(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873036
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】使用状況監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
F16K37/00 D
F16K37/00 F
F16K37/00 H
F16K37/00 M
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-526024(P2017-526024)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公表番号】特表2017-525916(P2017-525916A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】GB2015052202
(87)【国際公開番号】WO2016016649
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】1413707.9
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511176126
【氏名又は名称】チャージポイント テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】リチャード アソール バートン
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−019372(JP,A)
【文献】
特開2011−220451(JP,A)
【文献】
特開2003−035380(JP,A)
【文献】
特開昭63−067475(JP,A)
【文献】
特開2010−048265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送用の弁、又は互いに係合する2つの弁部分によって構成される移送用のカップリング部材の、弁アセンブリ内で枢動可能な弁閉鎖部材の使用状況を監視する装置であって、
前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性を表すデータを記憶するデータ記憶手段と、
弁アクチュエータ及び/又は前記弁閉鎖部材の上に位置し、前記弁又は前記カップリング部材の弁ハウジングの前記使用状況を監視するための監視手段と、
前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況を、前記使用状況に対応する前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性と比較するプロセス手段と、
を備え、
前記プロセス手段は、前記弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで決定し、
前記弁アクチュエータは、細長いシャフトを有する、手動操作可能なハンドルを備え、前記シャフトの一端はノブを形成するように寸法決めされ、前記シャフトの他端は中央ハブを形成するよう寸法決めされ、
前記中央ハブは、前記弁又は前記カップリング部材に結合するための第1の面と、前記オペレータが見ることができる反対側の第2の面とを含み、
前記中央ハブは、プリント回路基板、バッテリ、及び液晶ディスプレイが収容される概ね円形の本体を画定し、
前記液晶ディスプレイは前記第2の面に配置され、
前記中央ハブの前記第1の面は、前記弁又は前記カップリング部材の四角形のスピゴットに結合するよう寸法決めされたソケットを備え、
前記中央ハブは、前記弁アセンブリに固定され、
前記ハンドルは、前記ソケットを回転させるために前記中央ハブの本体内で回転可能である装置。
【請求項2】
前記弁又は前記カップリング部材は粉体移送用の弁である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁又は前記カップリング部材は、スプリットバタフライ弁、スプリットスライディングゲート弁、スプリットボール弁、及びツイン弁からなるグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弁又はカップリングの使用状況は、前記弁又はカップリングの、開放及び/又は閉鎖事象、ロック及び/又はアンロック事象、又はドッキング及び/又はアンドッキング事象を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況を監視する前記監視手段は、多軸加速度計、ロータリーエンコーダ、及びオン/オフセンサからなるグループから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況の前記少なくとも1つの属性は、耐用年数データを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記中央ハブは、密閉型の進入防護エンクロージャを画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記データ記憶手段及び前記プロセス手段は、プリント回路基板上に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記データ記憶手段及び前記プロセス手段は、マイクロコントローラ内に実装される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセス手段は、ユーザ入力ボタンから、及び/又は前記弁又は前記カップリング部材の使用状況を監視する前記監視手段から、並びに/又は前記プリント回路基板に埋め込まれた、又は前記プリント回路基板に対して遠隔位置にある1つ以上のセンサからウェイクアップ信号を受信する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセス手段は、前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況を監視する前記監視手段によって検出された回転、脈動、衝突、衝撃、及び/又は振動を含む入力刺激からウェイクアップ信号を受信する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの出力信号をオーディオビジュアル、英数字、及び/又は触覚の情報によりオペレータに表示するディスプレイ手段をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの出力信号は、前記弁又は前記カップリング部材の監視された使用状況、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つ属性を表すデータ、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材を交換又は整備した日にち、及び前記弁又は前記カップリング部材の近傍における1つ以上の動作状態からなるグループから選択される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記弁又は前記カップリング部材近傍における前記1つ以上の動作状態は、外部/内部の温度、光強度、湿度、大気圧、力、トルク、応力、及び総使用時間からなるグループから選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の動作状態は、1つ以上の環境センサを用いて検知される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の環境センサは、フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトディテクタ、抵抗温度検出器、熱電対、サーミスタ、圧電素子、ポテンショメータ、歪みゲージ、空気流センサ、風力計、マイクロフォン、近接センサ、動きセンサ、ホール効果センサからなるグループから選択される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性を表すデータ、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材を交換又は整備した日にち、及び/又は前記弁又は前記カップリング部材の近傍における1つ以上の動作状態は、ローカル又はリモートアクセス用に表示される、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性を表すデータ、前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材を交換又は整備した日にち、及び/又は前記弁又は前記カップリング部材の近傍における1つ以上の動作状態は、有線又は無線の通信ユニットを用いて遠隔サーバに返送される、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性を表すデータ、及び/又は前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材を交換又は整備した日にちは、ユーザが設定可能である、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記弁又は前記カップリング部材の位置を記録するGPS位置モジュールをさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記マイクロコントローラは、一意の製品識別子を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項22】
移送用の弁、又は互いに係合する2つの弁部分によって構成される移送用のカップリング部材の、弁アセンブリ内で枢動可能な弁閉鎖部材の使用状況を監視する方法であって、
前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性を表すデータを記憶するステップと、
弁アクチュエータ及び/又は前記弁閉鎖部材の上に位置する監視手段により、前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況を監視するステップと、
前記弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで決定することにより、前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況を、前記使用状況に対応する前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性と比較するステップと、
を含み、
前記弁アクチュエータは、細長いシャフトを有する、手動操作可能なハンドルを備え、前記シャフトの一端はノブを形成するように寸法決めされ、前記シャフトの他端は中央ハブを形成するよう寸法決めされ、
前記中央ハブは、前記弁又は前記カップリング部材に結合するための第1の面と、前記オペレータが見ることができる反対側の第2の面とを含み、
前記中央ハブは、プリント回路基板、バッテリ、及び液晶ディスプレイが収容される概ね円形の本体を画定し、
前記液晶ディスプレイは前記第2の面に配置され、
前記中央ハブの前記第1の面は、前記弁又は前記カップリング部材の四角形のスピゴットに結合するよう寸法決めされたソケットを備え、
前記中央ハブは、前記弁アセンブリに固定され、
前記ハンドルは、前記ソケットを回転させるために前記中央ハブの本体内で回転可能である方法。
【請求項23】
移送用の弁、又は互いに係合する2つの弁部分によって構成される移送用のカップリング部材の、作動アクチュエータ上に配置され、弁アセンブリ内で枢動可能な、前記弁又は前記カップリング部材の弁閉鎖部材の使用状況を監視するための電源内蔵型ユニットであって、
前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の属性を表すデータを記憶するデータ記憶手段と、
弁アクチュエータ及び/又は前記弁閉鎖部材の上に位置し、前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況を監視する監視手段と、
