(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873040
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
B03C 3/16 20060101AFI20210510BHJP
B03C 3/78 20060101ALI20210510BHJP
B03C 3/80 20060101ALI20210510BHJP
B03C 3/02 20060101ALI20210510BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20210510BHJP
B03C 3/36 20060101ALI20210510BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20210510BHJP
B01D 53/74 20060101ALI20210510BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B03C3/16 Z
B03C3/78ZAB
B03C3/80
B03C3/02 B
B03C3/40 A
B03C3/36 Z
B01D53/68 100
B01D53/74
B01D53/46
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-543813(P2017-543813)
(86)(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公表番号】特表2018-505780(P2018-505780A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】GB2016050182
(87)【国際公開番号】WO2016135438
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】1502964.8
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロニン セルゲイ アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アトウッド マーク ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】チェンバース アンドリュー アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ビダー ジョン レスリー
【審査官】
田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03238702(US,A)
【文献】
特開平01−104357(JP,A)
【文献】
特開平11−000580(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/147387(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/162023(WO,A1)
【文献】
特表2015−502249(JP,A)
【文献】
特表2014−529492(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0334982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00−11/00
B01D 53/34−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を処理する湿式静電集塵装置であって、
処理されるガス流を搬送する入口と、処理された前記ガス流を搬送する出口とを有する静電チャンバと、
内側電極及び外側電極であって、該内側電極と外側電極との間に高電位が印加されると、その間に静電場を生成するように配置された内側電極及び外側電極と、
前記外側電極の内面上に液体カーテンをもたらすために液体を前記チャンバに流入させる液体入口と、を備え、
前記ガス流中の粒子状物質は、前記静電場を通過すると帯電して前記外側電極に引き寄せられて、前記液体カーテンに取り込まれて前記ガス流から除去され、
前記内側電極は、パージガスを搬送することができる導管を有し、
前記内側電極は、更に、前記チャンバを通る前記ガス流の流れに対して略横方向に、パージガスを前記導管から前記チャンバに搬送するように配置され、前記チャンバ入口に向けて配置された少なくとも1つの開口部を有しており、
制御装置が、前記内側電極の前記導管を通るパージガスの流れを制御するように構成され、
前記集塵装置の第1の状態において、パージガスは、前記ガス流を前記外側電極に向かわせるために、且つ/又は、前記ガス流を妨害するために、第1の流量で前記導管を通って搬送され、第2の状態において、パージガスは、前記内側電極の前記少なくとも1つの開口部の領域に蓄積された堆積物を取り除くために、前記第1の流量よりも高い第2の流量で前記導管を通って搬送される、
