(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリ(メタ)アクリルイミドから発泡体を製造する方法において、(メタ)アクリロニトリルと、(メタ)アクリル酸と、2〜10個の水酸基を有するポリオールと、少なくとも1種の開始剤と、少なくとも1種の発泡剤とを含有する混合物を重合させて、プレートまたは粉末にして、任意で熱処理して、引き続き120〜300℃の温度で発泡させ、
前記ポリオールであるジオールが、エチレングリコール、1,10−デカンジオール、β−ヒドロキシアルキルアミド、500〜8000g/molの平均モル質量を有するOHテレケリックポリテトラヒドロフランであるか、またはそれぞれ200〜10000g/molのモル質量を有する、OHテレケリックポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリンもしくはポリエステルであることを特徴とする、前記方法。
前記混合物中の前記ポリオールの量を、水酸基価が、ポリマー100gあたりOH基0.0008〜0.2molにあるように選択することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、PMI発泡体、殊に所定の発泡温度において特に良好な密度調整をもたらすその配合成分に関する。
【0002】
従来技術
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリロニトリルとに基づくポリ(メタ)アクリルイミド(PMI)発泡体は、その耐圧性および温度安定性が高いことで知られている。通常、これらの発泡体は、相応するモノマーを発泡剤およびさらなる必要な添加剤の存在下で重合させることによりキャストプレートの形態で製造され、このキャストプレートは、重合が行われた後に、温度処理により発泡される。
【0003】
このようにして得られた市販の発泡体の密度は、一般的に25〜400kg/m
3の範囲にある。得られる発泡体の発泡後の密度は、発泡剤の組成が同じ場合、発泡温度に依る。その際、発泡温度が上昇すると密度は低下し、あるいは発泡温度が低下すると密度は上昇する。
【0004】
そこで、独国特許出願公開第2726260号明細書(DE2726260)では、高温でも優れた機械的特性を有するポリ(メタ)アクリルイミドフォーム(PMIフォーム)の製造が記載されている。フォームの製造はキャスティング法で行われ、つまりモノマーと必要な添加物質とが混合され、チャンバー内で重合される。この重合体を第二の工程で加熱により発泡させる。独国特許出願公開第2726260号明細書(DE2726260)に記載されているフォームの欠点は、その細孔構造が粗いことである。発泡剤を変えることで、すでに細孔径を著しく下げることができる。
【0005】
特に細孔が微細なフォームを実現するためにPMIフォームにおいて架橋剤を使用することは、とりわけ欧州特許出願公開第1678244号明細書(EP1678244)に記載されている。ここでは、熱機械特性、例えば耐熱変形性、ならびにフォームの均質性に対する架橋剤の影響が強調されている。あり得る架橋剤としては、多価不飽和モノマー、例えばジエチレングリコールジアクリレートもしくはジエチレングリコールジメタクリレートもしくはアリル(メタ)アクリレート、またはコポリマーの酸基の間にイオン架橋を形成するイオン性架橋剤、例えば多価金属カチオンが記載されている。
【0006】
独国特許出願公開第19717483号明細書(DE19717483)は、モノマー混合物を基準として1〜5重量%のMgOがイオン性架橋剤として添加されているポリメタクリルイミド発泡体の製造方法を記載している。熱機械特性が著しく改善されたフォームが得られる。
【0007】
中国特許出願公開第103554354号明細書(CN103554354)は、PMIフォームにおけるN,N’−4,4’−ジアミノジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)の使用を記載している。ここで目的は、高密度のフォームを製造することである。ここで架橋剤として、多価不飽和モノマーおよびイオン性架橋剤、殊にMgイオンも記載されている。
【0008】
アリルメタクリレートで架橋されている機械的に安定なPMIフォームは、欧州特許出願公開第356714号明細書(EP356714)に見られる。ラジカル形成剤としては、例えばアゾビス−イソブチロニトリルが使用され、重合させる混合物に0.1重量%〜10重量%の導電性粒子が添加される。同じことが、特開2006045532(JP2006045532)に開示されている、金属塩でイオン架橋されたPMIフォームに当てはまる。
