(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873093
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】わた
(51)【国際特許分類】
D04H 1/58 20120101AFI20210510BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20210510BHJP
D04H 1/4258 20120101ALI20210510BHJP
【FI】
D04H1/58
D04H1/425
D04H1/4258
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-226827(P2018-226827)
(22)【出願日】2018年12月3日
(65)【公開番号】特開2020-90732(P2020-90732A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2020年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515162442
【氏名又は名称】旭化成アドバンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】▲櫛▼野 守
(72)【発明者】
【氏名】福田 ルナ
【審査官】
春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−161289(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0348284(US,A1)
【文献】
韓国登録特許第10−1506007(KR,B1)
【文献】
実開昭57−052525(JP,U)
【文献】
特開昭54−088368(JP,A)
【文献】
特開昭54−104491(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2011−0138950(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0092506(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00−18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿性繊維と疎水性繊維が混合され、接着剤樹脂による化学的接着(ケミカルボンド、レジンボンド)により接着されてなるシート状のわたであって、
該吸湿性繊維としての、天然植物繊維カポック、及び該天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維の合計混率が、20〜60wt%であり、かつ、該天然植物繊維カポックの混率が、20〜40wt%であり、かつ、該天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維の混率が、30wt%以下であり、
該疎水性繊維としての、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びポリ乳酸繊維からなる群から選ばれる合成繊維の混率が、40〜80wt%であり、かつ、
目付が、60〜180g/m2であり、
わた試料12cm×12cmを恒温乾燥機内で105℃、1時間放置させ、その後、温度20℃、湿度5%RHの環境下6時間放置させた後、温度20℃、湿度65%RHの環境下に5分間放置したときのわたの表面温度変化のピーク値を赤外線サーモグラフィーにて測定して、高湿度環境による温度上昇(℃)として算出した吸湿発熱性が2〜8℃であり、わた試料20cm×20cmを恒温乾燥機内で105℃、2時間放置させて絶乾状態にした後、このわた重量を基に、温度30℃、湿度95%RHの初期の環境下に5時間放置させた後、温度30℃、湿度30%RH環境下に5時間放置した時のわたの重量変化を経時的に測定していき、わたの絶乾重量から算出される吸湿された初期の環境下での水分率の最大値から、その後の環境下で放出された水分率の最小値の差を算出した吸放湿性が3〜10%であり、かつ、JIS L 1096 A法(恒温法)に準じ、外気温度21.8℃、発熱体表面温度36℃として測定した保温性が60〜75%である、
ことを特徴とするわた。
【請求項2】
前記わたが衣料用である、請求項1に記載のわた。
【請求項3】
前記天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維を含む場合、その単繊維繊度は、1.0dtex以上10dtex以下であり、かつ、前記合成繊維の単繊維繊度が1.0dtex以上10dtex以下である、請求項1又は2に記載のわた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に衣料に用いられる、吸湿発熱性、吸放湿性、保温性に優れた環境配慮型のシート状のわたに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冬の寒冷時期には身体の保温性を得るために、上下衣服に、表地布帛などの間に、羽毛や中入れわたといった保温材などを使用した、外気と内衣や肌との間に空気層を有する断熱構造とした防寒衣類を使用している。
