(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二次電池を前記梱包体に収納してから1気圧25℃の環境下で30日間放置した後の充電率が前記二次電池を前記梱包体に収納する直前の充電率の98%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、1気圧、25℃における環境下にあるものとして説明する。
【0031】
(数平均粒子径)
本発明における数平均粒子径は、一次粒子が凝集した二次粒子の数平均粒子径を指し、一次粒子が凝集した二次粒子が存在しない場合は一次粒子を指す。
粒子が球状の場合は直径を、球状以外の場合は粒子の最大辺を走査電子顕微鏡(SEM)像や透過型電子顕微鏡(TEM)像から粒子毎に測定し、個数で平均を算出した値である。数平均粒子径の平均を正確に算出するためには、SEM観察で任意の粒子50個以上観察することが好ましい。
【0032】
(比表面積)
本明細書における比表面積は、BET法での測定結果に基づき、算出できる値である。
【0033】
以下、本発明の梱包物100を説明するにあたって、まず本発明の梱包物100及び実施形態を概念的に説明し、その後、本発明の実施形態を用いて本発明の梱包物100を詳細に説明する。
【0034】
<梱包体>
梱包物100は、
図1,
図2から読み取れるように、梱包体101にあらかじめ充電された非水電解液二次電池10(以下、単に二次電池10ともいう)を収納したものである。
【0035】
<梱包物>
梱包体101は、1又は複数の二次電池10を収納可能な箱体である。
【0036】
<非水電解液二次電池>
非水電解液二次電池10は、
図6に示されるように、正極2と、非水電解液4と、負極1と、セパレータ3とが封入された封入体8を有している。封入体8の内部では、正極2、負極1、及びセパレータ3の少なくとも表面にリチウムイオン伝導を担う非水電解液4が存在している。
【0037】
正極2及び負極1は、
図5に示されるように、電極反応に寄与する各極の活物質を含む活物質層17,16が集電体15,14上に形成されている部分のことを指す。
すなわち、正極2は、集電体15の一部と正極活物質層17で形成された部分であり、負極1は、集電体14の一部と負極活物質層16で形成された部分である。
この部分を含む部材を正極部材22及び負極部材21と呼称することとする。すなわち、正極部材22は、集電体15の片面又は両面に正極活物質層17が積層されたものであり、負極部材21は、集電体14の片面又は両面に負極活物質層16が積層されたものである。
本実施形態の正極部材22は、集電体15の両面に正極活物質層17が積層されており、負極部材21は、集電体14の両面に負極活物質層16が積層されている。
【0038】
セパレータ3は、電気絶縁材料からなり、負極1と正極2との間に挟持されている。すなわち、セパレータ3は、電気絶縁性を有し、負極1及び正極2間に介在している。
【0039】
正極2及び負極1には、
図5のように、少なくともその極毎に端子7(72,71)が個別に電気的に接続されている。各端子72,71は、少なくとも封入体8の外側に、端子延在部9,9を有している。すなわち、二次電池10は、封入体8から外部に各端子72,71が延出しており、端子延在部9,9は、各端子72,71の延出部分である。
端子延在部9,9には、正極2と接続された正極端子72の一部が封入体8から外部に延出した正極側端子延在部9aと、負極1と接続された負極端子71の一部が封入体8から外部に延出した負極側端子延在部9bが存在する。
【0040】
二次電池10は、正極2/セパレータ3/負極1、又は負極1/セパレータ3/正極2からなる積層体たる単セル5を複数積層し、その他必要な部材を取り付ける等して電極群を形成する。
具体的には、二次電池10は、セパレータ3/正極2/正極2/セパレータ3/負極1/負極1/セパレータ3/正極2/正極2/セパレータ3/負極1/負極1/セパレータ3の順に積層する。その後、この電極群をラミネートフィルム等の外装に封入して封入体8を形成し、この封入体8を本体として有することが好ましい。
本実施形態の二次電池10は、
図5のように、セパレータ3/正極部材22/セパレータ3/負極部材21/セパレータ3/正極部材22/セパレータ3/負極部材21/セパレータ3の順に積層されており、これらの積層部分が封入体8によって封止されている。すなわち、二次電池10は、セパレータ3,3によって各電極部材21,22が挟まれている。
また、単セル5を巻回し、その他必要な部材を取り付ける等して電極群を形成する。その後に、この電極群をラミネートフィルム等の外装に封入して封入体8を形成し、この封入体8を本体として有するものであることが好ましい。
【0041】
二次電池10は、出荷状態の充電容量(SOC;State of Charge)が満充電容量の30%以上60%以下となっている。
ここでいう「出荷状態」とは、二次電池10を出荷用に梱包した時点から、梱包体101から開封し、実際に二次電池10を使用するために機器類に接続する直前までの状態を示す。すなわち、梱包物100は一種の出荷状態であるから、梱包体101に梱包された二次電池10のSOCは、満充電容量の30%以上60%以下となっている。
【0042】
ここで、SOCは、以下の方法で測定できる。
すなわち、二次電池10をその作動範囲電圧内において低レート(例えば、電池10を作動範囲電圧内で充電するために必要な時間が10時間必要な電流値、いわゆる0.1C)で充電を行う。また、その低レートにおける充電時間の1/20ごとに充電を一時中断し、一定期間放置後(例えば、5時間放置後)に二次電池10の電圧を測定する。こうすることで、電圧とSOCの関係図を構築することができるので、その後は関係図を用いて二次電池10の電圧からSOCを読み取ることで把握できる。
【0043】
封入体8の外側に延出している端子延在部9,9は、出荷状態において絶縁体たる保護部材25,26で保護されていることが自己放電による意図しないSOCの低下を抑制する観点から好ましい。
保護部材25,26は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの絶縁樹脂製のものが使用できる。
【0044】
続いて、本発明の第1実施形態の梱包物100について詳細に説明する。
【0045】
本発明の第1実施形態の梱包物100は、
図1,
図2,
図3から読み取れるように、梱包体101内に複数の二次電池10が収納され、梱包されたものである。
梱包物100は、
図2のように、梱包体101と、仕切り部材102と、緩衝材103と、非水電解液二次電池10を備えている。
梱包体101は、
図1に示されるように、梱包状態において、外形形状が直方体状又は立方体状の箱体であり、
図2に示されるように、二次電池10を収納可能な収納空間105を備えている。
【0046】
仕切り部材102は、梱包体101の収納空間105を複数の空間に仕切る板状部材である。本実施形態の仕切り部材102は、
図3のように、梱包体101の収納空間105を天地方向に複数に区切っている。
【0047】
緩衝材103は、外部からの衝撃により二次電池10が破損することを防止する部材であり、二次電池10と仕切り部材102の間又は二次電池10と梱包体101との間に配されて、二次電池10と各部材との衝突を緩衝する部材である。
緩衝材103は、シート状の弾性変形可能なクッション材であり、二次電池10の周囲を部分的又は全体的に包むことが可能となっている。
なお、緩衝材103は、ある程度厚みをもった板状であってもよい。
【0048】
二次電池10は、
図4,
図5から読み取れるように、複数の負極部材21と、複数の正極部材22と、セパレータ3、端子72,71(端子部)と、封入体8と、保護部材25,26を備えている。
また、二次電池10は、封入体8内に非水電解液4が充填されており、正極2、負極1、及びセパレータ3のそれぞれに非水電解液4が含浸されている。そして、二次電池10は、正極2及び負極1間をセパレータ3に含浸された非水電解液4を介してリチウムイオン伝導が可能となっている。
【0049】
正極部材22及び負極部材21は、電池10の内部抵抗を小さくする観点から、
図5に示されるように、それぞれ導電性の集電体15,14上に各極の活物質を含む活物質層17,16が形成されている。
また、少なくとも1つの正極部材22には、導電性をもつ正極端子72が接続されており、少なくとも1つの負極部材21には、導電性をもつ負極端子71が接続されている。
なお、集電体15,14及び端子72,71は、本実施形態のように別部材とすることもできるが、集電体部分と端子部分とを含む同一の部材とすることもできる。
【0050】
正極部材22又は負極部材21は、少なくとも、その正極2及び負極1である各極の活物質層17,16及び集電体15,14の部分と、各電極部材22,21に接続する端子部分(端子72,71)の一部と、が封入体8に封入されている。
さらに、これらの端子72,71の端子延在部9a,9bが、封入体8の外側に引き出された状態で封入されることで延出されている。そして、この端子延在部9a,9bは、外部機器と電気接続可能となっており、充放電等の用に供することが可能となっている。
【0051】
本実施形態の二次電池10は、
図5のように、各正極部材22及び各負極部材21の全部が封入体8内に封入されており、一の正極部材22に接続された正極端子72の一部及び一の負極部材21に接続された負極端子71の一部が封入体8から露出している。そして、正極端子72及び負極端子71の封入体8からの露出部分が端子延在部9a,9bとして外部機器と電気接続可能となっており、充放電等の用に供することが可能となっている。
【0052】
各正極部材22の各正極2において、電極反応に供される面の外形上の面積の各正極2間のばらつきである最大面積/最小面積の比率は、1以上1.3以下にすることが好ましい。
