特許第6873042号(P6873042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873042ブレーキパッドの弾性復帰スプリングを少なくとも1つ備えるディスクブレーキ、弾性復帰スプリング、ガイドスライド及び交換キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873042
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ブレーキパッドの弾性復帰スプリングを少なくとも1つ備えるディスクブレーキ、弾性復帰スプリング、ガイドスライド及び交換キット
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/097 20060101AFI20210510BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20210510BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20210510BHJP
   F16D 65/095 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F16D65/097 E
   F16D65/02 E
   F16D65/092 D
   F16D65/095 B
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-546759(P2017-546759)
(86)(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公表番号】特表2018-508725(P2018-508725A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016054695
(87)【国際公開番号】WO2016142303
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年2月13日
(31)【優先権主張番号】1551891
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517271212
【氏名又は名称】フォンダシオン ブレーキ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーコワン、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー、ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ラバール、グザヴィエ
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/029840(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10238734(DE,A1)
【文献】 特開2008−241046(JP,A)
【文献】 特開2002−327780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00−5/12
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ブレーキディスク(12)であって、前記ブレーキディスク(12)は、ディスク自身の軸線方向に配向された回転軸線(A)を横切る平面において延在する、ブレーキディスク(12)と、
−前記軸線方向に垂直な略鉛直方向(V)に配置された少なくとも2つの対向アーム(27)を含む固定支持部(14)であって、各対向アーム(27)は、C形状断面の軸線方向の格納部(28)を含み、前記格納部(28)は、反対側の対向アーム(27)に向かって、前記軸線方向及び前記鉛直方向に垂直な水平方向に開口しており、前記格納部(28)は、略水平方向に配置された上面(33)と下面(31)とによって区切られている、前記固定支持部(14)と、
−前記固定支持部(14)の各アーム(27)に対し設けられるレール(32)であって、前記レール(32)は、前記格納部(28)の壁部に密着嵌合し、前記固定支持部に取り付けられ、対応する格納部(28)において受け入れられ係止される少なくとも1つのC形状断面摺動軸線方向上部(452)を含み、この上部(452)が、水平下翼(424)と、水平上翼(425)と、下翼(424)及び上翼(425)の両翼を接続する底鉛直翼(34)とを含む、レール(32)と、
−2つの載置対向側面突出部(26)を含む少なくとも1つのブレーキパッド(18)であって、前記2つの載置対向側面突出部(26)のそれぞれが、前記レール(32)が間に介装された状態で、対応するアーム(27)の対応する格納部(28)に受け入れられており、前記少なくとも1つのブレーキパッド(18)は、鉛直横断方向プレート(19)を含み、前記鉛直横断方向プレート(19)は、摩擦ライニング(24)を担持しており、前記摩擦ライニング(24)の摩擦面(25)が前記ディスク(12)の対応するブレーキトラック(22)と協働し、前記ブレーキパッド(18)は、前記ブレーキパッド(18)を前記ディスク(12)に押圧する方向である前方方向のアクティブ位置と、前記ブレーキパッド(18)を前記ディスク(12)から離す方向である後方方向の非アクティブ位置との間で、軸線方向に摺動可能なように前記固定支持部(14)に載置されており、前記アクティブ位置では、前記摩擦面(25)が前記ディスク(12)の前記対応するブレーキトラック(22)を保持し、前記非アクティブ位置では、前記摩擦面(25)が前記ディスクの前記対応するブレーキトラックから所定の動作遊び(J1)だけ軸線方向に離間している、ブレーキパッド(18)と、
−前記ブレーキパッド(18)をその非アクティブ位置に弾性的に復帰させるための少なくとも1つのスプリング(48)であって、前記スプリング(48)は、前記スプリング(48)を前記固定支持部(14)に取り付けるための少なくとも1つの部分(50)と、前記ブレーキパッドの摺動方向と平行な軸線方向に配置された剛性接続枝部(B4)とを含み、前記剛性接続枝部(B4)は、前記ブレーキパッド(18)に接続される、スプリング(48)と