前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況を、前記使用状況に対応する前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性と比較するプロセス手段と、
粉体移送用の弁又は粉体移送用のカップリング部材の、前記弁閉鎖部材に関する情報を表示するディスプレイ手段と、
を備え、
前記プロセス手段は、前記弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで決定し、
前記弁アクチュエータは、細長いシャフトを有する、手動操作可能なハンドルを備え、前記シャフトの一端はノブを形成するように寸法決めされ、前記シャフトの他端は中央ハブを形成するよう寸法決めされ、
前記中央ハブは、前記弁又は前記カップリング部材に結合するための第1の面と、前記オペレータが見ることができる反対側の第2の面とを含み、
前記中央ハブは、プリント回路基板、バッテリ、及び液晶ディスプレイが収容される概ね円形の本体を画定し、
前記液晶ディスプレイは前記第2の面に配置され、
前記中央ハブの前記第1の面は、前記弁又は前記カップリング部材の四角形のスピゴットに結合するよう寸法決めされたソケットを備え、
前記中央ハブは、前記弁アセンブリに固定され、
前記ハンドルは、前記ソケットを回転させるために前記中央ハブの本体内で回転可能である電源内蔵型ユニット。
【請求項24】
移送用の弁、又は互いに係合する2つの弁部分によって構成される移送用のカップリング部材の、弁アセンブリ内で枢動可能な弁閉鎖部材の使用状況を監視するためのコンピュータに実装されるプログラムであって、
前記弁又は前記カップリング部材の前記弁閉鎖部材の少なくとも1つ属性を表すデータを記憶する記憶手段と、
弁アクチュエータ及び/又は前記弁閉鎖部材の上に位置し、前記弁又は前記カップリング部材の前記使用状況を監視する監視手段と、
前記監視された前記弁又は前記カップリング部材の前記監視された使用状況を、前記使用状況に対応する前記弁閉鎖部材の少なくとも1つの属性と比較するプロセス手段と、を含み、
前記プロセス手段は、前記弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで決定し、
前記弁アクチュエータは、細長いシャフトを有する、手動操作可能なハンドルを備え、前記シャフトの一端はノブを形成するように寸法決めされ、前記シャフトの他端は中央ハブを形成するよう寸法決めされ、
前記中央ハブは、前記弁又は前記カップリング部材に結合するための第1の面と、前記オペレータが見ることができる反対側の第2の面とを含み、
前記中央ハブは、プリント回路基板、バッテリ、及び液晶ディスプレイが収容される概ね円形の本体を画定し、
前記液晶ディスプレイは前記第2の面に配置され、
前記中央ハブの前記第1の面は、前記弁又は前記カップリング部材の四角形のスピゴットに結合するよう寸法決めされたソケットを備え、
前記中央ハブは、前記弁アセンブリに固定され、
前記ハンドルは、前記ソケットを回転させるために前記中央ハブの本体内で回転可能であるコンピュータに実装されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状況監視システム及び方法に関する。特に、本発明は、弁の使用状況を監視するシステム及び方法に関し、具体的には、排他的ではないが、粉体、液体、スラリー、タブレット、及び/又は流体の流れを制御、充填、排出、及び/又は規制するための弁に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリットバタフライ弁のような弁は、多くの様式で入手可能であり、製品を周囲環境、及び製品の近くで働く人員に対して暴露するのを防ぐために、製品の封じ込めが必要とされるプロセスに広く用いられている。スプリットバタフライ弁様式は、弁を、能動ユニット及び受動ユニットとして一般に知られている2つのユニットに分けて開けることができる。この弁様式は、2つに分けたときに、2つのユニットが、内容物をいずれかの側で封止して、封じ込めるようになっている。
【0003】
医薬品、化学薬品、バイオ物質、及び食品の製造においては、有効な封じ込めは、このような化合物及び物質を安全かつ衛生的に取り扱うために不可欠である。製造プロセスの各段階では、オペレータを最適に保護し、製品の品位を維持するために、製品の取り扱いを制御し、管理しなければならない。
【0004】
多くの新規薬剤成分の効能を向上させることにより、取り扱われる物質が健康に有害であることがある。医薬品及びバイオ製造品は、製品が汚染しないよう厳格な管理下で製造されることがよくある。これは、そのような製品を人間が摂取することがよくあるからであり、業界はアメリカにおけるFDA(食品医薬品局)、及びイギリスにおけるMHRA(薬品及び健康管理品規制庁)のような機関によって厳しく規制されている。さらに、活性薬剤成分及び/又はその後に希釈される粉体のような医薬品の量がオペレータの健康を損ねるのに十分な量であり得る。そのため、オペレータと潜在的に有害な物質との直接的な接触を避ける必要がある。環境への製品の暴露、及び製品の近くで働く人員への製品の暴露を防ぐために、スプリット弁の能動ユニットと受動ユニットとの間に良好なシールを存在させる斯様な厳しい要件があることにより、弁の構成要素を厳格な条件下で製造し、構成要素の寸法を正確に製造して、厳格な公差が確実に達せされるようにする。
【0005】