すなわち、各正極2の正極活物質層17で形成された面(集電体15の外側の面)であって、封入体8内で非水電解液4に曝される外観上の面(本明細書において、極反応面という)の面積の各正極2間のばらつきである最大面積/最小面積の比率は、1以上1.3以下にすることが好ましい。
同様に、各負極部材21の各負極1において、電極反応に供される面の外形上の面積の各負極1間のばらつきである最大面積/最小面積の比率は、1以上1.3以下にすることが好ましい。
すなわち、各負極1の負極活物質層16で形成された面(集電体14の外側の面)であって、封入体8内で非水電解液4に曝される外観上の面(極反応面)の面積の各負極1間のばらつきである最大面積/最小面積の比率は、1以上1.3以下にすることが好ましい。
換言すると、各正極2及び各負極1が挟むセパレータ3側の面たる極反応面の最小面積に対する最大面積の比率は、1以上1.3以下であることが好ましい。
より好ましくは、正極2毎又は負極1毎に極反応面の面積を同一にすることである。
上記した範囲であれば、各極での電極反応の均一性が高く高信頼性の電池とでき、さらに電池10をコンパクトにすることができる。
正極2および負極1の極反応面の面積の制御は、例えば、集電体15,14への活物質層17,16の形成のためのスラリー塗工の際、塗工幅を制御することによって行うことができる。
【0053】
また、各正極2の単位面積当たりの電気容量と各負極1の単位面積当たりの電気容量の各電極間のばらつきである単位面積当たりの最大電気容量/最小電気容量の比率は、1以上、1.3以下であることが好ましい。
最大電気容量/最小電気容量の比率は、正極2毎又は負極1毎にその単位面積当たりの電気容量を同一にすることがより好ましい。
すなわち、正極2の単位面積当たりの電気容量の最大電気容量/最小電気容量の比率は、1以上、1.3以下であることが好ましく、単位面積当たりの電気容量を同一にすることがより好ましい。同様に、負極1の単位面積当たりの電気容量の最大電気容量/最小電気容量の比率は、1以上、1.3以下であることが好ましく、単位面積当たりの電気容量を同一にすることがより好ましい。
上記した範囲であれば、各極での電極反応の均一性が高く高信頼性の電池とでき、さらに電池をコンパクトにすることができる。
【0054】
正極2及び負極1の単位面積あたりの電気容量の制御は、集電体15,14への活物質層17,16の形成の際に、集電体15,14の単位面積あたりに形成させる活物質層17,16の重量で制御する方法が好ましい。活物質層17,16の重量で制御する方法としては、例えば、活物質層17,16を塗工する際の塗工厚みで制御することができる。
【0055】
また、正極2毎又は負極1毎にその単位面積当たりの電気容量を同一にした場合において、正極2の単位面積当たりの電気容量をA、負極1の単位面積当たりの電気容量をBとする。この場合に電気容量比B/Aは、正極2での電極反応と負極1での電極反応とのバランスをとることで高信頼性の電池とする観点から、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.8≦B/A≦1.3 (1)
【0056】
電気容量比B/Aの値が0.8未満である場合は、互いに対向する負極1及び正極2において、負極1の電気容量が正極2の電気容量よりも極端に小さくなる虞がある。そのため、過充電時に負極1の電位がリチウムの析出電位になり、電池10がショートする危険性がある。
一方、電気容量比B/Aが1.3より大きい場合は、互いに対向する負極1及び正極2において、電池反応に関与しない負極活物質が過剰な副反応を起こす虞があり、封入体内でこの副反応に伴う不要なガス発生が生じる場合がある。
【0057】
さらに、電気容量比B/Aは1.0以上であることが好ましい。すなわち、電気容量比B/Aは、下記式(1´)を満たすことがより好ましい。
1.0≦B/A≦1.3 (1´)
【0058】
こうすることで、正極2の電気容量を負極1の電気容量より一定程度小さくし、充放電に伴う電圧変化を正極電位変化で規制すること、すなわち、正極規制とすることが可能となる。
この正極規制とすることで、保管試験において酸化性のガスの発生の原因となる正極異常活性点が、若干であっても生じる可能性がある正極活物質の使用量を、必要最小限に留めることが可能となる。つまり、正極規制とすることで正極異常活性点が非水電解液4と反応することによる正極活物質の消費量を抑えることが可能となる。
【0059】
さらに、正極2毎又は負極1毎にその極反応面の面積を同一にし、かつ、正極2毎又は負極1毎にその単位面積当たりの電気容量を同一にした場合において、セパレータ3を挟んで負極1と対向する側の面の正極活物質層17の面積をC、セパレータ3を挟んで正極2と対向する側の面の負極活物質層16の面積をDとする。
この場合、正極活物質層17と負極活物質層16との面積比D/Cは、正極2での電極反応と負極1での電極反応とのバランスをとることで高信頼性の電池とする観点から、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.8≦D/C≦1.2 (2)
【0060】
面積比D/Cが0.8未満である場合は、負極1の電気容量が正極2の電気容量よりも極端に小さくなる虞がある。そのため、過充電時に負極1の電位がリチウムの析出電位となり、電池10がショートする危険性が生じる場合がある。
一方、面積比D/Cが1.2より大きい場合は、正極2と対向していない負極部分が存在することとなる。そのため、その部分で電池反応に関与しない負極活物質が過剰な副反応を起こす虞があり、封入体8内でこの副反応に伴う不要なガス発生が生じる場合がある。
【0061】
さらに、面積比D/Cは、1.0以上であることがより好ましい。すなわち、面積比D/Cは、下記式(2´)を満たすことがより好ましい。
1.0≦D/C≦1.2 (2´)
【0062】
面積比D/Cを1.0以上とすることで、正極規制とすることが容易であるだけでなく、短絡発生時の安全性に優れるチタン化合物を主成分とする負極活物質層16で、セパレータ3を介して、正極活物質層17の全面を覆うことができる。そのため、より安全性に優れた電池となる。
【0063】
各極の1cm
2あたりの電気容量は、電池10の容量を大きくしつつ、その出力密度も大きくするバランスをとる観点から、極反応面当たり、0.5mAh以上4.0mAh以下であることが好ましい。特に正極2の1cm
2あたりの電気容量は、3.0mAh以下であることがより好ましい。
電極2,1の電気容量が小さいと、所望する容量の電池とするために、大きな電池となる場合がある。一方、電極2,1の電気容量を大きくしようとすると、出力密度は小さくなる傾向がある。
なお、各極の単位面積あたりの電気容量の算出は、各極作製後、リチウム金属を対極とした半電池を作製し、この半電池の充放電特性を測定することによって算出できる。
【0064】
<正極部材>
正極部材22は、
図5に示されるように、集電体15の片面又は両面に正極活物質層17が積層されたものであり、集電体15の片側部分又は両側部分に正極2が形成されたものである。
正極2は、電池10の充電時に、非水電解液4へリチウムイオンを放出し、かつ、正極端子72を介して電子を供給する機能を有する。また、正極2は、電池10の放電時に、非水電解液4からリチウムイオンを受け入れ、かつ、正極端子72を介して電子を受け取る機能を有する。
このような正極2は、
図6のように、集電体15上に、少なくとも正極活物質が含まれる正極活物質層17が形成されている部材の一部として作製することが好ましい。このような正極部材22の一部が、封入体8に封入されると共に、その一部が封入体8の外側に正極側端子延在部9aとして引き出されることで、外部機器と電気接続可能とできる。
本実施形態の正極部材22は、
図5のように、集電体15の一部分に正極活物質層17が積層されて正極2が形成されており、封入体8の内外に跨った正極端子72と電気的に接続されることによって外部機器と電気的に接続可能となっている。
【0065】
(負極部材)
負極部材21は、
図5に示されるように、集電体14の片面又は両面に負極活物質層16が積層されたものであり、集電体14の片側部分又は両側部分に負極1が形成されたものである。
負極1は、電池10の充電時に、非水電解液4からリチウムイオンを受け入れ、かつ、負極端子71を介して電子を受け取る機能を有する。また、負極1は、電池10の放電時に、非水電解液にリチウムイオンを放出し、かつ、負極端子71を介して電子を供給する機能を有する。
このような負極1は、
図6のように、集電体14上に、少なくとも負極活物質が含まれる負極活物質層16が形成されている部材の一部として作製することが好ましい。このような負極部材21の一部が、封入体8に封入されると共に、負極部材21の集電体14の一部又は負極端子71が封入体8の外側に負極側端子延在部9bとして引き出されることで、外部機器と電気接続可能とできる。
本実施形態の負極部材21は、
図5のように、集電体14の一部分に負極活物質層16が積層されて負極1が形成されており、封入体8の内外に跨った負極端子71と電気的に接続されることによって外部機器と電気的に接続可能となっている。
【0066】
負極1は、その負極活物質の主要成分がチタン化合物であることを一つの特徴としており、本実施形態の負極1は、その負極活物質の主成分がチタン化合物である。
ここでいう「主要成分」とは、電極として有効に機能する有効成分をいう。
ここでいう「主成分」とは、全量の50%以上を占める成分をいう。すなわち、負極1は、全負極活物質に対してチタン化合物が50質量%以上の成分として含まれている。
【0067】
