(21)【出願番号】特願2017-509704(P2017-509704)
(86)(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公表番号】特表2017-528447(P2017-528447A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】IB2015056249
(87)【国際公開番号】WO2016027218
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年8月8日
【審判番号】不服2020-9828(P2020-9828/J1)
【審判請求日】2020年7月14日
(31)【優先権主張番号】14181269.3
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァイツ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ ウラディミロフ
(72)【発明者】
【氏名】ティツィアナ キオード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ザイフリート
【合議体】
【審判長】 加藤 浩一
【審判官】 小川 将之
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−78963(JP,A)
【文献】 特表2011−514884(JP,A)
【文献】 特表2011−522097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/368
H01L 27/28
H01L 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性有機半導体材料を製造する方法であって、
(a)少なくとも1種の溶媒(L1)と、(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)とを含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意する工程、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示し、
(b)工程(a)で用意した溶液を基板表面に適用して、溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる工程
を有し、前記少なくとも1種の有機半導体A)が、
一般式(II.a)のリレン化合物:
【化1】
上記式中、
nは、1、2、3、又は4であり、
a、及びRbは相互に独立して、水素、非置換又は置換されたアルキル、非置換又は置換されたアルケニル、非置換又は置換されたアルカジエニル、非置換又は置換されたアルキニル、非置換又は置換されたシクロアルキル、非置換又は置換されたビシクロアルキル、非置換又は置換されたシクロアルケニル、及び非置換又は置換されたヘテロシクロアルキルから選択され、
基Rn1、Rn2、Rn3、及びRn4は、相互に独立して、水素、F、Cl、Br、I及びCNから選択され、
溶媒(L1)が、以下のもの:
L1.1)式(I.1)の化合物:
【化2】
から選択される、20℃、及び1013mbarで液状の化合物少なくとも1種、
上記式中、
1及びX2は、*−(C=O)−O−であり、ここで*は、芳香族の炭素環に対する結合点であり、かつ、
c、及びRdは、独立して、非分枝状、及び分枝鎖状のC1〜C12アルキル、及びC2〜C12アルケニルから選択され、
L1.3)ヒドロキシ安息香酸エステル、
及びこれらの化合物の混合物
から選択され、
溶媒(L2)が、
・脂環式環を含む多環式炭化水素とは異なる脂肪族、脂環式、及び芳香族の炭化水素、
・芳香族エーテル、
・開鎖脂肪族エーテル、ポリエーテル、エーテルアルコール、及び環状エーテル、
・芳香族脂肪族ケトンとは異なるケトン、
・安息香酸アルキル、ヒドロキシ安息香酸エステル、およびアルキレンカーボナートとは異なるエステル、
・脂肪族、及び脂環式アルコール、
・ベンゼン系アルコール、
・ハロゲン化芳香族化合物、
・チオフェノール、及びアルキルチオ置換されたベンゼン、
・5員環、6員環、又は7員環のシクロヘテロアルキル基に縮合されたフェニル基を有する、芳香族化合物、
・5員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合した5員環のヘテロアリール化合物、
・芳香族カルボン酸、
・芳香族アルデヒド、
・トリフルオロメチル置換されたベンゼン化合物、
・シアノ置換、又はイソシアノ置換されたベンゼン化合物、
・ニトロ置換されたベンゼン化合物、
・フェニルスルホン、
・6員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合された6員環のヘテロアリール化合物、
・ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN−メチルピロリドンとは異なる非プロトン性極性溶媒、及び
・これらの化合物の混合物
から選択される、前記方法。
【請求項2】
有機半導体A)の結晶化が、気液界面から進行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
媒(L1)と、(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)とを含有する溶媒混合物に有機半導体A)を入れた溶液を用意した後、有機半導体A)の結晶化を起こすために、前記溶液にさらなる成分を添加しない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
得られた結晶性有機半導体材料が、10×10μm2より大きい面積を有し、ここで平均厚さは最大0.1μm、より好ましくは最大0.05μm、特に最大0.01μmである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
程a)で用いられる溶媒(L1)と、(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)とを含有する溶媒混合物は、1013.25mbarで少なくとも150℃の沸点を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒(L1)が、23℃で1.3〜1000mPasの範囲の粘度を示す、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
溶媒(L1)が、20℃で32〜65mN/mの範囲、好ましくは32〜44mN/mの範囲にある表面張力を示す、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
有機半導体A)が工程a)で用いられる溶媒(L1)と、(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)とを含有する溶媒混合物中で、20℃で少なくとも0.01mg/ml、好ましくは少なくとも0.05mg/mlの溶解度を示す、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒混合物中の溶媒(L1)の量が、該溶媒混合物の全質量に対して1〜99質量%の範囲、好ましくは2〜98質量%の範囲、より好ましくは5〜95質量%の範囲にある、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式(I.1)の化合物において、Rc及びRdが独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、及びイソウンデシルから選択される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
溶媒(L1)が、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(n−プロピル)フタレート、ジ(n−ブチル)フタレート、ジアリルフタレート、エチルサリチレート及びこれらの化合物の混合物から選択される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法において、
一般式(II.a)のリレン化合物における、Ra及びRbは相互に独立して、水素、直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、ペルフルオロC1〜C30アルキル、1H,1H−ペルフルオロ−C2〜C30アルキル、及び1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3〜C30アルキルから選択される、
前記方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
a、及びRbは、一般式(III.1)、(III.2)、及び(III.3)の基から選択され:
【化3】
上記式中、
#は結合箇所であり、
式(III.1)においてRe及びRfは独立して、C1〜C27アルキルから選択され、ここで基Re及びRfの炭素原子の合計は、2〜28の整数であり、
式(III.2)においてRg及びRhは独立して、C1〜C28アルキルから選択され、ここでRg及びRhの炭素原子の合計は、2〜29の整数であり、
式(III.3)においてRi、Rk、及びRlは独立して、C1〜C27アルキルから選択され、ここで基Ri、Rk、及びRlの炭素原子の合計は、3〜29の整数である、
前記方法。
【請求項14】
a、及びRbが同じである、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法において、成分A)が、一般式(II.a1)の化合物:
【化4】
から選択され、
上記式中、
a、及びRbは請求項1又は12〜14のいずれかで規定した通りであり、
12、及びR23は独立して、F、Cl、Br、CNから選択され、かつ
11、R13、R14、R21、R22、及びR24は水素である、
前記方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項で規定した方法によって得られる有機半導体結晶の使用であって、半導体材料、好ましくは有機エレクトロニクスにおける、又は有機光電池における半導体材料を製造するための、前記使用。
【請求項17】
電子デバイス、光学デバイス、光電子デバイス、又はセンサの製造方法であって、
(a)溶媒(L1)と、(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)とを含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意する工程、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示し、
(b)工程(a)で用意した溶液を、基板表面に適用して、溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる工程、
を含み、
ここで工程b)で用意した基板は、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスの基板であるか、又は工程b)で形成された結晶は、電子デバイス、光学デバイス、光電子デバイス、又はセンサに移行され、
前記少なくとも1種の有機半導体A)が、
一般式(II.a)のリレン化合物:
【化5】
上記式中、
nは、1、2、3、又は4であり、
a、及びRbは、相互に独立して、水素、非置換又は置換されたアルキル、非置換又は置換されたアルケニル、非置換又は置換されたアルカジエニル、非置換又は置換されたアルキニル、非置換又は置換されたシクロアルキル、非置換又は置換されたビシクロアルキル、非置換又は置換されたシクロアルケニル、及び非置換又は置換されたヘテロシクロアルキルから選択され、
基Rn1、Rn2、Rn3、及びRn4は、相互に独立して、水素、F、Cl、Br、I及びCNから選択され、
溶媒(L1)が、以下のもの:
L1.1)式(I.1)の化合物:
【化6】
から選択される、20℃、及び1013mbarで液状の化合物少なくとも1種、
上記式中、
1及びX2は、*−(C=O)−O−であり、ここで*は、芳香族の炭素環に対する結合点であり、かつ、
c、及びRdは、独立して、非分枝状、及び分枝鎖状のC1〜C12アルキル、及びC2〜C12アルケニルから選択され、
L1.3)ヒドロキシ安息香酸エステル、
及びこれらの化合物の混合物
から選択され
溶媒(L2)が、
・脂環式環を含む多環式炭化水素とは異なる脂肪族、脂環式、及び芳香族の炭化水素、
・芳香族エーテル、
・開鎖脂肪族エーテル、ポリエーテル、エーテルアルコール、及び環状エーテル、
・芳香族脂肪族ケトンとは異なるケトン、
・安息香酸アルキル、ヒドロキシ安息香酸エステル、およびアルキレンカーボナートとは異なるエステル、
・脂肪族、及び脂環式アルコール、
・ベンゼン系アルコール、
・ハロゲン化芳香族化合物、
・チオフェノール、及びアルキルチオ置換されたベンゼン、
・5員環、6員環、又は7員環のシクロヘテロアルキル基に縮合されたフェニル基を有する、芳香族化合物、
・5員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合した5員環のヘテロアリール化合物、
・芳香族カルボン酸、
・芳香族アルデヒド、
・トリフルオロメチル置換されたベンゼン化合物、
・シアノ置換、又はイソシアノ置換されたベンゼン化合物、
・ニトロ置換されたベンゼン化合物、
・フェニルスルホン、
・6員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合された6員環のヘテロアリール化合物、
・ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN−メチルピロリドンとは異なる非プロトン性極性溶媒、及び
・これらの化合物の混合物
から選択される、
前記製造方法。
【請求項18】
工程(b)において、基板表面の少なくとも一部への、工程(a)で用意した組成物の適用を、印刷によって行う、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記デバイスが、有機電界効果トランジスタ、エレクトロルミネッセンス装置、有機太陽電池、及び光検出器から選択される、請求項17又は18に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化の条件により、有利な半導体特性を有する、気液界面での結晶の形成につながる結晶性有機半導体材料の新規製造方法に関する。本発明はまた、前記製造方法により得られる結晶性有機半導体材料、及び有機半導体デバイス、特に有機電界効果トランジスタ及び有機太陽電池を製造するための、前記結晶性有機半導体材料の使用に関する。
【0002】
低分子量分子又はポリマー材料に基づく有機半導体は、既に電子産業の多くの分野で使用されている。多くの場合、これらの有機半導体は、従来の無機半導体に比べて、例えばより良好な基板適合性、及びこのような有機材料に基づく半導体部材のより良好な加工性という利点を有する。これらの材料により、可撓性基板上での加工が可能になり、その軌道エネルギーを分子モデリング法により、特定の適用範囲に厳密に調整することができる。このような部材のコストが著しく削減されたことによって、有機エレクトロニクスの調査分野が急増した。
【0003】
有機エレクトロニクスは原則的に、新規材料の開発、及び有機半導体層に基づく電子部材を製造するための製造方法に関わる。これには特に、有機電界効果トランジスタ(OFET)、及び有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、「EL」デバイスと省略)が含まれる。開発の大きな可能性は、有機電界効果トランジスタ、例えば記憶素子、バックプレイン、及び集積型光電子デバイスに起因する。有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、電界効果が適用された時に、蛍光材料が、アノードから注入された正孔と、カソードから注入された電子との再結合エネルギーによって光を放射するという原理を利用した自己放射性デバイスである。有機発光ダイオード(OLED)の形態のELデバイスは、陰極線管に代わるものとして、また平坦な視覚的ディスプレイユニットを製造するための液晶ディスプレイとして、特に興味深い。デザインが非常にコンパクトで、本来的に電力消費が少ないため、OLEDを有するデバイスは、モバイル適用、例えば携帯電話、ラップトップ型パソコンなどにおける適用に特に適している。
【0004】
有機光電池は原則的に、有機太陽電池用の新規材料の開発と関連している。開発のための大きな可能性は、最大の輸送幅、及び光により誘発された励起状態のための高い移動度(高い励起子拡散長)を有する材料に起因し、このためこの材料は、いわゆる励起子太陽電池における活性材料として使用するために、有利に適している。これは一般的に、このような材料に基づく太陽電池によって可能であり、良好な量子収率が得られる。
【0005】
様々な種類の化学センサが知られており、それは特に電子伝導性センサ、水晶発振子微量天秤を利用した質量感知センサ、表面弾性波センサ、及び光学センサである。充分な結晶サイズを有する有機半導体は、ガスセンサのための有望な候補である。これらは例えば、反応性ガスに対して化学的に敏感であり、酸化又は還元され得る。ガスセンサは、様々な技術分野において幅広い適用が見出されており、例えば作業安全、及び環境保護の分野で、毒性若しくは刺激性の気体、又は蒸気(例えばCO及びNO2)を検知するために、並びに自動車、航空機、家屋などにおける空調において、また呼気分析用アルコール検知器に適用される。
【0006】
良好な性能特性を有し、かつ大規模で標準的な製造方法により製造可能な有機電子デバイス、有機太陽電池、及び光電子デバイス(例えば有機薄膜トランジスタ(OTFT)、OLED、印刷可能な回路、キャパシタ、センサなど)を提供することは、今もなお挑戦である。特に、良好な適用特性(例えば高い電荷担体移動度)を有し、かつ周囲条件下で安定的な有機半導体を含有する活性成分の製造を可能にする、コスト効率の良い湿潤処理技術に対する需要がある。
【0007】
溶液処理半導体膜に基づく公知のデバイス製造法には、幾つかの欠点がある。そこで多くの場合、こうして得られた適用特性(例えば電荷担体移動度)は、なお改善しなければならない。さらに、このような処理で用いられる溶媒は、有機半導体との適合性が限定的であるか、又は環境にとって有害である。
【0008】
米国特許出願第2014042369号明細書(US 2014042369 A1)は、液状媒体中に有機半導体を含有する有機半導体調製物を記載しており、ここでこの液状媒体は、第一の液体、及び任意で第二の液体を含有し、第一の液体は、有機半導体化合物の電子構造に対して相補的な電子特性を有する芳香族化合物であり、第二の液体は、有機半導体が、少なくとも約0.1mg/mLという溶解度を示す溶媒又は溶媒混合物である。この文献は、多数の異なる半導体材料及び溶媒を挙げているものの、実施例で使用される半導体は、N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−(1,7、及び1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)のみである。試験された溶媒は、N,N−ジメチルアニリン、ニトロベンゼン、2−メチルアニソール、キシレン、ジクロロベンゼン、及びベンゾニトリルである。
【0009】
Valery A. Postnikovらは、Cryst. Growth Des.(2014年)の14、p.1726〜1737において、気液界面で成長させたチオフェン−フェニレンコオリゴマー(TPCO)の分子的に平滑な単結晶膜の形成を記載している。気体・溶液界面における単結晶成長のために適切な技術は、溶媒・逆溶媒結晶化(SAC)、等温緩慢式溶媒蒸発(ISSE)、及び定容式冷却(IC)である。SACのためには、溶媒としてトルエンが使用され、エタノール、イソプロパノール、又はこれらの混合物が、逆溶媒として使用された。ISSE、及びICのためには、トルエン、ヘキサン、及びクロロベンゼンが用いられた。これまで、この文献によると最も好ましい方法は、SACである。よって1735頁の右側のコラムには、注目すべきこととして、同じTPCOについて使用された他の溶液結晶成長法に比べて、SACにより、横方向の成長速度が高くなることが言及されている。ISSEよりもSACにおいて、横方向の成長速度が高いことは、逆溶媒の使用により、気体・溶液界面における結晶化推進力が強化されたことによって説明できる。第一に、近傍表面層における飽和は、逆溶媒の縮合により、SACでは容易になる。第二に、逆溶媒表面エネルギーが、溶媒の表面エネルギーよりも小さいからである。従って当業者であれば、SAC以外の気液界面結晶化技術を用いることを考慮しなかったであろう。
【0010】
H. Minemawariらは、Nature, vol. 475(2011年7月21日)のp.364〜367で、逆溶媒結晶化の技術と、インクジェット印刷とを組み合わせて、結晶性が高い有機半導体薄膜を製造する方法を記載している。特に、逆溶媒の微細な液滴と、活性半導体成分の溶液とを非晶質基材上の限られた領域内で混合することにより、液体・空気界面で成長する均一な単結晶又は多結晶の薄膜を制御しながら形成することができる。全ての実施例において、1,2−ジクロロベンゼンが溶媒として使用され、N,N−ジメチルホルムアミドが、逆溶媒として使用される。
【0011】
公知の結晶化法によって得られる、結晶性有機半導体材料に基づく半導体デバイスの適用特性は、なお改善する必要がある。多くの場合、こうして得られる結晶の特性は、良好な結晶のみが良好な半導体特性につながるため、充分ではない。意図する使用にとって充分に大きい単結晶を得ることができない場合、できるだけ欠陥が少ない多結晶材料を用いる必要がある。良好な結晶は一般的に、結晶の横方向のサイズに比べて、相対的に薄い結晶層によって特徴付けられる。結晶材料を提供するための良好な方法はまた、結晶欠陥の数を上昇させることなく、より大きな結晶を形成することによって特徴付けられる。
【0012】
従って、大規模で標準的なプロセスにより良好な適用特性を有する半導体デバイスの製造を可能にする、結晶性有機半導体材料を提供するための改善された方法に対する需要がある。
【0013】
意外なことに、多数の様々な有機半導体の結晶化は、1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力を示す有機溶媒、又はこのような有機溶媒を含有する溶媒混合物からの結晶化によって有利に行うことができると判明した。相応する有機溶媒は、数多くの様々な有機半導体と良好な適合性を示し、生じる液状の有機半導体調製物は、良好な適用特性を有する、様々な結晶性有機半導体材料の製造に適している。上記溶媒又は溶媒混合物を用いることにより、様々な電界効果デバイスにおいて優れた適用特性を示す結晶性薄膜を形成することができる。本発明による方法は特に、周囲条件下、湿潤処理技術による有機薄膜トランジスタ(OFET)の形成に適している。本発明による液状組成物から得られる半導体層は、良好な固体特性、例えば良好な結晶性によって特徴付けられる。結果として、半導体組成物により作製された電界効果デバイス(例えば薄膜トランジスタ)は通常、周囲条件下で高い性能を示し、例えば1つ以上の以下の特性によって特徴付けられる:高い電荷移動度、低い閾値電圧、及び高い電流オン/オフ比。
【0014】
発明の概要
本発明の最初の対象は、以下の工程(a)及び(b)を含む結晶性有機半導体材料を製造する方法に関する:
(a)溶媒(L1)に、又は少なくとも1種の溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意する工程、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示し、
(b)工程(a)で用意した溶液を、基板表面に適用して、溶媒又は溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる工程。
【0015】
本発明による方法の特別な特徴は、有機半導体A)の結晶化が、気液界面から進行することである。
【0016】
本発明のさらなる対象は、先に、また以下で規定する方法によって得られる結晶性有機半導体材料である。
【0017】
本発明のさらなる対象は、半導体材料、好ましくは有機エレクトロニクスにおける、又は有機光電池における半導体材料を製造するための、先に、また以下で規定する方法によって得られる有機半導体結晶の使用である。
【0018】
本発明のさらなる対象は、以下の工程(a)及び(b)を含む、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスの製造方法である:
(a)溶媒(L1)に、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意する工程、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示し、
(b)工程(a)で用意した溶液を、基板表面に適用して、溶媒又は溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる工程、
ここで工程b)で用意した基板は、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスの基板であるか、又は工程b)で形成された結晶は、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスに移行される。
【0019】
発明の詳細な説明
良い溶媒と、悪い溶媒を区別するための方法は、得られる結晶サイズによる。本発明の意味合いにおいて良好な結晶は、結晶の横方向のサイズに比べて、相対的に薄い結晶層によって特徴付けられる。よって、得られた結晶性有機半導体材料は、10×10μm2超という面積を有するのが望ましく、ここで平均厚さは、最大0.1μmである。良好な溶媒はまた、結晶欠陥の数を上昇させることなく、より大きな結晶を形成することによって特徴付けられる。
【0020】
何らかの特定の理論に結びつけるつもりはないが、液状成分B)が、結晶性有機半導体A)の形成に、また基板上への堆積に有利なため、本発明による組成物から製造される有機半導体成分を含有するデバイスは、改善された特性を示すことができると考えられる。成分B)は特に、半導体A)に関して充分な可溶性と、充分に低い揮発性との理想的なバランスを示す。結果として、成分B)により、優れた特性を有する結晶性半導体層が形成される。これにより、有利な固体特性(例えばより大きな結晶子の形成、及び粒界数の低減)につながる。結晶粒度の増大、及び本発明による組成物から堆積される半導体層の結晶性ドメインの増大は、光学顕微鏡によって検知できる(例えば図4a、及び4b参照)。より大きな結晶子は、少なくとも部分的に、電荷輸送の改善に貢献することができるが、それは電荷捕捉箇所として働く粒界数の減少によるものかもしれない。
【0021】
以上より、本発明による教示は、例えば所定の有機半導体とのオーダーメードの適合性、良好な結晶性材料の製造、低温加工性、及び加工の多大な融通性といった特性を示す結晶性有機半導体を提供する方法をもたらす。結果として、周囲条件下で高い性能を備え、例えば大きな電荷移動度、低い閾値電圧、及び高い電流オン/オフ比のうち1つ以上を示す、電界効果デバイス(例えば薄膜トランジスタ)につながる結晶性有機半導体が得られる。
【0022】
本発明による方法は特に、以下の利点のうち少なくとも1つを有する:
・特別な溶媒を用いる本発明による方法によって、気液界面(すなわち、主に溶液液滴の上部で)で起こる結晶成長を誘発することができる。
・結晶化は、接触線から基板へと液滴を貫通しないため、また有機半導体は主に基板上では結晶化しないため、基板の性質は、得られる結晶の形状に直接的な影響を与えない。基板の性質はもちろん、上述のように基板表面での結晶の堆積に影響を与え、また電子デバイスの電気特性に影響を与える。
・本発明の方法において核形成箇所は、例えば溶液の注型又は印刷によって、溶液を基板に塗布した直後に形成されている。核からの結晶成長は、液・空気界面で起こる。
・この方法により、面積の大きい薄膜結晶材料(すなわち、半導体材料の結晶膜)の溶液成長が可能になる。
・意外なことに、溶媒(L1)について、溶液の乾燥時間は、結晶の性質に対して影響を与えないようである。溶媒(L1)を用いると、厚さが薄く、面積が大きい良好な結晶が得られる。その一方で、別の溶媒を用いると、乾燥時間をそれより長くしても、溶媒(L1)から得られるような高品質の結晶につながらない。
・有利なことに、粘度調整添加剤(例えば誘電性ポリマー、又は半導体ポリマー)を使用しても、得られる結晶性半導体材料の品質には、否定的な影響を与えない。さらに、意外なことに、粘度調整添加剤を、本発明の意味合いにおける溶媒(L1)ではない溶媒と組み合わせて、又は溶媒(L1)を含有しない溶媒混合物と組み合わせて使用しても、得られる結晶性半導体材料は、改善されないことが判明した。
・本発明による方法により、溶液処理法(スピンコート及び様々な印刷技術を含む)によって、半導体A)から様々な物品、構造、又はデバイスを製造することが可能になる。
・OFET、特に本発明による方法によって半導体組成物から製造されるOFETは、以下の特性のうち少なくとも1つを特徴とする:高い電荷輸送移動度、高いオン/オフ比、低い閾値電圧、及び空気安定性。
・こうして得られる有機半導体は、有利な固体特性(例えばより大きな結晶子の形成、粒界数の減少、よって改善された電荷輸送)を有する。
・OFET、特に本発明による方法によって得られる半導体から製造されるOFETは、有機電子デバイスのチャネル領域内において得られる膜の大きな連続性を特徴とする。
【0023】
本発明の文脈において、溶媒(L1)若しくは(L2)又は溶媒混合物の沸点、粘度、及び表面張力は、単独の純粋な溶媒、又は純粋な溶媒の混合物に関連する。本発明の意味合いにおいて一般的に、純粋な溶媒は、95%以上、多くの場合98%以上の純度を有する。
【0024】
本発明による方法によって得られる結晶性有機半導体材料は、単結晶、多結晶、液晶、又はこれらの組み合わせを含有するか、又はこれらから成っていてよい。
【0025】
単結晶又はモノクリスタルの材料において、半導体材料全体の結晶格子は連続的であり、試料の端部まで破壊されておらず、粒界は無い。多結晶材料は、不規則に配向した結晶性領域(いわゆる結晶子)から構成されている。本発明による多結晶性材料は、結晶欠陥がほとんど無いことを特徴とする。液晶において重要なのは、慣用の液体の特性と、固体結晶の特性との間の特性を有する状態である。特に、本発明の方法によって、液・気界面で成長する均一な単結晶又は多結晶の薄膜が、制御しながら形成される。1つの特別な実施形態において、結晶性有機半導体材料の少なくとも一部は、連続する大きな結晶領域から成る。
【0026】
本発明の方法において結晶成長は、気液界面から進行する。有利なことに、得られる大量の結晶性有機半導体材料は、気液界面における結晶化から生じる。
【0027】
溶媒(L1)に、又は少なくとも1種の溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用いることにより、気液界面で成長する結晶性半導体材料の形成が促進されることが判明した。意外なことに、厚さが小さく、面積が大きい結晶性半導体材料は、逆溶媒を使用せずに得ることができる。
【0028】
特に、溶媒(L1)に、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に有機半導体A)を入れた溶液を用意した後、有機半導体A)を結晶化させるために、さらなる成分は溶液に添加しない。
【0029】
特に、溶媒(L1)に、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に有機半導体A)を入れた溶液を用意した後、溶媒は溶液に添加せず、ここで有機半導体A)は20℃で、0.01mg/ml未満の溶解度を示す。
【0030】
結晶性半導体材料の表面は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)によって試験することができる。特に、原子間力顕微鏡(AFM)、又は走査フォース顕微鏡(SFM)により、半導体材料の厚さとの関連で、半導体材料の特定の領域を分析することができる。こうして、気液界面における結晶化により得られる結晶性領域を同定することができる。SPMデータ分析は、公知のソフトウェア、例えばGwyddionにより行うことができる。
【0031】
好ましくは、得られた結晶性有機半導体材料は、10×10μm2超という面積を有し、ここで平均厚さは、最大0.1μm、より好ましくは最大0.05μm、特に最大0.01μmである。多くの場合、本発明の方法により、100×100μm2超という面積を有する結晶性有機半導体材料の形成が可能になり、ここで平均厚さは最大0.1μm、好ましくは最大0.05μmである。
【0032】
最も純粋な溶媒の溶媒パラメータは、科学の参考文献から入手できる:例えばKnovel Critical Tables (2nd Edition 2008)、electronic ISBN: 978-1 -59124-550-6、又はHandbook of Chemistry and Physics、CRC Press, Inc.(米国フロリダ州、Boca Raton在)。特定の温度及び圧力における溶媒の沸点、粘度、又は表面張力の特定は、当業者にとって標準的な作業である。