スプリット弁の能動ユニットと受動ユニットとの間、及び弁の構成要素間に良好なシールが存在して、製品が、周囲環境と、該製品の近傍で働くオペレータとの双方に暴露するのを確実に防ぐことができるのは、正確に製造された弁構成要素が用いられ、かつ適切に整備されている場合だけである。スプリット弁アセンブリにおける弁の重大な故障の主たる原因は、粘弾性の弁構成要素及び弁座における過度な摩耗によるものである。これらの構成要素の悪化又は劣化は、選択された粘弾性材料、及びその耐用年数や、変動する環境状態及びプロセス状態の変動や、弁を通る製品の物理的属性(すなわち、粗さ、流速、温度)や、オペレータの配慮と注意力などを順不同に含む、多くの要因又はパラメータによる場合がある。現在のところ、これらの要因を小型でコンパクトな装置で監視して、弁を常に安全な方法で作動させ、かつ重大な故障、誤使用、又は計画外の整備のリスクを確実に有意に防ぐことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は従来技術における弁の動作に関連する諸問題の1つ以上を克服又は緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、移送用の弁又はカップリングの、少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素の使用状況を監視する装置であって、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つの属性を表すデータを記憶するデータ記憶手段と、前記弁又はカップリングの使用状況を監視するための監視手段と、前記弁又はカップリングの、前記監視された使用状況を、前記弁の前記整備可能な部品又は構成要素の、少なくとも1つの属性と比較するプロセス手段と、を備える装置が提供される。
【0008】
好ましくは、前記弁又はカップリングは粉体移送用の弁である。
【0009】
更に好ましくは、前記弁又はカップリングは、スプリットバタフライ弁、スプリットスライディングゲート弁、スプリットボール弁、ツイン弁、高速移送ポート、及びアルファベータポートからなるグループから選択される。
【0010】
使用に際し、前記弁又はカップリングの使用状況は、前記弁又はカップリングの、開放及び/又は閉鎖事象、ロック及び/又はアンロック事象、又はドッキング及び/又はアンドッキング事象を含む。
【0011】
好ましくは、前記弁又はカップリングの使用状況を監視する前記監視手段は、多軸加速度計、ロータリーエンコーダ、及びオン/オフセンサからなるグループから選択される。
【0012】
さらに好ましくは、前記弁又はカップリングの使用状況を監視する前記監視手段は、弁ハウジングに対する弁閉鎖部材の回転位置を検知する。
【0013】
使用に際し、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の前記少なくとも1つ属性は、耐用年数データを含む。
【0014】
好ましくは、前記弁又はカップリングの使用状況を監視する前記監視手段は、弁アクチュエータ及び/又は弁閉鎖部材の上に位置する。
【0015】
さらに好ましくは、前記弁アクチュエータは、細長いシャフトを有する、手動操作可能なハンドルを備え、前記シャフトの一端はノブを形成するように寸法決めされ、前記シャフトの他端は中央ハブを形成するよう寸法決めされる。
【0016】
使用に際し、前記中央ハブは、前記弁又はカップリングに結合するための第1の面と、前記オペレータが見ることができる反対側の第2の面とを含む。
【0017】
好ましくは、前記中央ハブの前記第1の面は、前記弁又はカップリングの四角形のスピゴットに結合するよう寸法決めされたソケットを備える。
【0018】
さらに好ましくは、前記中央ハブは、プリント回路基板、バッテリ、及び液晶ディスプレイが収容される概ね円形の本体を画定する。
【0019】
使用に際し、前記中央ハブは、密閉型の進入防護エンクロージャを画定する。
【0020】
好ましくは、記データ記憶手段及び前記プロセス手段は、プリント回路基板上に位置する。
【0021】
さらに好ましくは、前記データ記憶手段及び前記プロセス手段は、低電力マイクロコントローラ内に実装される。
【0022】
使用に際し、前記プロセス手段は、ユーザ入力ボタンから、及び/又は前記弁又はカップリングの使用状況を監視する前記監視手段から、並びに/又は前記プリント回路基板に埋め込まれた、又は前記プリント回路基板に対して遠隔位置にある1つ以上のセンサからウェイクアップ信号を受信する。
【0023】
好ましくは、前記プロセス手段は、前記弁又はカップリングの使用状況を監視する前記監視手段によって検出された回転、脈動、衝突、衝撃、及び/又は振動を含む入力刺激からウェイクアップ信号を受信する。
【0024】
さらに好ましくは、前記プロセス手段は、前記弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムで決定する。
【0025】
使用に際し、本装置は、少なくとも1つの出力信号をオーディオビジュアル、英数字、及び/又は触覚の情報によりオペレータに表示するディスプレイ手段をさらに備える。
【0026】
好ましくは、前記少なくとも1つの出力信号は、前記弁又はカップリングの監視された使用状況、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つ属性を表すデータ、前記弁又はカップリングの1つ以上の整備可能な部品又は構成要素を交換又は整備した日にち、及び前記弁又はカップリングの近傍における1つ以上の動作状態からなるグループから選択される。
【0027】
さらに好ましくは、前記弁又はカップリング近傍における前記1つ以上の動作状態は、外部/内部の温度、光強度、湿度、大気圧、力、トルク、応力、及び総使用時間からなるグループから選択される。
【0028】
使用に際し、前記1つ以上の動作状態は、1つ以上の環境センサを用いて検知される。
【0029】
好ましくは、前記1つ以上の環境センサは、フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトディテクタ、抵抗温度検出器、熱電対、サーミスタ、圧電素子、ポテンショメータ、歪みゲージ、空気流センサ、風力計、マイクロフォン、近接センサ、動きセンサ、ホール効果センサからなるグループから選択される。
【0030】
さらに好ましくは、前記弁又はカップリングにおける前記少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素は、弁座、弁閉鎖部材、弁本体部、シール、弾性Oリング、ブッシュ、機械的な停止ピン、又は、インターロック機構の機械的構成要素のうちいずれか1つからなるグループから選択される。
【0031】