一般的にリチウムイオンの挿入・脱離の反応が可能なチタン化合物は、コバルト酸に代表される従来の電極活物質材料と比べリチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい。よって、同様の金属酸化物であるコバルト酸リチウムなどの正極活物質材料や炭素などの負極活物質材料といった従来の電極活物質材料と比べ、膨張収縮に伴う非水電解液4のかき混ぜ効果が小さい。
以上のことから、ある一定以上のリチウムイオンの脱挿入する場所として、従来の電極より大きな負極比表面積を確保する必要がある。
したがって、負極1の比表面積は、1m
2/g以上、100m
2/g以下であることが好ましい。
【0068】
1m
2/gより小さい場合、リチウムイオンの脱挿入する場所が少ないため、所望の電池容量を取り出せない可能性がある。
一方、100m
2/gより大きい場合は、リチウムイオンの脱挿入以外の副反応、例えば非水電解液4の分解反応が進行しやすくなり、この場合も結果として、所望の電池容量を取り出せない可能性がある。
【0069】
負極1の比表面積は、2m
2/g以上、50m
2/gとすることがより好ましい。こうすることによって、所望の電池容量を発現できるリチウムイオンの脱挿入する場所が確保され、かつリチウムイオンの脱挿入以外の副反応が少なくできる。
負極1の比表面積は、3m
2/g以上、30m
2/gとすることがさらに好ましい。こうすることによって、副反応の進行が最も小さく、かつリチウムイオンの脱挿入する際もバランスが良好となる。
【0070】
負極1の比表面積は、負極活物質、導電助材、およびバインダーの種類および配合比で制御することができ、または、所望の厚みまで負極1を圧縮することによっても制御することができる。
【0071】
<活物質層>
活物質層17,16を構成する材料は、少なくとも各極2,1の活物質を含んでいる。この活物質層17,16の性能向上のために、活物質層17,16を構成する材料は、この他に導電助材やバインダーが含まれてもよい。
これらの材料を含む混合物を集電体15,14上に活物質層17,16として形成することによって正極2又は負極1とすることが好ましい。
本実施形態の活物質層17,16は、ともに活物質の他に導電助材及びバインダーが含まれている。
【0072】
活物質層17,16の形成方法としては、作製方法の容易さの観点から、前記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体15,14上に塗工した後に乾燥させる等して溶媒を除去することによって作製する方法が好ましい。
【0073】
活物質層17,16は、その形成後に、所望の厚み、密度まで圧縮することが好ましい。圧縮方法としては、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いて行うことができる。
【0074】
活物質層17,16の厚みは、圧延する場合にはその圧延後に、10μm以上200μm以下とすることが好ましい。
活物質層17,16の厚みが10μm以下の場合、所望の電気容量を得ることが難しい場合があり、活物質層17,16の厚みが200μmより厚い場合は、所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
【0075】
活物質層17,16の密度は、圧延する場合にはその圧延後に、1.0g/cm
3以上4.0g/cm
3以下であることが好ましい。
活物質層17,16の密度が1.0g/cm
3未満であると、各極の活物質と、集電体や導電助材等の間の接触が不十分となり電子伝導性が低下し、電池10の内部抵抗が増大する場合がある。
一方、活物質層17,16の密度が4.0g/cm
3より大きいと、非水電解液4が、各極の活物質層17,16内に浸透しにくくなり、リチウム伝導性が低下し、同様に電池10の内部抵抗が増大する場合がある。
【0076】
特に、正極2の正極活物質層17の密度は、圧延を実施すること等により、2.0g/cm
3以上とすることがより好ましく、2.2g/cm
3以上、3.5g/cm
3以下がさらに好ましい。
正極活物質層17の密度は、最もバランスが取れていることから、2.5g/cm
3以上、3.0g/cm
3以下とすることが特に好ましい。
【0077】
また、負極1の負極活物質層16の密度は、圧延を実施すること等により、1.5g/cm
3以上とすることがより好ましく、1.6g/cm
3以上、2.3g/cm
3以下がさらに好ましい。
負極活物質層16の密度は、最もバランスが取れる観点から、1.8g/cm
3以上、2.2g/cm
3以下とすることが特に好ましい。
【0078】
集電体15,14上への活物質層17,16の形成は、特に限定されないが、例えば前記スラリーをドクターブレード、ダイコータ、コンマコータ等により塗布した後に、溶剤を除去する方法、あるいはスプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法が好ましい。
【0079】
溶媒を除去する方法は、オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が簡単であり好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては室温、あるいは高温とした空気、不活性ガス、真空状態などが挙げられる。
また、溶媒を除去する温度は、特に限定されないが、60℃以上300℃以下で行うことが好ましく、80℃以上250℃以下で行うことがより好ましく、230℃以下で行うことがさらに好ましい。
この範囲であれば、活物質層17,16の材料の分解やバインダーの劣化を防止しつつ、溶媒除去に要する時間を短縮することができる。
なお、各極の活物質層17,16の形成の前後は、いずれが前でも、後でもよい。すなわち、各極の活物質層17,16の形成は、いずれを先に形成してもよい。
【0080】
スラリーの作製は、特に限定されないが、前記混合物および溶媒を均一に混合できることから、自転公転ミキサー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ジェットミル、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましい。
スラリーの作製は、作業性の観点から、自転公転ミキサー、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましい。
また、スラリーの作製は、前記混合物に溶媒を加えて作製してもよいし、前記混合物、および溶媒を一緒に混合して作製してもよい。
【0081】
溶媒としては、非水溶媒、あるいは水であることが好ましい。
非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0082】
スラリーの固形分濃度は、その粘度を活物質層17,16の形成に適した値とする観点から、30wt%以上80wt%以下とすることが好ましい。
【0083】
<活物質>
各極の活物質の粉体の嵩密度は、0.2g/cm
3以上、2.8g/cm
3以下であることが好ましく、2.5g/cm
3以下であることがより好ましい。
こうすることによって、活物質の粉体を用いて前記混合物のスラリーを作製する際、必要となる溶媒量を適正なものとしつつ、導電助剤やバインダーとの混合が容易となる。
【0084】
(正極活物質)
正極2を構成する正極活物質は、粉体であって、層状岩塩型化合物たる層状岩塩型活物質を含んでいる。本実施形態の正極2は、主要成分として、層状岩塩型活物質と、スピネル型マンガン酸リチウムの2種類の正極活物質を含んでいる。
【0085】
層状岩塩型活物質は、特に限定されないが、LiMeO
2(Meは遷移金属)で表されるリチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO
2)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi
1-yCo
yO
2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi
xCo
yMn
1-y-zO
2、x+y+z=1)、リチウムを過剰にした例えばLiMnO
3およびLi
2MnO
3とLi
xMeO
2との固溶体等の層状岩塩型化合物が挙げられる。
ここで、「層状岩塩型化合物」とは、結晶構造が層状岩塩型構造を有する化合物をいう。
【0086】
層状岩塩型活物質は、ガス抑制の効果が大きいことから、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi
xCo
yMn
1-y-zO
2、x+y+z=1)が好ましく、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)が特に好ましい。
層状岩塩型活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)を使用することにより、水素吸蔵効果をより大きくできるので、その添加量を減らすことが可能となる。また、層状岩塩型活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)を使用することにより、結果的に、長期的な酸化性のガスの発生をより減らすことが可能となるので、電池性能の長期信頼性が向上する。
正極2を構成する層状岩塩型活物質は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0087】
層状岩塩型活物質は、ポリエチレングリコール等の有機物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機物、及び炭素材料などで表面をコーティングされていてもよい。
【0088】
層状岩塩型活物質の比表面積は、ガス発生抑制効果と層状岩塩型活物質の材料劣化をバランスする観点から、0.3m
2/g以上0.6m