【0033】
溶媒(L1)及び(L2)の粘度、並びに粘度調整剤(例えば増粘ポリマー)を含有する溶媒の粘度は、慣用の粘度計(例えばBrookfield DV-ll+Pro Viscosimeter)により、温度23℃で、剪断速度93s-1、13Rのカップと21段階スピンドルを用いて回転速度100rpmで測定できる。
【0034】
表面張力は、慣用の表面張力計(例えばTensiometer K100、Kruess社製、Wilhelmy法・プレート法を用いて)により測定できる。
【0035】
好ましくは、工程a)で用いられる溶媒(L1)、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物は、1013.25mbarで、少なくとも150℃という沸点を有する。
【0036】
溶媒(L1)は好ましくは、23℃で1.3〜1000mPasという範囲の粘度を有する。
【0037】
溶媒(L1)は好ましくは、20℃で32〜65mN/mの範囲、好ましくは32〜44mN/mの範囲という表面張力を示す。
【0038】
有機半導体A)は好ましくは、工程a)で用いる溶媒(L1)中、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物中で、20℃で少なくとも0.01mg/ml、好ましくは少なくとも0.05mg/mlという溶解度を示す。
【0039】
好ましい実施形態において、有機半導体A)の溶液を用意するために用いる溶媒は、溶媒(L1)のみから成る。
【0040】
別の好ましい実施形態において、有機半導体A)の溶液を用意するために用いる溶媒は、少なくとも1種の溶媒(L1)と、この(L1)とは異なる少なくとも1種の溶媒(L2)との混合物である。好ましくは、溶媒混合物における溶媒(L1)の量は、溶媒混合物の全質量に対して1〜99質量%の範囲、より好ましくは2〜98質量%の範囲、特に5〜95質量%の範囲にある。
【0041】
適切かつ好ましい溶媒(L1)及び(L2)を、以下に記す。
【0042】
「ハロゲン」という表現は、それぞれの場合において、フッ素、臭素、塩素、又はヨウ素を、特に塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0043】
本発明の文脈において、「非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘタリール」という表現は、非置換若しくは置換されたアルキル、非置換若しくは置換されたシクロアルキル、非置換若しくは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換若しくは置換されたアリール、及び非置換若しくは置換されたヘタリールを表す。
【0044】
本発明の文脈において、「それぞれの場合において非置換又は置換された直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C2〜C30アルケニル、分枝鎖状C3〜C30アルケニル、直鎖状C2〜C30アルキニル、分枝鎖状C4〜C30アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘタリール」という表現は、非置換若しくは置換された直鎖状C1〜C30アルキル、非置換若しくは置換された分枝鎖状C3〜C30アルキル、非置換若しくは置換された直鎖状C2〜C30アルケニル、非置換若しくは置換された分枝鎖状C3〜C30アルケニル、非置換若しくは置換された直鎖状C2〜C30アルキニル、非置換若しくは置換された分枝鎖状C4〜C30アルキニル、非置換若しくは置換されたシクロアルキル、非置換若しくは置換されたアリール、及び非置換若しくは置換されたヘタリールを表す。
【0045】
本発明の文脈において、「それぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、及びアリール」という表現は、非置換若しくは置換されたアルキル、非置換若しくは置換されたシクロアルキル、及び非置換若しくは置換されたアリールを表す。
【0046】
本発明の文脈において、「非置換又は置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、(モノアルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、(モノシクロアルキル)アミノ、(ジシクロアルキル)アミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキルチオ、(モノヘテロシクロアルキル)アミノ、(ジヘテロシクロアルキル)アミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、(モノアリール)アミノ、(ジアリール)アミノ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ヘタリールチオ、(モノヘタリール)アミノ、及び(ジヘタリール)アミノ」という表現は、非置換若しくは置換されたアルキル、非置換若しくは置換されたアルコキシ、非置換若しくは置換されたアルキルチオ、非置換若しくは置換された(モノアルキル)アミノ、非置換若しくは置換された(ジアルキル)アミノ、非置換若しくは置換されたシクロアルキル、非置換若しくは置換されたシクロアルコキシ、非置換若しくは置換されたシクロアルキルチオ、非置換若しくは置換された(モノシクロアルキル)アミノ、非置換若しくは置換された(ジシクロアルキル)アミノ、非置換若しくは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換若しくは置換されたヘテロシクロアルコキシ、非置換若しくは置換されたヘテロアルキルチオ、非置換若しくは置換された(モノヘテロシクロアルキル)アミノ、非置換若しくは置換された(ジヘテロシクロアルキル)アミノ、非置換若しくは置換されたアリール、非置換若しくは置換されたアリールオキシ、非置換若しくは置換されたアリールチオ、非置換若しくは置換された(モノアリール)アミノ、非置換若しくは置換された(ジアリール)アミノ、非置換若しくは置換されたヘタリール、非置換若しくは置換されたヘタリールオキシ、非置換若しくは置換されたヘタリールチオ、非置換若しくは置換された(モノヘタリール)アミノ、及び非置換若しくは置換された(ジヘタリール)アミノを表す。
【0047】
本発明の文脈において、「アルキル」という表現は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を包含する。アルキルは好ましくは、C1〜C30アルキル、より好ましくはC1〜C22アルキルである。短鎖アルキル基は好ましくは、C1〜C6アルキル基から選択される。長鎖アルキル基は好ましくは、C7〜C22アルキル基から選択される。アルキル基の例は特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−プロピルブチル、2−エチルペンチル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、1−メチルオクチル、2−メチルオクチル、1−エチルヘプチル、2−エチルヘプチル、1−プロピルヘキシル、2−プロピルヘキシル、1−ブチルペンチル、n−デシル、2−メチルデシル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、1−エチルオクチル、2−エチルオクチル、1−プロピルヘプチル、2−プロピルヘプチル、1−ブチルヘキシル、2−ブチルヘキシル、n−ウンデシル、2−エチルノニル、1−プロピルオクチル、2−プロピルオクチル、1−ブチルヘプチル、2−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、n−ドデシル、2−エチルデシル、2−プロピルノニル、1−ブチルオクチル、2−ブチルオクチル、1−ペンチルヘプチル、2−ペンチルヘプチル、2−プロピルデシル、n−トリデシル、1−ペンチルオクチル、2−ペンチルオクチル、1−ヘキシルヘプチル、2−ブチルノニル、n−テトラデシル、1−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルノニル、2−ペンチルデシル、2−ブチルデシル、n−ヘキサデシル、1−ヘプチルオクチル、2−ヘプチルノニル、2−ヘキシルデシル、2−ヘプチルデシル、n−オクタデシル、2−オクチルデシル、n−エイコシル、2−ノニルウンデシル、2−オクチルウンデシル、2−ヘプチルウンデシル、2−ヘキシルウンデシル、2−ペンチルウンデシル、2−ブチルウンデシル、2−プロピルウンデシル、2−エチルウンデシル、2−メチルウンデシル、2−デシルドデシル、2−ノニルドデシル、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルドデシル、2−ヘキシルドデシル、2−ペンチルドデシル、2−ブチルドデシル、2−プロピルドデシル、2−エチルドデシル、2−メチルドデシル、2−ウンデシルトリデシル、2−デシルトリデシル、2−ノニルトリデシル、2−オクチルトリデシル、2−ヘプチルトリデシル、2−ヘキシルトリデシル、2−ペンチルトリデシル、2−ブチルトリデシル、2−プロピルトリデシル、2−エチルトリデシル、2−メチルトリデシル、2−ウンデシルテトラデシル、2−デシルテトラデシル、2−ノニルテトラデシル、2−オクチルテトラデシル、2−ヘプチルテトラデシル、2−ヘキシルテトラデシル、2−ペンチルテトラデシル、2−ブチルテトラデシル、2−プロピルテトラデシル、2−エチルテトラデシル、2−メチルテトラデシル、2−テトラデシルヘキサデシル、2−トリデシルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ウンデシルヘキサデシル、2−デシルヘキサデシル、2−ノニルヘキサデシル、2−オクチルヘキサデシル、2−ヘプチルヘキサデシル、2−ヘキシルヘキサデシル、2−ペンチルヘキサデシル、2−ブチルヘキサデシル、2−プロピルヘキサデシル、2−エチルヘキサデシル、2−メチルヘキサデシル、2−ドデシルオクタデシル、2−ウンデシルオクタデシル、2−デシルオクタデシル、2−ノニルオクタデシル、2−オクチルオクタデシル、2−ヘプチルオクタデシル、2−ヘキシルオクタデシル、2−ペンチルオクタデシル、2−ブチルオクタデシル、2−プロピルオクタデシル、2−エチルオクタデシル、2−メチルオクタデシル、2−デシルエイコサニル、2−ノニルエイコサニル、2−オクチルエイコサニル、2−ヘプチルエイコサニル、2−ヘキシルエイコサニル、2−ペンチルエイコサニル、2−ブチルエイコサニル、2−プロピルエイコサニル、2−エチルエイコサニル、2−メチルエイコサニル、2−オクタデシルドコサニル、2−ヘプタデシルドコサニル、2−ヘキサデシルドコサニル、2−ペンタデシルドコサニル、2−テトラデシルドコサニル、2−トリデシルドコサニル、2−ウンデシルドコサニル、2−デシルドコサニル、2−ノニルドコサニル、2−オクチルドコサニル、2−ヘプチルドコサニル、2−ヘキシルドコサニル、2−ペンチルドコサニル、2−ブチルドコサニル、2−プロピルドコサニル、2−エチルドコサニル、2−メチルドコサニル、2−ドコサニルテトラコサニル、2−ヘキサデシルテトラコサニル、2−ペンタデシルテトラコサニル、2−ペンタデシルテトラコサニル、2−テトラデシルテトラコサニル、2−トリデシルテトラコサニル、2−ドデシルテトラコサニル、2−ウンデシルテトラコサニル、2−デシルテトラコサニル、2−ノニルテトラコサニル、2−オクチルテトラコサニル、2−ヘプチルテトラコサニル、2−ヘキシルテトラコサニル、2−ペンチルテトラコサニル、2−ブチルテトラコサニル、2−プロピルテトラコサニル、2−エチルテトラコサニル、2−メチルテトラコサニル、2−ドデシルオクタコサニル、2−ウンデシルオクタコサニル、2−デシルオクタコサニル、2−ノニルオクタコサニル、2−オクチルオクタコサニル、2−ヘプチルオクタコサニル、2−ヘキシルオクタコサニル、2−ペンチルオクタコサニル、2−ブチルオクタコサニル、2−プロピルオクタコサニル、2−エチルオクタコサニル、及び2−メチルオクタコサニルである。
【0048】
アルキルという表現はまた、アルキル基の炭素鎖が、−O−、−S−、−NRa−、−C(=O)−、−S(=O)−、及び/又は−S(=O)2−から選択される1個以上の非隣接基によって中断されていてよいアルキル基を包含する。Raは好ましくは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。
【0049】
炭素鎖が1個以上の非隣接基によって中断されているアルキル基の例は特に、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシエチル、2−及び3−メトキシプロピル、2−及び3−エトキシプロピル、2−及び3−プロポキシプロピル、2−及び3−ブトキシプロピル、2−及び4−メトキシブチル、2−及び4−エトキシブチル、2−及び4−プロポキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、2−及び4−ブトキシブチル、4,8−ジオキサデシル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9−トリオキサドデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル、及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル、2−プロピルチオエチル、2−イソプロピルチオエチル、2−ブチルチオエチル、2−及び3−メチルチオプロピル、2−及び3−エチルチオプロピル、2−及び3−プロピルチオプロピル、2−及び3−ブチルチオプロピル、2−及び4−メチルチオブチル、2−及び4−エチルチオブチル、2−及び4−プロピルチオブチル、3,6−ジチアヘプチル、3,6−ジチアオクチル、4,8−ジチアノニル、3,7−ジチアオクチル、3,7−ジチアノニル、2−及び4−ブチルチオブチル、4,8−ジチアデシル、3,6,9−トリチアデシル、3,6,9−トリチアウンデシル、3,6,9−トリチアドデシル、3,6,9,12−テトラチアトリデシル、及び3,6,9,12−テトラチアテトラデシル;2−モノメチル−及び2−モノエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−及び3−ジメチルアミノプロピル、3−モノイソプロピルアミノプロピル、2−及び4−モノプロピルアミノブチル、2−及び4−ジメチルアミノブチル、6−メチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジアザオクチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル、9−メチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリアザウンデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザウンデシル、12−メチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル及び3,6,9,12−テトラメチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル;(l−エチルエチリデン)アミノエチレン、(1−エチルエチリデン)アミノプロピレン、(1−エチルエチリデン)アミノブチレン、(l−エチルエチリデン)アミノデシレン及び(l−エチルエチリデン)アミノドデシレン;プロパン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、ブタン−3−オン−2−イル、及び2−エチルペンタン−3−オン−1−イル;2−メチルスルホキシドエチル、2−エチルスルホキシドエチル、2−プロピルスルホキシドエチル、2−イソプロピルスルホキシドエチル、2−ブチルスルホキシドエチル、2−及び3−メチルスルホキシドプロピル、2−及び3−エチルスルホキシドプロピル、2−及び3−プロピルスルホキシドプロピル、2−及び3−ブチルスルホキシドプロピル、2−及び4−メチルスルホキシドブチル、2−及び4−エチルスルホキシドブチル、2−及び4−プロピルスルホキシドブチル、及び4−ブチルスルホキシドブチル;2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル、2−プロピルスルホニルエチル、2−イソプロピルスルホニルエチル、2−ブチルスルホニルエチル、2−及び3−メチルスルホニルプロピル、2−及び3−エチルスルホニルプロピル、2−及び3−プロピルスルホニルプロピル、2−及び3−ブチルスルホニルプロピル、2−及び4−メチルスルホニルブチル、2−及び4−エチルスルホニルブチル、2−及び4−プロピルスルホニルブチル、及び4−ブチルスルホニルブチルである。
【0050】
置換されたアルキル基は、アルキル鎖の長さに応じて、1個以上の置換基を有することができる(例えば1個、2個、3個、4個、5個、又は5個超)。これらは好ましくは、それぞれ独立して、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE56から選択され、ここでE5及びE6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。アルキル基のシクロアルキル置換基、ヘテロシクロアルキル置換基、アリール置換基、及びヘタリール置換基はここでも、非置換若しくは置換であり得る。適切な置換基は、これらの基について以下に述べる置換基である。置換されたアルキル基の特別な実施形態は、ペルフルオロC1〜C30アルキル、1H,1H−ペルフルオロ−C2〜C30−アルキル、及び1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3〜C30アルキルである。これらのフッ化アルキル基の例は、以下で述べる。
【0051】
置換されたアルキル基の例は特に、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、8−カルボキシオクチル、10−カルボキシデシル、12−カルボキシドデシル、及び14−カルボキシ−テトラデシル;スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル、12−スルホドデシル、及び14−スルホテトラデシル;2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロパ−2−イル、3−及び4−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシブタ−2−イル、及び8−ヒドロキシ−4−オキサオクチル;2−シアノエチル、3−シアノプロピル、3−及び4−シアノブチル、2−メチル−3−エチル−3−シアノプロピル、7−シアノ−7−エチルヘプチル、及び4,7−ジメチル−7−シアノヘプチル;2−クロロエチル、2−及び3−クロロプロピル、2−、3−、及び4−クロロブチル、2−ブロモエチル、2−及び3−ブロモプロピル、及び2−、3−、及び4−ブロモブチル;2−ニトロエチル、2−及び3−ニトロプロピル、及び2−、3−、及び4−ニトロブチルである。
【0052】
カルボキシレート、及びスルホネートはそれぞれ、カルボン酸官能基及びスルホン酸官能基の誘導体を表し、特に金属カルボキシレート若しくはスルホネート、カルボン酸エステル若しくはスルホン酸エステルの官能基、又はカルボキサミド若しくはスルホンアミドの官能基である。このような誘導体には例えば、C1〜C4アルカノール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、及びtert−ブタノール)とのエステルが含まれる。
【0053】
アルキルに関する上記所見はまた、アルコキシ、アルキルチオ(アルキルスルファニル)、モノアルキルアミノ、及びジアルキルアミノにおけるアルキル部分にも当てはまる。
【0054】
アルコキシ基の例は特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert−ペントキシ、及びヘキソキシである。
【0055】
アルキルチオ基の例は特に、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、及びヘキシルチオである。
【0056】
モノアルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基の例は特に、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジフェニルアミノ、及びジベンジルアミノである。
【0057】
アルキレンは、1〜10個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状の飽和炭化水素鎖、例えばエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、又はヘキサン−1,6−ジイルを表す。
【0058】
本発明の文脈において、「シクロアルキル」という用語は、通常3〜20個、好ましくは3〜12個、より好ましくは5〜12個の炭素原子を有する単環式、二環式、若しくは三環式の炭化水素基を表し、それは例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロペンタデシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、又はアダマンチルである。
【0059】
置換されたシクロアルキル基は、環の大きさに応じて、1個以上の置換基を有することができる(例えば1個、2個、3個、4個、5個、又は5個超)。これらは好ましくは、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE78から選択され、ここでE7及びE8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。置換の場合、シクロアルキル基は好ましくは、1個以上、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個のC1〜C6アルキル基を有する。置換されたシクロアルキル基の例は特に、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、2−、3−、及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−エチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−プロピルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−イソプロピルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−ブチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−sec−ブチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−tert−ブチルシクロヘキシル、2−、3−、及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−エチルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−プロピルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−イソプロピルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−ブチルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−sec−ブチルシクロヘプチル、2−、3−、及び4−tert−ブチルシクロヘプチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−、及び5−エチルシクロオクチル、2−、3−、4−、及び5−プロピルシクロオクチル、3−及び4−ヒドロキシシクロヘキシル、3−及び4−ニトロシクロヘキシル、並びに3−及び4−クロロシクロヘキシルである。
【0060】
シクロアルキルに関する上記所見はまた、シクロアルコキシ、シクロアルキルチオ(=シクロアルキルスルファニル)、モノシクロアルキルアミノ、及びジシクロアルキルアミノにおけるシクロアルキル部分にも当てはまる。
【0061】
本発明の文脈において、「アリール」という用語は、単環式若しくは多環式の芳香族炭化水素基を言う。アリールとは通常、環員として炭素原子を6〜24個、好ましくは炭素原子を6〜20個、特に炭素原子を6〜14個有する芳香族基である。アリールは好ましくは、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル、コロネニル、ペリレニルなどであり、より好ましくはフェニル又はナフチルである。
【0062】
置換されたアリールは、その環系の数と大きさに応じて、1個以上の置換基を有する(例えば1個、2個、3個、4個、5個、又は5個超)。これらは好ましくは、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE910から選択され、ここでE9及びE10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。アリール上のアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘタリールの置換基は、ここでも非置換であるか、又は置換されていてよい。これらの基については、前述の置換基を参照されたい。アリール上の置換基は好ましくは、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、フッ素、塩素、臭素、シアノ、及びニトロから選択される。置換されたアリールは、より好ましくは置換されたフェニルであり、このフェニルは一般的に、1個、2個、3個、4個、又は5個、好ましくは1個、2個、又は3個の置換基を有する。
【0063】
置換されたアリールは好ましくは、少なくとも1個のアルキル基によって置換されたアリールである(「アルカリール」、以下ではまた、アルキルアリールとも言う)。アルカリール基は、芳香族環系の大きさに応じて、1個以上(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は9個超)のアルキル置換基を有することができる。アルキル置換基は、非置換であるか、又は置換されていてよい。この点に関しては、非置換アルキル、及び置換されたアルキルに関する上述のことを参照されたい。好ましい実施形態においてアルカリール基は、非置換のアルキル基のみを有する。アルカリールは好ましくは、アルキル置換基を1個、2個、3個、4個、又は5個、好ましくは1個、2個、又は3個、より好ましくは1個又は2個有する、フェニルである。
【0064】
1個以上の基を有するアリールは例えば、2−、3−、及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−、及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−、及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−、及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−、及び4−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−、及び4−イソブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−、及び4−sec−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジ−sec−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル、2−、3−、及び4−tert−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、及び2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル;2−、3−、及び4−メトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2.6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−、及び4−エトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−、及び4−プロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−、及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−、及び2,6−ジイソプロポキシフェニル、及び2−、3−、及び4−ブトキシフェニル;2−、3−、及び4−クロロフェニル、(2−クロロ−6−メチル)フェニル、(2−クロロ−6−エチル)フェニル、(4−クロロ−6−メチル)フェニル、(4−クロロ−6−エチル)フェニルである。
【0065】
アリールに関する上記所見はまた、アリールオキシ、アリールチオ(アリールスルファニル)、モノアリールアミノ、及びジアリールアミノにおけるアリール部分にも当てはまる。
【0066】
本発明の文脈において「ヘテロシクロアルキル」という表現は、一般的には5〜8個の環原子、好ましくは5個又は6個の環原子を有する、非芳香族の、不飽和若しくは完全に飽和した、環式脂肪族基を包含する。ヘテロシクロアルキル基では、相応するシクロアルキル基と比べて、環炭素原子の1個、2個、3個、4個、又は4個超が、ヘテロ原子、又はヘテロ原子含有基によって置き換えられている。ヘテロ原子、又はヘテロ原子含有基は好ましくは、−O−、−S−、NRb−、−C(=O)−、−S(=O)−、及び/又は−S(=O)2−から選択される。Rbは好ましくは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。ヘテロシクロアルキル基の例は特に、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラニル、2−オキサゾリニル、3−オキサゾリニル、4−オキサゾリニル、及びジオキサニルである。
【0067】
置換されたヘテロシクロアルキル基は、環の大きさに応じて、1個以上の置換基を有することができる(例えば1個、2個、3個、4個、5個、又は5個超)。これらは好ましくは、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE1112から選択され、ここでE11及びE12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。置換の場合、ヘテロシクロアルキル基は好ましくは、1個以上、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個のC1〜C6アルキル基を有する。
【0068】
ヘテロシクロアルキルに関する上記所見はまた、ヘテロシクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキルチオ(=ヘテロシクロアルキルスルファニル)、モノヘテロシクロアルキルアミノ、及びジヘテロシクロアルキルアミノにおけるヘテロシクロアルキル部分にも当てはまる。
【0069】
本発明の文脈において、「ヘタリール(ヘテロアリール)」という表現は、複素芳香族の単環若しくは多環の基を包含する。環炭素原子に加えて、これらは環員として1個、2個、3個、4個、又は4個超のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子は好ましくは、酸素、窒素、セレン、及び硫黄から選択される。ヘタリール基は好ましくは、5〜18個、例えば5個、6個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の環原子を有する。
【0070】
単環式ヘタリール基は好ましくは、5員環若しくは6員環のヘタリール基、例えば2−フリル、(フラン−2−イル)、3−フリル(フラン−3−イル)、2−チエニル(チオフェン−2−イル)、3−チエニル(チオフェン−3−イル)、セレノフェン−2−イル、セレノフェン−3−イル、1H−ピロール−2−イル、1H−ピロール−3−イル、ピロール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−4−イル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−3−イル、ピラゾール−4−イル、ピラゾール−5−イル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、4H−[1,2,4]−トリアゾール−3−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、及び1,2,4−トリアジン−3−イルである。
【0071】