を備える自動車用ディスクブレーキ(10)において、
−前記スプリング(48)を前記固定支持部(14)に取り付けるための前記部分(50)は、前記ブレーキパッド(18)の前記摺動方向と平行な軸線方向に沿って前方に延在する取付タブを含み、
−このスプリングに対応する前記レール(32)の少なくとも1つの翼(34)は、軸線方向後方に延在する取付舌部(466)を含み、
−前記取付タブ(52)及び前記取付舌部(466)は、相補的な形状を有する相補協働接続手段を含み、
前記取付舌部(466)は、前記レールの残りの部分に対して軸線方向後方に突き出ていることを特徴とする、自動車用ディスクブレーキ(10)。
【請求項2】
前記取付舌部(466)及び前記取付タブ(52)の相補的な形状を有する前記相補協働接続手段が、組み付けられた状態で弾性ソケット接続によって協働することを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項3】
−前記取付舌部(466)が、軸線方向平面において延在する帯部であり、
−前記取付タブ(52)が、前記軸線方向平面に平行な平面において延在する帯部であり、
−前記取付舌部(466)と前記取付タブ(52)とは、その面同士が隣接していることを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項4】
前記相補協働接続手段が、前記取付タブ(52)によって担持され且つ前記取付舌部(466)に形成された凹部(468)に受け入れられる、前記軸線方向平面に直交する横向きの指部(72)を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項3に記載のディスクブレーキ。
【請求項5】
前記剛性接続枝部(B4)の前方自由端部が、前記ディスク(12)の平面に直交する鉛直軸線方向平面内に延在し且つ前記取付タブ(52)を構成する帯部であることを特徴とする、請求項3に記載のディスクブレーキ。
【請求項6】
前記取付タブ(52)が、前記取付舌部(466)を受け入れるクランプの形状を有することを特徴とする、請求項3又は4に記載のディスクブレーキ。
【請求項7】
前記クランプが、前記帯部と、前記指部(72)を担持する平行刃(68)とを含むことを特徴とする、請求項4を引用する請求項6に記載のディスクブレーキ。
【請求項8】
前記取付タブ(52)が、前記レール(32)の一部と協働する前記スプリング(48)を安定化させるための安定化タブ(212)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項9】
前記安定化タブ(212)が、前記取付タブ(52)の軸線方向向きの端部(208)から横断方向且つ水平に延在し、前記レール(32)の水平翼(425)の一部と協働することを特徴とする、請求項8に記載のディスクブレーキ。
【請求項10】
前記レール(32)の前記1つの水平翼(425)が、この水平翼(425)の水平面内において軸線方向後方に延在する安定化舌部(470)を含み、前記安定化タブ(212)が、前記安定化舌部(470)の上面(472)を保持することを特徴とする、請求項9に記載のディスクブレーキ。
【請求項11】
前記スプリング(48)の前記取付タブ(52)が、前記レール(32)の対向当接面(474)に対して軸線方向前方に接する当接タブ(202)を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項12】
前記当接タブ(202)が、前記取付タブ(52)の前記軸線方向向きの端部(208)から延在することを特徴とする、請求項9を引用する請求項11に記載のディスクブレーキ。
【請求項13】
前記取付舌部を含む前記レール(32)の前記少なくとも1つの翼(34)が、前記レールの前記底鉛直翼(34)であることを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項14】
前記スプリング(48)が、前記ブレーキパッド(18)の前記摩擦ライニング(24)の摩耗遊び(J2)を吸収するための手段を含み、前記手段は、前記ブレーキパッドがそのアクティブブレーキ位置まで移動した際の距離が前記所定の動作遊び(J1)よりも大きい場合に可塑的に変形することを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ(10)。
【請求項15】
前記スプリング(48)が、板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られることを特徴とする、請求項1に記載のディスクブレーキ(10)。
【請求項16】
ディスクブレーキ(10)のブレーキパッド(18)を非アクティブ位置に弾性的に軸線方向に復帰させるためのスプリング(48)であって、
−前記スプリング(48)をディスクブレーキ(10)の固定支持部に取り付けるための部分(50)と、
−前記ブレーキパッド(18)に直接的又は間接的に接続するようにした剛性接続枝部(B4)と
を含む前記スプリング(48)において、
前記スプリング(48)を前記固定支持部(14)に取り付けるための前記部分(50)は、前記ブレーキパッド(18)の摺動方向に平行な軸線方向に沿って、前記ブレーキパッド(18)をディスク(12)に押圧する方向に延在し、且つ前記固定支持部(14)に取り付けられる構成部品(32)と相補的な形状によって協働するようにした相補接続手段を含む取付タブ(52)を含み、
前記相補接続手段は、前記取付タブ(52)における押し出しによって作られた刃(68)を含み、前記刃(68)は、指部(72)を担持しており、前記指部は、前記軸線方向の平面に直交する横断方向に配置されていることを特徴とするスプリング(48)。
【請求項17】
前記ブレーキパッド(18)の摩擦ライニング(24)の摩耗遊び(J2)を吸収するための手段を含み、前記手段は、前記スプリング(48)を前記固定支持部(14)に取り付けるための前記部分(50)と前記剛性接続枝部(B4)との間に介装されており、且つ前記ブレーキパッド(18)が軸線運動方向に沿ってアクティブブレーキ位置まで移動した際の距離が所定の動作遊び(J1)よりも大きい場合に可塑的に変形することを特徴とする、請求項16に記載のスプリング。