2/g以下であることが好ましい。
層状岩塩型活物質の比表面積は、長期保管後のレート特性が特に安定することから、0.4m
2/g以上0.5m
2/g以下であることがさらに好ましい。
比表面積が0.3m
2/g未満の場合は、ガス吸蔵の表面活性点が少ないため十分なガス抑制効果が得られにくい。
比表面積が0.6m
2/gより大きい場合は、層状構造が乱れた領域が多くなり長期保管後の特性が悪化する可能性がある。
【0089】
層状岩塩型活物質の外観上の数平均粒子径は、ガス発生抑制効果と層状岩塩型活物質の材料劣化をバランスする観点から、3μm以上9μm以下であることが好ましい。
層状岩塩型活物質の外観上の数平均粒子径は、長期保管時の特性が特に安定することから5μm以上7μm以下であることがより好ましい。
数平均粒子径が3μm未満の場合は、粒子の比表面積が高くなることから層状構造が乱れた領域が多くなり長期保管時の特性が劣化する可能性がある。
また数平均粒子径9μmより大きい場合は、ガス吸蔵の表面活性点が体積に対して少ないため十分なガス抑制効果が得られにくい。
【0090】
ここで、チタン化合物を負極活物質に用いた場合に、ガス発生抑制効果を発現する正極活物質は、層状岩塩型活物質である。ガス抑制のメカニズムは明確ではないが層状岩塩型活物質はガスを吸蔵する効果があり、特に、充電状態を維持している場合に、より高いガス抑制効果を有すると考えられる。
【0091】
しかしながら、層状岩塩型活物質は、充放電を繰り返し実施することにより、層状構造が破壊され、正極2の電気容量そのものが低下したり、層状岩塩型活物質の表面に新たに生じる正極異常活性点で電解液が分解されてガスが更に発生したりするというデメリットがある。
従って、二次電池10の正極2は、リチウムイオンの挿入・脱離による膨張及び収縮が少なく、劣化が起こりにくい材料をさらに含むことが好ましい。すなわち、二次電池10の正極2は、上記した層状岩塩型活物質に加えて、正極異常活性点が生じ難い材料であるスピネル型マンガン酸リチウムを含むことが好ましい。
本実施形態の二次電池10の正極2は、正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムと層状岩塩型活物質とを合わせて使用している。そのため、二次電池10は、長期保管中においても、その性能の低下が起こりにくく、保管後の使用においても信頼性が高く寿命が長い。
【0092】
層状岩塩型活物質は、正極2の全活物質重量に対して2重量%以上5重量%以下含まれることが好ましい。一方、スピネル型マンガン酸リチウムは、正極2の全活物質重量に対して95重量%以上98重量%以下含まれることが好ましい。
すなわち、層状岩塩型活物質とスピネル型マンガン酸リチウムの重量比は、正極2の全活物質を100重量部としたときに、層状岩塩型活物質が2〜5重量部であって、スピネル型マンガン酸リチウムが95〜98重量部であることが好ましい。
この範囲であれば、ガス発生抑制効果と層状岩塩型活物質の材料劣化のバランスが良好となる。
【0093】
スピネル型マンガン酸リチウムは、Li
1+xM
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族かつ第3、4周期に属する元素)で表される化合物である。
ここでの「M」は、2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素から選ばれる少なくとも1種である。
マンガン溶出などが起こりにくく、長期保管時の安定性向上の効果が大きい点から、「M」は、Al、Mg、Zn、Co、Fe及びCrから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Al、Mg、Zn及びCrから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、Al、Mg、及びZnから選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
上記した化学式において、x<0の場合は、正極活物質の電気容量が減少する傾向がある。また、x>0.2の場合は炭酸リチウムなどの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。
上記した化学式において、y=0の場合は、正極活物質の安定性が低くなる傾向がある。また、y>0.6の場合はMの酸化物などの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。
【0094】
これらの中でも、安定性向上の効果が大きい点から、スピネル型マンガン酸リチウムは、Li
1+xAl
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li
1+xMg
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li
1+xZn
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、及びLi
1+xCr
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)から選ばれる1種が好ましく、Li
1+xAl
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、又はLi
1+xMg
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)がより好ましく、Li
1+xAl
yMn
2-x-yO
4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)がさらに好ましい。
さらに直前の化合物(Li
1+xAl
yMn
2-x-yO
4)について、0.03≦y≦0.1とすることがより大きい効果が得られることから特に好ましい。
【0095】
スピネル型マンガン酸リチウムの粉体の外観上の数平均粒子径は、ガス発生抑制効果を最大限に得る観点から、10μm以上20μm以下であることが好ましい。
スピネル型マンガン酸リチウムの粉体の外観上の数平均粒子径は、長期保管後の特性が特に安定することから15μm以上20μm以下であることがより好ましい。
【0096】
スピネル型マンガン酸リチウムの粉体の比表面積は、所望の出力密度を得る観点から、0.05m
2/g以上0.4m
2/g以下であることが好ましい。
スピネル型マンガン酸リチウムの粉体の比表面積は、長期保管時の特性が特に安定する観点から0.1m
2/g以上0.3m
2以下であることがより好ましい。
【0097】
(負極活物質)
負極1を構成する負極活物質は、粉体であって、チタン化合物を主要成分とするものであり、上記したように本実施形態の負極活物質は、チタン化合物を主成分としている。
【0098】
また、負極活物質は、チタン化合物以外の負極活物質材料として、50質量%を下回る割合で、ニオブ(Nb)などのリチウム、チタン以外の元素が含まれていてもよく、チタン化合物を80質量%以上含み、かつ、チタン化合物以外の負極活物質材料を20質量%以下含むことが好ましい。
さらに好ましくは、負極活物質は、微量のニオブ(Nb)などのリチウム、チタン以外の元素が含まれているチタン化合物とすることである。
【0099】
負極活物質を構成するチタン化合物としては、チタン酸化合物、チタン酸リチウム、二酸化チタンなどが好ましい。またこれらチタン化合物は、導電性の向上、あるいは安定性の向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
【0100】
チタン酸化合物としては、H
2Ti
3O
7,H
2Ti
4O
9,H
2Ti
5O
11,H
2Ti
6O
13,又はH
2Ti
12O
25であることが好ましく、長期保管時の特性が安定であることからH
2Ti
12O
25であることがより好ましい。
【0101】
チタン酸リチウムとしては、スピネル構造、ラムズデライト型であることが好ましく、分子式としてLi
4Ti
5O
12で表されるものが好ましい。
スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい。
【0102】
二酸化チタンとしては、アナターゼ型、ブロンズ型(TiO
2(B))であることが好ましく、リチウムの挿入・脱離が効率よく進むことから、ブロンズ型であることがより好ましい。また、アナターゼ型とブロンズ型の混合物を用いても良い。
【0103】
特に好ましくは、チタン化合物をLi
4Ti
5O
12とすることである。こうすることによって、より安全性、安定性に優れた負極を備えることが可能となるため、安全性、安定性に優れた非水電解液二次電池を得ることができる。
【0104】
これらのチタン化合物は、1種類で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0105】
<導電助剤>
本実施形態の活物質層17,16は、電子導電性に乏しいことから導電助剤を含有する。正極2の正極活物質層17に含まれる導電助剤としては、特に限定されないが、安価なことから炭素材料が好ましい。
負極1の負極活物質層16に含まれる導電助材としては、特に限定されないが、金属材料や炭素材料を用いることができる。
金属材料としては、銅、およびニッケルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0106】
正極活物質層17に含まれる導電助材の量は、正極活物質100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下であることが好ましく、2重量部以上10重量部以下であることがより好ましい。