多環式ヘタリール基は、2個、3個、4個、又は4個超の縮合環を有する。縮合環は、芳香族、飽和、又は部分飽和でありうる。多環式ヘタリール基の例は、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジニル、ベンゾセレノフェニル、チエノチオフェニル、チエノピリミジル、チアゾロチアゾリル、ジベンゾピロールイル(カルバゾリル)、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ナフト[2,3−b]チオフェニル、ナフタ[2,3−b]フリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロインドリジニル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリニル、及びジヒドロイソキノリニルである。
【0072】
置換されたヘタリール基は、その環系の数と大きさに応じて、1個以上の置換基を有する(例えば1個、2個、3個、4個、5個、又は5個超)。これらは好ましくは、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE1314から選択され、ここでE13及びE14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールである。ハロゲン置換基は、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素である。置換基は好ましくは、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、及びシアノから選択される。
【0073】
ヘタリールに関する上記所見はまた、ヘタリールオキシ、ヘタリールチオ、モノヘタリールアミノ、及びジヘタリールアミノにおけるヘタリール部分にも当てはまる。
【0074】
本発明の目的のために、「アシル」という表現は、一般的には2〜11個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルカノイル基又はアロイル基を表し、それは例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、2−エチルヘキサノイル、2−プロピルヘプタノイル、ピバロイル、ベンゾイル、又はナフトイル基である。
【0075】
基NE12、NE34、NE56、NE78、NE910、NE1112、及びNE1314は好ましくは、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N,−ジイソプロピルアミノ、N,N−ジ−n−ブチルアミノ、N,N−ジーt−ブチルアミノ、N,N−ジシクロヘキシルアミノ、又はN,N−ジフェニルアミノである。
【0076】
縮合環系は、縮合により結合された脂環式、脂肪複素環式、芳香族、及び複素芳香族の環、及びこれらの組み合わせを包含することができる。縮合環系は、2個、3個、又はそれより多く(例えば4個、5個、6個、7個、又は8個)の環を有する。縮合環系における環が結合されている様式に応じて、オルト縮合(すなわち各環が、少なくとも1つの端部又は2個の原子を、隣接する各環と共有する)と、ペリ縮合(1つの炭素原子が、2個より多くの環に属する)との間の区別がなされる。好ましい縮合環系は、オルト縮合環系である。
【0077】
成分A)
当業者であれば、化合物(A)が、純粋な形態で存在し得ること、又は描写した各化合物、及びその構造異性体を少なくとも1つ含有することが直ちに分かるだろう。
【0078】
第一の好ましい実施形態において成分A)は、式(II.a)の化合物を少なくとも1種含有する:
【化1】
上記式中、
nは、1、2、3、又は4であり、
a、及びRbは相互に独立して、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、
基Rn1、Rn2、Rn3、及びRn4は相互に独立して、水素、F、Cl、Br、I、CN、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、シアナト、チオシアナト、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、スルホ、スルホネート、スルホアミノ、スルファモイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミジノ、NE12、ここでE1及びE2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールから選択され、
それぞれ非置換又は置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、(モノアルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、(モノシクロアルキル)アミノ、(ジシクロアルキル)アミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキルチオ、(モノヘテロシクロアルキル)アミノ、(ジヘテロシクロアルキル)アミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、(モノアリール)アミノ、(ジアリール)アミノ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ヘタリールチオ、(モノヘタリール)アミノ、及び(ジヘタリール)アミノ
から選択される。
【0079】
式(II.a)の化合物においてnは、ペリ位に結合されたナフタレン単位の数を表し、本発明によるリレン化合物の基本骨格を形成する。本発明によるリレン化合物は、リレンジイミドのみならず、また構造的に近い関係にあるナフタレンジイミドも包含する(n=1)。基Rn1〜Rn4のそれぞれにおいて、nは特に、これらの基が結合しているリレン骨格のナフタレン基を表す。異なるナフタレン基に結合している基Rn1〜Rn4は、それぞれ同一、又は異なる定義を有することができる。従って、一般式Iの化合物は、以下の式のナフタレンジイミド、ペリレンジイミド、テリレンジイミド、又はクアテリレンジイミドであり得る:
【化2-1】
【化2-2】
【0080】
好ましくは、式(II.a)の化合物において、基Ra及びRbは相互に独立して、水素、直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、ペルフルオロ−C1〜C30アルキル、1H,1H−ペルフルオロ−C2〜C30アルキル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3〜C30アルキル、式G.1の基、式G.2の基、及び式G.3の基:
【化3】
から選択され、
上記式中、
#は、窒素原子に対する結合箇所を表し、
存在する場合にBは、C1〜C10アルキレン基であり、このC1〜C10アルキレン基は、−O−、及び−S−から選択される1個以上の非隣接基によって中断されていてよく、
yは、0又は1であり、
mは相互に独立して、C1〜C30アルキル、C1〜C30フルオロアルキル、フッ素、塩素、臭素、NE34、ニトロ、及びシアノから選択され、ここでE3及びE4は相互に独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘタリールから選択され、
nは相互に独立して、C1〜C30アルキルから選択され、
式G.2及びG.3におけるxは、1、2、3、4、又は5である。
【0081】
化合物(I)の好ましい実施形態において基Ra及びRbは独立して、一般式(G.1)、(G.2)、及び(G.3)の基から選択される。特にRa及びRbは、同じ意味を有し、一般式(G.1)、(G.2)、及び(G.3)の基から選択される。
【0082】
好ましくは、式(G.2)において基Rmは、C1〜C12アルキル、又はC1〜C12フルオロアルキルから選択される。特に、式(G.2)において基Rmは、C1〜C4アルキル、又はC1〜C4フルオロアルキルから選択される。
【0083】
好ましくは、式(G.3)において基Rnは、C1〜C12アルキルから選択される。
【0084】
好ましい実施形態において式(I)の化合物中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、式(G.2)の基から選択される。Ra及びRbは好ましくは、それぞれ独立して、フェニル−C1〜C30アルキル基から選択され、ここでフェニルアルキル基のベンゼン環は、独立してF、Cl、Br、CN、C1〜C30アルキル、及びペルフルオロ−C1〜C30アルキルから選択される置換基を、1個、2個、3個、4個、又は5個有し、フェニルアルキル基は、フェニルアルキル基のアルキル部分を介して、イミド窒素原子に結合している。
【0085】
a及びRbはより好ましくは、同じ意味を有し、フェニル−(C1〜C30)−アルキル基から選択され、ここでフェニルアルキル基のベンゼン環は、独立してF、Cl、Br、CN、C1〜C30アルキル、及びペルフルオロ−C1〜C30アルキルから選択される置換基を、1個、2個、3個、4個、又は5個有する。特にRa及びRbは、同じ意味を有し、フェニル−(C1〜C4)−アルキル基から選択され、ここでフェニルアルキル基のベンゼン環は、独立してF、Cl、Br、CN、C1〜C30アルキル、及びペルフルオロ−C1〜C12アルキルから選択される置換基を、1個、2個、3個、4個、又は5個有する。
【0086】
式(G.1)の好ましい基の例については、以下の表1で言及する。好ましい実施形態において式(I)の化合物中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、下記表1で言及する式(G.1)の基から選択される。特にRa及びRbは、同じ意味を有し、下記表1で言及する式(G.1)の基から選択される。
表1:(式G.1の好ましい基)
【化4】
【0087】
式(G.2)の好ましい基の例については、以下の表2で言及する。好ましい実施形態において式(I)の化合物中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、下記表2で言及する式(G.2)の基から選択される。特に、Ra及びRbは、同じ意味を有し、下記表2で言及する式(G.2)の基から選択される。
表2:(式G.2の好ましい基)
【化5】
【0088】
好ましい実施形態において、Ra及びRbはそれぞれ独立して、直鎖状C1〜C30アルキル基から選択される。特にRa及びRbは同じ意味を有し、直鎖状C1〜C30アルキル基から選択される。好ましい直鎖状アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、及びn−エイコシルである。
【0089】
好ましい実施形態において、Ra及びRbはそれぞれ独立して、分枝鎖状C3〜C30アルキル基から選択される。特にRa及びRbは同じ意味を有し、分枝鎖状C3〜C30アルキル基から選択される。
【0090】
好ましくは、式(II.a)の化合物において基Ra、及びRbは、一般式(III.1)、(III.2)、及び(III.3)の基:
【化6】
から選択され、
上記式中、
#は結合箇所であり、
式(III.1)においてRe及びRfは独立して、C1〜C27アルキルから選択され、ここで基Re及びRfの炭素原子の合計は、2〜28の整数であり、
式(III.2)においてRg及びRhは独立して、C1〜C28アルキルから選択され、ここで基Rg及びRhの炭素原子の合計は、2〜29の整数であり、
式(III.3)において、Ri、Rk、及びRlは独立して、C1〜C27アルキルから選択され、ここで基Ri、Rk、及びRlの炭素原子の合計は、3〜29の整数である。
【0091】
式(III.1)において好ましくは、Re及びRfは独立して、C1〜C20アルキル、特にC1〜C12アルキルから選択される。
【0092】
式(III.1)において好ましくは、基(III.1)の炭素原子の合計は、3〜55の整数、より好ましくは4〜40の整数、特に5〜30の整数である。
【0093】
式(III.1)の好ましい基は、以下のものである:
2−メチルプロピル、2−エチルブチル、2−メチルブチル、2−プロピルペンチル、2−エチルペンチル、2−メチルペンチル、2−ブチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−メチルヘキシル、2−ペンチルヘプチル、2−ブチルヘプチル、2−プロピルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−メチルヘプチル、2−ヘキシルオクチル、2−ペンチルオクチル、2−ブチルオクチル、2−プロピルオクチル、2−エチルオクチル、2−メチルオクチル、2−ヘプチルノニル、2−ヘキシルノニル、2−ペンチルノニル、2−ブチルノニル、2−プロピルノニル、2−エチルノニル、2−メチルノニル、2−オクチルデシル、2−ヘプチルデシル、2−ヘキシルデシル、2−ペンチルデシル、2−ブチルデシル、2−プロピルデシル、2−エチルデシル、2−メチルデシル、2−ノニルウンデシル、2−オクチルウンデシル、2−ヘプチルウンデシル、2−ヘキシルウンデシル、2−ペンチルウンデシル、2−ブチルウンデシル、2−プロピルウンデシル、2−エチルウンデシル、2−メチルウンデシル、2−デシルドデシル、2−ノニルドデシル、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルドデシル、2−ヘキシルドデシル、2−ペンチルドデシル、2−ブチルドデシル、2−プロピルドデシル、2−エチルドデシル、2−メチルドデシル、2−ウンデシルトリデシル、2−デシルトリデシル、2−ノニルトリデシル、2−オクチルトリデシル、2−ヘプチルトリデシル、2−ヘキシルトリデシル、2−ペンチルトリデシル、2−ブチルトリデシル、2−プロピルトリデシル、2−エチルトリデシル、2−メチルトリデシル、2−ウンデシルテトラデシル、2−デシルテトラデシル、2−ノニルテトラデシル、2−オクチルテトラデシル、2−ヘプチルテトラデシル、2−ヘキシルテトラデシル、2−ペンチルテトラデシル、2−ブチルテトラデシル、2−プロピルテトラデシル、2−エチルテトラデシル、2−メチルテトラデシル、2−テトラデシルヘキサデシル、2−トリデシルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ウンデシルヘキサデシル、2−デシルヘキサデシル、2−ノニルヘキサデシル、2−オクチルヘキサデシル、2−ヘプチルヘキサデシル、2−ヘキシルヘキサデシル、2−ペンチルヘキサデシル、2−ブチルヘキサデシル、2−プロピルヘキサデシル、2−エチルヘキサデシル、2−メチルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−ペンタデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、2−トリデシルオクタデシル、2−ドデシルオクタデシル、2−ウンデシルオクタデシル、2−デシルオクタデシル、2−ノニルオクタデシル、2−オクチルオクタデシル、2−ヘプチルオクタデシル、2−ヘキシルオクタデシル、2−ペンチルオクタデシル、2−ブチルオクタデシル、2−プロピルオクタデシル、2−エチルオクタデシル、2−メチルオクタデシル、2−オクタデシルエイコサニル、2−ヘプタデシルエイコサニル、2−ヘキサデシルエイコサニル、2−ペンタデシルエイコサニル、2−テトラデシルエイコサニル、2−トリデシルエイコサニル、2−ドデシルエイコサニル、2−ウンデシルエイコサニル、2−デシルエイコサニル、2−ノニルエイコサニル、2−オクチルエイコサニル、2−ヘプチルエイコサニル、2−ヘキシルエイコサニル、2−ペンチルエイコサニル、2−ブチルエイコサニル、2−プロピルエイコサニル、2−エチルエイコサニル、2−メチルエイコサニル、2−エイコサニルドコサニル、2−ノナデシルドコサニル、2−オクタデシルドコサニル、2−ヘプタデシルドコサニル、2−ヘキサデシルドコサニル、2−ペンタデシルドコサニル、2−テトラデシルドコサニル、2−トリデシルドコサニル、2−ウンデシルドコサニル、2−デシルドコサニル、2−ノニルドコサニル、2−オクチルドコサニル、2−ヘプチルドコサニル、2−ヘキシルドコサニル、2−ペンチルドコサニル、2−ブチルドコサニル、2−プロピルドコサニル、2−エチルドコサニル、2−メチルドコサニル、2−ドコサニルテトラコサニル、2−ノナデシルテトラコサニル、2−オクタデシルテトラコサニル、2−ヘプタデシルテトラコサニル、2−ヘキサデシルテトラコサニル、2−ペンタデシルテトラコサニル、2−ペンタデシルテトラコサニル、2−テトラデシルテトラコサニル、2−トリデシルテトラコサニル、2−ドデシルテトラコサニル、2−ウンデシルテトラコサニル、2−デシルテトラコサニル、2−ノニルテトラコサニル、2−オクチルテトラコサニル、2−ヘプチルテトラコサニル、2−ヘキシルテトラコサニル、2−ペンチルテトラコサニル、2−ブチルテトラコサニル、2−プロピルテトラコサニル、2−エチルテトラコサニル、2−メチルテトラコサニル、2−ヘキサコサニルオクタコサニル、2−ペンタコサニルオクタコサニル、2−テトラコサニルオクタコサニル、2−トリコサニルオクタコサニル、2−ドコサニルオクタコサニル、2−ノナデシルオクタコサニル、2−オクタデシルオクタコサニル、2−ヘプタデシルオクタコサニル、2−ヘキサデシルオクタコサニル、2−ヘキサデシルオクタコサニル、2−ペンタデシルオクタコサニル、2−テトラデシルオクタコサニル、2−トリデシルオクタコサニル、2−ドデシルオクタコサニル、2−ウンデシルオクタコサニル、2−デシルオクタコサニル、2−ノニルオクタコサニル、2−オクチルオクタコサニル、2−ヘプチルオクタコサニル、2−ヘキシルオクタコサニル、2−ペンチルオクタコサニル、2−ブチルオクタコサニル、2−プロピルオクタコサニル、2−エチルオクタコサニル、2−メチルオクタコサニル。
【0094】
式(III.1)の好ましい基の例は、2−エチルヘキシル、2−エチルヘプチル、2−エチルオクチル、2−エチルノニル、及び2−エチルデシルである。
【0095】
化合物(II.a)の好ましい実施形態において、基Ra及びRbは、それぞれ独立して、式(III.2)の基から選択される。特にRa及びRbは、同じ意味を有し、式(III.2)の基から選択される。
【0096】
式(III.2)の好ましい基は、以下のものである:
1−エチルプロピル、1−メチルプロピル、1−プロピルブチル、1−エチルブチル、1−メチルブチル、1−ブチルペンチル、1−プロピルペンチル、1−エチルペンチル、1−メチルペンチル、1−ペンチルヘキシル、1−ブチルヘキシル、1−プロピルヘキシル、1−エチルヘキシル、1−メチルヘキシル、1−ヘキシルヘプチル、1−ペンチルヘプチル、1−ブチルヘプチル、1−プロピルヘプチル、1−エチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1−ヘプチルオクチル、1−ヘキシルオクチル、1−ペンチルオクチル、1−ブチルオクチル、1−プロピルオクチル、1−エチルオクチル、1−メチルオクチル、1−オクチルノニル、1−ヘプチルノニル、1−ヘキシルノニル、1−ペンチルノニル、1−ブチルノニル、1−プロピルノニル、1−エチルノニル、1−メチルノニル、1−ノニルデシル、1−オクチルデシル、1−ヘプチルデシル、1−ヘキシルデシル、1−ペンチルデシル、1−ブチルデシル、1−プロピルデシル、1−エチルデシル、1−メチルデシル、1−デシルウンデシル、1−ノニルウンデシル、1−オクチルウンデシル、1−ヘプチルウンデシル、1−ヘキシルウンデシル、1−ペンチルウンデシル、1−ブチルウンデシル、1−プロピルウンデシル、1−エチルウンデシル、1−メチルウンデシル、1−ウンデシルドデシル、1−デシルドデシル、1−ノニルドデシル、1−オクチルドデシル、1−ヘプチルドデシル、1−ヘキシルドデシル、1−ペンチルドデシル、1−ブチルドデシル、1−プロピルドデシル、1−エチルドデシル、1−メチルドデシル、1−ドデシルトリデシル、1−ウンデシルトリデシル、1−デシルトリデシル、1−ノニルトリデシル、1−オクチルトリデシル、1−ヘプチルトリデシル、1−ヘキシルトリデシル、1−ペンチルトリデシル、1−ブチルトリデシル、1−プロピルトリデシル、1−エチルトリデシル、1−メチルトリデシル、1−トリデシルテトラデシル、1−ウンデシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、1−ノニルテトラデシル、1−オクチルテトラデシル、1−ヘプチルテトラデシル、1−ヘキシルテトラデシル、1−ペンチルテトラデシル、1−ブチルテトラデシル、1−プロピルテトラデシル、1−エチルテトラデシル、1−メチルテトラデシル、1−ペンタデシルヘキサデシル、1−テトラデシルヘキサデシル、1−トリデシルヘキサデシル、1−ドデシルヘキサデシル、1−ウンデシルヘキサデシル、1−デシルヘキサデシル、1−ノニルヘキサデシル、1−オクチルヘキサデシル、1−ヘプチルヘキサデシル、1−ヘキシルヘキサデシル、1−ペンチルヘキサデシル、1−ブチルヘキサデシル、1−プロピルヘキサデシル、1−エチルヘキサデシル、1−メチルヘキサデシル、1−ヘキサデシルオクタデシル、1−ペンタデシルオクタデシル、1−テトラデシルオクタデシル、1−トリデシルオクタデシル、1−ドデシルオクタデシル、1−ウンデシルオクタデシル、1−デシルオクタデシル、1−ノニルオクタデシル、1−オクチルオクタデシル、1−ヘプチルオクタデシル、1−ヘキシルオクタデシル、1−ペンチルオクタデシル、1−ブチルオクタデシル、1−プロピルオクタデシル、1−エチルオクタデシル、1−メチルオクタデシル、1−ノナデシルエイコサニル、1−オクタデシルエイコサニル、1−ヘプタデシルエイコサニル、1−ヘキサデシルエイコサニル、1−ペンタデシルエイコサニル、1−テトラデシルエイコサニル、1−トリデシルエイコサニル、1−ドデシルエイコサニル、1−ウンデシルエイコサニル、1−デシルエイコサニル、1−ノニルエイコサニル、1−オクチルエイコサニル、1−ヘプチルエイコサニル、1−ヘキシルエイコサニル、1−ペンチルエイコサニル、1−ブチルエイコサニル、1−プロピルエイコサニル、1−エチルエイコサニル、1−メチルエイコサニル、1−エイコサニルドコサニル、1−ノナデシルドコサニル、1−オクタデシルドコサニル、1−ヘプタデシルドコサニル、1−ヘキサデシルドコサニル、1−ペンタデシルドコサニル、1−テトラデシルドコサニル、1−トリデシルドコサニル、1−ウンデシルドコサニル、1−デシルドコサニル、1−ノニルドコサニル、1−オクチルドコサニル、1−ヘプチルドコサニル、1−ヘキシルドコサニル、1−ペンチルドコサニル、1−ブチルドコサニル、1−プロピルドコサニル、1−エチルドコサニル、1−メチルドコサニル、1−トリコサニルテトラコサニル、1−ドコサニルテトラコサニル、1−ノナデシルテトラコサニル、1−オクタデシルテトラコサニル、1−ヘプタデシルテトラコサニル、1−ヘキサデシルテトラコサニル、1−ペンタデシルテトラコサニル、1−ペンタデシルテトラコサニル、1−テトラデシルテトラコサニル、1−トリデシルテトラコサニル、1−ドデシルテトラコサニル、1−ウンデシルテトラコサニル、1−デシルテトラコサニル、1−ノニルテトラコサニル、1−オクチルテトラコサニル、1−ヘプチルテトラコサニル、1−ヘキシルテトラコサニル、1−ペンチルテトラコサニル、1−ブチルテトラコサニル、1−プロピルテトラコサニル、1−エチルテトラコサニル、1−メチルテトラコサニル、1−ヘプタコサニルオクタコサニル、1−ヘキサコサニルオクタコサニル、1−ペンタコサニルオクタコサニル、1−テトラコサニルオクタコサニル、1−トリコサニルオクタコサニル、1−ドコサニルオクタコサニル、1−ノナデシルオクタコサニル、1−オクタデシルオクタコサニル、1−ヘプタデシルオクタコサニル、1−ヘキサデシルオクタコサニル、1−ヘキサデシルオクタコサニル、1−ペンタデシルオクタコサニル、1−テトラデシルオクタコサニル、1−トリデシルオクタコサニル、1−ドデシルオクタコサニル、1−ウンデシルオクタコサニル、1−デシルオクタコサニル、1−ノニルオクタコサニル、1−オクチルオクタコサニル、1−ヘプチルオクタコサニル、1−ヘキシルオクタコサニル、1−ペンチルオクタコサニル、1−ブチルオクタコサニル、1−プロピルオクタコサニル、1−エチルオクタコサニル、1−メチルオクタコサニル。
【0097】
式(III.2)の特に好ましい基は、以下のものである:
1−メチルエチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、1−メチルペンチル、1−メチルヘキシル、1−メチルヘプチル、1−メチルオクチル、1−エチルプロピル、1−エチルブチル、1−エチルペンチル、1−エチルヘキシル、1−エチルヘプチル、1−エチルオクチル、1−プロピルブチル、1−プロピルペンチル、1−プロピルヘキシル、1−プロピルヘプチル、1−プロピルオクチル、1−ブチルペンチル、1−ブチルヘキシル、1−ブチルヘプチル、1−ブチルオクチル、1−ペンチルヘキシル、1−ペンチルヘプチル、1−ペンチルオクチル、1−ヘキシルヘプチル、1−ヘキシルオクチル、1−ヘプチルオクチル。
【0098】
化合物(II.a)の好ましい実施形態において、基Ra及びRbは、それぞれ独立して、式(III.3)の基から選択される。特にRa及びRbは、同じ意味を有し、式(III.3)の基から選択される。
【0099】
式(III.3)の特に好ましい基は、tert−ブチルである。
【0100】
基Ra及びRbの少なくとも1つは好ましくは、ペルフルオロ−C1〜C30アルキル、1H,1H−ペルフルオロ−C2〜C30アルキル、又は1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3〜C30アルキルから選択される。
【0101】
化合物(I.a)の好ましい実施形態において基Ra及びRbは、ペルフルオロ−C1〜C30アルキル、1H,1H−ペルフルオロ−C2〜C30アルキル、又は1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3〜C30アルキルから選択される。
【0102】
好ましい実施形態において、基Ra及びRbは、以下のものから選択される:
【化7】
特にRa及びRbは同じ意味を有し、上記基から選択される。
【0103】
一般式(I.a)の化合物についてエナンチオマーを増加させた混合物、又は一般式(I.a)のエナンチオマー的に純粋なリレン化合物から製造される半導体は、有利な特性を備えることができると判明した。国際公開第2012/090110号(WO 2012/090110)は、ラセミ体、又は光学的に純粋な形態にあるエナンチオマーのいずれかに比して予想外の電子輸送効率を有する、エナンチオマーを増加させた混合物を記載している。この文献の教示は、ここで参照により本願に組み込まれるものとする。
【0104】
特に置換基Ra及びRbは同一であり、分枝鎖状C4〜C40アルキル基、分枝鎖状C4〜C40アルケニル基、及び分枝鎖状C4〜C40ハロアルキル基から選択され、ここで分枝鎖状C4〜C40アルキル基、分枝鎖状C4〜C40アルケニル基、又は分枝鎖状C4〜C40ハロアルキル基は、
【化8】
から選択され、
上記式中R’は、C1〜C20アルキル、又はハロアルキル基であり、R’’は、R’とは異なり、かつC1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、及びC1〜C20ハロアルキル基から選択される。アスタリスク*は、Ra及びRbが、(R)立体配置、又は(S)立体配置のいずれかを有する立体中心を表す。好ましい実施形態において、この混合物はエナンチオマーが増加されている。すなわちこの混合物は、(R,R)立体異性体(Ra及びRbがともに(R)立体配置を有する)、又は(S,S)立体異性体(Ra及びRbがともに(S)立体配置を有する)のいずれかを過剰で含有する。
【0105】
好ましいキラル置換基のRa及びRbは、(1S)−1−メチルブチル、(1S)−1−メチルペンチル、(1S)−1−メチルヘキシル、(1S)−1−メチルヘプチル、(1S)−1−メチルオクチル、(1S)−1−エチルプロピル、(1S)−1−エチルブチル、(1S)−1−エチルペンチル、(1S)−1−プロピルブチル、(1S)−1−プロピルペンチル、(1S)−1−プロピルヘキシル、(1R)−1−メチルブチル、(1R)−1−メチルペンチル、(1R)−1−メチルヘキシル、(1R)−1−メチルヘプチル、(1R)−1−メチルオクチル、(1R)−1−エチルプロピル、(1R)−1−エチルブチル、(1R)−1−エチルペンチル、(1R)−1−プロピルブチル、(1R)−1−プロピルペンチル、(1R)−1−プロピルヘキシルである。
【0106】
式(II.a)の化合物の好ましい部類は、シアネート化若しくはハロゲン化されたリレンジイミドであり、より好ましくはシアネート化若しくはハロゲン化されたペリレンジイミドであり、特にN,N’−ビス置換(1,7&1,6)−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)類、N,N’−ビス置換−(1,7&1,6)−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)類、N,N’−ビス置換(1,7&1,6)−ジクロロペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)類、及びN,N’−ビス置換(1,7&1,6)−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)類である。
【0107】
シアネート化若しくはハロゲン化された適切なリレンジイミドは例えば、米国特許第7671202号明細書、米国特許第7902363号明細書、及び米国特許第7569693号明細書(U.S. Pat. No.7,671,202、7,902,363、及び7,569,693,)、並びに米国特許出願公開第2010/0319778号明細書(U.S. Patent Application Publication No. 2010/0319778)に記載されている。
【0108】
さらなる好ましい実施形態において、式(II.a)の化合物は、ハロゲン化されたペリレンビスイミド誘導体から選択され、これはR. Schmidt、J. H. Oh、Y.-S. Sun、M. Deppisch、A.-M. Krause、K. Radacki、H. Braunschweig、M. Koenemann、P. Erk、Z. Bao、及びF. Wurthnerが、J. Am. Chem. Soc.2009, 131, p.6215〜6228に記載している。
【0109】
さらなる好ましい実施形態において式(II.a)の化合物は、国際公開第2007/093643号(WO 2007/093643)、及び国際公開第2007/116001号(WO 2007/116001)に記載されたペリレンジイミドから選択される。
【0110】
式(II.a)の化合物の具体的な例には、以下のものが含まれる:
N,N’−ビス(シクロヘキシル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(シクロヘキシル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1Η,1H−ペルフルオロブチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1Η,1H−ペルフルオロブチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルブチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルブチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(1S)−1−メチルペンチル]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(1S)−1−メチルペンチル]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(1R)−1−メチルペンチル]−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(1R)−1−メチルペンチル]−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルプロピル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルプロピル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルブチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルブチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルペンチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルペンチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,6−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,7−ジシアノ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(シクロヘキシル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(シクロヘキシル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルブチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルブチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルペンチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルプロピル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルプロピル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルブチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルブチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルペンチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルペンチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,6−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,7−ジクロロ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(シクロヘキシル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N、N’−ビス(シクロヘキシル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9、10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1Η,1H−ペルフルオロブチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(1Η,1H−ペルフルオロブチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(n−オクチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’4−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’4−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