【請求項18】
板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られることを特徴とする、請求項16に記載のスプリング。
【請求項19】
ディスクブレーキ(10)の固定支持部(14)を補足する格納部(28)の壁部に密着嵌合し、且つ水平下翼(424)と、水平上翼(425)と、下翼(424)及び上翼(425)の両翼を接続する底鉛直翼(34)とを含むC形状断面摺動部(452)を含む、前記ディスクブレーキのブレーキパッド(18)を軸線方向に摺動して案内するようにしたレール(32)において、
前記レール(32)の少なくとも1つの翼(34)は、軸線方向に延在し且つ前記ブレーキパッドを弾性的に復帰させるためのスプリング(48)と相補的な形状によって協働するようにした相補接続手段を含む取付舌部(466)を含み、
前記取付舌部(466)は、前記レールの残りの部分に対して軸線方向後方に突き出ていることを特徴とするレール(32)。
【請求項20】
板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られることを特徴とする、請求項19に記載のレール。
【請求項21】
少なくとも1つのブレーキパッド(18)と、各々が請求項16〜19のいずれか一項に基づいて作られる、前記ブレーキパッド(18)と対になる2つのスプリング(48)とを含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の自動車用ディスクブレーキのための交換キット。
【請求項22】
前記ブレーキパッドを前記ディスクブレーキに載置するための2つのパッドスプリング(100)を更に含むことを特徴とする、請求項21に記載の交換キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ディスクブレーキに関する。
【0002】
本発明は、特に、ブレーキパッドを弾性的に復帰させるためのスプリングが、ブレーキパッドの摩擦ライニングの摩耗遊びを吸収するための手段を含むディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、例えば特許文献1に記載される代表的な型の自動車用ディスクブレーキに関し、
−ディスク自身の軸線方向向きの回転軸線を横切る平面において延在するブレーキディスクと、
−車両のシャーシに対して固定された支持部と、
−各々が、摩擦横断方向面がディスクの対応するブレーキトラックと協働する摩擦ライニングを含む少なくとも1つのブレーキパッドであって、摩擦面がディスクの対応する環状トラックを保持するアクティブ前側位置と、摩擦面がディスクの対応する環状トラックから所定の動作遊び分だけ軸線方向に離間している非アクティブ後側位置との間で軸線方向に摺動自在に支持部に載置されている少なくとも1つのブレーキパッドと、
−ブレーキパッドを非アクティブ位置に弾性的に復帰させるための、例えばブレーキパッドと支持部との間に介装されている少なくとも1つのスプリングと
を含む。
【0004】
ディスクブレーキにおいて、ブレーキパッドのアクティブ位置への摺動は、ピストンによって制御される。両ブレーキパッドはその後、ディスクを強く締め付け、その回転を緩める。このようなブレーキ動作はアクティブ動作である。
【0005】
ブレーキパッドは、回転するディスクによってその非アクティブ位置まで押し戻される。従って、これが受動動作である。
【0006】
しかし、ディスクは、ブレーキパッドをディスクから十分に離間させる十分な力をもってブレーキパッドを押し戻さない場合がある。これは例えば、ブレーキパッドの摺動が不十分若しくは停止するほどの品質であるか、又は設計が何らかの「回復」を生じる場合に起こる。
【0007】
ブレーキパッドがディスクに対して締め付けられない場合であっても、ブレーキパッドの環状トラックのそれぞれは、対応するブレーキパッドが担持する摩擦ライニングを擦り続ける。従って摩擦ライニングには、早期機能不全摩耗が生じる。
【0008】
更に、この継続的な摩擦により、ディスクブレーキの部材の一部に損傷を与え得る温度上昇が起こる可能性がある。
【0009】
また、この継続的な摩擦により、ディスクの回転に対する残留トルクが発生する。これにより、車両の消費量が増加し、一方で車両の性能が低下する。
【0010】
こうした摩耗及び温度上昇の問題を解決するために、上述の特許文献は、弾性復帰スプリングがブレーキパッドの摩擦ライニングの摩耗遊びを吸収するための手段を含むディスクブレーキを提供し、該手段は、ブレーキパッドがそのアクティブ位置まで移動した際の距離が所定の動作遊びよりも大きい場合に可塑的に変形する。
【0011】
そのために、ディスクブレーキの固定支持部と、対応するブレーキパッドとの間に介装された弾性復帰スプリングは、待機状態と最大伸張状態との間で伸張力によって弾性的に変形可能で、値が所定の動作遊びと等しい、少なくとも1つの軸線方向向きのセグメントを含む。スプリングは、軸線方向の引張力の効果の下で摩耗遊びを吸収するための手段を形成する可塑的に変形可能なセグメントを少なくとも1つ含み、この可塑的に変形可能なセグメントは、ブレーキパッドがそのアクティブ位置まで移動した際の距離が所定の動作遊びよりも大きい場合に可塑的に伸長するよう形作られている。
【0012】
この特許文献にて提供される実施例によれば、弾性復帰スプリングは特に、弾性復帰スプリングを固定支持部に取り付けるための部分と、その自由端部が対応するブレーキパッドと協働するように形作られている略軸線方向に配置された剛性枝部とを含む。別の既知の設計によれば、自由端部は、ブレーキパッドに取り付けられる。
【0013】
このような設計を行うと、復帰スプリングとブレーキパッドとの協働、又は復帰スプリングのブレーキパッドへの取り付けを確実にする載置及び組み付けが複雑になる。
【0014】
これらの欠点は、復帰スプリングが可塑的に変形可能なセグメントを含まない場合にも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国公開特許第3,004,500号明細書
【特許文献2】仏国公開特許第3,005,127号明細書