このような防寒衣類に保温性を持たせる目的で使用される素材形態としては、羽毛、わた、最近では、粒状わたといった素材が使用されているのが一般的になってきている。
他方、吸放湿性、吸湿発熱性を有するアクリル系繊維やセルロース系繊維が開発されている(以下の特許文献1、2参照)。これらの繊維をわたに適用して温かさや軽さの機能を発現することも試みられているが、単に混用するだけでは、わた内の緻密な空気層が得られないことから、保温性に関して十分満足できるものは得られていない。
また、近年では、世界的に地球環境への意識が高まっており、廃プラスチック化や二酸化炭素の排出量の削減といった課題が企業に課せられている。また、この取り組みは、企業イメージにも大きく左右されるところである。
【0003】
これらの問題を解決するため、一手法として、天然繊維素材を選定することが挙げられる。例えば、わた、麻、カポック、パンヤ、亜麻、大麻、芋麻、羊毛、アルパカ、カシミヤ、モヘヤなどが代表的であるが、その中でも最近一注目を浴びているのが植物繊維のカポックである。
一般に、植物繊維カポックは、これまで、軽量、撥水性、繊維が緻密な特性を持つ素材であることから、救命胴衣などの資材分野、枕やぬいぐるみなどの寝具、雑貨品の単なる詰めわたとして使用されていた。
しかしながら、植物繊維カポックのわた生産における加工に関しては、いくつかの問題点があった。その一つは、わた状にするとき、繊維長が短いため繊維が脱落し易いことである、また、製品のドライクリーニング後の繊維のへたりが発生し、高品質なわたを提供する上ではカポックの使用は敬遠されていた。
以下の特許文献3では、カポック綿と他の素材とを、結合剤を介して不均一に混合結合されている複合基材が開示されているが、結合剤を付与した後にキュアリングする工程が必要であり、風合いが低下し、生産性が悪化することもあった。また、本基材は車輛資材に限ったものであり、衣料用わたに要求される機能である吸湿発熱性、吸放湿性、保温性、更には低目付けを謳ったものではなく、本分野での実用化は進んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/069190号
【特許文献2】特開2000−256962号公報
【特許文献3】特開昭54−88368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、吸湿発熱性、吸放湿性、保温性を兼ね備えた環境配慮型のシート状のわたを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、軽くて、緻密であるうえに、中空率約80%という高中空天然繊維のであるという植物繊維カポックの特徴を生かして、保温性、断熱効果の特性を発現させるために、主にこの植物繊維カポックを使用し、セルロース繊維と合成繊維を適正な混率で用いてわたを作ることで、わた本来の必要とされる特性(吸湿発熱性、吸放出性、保温率)が得られることを予想に見出し、本願発明を完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]吸湿性繊維と疎水性繊維が混合され、接着剤樹脂
による化学的接着(ケミカルボンド、レジンボンド)により接着されてなるシート状のわたであって、
該吸湿性繊維としての、天然植物繊維カポック、及び該天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維の合計混率が、20〜60wt%であり、かつ、該天然植物繊維カポックの混率
が、20〜40wt%であり、かつ、該天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維の混
率が、
30wt%以下であり、
該疎水性繊維としての、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びポリ乳酸繊維からなる群から選ばれる合成繊維の混率が、40〜80wt%であり、かつ、
目付が、60〜180g/m
2であり、
わた試料12cm×12cmを恒温乾燥機内で105℃、1時間放置させ、その後、温度20℃、湿度5%RHの環境下6時間放置させた後、温度20℃、湿度65%RHの環境下に5分間放置したときのわたの表面温度変化のピーク値を赤外線サーモグラフィーにて測定して、高湿度環境による温度上昇(℃)として算出した吸湿発熱性が2〜8℃であり、わた試料20cm×20cmを恒温乾燥機内で105℃、2時間放置させて絶乾状態にした後、このわた重量を基に、温度30℃、湿度95%RHの初期の環境下に5時間放置させた後、温度30℃、湿度30%RH環境下に5時間放置した時のわたの重量変化を経時的に測定していき、わたの絶乾重量から算出される吸湿された初期の環境下での水分率の最大値から、その後の環境下で放出された水分率の最小値の差を算出した吸放湿性が3〜10%であり、かつ、JIS L 1096 A法(恒温法)に準じ、外気温度21.8℃、発熱体表面温度36℃として測定した保温性が60〜75%である、
ことを特徴とするわた。
[2]前記わたが衣料用である、[1]に記載のわた。
[3]前記天然植物繊維カポック以外のセルロース繊維