ことを特徴とする湿式静電集塵装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口部は、前記ガス流を前記外側電極に向かわせるように、且つ/又は、前記ガス流を妨害するように配置されている、
請求項1に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項3】
前記内側電極は、反対の横方向でパージガスを前記チャンバに搬送する、少なくとも2つの開口部を備えている、
請求項1又は2に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項4】
前記チャンバは、前記内側電極の端部を前記少なくとも1つの開口部から遠位に配置するための横通路を備えている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の湿式静電集塵装置。
【請求項5】
前記横通路は、前記内側電極の前記端部をパージするために、パージガスを前記横通路に搬送する入口を含む、
請求項4に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項6】
前記第2の流量は、前記堆積物を除去するために液体が前記蓄積された堆積物に対して付勢されるように、前記液体カーテンをかき乱すのに十分な流量である、
請求項1に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項7】
前記制御装置は、堆積物の蓄積を感知するセンサに作動的に接続され、前記蓄積が所定の量を超えたとき、前記制御装置は、前記第2の状態をアクティブにするように構成されている、
請求項1又は6に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第2の状態を前記蓄積の所定速度に応じて選択された定期的な間隔でアクティブにするように構成されている、
請求項1又は6に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記電極の間の電圧電位の変化、前記チャンバを通る前記ガスの流れの変化、及び前記電極の目視検査のうちの少なくとも1つに応答して、前記第2の状態をアクティブにするように構成されている、
請求項1又は6に記載の湿式静電集塵装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の湿式静電集塵装置を備える低減システムであって、
前記集塵装置の上流側に配置され、前記ガス流を受け取って、反応室内のプラズマバーナーによって生成されたプラズマフレアーで前記ガス流の熱反応又は化学反応を引き起こす、少なくとも1つのプラズマトーチをさらに備え、
前記反応室は、前記静電チャンバの前記入口とガス連通しプラズマ処理されたガスをさらなる処理のために前記集塵装置に搬送する出口を有する、
ことを特徴とする低減システム。
【請求項11】
前記反応室の前記出口を前記静電チャンバの前記入口に接続するダクトを備え、前記ダクトは、前記液体カーテンを形成した液体を少なくとも一時的に収容するように形作られている、
請求項10に記載の低減システム。
【請求項12】
前記反応室の出口部分は、前記ガス流を前記プラズマフレアーの下流側で冷却する液体を前記反応室に噴霧する少なくとも1つのスプレーノズルを備え、
前記ダクトは、前記反応室に噴霧された液体を少なくとも一時的に収容する、
請求項11に記載の低減システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプラズマバーナーは、前記ガス流が略下向きにバーナーを通って流れるように配向され、
前記集塵装置は、前記ガス流が略上向きに前記集塵装置を通って流れるように配向さていれる、
請求項10ないし12のいずれかに記載の低減システム。
【請求項14】
前記システムは、各々が請求項1ないし13に記載の湿式静電集塵装置に関連した複数のプラズマトーチを備えている、
請求項10ないし13のいずれかに記載の低減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理装置に関し、SiO
2などの固体粒子及びHClなどの酸性ガスを含有するガスの処理に特定に用いられている。さらに詳しくは、本発明は、改良された静電集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流からの固体粒子の除去は、高速半導体デバイス、例えば、シリコン半導体用及び化合物半導体用の両方で、ますます使用されているエピタキシャル成膜プロセスで必要とされている。エピタキシャル層は、注意深く成長させた単一の結晶シリコンフィルムである。エピタキシャル成膜では、シリコン原料ガス(前駆体)、典型的にはシラン、もしくは三塩化シラン又はジクロロシランなどのクロロシラン化合物の1つを、水素雰囲気中で高温、典型的には約800〜1100℃で、真空状態下で使用する。エピタキシャル成膜プロセスは、製造されるデバイスの必要に応じ、少量のホウ素、リン、ヒ素、ゲルマニウム、又は炭素をドープされることが多い。プロセスチャンバに供給されるエッチングガスは、HCl、HBr、BCl