使用に際し、前記弁又はカップリングの前記監視された使用状況、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つの属性を表すデータ、前記弁又はカップリングの1つ以上の整備可能な部品又は構成要素を交換又は整備した日にち、及び/又は前記弁又はカップリングの近傍における1つ以上の動作状態は、ローカル又はリモートのアクセス用に表示される。
【0032】
好ましくは、前記弁又はカップリングの前記監視された使用状況、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つの属性を表すデータ、前記弁又はカップリングの1つ以上の整備可能な部品又は構成要素を交換又は整備した日にち、及び/又は前記弁又はカップリングの近傍における1つ以上の動作状態は、有線又は無線の通信ユニットを用いて遠隔サーバに返送される。
【0033】
さらに好ましくは、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つの属性を表すデータ、及び/又は前記弁又はカップリングの1つ以上の整備可能な部品又は構成要素を交換又は整備した日にちは、ユーザが設定可能である。
【0034】
使用に際し、本装置は、前記弁又はカップリングの位置を記録するGPS位置モジュールをさらに備える。
【0035】
好ましくは、前記低電力マイクロコントローラは、一意の製品識別子を含む。
【0036】
また、本発明によれば、移送用の弁又はカップリングの、少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素の使用状況を監視する方法であって、前記弁又はカップリングの整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つ属性を表すデータを記憶するステップと、前記弁又はカップリングの使用状況を監視するステップと、前記監視された前記弁又はカップリングの使用状況を、前記弁の前記整備可能な部品又は構成要素の、少なくとも1つの属性と比較するステップと、を含む方法が提供される。
【0037】
また、本発明によれば、移送用の弁又はカップリングの作動アクチュエータ上に配置され、前記弁又はカップリングの、少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素の使用状況を監視するための電源内蔵型ユニットであって、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つの属性を表すデータを記憶するデータ記憶手段と、前記弁又はカップリングの使用状況を監視するための監視手段と、前記弁又はカップリングの、前記監視された使用状況を、前記弁の前記整備可能な部品又は構成要素の、少なくとも1つの属性と比較するプロセス手段と、粉体移送用の弁又はカップリングの前記少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素に関する情報を表示するディスプレイ手段と、を備えるユニットが提供される。
【0038】
また、本発明によれば、移送用の弁又はカップリングの、少なくとも1つの整備可能な部品又は構成要素の使用状況を監視するためのコンピュータプログラム製品であって、前記弁又はカップリングの前記整備可能な部品又は構成要素の少なくとも1つ属性を表すデータを記憶するコンピュータプログラム製品手段と、前記弁又はカップリングの使用状況を監視するコンピュータプログラム製品手段と、前記監視された前記弁又はカップリングの使用状況を、前記弁の前記整備可能な部品又は構成要素の、少なくとも1つの属性と比較するコンピュータプログラム製品手段と、を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0039】
本発明による、使用状況を監視するシステム及び方法は上記で概説した課題を少なくとも解決すると思われる。本発明の利点は、弁の使用状況(すなわち、各作動)が正確に監視され、この監視により、測定された使用状況情報が、記憶済みの、属性データと確実に比較されるようにするシステム及び方法が提供され、記憶済みの属性データは、弁の様々な構成要素の耐用年数データを含むことができる。オペレータに使用状況情報を表示することによって、有利には、弁構成要素及び弁座の重大な故障の発生を減少させ、従って、弁構成要素の計画されたダウンタイムと不測の故障とのいずれも減少させることができる。有利には、弁を監視し、その弁をいつ整備する必要があるかに関する指針を提供する、使用状況監視システム及び方法は、弁が正しく作動するのには安全でなく、危険となるか、又は役に立たなくなる機会を低減させるであろう。
【0040】
当業者には、本発明の変形が可能であり、本発明がここで特に記載された以外に用いることを意図できることが理解されることは明らかであろう。
【0041】
本発明の特定の非限定的な実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明による弁の手動操作のための弁作動ハンドル内に具現化された本発明の一部切欠いた斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2の弁作動ハンドルが、手動操作のための弁又はカップリングにどのように結合され得るかを示す図である。
【
図4】
図1及び
図2の弁作動ハンドルが、手動操作のための弁又はカップリングにどのように結合され得るかを示す図である。
【
図5】本発明がマイクロコントローラ内にどのように実装されるかを示す大まかな概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで図面を参照すると、弁又はカップリングのオペレータに使用状況情報を提供するためのシステムが
図1及び
図2に示されている。
図1及び
図2は、本発明が、スプリット弁アセンブリの手動操作用の弁作動ハンドル10内にどのように具現化され得るかを示している。当業者には、本発明が前述の実施形態の詳細に限定されないことを理解されるであろう。例えば、手動操作可能なハンドル10は、空気圧式、電気式、又はその他のような異なる動力付きアクチュエータに置き換えることができ、このように監視される弁の使用状況によって、整備又は交換に関する指針が提供される。