を含む場合、その単繊維繊度
は、1.0dtex以上10dtex以下であり、かつ、前記合成繊維の単繊維繊度が1.0dtex以上10dtex以下である、前記[1]又は[2]に記載のわた。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るわたは、天然繊維カポック、セルロース繊維、及び合成繊維を適正な混率でバランスよく混綿することで、わた本来の特性である吸湿発熱性、吸放湿性、保温性に優れる環境配慮型のシート状わたであるため、例えば、防寒衣類に好適に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のわたは、吸放湿繊維と疎水性繊維が混合されてなるシート状のわたであって、
該吸湿性繊維としての天然植物繊維カポック、及びセルロース繊維の合計混率が、20〜60wt%であり、かつ、該天然植物繊維カポックの混率と該セルロース繊維の混率のそれぞれが、40wt%以下であり、
該疎水性繊維としての合成繊維の混率が、40〜80wt%であり、かつ、
目付が、60〜180g/m
2である、ことを特徴とする。
本実施形態のわたは、好ましくは、吸湿発熱値が2〜8℃であり、吸放湿性が3〜10%であり、かつ、保温性が60〜75%であるものである。また、前記セルロース繊維の単繊維繊度は、1.0dtex以上10dtex以下であり、かつ、前記合成繊維の単繊維繊度は、1.0dtex以上10dtex以下であることが好ましい。
【0010】
本実施形態のわたは、吸湿性繊維と疎水性繊維が混合されてなり、吸湿性繊維の少なくとも一部に天然植物繊維カポック(以下、カポック繊維ともいう。)が含有されていることを特徴とする。
本明細書中、用語「吸湿性繊維」とは、天然植物繊維カポック、セルロース繊維等の公定水分率6%以上の繊維をいう。
カポックとは、東南アジアを中心に広く生育されるパンヤ科の木であり、その種子から採れる繊維(わた毛)を利用する目的で広く栽培されている。天然植物繊維カポックは、繊維長2〜7mmほどの環境負荷が小さい植物繊維であり、極めて軽くて、緻密であるうえに、中空率約80%という高中空構造であることを特徴とする。
【0011】
本実施形態のわたには、天然植物繊維カポック、及びセルロース繊維が、合計混率20〜60wt%で含まれていることを特徴とする。合計混率が20wt%以下であると、わたに必要とされる吸湿発熱、吸放湿、保温性が損なわれる。他方、合計混率が60wt%を超えると、合成繊維、例えば、ポリエステル繊維の混率が低下することから、かさ高性や洗濯耐久性が著しく低下し、わた形態が保持されず、商品性が失われる。合計混率は、好ましくは20〜50wt%である。
【0012】
本実施形態のわたには、カポック繊維が40wt%以下の混率で含まれる必要がある。カポック繊維の混率が40wt%を超えると、わた製品でのカポック繊維の脱落が多くなり、縫製時でのカポック繊維の飛散などで作業環境を悪化させることや、衣料製品の着用時や洗濯などでのカポック繊維の脱落により、わたとしての機能低下や、わたを縫い合わした衣料表面の外見が悪くなる。カポック繊維の混率は、好ましくは30wt%以下である。
【0013】
本実施形態のわたには、吸湿性繊維として、カポック繊維以外にセルロース繊維が40wt%以下の混率で含まれていてもよい。セルロース繊維としては、天然繊維の綿、麻や、再生セルロース繊維のキュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などが挙げられる。
【0014】
本実施形態のわたには、疎水性繊維である合成繊維が40〜80wt%の混率で含まれる。混率がこの範囲であれば、吸湿性繊維の効果を下げずに、わたとしての強度等の特性を付与でき、かさ高性や洗濯耐久性に優れ、特にドライクリーニング後のへたりやわたの偏りを抑制し、必要とされるわた形態を保持することができる。合成繊維としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン)などが挙げられるが、植物由来のポリ乳酸繊維であれば、エコ商品として謳うことができ、好ましい。
【0015】
本実施形態のわたは、シート状であって、その目付が、60〜180g/m
2である。
本明細書中、用語「シート状のわた」とは、繊維を積層してシート状に広げ(ウェブという。)、繊維間を適度に結合させて、布状(不織布様)に仕上げたものである。繊維間を結合させる手段としては、接着剤樹脂による化学的接着(ケミカルボンド、レジンボンド)、加熱による融着(サーマルボンド)、鉤(かぎ)付きの針による機械的な絡み合わせ(ニードルパンチ)、高圧水流の噴射による絡み合わせる水流交絡あるいはスパンレース、ウェブを縫い合わせるステッチボンド等が挙げられ、特に制限はないが、本実施形態では、カポック繊維の脱落を防ぐために接着剤樹脂をシート表面に塗布して接着する方法が好ましい。
本実施形態のわたの目付が60g/m
2未満であると、カポックを混繊した時に均繊性が損なわれ、目付が180g/m
2を超えると、シート状わたの本来の形態や薄さなどといった要件が満たされない。本実施形態のわたの目付は、好ましくは60g/m
2以上150g/m
2以下である。
【0016】
本実施形態のわたを構成する各繊維は、わたの性能を満足させるために、それぞれ以下の形状であることが好ましい。