3、Cl
2、及びBr
2、並びにその組み合わせなどのハロゲン化合物を含むことがある。処理プロセスと処理プロセスの間に、チャンバを清浄化するために塩化水素(HCl)、又は、SF
6又はNF
3など別のハロゲン化合物を使用することができる。
【0003】
このようなプロセスにおいて、プロセスチャンバに供給されたプロセスガスの一部だけがチャンバ内で消費されるが、チャンバに供給されたガスの大部分は、チャンバ内で発生するプロセスの固体及び気体副産物とともにチャンバから排出される。
【0004】
廃棄物流は、大気中に排出される前に、選択したガス及び固体粒子をそこから除去するために処理される。一般的に、HF及びHClなどの酸性ガスは、充填塔スクラバーを使用してガス流から除去され、酸性ガスは、スクラバーを通る洗浄液によって液体化される。シランは自然発火性であり、廃棄物流がスクラバーを通って搬送される前に、シランを含む廃棄物流は、廃棄物流内に存在するシラン又は他の自然発火性ガスを空気などのオキシダントと反応させるために、熱焼却炉を通して搬送されることが一般的な方法である。NF
3などの何らかのペルフルオロ化合物も焼却炉内でHFに転換することができる。
【0005】
シランが燃えるとき、多量のシリカ(SiO
2)粒子が生成される。これらの粒子の多くは充填塔スクラバー内の洗浄液によって懸濁液化することができるが、洗浄液による(例えば、1ミクロン未満のサイズを有する)比較的小さな粒子の捕捉は、比較的不十分であることが観察されている。従って、これらの小さな粒子を廃棄物流から除去するために、静電集塵装置をスクラバーの下流側に設けることが知られている。
【0006】
図7は、固体粒子をガス流から除去する公知の湿式静電集塵装置100を示している。静電集塵装置は、中央に位置する内側電極104と、内側電極と同心で内側電極を取り囲む外側電極106とを有する静電チャンバ102を有し、外側電極106は、チャンバ102の導電性壁によって構成されることもある。また、静電チャンバ102は、外側電極106の内面の周りで下方に流れる水の「カーテン」112を生成するために、水の流れ110が供給される水入口108を有する。処理されるガス流114は、入口116を通って静電チャンバ内に搬送され、処理されたガス流118は、チャンバから搬送される。
【0007】
使用中、静電チャンバ102の内側電極と外側電極との間に静電場又はコロナを生成するために、高電圧が内側電極104に印加される。ガスがコロナを通過する際に、ガス内に含まれた粒子状物質は帯電し、外側電極106に引き寄せられ、粒子状物質は、水カーテン112に入り、ガス流から除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、改良された湿式静電集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ガス流を処理する湿式静電集塵装置を提供し、該湿式静電集塵装置は、処理されるガス流が搬送される入口と、処理されたガス流が搬送される出口とを有する静電チャンバと、内側電極及び外側電極であって、高電位が内側電極と外側電極との間に印加された場合にその間に静電場を生成するように配置された、内側電極及び外側電極と、外側電極の内面上に液体カーテンをもたらすために液体をチャンバに搬送する液体入口とを備え、ガス流中の粒子状物質は、静電場を通過する際に帯電して外側電極に引き寄せられて、液体カーテンに取り込まれてガス流から除去されるようになっており、内側電極は、パージガスを搬送することができる導管を含み、内側電極は、チャンバを通るガス流の流れに対して略横方向に、パージガスを導管からチャンバに搬送するように配置され、チャンバ入口に方に位置された少なくとも1つの開口部をさらに含む。
【0010】
本発明によって、ガス流処理の改良レベルが、湿式静電集塵装置に必要とされるより短い保守期間で達成される。
【0011】
本発明の残りの部分は、以下に記載しかつ特許請求の範囲で定義する通りである。
【0012】
本発明を十分に理解することができるように、添付図面を参照して例示的な一部の実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による湿式静電集塵装置を概略的に示す。
【
図3】本発明による集塵装置及びプラズマバーナーを備える低減システムを示す。
【