N,N’−ビス(4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルブチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルブチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルペンチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルペンチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルプロピル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルプロピル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルブチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルブチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルペンチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルペンチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、
Ν,Ν’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,6−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)、及び
Ν,Ν’−ビス(1,3−ジメチルブチル)−1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)。
【0111】
特に好ましい化合物(II.a)のうち幾つかを、以下に具体的に記す:
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【化9-4】
【化9-5】
【化9-6】
【化9-7】
【化9-8】
【化9-9】
【化9-10】
【化9-11】
【化9-12】
【化9-13】
【化9-14】
【化9-15】
【化9-16】
【化9-17】
【化9-18】
【化9-19】
【化9-20】
【0112】
さらなる好ましい実施形態において成分A)は、式(II.b)の化合物:
【化10】
を少なくとも1種含有し、
上記式中、
1b及びR2bは独立して、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換された直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C2〜C30アルケニル、分枝鎖状C3〜C30アルケニル、直鎖状C2〜C30アルキニル、分枝鎖状C4〜C30アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘタリールから選択され、
1b及びY2bは独立して、O、S、Se、及びNR3bから選択され、ここでR3bは、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、及びアリールから選択される。
【0113】
式(II.b)の適切な化合物、及びその製造方法は、国際公開第2013/168048号(WO 2013/168048)に記載されており、その内容はここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0114】
好ましくは、R1b及びR2bは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、ハロゲン置換された直鎖状C1〜C30アルキル、及びハロゲン置換された分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0115】
好ましくは、R1b及びR2bは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C1〜C30フルオロアルキル、及び分枝鎖状C3〜C30フルオロアルキルから選択される。特にR1b及びR2bは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、及び非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。好ましくは、式(II.b)の化合物においてR1b及びR2bは、同じ意味を有する。
【0116】
好ましい実施形態において、式(II.b)の化合物は、式(I.b1)の化合物:
【化11】
から選択され、
上記式中、
1b及びR2bは独立して、直鎖状C7〜C22アルキル、及び分枝鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0117】
好ましくは、式(II.b1)の化合物においてR1b及びR2bは、同じ意味を有する。
【0118】
特別な実施形態において、R1b及びR2bは同じ意味を有し、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0119】
さらなる好ましい実施形態において成分A)は、式(II.c)の化合物:
【化12】
を少なくとも1種含有し、
上記式中、
1c及びR2cは独立して、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換された直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C2〜C30アルケニル、分枝鎖状C3〜C30アルケニル、直鎖状C2〜C30アルキニル、分枝鎖状C4〜C30アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘタリールから選択され、
1c、Y2c、及びY3cは独立して、O、S、Se、及びNR3cから選択され、ここでR3cは、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、及びアリールから選択される。
【0120】
式(II.c)の適切な化合物、及びその製造方法は、国際公開第2015/051226号(PCT/IB2015/051226)に記載されており、その内容はここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0121】
好ましくはY1c、Y2c、及びY3cはすべて、Sである。
【0122】
好ましくはR1c及びR2cは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、ハロゲン置換された直鎖状C1〜C30アルキル、及びハロゲン置換された分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0123】
好ましくは、R1c及びR2cは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C1〜C30フルオロアルキル、及び分枝鎖状C3〜C30フルオロアルキルから選択される。特にR1c及びR2cは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、及び非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0124】
式(II.c)の化合物の特別な実施形態において、R1cは水素であり、R2cは直鎖状C1〜C30アルキル、及び分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0125】
式(II.c)の化合物のさらなる特別な実施形態において、R1c及びR2cはともに、直鎖状C1〜C30アルキル、及び分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0126】
好ましい実施形態において、式(II.c)の化合物は、式(II.c1)、及び(II.c2)の化合物:
【化13】
から選択され、
上記式中、
1c及びR2cは独立して、直鎖状C7〜C22アルキル、及び分枝鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0127】
好ましくは、式(II.c1)の化合物において、R2cは、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0128】
好ましくは、式(II.c2)の化合物においてR1c及びR2cは、同じ意味を有する。
【0129】
特別な実施形態において、R1c及びR2cは同じ意味を有し、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0130】
さらなる好ましい実施形態において成分A)は、式(II.d)の化合物:
【化14】
を少なくとも1種含有し、
上記式中、
1d及びR2dは独立して、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換された直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C2〜C30アルケニル、分枝鎖状C3〜C30アルケニル、直鎖状C2〜C30アルキニル、分枝鎖状C4〜C30アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘタリールから選択され、
1d、Y2d、Y3d、及びY4dは独立して、O、S、Se、及びNR3dから選択され、ここでR3dは、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、及びアリールから選択される。
【0131】
式(II.d)の適切な化合物、及びその製造方法は、国際公開第2014/087300号(WO 2014/087300)に記載されており、その内容はここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0132】
好ましくはY1d、Y2d、Y3d、及びY4dはすべて、Sである。
【0133】
好ましくはR1d及びR2dは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、ハロゲン置換された直鎖状C1〜C30アルキル、及びハロゲン置換された分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0134】
好ましくは、R1d及びR2dは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C1〜C30フルオロアルキル、及び分枝鎖状C3〜C30フルオロアルキルから選択される。特にR1d及びR2dは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、及び非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0135】
式(II.d)の化合物の特別な実施形態において、R1dは水素であり、R2dは直鎖状C1〜C30アルキル、及び分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0136】
式(II.d)の化合物のさらなる特別な実施形態において、R1d及びR2dはともに、直鎖状C1〜C30アルキル、及び分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0137】
好ましい実施形態において、式(II.d)の化合物は、式(II.d1)、及び(II.d2)の化合物:
【化15】
から選択され、
上記式中、
1d及びR2dは独立して、直鎖状C7〜C22アルキル、及び分枝鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0138】
好ましくは、式(II.d1)の化合物において、R2dは、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0139】
好ましくは、式(II.d2)の化合物においてR1d及びR2dは、同じ意味を有する。
【0140】
特別な実施形態において、R1d及びR2dは同じ意味を有し、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0141】
さらなる好ましい実施形態において成分A)は、式(II.e)の化合物:
【化16】
を少なくとも1種含有し、
上記式中、
1e及びR2eは独立して、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換された直鎖状C1〜C30アルキル、分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C2〜C30アルケニル、分枝鎖状C3〜C30アルケニル、直鎖状C2〜C30アルキニル、分枝鎖状C4〜C30アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘタリールから選択され、
1e及びY2eは独立して、O、S、Se、及びNR3eから選択され、ここでR3eは、水素、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、シクロアルキル、及びアリールから選択される。
【0142】
式(II.e)の適切な化合物、及びその製造方法は、欧州特許第2077590号明細書(EP 2 077 590 B1)に記載されており、その内容はここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0143】
好ましくは、Y1e及びY2eはともにSであるか、又はともにSeである。特にY1e及びY2eは、ともにSである。
【0144】
好ましくは、R1e及びR2eは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、直鎖状C1〜C30フルオロアルキル、及び分枝鎖状C3〜C30フルオロアルキルから選択される。特にR1e及びR2eは独立して、水素、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、及び非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0145】
好ましくは、R1eは水素であり、R2eは独立して、非置換の直鎖状C1〜C30アルキル、非置換の分枝鎖状C3〜C30アルキル、ハロゲン置換された直鎖状C1〜C30アルキル、及びハロゲン置換された分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0146】
式(II.e)の化合物の特別な実施形態において、R1e及びR2eはともに、直鎖状C1〜C30アルキル、及び分枝鎖状C3〜C30アルキルから選択される。
【0147】
好ましい実施形態において、式(II.e)の化合物は、式(II.e1)、及び(II.e2)の化合物:
【化17】
から選択され、
上記式中、
1e及びR2eは独立して、非置換の直鎖状C7〜C22アルキル、及び非置換の分枝鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0148】
好ましくは、式(II.e1)及び(II.e2)の化合物においてR1e及びR2eは、同じ意味を有する。
【0149】
好ましくは、式(II.e1)及び(II.e2)の化合物においてR1e及びR2eは、直鎖状C7〜C22アルキルから選択される。
【0150】
溶媒L1)
本発明による方法の工程(a)では、溶媒(L1)に、又は少なくとも1種の溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意し、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示す。
【0151】
原則的に、溶媒(L1)、及び補助溶媒(L2)は、同じ溶媒の部類から選択することができるが、ただし溶媒(L1)は必ず、上記パラメータを満たすものである。
【0152】
本発明による組成物は成分L1)として、以下のものから選択される化合物を少なくとも1種含有する:
L1.1)式(I)の化合物:
【化18】
から選択される、20℃、及び1013mbarで液状の化合物少なくとも1種、
上記式中、
Aは、5〜8員環の非置換若しくは置換された、脂肪族若しくは芳香族の炭素環又は複素環であり、
1及びX2は独立して、*−(C=O)−O−、*−(CH2m−O−、又は*−(CH2m−O−(C=O)−から選択され、ここで*は、ベンゼン環に対する結合点であり、mは0、1、又は2の値を有し、
c、及びRdは独立して、非分枝状、及び分枝鎖状のC1〜C12アルキル、及びC2〜C12アルケニルから選択され、
L1.2)アルキルベンゾエート、
L1.3)ヒドロキ安息香酸エステル、
L1.4)アルキレンカーボネート、
L1.5)芳香脂肪族ケトン、
L1.6)ジメチルスルホキシド(DMSO)、
L1.7)N−メチルピロリドン、
L1.8)脂環式環を有する多環式炭化水素、
L1.9)ジクロロベンゼン、
及びこれらの混合物。
【0153】
好ましい実施形態において少なくとも1種の有機半導体A)は、溶媒(L1)中、又は溶媒(L1)のみから成る混合物中で、20℃で少なくとも0.01mg/ml、より好ましくは少なくとも0.05mg/mlという溶解度を示す。
【0154】
少なくとも1種の有機半導体A)が、成分L1)中、又は成分L1)の混合物中において、20℃で0.01mg/ml未満という溶解度を示す場合、成分L1)とは異なる有機溶媒、及び成分L1)とは異なる有機溶媒の混合物から選択されるさらなる補助溶媒L2)を添加することができる。よって、さらなる好ましい実施形態において有機半導体A)は、成分L1)及びL2)の混合物中で、20℃で少なくとも0.01mg/ml、好ましくは少なくとも0.5mg/mlという溶解度を示す。
【0155】
少なくとも1種の有機半導体A)が成分L1)中だけで充分な溶解度を示す場合に、さらなる補助溶媒L2)を用いることも、もちろん可能である。この場合、さらなる補助溶媒を、特定の適用特性(例えば印刷技術による組成物の良好な加工性)をもたらすために添加することができる。
【0156】
成分L1)は好ましくは、溶液の全質量に対して1〜99.9999999質量%の量、好ましくは2〜99.999999質量%の量、より好ましくは5〜99.99999質量%の量、特に10〜99.99999質量%の量で存在する。
【0157】
成分L1)は好ましくは、成分A)及びL1)の全質量に対して1〜99.9999999質量%の量、好ましくは2〜99.999999質量%の量、より好ましくは5〜99.99999質量%の量、特に10〜99.99999質量%の量で存在する。
【0158】
一般式(L1.1)の化合物は好ましくは、式(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の化合物:
【化19】
から選択され、
上記式中、
1及びX2は独立して、*−(C=O)−O−、*−(CH2m−O−、又は*−(CH2m−O−(C=O)−から選択され、ここで*は、脂肪族若しくは芳香族の炭素環又は複素環に対する結合点であり、mは0、1、又は2の値を有し、かつ
c、及びRdは独立して、非分枝状、及び分枝鎖状のC1〜C12アルキル、及びC2〜C12アルケニルから選択される。
【0159】
式(I)、(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の化合物における部分Rc及びRdは、相互に独立して、非分枝状若しくは分枝鎖状のC7〜C12アルキル部分であることが好ましい。
【0160】
式(I)、(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の化合物における部分Rc及びRdは好ましくは、同じ意味を有する。
【0161】
式(I)、(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の化合物においてRc及びRdは好ましくは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、イソデシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、及びイソウンデシルから選択される。
【0162】
好ましくは、式(I)、(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の化合物においてRc及びRdは、ともに*−(C=O)−O−である。
【0163】
特に式I.1の化合物は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(n−プロピル)フタレート、ジ(n−ブチル)フタレート、ジアリルフタレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0164】
一般式(I)の適切な化合物、及び式(I)、(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)の適切な化合物、及びこれらの製造方法は、当業者に公知である。これらの化合物は、可塑剤(すなわち、所望の加工特性、又は所望の性能的特徴を達成するために多くのプラスチックで使用される添加剤)として従前より公知である。フタル酸ジエステル(I.1)、及び異なる化学構造のアルコールを有するテレフタル酸ジエステル(I.2)は以前にはしばしば、可塑剤として使用されてきた。なぜならば、これらはPVCとの適合性が良好であり、有利な性能的特徴を有するからである。短鎖フタレート、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジイソブチルフタレート(DIBP)などもまた、ゲル化助剤(高速融着剤:fast fuser)として使用される。
【0165】
ジアルキルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸エステル(I.3)は購入できるか、又は当業者に公知の方法によって製造できる。1,2−シクロヘキサンジカルボン酸エステルは一般的に大部分が、相応するフタル酸エステルの環水素化によって得られる。この環水素化は、国際公開第99/32427号(WO 99/32427)に記載された方法によって前述のように行うことができる。特に適切な環水素化法はまた、国際公開第2011/082991号(2011/082991 A2)の実施例によって記載されている。1,2−シクロヘキサンジカルボン酸エステルはさらに、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、又は適切なその誘導体を、相応するアルコールによりエステル化することによって得られる。このエステル化は、当業者に公知の慣用の方法によって行うことができる。
【0166】
2,5−フランジカルボン酸(FDCA=成分I.4)のエステルは、別の可塑剤の部類である。R. D. Sandersonらは、J. Appl. Pol. Sci., 1994年、vol. 53, p.1785〜1793で、2,5−フランジカルボン酸エステルの合成と、その可塑剤としての使用を記載している。国際公開第2012/113608号(WO 2012/113608)は、2,5−フランジカルボン酸のC5ジアルキルエステルを、国際公開第2012/113609号(WO 2012/113609)は、2,5−フランジカルボン酸のC7ジアルキルエステルを、国際公開第2011/023490号(WO 2011/023490)は、2,5−フランジカルボン酸のC9ジアルキルエステルを、そして国際公開第2011/023491号(WO 2011/023491)は、2,5−フランジカルボン酸のC10ジアルキルエステルを記載している。
【0167】
式(I.2)の化合物は好ましくは、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジ(n−プロピル)テレフタレート、ジ(n−ブチル)テレフタレート、ジアリルテレフタレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0168】
式(I.3)の化合物は好ましくは、ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジエチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジ(n−プロピル)−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジ(n−ブチル)−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジアリル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0169】
式(I.4)の化合物は好ましくは、ジメチル−2,5−フランジカルボキシレート、ジエチル−2,5−フランジカルボキシレート、ジ(n−プロピル)−2,5−フランジカルボキシレート、ジ(n−ブチル)−2,5−フランジカルボキシレート、ジアリル−2,5−フランジカルボキシレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0170】
式(I.5)の2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸のジエステル:
【化20】
[上記式中、Rc及びRdは独立して、非分枝状、及び分枝鎖状のC1〜C12アルキル、及びC2〜C12アルケニルから選択される]
は、以下の工程を有する方法によって製造するのが好ましい:
a)任意で、2,5−フランジカルボン酸、又はその無水物、又はそのハロゲン化アシルを、触媒の存在下でC1〜C3アルカノールと反応させて、ジ(C1〜C3アルキル)2,5−フランジカルボキシレートにする工程、
b1)2,5−フランジカルボン酸、若しくはその無水物、若しくはそのハロゲン化アシル、又は工程a)で得られたジ(C1〜C3アルキル)2,5−フランジカルボキシレートを、少なくとも1種の触媒の存在下で、少なくとも1種のアルコールRc−OHと反応させ、RcとRdが異なる場合には、少なくとも1種のアルコールRd−OHとも反応させ、式(I.5a)の化合物にする工程、
【化21】
c1)工程b1)で得られた化合物(I.5a)を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で、水素により水素化して、一般式(I.5)の化合物にする工程、
b2)工程a)で得られた2,5−フランジカルボン酸、又はジ(C1〜C3アルキル)2,5−フランジカルボキシレートを、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で、水素により水素化して、一般式(I.5b)の化合物にする工程、
【化22】
c2)工程b2)で得られる化合物(I.5b)を触媒の存在下で、少なくとも1種のアルコールRc−OHと反応させ、RcとRdが異なる場合には、少なくとも1種のアルコールRd−OHとも反応させ、式(I.5)の化合物にする工程。
【0171】
式(I.5)の化合物は好ましくは、ジメチル−2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレート、ジエチル−2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレート、ジ(n−プロピル)−2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレート、ジ(n−ブチル)−2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレート、ジアリル−2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0172】
上記工程により、2つの異なる経路によって(以下では変法1、及び変法2と呼ぶ)、一般式(I.5)の2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸エステルの製造が可能になる。
【0173】
工程a)で使用するために適切なC1〜C3アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びこれらの混合物である。
【0174】
本発明による工程の変法1では、2,5−フランジカルボン酸、又は工程a)で得られるジ(C1〜C3アルキル)2,5−フランジカルボキシレートを、少なくとも1種のアルコールRc−OHとの、RcとRdが異なる場合には、また少なくとも1種のアルコールRd−OHとのエステル化、又はエステル交換にかけて式(I.5a)の化合物にし、それからこれを水素化して、一般式(I.5)の化合物にする(工程c1)。
【0175】
変法2では、2,5−フランジカルボン酸、又は工程a)で得られた2,5−ジ(C1〜C3アルキル)フランジカルボキシレートをまず水素化して、2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸にするか、又はそれぞれ、一般式(I.1b)の化合物にし(工程b2)、それから水素化生成物を少なくとも1種のアルコールRc−OHと反応させ、RcとRdが異なる場合には、少なくとも1種のアルコールRd−OHとも反応させ、一般式(I.5)の化合物にする(工程c2)。
【0176】
当業者に公知の慣用のプロセスを、2,5−フランジカルボン酸(FDCA)、又は2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸を変換して、一般式(I.5)、(I.5a)、及び(I.5b)の相応するエステル化合物にするために使用することができる。これらの中に、C1〜C3アルカノールから、又はアルコールRc−OH及びRd−OHからそれぞれ選択される少なくとも1種のアルコール成分を、FDCA、又は適切なその誘導体と反応させる反応がある。適切な誘導体の例は、ハロゲン化アシル、及び無水物である。好ましいハロゲン化アシルは、塩化アシルである。使用可能なエステル化触媒は、このために慣用に使用される触媒であり、それは例えば、鉱酸、例えば硫酸、及びリン酸、有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸、両性触媒、特にチタン化合物、スズ(IV)化合物、又はジルコニウム化合物、例えばテトラアルコキシチタニウム化合物、例えばテトラブトキシチタニウム、及びスズ(IV)酸化物である。反応の間に生成する水は、慣用の手段、例えば蒸留により除去することができる。国際公開第02/038531号(WO 02/038531)は、a)酸性成分若しくはその無水物と、アルコール成分とから実質的になる混合物をエステル化触媒の存在下で反応帯域において沸点まで加熱し、b)アルコール及び水を含有する蒸気を分留して、アルコールの多い留分と、水の多い留分を得、c)アルコールの多い留分を反応帯域に戻し、水の多い留分をプロセスから排出する、エステルの製造方法を記載している。使用されるエステル化触媒は、上記触媒である。エステル化触媒の効果的な量を使用し、これは通常、酸性成分(又は無水物)及びアルコール成分の全体に対して0.05〜10質量%の範囲、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。エステル化プロセスの実施については例えば、米国特許第6310235号明細書(US 6,310,235)、米国特許第5324853号明細書(US 5,324,853)、西独国特許出願公開第2612355号明細書(DE-A 2612355、Derwent Abstract No. DW 77-72638 Y)、又は西独国特許出願公開第1945359号明細書(DE-A 1945359、Derwent Abstract No. DW 73-27151 U)にさらに詳細に記載されている。言及したこれらの文献全体は、ここで参照によって本願に組み込まれるものとする。