カポック繊維は、天然繊維であるため不均一な形状であるが、繊維長7〜15mm、単繊維繊度0.15dtex以上0.30dtex以下の範囲であることが好ましい。
セルロース繊維は、繊維長30〜60mm、単繊維繊度1.0dtex以上10dtex以下であることが好ましい。
合成繊維は、繊維長30〜60mm、単繊維繊度1.0dtex以上10dtex以下であることが好ましい。
【0017】
本実施形態のわたは、後述する方法で測定される吸湿発熱性が2〜8℃、吸放湿性が3〜10%、保温性が60〜75%という優れた性能を発現することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
尚、以下の実施例では、具体的な材料名や数値等を挙げて説明しているが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
各繊維の公定水分率としては、JIS 0105 繊維製品の物理試験方法通則記載の測定方法で測定した値を採用した。
【0019】
(実施例1)
天然植物繊維カポック(繊度0.15〜0.30dtex、繊維長9〜15mmの範囲、公定水分率6%以上)、キュプラ・アンモニウム・レーヨン繊維(繊度1.4dtex、繊維長51mm、公定水分率11%)、ポリエステル繊維(繊度3.3dtex、繊維長51mm、公定水分率0.4%)を、20:30:50の比率で、混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたわたを得た。
【0020】
(実施例2)
植物繊維カポックとポリエステル繊維を30:70の比率で含有させる以外は、実施例1と同様にして、混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたわたを得た。
【0021】
(実施例3)
植物繊維カポック、キュプラ・アンモニウム・レーヨン繊維、ポリエステル繊維を30:20:50の比率で含有させる以外は、実施例1と同様にして、混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたわたを得た。
【0022】
(実施例4)
植物繊維カポックとポリエステル繊維を40:60の比率で含有させる以外は、実施例1と同様にして、混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたわたを得た。
【0023】
(比較例1)
ポリエステル繊維(繊度3.3dt、繊維長51mm)を混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたポリエステル100wt%のわたを得た。
【0024】
(比較例2)
ポリエステル繊維中空糸(繊度6.6dtex、繊維長51mm)を混綿、カーディング、シート状に積層させ、レジンボンド法にて、平均目付90g/m
2、157cm幅のシート状に形成されたポリエステル100wt%のわたを得た。
【0025】
以上のようにして作製された実施例、比較例のわたについて、吸湿発熱性、吸放湿性、保温性、洗濯耐久性を以下のようにして測定、評価した。
(1)吸湿発熱性(℃)
わた試料12cm×12cmを恒温乾燥機内で105℃、1時間放置させた後、一般に言う環境試験室にて、温度20℃、湿度5%RHの環境下6時間放置させた後、温度20℃、湿度65%RHの環境下に5分間放置したときのわたの表面温度変化のピーク値を赤外線サーモグラフィーにて測定して、高湿度環境による温度上昇(℃)を算出した。
【0026】
(2)吸放湿性(%)
わた試料20cm×20cmを恒温乾燥機内で105℃、2時間放置させて絶乾状態にした後、このわた重量を基に、温度30℃、湿度95%RHの初期の環境下に5時間放置させた後、温度30℃、湿度30%RH環境下に5時間放置した時のわたの重量変化を経時的に測定していき、わたの絶乾重量から算出される吸湿された初期の環境下での水分率の最大値から、その後の環境下で放出された水分率の最小値の差を算出した。
【0027】
(3)保温性(%)
JIS L 1096 A法(恒温法)に準じて測定するものであり、外気温度は、21.8℃、発熱体表面温度は、36℃とした。
【0028】
(4)洗濯耐久性
わた試料30cm×30cm(目付90g/m
2)をポリエステル平織生地(繊度 経:56dtex、緯:84dtex、密度 経:48本/cm、緯:35本/cm)で袋状にして四方を本縫いし、そのサンプルを一般商業洗い石油系ドライクリーニングにて3回処理した。その後、ポリエステル生地を外し、わたのシート形状やわた偏りを以下の評価基準で官能評価した:
「〇」:問題なし、
「△」:やや形状・わたの偏り発生、
「×」:著しくわたの損傷あり。
上記評価基準において、「△」以上の評価を良好と判断した。
それぞれ作製したわたの吸湿発熱性、吸放湿性、保温性、洗濯耐久性の測定結果を以下の表1に示す。
【0029】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るわたは、天然繊維カポック、セルロース繊維、及び合成繊維を適正な混率でバランスよく混綿することで、吸湿発熱性、吸放湿性、保温性などの高い機能を有する、環境配慮型のシート状わたであるため、例えば、防寒衣類に好適に利用可能である。