【特許文献3】仏国公開特許第2,925,636号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
この欠点を克服するために、本発明はディスクブレーキを提供し、以下を含むことを特徴とする:
−ディスク自身の軸線方向向きの回転軸線を横切る平面において延在するブレーキディスクと、
−略鉛直方向に配置された少なくとも2つの対向アームを含む固定支持部であって、各対向アームは、反対側の対向アームに向かって水平に開口し、上面と下面とによって略水平な方向に区切られているC形状断面の軸線方向格納部を含む、前記固定支持部と、
−固定支持部の各アームに対し設けられるレールであって、前記レールは格納部の壁部に密着嵌合し、固定支持部に取り付けられ、対応する格納部において受け入れられ係止される少なくとも1つのC形状断面摺動軸線方向上部を含み、この上部が、水平下翼と、水平上翼と、下翼及び上翼の両翼を接続する底鉛直翼とを含む前記レールと、
−2つの組付対向側面突出部を含む少なくとも1つのブレーキパッドであって、2つの載置対向側面突出部のそれぞれが、レールが間に介装された状態で、対応するアームの対応する格納部に受け入れられる少なくとも1つのブレーキパッド。
少なくとも1つのブレーキパッドは、摩擦横断方向面がディスクの対応するブレーキトラックと協働する摩擦ライニングを担持する鉛直横断方向プレートを含み、摩擦面がディスクの対応するブレーキトラックを保持するアクティブ前側位置と、摩擦面がディスクの対応するブレーキトラックから所定の動作遊びだけ軸線方向に離間している非アクティブ位置との間で軸線方向に摺動可能なように、固定支持部に載置されているブレーキパッドと、
−ブレーキパッドをその非アクティブ位置に弾性的に復帰させるための少なくとも1つのスプリングであって、弾性復帰スプリングを固定支持部に取り付けるための少なくとも1つの部分と、ブレーキパッドの摺動方向と平行な軸線方向に配置された剛性接続枝部とを含み、ブレーキパッドに接続されるスプリングとを含む。
−弾性復帰スプリングを固定支持部に取り付けるための部分は、ブレーキパッドの摺動方向と平行な軸線方向に沿って前方に延在する取付タブを含み、
−このスプリングに対応するレールの少なくとも1つの翼は、軸線方向後方に延在する取付舌部を含み、
−取付タブ及び取付舌部は、相補的な形状を有する相補協働接続手段を含むことを特徴とする。
【0017】
ディスクブレーキの他の特徴によれば、
−取付舌部及び取付タブの相補的な形状を有する相補協働接続手段が、組み付けられた状態で弾性ソケット接続によって協働し、
−取付舌部が、軸線方向平面において延在する帯部であり、
−取付タブが、軸線方向平面に平行な平面において延在する帯部であり、
−取付舌部と取付タブとは、その面同士が隣接しており、
−相補接続手段が、取付タブによって担持され且つ取付舌部に形成された凹部に受け入れられる、軸線方向平面に直交する横向きの指部を少なくとも1つ含み、
−接続枝部の自由端部が、ディスクの平面に直交する鉛直軸線方向平面内に延在し且つ取付タブを構成する帯部であり、
−取付タブが、取付舌部を受け入れるクランプの形状を有し、
−クランプが、帯部と、指部を担持する平行刃とを含み、
−取付タブが、レールの一部と協働する弾性復帰スプリングを安定化させるためのタブを含み、
−安定化タブが、取付タブの軸線方向向きの端部から横断方向且つ水平に延在し、レールの水平翼の一部と協働し、
−レールの1つの水平翼が、この水平翼の水平面内において軸線方向後方に延在する安定化舌部を含み、安定化タブが、安定化舌部の上面を保持し、
−弾性復帰スプリングの取付タブが、レールの対向当接面に対して軸線方向前方に接する当接タブを含み、
−当接タブが、取付タブの軸線方向向きの端部から延在し、
−取付舌部を含むレールの少なくとも1つの翼が、レールの底鉛直翼であり、
−弾性復帰スプリングが、ブレーキパッドの摩擦ライニングの摩耗遊びを吸収するための手段を含み、手段は、ブレーキパッドがそのアクティブブレーキ位置まで移動した際の距離が所定の動作遊びよりも大きい場合に可塑的に変形し、
−弾性復帰スプリングが、板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られる。
【0018】
本発明は、ディスクブレーキのブレーキパッドを非アクティブ位置に軸線方向に復帰させるためのスプリングを提供し、弾性復帰スプリングは、
−弾性復帰スプリングをディスクブレーキの固定支持部に取り付けるための部分と、
−ブレーキパッドに直接的又は間接的に接続される接続枝部とを含み、
弾性復帰スプリングを固定支持部に取り付けるための部分は、ブレーキパッドの摺動方向に平行な軸線方向に沿って前方に延在し、且つ固定支持部に取り付けられる構成部品と相補的な形状によって協働する相補協働接続手段を含む取付タブを含むことを特徴とする。
【0019】
弾性復帰スプリングの他の特徴によれば、
−ブレーキパッドの摩擦ライニングの摩耗遊びを吸収するための手段を含み、手段は、取付部と剛性枝部との間に介装されており、且つブレーキパッドが軸線運動方向に沿ってアクティブブレーキ位置まで移動した際の距離が所定の動作遊びよりも大きい場合に可塑的に変形し、
−板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られる。
【0020】
本発明はまた、ディスクブレーキの固定支持部を補足する格納部の壁部に嵌合し、且つ水平下翼と、水平上翼と、下翼及び上翼の両翼を接続する底鉛直翼とを含むC形状断面摺動部を含む、ディスクブレーキのブレーキパッドを軸線方向に摺動して案内するためのレールを提供し、レールの少なくとも1つの翼は、軸線方向に延在し且つブレーキパッドを弾性的に復帰させるためのスプリングと相補的な形状によって協働する相補協働接続手段を含む取付舌部を含むことを特徴とする。
【0021】
レールの別の特徴によれば、板状材料を切削し、成形することによって単一部品として作られる。
【0022】
本発明は、少なくとも1つのブレーキパッドと、各々が本発明に基づいて作られる、ブレーキパッドと対になる2つの弾性復帰スプリングとを含むことを特徴とする、本発明に係る自動車用ディスクブレーキのための交換キットを提供する。
【0023】
交換キットは、ブレーキパッドをディスクブレーキに載置するための2つのスプリングを更に含み得る。