【0177】
エステル化は一般的に、周囲圧力下、又は減圧下、若しくは高圧下で行うことができる。エステル化は周囲圧力、又は減圧下で行うことが好ましい。
【0178】
エステル化は、添加されたあらゆる溶媒の不在下で、又は有機溶媒の存在下で行うことができる。
【0179】
エステル化を溶媒の存在下で行う場合、使用する有機溶媒が、反応条件下で不活性であることが好ましい。これらの中で例を挙げると、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、及び芳香族、及び置換された芳香族炭化水素、及びエーテルである。溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブチルエーテル、THF、ジオキサン、及びこれらの混合物から選択されるものであることが好ましい。
【0180】
エステル化は通常、50〜250℃の範囲の温度で行う。
【0181】
エステル化触媒が、有機酸又は鉱酸から選択されるものである場合、エステル化は通常、50〜160℃の範囲の温度で行う。
【0182】
エステル化触媒が、両性触媒から選択されるものである場合、エステル化は通常、100〜250℃の範囲の温度で行う。
【0183】
エステル化は、不活性ガスの不在下、又は不活性ガスの存在下で行うことができる。
【0184】
当業者に公知の慣用のプロセスを、工程b1)及びc2)に記載した、ジ(C1〜C3アルキル)2,5−フランジカルボキシレート、及びジ(C1〜C3アルキル)2,5−テトラヒドロフランジカルボキシレートをそれぞれ反応させて、相応するエステル化合物II.5a、及びII.5をそれぞれ得る反応のために使用することもできる。特に、ジ(C1〜C3)アルキルエステルを、少なくとも1種のC7〜C12アルカノールと、又はその混合物と、適切なエステル交換触媒の存在下で反応させる。
【0185】
使用可能なエステル交換触媒は、エステル交換反応のために通常使用可能な慣用の触媒であり、ここでこれらはその大部分が、エステル化反応でも使用される。その中でも例を挙げると、鉱酸、例えば硫酸、及びリン酸;有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸;及びスズ(IV)触媒の群からの特定の金属触媒、例えばジアルキルスズジカルボキシレート、例えば二酢酸ジブチルスズ、トリアルキルスズアルコキシド、モノアルキルスズ化合物、例えばモノブチルスズジオキシド、スズ塩、例えば酢酸スズ、又はスズ酸化物;チタン触媒の群からのもの:モノマー及びポリマーのチタネート、及びチタンキレート、例えばテトラエチルオルトチタネート、テトラプロピルオルトチタネート、テトラブチルオルトチタネート、トリエタノールアミンチタネート;ジルコニウム触媒の群からのもの:ジルコネート、及びジルコニウムキレート、例えばテトラプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート、トリエタノールアミンジルコネート;並びにリチウム触媒、例えばリチウム塩、リチウムアルコキシド、及びアルミニウム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、コバルト(II)アセチルアセトネート、ニッケル(II)アセチルアセトネート、及び亜鉛(II)アセチルアセトネートである。
【0186】
使用するエステル交換触媒の量は、0.001〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。反応混合物は、反応混合物の沸点まで加熱するのが好ましく、よって反応温度は、反応体次第で20〜200℃である。
【0187】
エステル交換は、周囲圧力下、又は減圧下、若しくは高圧下で行うことができる。エステル交換は0.001〜200bar、特に0.01〜5barの圧力で行うのが好ましい。エステル交換の間に脱離する沸点が比較的低いアルコールは、エステル交換反応の平衡をシフトさせるため、蒸留によって連続的に除去するのが好ましい。この目的のために必要な蒸留カラムは一般的に、エステル交換反応器に直接接続しており、このカラムは、反応器に対して直接取り付けられていることが好ましい。複数のエステル交換反応器を直列で使用する場合、これらの反応器はそれぞれ蒸留カラムを有することができ、又は好ましくは蒸発したアルコール混合物を、エステル交換反応器カスケードの最終タンクから蒸留カラムへと、1つ以上の回収ラインによって導入できる。先の蒸留において再生した沸点が比較的高いアルコールは、エステル交換に戻すのが好ましい。
【0188】
エステル化は、添加された有機溶媒の不在下、又は存在下で行うことができる。エステル交換は、不活性有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。適切な有機溶媒は、エステル化について先に述べたものである。これらの中でも特に、トルエン、及びTHFである。
【0189】
エステル交換は好ましくは、50〜200℃の範囲の温度で行う。
【0190】
エステル交換は、不活性ガスの不在下、又は不活性ガスの存在下で行うことができる。
【0191】
本発明の工程c1)及びb2)で行われるフラン環二重結合の水素化のための多くのプロセスと触媒は、当業者にとって利用可能であり、これらは例えば、芳香族ポリカルボン酸エステル(例えばフタレート、イソフタレート、及びテレフタレート)の水素化でも使用される。例えば、国際公開第99/032427号(WO 99/032427)に記載されている環水素化のプロセスが、適切である。このプロセスは、50〜250℃、及び20〜300barの圧力で、元素周期表の第VIII族の遷移金属(例えば白金、ロジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、又はルテニウム、好ましくはルテニウム)を少なくとも1種含有する触媒によって、単独で、又は元素周期表の第I族〜第VII族の遷移金属(例えば銅、又はルテニウム)少なくとも1種とともに水素化し、双峰性の細孔分布でメソ多孔性の酸化アルミニウム担持材料上に堆積させる工程を有する。国際公開第02/100536号(WO 02/100536)に記載された環水素化のプロセスは、さらに適切である。このプロセスは、担持体としての非晶質二酸化ケイ素にあるルテニウム触媒を用いて、水素化する工程を含む。その他の適切な方法は、以下の文献に記載されている:
欧州特許出願公開第1266882号明細書(EP-A 1266882:珪藻土触媒上にあるニッケル/酸化マグネシウムの使用)、国際公開第03/029181号明細書(WO 03/029181:二酸化ケイ素触媒上にあるニッケル/亜鉛の使用)、国際公開第03/029168号(WO 03/029168:Al23上にあるパラジウム/ZnO触媒の使用、及びα−Al23上にあるルテニウム/ZnO触媒の使用)、又は国際公開第04/09526号(WO 04/09526:二酸化チタン上にあるルテニウム触媒の使用)。その他の適切な触媒は同様に、ラネー触媒、好ましくはラネーニッケル触媒である。既に言及されているこれら以外のその他の適切な担持材料は例えば、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、硫酸化された二酸化ジルコニウム、タングステンカーバイド(WC)、二酸化チタン(TiO2)、硫酸化された炭素、活性炭、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、又はリン酸化された酸化アルミニウム、又はこれらの組み合わせである。
【0192】
水素化は、水素化可能な基を有する有機化合物を水素化するための公知の水素化プロセスと同様に、行うことができる。この目的のためには有機化合物を、液相又は気相の形、好ましくは液相の形で、水素の存在下、触媒と接触させる。液相は例えば、流動床触媒を通過させることができるか(流動床法)、又は固定床触媒を通過させることができる(固定床法)。
【0193】
水素化は一般的に、水素圧を高めて行われる。水素圧は、2〜500barの範囲、特に10〜300barの範囲にあるのが好ましい。
【0194】
水素化は、水素化条件で不活性な有機溶媒の存在下で行うのが好ましい。適切な溶媒は、エステル化のために先に規定したものである。特にエーテル、例えばTHF、又はジアルキレングリコール、又はこれらのモノエーテル若しくはジエーテル、例えばグリムを使用する。
【0195】
水素化は好ましくは、20〜350℃の範囲、特に好ましくは50〜300℃の範囲の温度で実施する。
【0196】
水素化のために使用する水素の量は一般的に、フラン環を完全に水素化するために理論的に必要となる水素の化学量論量の1〜15倍である。
【0197】
特に、式(L1)の化合物は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(n−プロピル)フタレート、ジ(n−ブチル)フタレート、ジアリルフタレート、ジメチルスルフェート、エチルベンゾエート、エチルサリチレート、アセトフェノン、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、テトラリン、1,2−ジクロロベンゼン、及びこれらの混合物から選択される。
【0198】
好ましいアルキルベンゾエートL1.2)は、アルキル鎖中に炭素原子を1〜30個、より好ましくは炭素原子を1〜20個、特に炭素原子を2〜10個、特に炭素原子を2〜6個有する。アルキルベンゾエートL1.2)は特に、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、n−プロピルベンゾエート、及びn−ブチルベンゾエート、n−ペンチルベンゾエート、n−ヘキシルベンゾエートから選択される。特に好ましいのは、エチルベンゾエートである。
【0199】
適切なヒドロキシ安息香酸エステルL1.3)は、o−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル(サリチレート)、m−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、及びp−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル(パラベン)である。好ましいエステルL1.3)は、アルキル鎖中に炭素原子を1〜30個、より好ましくは炭素原子を1〜20個、特に炭素原子を2〜10個、特に炭素原子を2〜6個有する。エステルL1.3)は特に、メチルサリチレート、エチルサリチレート、n−プロピルサリチレート、及びn−ブチルサリチレートから選択される。特に好ましいのは、エチルサリチレートである。
【0200】
好ましいアルキレンカーボネートL1.4)は、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートである。特に好ましいのは、プロピレンカーボネートである。
【0201】
好ましい脂肪芳香族ケトンL1.5)は、アセトフェノン、2−アセチルトルエン、3−アセチルトルエン、4−アセチルトルエン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、及びヘキサノフェノンである。特に好ましいのは、アセトフェノンである。
【0202】
脂環式環L1.8)を有する好ましい多環式炭化水素は、テトラリン、デカリン、及びインダンである。特に好ましいのは、テトラリンである。
【0203】
適切なジクロロベンゼンL1.9)は、1,2−、1,3−、及び1,4−ジクロロベンゼンである。特に好ましいのは、1,2−ジクロロベンゼンである。
【0204】
溶媒L2)
特定の実施形態において本発明による組成物は、成分L1)とは異なる有機溶媒、及び成分L1)とは異なる有機溶媒の混合物から選択される補助溶媒L2)を含有する。
【0205】
有機半導体A)は好ましくは、成分L1)及びL2)の混合物中、20℃で少なくとも0.1mg/mlという溶解度を示す。
【0206】
有機半導体A)は好ましくは、成分L2)単独において、20℃で少なくとも0.1mg/mlという溶解度を示す。
【0207】
成分L1)は好ましくは、成分L1)及びL2)の全質量に対して0.1〜100質量%の量、好ましくは1〜100質量%の量、より好ましくは10〜100質量%の量、特に50〜100質量%の量で存在する。
【0208】
成分L2)は好ましくは、成分L1)及びL2)の全質量に対して0〜99.9質量%の量、好ましくは0〜99質量%の量、より好ましくは0〜90質量%の量、特に0〜50質量%の量で存在する。
【0209】
本発明による組成物が補助溶媒L2)を含有する場合、その量は好ましくは、成分L1)及びL2)の合計質量に対して0.1〜99.9質量%、より好ましくは1〜99質量%、特に2〜90質量%、特に3〜50質量%である。
【0210】
補助溶媒L2)は好ましくは、以下のものから選択される:
・L1.8)とは異なる脂肪族、脂環式、及び芳香族の炭化水素、
・芳香族エーテル、
・開鎖脂肪族エーテル、ポリエーテル、エーテルアルコール、及び環状エーテル、
・L1.5)とは異なるケトン、
・L1.2)、L1.3)、及びL1.4)とは異なるエステル、
・脂肪族、及び脂環式アルコール、
・ベンゼン系アルコール、
・ハロゲン化芳香族化合物、
・チオフェノール、及びアルキルチオ置換されたベンゼン、
・5員環、6員環、又は7員環のシクロヘテロアルキル基に縮合されたフェニル基を有する、芳香族化合物、
・5員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合した5員環のヘテロアリール化合物、
・芳香族カルボン酸、
・芳香族アルデヒド、
・トリフルオロメチル置換されたベンゼン化合物、
・シアノ置換、又はイソシアノ置換されたベンゼン化合物、
・ニトロ置換されたベンゼン化合物、
・フェニルスルホン、
・6員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合された6員環のヘテロアリール化合物、
・5員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合した5員環のヘテロアリール化合物、
・L6)及びL7)とは異なる非プロトン性極性溶媒、及び
・これらの混合物。
【0211】
好ましい脂肪族、脂環式、及び芳香族の炭化水素L2)は、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、メシチレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレン、インデン、及びこれらの混合物から選択される。
【0212】
好ましい芳香族エーテルは、アニソール(メチルフェニルエーテル)エトキシベンゼン(フェネトール)、プロポキシベンゼン、イソプロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、1−メトキシナフタリン、2−メトキシナフタリン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、1,2−ジメトキシベンゼン(ベラトロール)、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、1−エトキシ−4−メトキシベンゼン、1−エトキシ−3−メトキシベンゼン、1−エトキシ−2−メトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,4−ジエトキシベンゼン、2,3−ジメトキシトルエン、2,4−ジメトキシトルエン、2,5−ジメトキシトルエン、2,6−ジメトキシトルエン、3,4−ジメトキシトルエン、3,5−ジメトキシトルエン、4−エトキシトルエン,3−エトキシトルエン、2−エトキシトルエン、1−エトキシ−2−エチルベンゼン、1−エトキシ−3−エチルベンゼン、1−エトキシ−4−エチルベンゼン、1−(メトキシメトキシ)ベンゼン、(2−メトキシエトキシ)ベンゼン、(3−メトキシプロポキシ)ベンゼン、及びこれらの混合物である。好ましい補助溶媒C)は、アニソールである。
【0213】
好ましい開鎖脂肪族エーテル、ポリエーテル、エーテルアルコール、及び環状エーテルは、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジグリム(=ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、及びこれらの混合物である。
【0214】
好ましいケトンL2)は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ペンタン−2,4−ジオン(アセチルアセトン)、及びこれらの混合物である。好ましい補助溶媒L2)は、アセチルアセトン、アセトフェノン、及びこれらの混合物である。
【0215】
好ましいエステルL2)は、酢酸エチル、酢酸メチル、エチルアセトアセテート、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、乳酸エチル、炭酸ジエチル、トリアセチン、フェニルホルメート、フェニルアセテート、o−クレゾールアセテート、p−クレゾールアセテート、m−クレゾールアセテート、2−メトキシフェニルアセテート、3−メトキシフェニルアセテート、及び4−メトキシフェニルアセテート、ベンジルベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、メチル2−メチルベンゾエート、メチル3−メチルベンゾエート、メチル4−メチルベンゾエート、メチル2−クロロベンゾエート、メチル3−クロロベンゾエート、メチル4−クロロベンゾエート、メチル4−フルオロベンゾエート、メチル3−フルオロベンゾエート、メチル2−フルオロベンゾエート、エチル2−メチルベンゾエート、エチル3−メチルベンゾエート、エチル4−メチルベンゾエート、エチル4−クロロベンゾエート、エチル3−クロロベンゾエート、エチル2−クロロベンゾエート、エチル2−フルオロベンゾエート、エチル3−フルオロベンゾエート、エチル4−フルオロベンゾエート、メチル4−ブロモベンゾエート、メチル3−ブロモベンゾエート、メチル2−ブロモベンゾエート、及びこれらの混合物である。
【0216】
好ましい脂肪族及び脂環式アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、アミルアルコール混合物、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エタンジオール、プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びこれらの混合物である。
【0217】
好ましいベンゼン系アルコールにおいて、フェニル基は、ヒドロキシ基によって直接置換されていてよいか、又はフェニル基はアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアミノ基によって置換されていてよく、ここでアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアミノ基は、ヒドロキシ基によって置換されている。ベンゼン系アルコールの例には、フェノール;クレゾール(o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール);2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、4−アミノベンジルアルコール;2−フェノキシエタノール;3−フェノキシ−1−プロパノール;4−フェノキシ−1−ブタノール;5−フェノキシ−1−ヘプタノール;6−フェノキシ−1−ヘキサノール;2−(2−メチルフェノキシ)エタン−1−オール;2−(3−メチルフェノキシ)エタン−1−オール;2−(4−メチルフェノキシ)エタン−1−オール;フェノキシメタノール;1−フェノキシエタノール、1−フェノキシプロパノール、1−フェノキシブタノール、2−(2−メトキシフェノキシ)エタン−1−オール、2−(3−メトキシフェノキシ)エタン−1−オール;2−(4−メトキシフェノキシ)エタン−1−オール;2−(2−メチルフェノキシ)エタノール、2−(3−メチルフェノキシ)エタノール、2−(4−メチルフェノキシ)エタノール、2−(4−メトキシフェノキシ)エタノール、2−(3−メトキシフェノキシ)エタン−1−オール、2−(2−メトキシフェノキシ)エタン−1−オール、及びこれらの混合物が含まれる。
【0218】
好ましいハロゲン化芳香族化合物は、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、4−クロロトルエン、3−クロロベンゼン、2−クロロトルエン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−フルオロナフタレン、2−フルオロナフタレン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、2−フルオロアニソール、及びこれらの混合物から選択される。
【0219】
チオフェノールの例には、チオフェノール、2−チオクレゾール、3−チオクレゾール、4−チオクレゾール、2−エチルチオフェノール、3−エチルチオフェノール、4−エチルチオフェノール、2,6−ジメチルチオフェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、2,4−ジメチルチオフェノール、2,3−ジメチルチオフェノール、及び2−イソプロピルチオフェノールが含まれる。アルキルチオ置換されたベンゼンの例には、チオアニソール、(エチルチオ)ベンゼン、2−メチルチオアニソール、3−メチルチオアニソール、4−メチルチオアニソール、4−メトキシチオアニソール、3−メトキシチオアニソール、2−メトキシチオアニソールが含まれる。
【0220】
5員環、6員環、又は7員環のシクロヘテロアルキル基に縮合されたフェニル基を有する適切な芳香族化合物には、インドリン、及び置換されたインドリン類、例えば7−メチルインドリン、5−メチルインドリン、及び6−メチルインドリン;1,2,3,4−テトラヒドロキノリン;6−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン;ベンゾジオキソール、及び置換されたベンゾジオキソール類、例えば1,3−ベンゾジオキソール,2−メチル−1,3−ベンゾジオキソール、2−エチル−1,3−ベンゾジオキソール、5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾジオキソール、5−メチル−1,3−ベンゾジオキソール、5−メトキシ−1,3−ベンゾジオキソール、5−メチル−1,3−ベンゾジオキソール、5−エチル−1,3−ベンゾジオキソール、4−ヒドロキシ−1,3−ベンゾジオキソール、4−メチル−1,3−ベンゾジオキソール、4−エチル−1,3−ベンゾジオキソール、4−メトキシ−1,3−ベンゾジオキソール、2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール、3,4−メチレンジオキシトルエン、及び4−メチル−2H−1,3−ベンゾジオキソール;ジヒドロベンゾフラン、及び置換されたジヒドロベンゾフラン類、例えば2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロ−2−メチルベンゾフラン、6−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、及び5−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;4H−クロメン、クロマン、7−メチルクロマン、8−メチルクロマン、及び2,3−ジヒドロベンゾ[b]チオフェンが含まれる。
【0221】
適切な5員環ヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合された5員環のヘテロアリール化合物は、チオフェン、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、フラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、1,2−ジメチル−1H−ピロール、1,3−ジメチル−1H−ピロール、2−メトキシフラン、3−メトキシフラン、3−メトキシチオフェン、2−メトキシチオフェン、2−メチルチオフラン、3−メチルチオフラン、3−メチルチオチオフェン、2−メチルチオチオフェン、2−N,N−ジメチルアミノ−チオフェン、3−メトキシ−1−メチル−1H−ピロール、2−メトキシ−1−メチル−1H−ピロール、ベンゾフラン、6−メチルベンゾフラン、ベンゾチオフェン、及び6−メチルベンゾチオフェンである。
【0222】
適切な芳香族カルボン酸は、安息香酸、o−トルエン酸、m−トルエン酸、p−トルエン酸、4−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、2−フルオロ安息香酸、3−フルオロ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、及びこれらの混合物である。
【0223】
適切な芳香族アルデヒドは、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、3−エチルベンズアルデヒド、2−エチルベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、3−フルオロベンズアルデヒド、2−フルオロベンズアルデヒド、2−ブロモベンズアルデヒド、3−ブロモベンズアルデヒド、及び4−ブロモベンズアルデヒドである。
【0224】
適切なトリフルオロメチル置換されたベンゼン化合物は、ベンゾトリフルオリド、2−メチルベンゾトリフルオリド、3−メチルベンゾトリフルオリド、4−メチルベンゾトリフルオリド、4−クロロベンゾトリフルオリド、3−クロロベンゾトリフルオリド、2−クロロベンゾトリフルオリド、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロベンゾトリフルオリド、4−フルオロベンゾトリフルオリド、4−ブロモベンゾトリフルオリド、3−ブロモベンゾトリフルオリド、2−ブロモベンゾトリフルオリド、メチル2−トリフルオロメチルベンゾエート、メチル3−トリフルオロメチルベンゾエート、メチル4−トリフルオロメチルベンゾエート、エチル2−トリフルオロメチルベンゾエート、エチル−トリフルオロメチルベンゾエート、エチル4−トリフルオロメチルベンゾエート、及びこれらの混合物である。
【0225】
シアノ置換された、又はイソシアノ置換された適切なベンゼン化合物は、ベンゾニトリル、2−メチルベンゼンカルボニトリル、3−メチルベンゼンカルボニトリル、4−メチルベンゼンカルボニトリル、4−クロロベンゾニトリル、3−クロロベンゾニトリル、2−クロロベンゾニトリル、2−フルオロベンゾニトリル、3−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベンゾニトリル、フェニルイソシアニド、2−トリルイソシアニド、3−トリルイソシアニド、4−トリルイソシアニド、及びこれらの混合物である。
【0226】
適切なニトロ置換されたベンゼン化合物は、ニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、1−クロロ−4−ニトロベンゼン、1−クロロ−3−ニトロベンゼン、1−クロロ−2−ニトロベンゼン、1−フルオロ−2−ニトロベンゼン、1−フルオロ−3−ニトロベンゼン、1−フルオロ−4−ニトロベンゼン、及びこれらの混合物である。
【0227】
適切なフェニルスルホンは、メチルフェニルスルホン、エチルフェニルスルホン、(プロパン−1−スルホニル)ベンゼン、1−メタンスルホニル−2−メチル−ベンゼン、1−メタンスルホニル−3−メチル−ベンゼン、及び1−メタンスルホニル−4−メチル−ベンゼンである。
【0228】
適切な6員環のヘテロアリール化合物、又はベンゾ縮合された6員環のヘテロアリール化合物は、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、4−フルオロピリジン、3−フルオロピリジン、2−フルオロピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン、4−(トリフルオロメチル)ピリジン、3−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、4−ニトロピリジン、3−ニトロピリジン、2−ニトロピリジン、2−ピコリン酸メチルエステル、3−ピコリン酸メチルエステル、及び4−ピコリン酸メチルエステル;ピラジン、及び置換されたピラジン類、例えばメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチル−ピラジン、2−クロロピラジン、2,5−ジクロロピラジン、2,6−ジクロロピラジン、2,3−ジクロロピラジン、2−フルオロピラジン、(トリフルオロメチル)ピラジン、2−ピラジンカルボニトリル、2−ニトロ−ピラジン、ピラジン−2−カルボアルデヒド、1−ピラジン−2−イル−エタノン、1−(ピラジン−2−イル)プロパン−1−オン、メチルピラジン−2−カルボキシレート、ピラジン2−カルボン酸エチルエステル、2−ブロモピラジン、及び2−ヨードピラジン;ピリダジン、及び置換されたピリダジン類、例えば3−メチルピリダジン、4−メチルピリダジン、4,5−ジメチルピリダジン、3,6−ジメチルピリダジン、3−クロロピリダジン、4−クロロピリダジン、ピリダジン−3−カルボニトリル、4−ピリダジンカルボニトリル、4−(トリフルオロメチル)ピリダジン、3−(トリフルオロメチル)ピリダジン、3−ニトロピリダジン、ピリダジン−3−カルボアルデヒド、ピリダジン−4−カルボアルデヒド、1−(ピリダジン−4−イル)エタノン、3−アセチルピリダジン、メチルピリダジン−3−カルボキシレート、及びメチルピリダジン−4−カルボキシレート;テトラジン、及び置換されたテトラジン類、例えば1,2,4,5−テトラジン、ジメチル−1,2,4,5−テトラジン、及び3、6−ジクロロ−1,2,4,5−テトラジン;キノリン、及び置換されたキノリン類、例えば2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、5−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、2−クロロキノリン、3−クロロキノリン、4−クロロキノリン、5−クロロキノリン、6−クロロキノリン、7−クロロキノリン、8−クロロキノリン、2−フルオロキノリン、3−フルオロキノリン、4−フルオロキノリン、5−フルオロキノリン、6−フルオロキノリン、7−フルオロキノリン、8−フルオロキノリン、2−トリフルオロメチルキノリン、3−トリフルオロメチルキノリン、4−トリフルオロメチルキノリン、5−トリフルオロメチルキノリン、6−トリフルオロメチルキノリン、7−トリフルオロメチルキノリン、8−トリフルオロメチルキノリン、2−ニトロキノリン、3−ニトロキノリン、4−ニトロキノリン、5−ニトロキノリン、6−ニトロキノリン、7−ニトロキノリン、8−ニトロキノリン、2−アセチルキノリン、3−アセチルキノリン、4−アセチルキノリン、5−アセチルキノリン、6−アセチルキノリン、7−アセチルキノリン、8−アセチルキノリン、2−シアノキノリン、3−シアノキノリン、4−シアノキノリン、5−シアノキノリン、6−シアノキノリン、7−シアノキノリン、8−シアノキノリン、メチル2−キノリンカルボキシレート、メチル3−キノリンカルボキシレート、メチル4−キノリンカルボキシレート、メチル5−キノリンカルボキシレート、メチル6−キノリンカルボキシレート、メチル7−キノリンカルボキシレート、エチル8−キノリンカルボキシレート、エチル2−キノリンカルボキシレート、エチル3−キノリンカルボキシレート、エチル4−キノリンカルボキシレート、エチル5−キノリンカルボキシレート、エチル6−キノリンカルボキシレート、エチル7−キノリンカルボキシレート、エチル8−キノリンカルボキシレート、2−キノリンカルボキシアルデヒド、3−キノリンカルボキシアルデヒド、4−キノリンカルボキシアルデヒド、5−キノリンカルボキシアルデヒド、6−キノリンカルボキシアルデヒド、7−キノリンカルボキシアルデヒド、8−キノリンカルボキシアルデヒド、1−(2−キノリニル)−エタノン、1−(3−キノリニル)−エタノン、1−(4−キノリニル)−エタノン、1−(5−キノリニル)−エタノン、1 −(6−キノリニル)−エタノン、1−(7−キノリニル)−エタノン、及び1−(8−キノリニル)−エタノン;キノキサリン、及び置換されたキノキサリン類、例えば2−メチルキノキサリン、5−メチルキノキサリン、6−メチルキノキサリン、2−クロロキノキサリン、5−クロロキノキサリン、6−クロロキノキサリン、2−フルオロキノキサリン、5−フルオロキノキサリン、6−フルオロキノキサリン、2−シアノキノキサリン、5−シアノキノキサリン、6−シアノキノキサリン、2−ニトロキノキサリン、5−ニトロキノキサリン、6−ニトロキノキサリン、2−トリフルオロメチルキノキサリン、5−トリフルオロメチルキノキサリン、6−トリフルオロメチルキノキサリン、メチル2−キノキサリンカルボキシレート、メチル5−キノキサリンカルボキシレート、メチル6−キノキサリンカルボキシレート、エチル2−キノキサリンカルボキシレート、エチル5−キノキサリンカルボキシレート、エチル6−キノキサリンカルボキシレート、及びこれらの混合物である。