【0009】
基本的に、PMIフォームのために記載される方法の多くを、ポリアクリルイミド(PI)フォームの製造にも転用することができる。メタクリル酸およびアクリロニトリルに基づくこのようなPIフォームは、例えば中国特許第100420702号明細書(CN100420702C)に記載されている。
【0010】
記載されているように、PMIフォームの密度は、発泡剤の組成および量が同じ場合、発泡温度に依る。しかしながら、様々な種類のPMI発泡体(これは例えば、Rohacell
(登録商標)という製品名でEVONIK Industries AGにより販売されている)は、その発泡剤組成が異なる。よって、同じ密度を達成するためには、これらのPMI発泡体は、その発泡温度も異なる。
【0011】
よって、PMI発泡体を効率的に製造するためには、組成が互いに違うか、または発泡剤組成物が異なる様々な種類のPMI発泡体を、同じ発泡温度で同一の密度を得ながら製造できれば望ましいだろう。これにより製造プロセスが著しく容易になる。というのも、フォーム炉の温度切替がもはや必要ではなくなるからである。
【0012】
課題
よって、本発明の課題は、P(M)Iの発泡における発泡剤組成と、発泡温度と、得られる密度との依存関係を互いに切り離すことができる方法を開発することであった。
【0013】
殊に、本発明の課題は、この方法により、同じ発泡温度および異なる発泡剤組成の場合でも同じ密度のPMI発泡体を得ることを可能にすることであった。
【0014】
あるいは、本発明の課題は、同じ発泡温度および同じ発泡剤組成の場合に異なるフォーム密度が得られる方法を提供することであった。
【0015】
解決策
これらの課題は、ポリ(メタ)アクリルイミドからの発泡体または硬質発泡体の新たな製造方法により解決され、この製造方法は、(メタ)アクリロニトリルと、(メタ)アクリル酸と、2〜10個、好ましくは2〜4個の水酸基を有するポリオールと、少なくとも1種の開始剤と、少なくとも1種の発泡剤とを含有する混合物を重合させて、プレートまたは粉末にして、任意で熱処理して、引き続き120〜300℃の温度で発泡させることを特徴とする。
【0016】
ここで好ましくは、混合物中のポリオールの量を、混合物の水酸基価が、ポリマー100gあたりOH基0.0008〜0.2mol、好ましくはポリマー100gあたりOH基0.001〜0.1molにあるように選択する。
【0017】
好ましくは、ポリオールはジオールである。このようなジオールの特に好ましい例は、エチレングリコール、1,10−デカンジオール、β−ヒドロキシアルキルアミド、500〜8000g/molの平均モル質量を有するOHテレケリックポリテトラヒドロフラン、ならびにそれぞれ200〜10000g/molのモル質量を有する、OHテレケリックポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリエステルである。当然のことながら、20個までの炭素原子を有するその他のアルキルジオールも使用することができる。
【0018】
同じように使用可能な高級ポリオールの例は、グリセリン、ペンタエリトリトール、キシリトール、アルジトールまたはその他の糖アルコールである。当然のことながら、例えば、分枝鎖状のポリオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリンまたは2つより多くのヒドロキシ基を有するポリエステルも使用することができる。
【0019】
本発明によると、ポリオールは、発泡時に選択的に架橋剤として作用するが、しかしながら、有利には先行する重合または熱処理において、従来技術から公知の架橋剤とは反対に、架橋反応を起こさない。ここでこの架橋反応は、ポリマー鎖に存在する酸基または任意で無水物基またはイミド基により起こり、エステルが形成される。
【0020】
架橋が発泡の間、つまり120℃を上回る温度で初めて起こることを確認した。発泡の前に架橋が起こると、発泡が強く妨害されるため、フォームの破断に繋がり得る。
【0021】
驚くべきことに、ポリオールを使用することで、同じ発泡剤組成の場合に、得られる発泡体の密度を非常に良好に調整することができた。同じポリオール、同じ発泡剤組成および同じ発泡温度の場合に、ポリオールの使用量が増加すると、得られるPMI発泡体の密度が上昇する。
【0022】
本発明による方法の実質的な利点は、以下の点である:
−フォームの密度の調整がより良好かつより正確である点
−殊に発泡体の均質性に関して、発泡前にポリマーが予備架橋するという欠点がない点