【0024】
本発明の更なる特徴と利点は、附属の図面を参照することによって理解され得る以下の詳細な説明を読むことで直ちに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、単一部品で構成される、技術水準の例示的な復帰スプリングを含むディスクブレーキを表す分解斜視図である。
図2図2は、対応するブレーキパッドの弾性復帰スプリングを受けるスライドを備えた、図1のディスクブレーキの固定支持部を表す正面図である。
図3A図3Aは、ブレーキパッドの各突出部に「ラジアル」スプリングが装着された例示的な実施例を示す概略斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aの表現の詳細図である。
図4図4は、固定されたレールを備えたキャップを形成する固定支持部のアーム内において、ブレーキパッドに対し、ラジアルスプリングを組み付ける様子を示す部分斜視図である。
図5図5は、技術水準の薄板状要素を形成するレールの詳細設計を示す図である。
図6図6は、技術水準の薄板状要素を形成するレールの詳細設計を示す図である。
図7図7は、代替の設計による、可塑的に変形可能な単一部品としてのブレーキパッドの弾性復帰スプリングを表す詳細な斜視図である。
図8図8は、弾性復帰スプリングを取り付け可能なように設計した、本発明に係るディスクブレーキのレールの例示的な実施例を示す斜視図である。
図9図9は、本発明に係る弾性復帰スプリングを、図8に示すレールに取り付けるように設計した、例示的な実施例を示す斜視図である。
図10図10は、組付位置における、図8及び図9の構成部品を示す斜視図であり、弾性復帰スプリングが弾性的にも可塑的に変形していない「新たな」状態で、全体がディスクブレーキに載置されている様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
残りの説明では、同一の構造や類似の機能を有する要素は、同じ参照によって指定される。
【0027】
軸線方向、鉛直方向、及び横断方向は、地球上の重力とは無関係に、図面の三方位「A,V,T」を参照して想定するが、これらに限るものではない。
【0028】
軸線方向「A」は、後部から前部へと向いており、ディスク12の回転軸線「B」と平行である。
【0029】
水平面は、横断方向の軸線平面として定義される。
【0030】
自動車用ディスクブレーキ10は、図1に模式的に表される。ここで、これは「フローティングキャリパー」又は「スライディングキャリパー」ディスクブレーキとして知られているディスクブレーキ10である。
【0031】
既知の通り、ディスクブレーキは、軸線方向の回転軸線「B」の周りに回転可能に載置されたディスク12を含む。ディスク12は、自動車の(表されていない)ホイールと回転可能に一体となっている。
【0032】
ディスクブレーキ10は、車両の(表されていない)シャーシに対して固く載置された、キャップとも呼ばれる支持部14を含む。固定支持部14は、ディスク12の周縁16と重なる。
【0033】
2つの対向する後部及び前部の(内側及び外側とも呼ばれる)ブレーキパッド18は、固定支持部14内において、ディスク12の両側に、軸線方向に摺動可能に載置されている。
【0034】
後部及び前部のブレーキパッド18の両方は、固定支持部14上に配置される構造を有し、中央鉛直横断平面に関して線対称に同一である。
【0035】
今後、図1の左側にある後部のブレーキパッド18のみを説明する。後部及び前部の方向を反転させることによって、説明は前部のブレーキパッド18に適用することが可能である。
【0036】
後部のブレーキパッド18は、摩擦ライニングの支持部である鉛直横断方向プレート19の形で存在する。後部のブレーキパッド18は前面20を有し、環状トラック形状を有するディスク12の反対側の後面22を向いている。前面20は摩擦ライニング24を担持し、その摩擦前部横断方向及び鉛直方向面25は、ディスク12の面22と協働することが可能である。
【0037】
ブレーキパッド18の対向横断方向端部のそれぞれは、側面突出部26を含み、側面突出部26は、キャップ又は固定支持部14の対応するアーム27の対応する格納部又はスライド28内に、遊びをもって摺動可能に載置される。
【0038】
各スライド28は軸線方向に配置されており、軸線A及びBに直交する鉛直横断方向面を通る断面において開いた「C」の形を有し、ブレーキパッド18の対応する側面突出部26に交差する。スライド28は、横断方向において、略鉛直・軸線方向向きの底部30によって区切られている。スライド28は、鉛直方向において、上方向が上部水平・軸線方向面33によって、下方向が下部水平・軸線方向面31によってそれぞれ区切られている。
【0039】
ここでレール32は、各側面突出部26と、対応するスライド28との間に、横断方向に介装されている。
【0040】
そのようなレールの設計は、その詳細が特許文献2に例示及び記載されている。
【0041】
各レール32は、対応するスライド28の壁部に密着嵌合する「C」断面のリーフスプリングによって形成される薄板状要素である(特に図4を参照)。
【0042】
ここで各突出部26は、対応する格納部28内に、軸線方向に摺動して受け入れられ、対応するスプリングスチール薄板状要素32が間に介装される。
【0043】
図5及び図6においてより詳しく示されるように、そのようなレール状の薄板状要素32は、摺動方向である軸線方向に配置され、対応する格納部28に受け入れられて係止されるC形状の断面上部452を含む。薄板状要素32は、パッドスプリング100を摺動させるための枝部108と、固定支持部14の格納部28の下面31との間に介装された、略水平方向に配置される第1摺動下翼424も含む。
【0044】
上部452は、略水平方向に配置され、ブレーキパッド18の対応する側面突出部26の上水平面と、対応する格納部28の上水平面33との間に介装される第2鉛直保持上翼425を含む。
【0045】
薄板状要素32は更に、摺動翼424を延長したもので且つ摺動翼424の平面に直交する鉛直面に延在する第3横断方向保持翼428を含む、軸線方向向きの保持下部454を含む。保持下部454は、固定支持部14のアーム27に属する横断方向再保持面420に接して配置されており、ブレーキパッド18の対応する鉛直下面37に対して横断方向の当接を形成することが可能である。