【0229】
適切な5員環のヘテロアリール化合物、及びベンゾ縮合された5員環のヘテロアリール化合物は、チアゾール、2−メチルチアゾール、4−メチルチアゾール、5−メチルチアゾール、2−クロロチアゾール、4−クロロチアゾール、5−クロロチアゾール、2−フルオロチアゾール、4−フルオロチアゾール、5−フルオロチアゾール、2−シアノチアゾール、4−シアノチアゾール、5−シアノチアゾール、2−ニトロチアゾール、4−ニトロチアゾール、5−ニトロチアゾール、メチル1,3−チアゾール−2−カルボキシレート、メチル1,3−チアゾール−5−カルボキシレート、メチル1,3−チアゾール−6−カルボキシレート、エチル1,3−チアゾール−2−カルボキシレート、エチル1,3−チアゾール−5−カルボキシレート、エチル1,3−チアゾール−6−カルボキシレート、2−トリフルオロメチルチアゾール、4−トリフルオロメチルチアゾール、及び5−トリフルオロメチルチアゾール、;イミダゾール、及び置換されたイミダゾール類、例えばN−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、2−クロロイミダゾール、4−クロロイミダゾール、5−クロロイミダゾール、2−フルオロイミダゾール、4−フルオロイミダゾール、5−フルオロイミダゾール、2−シアノイミダゾール、4−シアノイミダゾール、5−シアノイミダゾール、2−ニトロイミダゾール、4−ニトロイミダゾール、5−ニトロイミダゾール、メチルイミダゾール−2−カルボキシレート、メチルイミダゾール−5−カルボキシレート、メチルイミダゾール−5−カルボキシレート、エチルイミダゾール−2−カルボキシレート、エチルイミダゾール−4−カルボキシレート、エチルイミダゾール−5−カルボキシレート、2−トリフルオロメチルイミダゾール、4−トリフルオロメチルイミダゾール、5−トリフルオロメチルイミダゾール、2−メチル−N−メチルイミダゾール、4−メチル−N−メチルイミダゾール、5−メチル−N−メチルイミダゾール、2−クロロ−N−メチルイミダゾール、4−クロロ−N−メチルイミダゾール、5−クロロ−N−メチルイミダゾール、2−フルオロ−N−メチルイミダゾール、4−フルオロ−N−メチルイミダゾール、5−フルオロ−N−メチルイミダゾール、2−シアノ−N−メチルイミダゾール、4−シアノ−N−メチルイミダゾール、5−シアノ−N−メチルイミダゾール、2−ニトロ−N−メチルイミダゾール、4−ニトロ−N−メチルイミダゾール、5−ニトロ−N−メチルイミダゾール、メチルN−メチルイミダゾール−2−カルボキシレート、メチルN−メチルイミダゾール−4−カルボキシレート、メチルN−メチルイミダゾール−5−カルボキシレート、エチルN−メチルイミダゾール−2−カルボキシレート、エチルN−メチルイミダゾール−4−カルボキシレート、エチルN−メチルイミダゾール−5−カルボキシレート、2−トリフルオロメチル−N−メチルイミダゾール、4−トリフルオロメチル−N−メチルイミダゾール、及び5−トリフルオロメチル−N−メチルイミダゾール;トリアゾール、及び置換されたトリアゾール類、例えば4−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−クロロ−1,2,3−トリアゾール、5−クロロ−1,2,3−トリアゾール、4−フルオロ−1,2,3−トリアゾール、5−フルオロ−1,2,3−トリアゾール、4−シアノ−1,2,3−トリアゾール、5−シアノ−1,2,3−トリアゾール、4−ニトロ−1,2,3−トリアゾール、5−ニトロ−1,2,3−トリアゾール、メチル1,2,3−トリアゾール−4−カルボキシレート、メチル1,2,3−トリアゾール−5−カルボキシレート、エチル1,2,3−トリアゾール−4−カルボキシレート、エチル1,2,3−トリアゾール−5−カルボキシレート、4−トリフルオロメチル−1,2,3−トリアゾール、5−トリフルオロメチル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−メチル−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−クロロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−クロロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−フルオロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−フルオロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−シアノ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−シアノ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−ニトロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、5−ニトロ−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、メチルN−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキシレート、メチルN−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−カルボキシレート、エチルN−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキシレート、エチルN−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−カルボキシレート、4−トリフルオロメチル−N−メチル−1,2,3−トリアゾール、及び5−トリフルオロメチル−N−メチル−1,2,3−トリアゾール;テトラゾール、及び置換されたテトラゾール類、例えばN−メチルテトラゾール、5−メチル−テトラゾール、5−メチル−N−メチル−テトラゾール、5−クロロ−テトラゾール、5−クロロ−N−メチル−テトラゾール、5−フルオロ−テトラゾール、5−フルオロ−N−メチル−テトラゾール、5−ニトロ−テトラゾール、5−ニトロ−N−メチル−テトラゾール、5−シアノ−テトラゾール、5−シアノ−N−メチル−テトラゾール、5−トリフルオロメチル−テトラゾール、5−トリフルオロメチル−N−メチル−テトラゾール、メチル1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−カルボキシレート、エチル1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−カルボキシレート、メチル1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−カルボキシレート、エチル1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−カルボキシレート、テトラゾール−5−カルボキシアルデヒド、1H−テトラゾール−5−カルボキシアルデヒド、1−メチル−1−(1−メチル−1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)エタン−1−オン、1−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)エタン−1−オン;ベンゾチアゾール、及び置換されたベンゾチアゾール類、例えば2−メチル−ベンゾチアゾール、4−メチル−ベンゾチアゾール、5−メチル−ベンゾチアゾール、6−メチル−ベンゾチアゾール、7−メチル−ベンゾチアゾール、2−フルオロ−ベンゾチアゾール、4−フルオロ−ベンゾチアゾール、5−フルオロ−ベンゾチアゾール、6−フルオロ−ベンゾチアゾール、7−フルオロ−ベンゾチアゾール、2−クロロ−ベンゾチアゾール、4−クロロ−ベンゾチアゾール、5−クロロ−ベンゾチアゾール、6−クロロ−ベンゾチアゾール、7−クロロ−ベンゾチアゾール、2−シアノ−ベンゾチアゾール、4−シアノ−ベンゾチアゾール、5−シアノ−ベンゾチアゾール、6−シアノ−ベンゾチアゾール、7−シアノ−ベンゾチアゾール、2−ニトロ−ベンゾチアゾール、4−ニトロ−ベンゾチアゾール、5−ニトロ−ベンゾチアゾール、6−ニトロ−ベンゾチアゾール、7−ニトロ−ベンゾチアゾール、2−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール、4−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール、5−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール、6−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール、7−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル、4−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル、5−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル、6−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル、7−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル、2−ベンゾチアゾールカルボン酸エチルエステル、4−ベンゾチアゾールカルボン酸エチルエステル、5−ベンゾチアゾールカルボン酸エチルエステル、6−ベンゾチアゾールカルボン酸エチルエステル、7−ベンゾチアゾールカルボン酸エチルエステル、ベンゾチアゾール−2−カルボアルデヒド、ベンゾチアゾール−4−カルボアルデヒド、ベンゾチアゾール−5−カルボアルデヒド、ベンゾチアゾール−6−カルボアルデヒド、ベンゾチアゾール−7−カルボアルデヒド、2−アセチルベンゾチアゾール、4−アセチルベンゾチアゾール、5−アセチルベンゾチアゾール、6−アセチルベンゾチアゾール、及び7−アセチルベンゾチアゾール、3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン、8−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン、7−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−[(2H)−オン、6−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン、5−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン、7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン、6−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン、5−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン、4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン、及びこれらの混合物である。
【0230】
適切な非プロトン性極性溶媒は、アセトニトリル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、(CH32SO、ジメチルスルホン、スルホラン、環状ウレア、例えば1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、イミダゾリジン−2−オン、及びこれらの混合物である。
【0231】
特別な実施形態において、本発明による組成物は、粘度調整添加剤を含有する。適切な粘度調整添加剤は、誘電性ポリマー、又は半導体ポリマーである。適切な誘電性ポリマーは例えば、ポリスチレン、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、ポリビニリデンフルオリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ−2−ビニル−ナフタレン(P2VN)などである。好ましい粘度調整添加剤は、ポリスチレンである。粘度調整添加剤は好ましくは、成分B)における溶解度が、20℃で少なくとも0.01mg/ml、好ましくは少なくとも0.05mg/mlである。本発明による組成物は好ましくは、粘度調製添加剤を成分B)及び粘度調整添加剤の全量に対して0.1〜30質量%の量、好ましくは0.2〜20質量%の量で含有する。
【0232】
本発明による組成物により、溶液処理法によって、半導体(A)から様々な物品、構造、又はデバイスを製造することが可能になる。ここで使用するように「溶液処理」とは、様々な溶液相処理を言い、これにはスピンコート及び印刷(例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソグラフィー印刷、リソグラフ印刷、マスプリンティング(mass printing)など)、噴霧塗布、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスト、ディップコート、及びブレードコートが含まれる。
【0233】
本発明による組成物から有利に製造できる製品は、電子デバイス、光学デバイス、及び光電子デバイスである。これらには、有機電界効果トランジスタ(OFET)(例えば有機薄膜トランジスタ(OFET))、有機光起電デバイス(OPV)、光検出器、有機発光デバイス、例えば有機発光ダイオード(OLED)、及び有機発光トランジスタ(OLET)、補完的な金属酸化物半導体(CMOS)、補完的なインバータ、ダイオード、キャパシタ、センサ、Dフリップフロップ、整流器、及び環状発振子が含まれる。これらの製品は全て、本発明による組成物から堆積される半導体成分A)を含有することができる。
【0234】
本発明による方法の工程(b)では、工程(a)で用意した溶液を、基板表面に適用して、溶媒又は溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる。
【0235】
本発明のさらなる対象は、以下の工程(a)及び(b)を含む、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスの製造方法である:
(a)溶媒(L1)に、又は溶媒(L1)を含有する溶媒混合物に少なくとも1種の有機半導体A)を入れた溶液を用意する工程、ここで溶媒(L1)は、
・1013.25mbarで少なくとも140℃という沸点、
・23℃で少なくとも1.2mPasという粘度、及び
・20℃で少なくとも31.5mN/mという表面張力
を示し、
(b)工程(a)で用意した溶液を、基板表面に適用して、溶媒又は溶媒混合物を蒸発させ、有機半導体A)を結晶化させる工程、
ここで工程b)で用意した基板は、電子デバイス、光学デバイス、又は光電子デバイスの基板であるか、又は工程b)で形成された結晶は、電子デバイス、光学デバイス、光電子デバイス、又はセンサに移行される。
【0236】
堆積工程b)は、インクジェット印刷、及び様々な接触式印刷技術を含む印刷によって行うことができ、この接触式印刷技術は例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、パッド印刷、リソグラフ印刷、フレキソグラフィー印刷、及びマイクロコンタクトプリンティングである。別の実施形態において、堆積工程はスピンコート、ドロップキャスト、ゾーンキャスト、スロットコーティング、ディップコート、ブレードコート、又はスプレーによって行うことができる。
【0237】
工程(b)において、基板表面の少なくとも一部への、工程で(a)用意した組成物の適用は、印刷によって行うのが好ましい。
【0238】
様々な種類の基板を、本発明による方法で使用することができる。基板は、本発明による方法のプロセス条件下で安定的な、実質的にあらゆる材料製であり得る。よって基板は、有機及び無機材料、又は複合材料を含有することができる。適切な基板は、この目的のために知られた、原則的に全ての材料である。適切な基板には例えば、酸化物材料、金属、半導体、金属合金、半導体合金、ポリマー、無機固体、紙、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0239】
適切な基板は好ましくは、SiO2、無機ガラス、石英、セラミック、ドープされていない、若しくはドープされた無機半導体、元素周期表の第8族、9族、10族、又は11族の金属、及びこれらの金属合金、ポリマー材料、充填されたポリマー材料、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0240】
好ましい金属、及び金属合金基板は、Au、Ag、Cuなどを含有する。ドープされていない、若しくはドープされた無機半導体は好ましくは、Si、ドープされたSi、Ge、及びドープされたGeである。好ましいポリマー材料は、アクリル、エポキシ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリケトン、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレン(しばしば、ポリ(エーテルエーテルケトン)、又はPEEKと呼ばれる))、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)、フルオロポリマー、ポリウレタン、繊維強化プラスチック(FRP)、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0241】
特に好ましい基板は、Si、SiO2、ガラス、石英、セラミック、及びこれらの組み合わせから選択される。基板は、可撓性、又は非可撓性であってよく、所望の用途に応じて、湾曲した、若しくは平坦な形状であり得る。
【0242】
特別な実施形態において、基板の少なくとも1つの表面は、少なくとも1つの誘電体を含有するか、又は少なくとも1つの誘電体から成る。適切な誘電体は、無機誘電材料、ポリマー誘電材料、及びこれらの組み合わせから選択される。適切な無機誘電材料は、SiO2、Al23、ZrO2、HfO2、TaO5、WO3SiO34、RbBr、LiF、BaTiO3、PbTiO3、及びこれらの混合物である。適切なポリマー誘電材料は、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブテン)、ポリビニルカルバゾール、フッ化ポリマー(例えばCytop、CYMM)、シアノプルラン、ポリビニルフェノール、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(メチルメタクリレート)/トリメチロールプロパントリアクリレートコポリマーなど、及びこれらの組み合わせである。特定の誘電体は、「自己組織化ナノ誘電体」、すなわちSiCl官能基を有するモノマーから得られるポリマー(例えばCl3SiOSiCl3、Cl3Si−(CH26−SiCl3、Cl3Si−(CH212−SiCl3)、及び/又は大気中の水分により架橋するポリマー、又は溶媒で希釈した水を添加することによって架橋するポリマーである(例えばFacchetti Adv. Mat. 2005, 17, p.1705〜1725参照)。水の代わりに、ヒドロキシ含有ポリマー、例えばポリビニルフェノール、又はポリビニルアルコール、又はビニルフェノール及びスチレンのコポリマーを、架橋成分として用いることもできる。架橋工程の間に、少なくとも1種のさらなるポリマー(例えばポリスチレン)が存在していてもよく、それからこれも架橋させる(Facchetti、米国特許出願公開第2006/0202195号明細書(US patent application 2006/0202195)参照)。
【0243】
表面改質
基板及び/又は誘電体の表面は、成分A)の堆積前に、改質することができる。前述のように基板の性質、及びその表面改質は、基板表面での結晶の堆積に影響を与え、また出来上がる電子デバイスの電気特性に影響を与える。
【0244】
特別な実施形態において、基板及び/又は誘電体の表面を、化合物A)の堆積前に改質にかけると、改質のために用いた化合物の自己組織化単分子層(SAM)が生じる。
【0245】
別の改質では、基板の一部のみを、自己組織化単分子層(SAM)で被覆する。これらのSAMにより、表面エネルギー、及び濡れ特性の変化につながる。特定の理論と結びつけるつもりはないが、このことは、化合物A)の形状の横方向の構造を達成するために有利であり得る。
【0246】
化合物A)の堆積前の、基板及び/又は誘電体の表面改質は例えば、半導体材料と結合する領域、及び/又は半導体材料が堆積できない領域を形成するために役立つ。さらに、基板及び/又は誘電体の表面改質は、得られる半導体の特性(例えば電荷輸送移動度、オン/オフ比など)に対して影響を与え得る。
【0247】
表面改質のために適切な化合物は、以下のものである:
・シラン、例えばアルキルトリクロロシラン、例えばn−オクタデシルトリクロロシラン(OTS);トリアルコキシシラン基を有する化合物、例えばアルキルトリアルコキシシラン、例えばn−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ(n−プロピル)オキシシラン、n−オクタデシルトリ(イソプロプル)オキシシラン;トリアルコキシアミノアルキルシラン、例えばトリエトキシアミノプロピルシラン、及びN[(3−トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン;トリアルコキシアルキル3−グリシジルエーテルシラン、例えばトリエトキシプロピル3−グリシジルエーテルシラン;トリアルコキシアリルシラン、例えばアリルトリメトキシシラン;トリアルコキシ(イソシアナトアルキル)シラン;トリアルコキシシリル(メタ)アクリロイルオキシアルカン、及びトリアルコキシシリル(メタ)アクリルアミドアルカン、例えば1−トリエトキシシリル−3−アクリロイル−オキシプロパン、
・ホスホン酸、例えば4−エトキシフェニルホスホン酸、
・カルボン酸、
・ヒドロキサム酸、
・アミン、
・ホスフィン、
・硫黄含有化合物、特にチオール、及び
・これらの混合物。
【0248】
表面改質のための化合物は好ましくは、アルキルトリクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、ヘキサアルキルジシラザン、C8〜C30アルキルチオール、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0249】
特別な実施形態において、表面改質のための化合物は、n−オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、4−エトキシフェニルホスホン酸、ヘキサデカンチオール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、及び3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、アルカリ金属、及びメルカプト酢酸のアンモニウム塩、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、及び3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0250】
多数の官能基によって基板表面を改質するため、酸又は塩基によって表面を活性化することができる。基板表面はさらに、酸化、電子ビーム照射、又はプラズマ処理によって活性化できる。官能基を有する上記基板はさらに、例えば溶液からの堆積、物理蒸着(PVD)、又は化学蒸着(CVD)によって、基板表面に適用することができる。
【0251】
本発明による組成物は有利には、有機電界効果トランジスタの製造に適している。これらの有機電界効果トランジスタは例えば、集積回路(IC)の製造に使用でき、この集積回路のためには、慣用のnチャネル型MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が、今日まで使用されてきた。これらはそれから、CMOS型半導体ユニット、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、スタティックラム、及びその他のデジタル論理回路である。本発明による組成物から製造されるOFETは、ディスプレイ(特に表面積の大きいディスプレイ、及び/又はフレキシブルディスプレイ)、RFIDタグ、スマートラベル、及びセンサにおける使用に、特に適している。
【0252】
本教示の態様は、本発明による組成物から製造される半導体成分を有する有機電界効果トランジスタの作製に関する。OFETは一般的に、少なくとも1つのゲート構造(ゲート電極とゲート誘電体を含む)を有する基板、ソース電極とドレイン電極、並びにソース電極とドレイン電極、及びゲート誘電体と接触している半導体材料を備える。
【0253】
特別な実施形態は、有機電界効果トランジスタのパターン(トポグラフィー)を有する基板であり、各トランジスタは、
・基板上に配置された有機半導体、
・導電性チャネルの導電性を制御するためのゲート構造、並びに
・チャネルの両方の端部に導電性のソース電極とドレイン電極
を有する。
【0254】
バッファ層としては、あらゆる誘電材料が適切であり、それは例えば無機材料、例えばLiF、AlOx、SiO2、若しくは窒化ケイ素、又は有機材料、例えばポリイミド、又はポリアクリレート、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0255】
さらなる特別な実施形態は、有機電界効果トランジスタのパターンを有する基板であり、各トランジスタは、集積回路を形成するか、又は集積回路の一部であり、トランジスタの少なくとも幾つかは、本発明による組成物から有機半導体の堆積により、製造される。
【0256】
適切な基板は、上述のものである。半導体ユニットに典型的な基板は、マトリックス(例えばシリコン、石英、又はポリマーマトリックス)、及び任意で誘電性トップ層を含む。適切な誘電体は、上述のものであり、ここでSiO2が、特に好ましい。
【0257】
基板はさらに、電極、例えばOFETのゲート、ドレイン電極、及びソース電極を有することができ、これらは通常、基板上に局在化されている(例えば、誘電体上にある非導電層の上に堆積、又は誘電体上にある非導電層の内部に組み込む)。基板はさらに、OFETの伝導性ゲート電極を有し、これは通常、誘電性トップ層(すなわちゲート誘電体)の下に配置される。
【0258】
特別な実施形態において絶縁層(ゲート絶縁層)は、基板表面の少なくとも一部に存在する。絶縁層は、少なくとも1種の絶縁体を含有し、これは好ましくは、無機絶縁体、例えばSiO2、窒化ケイ素(Si34)など、強誘電性絶縁体、例えばAl23、Ta25、La25、TiO2、Y23など、有機絶縁体、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリビニルアルコール、ポリアクリレートなど、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0259】
ソース電極、及びドレイン電極に適した材料は、原則的に導電性材料である。これらには、金属、好ましくは元素周期表の第6族、7族、8族、9族、10族、又は11族の金属、例えばPd、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Crなどが含まれる。導電性ポリマーも適しており、それは例えばPEDOT(=ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(=ポリ(スチレンスルホネート))、ポリアニリン、表面改質された金などである。好ましい導電性材料は、10-3Ω×メートル未満、好ましくは10-4Ω×メートル未満、特に10-6又は10-7Ω×メートル未満の比抵抗を有する。
【0260】
特別な実施形態において、ドレイン電極とソース電極は、有機半導体材料の少なくとも一部に存在する。基板は、半導体材料又はICで慣用的に使用されるさらなる部材(例えば絶縁体、レジスタ、キャパシタ、導電性トラックなど)を含有することができることが、肯定的に評価されるだろう。
【0261】
電極は慣用の方法、例えば蒸着若しくはスパッタリング、リソグラフィー加工、又はその他の構造化処理、例えば印刷技術によって適用することができる。
【0262】
生成する半導体層は一般的に、ソース/ドレイン電極と接触する半導体チャネルを形成するために充分な厚さを有する。
【0263】
半導体成分は好ましくは、0.5〜1000nmの厚さ、より好ましくは1.5〜250nmの厚さで、基板に堆積させる。
【0264】
好ましい実施形態において、本発明による電界トランジスタは、薄膜トランジスタ(TFT)である。慣用の構造では、薄膜トランジスタは、基板又はバッファ層に配置されたゲート電極(バッファ層は基板の一部)、ゲート電極上、及び基板上に配置されたゲート絶縁層、ゲート絶縁層上に配置された半導体層、半導体層上にあるオーミック接触層、及びオーミック接触層上にあるソース電極及びドレイン電極を有する。
【0265】
好ましい実施形態において基板表面は、一般式A)の化合物少なくとも1種を堆積させる前に、前述のように改質する。
【0266】
様々な半導体構造物が、本発明による組成物から考えられ、それは例えばトップコンタクト、トップゲート、ボトムコンタクト、ボトムゲート、又はその他の垂直構造体、例えばVOFET(垂直型有機電界効果トランジスタ)であり、例えば米国特許出願公開第2004/0046182号明細書(US 2004/0046182)に記載されている。
【0267】
好ましい半導体構造物は、以下のものである:
1.基板、誘電体、有機半導体、好ましくはゲート、誘電体、有機半導体、ソース、及びドレイン、「ボトムゲート・トップコンタクト」として知られる;
2.基板、誘電体、有機半導体、好ましくは基板、ゲート、誘電体、ソース、及びドレイン、有機半導体、「ボトムゲート・ボトムコンタクト」として知られる;
3.基板、有機半導体、誘電体、好ましくは基板、ソース、及びドレイン、有機半導体、誘電体、ゲート、「トップゲート・ボトムコンタクト」として知られる;
4.基板、有機半導体、誘電体、好ましくは基板、有機半導体、ソース、及びドレイン、誘電体、ゲート、「トップゲート・トップコンタクト」として知られる。
【0268】
層の厚さは例えば、半導体で0.5nm〜5μm、誘電体で30nm〜10μmであり、電極は例えば、20nm〜10μmであり得る。OFETはまた、組み合わされて別の部材、例えば環状発振器、又はインバータを形成することができる。
【0269】
本発明のさらなる態様は、複数の半導体成分(n型及び/又はp型半導体であり得る)を有する電極部材を提供することである。このような部材の例は、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)、トンネルダイオード、コンバータ、発光部材、生物学的、及び化学的な検知機若しくはセンサ、温度依存性検知機、光検知機、例えば極性敏感性光検知機、ゲート、AND、NAND、NOT、OR、TOR、及びNOR型のゲート、レジスタ、スイッチ、タイマーユニット、静的若しくは動的なメモリ、及びその他の動的若しくは連続的、論理的、若しくはその他のデジタル部材(プログラム可能なスイッチを含む)である。
【0270】
特別な半導体素子は、インバータである。デジタル論理においてインバータは、入力されたシグナルを変換するゲートである。インバータは、NOTゲートとも言われる。リアルインバータスイッチは、入力電流とは逆の電流から構成される出力電流を有する。典型的な値は例えば、TTLスイッチについて(0,+5V)である。デジタルインバータの性能は、電圧伝達曲線(VTC)を再現する(すなわち、出力電流に対する、入力電流のプロット)。これは理想的には、階段関数であり、実測曲線がこの階段に近ければ近いほど、インバータは良好である。
【0271】