図7】公知の(従来技術)湿式静電集塵装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、ガス流12を処理するための湿式静電集塵装置10が示されている。集塵装置は、処理されるガス流がチャンバに搬送される入口16と、処理されたガス流20がチャンバから搬送される出口18とを有する静電チャンバ14を備える。本実施例の処理は、ガス流からの粒子状物質の除去を伴う。内側電極22及び外側電極24は、高電位が内側電極に印加された場合に、その間に静電場を生成するように配置されている。高電位は、約1kVとすることができるが、ガス流及び粒子状物質の特性、特に粒径に応じて他の電位が適切な場合がある。外側電極は、静電チャンバ14の略円筒形の内面をもたらす。また、以下でさらに詳細に説明するように、内側電極は略円筒形かつ中空である。突出部26は、中空円筒体から略横方向に延びる。突出部の先端部の周りに電荷が集中するので、突出部は、電極に供給された所定の電位に関する局所的静電場を強化する。内側電極及び外側電極は、導電材(典型的には金属又は金属合金)で作製される。また、外側電極は、導電リングと接触する液膜を備えることができ、液膜は、非導電性チューブを流れ落ちて、内側電極の周りの外側電極をもたらす。
【0015】
液体入口28は、液体カーテン又は堰(weir)32を外側電極24の内面上にもたらすための、典型的には水である液体30をチャンバ14内へ搬送する。ガス流中の粒子状物質は、静電場を通過する際に帯電して外側電極に引き寄せられ、粒子状物質は、液体カーテンに取り込まれてガス流から除去される。
【0016】
前述のように、内側電極は中空であり、金属パイプで形成することができる。この金属パイプは、ダクト又は導管34を形成し、これに沿って入口38経由でパージガス36を搬送することができる。パージガスは、例えば、窒素又は清浄乾燥空気とすることができる。例示する配置において、パイプの反対側の端部は閉鎖される。チャンバ14は、ガス流12の主流路から略横方向に延びる横通路40を備える。横通路は、端部に主流路から遠位の開口部42を有する。内側電極22は、開口部を貫通して横通路に沿って延び、略直角に曲がってチャンバ14の主要部分に沿って延びる。横通路40は、ほぼ乾燥状態に維持されるので、使用時、高電位であっても湿潤環境での電気絶縁破壊及び表面放電が阻止される。また、横通路40は、比較的小さな流量のパージガスを横通路に搬送するパージガス46の入口を形成する第2の開口部44を備える。この小さな流量は、横通路の接触部分を清浄かつ乾燥状態に維持し、その結果、寄生表面放電の可能性がさらに低減する。
【0017】
図2の装置の拡大断面図でより詳細に説明するように、内側電極22のダクト34は、少なくとも1つの開口部48を備え、この開口部は、ガス流を外側電極に向かわせるために、パージガス36をダクトからチャンバ14に、チャンバを通るガス流の流れに対して略横方向に搬送するように配置される。例示の実施形態において、2つの開口部48が示されており、パージガスをダクトから図面平面の内外の方向に搬送するための追加の開口部を設けることができる。開口部48を通るパージガスの流れは、処理されるガス流12を妨害して、外側電極に向かう上記ガス流の流れを生成する。流れの妨害により、処理されるガス流中の粒子状物質と静電場との間のより大きな相互作用が可能になり、その結果、水堰32で取り込まれることになる粒子状物質の量が増える。加えて、パージガスは、処理されるガス流中の粒子状物質を取り込むために水堰に向かわせる。
【0018】
この実施形態において、開口部はパイプの開口であり、パイプ内のパージガス圧力により、パージガスは、開口部から延びる2つの矢印で示すように、ガス流の主流に対して約90°の角度で開口部を通って放出される。開口部は、パイプの孔加工によって形成することができるが、別の構成において、開口部は、パイプの裂け目(break)によって形成することができる。
【0019】
略横方向に静電チャンバに入るパージガスの追加の流れを有するガスダイナミックWESPを設けることで、ガス流から除去することができる粒子状物質の量が増えるので、装置効率が高くなる。効率が高くなることで装置の小型化が可能になる。例えば、静電チャンバは、直径100mmから長さ900mmの範囲とすることができる。WESPは、典型的にはプラズマバーナーなどの他の低減装置と共に使用されるが、公知のWESPの効率が低いのでの、複数の低減装置と関連している効率の悪い単一の大型WESPを良く見掛ける。本発明のガスダイナミックWESPは、
図3に示すように、単一のプラズマバーナーに関連づけされる、1つのコンパクト設計の単一のWESPを可能にするので、複数のプラズマトーチの各プラズマトーチの各々は、本発明による、個別の効率の高い湿式静電集塵装置に関連づけることができる。
【0020】
図3を参照すると、プラズマバーナー52と、前述のガスダイナミック湿式静電集塵装置10とを備える低減装置50が示されている。
【0021】
バーナー52は、プラズマフレアー56を生成するプラズマ発生器つまりトーチ54を備える。入口58は、トーチの下流側に位置する反応器チャンバ62内のフレアーとの熱反応及び/又は化学反応のために、ガス流60をバーナー内へ搬送する。反応器チャンバは、略円筒形であり、反応器チャンバの内面上の堆積物の蓄積を防止するために水堰(図示せず)を備えることができる。
【0022】
ガス流が高いプラズマ温度に晒された後にこのガス流を冷却するために、水又は他の液体をプラズマフレアーの下流側の反応器チャンバ62に噴霧する1又は2以上のスプレーノズル64を設けることができる。