【0046】
従って、薄板状要素32は、第2鉛直保持上翼425に略平行な第1摺動下翼424を含む。
【0047】
上部425及び下部424の両水平翼は、鉛直な軸線方向向きの翼又は底部34によって互いに接続されており、翼又は底部34は、格納部28の鉛直底部30に面して配置され、且つ側面突出部26と格納部又はスライド28の鉛直底部30との間に介装されている。
【0048】
格納部28外部にある、他端の第3横断方向保持翼428は、第1摺動下翼424に略直交する。
【0049】
薄板状要素32は更に、第2鉛直保持翼425を上方向に延長したもので且つ、アーム27を補足する部品460と協働して薄板状要素32をアーム27に対して軸線方向に固定する、軸線方向固定上部458を含む。
【0050】
第1摺動下翼424は、留め舌部456を含む。留め舌部456は、図5及び図6に表すように、第1下翼424において切り欠かれ、下方向に突出し、格納部28の下面31と協働してこの格納部28の下面31に留められ、従って翼425と対応する対向面との間の「面同士の」接触を実現する。
【0051】
図4及び図6に示すように、アームを補足する部品460は、軸線方向の長さが格納部28よりも短い凸状をしており、薄板状要素32の固定部458は、基本的に第4鉛直翼462を含み、第4鉛直翼462から、凸状部品460を挟持する2つのタブ464が延在しており、凸状部品460は、対向するタブ464が協働して形成する軸線方向の当接を構成する。
【0052】
レール又は薄板状要素32によって、ブレーキパッド18は、固定支持部14上を所定度合いだけ運動することが可能となる。つまり、一般的にしかし非制限的に、ブレーキ動作の間、ディスク12の回転に伴う軸線方向の摺動運動及び横断方向の摺動運動を行うことが可能となる。
【0053】
非制限的に、各側面突出部26には、特許文献3に記載され且つ代表される型の、所謂マウンティングスプリングを装着することができ、その例は図3A図3B及び図4に示される。
【0054】
図4は、マウンティングスプリングを側面突出部26に組み付け、装着された突出部を、対応するレール32に載置する様子を示す。
【0055】
図3A図3B及び図4は、ブレーキパッド18を載置するための、ラジアルスプリングとも呼ばれるスプリング100を模式的に表し、レール32の有無に関わらず、固定支持部14の対応する軸線方向スライド28にブレーキパッド18を載置して案内するための、ブレーキパッド18の突出部26を装着する様子を示す。
【0056】
既知の通り、各パッドスプリング100は、対応するスライドの下水平面と協働し、且つスライド28に対向する上面に対して鉛直方向上向きに保持する突出部26の上水平面を付勢する摺動下枝部102を含む。
【0057】
図示の配置によれば、パッドスプリング100は、一般に「ヘリカルスプリング」と呼ばれており、ブレーキパッド18の突出部26の水平下面を保持する枝部104を含む。この枝部104は、突出部26を弾性的に挟んでパッドスプリング100を確実に突出部26に取り付けるようにする取付枝部又は留め部106の一部である。
【0058】
パッドスプリング100は更に、主にパッドスプリング100の弾性を確保することによって取付枝部106を摺動下枝部102に接続する湾曲枝部108を含む。
【0059】
従ってブレーキパッド18は、ディスク12の回転軸線Bと平行な軸線方向に沿って、固定支持部14内に摺動可能に載置され、動作の際に
−摩擦ライニング24の摩擦前部横断方向面25が、ディスク12の反対側の面22を保持するアクティブ前側位置と、
−ブレーキパッド18の摩擦ライニング24の摩擦前部横断方向面25が、ディスク12の対応する面22から、所定の動作遊び「J1」だけ軸線方向に離間している非アクティブ後側位置と
の間を移動する。
【0060】
ブレーキ動作の間、非アクティブ位置からアクティブ位置へのブレーキパッド18の締め付けは、ディスクブレーキ10のブレーキキャリパー36によって制御される。
【0061】
既知の通り、キャリパー36は、固定支持部14を覆うことにより固定支持部14の上を軸線方向に延在する弧状部38と、弧状部38の後端及び前端から軸線「B」まで径方向に延在する後翼40及び前翼42とを含む。
【0062】
前翼42は前部のブレーキパッド18に面して延在しており、後翼40は後部のブレーキパッド18に面して延在している。
【0063】
ここでキャリパー36は、2つの平行なガイドピン44を介して、固定支持部14に対して軸線方向に摺動可能に載置されており、ガイドピン44のそれぞれは、固定支持部14の対応する軸線方向穴45に摺動自在に受け入れられる。
【0064】
既知の通り、キャリパー36の後翼40は、少なくとも1つの軸線方向ピストン46を担持しており、軸線方向ピストン46の保持前部横断方向面は、ブレーキ動作の間、後部のブレーキパッド18の対向横断方向面と協働して軸線方向前方に付勢し、ディスク12の反対側の面22を保持する摩擦ライニング24の摩擦前部横断方向面25に軸線方向の締め付け力を加える。
【0065】
反作用によって、キャリパー36は軸線方向後方に摺動し、前翼42は前部のブレーキパッド18を対称に付勢してディスク12の反対側の面22を保持する前部のブレーキパッド18の摩擦ライニング24の摩擦後部横断方向面25を締め付ける。
【0066】
ブレーキ動作の終了時にピストン46が後部のブレーキパッド18の付勢を停止すると、ブレーキパッド18は通常、各ブレーキパッド18を各々の非アクティブ位置に「押し戻す」ディスク12の回転によって、アクティブ位置から非アクティブ位置に復帰させられる。
【0067】
しかし、ディスク12によって加えられる斥力は、ブレーキパッド18のそれぞれを各々の非アクティブ位置に押し戻すのに十分でない場合もあることが指摘されている。従ってブレーキパッド18の摩擦ライニング24はディスク12を擦り続けるが、キャリパー36によるブレーキパッドの摩擦ライニングを締め付ける動作は行われない。
【0068】
ブレーキ動作の終了時に各ブレーキパッド18が確実に非アクティブ位置に戻るように、ディスクブレーキ10には、ブレーキパッド18をその非アクティブ位置に弾性的に復帰させるための手段が装着されている。これらの弾性復帰手段は、ブレーキパッド18と固定支持部14との間に介装された弾性復帰スプリングとして作られている。