−発泡において、殊に、特に低い密度(高い発泡度)を伴った発泡においてフォームが破断しない点。
【0023】
ポリマー
(メタ)アクリル酸という表現は、メタクリル酸、アクリル酸またはこれら2つからの混合物を表す。(メタ)アクリロニトリルという表現は、メタクリロニトリル、アクリロニトリルまたはこれら2つからの混合物を表す。相応することが、アルキル(メタ)アクリレートという表現に当てはまる。これは、メタクリル酸、アクリル酸またはこれら2つからの混合物のアルキルエステルを表す。
【0024】
ポリマー、例えばキャストポリマーの形態にあるポリマーを製造するためには、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリロニトリルとを好適には2:3〜3:2のモル比で主成分として含有するモノマー混合物をまず製造する。さらに、さらなるコモノマー、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル、スチレン、マレイン酸もしくはイタコン酸もしくはそれらの無水物、またはビニルピロリドンを使用することができる。ここでコモノマーの割合は、両主成分の30重量%以下、好適には10重量%以下であるべきである。少量の架橋モノマー、例えばアリルアクリレートを一緒に使用することができる。しかしながら、これらの量は、好適には高くても0.05重量%〜2.0重量%であるべきである。
【0025】
共重合のための混合物は、さらに発泡剤を含有しており、これは、約150〜300℃の温度で分解または気化して、その際に気相を形成する。
【0026】
重合は、有利には、ラジカル重合開始剤の存在下にてブロック形態で行われる。平型ブロックを例えば80mmまでの厚さを有する層で製造する場合、モノマー混合物は、端部でそれぞれ封止された、ある種の平型チャンバーを成す2つのガラスプレートの間に存在する。この平型チャンバーは、所望の重合温度に調整される水浴で囲まれている。
【0027】
重合を、広くまたは広範囲にわたり、等温条件下で、つまり一定の水浴温度で実施することができる。多くの場合、重合の始めから終わりまで水浴温度を一定に維持することが可能である。しかしながら、場合によっては、水浴温度をまず長時間にわたり一定に維持して、一定時間後に上昇させて、一部の重合をより高い温度で実施することができる。
【0028】
より高い温度で実施されるこの次の重合段階においても、水浴温度を一定に維持することができる。
【0029】
選択される水浴温度は、重合チャンバーの厚さ、および重合時に使用される配合物、殊に使用される開始剤に依る。ここで一般的には、製造するプレートの厚さが増えるにつれて、重合温度、延いては水浴の温度もより低い値にシフトさせることが有利である。
【0030】
配合物にとって適切な温度と厚さを単純な予備試験によりそれぞれ最適化することができる。
【0031】
重合時に放出される熱を十分な程度で排出でき、重合の間に重合混合物中で不所望な温度にならないように、チャンバーの厚さと配合物に対する温度を先で述べた限界値の範囲内で調整することは自明のことである。周りを囲む水浴により制御される重合過程が完了した後に、加熱キャビネット内で熱処理を実施する。この熱処理は、一般的に80〜130℃の温度で行われ、ここですでに説明したように、38℃で始まる、好ましくは重合温度で始まる一律または段階的に上昇する温度管理を調整することができる。熱処理キャビネット内でのこの最終的な重合は、一般的に10〜1,000時間で十分である。
【0032】
発泡剤
発泡剤(C)としては、以下の化合物またはこれら化合物からの混合物を使用することができる:ホルムアミド、ギ酸、尿素、イタコン酸、クエン酸、ジシアンジアミド、水、モノアルキル尿素、ジメチル尿素、5,5‘−アゾビス−5−エチル−1,3−ジオキサン、2,2‘−アゾビス−イソ酪酸ブチルアミド、2,2‘−アゾビス−イソ酪酸−N−ジエチルアミド、2,2‘,4,4,4‘,4‘−ヘキサメチル−2,2’−アゾペンタン、2,2‘−アゾビス−2−メチルプロパン、ジメチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート、アセトンシアンヒドリンカーボネート、オキシ−イソ酪酸メチルエステルカーボネート、N−メチルウレタン、N−エチルウレタン、N−tert−ブチルウレタン、ウレタン、シュウ酸、マレイン酸、オキシ−イソ酪酸、マロン酸、シアンホルムアミド、ジメチルマレイン酸、メタンテトラカルボン酸テトラエチルエステル、オキサミド酸−n−ブチルエステル、メタントリカルボン酸トリメチルエステル、メタントリカルボン酸トリエチルエステル、ならびに3〜8個の炭素原子からの一価アルコール、例えば1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールおよびイソブタノール。