負極活物質層16に含まれる導電助材の量は、負極活物質100重量部に対して、0.5重量部以上30重量部以下であることが好ましく、出力とエネルギー密度のバランスが良いことから、1重量部以上10重量部以下であることがより好ましい。
このような範囲内とすることで、正極2又は負極1の各極の導電性が確保され、また、バインダーとの接着性が維持され、集電体15,14との接着性を十分に得ることができる。
【0107】
<バインダー>
活物質層17,16は、各々の活物質を集電体15,14に結着させるために、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
【0108】
電極2,1の各活物質層17,16に含まれるバインダーの量は、結着力とエネルギー密度とをバランスさせる観点から、各極の活物質100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下とすることが好ましく、2重量部以上15重量部以下であることがより好ましい。
このような範囲内とすることで、正極2又は負極1の各極の導電性が確保され、また、各極の活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
【0109】
バインダーは、正極2又は負極1の作製し易さの観点から、非水溶媒又は水に溶解されているか、非水溶媒又は水に分散されていることが好ましい。
非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、又はテトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0110】
<集電体>
正極2及び負極1は、集電体15,14に活物質を含む材料層たる活物質層17,16を形成したものであることが好ましい。この集電体15,14の両面には、高性能かつコンパクトな電池とするために、同極の活物質層17,16が形成されていることがより好ましい。
【0111】
集電体15,14は、導電性を有し、かつ、各電極2,1の芯材として用いることができれば、各種形状のものを用いることができる。
集電体15,14は、安価かつ簡便に入手可能であるシート又はフィルム状の集電箔を用いることが好ましい。
集電体15,14の材料としては、アルミニウムや、アルミニウムの合金、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に、正極2や負極1の電位で反応しない金属(例えば、正極2においてはアルミニウム、負極1においてはアルミニウムや銅)を被覆したもの等を用いることができる。
集電体15,14の材料としては、安価かつ簡便に入手できることから、アルミニウムが好ましい。特に、正極2に用いる集電体15の材料は、正極反応雰囲気下での安定性の観点から、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることがより好ましい。
【0112】
集電体15,14の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
集電体15,14の厚みが10μm未満の場合は、作製の観点から取り扱いが困難となるおそれがある。
集電体15,14の厚みが100μmより厚い場合は、経済的観点から不利になる。
【0113】
<セパレータ>
セパレータ3は、正極2と負極1との間に設置され、これらの間の電子やホールの伝導を阻止しつつ、これらの間のリチウムイオンの伝導を仲介する媒体としての機能を有し、少なくとも電子やホールの伝導性を有さないものであれば、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等によって被覆されていてもよい。
セパレータ3の材料は、電気絶縁材料で形成されていることが必要であり、少なくとも108Ω・cm以上の比抵抗の材料のみから構成されていることが好ましい。
セパレータ3の材料としては、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、PET、及びそれらを2種類以上複合したものからなる織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。
セパレータ3の材料は、実用性の観点から、セルロース不職布、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びPETからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びセルロース不職布である。
【0114】
二次電池10に用いるセパレータ3と電極2,1との面積比F/Eは、特に限定されないが、下記式(3)を満たすことが好ましい。
1.0≦F/E≦1.5 (3)
【0115】
但し、「E」は、正極2及び負極1のうち、面積の大きい電極の面積を示す。「F」はセパレータ3の面積を示す。すなわち、「E」は、単セル5を構成する電極の最大極面積であり、「F」は、その単セル5の最大極面積を取る電極に対応するセパレータ3の面積である。
【0116】
面積比F/Eが1未満である場合は、正極2と負極1とが接触し、短絡する可能性がある。
面積比F/Eが1.5より大きい場合は、外装に要する体積が大きくなり、電池10をコンパクトにできないため、その出力密度が低下する場合がある。
【0117】
セパレータ3の厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
セパレータ3の厚みが10μm未満の場合は、正極2と負極1とが直接接触する虞がある。セパレータ3の厚みが100μmより厚い場合は電池10の内部抵抗が高くなる虞がある。
セパレータ3の厚みは、経済性、取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
【0118】
<非水電解液>
封入体8内に含まれる非水電解液4の量は、特に限定されない。非水電解液4の量は、電極反応に伴うリチウムイオンの伝導を十分に担保せしめることで所望の電池性能を発現させる観点から、電池容量1Ah当たり0.1mL以上であることが好ましい。すなわち、非水電解液4の量は、0.1mL/Ah以上であることが好ましい。
【0119】
非水電解液4は、あらかじめ正極2、負極1及びセパレータ3に含ませてもよいし、正極2側と負極1側との間にセパレータ3を配置したものを巻回、あるいは積層した後に添加してもよい。本実施形態では、非水電解液4は、封入体8の内部に充填されており、正極2、負極1及びセパレータ3のいずれにも含浸されている。
【0120】
非水電解液4は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解液などを用いることができる。また、非水電解液4には、難燃剤、安定化剤などの添加剤が微量含まれていてもよい。
【0121】
非水溶媒としては、二次電池10の作動電位において溶媒の分解が起こりにくいことから非プロトン性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒を含む非プロトン性溶媒であることがより好ましい。
非プロトン性極性溶媒は、環状の非プロトン性溶媒及び鎖状の非プロトン性溶媒からなる群から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
非水溶媒は、環状非プロトン性極性溶媒及び/又は鎖状非プロトン性極性溶媒からなる非水溶媒とすることが特に好ましい。
環状非プロトン性極性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示される。
この環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状非プロトン性極性溶媒としては、アセトニトリル、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル及び鎖状エーテルなどが例示される。
この鎖カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどが挙げられる。
【0122】
より具体的には、非水溶媒は、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1、2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、及びプロピオン酸メチルなどを用いることができる。
これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよいが、後述する支持塩である溶質の溶解性を向上させることができ、また、リチウムイオンの伝導性を高める観点から、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。
【0123】
溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO
4、LiBF
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、LiN(SO
2CF
3)
2などが前記非水溶媒に溶解しやすいことから好ましく、より好ましくはLiPF
6である。
【0124】
非水電解液4に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。0.5mol/L未満では所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合があり、一方、2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。
【0125】