【0069】
ディスクブレーキ10は、非制限的な例として、「スペーサー」スプリングとも呼ばれる4つの弾性復帰スプリング48を含み、弾性復帰スプリング48のそれぞれは、ここでは非制限的な例として、固定支持部14のアーム27と、ブレーキパッド18の対応する側面突出部26との間に配置されている。
【0070】
従って、後部又は前部のブレーキパッド18は、ここでは2つの弾性復帰スプリング48と対応しており、弾性復帰スプリング48のそれぞれは、直接的又は間接的に、摩擦ライニング・キャリア・プレート19と協働する。
【0071】
非制限的には、4つの弾性復帰スプリング48は概略的な設計が等しく、固定支持部14内に同じようにして配置されている。従って後部のブレーキパッド18のこれらの弾性復帰スプリング48のうちの1つの設計原則は、本明細書に詳細に記載されるであろう。
【0072】
弾性復帰スプリング48は、例えば幅が鉛直方向に延びる矩形断面を持ち、例えば一定厚さのステンレス鋼板に対して切削、絞り及び折曲を行うことによって作られる鋼製の金属帯の形で存在する。
【0073】
特に図7を参照して、弾性復帰スプリング48は、スプリング48を固定支持部14に取り付けるためのタブ52の形で一般的に存在する、所謂取付第1部分50を含み、取付第1部分50は第1剛性枝部B1の端部に接続されており、且つ固定支持部14の対応する部分に、例えば加締めによって取り付けるべき直交平面内に延在している。
【0074】
弾性復帰スプリング48は、軸線方向B1に配置された第1直線状枝部から、他の3つの直線状剛性枝部B2,B3,B4へと連続的に延在している。
【0075】
第1枝部B1は、基端部が屈曲部54に接続されており、対して先端部は、スライド28の軸線方向外側に位置し、第2剛性枝部B2に接続されている。
【0076】
第2剛性枝部B2は、第1可変形折曲部P1を介して第1剛性枝部B1に接続されている。
【0077】
第1枝部B1と同様に、第2剛性枝部B2は、第1剛性枝部B1の延長線上において帯状となっている。
【0078】
第1屈曲形状折曲部P1が可塑的に変形可能な領域を構成するために、この部分は、ここでは矩形の貫通孔である窓部又は内腔F1によって、ここでは機械的に弱くしている。
【0079】
同様にして、第3剛性枝部B3は、第2の可塑的に変形可能な折曲部P2を介して第2剛性枝部B2に接続されている。
【0080】
第2折曲部P2は、窓部F2を含む金属帯の屈曲部である。
【0081】
最後に、第4枝部B4は、第2の可塑的に変形可能な折曲部P3を介して第3剛性枝部B3に接続されている。
【0082】
第3の折曲部P3は、窓部F1及びF2に類似した窓部F3を含む。
【0083】
第4剛性枝部B4は直線状であり、第1剛性枝部B1と略平行な軸線方向を持ち、ここでは対応するブレーキパッド18に直接接続するようにした前方自由端部から延在している。
【0084】
ここで前方自由端部は、枝部Biを構成する帯部を延長することで作られる。
【0085】
図1又は図7に示す設計によれば、弾性復帰スプリング48の前方自由端部は、アクティブタブ62として形作られており、アクティブタブ62は直角に屈曲されて、摩擦ライニング・キャリア・プレート(図1)と対向する部分に直接作用するか、又はブレーキパッド18(図7)の、例えばその摩擦ライニング・キャリア・プレート19の対応する部分に直接取り付けられる。
【0086】
図では、弾性復帰スプリング48は、折曲部Piに可塑変形が生じる以前の初期の「新品」状態で表される。
【0087】
この新品又は初期状態において、第1枝部B1及び第4剛性枝部B4は、互いに略平行であり、且つ、横断方向に互いに離間して軸線方向に配置される。
【0088】
図示されてはいないが、弾性復帰スプリング48が最大限に可塑変形した状態において、第1及び第4剛性枝部B1,B4は、常に略平行で、略等距離に互いに離間して軸線方向に配置されており、対して3つの折曲部Piは可塑的に変形している。
【0089】
例として、金属帯の厚さは0.5〜0.8mmであり、材料は、X2CrNbCu21という名称又は304L(X2CrNi18−9/X2CrNi19−11)という名称のステンレス鋼である。
【0090】
例として、最大摩耗「J2」に対応する最大の運動は、約14mmに等しい。
【0091】
ブレーキパッド18がピストン46によってアクティブ位置にまで付勢されると、先ず所定の動作遊び「J1」に対応する経路を移動する。
【0092】
この移動の第1の部分の間、ブレーキパッド18は、固定支持部14に取り付けられた取付部50と、ブレーキパッド18に接続された枝部B4との間で弾性復帰スプリング48を弾性的に伸張させるようにして、弾性復帰スプリング48の枝部B4を駆動する。
【0093】
弾性復帰スプリング48の弾性変形可能部品は、そのようにして最大伸張状態に達する。
【0094】
折曲部Piは、最初は弾性的に、次に可塑的に変形する。
【0095】
ブレーキパッド18の摩擦ライニング24の前部横断方向面は、ディスク12の対応する面又は環状トラックに対して、摩耗遊び「J2」と等しい距離だけ更に離間している。ブレーキパッド18は、アクティブ位置への軸線方向の移動の際に担持する。
【0096】
この第2の移動の際、弾性変形可能部品は「弾性的に」変形できないため、締め付け力は、弾性復帰スプリング48の可塑的に変形可能な折曲部Piに伝達される。
【0097】
折曲部Piはその後可塑的に変形し、可塑的に変形可能な部品の弾性変形は、その可塑変形と比較して無視できる。
【0098】
ブレーキ動作が終了すると、ブレーキパッド18は、待機状態を再開する弾性変形可能部品によって、非アクティブ位置まで復帰する。
【0099】
従ってブレーキパッド18は、単一の所定の動作遊び「J1」と等しい距離だけディスク12から再び離間し、摩耗遊び「J2」は、可塑的に変形可能な折曲部Piの可塑変形によって吸収される。
【0100】
従って弾性復帰スプリング48によって、ブレーキパッド18はその非アクティブ位置への復帰を確実にする。
【0101】
更に、可塑的に変形可能な折曲部Piを配置することにより、ブレーキパッド18をそのアクティブ位置にまで作動させるピストン46によって加えられる締め付け力が大きくなりすぎることが回避される。