本発明による組成物は、有機光電池(OPV)における使用にも、特に適している。本教示の態様は、有機太陽電池(例えば、励起状態の拡散(励起子拡散)により特徴付けられる太陽電池)の作製に関する。この場合、使用する半導体材料のいずれか、又は両方が、励起状態の拡散(励起子移動度)について顕著である。有機太陽電池は一般的に、層構造を有し、一般的には少なくとも以下の層を有する:アノード、光活性層、及びカソード。これらの層は一般的に、この目的のために適切な基板に適用される。有機太陽電池の構造は例えば、米国特許出願公開第2005/0098726号明細書(US 2005/0098726)、及び米国特許出願公開第2005/0224905号明細書(US 2005/0224905)に記載されている。
【0272】
代表的な有機太陽電池は、少なくとも1つのカソードと少なくとも1つのアノードとを有する基板、並びに半導体材料を含有する少なくとも1つの光活性領域を有する。光活性領域は、2つの層を有することができ、これらはそれぞれ、均質な組成を有し、平面ドナー・アクセプターヘテロ接合を形成する。光活性領域はまた、混合層を有することもでき、ドナー・アクセプターバルクヘテロ接合の形で、ドナー・アクセプターヘテロ接合を形成することができる。
【0273】
有機太陽電池のための適切な基板は、前述のものであり、例えば酸化物材料、ポリマー、及びこれらの組み合わせである。好ましい酸化物材料は、ガラス、セラミック、SiO2、石英などから選択される。好ましいポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、及びポリプロピレン)、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、並びにこれらの混合物、及び複合材から選択される。
【0274】
適切な電極(カソード、アノード)は原則的に、金属、半導体、金属合金、半導体合金、これらのナノワイヤ、及びこれらの組み合わせである。好ましい金属は、元素周期表の第2族、8族、9族、10族、11族、又は13族のものであり、例えばPt、Au、Ag、Cu、Al、In、Mg、又はCaである。好ましい半導体は例えば、ドープされたSi、ドープされたGe、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ化された酸化スズ(FTO)、酸化ガリウムインジウムスズ(GITO)、酸化亜鉛インジウムスズ(ZITO)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT−PSS)などである。好ましい金属合金は例えば、Pt、Au、Ag、Cuなどをベースとする合金である。特別な実施形態は、Mg/Ag合金である。
【0275】
光に面する電極(ノーマル構造におけるアノード、逆構造におけるカソード)のために使用する材料は好ましくは、入射光に対して少なくとも部分的に透明な材料である。これは好ましくは、担体材料としてガラス及び/又は透明ポリマーを有する電極を含む。担体として適切な透明ポリマーは上述のもの、例えばポリエチレンテレフタレートである。電気的接触部の接続は一般的に、金属層、及び/又は透明導電性酸化物(TCO)によって行う。これらには好ましくは、ITO、ドープされたITO、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ)、AZO(アルミニウムがドープされた酸化スズ)、ZnO、TiO2、Ag、Au、Pt、又はグラフェン、又は多層グラフェン、又はカーボンナノチューブが含まれる。接触部接続のために特に好ましいのは、ITOである。電気的接触部の接続のためにはまた、導電性ポリマー、例えばポリ−3,4−アルキレンジオキシチオフェン、例えばポリ−3,4−エチレンオキシチオフェンポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT)を使用することもできる。
【0276】
光に面する電極は、最低限の光吸収性をもたらすほど充分薄いが、抽出された電荷担体の良好な電荷輸送性を可能にするほど厚くなるように構成されている。(担体材料の無い)電極層の厚さは好ましくは、20〜200nmの範囲にある。
【0277】
特別な実施形態において、光に面しない電極(ノーマル構造におけるカソード、逆構造におけるアノード)のために使用する材料は、入射光を少なくとも部分的に反射する材料である。これには金属膜、好ましくはAg、Au、Al、Ca、Mg、Inの金属膜、及びこれらの混合物の金属膜が含まれる。好ましい混合物は、Mg/Alである。電極層の厚さは好ましくは、20〜300nmの範囲にある。
【0278】
光活性領域は、有機半導体A)を含有する少なくとも1つの層を有する、又はこのような少なくとも1つの層から成る。光活性層に加えて、1つ以上のさらなる層が存在していてよい。これらは例えば、
・電子伝導特性を有する層(電子輸送層、ETL)、
・正孔伝導材料を有する層(正孔輸送層:HTL)、これはあらゆる放射を吸収する必要はない、
・励起子及び正孔ブロック層(例えばEBL)、これは吸収してはならない、及び
・増幅層
から選択される。
【0279】
これらの層に適切な材料は、以下で詳細に記載する。
【0280】
適切な励起子及び正孔ブロック層は例えば、米国特許第6451415号明細書(US 6,451,415)に記載されている。励起子ブロック層のために適切な材料は例えば、バソクプロイン(BCP)、4,4’,4’’−トリス[3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)である。
【0281】
太陽電池は好ましくは、少なくとも1個の光活性ドナー・アクセプターヘテロ接合を有する。有機材料の光学的な励起によって、励起子が発生する。光電流が起こるためには、正孔電子対が分離されなければならず、通常は、2つの異なる接触材料の間のドナー・アクセプタ界面で分離される。このような界面においてドナー材料は、アクセプター材料とヘテロ接合を形成する。電荷が分離されない場合、これらは「クエンチ」としても知られる工程で、入射光よりもエネルギーが低い放射光によって放射的に、又は熱の生成により非放射的に再結合し得る。これらの工程はともに、好ましくない。
【0282】
少なくとも1種の一般式(I)の化合物を、n型半導体(電子伝導性、アクセプター)として使用する場合、これは太陽電池のETM(電子輸送材料)として用いられる。この場合にこれは、太陽電池のHTM(正孔輸送材料)として用いられる適切なp型半導体(電子ドナー材料)と組み合わせることができる。正孔伝導材料は好ましくは、高イオン化エネルギーを有する少なくとも1種の材料を含有する。この材料は、有機又は無機の材料であり得る。
【0283】
適切なHTMは例えば、以下のものである:
・N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン、
・N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン、
・N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン、
・N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2−ジメチルベンジジン、
・N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、
・2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン、
・N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、
・N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、
・N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、
・N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン、
・N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、
・ジ−[4−(N,N−ジトリル−アミノ)−フェニル]シクロヘキサン、
・2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジトリル)アミノ−スピロビフルオレン、
・9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、
・2,2’,7,7’−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、
・2,7−ビス[N,N−ビス(9,9−スピロ−ビフルオレン−2−イル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、
・2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、
・N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、
・N,N,N’,N’−テトラ−ナフタレン−2−イル−ベンジジン、
・2,2’−ビス(N,N−ジフェニル−アミノ)−9,9−スピロビフルオレン、
・9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、
・9,9−ビス[4−(N,N’−ビス−ナフタレン−2−イル−N,N’−ビス−フェニル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、
・酸化チタンフタロシアニン、銅フタロシアニン、
・2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8,−テトラシアノ−キノジメタン、
・4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン、
・4,4’,4’’−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン、
・4,4’,4’’−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン、
・4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、
・ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル、
・N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン、
・2,7−ビス[N,N−ビス(4−メトキシ−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、
・2,2’−ビス[N,N−ビス(4−メトキシ−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、
・N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,4−ジアミン、
・N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジトリル−アミノ)フェニル]ベンジジン、
・N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジフェニル−アミノ)フェニル]ベンジジン。
【0284】
ポリマーの正孔輸送材料の例は、PEDOT(ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリ(N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(PTPD)、ポリアニリン(PANI)、及びポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)である。
【0285】
第一の実施形態では、ヘテロ接合は平面的な構成を有する(Two layer organic photovoltaic cell, C. W. Tang, Appl. Phys. Lett, 48 (2), 183-185 (1986)、又はN. Karl, A. Bauer, J. Holzaepfel, J. Marktanner, M. Moebus, F. Stoelzle, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 252, 243-258 (1994)参照)。
【0286】
第二の好ましい実施形態においてヘテロ接合は、バルク(混合型)ヘテロ接合として構成されており、相互貫入型ドナー・アクセプターネットワークとも呼ばれる。バルクヘテロ接合を有する有機光太陽電池は例えば、C. J. Brabec, N. S. Sariciftci, J. C. HummelenがAdv. Funct. Mater., 1 1 (1), 15 (2001)に、又はJ. Xue, B. P. Rand, S. Uchida、及びS. R. ForrestがJ. Appl. Phys. 98, 124903 (2005)に記載している。バルクヘテロ接合については、以下で詳細に論じる。
【0287】
本発明による組成物は、MiM、pin、pn、Mip、又はMin構造を有する電池において光活性材料を作製するために使用することができる(M=金属、p=pドープ型有機又は無機の半導体、n=nドープ型有機又は無機の半導体、i=有機層の固有の伝導系、例えばJ. Drechselら、Org. Electron., 5 (4), 175 (2004)、又はMaennigら、Appl. Phys. A 79, 1 -14 (2004)参照)。
【0288】
本発明による組成物はまた、タンデムセルで光活性材料を作製するためにも使用できる。適切なタンデムセルは例えば、P. Peumans, A. Yakimov, S. R. ForrestがJ. Appl. Phys., 93 (7), 3693-3723 (2003)に記載しており(米国特許第4461922号明細書(US 4,461,922)、米国特許第6198091号明細書(US 6,198,091)、及び米国特許第6198092号明細書(US 6,198,092)も参照)、以下で詳細に記載する。
【0289】
本発明による組成物はまた、2個以上スタックされたMiM、pin、Mip、又はMin構造から構築されているタンデムセルにおける光活性材料を作製するためにも使用できる(独国特許出願公開第10313232.5号明細書(DE 103 13 232.5)、及びJ. Drechselら、Thin Solid Films, 451452, p515〜517 (2004)参照)。
【0290】
M層、n層、i層、及びp層の層厚は通常、10〜1000nm、より好ましくは10〜400nmの範囲にある。太陽電池を形成するその他の層は、当業者に公知の方法によって作製できる。これらの方法には、減圧下、若しくは不活性ガス雰囲気下での蒸着、レーザー剥離加工法、若しくは溶液処理法、若しくは分散液処理法、例えばスピンコート、ブレードコート、キャスト法、スプレー適用、ディップコート、又は印刷(例えばインクジェット、フレキソグラフィー、オフセット、グラビア、凹版、ナノインプリンティング)が含まれる。特定の実施形態において太陽電池全体は、溶液処理法によって製造する。
【0291】
適切な実施形態において太陽電池は、平面ヘテロ接合、及びノーマル構造を備える個別のセルとして存在する。特別な実施形態において、セルは以下の構造を有する:
・少なくとも部分的に透明な導電層(上面電極、アノード)(11)、
・正孔伝導層(12)、
・ドナー材料を含有する層(13)、
・アクセプター材料を含有する層(14)、
・励起子ブロック層及び/又は電子伝導層(15)、
・第二導電層(裏面電極、カソード)(16)。
【0292】
実質的に透明な導電層(11)(アノード)は、担体、例えばガラス又はポリマー(例えばポリエチレンテレフタレート)、及び前述のような導電性材料を有する。その例には、ITO、ドープされたITO、FTO、ZnO、AZOなどが含まれる。アノード材料は、表面処理(例えば紫外線、オゾン、酸素プラズマ、Br2などによる処理)にかけることができる。層(11)は、最大の光吸収性を可能にするために充分に薄いが、良好な電荷輸送性を保証するほどには厚いのが望ましい。透明導電層(11)の層厚は好ましくは、20〜200nmの範囲にある。
【0293】
ノーマル構造を有する太陽電池は任意で、正孔伝導層(=層12)を有する。この層は、少なくとも1つの正孔伝導材料(正孔輸送材料、HTM)を含有する。正孔伝導特性(HTL)を有する層を形成するのに適した正孔伝導材料(HTM)は好ましくは、高いイオン化エネルギーを有する材料を少なくとも1種、含有する。イオン化エネルギーは好ましくは、少なくとも5.0eV、より好ましくは少なくとも5.5eVである。この材料は、有機又は無機の材料であり得る。正孔伝導特性を有する層において使用するために適切な有機材料は好ましくは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT−PSS)、Ir−DPBIC(トリス−N,N’−ジフェニルベンズイミダゾール−2−イリデンイリジウム(lll))、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−MeOTAD)など、及びこれらの混合物から選択される。これらの有機材料は所望の場合、正孔伝導材料のHOMOと同じか、又はそれより低い範囲にあるLUMOを有するp型ドープ剤でドープすることができる。適切なドープ剤は例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノ−ジメタン(F4TCNQ)、WO3、MoO3などである。正孔伝導特性を有する層で使用するのに適した無機材料は好ましくは、WO3、MoO3などから選択される。
【0294】
存在する場合、正孔伝導特性を有する層の厚さは好ましくは、5〜200nm、より好ましくは10〜100nmの範囲にある。
【0295】
層(13)は、ドナー材料を少なくとも1種、含有する。この層の厚さは、最大量の光を吸収するために充分であるが、電荷の効果的な消費を可能にするほど薄いのが望ましい。層(13)の厚さは好ましくは、5nm〜1μm、より好ましくは5〜100nmの範囲にある。
【0296】
層(14)は、アクセプター材料を少なくとも1種、含有する。この層の厚さは、最大量の光を吸収するために充分であるが、電荷の効果的な消費を可能にするほど薄いのが望ましい。層(14)の厚さは好ましくは、5nm〜1μm、より好ましくは5〜80nmの範囲にある。
【0297】
適切なドナー材料、及びアクセプター材料は原則的に有機半導体であり、ここで少なくとも1つは、本発明による組成物から堆積された半導体A)である。
【0298】
ノーマル構造を有する太陽電池は任意で、励起子ブロック層及び/又は電子伝導層(15)(EBL/ETL)を有する。励起子ブロック層のために適切な材料は一般的に、層(13)及び/又は(14)の材料よりも大きなバンドギャップを有する。これらにはまず、励起子を反射する能力があり、第二に、層を通じた良好な電子輸送性を可能にする。層(15)のための材料は、有機若しくは無機の材料を含有することができる。適切な有機材料は好ましくは、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、1,3−ビス[2−(2,2’ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)などから選択される。これらの有機材料は所望の場合、電子伝導材料のLUMOと同じか、又はそれより低い範囲にあるHOMOを有するn型ドープ剤でドープすることができる。適切なドープ剤は例えば、CS2CO3、ピロニンB(PyB)、ローダミンB、コバルトセンなどである。電子伝導特性を有する層で使用するのに適した無機材料は好ましくは、ZnOなどから選択される。存在する場合、層(15)の厚さは好ましくは、5〜500nm、より好ましくは10〜100nmの範囲にある。
【0299】
層16はカソードであり、好ましくは仕事関数が低い化合物を少なくとも1種、より好ましくは金属、例えばAg、Al、Mg、Caなどを含有する。層(16)の厚さは好ましくは、約10nm〜10μm、例えば10nm〜60nmの範囲にある。
【0300】
さらなる適切な実施形態において本発明による太陽電池は、平面ヘテロ接合、及び逆構造を備える個別のセルとして存在する。
【0301】
特別な実施形態において、セルは以下の構造を有する:
・少なくとも部分的に透明な導電層(カソード)(11)、
・励起子ブロック層及び/又は電子伝導性層(12)、
・アクセプター材料を含有する層(13)、
・ドナー材料を含有する層(14)、
・正孔伝導層(15)、
・第二導電層(裏面電極、アノード)(16)。
【0302】
層(11)〜(16)のために適切で好ましい材料については、ノーマル構造を有する太陽電池における相応する層について先に述べたことを参照されたい。
【0303】
適切な実施形態において、本発明による太陽電池は、タンデムセルである。
【0304】
タンデムセルは、2個、又は2個より多くの(例えば3個、4個、5個など)のサブセルから成る。1つのサブセル、サブセルのうち幾つか、又は全てのサブセルは、光活性ドナー・アクセプターヘテロ接合を有することができる。それぞれのドナー・アクセプターヘテロ接合は、平面ヘテロ接合の形、又はバルクヘテロ接合の形であり得る。本発明によれば、少なくとも1つのサブセルの光活性層は、本発明による組成物から製造する。タンデムセルを形成するサブセルは、並列、又は直列で接続されていてよい。タンデムセルを形成するサブセルは好ましくは、直列で接続されている。各サブセルの間にそれぞれ、さらなる再結合層が存在するのが好ましい。各サブセルは、同じ極性を有する。すなわち、一般的にはノーマル構造を有するセルのみ、又は逆構造を有するセルのみを、相互に組み合わせる。
【0305】
ここで「サブセル」とは、先に規定したように、カソード及びアノードを有さないセルを言う。サブセルは例えば、光活性層においてすべてが多形2を有するか、又は半導体材料の別の組み合わせ(例えばC60と亜鉛フタロシアニン、C60とオリゴチオフェン、例えばDCV5T)を有し得る。加えて、各サブセルはまた、色素増感型太陽電池、又はポリマーセルとして構成されていてよい。
【0306】
一般式(I.a)、及び(I.b)の化合物に加えて、以下の半導体材料が、有機光電池において使用するために適している:
アセン、例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン、及び置換されたアセン。置換されたアセンは、電子供与置換基(例えばアルキル、アルコキシ、エステル、カルボキシレート、又はチオアルコキシ)、電子吸引性置換基(例えばハロゲン、ニトロ、又はシアノ)、及びこれらの組み合わせから選択される置換基を少なくとも1個有する。これらには、2,9−ジアルキルペンタセン、及び2,10−ジアルキルペンタセン、2,10−ジアルコキシペンタセン、1,4,8,11−テトラアルコキシペンタセン、及びルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)が含まれる。適切な置換ペンタセンは、米国特許出願公開第2003/0100779号明細書(US 2003/0100779)、及び米国特許第6864396号明細書(US 6,864,396)に記載されている。好ましいアセンは、ルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)である。
【0307】
フタロシアニン、例えばヘキサデカクロロフタロシアニン、及びヘキサデカフルオロフタロシアニン、金属不含フタロシアニン、及び二価金属を含有するフタロシアニン、特にチタニルオキシ、バナジルオキシ、鉄、銅、又は亜鉛のフタロシアニン、特に銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、及び金属不含フタロシアニン、銅ヘキサデカクロロフタロシアニン、亜鉛ヘキサデカクロロフタロシアニン、金属不含ヘキサデカクロロフタロシアニン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン、ヘキサデカフルオロフタロシアニン、又は金属不含のヘキサデカフルオロフタロシアニン。
【0308】
ポルフィリン、例えば5,10,15,20−テトラ(3−ピリジル)ポルフィリン(TpyP)。
【0309】
液晶(LC)材料、例えばヘキサベンゾコロネン(HBC−PhC12)、又はその他のコロネン、コロネンジイミド、又はトリフェニレン、例えば2,3,6,7,10,11−ヘキサヘキシルチオトリフェニレン(HTT6)、又は2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(4−n−ノニルフェニル)トリフェニレン(PTP9)、2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(ウンデシルオキシ)トリフェニレン(HAT11)。特に好ましいのは、ディスコティック液晶である。
【0310】
チオフェン、オリゴチオフェン、及びこれらの置換された誘導体。適切なオリゴチオフェンは、クアテルチオフェン、キンクチオフェン、セキシチオフェン、α,ω−ジ(C1〜C8)アルキルオリゴチオフェン、例えばα,ω−ジヘキシルクアテルチオフェン、α,ω−ジヘキシルキンクチオフェン、及びα,ω−ジヘキシルセキシチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ビス(ジチエノチオフェン)、アントラジチオフェン、及びジアルキルアントラジチオフェン、例えばジヘキシルアントラジチオフェン、フェニレン−チオフェン(P−T)オリゴマー、及びこれらの誘導体、特にα,ω−アルキル置換されたフェニレン−チオフェンオリゴマーである。
【0311】
好ましいチオフェン、オリゴチオフェン、及びこれらの置換された誘導体は、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、又はα,α’−ビス(2,2−ジシアノビニル)キンクチオフェン(DCV5T)型の化合物、ポリ(3−(4−オクチルフェニル)−2,2’−ビチオフェン)(PTOPT)、ポリ(3−(4’−(1’’,4’’,7’’−トリオキサオクチル)フェニル)チオフェン)(PEOPT)、ポリ(3−(2’−メトキシ−5’−オクチルフェニル)チオフェン)(POMeOPT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)(P3OT)、ピリジン含有ポリマー、例えばポリ(ピリドピラジンビニレン)、アルキル基で改質されたポリ(ピリドピラジンビニレン)、例えばEHH−PpyPz、PTPTBコポリマー、ポリベンズイミダゾベンゾフェナントロリン(BBL)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO);Brabec C., Adv. Mater., 2996, 18, 2884参照。(PCPDTBT)ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]−ジチオフェン)−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)]である。
【0312】
パラフェニレンビニレン、並びにパラフェニレンビニレンを含有するオリゴマー及びポリマーは例えば、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、MEH−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン))、MDMO−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン))、シアノ−パラフェニレンビニレン(CN−PPV)、アルコキシ基で改質されたCN−PPV。
【0313】
PPE−PPVハイブリッドポリマー(フェニレン−エチニレン/フェニレン−ビニレンハイブリッドポリマー)。
【0314】
ポリフルオレン、及び交互ポリフルオレンコポリマー、例えば4,7−ジチエン−2’−イル−2,1,3−ベンゾチアジアゾールとのコポリマー、並びにポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−co−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFB)。
【0315】
ポリカルバゾール、すなわちカルバゾールを含有するオリゴマー及びポリマー、例えば(2,7)、及び(3,6)。
【0316】
ポリアニリン、すなわち、アニリンを含有するオリゴマー及びポリマー。
【0317】
トリアリールアミン、ポリトリアリールアミン、ポリシクロペンタジエン、ポリピロール、ポリフラン、ポリシロール、ポリホスホール、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−MeOTAD)。
【0318】
フラーレン、特にC60、及びその誘導体、例えばPCBM(=[6,6]−フェニル−C61酪酸メチルエステル)。このような場合、フラーレン誘導体は、正孔伝導体となるだろう。
【0319】
ヨウ化銅(I)、チオシアン酸銅(I)。
【0320】
p−n混合材料、すなわちドナー及びアクセプターが1つの材料、ポリマー、ブロックコポリマー、C60を有するポリマー、C60アゾ染料、並びにカロテノイド系化合物、ポルフィリン系化合物、及びキノイド液晶化合物をドナー・アクセプター系として含有する三量体混合材料(例えばKellyがS. Adv. Mater. 2006, 18, 1754に記載)。
【0321】
本教示の態様は、上面電極、下面電極(ここで前記電極のうち少なくとも1つは透明である)、エレクトロルミネッセンス層、及び任意の補助層(ここでエレクトロルミネッセンス装置は、本発明による組成物から製造された半導体成分を含有する)を有するエレクトロルミネッセンス(EL)装置の作製に関する。EL装置は、電圧が電流とともに適用されると、光を放射するという事実によって特徴付けられる。このような装置は、工業技術において、発光ダイオード(LED)として従前から知られている。正の電荷(正孔)、及び負の電荷(電子)が、光の放射と結合するという事実に基づき、光が放射される。本願の意味合いにおいて、エレクトロルミネッセンス装置、及び有機発光ダイオード(OLED)という用語は、同義で用いる。一般的にEL装置は、幾つかの層から構築される。これらの層上には少なくとも、1種以上の有機電荷輸送化合物が含まれている。この層構造は、原則的に以下の通りである:
1.担体、基板
2.底部電極(アノード)
3.正孔注入層
4.正孔輸送層
5.発光層
6.電子輸送層
7.電子注入層
8.上部電極(カソード)
9.接触部
10.カバー、封入部。
【0322】
この構造は、最も一般的な場合を表しており、それぞれの層を省略することによって省略化でき、これによって1つの層が、複数の役割を担うことになる。最も単純な場合、EL装置は、有機層が配置されている2つの電極から成り、この有機層は、発光を含む全ての機能を満たす。有機発光ダイオードの構造、及びその製造方法は、原則的に、例えば国際公開第2005/019373号(WO 2005/019373)から当業者に公知である。OLEDの各層のために適切な材料は例えば、国際公開第00/70655号(WO 00/70655)に開示されている。これらの文献の開示については、ここで参照される。本発明によるOLEDは原則的に、当業者に公知の方法によって製造できる。OLEDは、適切な基板上に各層を連続的に堆積させることによって製造できる。適切な実施形態において、全ての層は、溶液処理法によって製造する。代替的な実施形態において、半導体A)を含有しない少なくとも1つの層は、当業者に公知の気相堆積技術によって被覆することができる。
【0323】
基板1として適切なのは、透明な担体、例えばガラス又はプラスチックフィルム(例えばポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリイミドシート)である。透明な導電性材料として適切なのは、a)金属酸化物、例えばインジウムスズオキシド(ITO)、酸化スズ(NESA)などであり、b)半透明金属フィルム、例えばAu、Pt、Ag、Cuなどである。
【0324】
少なくとも1つの半導体A)は、電荷輸送材料(電子伝導体)として役立つ。よって、以下の層:電子注入層、電子輸送層、又は透明電極の一部のうち少なくとも1つは、本発明による組成物から製造された半導体成分を含む。
【0325】
本発明によるEL適用において、低分子量材料、又はオリゴマー材料、またポリマー材料が、発光層5として使用できる。これらの物質は、これらがフォトルミネッセンスであることによって特徴付けられる。従って、適切な物質は例えば、オリゴマーを形成するか、又はポリマーに組み込まれている蛍光色素、及び蛍光生成物である。このような材料の例は、クマリン、ペリレン、アントラセン、フェナントレン、スチルベン、ジスチリル、メチン、又は金属錯体、例えばAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)などである。適切なポリマーには、任意で置換されたフェニレン、フェニレンビニレン、又はポリマー側鎖に、若しくはポリマー骨格に蛍光を発する部分を有するポリマーが含まれる。詳細なリストは、欧州特許出願公開第532798号明細書(EP-A-532 798)に記載されている。好ましくは、ルミネッセンスを増大させるため、電子注入層又は正孔注入層(3及び/又は7)は、EL装置に組み込むことができる。電荷(正孔及び/又は電子)を輸送する多くの有機化合物は、文献に記載されている。主に低分子量の物質が用いられ、低分子量の物質は、溶液処理に適切である。物質の分類とこれらの物質の使用に関する包括的な調査は例えば、以下の文献に示されている(欧州特許出願公開第387715号明細書(EP-A 387 715)、米国特許第4539507号明細書(US 4,539,507)、米国特許第4720432号明細書(US 4,720,432)、及び米国特許第4769292号明細書(US 4,769,292))。好ましい材料は、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))であり、これはOLEDの透明電極でも使用できる。