保護部材25,26は、二次電池10の端子72,71の封入体8からの露出部分を保護するカバーであり、端子72,71の酸化等を防止する部材である。保護部材25,26は、二次電池10の自己放電による意図しないSOCの低下を抑制する部材でもある。
保護部材25,26は、絶縁体によって形成されており、二次電池10の端子延在部9a,9b全体を覆っている。
なお、保護部材25,26は、絶縁フィルムであってもよい。
【0126】
続いて、梱包物100の各部材の位置関係について説明する。
【0127】
梱包物100は、
図3から読み取れるように、梱包体101の内部に二次電池10(10a,10b)、仕切り部材102、及び緩衝材103(103a〜103d)が収納されている。
梱包体101の収納空間105は、仕切り部材102によって複数に分割されている。本実施形態の収納空間105は、
図3のように、仕切り部材102によって上下方向に2つの分割空間106,107に区切られている。
下方側の分割空間106では、梱包体101の底部に緩衝材103aが敷かれており、緩衝材103a上に二次電池10aが載置されている。さらに二次電池10は、緩衝材103bによって覆われている。すなわち、二次電池10aは、梱包体101の内部で緩衝材103a,103bによって挟まれており、その大部分が緩衝材103a,103bによって覆われている。
上方の分割空間107では、仕切り部材102上に緩衝材103cが敷かれており、緩衝材103c上に二次電池10b(10)が載置されている。さらに二次電池10bは、緩衝材103dによって覆われている。すなわち、二次電池10bは、梱包体101の内部で緩衝材103c,103dによって挟まれており、その大部分が緩衝材103c,103dによって覆われている。
収納空間105内部の二次電池10は、端子72,71が保護部材25,26によって覆われており、外部から絶縁されている。すなわち、二次電池10は、端子72,71間が電気的に接続されておらず、開回路となっている。
【0128】
最後に本実施形態の非水電解液二次電池10の物性について説明する。
【0129】
非水電解液二次電池10は、上記したように、正極活物質の主要成分として、層状岩塩型化合物たる層状岩塩型活物質を含み、負極活物質の主要成分としてチタン化合物を含んでいる。
層状岩塩型活物質は、その充電状態を一定以上の充電率にすることで、梱包体101で梱包して倉庫等で保管した場合に、チタン化合物の負極異常活性点で電解液が分解され発生したガスを吸蔵し、電池性能劣化を抑制する機能がある。
その一方で、その充電率が高すぎると、充電状態の層状岩塩型活物質で生じる異常活性点で電解液と副反応が起こり、チタン化合物の異常活性点で発生するガスとは、極性の異なる酸化性のガスが発生する。
このような観点から、本実施形態の二次電池10は、保管中に所定の水素ガス吸蔵能力を備え、かつ、酸化性のガスの発生が少なく、安定した電池性能を維持する二次電池10とするべく、梱包体101に収納した状態での最適な充電率の範囲を設定し、当該設定した範囲に二次電池10の充電率が収まるように、二次電池10を充電している。すなわち、本実施形態の梱包物100は、梱包体101内の二次電池が出荷状態において所定のSOCの範囲を取る。
【0130】
具体的には、梱包体101内での二次電池10のSOCは、満充電容量の30%以上60%以下の範囲に収まっており、45%以上55%以下であることが好ましい。
SOCが30%未満である場合は、二次電池10の保管時に、負極活物質たるチタン化合物の異常活性点で発生するガスを十分に吸蔵できない虞がある。
SOCが60%を超える場合は、正極2の異常活性点で発生する酸化性のガスの発生を抑制できず、保管前後でレート特性が低下する虞がある。
梱包体101内での二次電池10のSOCは、梱包体101を開封した直後のSOCと概ね同一視することができる。
なお、梱包体101の一部に穴を空けて、直接梱包体101内での二次電池10のSOCを測定してもよい。
【0131】
また二次電池10を出荷状態のSOCのまま1気圧25℃で30日放置した後のSOCの低下は2%以下であることが好ましい。すなわち、二次電池10を梱包体101に収納した直後から標準状態で30日放置した場合の放置前後のSOCの低下率は2%以下であることが好ましい。
この範囲であれば、保管中の自己放電が少ないのでSOCが安定し、上記のガス抑制効果を長期間にわたり持続することが可能となる。
【0132】
本実施形態の梱包物100によれば、梱包体101内の二次電池10が正極活物質層17中に層状岩塩型活物質を含んでおり、さらに梱包体101内の二次電池10の充電率が満充電容量に対して30%以上60%以下の範囲である。そのため、倉庫等に長期間保管した場合であっても二次電池10でのガスの発生を抑制でき、保管前後のレート特性の低下を抑制することができる。
【0133】
本実施形態の梱包物100によれば、梱包体101で梱包した二次電池10が正極活物質層17に層状岩塩型活物質とスピネル型マンガン酸リチウムを含み、負極活物質層16にチタン化合物を含んでいる。そのため、二次電池10を梱包体101から開封した後も二次電池10を高安全性及び長寿命性の電池として使用できる。
【0134】
続いて、第2実施形態の梱包物200について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同様の符番を付して、説明を省略する。
【0135】
第2実施形態の梱包物200は、
図7のように、梱包体101と、仕切り部材102と、緩衝材103と、収納物201を備えている。
収納物201は、
図8のように、収納体202内に非水電解液二次電池10を収納したものである。
収納体202は、二次電池10を収納する直方体又は立方体状のケースである。収納体202は、
図9のように、第1収納部203と、第2収納部205を有し、これらが分割可能となっている。収納部203,205は、ともに絶縁樹脂によって形成されており、凹部206,207を備えている。
凹部206,207は、
図9に示されるように、ともに二次電池10の外形形状に合わせて窪んだ凹部である。すなわち、凹部206,207は、二次電池10の封入体8部分を収納可能な封入体側収納部210a,210bと、少なくとも二次電池10の端子延在部9部分を収納可能な端子側収納部211a,212a,211b,212bを備えている。
封入体側収納部210a,210bは、二次電池10の封入体8部分の外形形状に沿った形状をしている。
端子側収納部211a,212a,211b,212bは、保護部材25,26部分の外形形状に沿った形状をしている。
【0136】
ここで、収納物201の各部材の位置関係について説明する。
凹部206,207は、
図8,
図9から読み取れるように、互いに向かい合わせになっており、一つの収納空間208を形成している。そして収納空間208には、二次電池10が収納されている。二次電池10の封入体8部分は、封入体側収納部210a,210bに嵌まっており、保護部材25,26部分は、端子側収納部211a,212a,211b,212bに嵌まっている。すなわち、二次電池10は、その周囲が凹部206,207に覆われており、収納空間208内で実質的に移動不能となっている。
【0137】
本実施形態の梱包物200によれば、収納体202の凹部206,207に二次電池10が嵌められて収納されているため、梱包時や搬送時等において二次電池が収納体202の内部で移動しにくい。また、二次電池10が樹脂製の収納体202内に収納されているため、収納体202が緩衝材として機能し、移動等による衝撃から二次電池10を保護することができる。
【0138】
本実施形態の梱包物200によれば、二次電池10を収納する収納体202が直方体又は立方体であるため、梱包体101内に配置しやすく、収納しやすい。
【0139】
上記した実施形態では、二次電池10を単電池単位で梱包体101内の空間に収納していたが、本発明はこれに限定されるものではない。複数の二次電池10が電気的に直列又は並列接続された組電池単位で空間内に収納されていてもよい。
【0140】
上記した実施形態では、端子7が封入体8の内外に延在し、封入体8の対向する二辺から端子延在部9,9がそれぞれ露出していたが、本発明はこれに限定されるものではない。封入体8の一辺から複数の端子延在部9,9がそれぞれ露出させてもよい。
【0141】
上記した実施形態では、1つの梱包体101に対して2つの二次電池10a,10bを収納した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
1つの梱包体101に対して1つの二次電池10を収納してもよいし、3以上の二次電池を収納してもよい。
【0142】
上記した第2実施形態では、仕切り部材102によって各段一つずつ収納物201を配していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、
図10のように、各段に複数の収納物201を配してもよい。この場合、収納物201を最密充填となるように隙間なく面状に敷き詰めることが好ましい。
また上記した実施形態では、二次電池10を天地方向重ねてこれらを仕切り部材102によって天地方向に区切ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図11のように二次電池10又は収納物201を縦姿勢で収納し、これらを仕切り部材102によって区切ってもよい。
なお、第2実施形態の梱包物200のように、箱状の収納体202に二次電池10を収納する場合には、収納体202によって各二次電池10が区画されることになるので、仕切り部材102を設けなくてもよい。
【0143】
上記した実施形態では、シート状の緩衝材103によって二次電池10を外傷等から保護したが、本発明はこれに限定されるものではない。二次電池10を外傷等から保護するために、シート状の緩衝材103に加えて、梱包体101内に俵状の緩衝材を入れてもよいし、俵状の緩衝材を単独で使用してもよい。