【0102】
更に、非アクティブ位置のブレーキパッド18とディスク12との間に一定の動作遊び「J1」を保つことによって、ブレーキ系統の応答時間が、摩擦ライニング24の摩耗に関わらず一定のままとなる。
【0103】
摩擦ライニングが最大限まで摩耗した際に、弾性復帰スプリング48は可塑的に変形しており、使用済みブレーキパッド18と同様に交換されなければならない。
【0104】
図1及び図7に模式的に示される2つの設計によれば、弾性復帰スプリングは、ブレーキパッドに作用するための、特にライニング・キャリア・プレート19に作用するためのアクティブタブ62を一体に含む。
【0105】
これより、弾性復帰スプリング48が、固定支持部14のアームに対して、つまりアーム27に装着するレール32に対して接続されて間接的に取り付けられる、本発明に係る設計原則を説明する。
【0106】
より詳細には、弾性復帰スプリング48を固定支持部14に取り付けるための部分50は、ブレーキパッド18の摺動方向に平行な方向に沿って軸線方向前方に延在する取付タブ52を含み、一方このスプリングに対応するレール32の鉛直翼34は、軸線方向後方に延在する取付舌部466を含む。取付タブ52及び取付舌部466は、軸線方向に沿った弾性ソケット接続によって両構成部品を組み付けることができる相補的な形状を持った相補協働接続手段を含む。
【0107】
図8及び図9を参照すると、取付タブ52及び取付舌部の両方は、鉛直方向及び軸線方向の平面帯状となっている。
【0108】
取付舌部466は鉛直翼34を延長した先に延在し、取付タブ52は接続枝部B4を延長した先に延在する。
【0109】
組付位置において、取付舌部466と取付タブ52とは、その面同士が隣接している(図10参照)。
【0110】
相補接続手段は更に、取付タブ52によって担持される、軸線方向平面に直交する横断方向の指部72を含む。
【0111】
このために、取付タブ52は、取付舌部466を軸線方向に受け入れるクランプの形状を有する。
【0112】
クランプは、取付タブ52を構成する帯部と、取付タブの対向面53に向かう横向きに配置された指部72を担持する平行刃68とから成る。
【0113】
刃68は、取付タブ52における押し出しによって作られ、取付タブ52及び刃68の対向面を隔てる横断方向距離は、取付舌部466の厚さと略等しい。
【0114】
指部72を受け入れるために、取付舌部466は、指部72が嵌合する凹部を構成する切欠部468を含む。
【0115】
取付タブ52は、レール32の上水平翼425の一部と協働する弾性復帰スプリング48を安定させるためのタブ212を含む。
【0116】
安定化タブ212は、直角に折曲した屈曲部213によって、取付タブ52の軸線方向向きの上端部208から横断方向且つ水平に延在する。
【0117】
レール32の上水平翼425は、この水平翼425の水平面において軸線方向後方に延在する安定化舌部470を含み、安定化タブ212は、安定化舌部470の上面472を、その下面215を介して鉛直方向に保持する。
【0118】
弾性復帰スプリング48の取付タブ52は、当接タブ202を含み、当接タブ202は、レール32の対向当接面474に対して軸線方向前方に接することで、弾性復帰スプリング48がブレーキパッド18の軸線方向運動に対応する方向に沿ってアクティブブレーキ位置まで軸線方向に摺動するのを阻害する。
【0119】
当接タブ202は、取付タブ52の軸線方向向きの端部208から延在している。折曲した屈曲部203によって、当接タブは鉛直軸線方向平面において延在し、その前方鉛直端部205は、当接面474を構成する対向水平端部と協働することが可能である。
【0120】
レール32上のスプリング48の載置位置及び組付位置において、弾性復帰スプリング48はレール32と協働するだけであり、アーム27と接したり保持したりすることはない。
【0121】
2つの構成部品を組み付けると、つまり軸線方向の相対的な運動によって弾性復帰スプリング48が対応するレール32と噛み合うと、相補的な形状を持つ相補協働接続手段は、弾性ソケット接続によって協働する。
【0122】
これにより、図10に示す状態となる。
【0123】
2つの動作領域が、従来技術に係るレールに加えられる。第1のクランプ及び舌形状の領域によって、弾性復帰スプリングは取付舌部466に「挟持」され、従って第1設置状態となりその「作動」待ちを行う。
【0124】
第2領域212〜202によって、先ず弾性復帰スプリング48を径方向に維持することが可能となり、その後ディスクブレーキの動作フェーズの間、並行及び回転停止を行う。回転については、第1領域によって接線方向における力の回復が可能となる。
【0125】
非制限的な例として、ここではアクティブタブ62は、パッドスプリング100の枝部と協働するような形状を、つまりライニング・キャリア・プレート19に間接的に作用する形状をしている。
【0126】
取付部分50及びレール32の設計上、ブレーキパッド18に装着した両スプリング48及び固定支持部14の2つの対向するアームに装着した両レールは、同一のものではなく且つ交換することができないが、対応する2つ一組のスプリング48と、対応する2つ一組のレール32をそれぞれ構成し、前部及び/又は後部のブレーキパッドと共に一対となっており、その設計は中央鉛直軸線方向平面に対して対称となっている。
【0127】
本発明は上で記載した実施例に限定されない。特に、取付タブ52と取付舌部との間に簡単な構造をもつ、機能的機械的に逆のものを設計することが可能である。
【0128】
使用済みのブレーキパッド18一式を交換するアセンブリやキットは、各ブレーキパッドについて、対応するブレーキパッドと対になる一対の弾性復帰スプリング48が装着された、実際の新しいブレーキパッド18を含む。
【0129】
ブレーキパッドが、パッドマウンティングスプリング100が装着された型のものである場合、交換キットは、各ブレーキパッドについて、その2つのパッドスプリング100が装着された新たなパッドを含み、2つのパッドスプリング100のそれぞれは、径方向突出部26のうちの1つのためのものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10