【0326】
本発明による組成物を使用する結果として、高効率のOLEDを得ることができる。これらのOLEDは、エレクトロルミネッセンスが有用なあらゆるデバイスで使用できる。適切なデバイスは好ましくは、据え置き型、及び可搬型の視覚ディスプレイユニットから選択される。据え置き型の視覚ディスプレイユニットは例えば、コンピューターの視覚ディスプレイユニット、テレビ、プリンター、キッチン器具、及び公告パネルにおける視覚ディスプレイユニット、イルミネーション、及び情報パネルである。可搬型のディスプレイユニットは例えば、携帯電話、ラップトップ型コンピューター、デジタルカメラ、車両における視覚ディスプレイユニット、並びにバス、及び電車における行き先ディスプレイである。さらに、本発明による組成物は、逆構造を有するOLEDを作製するために使用できる。逆型のOLED構造、及びそこで通常使用される材料は、当業者に公知である。
【0327】
以下の図面と実施例は、本発明を説明するために役立つが、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0328】
以下の化合物(A)を使用した:
【化23-1】
【化23-2】
【図面の簡単な説明】
【0329】
図1】DMP:トルエン(1:3)の混合物から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す(実施例1)。
図2】アセチルアセトンから化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す(比較例2)。
図3】トルエンから化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す(実施例3)。
図4】aは、DMPから化合物A9)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す(実施例48.1)。画像の左下部にある黒い線は、50μmの距離を示す。bは、EthAcから化合物A9)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す(比較例48.4)。画像の左下部にある黒い線は、50μmの距離を示す。
図5】aは、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例52)、ここでUGS=−20V〜+50V、UDS=50Vである。bは、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例52)、ここでUDS=0V〜+45V、UGS=15、30、45、及び60Vである。
図6】aは、DMP:Acac(1:9)溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例53)、ここでUGS=−30V〜+60V、UDS=20Vである。bは、DMP:Acac(1:9)溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例53)、ここでUDS=0V〜+20V、UGS=0、15、30、45、及び60Vである。
図7】aは、30nmのAl23絶縁誘電層を有するウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例54)、ここでUGS=−2V〜+10V、UDS=5Vである。bは、30nmのAl23絶縁誘電層を有するウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例54)、ここでUDS=0V〜+10V、UGS=5.75V、及び10Vである。
図8】aは、4−エトキシフェニルホスホン酸による表面改質後のウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例55)、ここでUGS=+2V〜+15V、UDS=10Vである。bは、4−エトキシフェニルホスホン酸による表面改質後のウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例55)、ここでUDS=0V〜+10V、UGS=9、12、及び15Vである。
図9】aは、基材としてのポリエチレンテレフタレートシート上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例56)、ここでUGS=−20V〜+60V、UDS=40Vである。bは、基材としてのポリエチレンテレフタレートシート上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例56)、ここでUDS=0V〜+60V、UGS=15、30、45、及び60Vである。
図10】aは、SiO2ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例57)、ここでUGS=−20V〜+50V、UDS=50Vである。bは、SiO2ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例57)、ここでUDS=0V〜+50V、UGS=20、30、40、及び50Vである。
図11】aは、表面改質後のAl23ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例58)、ここでUGS=+2V〜+15V、UDS=10Vである。bは、表面改質後のAl23ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例58)、ここでUDS=0V〜+10V、UGS=12、及び15Vである。
図12】aは、SiO2ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる、ポリ(メチルメタクリレート)/トリメチロールプロパントリアクリレートのボトムゲート誘電体を用いた半導体の輸送特性を示し(実施例59)、ここでUGS=−10V〜+50V、UDS=40Vである。bは、SiO2ウェハ上に、DMP溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる、ポリ(メチルメタクリレート)/トリメチロールプロパントリアクリレートのボトムゲート誘電体を用いた半導体の出力特性を示し(実施例59)、ここでUDS=0V〜+40V、UGS=10、20、30、40、及び50Vである。
図13】aは、30nmのAl23絶縁誘電層を有するウェハ上に、DMP溶液から化合物A3)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例60)、ここでUGS=−30V〜+60V、UDS=50Vである。bは、30nmのAl23絶縁誘電層を有するウェハ上に、DMP溶液から化合物A3)をインクジェット印刷することにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例60)、ここでUGS=−30V〜+60V、UDS=50Vである。
図14】aは、DMP:トルエン(1:3)溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の輸送特性を示し(実施例63)、ここでUGS=−2V〜+10V、UDS=3Vである。bは、DMP:トルエン(1:3)溶液から化合物A1)をドロップキャストすることにより得られる半導体の出力特性を示し(実施例63)、ここでUDS=0V〜+8V、UGS=2、4、6、8、及び10Vである。
【0330】
実施例
試料の製造1(主に、様々な半導体の特性決定のために用いる):
熱により成長させた240nmの二酸化ケイ素で被覆した、変性ドープシリコンウェハ(WRS Matarials社製、ホウ素で高度にpドープされたウェハ、厚さ550〜600μm)を、基板として用いた。これらのウェハを2分間、酸素プラズマ処理にかけ(100W、1分当たり20標準立方センチメートル(sccm)のガス流量)、及び引き続きオクタデシルトリクロロシラン(OTS)をトルエンに入れた0.2体積%溶液中で、室温で17分間、含浸させた。続いて、この試料を溶液から取り出し、トルエンですすぎ、30分間、90℃で焼いた。続いて、直径7.3mmの穴を有する層厚0.5〜1mmのポリジメチルシロキサン(PDMS)を、疎水性基板上に置き、これを引き続き5分間、エアプラズマ処理した。このプラズマによって、PDMS層の穴の位置における疎水性単分子層が燃焼により除去され、剥き出しの、比較的親水性のSiO2表面が露出する。
【0331】
各溶媒は純粋な形で使用するか、又は各溶媒の混合物を最初に製造する。0.1質量%の半導体粉末を、各溶媒、又は溶媒混合物中に溶解させ、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターによって濾過した。この基材をホットプレート(トルエン以外の全ての溶媒について温度は70℃、ここで乾燥のためには30℃を使用した)に置き、有機半導体溶液1μLを、ピペットにより親水性領域にドロップキャストした。基材は、溶液が乾燥した後に取り除いた。反射モードで偏光顕微鏡のもと、光学画像を記録した。
【0332】
試料製造2(溶媒混合物による実験を行うため、またトランジスタを作製するために使用)
Al23(厚さ30nm、原子層堆積により成長)で被覆された変性ドープシリコンウェハを2分間、酸素プラズマ処理にかけ(100W、ガス流量20sccm)、引き続き、テトラデシルホスホン酸(TDPA)をイソプロパノールに入れた1.5mMの溶液中で、室温で1時間、含浸させた。引き続き、この試料を溶液から取り出し、5分間、120℃で焼いた。この手順により、疎水性の自己組織化単分子層(SAM)が、22mN/mの表面エネルギーを有するAl23表面上に得られる(表面エネルギーは、接触角測定により特定)。続いて、直径7.3mmの穴を有する厚さ0.5〜1mmのPDMS層を、疎水性基板上に置き、これを引き続き5分間、エアプラズマ処理した。このプラズマによって、PDMS層の穴の位置における疎水性単分子層が燃焼により除去され、剥き出しの、比較的親水性のAl23表面が露出する。こうして生成する、プラズマ処理された基板の親水性領域をその後、TDPA SAMについて先に記載したのと同じように、4−エトキシフェニルホスホン酸(EPPA)で処理した。この工程により、第二のプラズマ処理工程にかけられた環状領域において、親水性EPPA SAMが得られる。EPPAで処理した領域の表面エネルギーは、36mN/mと測定された。
【0333】
0.1質量%の半導体粉末を、一定で振りながら1時間、80℃で各溶媒に溶解させた。この溶液を室温に冷却した後、これを0.2μmのPTFEフィルターにより濾過した。溶媒混合物を用いた場合、まず半導体をそれぞれの各溶媒に溶解させ、80℃で1時間振り、濾過し、続いて各溶媒比で混合した。1μLの有機半導体溶液を、ピペットで親水性EPPA領域上に、上昇させた基材温度(70℃、ホットプレート上に置いた基材)でドロップキャストした。数時間〜2日間、70℃で乾燥させた後、これらの試料を真空炉に移し、さらに3時間、60〜90℃に加熱し、残りの溶媒を完全に除去した。反射モードで偏光顕微鏡のもと、光学画像を記録した。
【0334】
試料製造法3:
分子量が2,000,000の所定量のポリスチレン(PS)(Alfa Aesar社製、PS-Lot: K05Y052)を、室温で各溶媒に溶解させ、ポリマーが溶解されるまで撹拌した。それから、0.1質量%の有機半導体を混合物中に溶解させた。顕微鏡のカバースライドガラスを基材として使用し、最初にアセトンで完全にすすいだ。それからこの溶液を、ホットプレート上で70℃に加熱しておいた顕微鏡のカバースライドガラス上にドロップキャストした。代替的な実験では、溶液をワイヤバーコーター(4μm)によって、加熱したスライドガラス(70℃)上に適用した。光学顕微鏡により、顕微鏡画像を得た。
【0335】
トランジスタの作製、及び電気的な測定:
金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを通じて、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、Lakeshore CRX - 6.5K probe stationで真空中(10-6mbar未満)、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0336】
溶媒、溶媒混合物、又はポリマー・溶媒混合物の粘度測定
粘度は、粘度計のBrookfield DV-ll+Pro Viscosimeterを用いて、温度23℃、剪断速度93s−1、回転速度100rpmで、13Rのカップと、21段階スピンドル(21 spindle)により測定した。
【0337】
溶媒、及び溶媒混合物の表面張力測定の工程の説明:
表面張力は、Kruess社製のTensiometer K100を用いて、Wilhelmy法・プレート法により測定した。
【0338】
実施例1:
上記試料製造法2に従って、半導体(A1)の結晶性材料を、DMP及びトルエンの溶媒混合物(質量比1:3)を用いて製造した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は70℃で、ホットプレート上で行った。図1は、こうして得られた結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す。本発明の意味合いにおいて溶媒(L1)としてのDMPと、溶媒(L2)としてのトルエンとの組み合わせにより、結合した連続的な薄い結晶の面積が大きい半導体材料につながる。
【0339】
実施例2(比較例):
上記試料製造法2に従って、半導体(A1)の結晶性材料を、溶媒としてアセチルアセトンを用いて製造した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は70℃で、ホットプレート上で行った。図2は、こうして得られた結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す。本発明の意味合いにおける溶媒(L1)ではない溶媒を使用することによって、結合していない厚い多結晶アグロメレートを有する半導体材料につながる。
【0340】
実施例3(比較例):
上記試料製造法2に従って、半導体(A1)の結晶性材料を、溶媒としてトルエンを用いて製造した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は30℃で、ホットプレート上で行った。図3は、こうして得られた結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示す。本発明の意味合いにおける溶媒(L1)ではないトルエンを単独で使用することによって、結合していない厚い多結晶アグロメレートを有する半導体材料につながる。
【0341】
実施例4〜22:
上記試料製造法2に従って、半導体(A1)の結晶性材料を、溶媒として表1に記載の純粋な溶媒を用いて製造した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は70℃で(トルエンを除く、トルエンでは乾燥のために30℃の温度を使用した)、ホットプレート上で行った。こうして得られた結晶性半導体材料を、偏光光学顕微鏡によって試験した。その結果が、表1に示されている。本発明の意味合いにおける溶媒(L1)によってそれぞれの場合に、結合した薄い結晶の面積が大きい半導体材料が得られた。溶媒(L1)とは異なる溶媒を用いることにより、厚い多結晶アグロメレートを有する半導体材料につながる。
【表1-1】
【表1-2】
#)(+)は、薄い結晶膜が形成されたこと、(-)は、結合していない厚い多結晶アグロメレートが形成されたことを表す。
【0342】
純粋な溶媒の溶媒パラメータは、Knovel Critical Tables (2nd Edition 2008)、電子ISBN: 978-1 -59124-550-6から取得した。
【0343】
実施例23〜40:
溶媒混合物のための上記試料製造法2、及び溶媒・ポリマー混合物のための試料製造法3に従って、半導体(A1)の結晶性材料を、表2に記載の溶媒混合物、又は溶媒・ポリマー混合物を用いて製造した。全ての溶液は、特に記載されていなければ、ドロップキャストにより堆積した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は70℃で(純粋なトルエンを除く、純粋なトルエンは30℃で乾燥させた)、ホットプレート上で行った。こうして得られた結晶性半導体材料を、偏光光学顕微鏡によって試験した。その結果が、表2に示されている。本発明の意味合いにおける溶媒(L1)を含有する溶媒によってそれぞれの場合に、結合した薄い結晶の面積が大きい半導体材料が得られた。溶媒としてトルエンを使用する場合、粘稠剤としてポリスチレン(PS)を用いることによる溶液の粘度上昇は、得られる半導体材料の品質改善につながらない。トルエン・ポリマー混合物を用いることにより、結合していない厚い結晶を有する半導体材料につながる。言い換えると、本発明による溶媒が溶液中に含有される場合のように好ましい半導体結晶を得るためには、粘稠剤を添加することによっては、トルエンのような低粘度溶媒の粘度を人工的に増加させるためには充分ではないということである。
【表2-1】
【表2-2】
【0344】
実施例41〜47:
上記試料製造法1に従って、表3に記載の半導体の結晶性材料を、表3に記載の溶媒混合物、又は溶媒・ポリマー混合物を用いて製造した。全ての溶液は、特に記載されていなければ、ドロップキャストにより堆積した。半導体溶液の固体含分は0.1質量%であり、乾燥は70℃で(トルエンを除く、トルエンでは乾燥のために30℃の温度を使用した)、ホットプレート上で行った。こうして得られた結晶性半導体材料を、偏光光学顕微鏡によって試験した。その結果が、表3に示されている。
【表3】
【0345】
実施例48:半導体A9)のドロップキャスト
A9)を表1に記載の溶媒に入れた0.1質量%の溶液を、SiO2基材に適用し、溶媒を蒸発させる。A9)をフタレートに入れた溶液を製造するため、80℃で60分間、半導体をフタレート中で撹拌する。図4aは、DMPから化合物A9)をドロップキャストすることにより得られる結晶性有機膜の偏光光学顕微鏡写真を示し、図4bは、EthAcから化合物A9)をドロップキャストすることにより得られる膜の顕微鏡写真を示す。見て分かるように、本発明の組成物から得られる結晶は、明らかにより大きな結晶面積を示す。
【表4】
+)比較用、#)小さな多結晶〜非晶質の結合していないアグロメレート。
【0346】
実施例49:半導体A10)のドロップキャスト
A10)を表1に記載の溶媒に入れた0.1質量%の溶液を、SiO2基材に適用し、溶媒を蒸発させる。A10)をフタレートに入れた溶液を製造するため、80℃で60分間、半導体をフタレート中で撹拌する。偏光光学顕微鏡写真において、本発明の組成物から得られる結晶は、明らかにより大きな結晶面積を示す。
【表5】
+)比較用、#)小さな多結晶〜非晶質の結合していないアグロメレート。
【0347】
実施例50:半導体A3)のドロップキャスト
A3)を表1に記載の溶媒に入れた0.1質量%の溶液を、SiO2基材に適用し、溶媒を蒸発させる。A3)をフタレートに入れた溶液を製造するため、80℃で60分間、半導体をフタレート中で撹拌する。偏光光学顕微鏡写真において、本発明の組成物から得られる結晶は、明らかにより大きな結晶面積を示す。
【表6】
+)比較用、#)小さな多結晶〜非晶質の結合していないアグロメレート。
【0348】
実施例51:半導体A1)のドロップキャスト
A1)を表1に記載の溶媒に入れた0.1質量%の溶液を、SiO2基材に適用し、溶媒を蒸発させる。A1)をフタレートに入れた溶液を製造するため、80℃で60分間、半導体をフタレート中で撹拌する。偏光光学顕微鏡写真において、本発明の組成物から得られる結晶は、明らかにより大きな結晶面積を示す。
【表7】
+)比較用、#)小さな多結晶〜非晶質の結合していないアグロメレート。
【0349】
OFETデバイスの製造、及び電気的な特性決定
実施例52:DMP溶液からA1)を、SiO2ウェハ上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、熱で酸化したシリコンの絶縁性誘電層100nm)を、バックゲート基板として用いた。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅が(W)200μm、長さが(L)100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0350】
その測定結果は、図5a及び5bにそれぞれ記載されている。
【0351】
実施例53:DMP:Acac(1:9)溶液からA1)を、SiO2ウェハ上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレートとアセチルアセトンとの混合物(1:9)中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、熱で酸化したシリコンの絶縁性誘電層100nm)を、バックゲート基板として用いた。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0352】
その測定結果は、図6a及び6bにそれぞれ記載されている。
【0353】
実施例54:DMP溶液からA1)を、Al23層上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、Al23の絶縁性誘電層30nm)を、バックゲート基板として用いた。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0354】
その測定結果は、図7a及び7bにそれぞれ記載されている。
【0355】
実施例55:DMP溶液からA1)を、表面改質後のAl23上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、Al23の絶縁性誘電層30nm)を、バックゲート基板として用いた。材料を堆積させる前に、表面処理を行った。この基板をO2プラズマに300秒間さらした。4−エトキシフェニルホスホン酸(CAS 69387-02-6)をイソプロパノール中に、2mMolの濃度で(通常4mg/10ml)溶解させ、室温で20分間、撹拌した。この基板を溶液中で1時間、カバーをかけたペトリ皿内で含浸した。続いてイソプロパノールですすいだ後、N2下で乾燥させ、基材をホットプレート上にて150℃で焼いた。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0356】
その測定結果は、図8a及び8bにそれぞれ記載されている。
【0357】
実施例56:DMP溶液からA1)を、PET基材上にドロップキャスト
PVCH/PMMAトップゲートを用いた、ボトムコンタクト・トップゲート型電界効果トランジスタの製造
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(Hostaphan 4600GN 175、三菱ポリエステルフィルム社製)を基板として使用した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が500μm、長さ(L)が50μmのチャネルを得た。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にある基板に堆積させた。この溶媒を完全に蒸発させた後、試料を70℃で1時間にわたり真空炉内に入れ、残りの溶媒を排除した。ポリビニルシクロヘキサン(PVCH)(シクロヘキサン中で0.4%)をスピンコートし(4000rpm、30秒)、90℃で5分間、乾燥させた。ポリメチルメタクリレート(PMMA)(酢酸ブチル/乳酸エチル(4:6)中で4〜7質量%のもの)をスピンコートし(2000rpm/60秒)、90℃で120秒間、乾燥させた。PVCH/PMMA誘電体の厚さは、420nmであった(εr=4)。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0358】
その測定結果は、図9a及び9bにそれぞれ記載されている。
【0359】
実施例57:DMP溶液からA1)を、SiO2ウェハ上にインクジェット印刷
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、熱で酸化したシリコンの絶縁性誘電層100nm)を、バックゲート基板として用いた。インクはプリンターのDimatix DMP2831により液滴間隔20μmで、35℃のノズル及び室温の印刷板により印刷した。印刷された基板は5時間、60℃で周囲空気で乾燥し、それから第二の乾燥工程により1時間、110℃で真空炉内で乾燥させた(圧力は約5mbar)。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0360】
その測定結果は、図10a及び10bにそれぞれ記載されている。
【0361】
実施例58:DMP溶液からA1)を、表面改質後のAl23上にインクジェット印刷
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、Al23の絶縁性誘電層30nm)を、バックゲート基板として用いた。材料を堆積させる前に、表面処理を行った。この基板をO2プラズマに300秒間さらした。4−エトキシフェニルホスホン酸(CAS 69387-02-6)をイソプロパノール中に、2mMolの濃度で(通常4mg/10ml)溶解させ、室温で20分間、撹拌した。この基板を溶液中で1時間、カバーをかけたペトリ皿内で含浸した。続いてイソプロパノールですすいだ後、N2下で乾燥させ、基材をホットプレート上にて150℃で焼いた。インクはプリンターのDimatix DMP2831により液滴間隔20μmで、35℃のノズル及び室温の印刷板により印刷した。印刷された基板は5時間、60℃で周囲空気で乾燥し、それから第二の乾燥工程により1時間、110℃で真空炉内で乾燥させた(圧力は約5mbar)。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6E-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、W/Lが200μm/100μmの典型的なチャネルを得た。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0362】
その測定結果は、図11a及び11bにそれぞれ記載されている。
【0363】
実施例59:DMP溶液からA1)を、ポリ(メチルメタクリレート)/トリメチロールプロパントリアクリレートボトムゲート誘電体を用いたSiO2ウェハ上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。紫外線で架橋したポリマー誘電体を有する、WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、熱で酸化したシリコンの絶縁性誘電層100nm)を、バックゲート基板として用いた。誘電特性は、以下の表にまとめてある。
【表8】
【0364】
1〜10μLの溶液を、フローボックス内で60〜90℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、W/Lが200μm/100μmの典型的なチャネルを得た。電気的な特性決定は、暗室内で周囲条件下、行った。電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内で、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0365】
その測定結果は、図12a及び12bにそれぞれ記載されている。
【0366】
実施例60:DMP溶液からA3)を、Al23上にインクジェット印刷
半導体材料A3)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。WRS Materials社製の、ホウ素で高度にpドープしたSi/SiO2ウェハ(厚さ550〜600μm、Al23の絶縁性誘電層30nm)を、バックゲート基板として用いた。インクはプリンターのDimatix DMP2831により液滴間隔20μmで、35℃のノズル及び室温の印刷板により印刷した。印刷された基板は5時間、60℃で周囲空気で乾燥し、それから第二の乾燥工程により1時間、110℃で真空炉内で乾燥させた(圧力は約5mbar)。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、70℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が100μmのチャネルを得た。電気的な特性決定は、暗室内で周囲条件下、Agilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0367】
その測定結果は、図13a及び13bにそれぞれ記載されている。
【0368】
実施例61、及び例62:(液晶形態への液滴乾燥時間の影響)
実施例61:
試料製造1aで挙げた手順に従って、半導体(A1)と、DMP/Acac混合物(1:3)との混合物を製造し、顕微鏡のカバースライドガラス上にドロップキャストすることにより適用し、基板温度70℃で乾燥した。乾燥の間に、透過型偏光顕微鏡設定で、結晶化がその場で(in-situ)観察された。この液体をカバースライドガラス上に置いたら直ちに、結晶化が薄い結晶(この結晶はDMP/Acac混合物上に浮いた)の形で始まった。
【0369】
比較例62:
0.1質量%の半導体(A1)をトルエン中に溶解し、10μmの液滴を二酸化ケイ素上にドロップキャストすることによって適用し、被覆されたシリコンウェハを室温に保った。続いて、ペトリ皿をシリコンウェハの上方に置くことによって、液滴も閉じ込めた。このため乾燥時間は、著しく延長された(30分超)。この液体を乾燥させた後、図3に示したものに比べて大きな、結合していない結晶が観察された。
【0370】
実施例61、及び比較例62は、溶液の乾燥時間が、結晶の性質に対して影響をもたらさないことを示している。本発明による溶媒(L1)によって、乾燥時間が、本発明による溶媒(L1)ではない溶媒に比べて著しく短くても、良好な半導体材料が得られる。
【0371】
実施例63:DMP:トルエン(1:3)混合物からA1)を、表面改質後のAl23上にドロップキャスト
半導体材料A1)の0.1質量%溶液を、ジメチルフタレート中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。半導体材料A1)の第二の0.1質量%溶液を、トルエン中に1時間、80℃で溶解させることによって製造し、それからさらに30分間、撹拌した。これら2つの溶液を、1(DMP)対3(トルエン)の比率で混合した。この溶液を周囲温度まで冷却し、0.2μmのPTFEフィルターによって濾過した。Al23(厚さ30nm、原子層堆積により成長)で被覆された、WRS Materials社製のシリコンウェハ(ホウ素で高度にpドープされたもの、厚さ550〜600μm)を2分間、酸素プラズマ処理にかけ(100W、ガス流量は20sccm)、引き続き、テトラデシルホスホン酸(TDPA)をイソプロパノールに入れた1.5mMの溶液中で、室温で1時間、含浸させた。引き続き、この試料を溶液から取り出し、イソプロパノールですすぎ、ホットプレート上で5分間、120℃で焼いた。この手順により、疎水性の自己組織化単分子層(SAM)が、22mN/mの表面エネルギーを有するAl23表面上に得られる(表面エネルギーは、水接触角測定により特定)。続いて、直径7.3mmの穴を有する厚さ0.5〜1mmのPDMS層を、疎水性基板上に置き、これを引き続き2分間、エアプラズマ(100W、ガス流量20sccm)で処理した。このプラズマによって、PDMS層の穴の位置における疎水性単分子層が燃焼により除去され、剥き出しの、比較的親水性のAl23表面が露出する。1〜10μLの溶液を、フローボックス内で70℃のホットプレート上にあるウェハに堆積させた。溶媒を完全に蒸発させた後、試料を1時間、90℃の真空炉内に入れ、膜内に捕捉された残りの溶媒を排除した。金の接触部(Umicore社、99.99%)を、基底圧6×10-6mbarで、カプトン(kapton)シャドーマスクを介して、熱蒸着で堆積させ、幅(W)が200μm、長さ(L)が50μmのチャネルを得た。変性ドープシリコンウェハはバックゲート基板として使用し、電気的な特性決定は、周囲条件下の暗室内でAgilent 4145C Semiconductor Parameter Analyzerを用いて行った。
【0372】
その測定結果は、図14a及び14bにそれぞれ記載されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14