【0044】
図1に示すように、弁作動ハンドル10は、中実のハンドルシャフト又はアーム22を有して形成され、その一端はノブ24を形成する。ハンドルシャフト又はアーム22の他端は、単一の機械加工部品として形成されるハブ20に固定される。
図1に最も良く示されているように、ハブ20の裏面、すなわちスプリット弁アセンブリ50に接して位置する面は、
図3に最も良く示されているように、スプリット弁アセンブリ50上の四角形のスピゴット52に連結するよう寸法決めされたソケット48を画定する。
【0045】
ハブ20の正面、すなわちオペレータに見える面は、概ね円形状である。
【0046】
図2に最も良く示されているように、ハブ20は、プリント回路基板(PCB)30と、及び電源又はバッテリ32とが、固定ネジ34により内部に取り付けられる、概ね環状のハウジング36を含む。カラー液晶ディスプレイ(LCD)38は、ハウジング36におけるPCB30の反対側の開口部内に配置される。そして、カラーLCDディスプレイ38は、スクリーンサブアセンブリ40内に固定され、スクリーンサブアセンブリ40はその中央に、保護用の透明なスクリーン又は窓42を有し、アクセスし易いようにスクリーンサブアセンブリ40の径の周りに配置される操作又は機能ボタン44も有している。ボタン44は、電源オン/オフボタン、スタンバイボタン、及び/又は1つ以上の機能ボタンを含む。
【0047】
弁作動ハンドル10は、有害な粉体、粉塵、粒状で半固体の配合剤を収容し、規制し、制御することを含む環境的に厳しい状態での使用を意図しているので、ハウジング36及びスクリーンサブアセンブリ40は、これらをハブ20に取り付ける組み立てネジ46及び内部Oリングシール28を用いて、円周シール26に対して一緒に固定される。弁又はカップリングのオペレータに使用状況情報を提供するために、PCB30は、
図5に概略的に最も良く示され、かつ
図5につき説明されるように、様々なハードウェア、ソフトウェア、センサ、及び構成要素を含む。
【0048】
図1及び
図2は、本発明が、弁又はカップリング、特に、有害な粉体、粉塵、粒状で半固体の配合剤などを収容し、規制し、制御するためのスプリット弁アセンブリ50の手動操作用の弁作動ハンドル10内に、どのように具現化されるかを示す。使用中に、ハブ20の裏面、すなわちスプリット弁アセンブリ50に接して位置する面は、
図3及び
図4に示すように、スプリット弁アセンブリ50上の四角形のスピゴット50に結合するよう寸法決めされたソケット48を含む。オペレータによる弁作動ハンドル10の回転によって、スプリット弁アセンブリ50内の、それぞれ枢動可能に装着された各弁閉鎖部材(図示せず)が制御される。
【0049】
代替実施形態では、ハブ20は、スプリット弁アセンブリ50に固定され、弁作動ハンドル10は、ソケット48を回転させるためにハブ20の本体内で回転可能とする。このように、LCDディスプレイ38及びスクリーンサブアセンブリ40の周縁に位置する、操作及び/又は機能ボタン44はユーザにとって固定された向きに配置される。
【0050】
図3及び4に示すように、スプリット弁アセンブリ50は、上側の受動弁部分56と下側の能動弁部分54との2つの弁部分を備える。受動弁部分56は、概ね環状の形状である弁ハウジング57を画定する。能動弁部分54も、概ね環状の形状である弁ハウジング55を画定する。2つの弁部分54,56は、相補形状をしており、その一方が他方と封止的に係合し、相互に作用することで、そこを経て、物質を通過させることができる。
図3及び
図4には示されていないが、各弁部分は、ハウジング55,57内に枢動可能に装着された弁閉鎖部材を含む。各弁閉鎖部材は、環状ディスクの形態をしており、その各々にはスピンドルが設けられ、これによって各弁閉鎖部材は枢動可能に回転することができる。
【0051】
図3及び
図4には示されていないが、下側の能動弁部分54のスピンドルは、スピゴット52に結合されるか、又はスピゴット52と一体に形成される。そのため、スピンドルの回転は、スピゴット52の回転によってなされる。上側の受動弁部分56のスピンドルは、スピゴット52に結合される。機械的に安全なインターロックが、スプリット弁アセンブリ50の安全な動作を保証する。2つの弁部分が正しくドッキングされると、能動弁部分54における機械的なインターロックピン60が、能動弁部分54の輪郭形成されたリリースピン62を解除し、スピゴット52の回転によって弁ディスクが開かれる。
【0052】
弁閉鎖部材は、弁ハウジング55,57内に形成された環状の弁座(図示せず)上に着座される。弁座は、弾性変形可能であり、一般的には、使用時に、弁ハウジング55,57の中実部分に係合するよう構成された弁座を受容するそれぞれの凹所内に配置される。
【0053】
弁閉鎖部材は、90°以上、枢動可能に構成されるため、弁閉鎖部材が全開位置にあるとき、弁閉鎖部材の面の輪郭は、弁ハウジング55,57の貫通孔の輪郭と一致し、これにより流れに対して最小限の制限を提供する。
【0054】
図3及び
図4は、スプリット弁アセンブリ50の2つの弁部分54,56を、ハンドル58の回転によりロック及びアンロックすることができることも示している。これは、スプリット弁アセンブリ50が閉鎖設定ある場合においてのみ起こり得る。
【0055】
スプリット弁アセンブリ50の2つの弁部分54,56は、物質を収容するための(不図示の)容器、物質を搬送するためのホースのような搬送手段、及び/又は当技術分野で既知の他のプロセス機器に装着することができる。弁部分を装着する手段は、例えば、ネジ山、締りばめ、差し込みアタッチメント等のような、当技術分野で既知の任意の手段を含むことができる。代わりに、弁部分54,56は、容器又は搬送手段と一体に形成してもよい。
【0056】
上記では、本発明を、弁又はカップリング、特に、スプリットバタフライ弁アセンブリ50の手動操作用の弁作動ハンドル10内に、どのようにして具現化できるかを説明したが、当業者には、本発明は、例えば、スプリットスライディングゲート弁、スプリットボール弁、ツイン弁、高速移送ポート、アルファベータポートのような、任意の態様の移送用の弁又はカップリング内に実装され得ることが理解されるであろう。