【0033】
それ以外では、発泡条件下で揮発性化合物を放出し、かつ通常その後に(メタ)アクリル酸繰り返し単位としてポリマー内に残留する共重合可能な発泡剤も使用することができる。このような一般的に公知の共重合可能な発泡剤の例は、イソプロピル(メタ)アクリレートおよびtert−ブチル(メタ)アクリレートである。
【0034】
開始剤
開始剤としては、ラジカル重合を起こすことができる化合物および開始剤系を使用する。公知の化合物類は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸塩、ペルカーボネート、ペルケタール、ペルオキシエステル、過酸化水素およびアゾ化合物である。開始剤の例は、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキソジカーボネート、ジラウリルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオクタノエート、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−アミルペルピバレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸リチウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾイソブチロニトリル、2,2−アゾビスイソ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2‘−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルおよび4,4‘−アゾビス(シアノ吉草酸)である。
【0035】
レドックス開始剤(H.Rauch−Puntigam、Th.Voelker、Acryl−und Methacrylverbindungen、Springer、ハイデルベルク、1967またはKirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第1巻、286頁以降、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1978年)も同様に適している。時間および温度に関連して様々な分解特性を有する開始剤および開始剤系を組み合わせることが有利であり得る。好ましくは、開始剤を、モノマーの合計重量を基準として、0.01重量%〜2重量%、特に好ましくは0.15重量%〜1.5重量%の量で使用する。
【0036】
重合は、好適には塊状重合の変法、例えば従来技術で記載されているいわゆるチャンバー法により行われるが、これに制限されることはない。
【0037】
特に好ましい使用可能なポリ(メタ)アクリルイミド発泡体を、例えば以下の工程により得ることができる:
1.)−20〜60重量%の(メタ)アクリロニトリル、
−40重量%〜78重量%の(メタ)アクリル酸、
−0〜20重量%のさらなる単官能性不飽和ビニルモノマー、
−混合物の水酸基価が、ポリマー100gあたりOH基0.0008〜0.2mol、好ましくはポリマー100gあたりOH基0.001〜0.1molにある量の1種以上のポリオール、
−1重量%〜15重量%の発泡剤、共重合可能な発泡剤または発泡剤混合物、
−任意で0〜5重量%のさらなる架橋剤、
−開始剤系、および
−一般的な添加物質
から成る組成物のラジカル重合により重合体プレートを製造する工程。
【0038】
さらなる架橋剤は、少なくとも2つの二重結合を分子内に有するラジカル重合可能な不飽和ビニル化合物、または金属イオン化合物、殊に酸化マグネシウム(モノマー混合物中に溶解しているもの)であり得る。特に好ましくは、ポリオール以外にさらなる架橋剤は使用されないか、または合計で最大1重量%使用される。
【0039】
2.)この混合物を、10時間〜数日の間、28℃〜110℃の温度(使用される開始剤および調整される材料厚に依る)で、例えばサイズ50cm×50cmの2枚のガラスプレートと、厚さ2.2cmの端部封止材とから形成されるチャンバー内で重合させる。引き続き、この重合体を、ポリ(メタ)アクリルイミドの最終的な重合のために、約20時間にわたり、40℃〜130℃に達する熱処理プログラムにかけ、ここで熱処理温度は、使用される発泡剤により調整される発泡温度未満にある。その後の発泡は、数時間の間に、例えば190〜250℃で行われる。