【0144】
上記した実施形態では、緩衝材103を梱包体101内に入れていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、緩衝材103を入れなくてもよい。
この場合、第2実施形態の梱包物200のように、箱状の収納体202に二次電池10を収納することが好ましい。こうすることによって、収納体202を緩衝材として機能し、二次電池10が破損することを防止できる。
【0145】
上記した実施形態では、端子延在部9,9を保護部材25,26で覆っていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、保護部材25,26を設けなくてもよい。
この場合、第2実施形態の梱包物200のように、収納体202に二次電池10を収納することが好ましい。こうすることによって、端子延在部9が収納体202の凹部206,207に嵌まり、保護部材25,26を設けなくても、収納体202の存在によって端子延在部9を外部から保護することができる。
【0146】
なお、上記した実施形態の梱包物100(200)は、
図12のように大きな梱包体300内に他の梱包物100(梱包物200)とともに収納して梱包してもよい。
【実施例】
【0147】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0148】
梱包体101に収納される実施例1〜14、比較例1〜5における電池10の評価は、以下の方法により行った。
【0149】
(レート試験の方法)
充放電レート試験は、下記試験条件で、最初に充電から実施し、充電及び放電を下記充電条件1、下記放電条件1、下記充電条件1、下記放電条件2の順番に実施した。
このとき、放電条件2の放電容量と放電条件1の放電容量の商を計算することでレート特性を測定した。すなわち、放電条件2の放電容量/放電条件1の放電容量がレート特性の結果である。なお、以下に記載する電圧は、リチウム基準ではなく、非水電解液二次電池の電圧である。
【0150】
試験条件
電池環境温度:25℃
充放電条件
充電条件1:電圧が2.7Vに達するまでは0.2Cの定電流で充電し、その後、2.7Vを維持して定電圧で充電し、その後、電流が0.02Cとなった時点で充電を終了する。
放電条件1:電圧が2.0Vまで減少するまでは0.2Cの定電流で放電し、2.0Vとなった時点で放電を終了する。
放電条件2:電圧が2.0Vまで減少するまでは2.0Cの定電流で放電し、2.0Vとなった時点で放電を終了する。
【0151】
充電条件1、放電条件1、及び放電条件2に記載の「C」とは、いわゆるCレートであり、非水電解液二次電池の全容量を1時間で充電、又は放電するために必要な電流値を1Cと定義したものである。例えば0.02Cとは、その電流値の0.02倍を指す。すなわち、0.02Cとは、50時間で充電又は放電完了となる電流量である。
【0152】
(保管試験の方法)
非水電解液二次電池を所定のSOCまで充電し、その後60℃の恒温槽に720時間保管する。続いて、非水電解液二次電池を取り出し、常温で36時間放置した後に非水電解液二次電池のガス量、及びレート特性を測定した。
【0153】
(レート特性維持率)
レート特性維持率は、前述の保管試験を実施した後のレート特性を、保管試験を実施する前のレート特性と比較したときのパーセント値である。すなわち、レート特性維持率とは、保管試験前後でどの程度レート特性を維持しているかの指標である。
【0154】
(ガス発生量の測定方法)
ガス発生量は、あらかじめ電池の封入体の外装であるアルミラミネートシートに、封入体の容積の一部としてガスポケットを設け、保管試験中に発生したガスをこのガスポケットに貯めるようにする。そして、保管試験前後の電池の体積をアルキメデス法で測定し、その増加分を測定することにより求めた。
【0155】
(充放電サイクル試験の方法)
充放電サイクル試験は、下記サイクル条件で、最初に充電から実施し、放電及び充電を下記充電条件2及び下記放電条件3にて繰り返し、最後に放電することで実施した。なお、以下に記載する電圧は、リチウム基準ではなく、非水電解液二次電池の電圧である。
【0156】
サイクル条件
電池環境温度:60℃
単位サイクル:充電1回及び放電1回を1サイクルとする。
繰り返しサイクル数:400サイクル
充放電条件
充電条件2:電圧が2.7Vに達するまでは0.5Cの定電流で充電し、その後、2.7Vを維持して定電圧で充電する。そして、電流が0.02Cとなった時点で充電を終了する。
放電条件3:電圧が2.0Vまで減少するまでは1.0Cの定電流で放電し、2.0Vとなった時点で放電を終了する。
【0157】
(容量維持率)
容量維持率は、前述のサイクル条件での充放電サイクル試験を実施した後の放電容量を、1サイクル目の放電容量と比較した時のパーセント値である。すなわち、容量維持率とは、充放電サイクル試験の前後における放電容量の変化率である。
【0158】
(電池の評価基準)
作製した電池に対して以下の基準で評価した。
(1)保管試験におけるレート特性維持率が95%以上であり、かつ、単位容量当たりのガス発生量が0.3mL/Ah以下であること
(2)保管試験に使用した非水電解液二次電池と同様の構成の非水電解液二次電池を用いて充放電サイクル試験を実施し、容量維持率が90%以上であること
(1)及び(2)の双方を満たすものを◎とし、(1)だけを満たすものを○とし、それ以外を×とした。
【0159】
(スピネル型マンガン酸リチウムの製造)
Li
1.1Al
0.1Mn
1.8O
4の粉末を、文献(Electrochemical and Solid−State Letters、9(12)、A557(2006))に記載されている方法を応用して製造した。
【0160】
(コバルト酸リチウムの製造)
コバルト原子とリチウム原子の原子比が1:1.03となるようにコバルト水酸化と水酸化リチウム一水和物を秤量し、この水酸化リチウム一水和物とコバルト水酸化物の乾燥粉末を十分に混合する。得られた混合物を大気雰囲気中で850℃の温度で所定の時間焼成し、さらに粉砕することにより、層状岩塩型化合物たるコバルト酸リチウムを得た。
【0161】
(正極の作製)
これらのスピネル型マンガン酸リチウム(LMO)とコバルト酸リチウム(LCO)を下記表1に記載の重量比で混合した正極活物質を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を5重量部、およびバインダー(固形分濃度8wt%、NMP溶液)を5重量部混合してこれらの材料の混合物のスラリーを調製した。
【0162】
次に、このスラリーをアルミニウム箔(15μm)に塗工した電極シートを170℃で真空乾燥した後に、4cm×6cmの大きさに打ち抜くことで集電体に活物質層が形成された正極部材の一部として下記表1に記載の各正極1〜9を得た。
【0163】
なお、この塗工は、アルミニウム箔の片面に実施して片面電極とする場合と、アルミニウム箔の両面に実施して両面電極とする場合との両方を実施し、両方の電極を作製した。
【0164】
【表1】
【0165】
(正極1〜9の電気容量測定)
このようにして作製した各正極に対して、以下の方法で、各正極を動作極、リチウム電極を対極とする半電池の充放電試験を実施する。こうすることにより、各正極の電気容量を測定した。以下に記載する電圧値は、全てリチウム電極を基準とする値である。
【0166】
まず、片面電極とした各正極を16mmΦに打ち抜き動作極とし、リチウム金属板を16mmΦに打ち抜き対極とした。そして、動作極(片面塗工の塗工面が内側)/セパレータ(セルロース不織布)/対極(リチウム金属板)の順に試験セル(HSセル、宝泉株式会社製)内に積層し、非水電解液(溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=3:7(容積比率)、溶質としてLiPF
6=1mol/Lを使用)を0.15mL入れて、半電池を作製した。
【0167】
この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工株式会社製)に接続し、25℃、0.4mAで、定電流充電及び定電流放電することを5回繰り返し、5回目の放電量の結果を正極の電気容量とした。
【0168】
この際、定電流充電における終止電圧は4.25Vとし、定電流放電における終止電圧は3.0Vとした。その結果、正極1〜9の単位面積当たりの電気容量はいずれも1.6〜1.7mAh/cm
2の範囲内であった。
【0169】
(負極1の作製)
負極活物質として、チタン酸リチウムであるLi
4Ti
5O
12(以下、LTOともいう)の粉末を用いて、以下の方法で、負極1を作製した。
【0170】
負極1:Li
4Ti
5O
12
まず、Li
4Ti
5O
12の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、142、1431(1995))に記載されている方法で製造した。
【0171】
次に、この粉末を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を5重量部、およびバインダー(固形分濃度5wt%、NMP溶液)を固形分が5重量部となるように混合してスラリーを調製した。
【0172】
次に、このスラリーをアルミニウム箔(15μm)に塗工した後に170℃で真空乾燥した。その後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで集電体に活物質層が形成された負極部材の一部として、Li
4Ti
5O
12を負極活物質とする負極1を得た。また、片面電極及び両面電極の両方を作製した。
【0173】
(負極2の作製)
負極活物質として、ブロンズ型二酸化チタンであるTiO
2(B)の粉末を用いて、以下の方法で、負極2を作製した。