【0057】
図5は、弁及びカップリングのオペレータに使用状況情報を提供するシステム及び方法が、どのように、低電力マイクロコントローラ100を含む小型の電源内蔵式ユニット内に実装されるかを示している概略図である。
図5に示すように、マイクロコントローラ100は、この図の右側に概ね示した多数の入力を受信する。
【0058】
マイクロコントローラ100は、プロセッサ、メモリ、及び周辺機器を有する内蔵型のシステムと見なすことができ、この図の左側に概ね示した多数の出力を監視し、オペレータに使用状況情報を提供するために用いることができる。
【0059】
図5は、概略図であって、図面の明瞭化のために、多くの他の回路素子は示されていない。例えば、
図5には示されていないが、プリント回路基板30に埋め込まれた1つ以上の環境センサ104から受信されるアナログ信号は、まず、当技術分野で利用可能な任意の適切なタイプのアナログ−デジタル変換器(ADC)によりデジタル形式に変換される。同様に、マイクロプロセッサ100の1つ以上のデジタル出力は、当技術分野で利用可能な任意のタイプのデジタル−アナログ変換器(DAC)を用いてアナログ形式に変換することができる。例えば、このようなアナログ出力信号は、可聴出力116を付勢するのに用いることができる。
【0060】
作動時に、マイクロコントローラ100のソフトウェアに書かれた一連の命令又はアルゴリズムが、マイクロコントローラ100をプログラするよう設定されている。マイクロコントローラ100は、プロセッサ、メモリ、及び周辺機器を含み、まず、ウェイクアップ信号を待機する低電力のスタンバイモードにある。ウェイクアップ信号は、ユーザ入力ボタン102から、及び/又はプリント回路基板30に埋め込まれた1つ以上の環境センサ104から、並びに/又は1つ以上の機器センサ106から受信することができる。その最も基本的な動作モードにおいて、マイクロコントローラ100は、オペレータが、スクリーンサブアセンブリ40上にあるオン/オフ又はスタンバイボタン102を押下することによって、スタンバイモードから有効にウェイクアップさせることができる。
【0061】
さらに、又は代わりに、マイクロコントローラ100は、オペレータが単にハンドルシャフト22又はノブ24をつかむことによって、又はスプリット弁アセンブリ50へのオペレータの接近を検知することによって低電力スタンバイモードから有効にウェイクアップさせることができる。好適な実施形態において、プリント回路基板30に配置する機器センサ106の1つは、スプリット弁アセンブリ50に対する、ハンドル22の回転位置を検出する位置センサである。使用にあたって、位置センサは、3軸加速度計であり、該3軸加速度計は、回転、脈動、衝撃、衝突、及び/又は振動を含む小さい入力刺激を受容して、まず、マイクロコントローラ100をウェイクアップさせる。当業者であれば、位置センサは、6軸加速度計のような他の多軸加速度計を用いるか、あるいは回転光学エンコーダ、又はオン/オフセンサ及びスイッチを用いて実装することもできることを理解するであろう。
【0062】
マイクロコントローラ100がウェイクアップすると、それは、次に、弁作動ハンドル10の回転の向き及び位置を決定するために3軸加速度計の出力を検知する。弁作動ハンドル10の位置は、スプリット弁アセンブリ50内に枢動可能に装着された弁閉鎖部材の位置を制御するから、マイクロコントローラ100は、スプリット弁アセンブリ50内に枢動可能に装着された弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムに、決定することができる。
【0063】
マイクロコントローラ100は、スプリット弁アセンブリ50内に枢動可能に装着された弁閉鎖部材の位置をリアルタイム又はほぼリアルタイムに決定することができ、弁閉鎖部材の全開位置(枢動可能に装着された弁閉鎖部材が流体又は他の物質の流れをほとんど制限しない場合)と全閉位置(枢動可能に装着された弁閉鎖部材が、それらの各弁座に対して垂直となる場合)との間の、弁閉鎖部材の位置を検出し、記録することができる。
【0064】
マイクロコントローラ100は、その最も基本的なモードにおいて、スプリット弁アセンブリ50の全開設定と全閉設定との間の作用、又はその逆の作用を、1つの作用事象として単に記録することができる。本実施形態において、マイクロコントローラ100に記憶される弁の使用状況データは、弁が全開又は全閉になるたびに1つずつ増分する。代わりに、弁座に対する弁閉鎖部材の個別の閉鎖のみ(粘弾性の弁の構成要素及び弁座が弁ハウジングの平面に対して90°で接触するとき)を作用事象としてカウントし、弁閉鎖部材が部分的に開いたとき、すなわち90°より小さいか90°より大きい角度となるときは記録しない。
【0065】
ディスプレイ118は、記憶済みの、弁の使用状況データをオペレータに表示するために用いることができ、さらに/あるいは、可聴出力又はアラーム116、あるいは何らかの形態の触覚フィードバック114といったような、ビジュアルディスプレイユニット118への出力信号の1つ又は任意の組合せを含むことができる。
【0066】
例えば、ディスプレイは、弁が開いたり閉じたりした回数を表示するのに用いることができ、また、耐用年数データ、又は弁の1つ以上の構成要素を最後に交換したとき等のような追加情報を表示するのに用いることもできる。
【0067】
弁の開放及び閉鎖はそれぞれ監視され、ローカルメモリに記憶されるため、この弁の使用状況データは、シールやその他の性能上、重要な部品を交換又は整備すべき場合、あるいは同様に、弁の動作や作用を安全な動作限度内で正しく使用するために制限をかける場合に、オペレータにアドバイスしたり、指針を提供したりするのに用いることもできる。この使用状況データは、例えば、故障状態が発生した後に調べて、その故障の原因をフォレンジックに判断するのに役立てることもできる。
【0068】