【0040】
ポリ(メタ)アクリルイミドのための任意の添加物質
さらに、この混合物に、一般的な添加物質を添加することができる。助剤の適切な合計量は、モノマー混合物を基準として、例えば0重量%〜20重量%、0重量%〜10重量%または0重量%〜5重量%である。ここで、一般的な添加物質は、上記のモノマー、架橋剤、発泡剤または開始剤とは異なる。
【0041】
この添加物質には、なかでも帯電防止剤、酸化防止剤、離型油、潤滑剤、着色剤、流動性向上剤、フィラー、光安定剤、および有機リン化合物(例えばホスファイトまたはホスホネート)、顔料、離型剤、風化防止剤、および可塑剤が属する。さらなるあり得る添加剤は難燃剤である。部分的に酸化アンチモンを含有するハロゲン含有難燃剤以外には、リン含有化合物も使用することができる。リン含有化合物は、煙ガスの毒性が比較的低いため、火事の場合に好ましい。リン化合物には、なかでもホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスホニウム化合物、ホスホネート、ホスファイトおよび/またはホスフェートが属する。これらの化合物は、有機および/または無機の性質のもの、例えばリン酸モノエステル、ホスホン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ホスホン酸ジエステルおよびリン酸トリエステル、ならびにポリホスフェートであり得る。
【0042】
発泡体の静電気帯電を防止する伝導性粒子は、さらなる分類の好ましい添加物質である。この添加物質には、なかでも、10nm〜10mmの範囲にあるサイズを有し、繊維としても存在することができる金属粒子およびカーボンブラック粒子が属し、これは例えば、欧州特許出願公開第0356714号明細書(EP0356714A1)に記載されている。
【0043】
本発明による硬質発泡体は、幅広く使用される。よって、これは例えば、カバー層、例えばサンドウィッチ構造の形態もしくは硬質フォームで充填された引抜成形物の形態にあるカバー層を用いて、複合材料として加工可能である。しかしながら、硬質フォームからは、カバー層を有しない成形品も切り出すことができる。また、発泡体を部分的にだけ発泡させ、成形しながら発泡を終えることも可能である。さらに発泡体を、発泡前に顆粒化するか、または直接的に、例えば懸濁重合の形態での重合により粒子として製造することができる。このような破砕物または懸濁重合体から、粒子フォームが、または粒子発泡体からの成形体が製造される。さらに、切断または鋸引きにより、薄いフォームプレートまたはフォームシートを製造することができる。
【0044】
本発明により得られる発泡体は、殊に宇宙船、航空機、船舶、鉄道車両および陸上車、例えば自動車、自転車または自動二輪車の製造における材料要素として適している。さらなる適用領域は、風力発電所の構造物またはスポーツ器具、例えばスキー板である。
【0045】
実施例
49重量部のメタクリル酸、50重量部のメタクリロニトリル、7重量部のtert−ブタノール、2重量部のtert−ブチルメタクリレート、0.22重量部のMgO、0.04重量部のtert−ブチルペルピバレート、0.036重量部のtert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、0.1重量部のtert−ブチルペルベンゾエート、0.103重量部のクミルペルネオデカノエート、50ppmの1,4−ベンゾキノンおよび0.3重量部のMoldwiz INT20E(離型剤;メーカーAxel Plastics)、ならびに表1に記載されている量のポリオールを混合し、均質な溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を、周囲を囲むコーキングストリップにより封止された2つのガラスプレートの間で、140時間にわたり41℃で重合させ、厚さ23mmのポリマープレートにした。このポリマープレートを、冷却およびガラスプレートからの取り出し後に、115℃で3時間にわたり熱処理して、それから215℃で2時間にわたり空気循環炉内で発泡させた。得られた密度は、表1に記載されている。
【表1】
【0046】
これらの例の調製物は、使用されるポリオールの種類および量だけが異なる。使用されるポリオールの種類および量が、(発泡温度および発泡時間[2時間]が同じ場合)PMIフォームの密度に著しい影響を与えることは明らかである。したがって、得られる発泡体の密度を、架橋剤の量または種類を変えるだけで調整できる。