【0174】
負極2:TiO
2(B)
まず、TiO
2(B)の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、159、A49−A54(2012))に記載されている方法で製造した。
【0175】
次に、この粉末100重量部を用いて、負極1と同様の方法で、スラリーを調製し、さらに、塗工、真空乾燥を行った。その後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで集電体に活物質層が形成された負極部材の一部として、ブロンズ型二酸化チタンであるTiO
2(B)を負極活物質とする、負極2を得た。
【0176】
(負極3の作製)
負極活物質として、チタン酸化合物であるH
2Ti
12O
25(以下、HTOともいう)の粉末を用いて、以下の方法で、負極3を作製した。
【0177】
負極3:H
2Ti
12O
25
まず、H
2Ti
12O
25の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、158、A546−A549(2011))に記載されている方法で製造した。
【0178】
次に、この粉末100重量部を用いて、負極1と同様の方法で、スラリーを調製し、さらに、塗工、真空乾燥後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで集電体に活物質層が形成された負極部材の一部として、チタン酸化合物であるH
2Ti
12O
25を負極活物質とする、負極3を得た。
【0179】
(負極1〜3の電気容量測定)
このようにして作製した各負極の電気容量を、正極1〜9と同様の方法で測定した。
【0180】
但し、定電流充電における終止電圧は2.0Vとし、定電流放電における終止電圧は1.0Vとした。その結果、負極1〜3の単位面積当たりの電気容量は、いずれも1.8mAh/cm
2であった。
【0181】
作製した両面電極を用い実施例1〜14と、比較例1〜5の電池を、以下に記載の方法で作製した。正極と負極の種類はそれぞれ表2〜表5に記載の通りである。
【0182】
(電池の作製)
正極を13枚、負極を14枚用い、セルロース不職布(25μm、30cm
2)を介して正極と負極が交互になるようにそれぞれ重ね合わせた後、これらの正極をまとめて正極端子1個に、これらの負極をまとめて負極端子1個に、各々振動溶着した。こうすることで、端子を備える電極群を得た。
【0183】
次に、この端子を備える電極群を、端子が部分的に外側に延在するようにして、袋状のアルミラミネートシートに入れた。さらにそこに、非水電解液(非水溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=3:7(体積比)、支持塩である溶質としてLiPF
6=1mol/Lを使用)を5.5mL入れ、その袋内を減圧しながら袋の開口部を封止し、更に12時間養生することによって非水電解液二次電池を得た。
【0184】
実施例1〜14、比較例1〜5の非水電解液二次電池について、表2,表3に記載のSOCまで充電した後、保管試験を実施し、保管試験の前後でガス量、およびレート特性を取得した。
それをもとに、保管試験におけるガス発生量、およびレート特性維持率を測定した。また、実施例1〜8、比較例1の非水電解液二次電池について充放電サイクル試験を実施し、容量維持率を取得した。
保管試験と充放電サイクル試験の結果を表2及び表3に記載する。また、表2,表3において、表1とまとめたものを表4,表5に示す。
【0185】
また、実施例1〜14、比較例1〜5の非水電解液二次電池を、外部に延在した端子を絶縁体で保護したうえで、25℃、30日間放置し、SOCの低下率を測定したところ、いずれも2%以下であった。
【0186】
【表2】
【0187】
【表3】
【0188】
【表4】
【0189】
【表5】
【0190】
表4,表5から読み取れるように、実施例1〜4及び実施例8は○となり、実施例5〜7及び実施例9〜14は◎となり、比較例1〜5は×となった。
すなわち、実施例1〜4及び実施例8はいずれも以下の(1)のみを満たし、実施例5〜7及び実施例9〜14はいずれも以下の(1)及び(2)を満たし、比較例1〜5はいずれも以下の(1)及び(2)を満たさなかった。
(1)保管試験におけるレート特性維持率が95%以上であって、かつ、単位容量当たりのガス発生量が0.3mL/Ah以下であること
(2)容量維持率が90%以上であること
【0191】
以下、各実施例1〜14及び比較例1〜5の結果について検討する。まず、表2,表4の結果について検討する。
【0192】
実施例1〜8の二次電池では、表2,表4に示されるように、いずれも保管試験でのレート特性維持率が良く、ガス発生量が少なかった。この理由は、明確ではないが、チタン化合物の異常活性点で発生したガスを、適切なSOCにある二次電池中の層状岩塩型化合物が効果的に吸収することに起因すると考えられる。
また、実施例5〜7の二次電池では、充放電サイクル試験での容量維持率も90%以上で高かった。この理由は、正極が構造の安定なスピネル型マンガン酸リチウムとガス吸収能力のある層状岩塩型化合物を適切な比率で含んでいるためと考えられる。
【0193】
実施例1〜4の二次電池は、SOCの値が実施例5〜7と同一であるが、層状岩塩型化合物の比率が実施例5〜7に比べて高い。
そして、実施例1〜4では、表4のように保管試験でのレート特性維持率及びガス発生量に大きな変化はなく良好であったものの、実施例5〜7に比べると容量維持率が低い値となった。
これは、実施例1〜4では、層状岩塩型化合物の比率が高いため、充放電サイクル試験において、充放電に層状岩塩型化合物が繰り返し使用されることによって層状岩塩型化合物の材料劣化の影響が大きくなったためと考えられる。
【0194】
一方、実施例8及び比較例1の二次電池は、SOCの値が実施例5〜7と同一であるが、層状岩塩型化合物の比率が実施例5〜7に比べて低い。
実施例8では、保管試験でのレート特性維持率及びガス発生量に大きな変化はなく良好であったものの、実施例5〜7に比べると容量維持率が低い値となった。比較例1では、保管試験でのレート特性維持率、ガス発生量、及び容量維持率が実施例5〜7に比べていずれも悪かった。
これらは、実施例8及び比較例1では、実施例5〜7に比べて層状岩塩型化合物の比率が少ないため、保管試験において、チタン化合物の異常活性点で発生したガスを吸収しきれず、内部抵抗が増大したためと考えられる。
また、実施例8及び比較例1を比較すると、保管試験でのレート特性維持率及びガス発生量は、層状岩塩型化合物の存在によって向上することが分かった。
これらの結果から、ガス発生を抑制しつつ、安定したレート特性を得、さらに高い容量維持率を保持するためには、実施例5〜7の二次電池のように、層状岩塩型化合物を正極の活物質量に対して2重量%〜5重量%添加することが最適であることが分かった。
【0195】
続いて、表3,表5の結果について検討する。
【0196】
実施例6,9,10の二次電池では、表3,表5に示されるように、保管試験でのレート特性維持率が良く、ガス発生量が少なかった。
これは、二次電池が適切なSOCとなっており、保管試験において、負極の異常活性点で発生したガスを層状岩塩型化合物が吸蔵したため、レート特性に変化が少なくガス発生量が少なかったと考えられる。
【0197】
比較例2,3の二次電池は、正極活物質の重量比が同一であり、SOCの値が実施例6,9,10に比べて低い。
比較例2では、保管試験でのレート特性維持率が低く、ガス発生量も多かった。また、比較例3では、保管試験でのレート特性維持率は大きく変化しなかったものの、ガス発生量が多かった。これは、非水電解液二次電池のSOCが低いので、保管試験中に発生するガスを層状岩塩型化合物が十分に吸蔵できていないためと考えられる。
【0198】
一方、比較例4,5の二次電池は、正極活物質の重量比が同一であり、SOCの値が実施例6,9,10に比べて高い。
比較例4では、保管試験でのレート特性維持率は大きく変化しなかったものの、ガス発生量が多かった。比較例5では、保管試験でのレート特性維持率が低く、ガス発生量も多かった。
これは、非水電解液二次電池のSOCが高すぎるために、チタン化合物の異常活性点で発生するガスは吸蔵できているものの、正極の異常活性点で酸化性のガスが発生しており、内部抵抗が増大したため、レート特性維持率が低下したためと考えられる。
【0199】
比較例2(SOC0%)、比較例3(SOC20%)、実施例9(SOC30%)、及び実施例6(SOC50%)を比較すると、SOCが増加するにしたがって、レート特性維持率が増加し、ガス発生量が低下することがわかる。
一方、実施例6(SOC50%)、実施例10(SOC60%)、比較例4(SOC70%)、及び比較例5(SOC100%)を比較すると、SOCが増加するにしたがってレート特性維持率が低下し、ガス発生量が増加することがわかる。
以上の結果から、非水電解液二次電池の適切なSOCは30%以上60%以下であることがわかった。
【0200】
実施例11〜14は、いずれも◎であり、保管試験におけるレート特性維持率、単位容量当たりのガス発生量、及び容量維持率のいずれも良好であった。
この結果から、SOCを30%以上60%以下にすることで、チタン化合物がTiO
2(B)やH
2Ti
12O
25であっても、Li
4Ti
5O
12と同様、保管試験におけるレート特性維持率及び単位容量当たりのガス発生量が良好となることが分かった。
【0201】
以上の結果から、SOCを30%以上60%以下の範囲にすることで、ガス発生を抑制しつつ、安定したレート特性を得られることがわかった。
また、正極活物質として、層状岩塩型化合物を正極の活物質量に対して2重量%以上5重量%以下添加することによって、上記に加えて高い容量維持率を保持できることがわかった。