当業者であれば、液体、スラリー、タブレット、及び/又は有害な流体、及び潜在的に生命を脅かす薬剤粉の塵及び粉体の流れを制御、充填、排出、及び規制するために弁アセンブリ50を操作するときに、各弁部分54,56の弁閉鎖部材と弁座との間を良好にシールすることが不可欠であることを理解するであろう。このことは、実際には、弁アセンブリを安全な所定の方法で作動させることによって、かつ弁の性能にとって重要で、及び/又は整備可能な部品又は構成要素の耐用年数を超えないようにして実際に達成される。
【0069】
上記のように、マイクロコントローラ100は、弁座(又は他の性能上、重要な要素)が点検又は交換されてから、弁がどのくらいの期間経ったかを決定し、これを性能上、重要な要素の、記憶済みの耐用年数データと比較する。
【0070】
記憶されている、性能にとって重要な耐用年数データを指針として用いて、本システム及び方法は、小型の電源内蔵ユニット内の性能上、重要な要素を、いつ交換するべきかについての情報及び指針をオペレータに提供する。
【0071】
本発明は、環境状態(例えば、温度、光、湿度、圧力)及びプロセス状態(例えば、粉体の種類、粗さ、流速)に起因する内外の要因をさらに考慮して弁の使用状況を監視するための、さらに信頼性が高くて、堅牢なシステム及び方法を提供することもできる。そのため、弁の使用状況情報を決定するときに、弁の近傍におけるこれら1つ以上の動作状態も考慮することができる。
【0072】
従って、本発明のシステム及び方法は、上述した外部要因又は動作状態の1つ以上を考慮することによっても、所与の弁又はカップリングのための正確な使用状況データを提供する。性能上、重要な要素の悪化又は劣化は、例えば、変化する環境状態及び処理状態や、弁を通過する製品の実際の物理属性や、オペレータの配慮及び注意力を含む多くの要因又はパラメータに起因し得る。これらの要因の全ては、弁又はカップリングの、正常動作での使用のための、許容可能で安全な使用期間に影響を及ぼす。
【0073】
マイクロコントローラ100は、弁が使用されていた総時間と、弁がさらされていた温度とを記憶する。これらは、プリント回路基板30に埋め込まれるか、又は弁の近傍ではあるが、離れて配置される1つ以上の環境センサ104から受信される。ボタン44を介しての(又は任意の他の入力/出力手段を介しての)オペレータと本装置とのインタラクションも監視され、記憶される。
【0074】
マイクロコントローラ100は、測定された弁の使用状況と、記憶済みの耐用年数データとの比較に基づいて、少なくとも1人のオペレータに信号を出力するだけでなく、この情報を、ローカル又はリモート分析のためにローカルメモリに記憶することもできることが想定される。この情報は、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、又はセルラーネットワークを含む適切な有線又は無線の適切な通信プロトコルとすることができる通信ユニット112を用いて、ローカルにアクセスし、及び/又は、(不図示の)中央サーバに返送することができる。
【0075】
補足された情報は、マイクロコントローラ100から中央サーバ又は専用のウェブサーバか、又はウェブで使用可能なデバイスに送信することができる。データ送信は、有線ネットワークを介して行うことができるも、好適な実施形態では、データ送信は、低コストで、迅速に設置できるという点で有利である無線ネットワークを介して行う。データは、その後、安全なウェブベースのインタフェースを介してオンラインでユーザが利用することができる。このようにして、1人以上の適切に認証されたユーザは、スプリット弁アセンブリ50から取得された補足情報にアクセスすることができ、製造者の介入なしにカスタム機能を追加することもできる。
【0076】
当業者であれば、本発明は、製造ライン又は設備全体に配置された、複数の弁又はカップリングを監視する多数の内蔵型ユニットで提供できることも想定することができる。この場合、各通信ユニット112は、各ノードが隣のノードまでにしか送信する必要がないので、非常に堅牢なネットワークを提供する無線メッシュネットワークシステムのノードとして構成することができる。ノードは、近隣のノードからシングルホップでデータを届けるには遠すぎるピアにデータを送信するルータとして作用し、その結果、遠距離をカバーするネットワークとなる。
【0077】
無線ネットワークは、低電力消費であり、バッテリ交換の間に数年間、動作可能であることが望ましい。
【0078】
これまでに述べた無線ネットワークの代わりとして、データの送信は、WiFi(登録商標)ネットワークを介して行ってもよい。
【0079】
マイクロコントローラ100は、外部/内部の温度、光強度、湿度、大気圧、力測定、及び稼働時間110といったような、諸条件を記録する他の環境センサと一緒に、弁アセンブリ50の実際の位置を記録するGPS位置モジュール108を含むこともでき、又はマイクロコントローラ100に埋め込んでおくことも想定される。これらのパラ−メータは、ローカルメモリに記憶し、かつ通信ユニット112を用いて(不図示の)中央サーバに返送することもできる。
【0080】
また、弁アセンブリ50の環境状態を測定することによって、例えば、その弁アセンブリが、過度な振動や衝撃、プロセスからの圧力、溶剤、周囲の機器からの過度の力を受けた場合に、そのような情報を使用状況情報とともに用いて致命的な故障や計画外の整備を予測して、防ぐことができる。
【0081】
装置は、バッテリ駆動であり、環境に対して密閉され(すなわち進入防護され)、危険、かつ/あるいは潜在的に爆発性の環境(例えば、ATEX定格)で使用するのに安全である。マイクロコントローラ100は、低電力の構成要素を使用するため、システムは長いバッテリ寿命を提供するよう設計される。
【0082】
本発明の範囲を逸脱せずに、本発明に様々な変更及び修正をすることができる。例えば、特定の実施形態は、本発明をスプリット弁アセンブリに実装することを言及しているが、これに全く限定されず、使用にあたって、本発明は、使用状況情報が所望される任意の機械又は機器に実装することができる。本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。例えば、手動操作可能なハンドルは、空気圧式、電気式、又はその他の異なるアクチュエータと置き換えることができ、それらの状態を、整備又はサービスの指針を提供するために検知することもできる。