【0023】
プラズマバーナーの出口66は、導管つまりダクト68によってWESPの入口16に接続され、ダクト68は、バーナー及びWESP内のガス流の流路に対して略直交して延びる。また、ダクト68は、再循環又は廃棄の前に、反応器チャンバ62に噴霧される液体の少なくとも一時的な保管のための、及び水堰の一方又は両方からの液体のための液体容器を形成する。この点に関しては、プラズマバーナーは、ガス流がバーナーを通って略下向きに流れるように配向され、集塵装置は、ガス流が集塵装置を通って略上向きに流れるように配向される。これらの配向によって、導管68内の液体を収集することができる。
【0024】
図4から
図6には別の湿式静電集塵装置70が示されており、
図1及び
図2を参照して説明した集塵装置10のさらなる改良が提示される。
【0025】
図4に示すように、ガス流中の固体堆積物72は、開口部の領域に蓄積する可能性がある。通常の使用時に大部分の堆積物は液体の堰に引き寄せられることになるが、一部の堆積物が内側電極22上に蓄積することが分かっている。この蓄積は、一般に公知のWESPでも発生するが、本発明のガスダイナミックWESPは、必要であれば公知のWESPと比較して小型にすることができるので、蓄積物がかなりの程度まで堆積することが許される場合、これは静電チャンバ14を全てではないとしても少なくとも部分的に閉塞することになり、効率損失又はガス処理の終了につながる。より大型のWESPにおいて、静電チャンバが閉塞されることにならず効率損失がそれほど顕著ではないので、堆積物の蓄積は容認される。処理後、装置のオフライン状態で、公知のWESPは、手作業で蓄積物が取り除かれる。しかしながら、本実施形態において、使用時に定期的にWESPを清浄化することが望ましい。
【0026】
集塵装置70は、内側電極22のダクト34を通るパージガス36の流れを制御するように構成された制御装置74を備える。この構成において、パージガス76の供給源は加圧気体を含み、流量制御弁78は、ダクトを通るパージガスの流量を制御するように制御装置によって動作可能である。この構成は、パージガスの流れを制御する他の代替方法を備えることができる。集塵装置の正常状態において、パージガスは、外径6mmの内部電極のダクト及び開口部を通って0.1〜1標準リットル/分の第1の流量で搬送され、例えば、50〜150標準リットル/分で流れる処理されるガス流を内径38mmの外側電極に向かわせるか又は付勢し、及び/又はガス流を妨害する。第2の清浄状態において、パージガスは、開口部の領域に蓄積された堆積物を除去するために、例えば、10〜20標準リットル/分のより大きな第2の流量でダクトを通って搬送される。
図5は、比較的高い第2の流量で開口部から流出してパージガスの噴流80を生成するパージガスを示す。堆積物の少なくとも一部は噴流によって除去され、ガス流12によって下流側に押し流される。好ましくは、第2の流量は、
図6に示すように液体カーテンをかき乱して乱流液体82をもたらす噴流を生じさせるのに十分な流量であり、液体は、堆積物の大部分を内側電極から除去するために、蓄積された堆積物に対して付勢される。第2の流量は、実質的に堆積物の全てが除去されるまで維持されるか又はパルス状に繰り返し送られる。
【0027】
第2の清浄作用時、パージガスを横通路40に搬送するパージガス用入口を通る流れ46は、液体が横通路40に入るのを防ぐために増やすことができ、寄生平面放電の可能性及び横通路内の導電性水経路による静電場電位の損失が低減される。また、2つの電極にわたる電位は、第2の清浄作用時にスイッチオフされることが好ましい。
【0028】
図4に示すように、制御装置は、堆積物の蓄積を感知するセンサ84に作動的に接続され、蓄積が所定の大きさを超えると、制御装置は、清浄状態をアクティブにするように構成される。センサは、マイクロ波センサ又は光センサとすることができる。もしくは、ガス流の流量を感知して、ガス流が堆積物による部分的な閉塞によって低減したか否かを判定することができる。清浄化をトリガする蓄積のサイズは、試験によって決めることができる。
【0029】
堆積物が中央電極上で蓄積すると内側電極と外側電極との間の電位が減少し、集塵装置の効率の低下につながることも観察されている(例えば2.35mAの一定の電流に関して)。電極間の電圧電位の監視によって、WESP効率の監視が可能となり、静電電位の降下に応答して清浄化をトリガすることができる。これによって、第2の清浄作用は、必要なときにのみ行うことができ、清浄作用中に発生するWESP効率の一時的な損失が最小限に抑えられる。清浄作用を制限することで、集塵装置の効率を維持するために必要な妨害が最小になる。
【0030】
もしくは、制御装置は、所定のガス流及びガス流流量に関する所定の蓄積速度に応じて選択された、例えば30〜360秒の定期的な間隔で、第2の清浄状態をアクティブにするように構成することができる。パージガスのバーストは、例えば5秒の周期で維持することができる。