【文献】
PAUK, K. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2013年 8月24日,Vol.21, No.21,pp.6574-6581.
【文献】
CARVALHO, L.P.S. et al.,ACS Medicinal Chemistry Letters,2011年 9月21日,Vol.2, No.11,pp849-854.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クロストリジウム感染が、抗生物質誘導性クロストリジウム感染であり、前記感染を誘導した抗生物質が、ハロゲン化サリチルアニリド以外である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記感染を誘導した抗生物質が、クリンダマイシン、セファロスポリン(例えば、セフォタキシム及びセフタジジム)、アンピシリン、アモキシシリン及びキノロン(例えば、フルオロキノロン、任意選択でシプロフロキサシン又はレボフロキサシン)から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
前記クロストリジウムが、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン及びリファマイシンから選択される抗生物質に対して抵抗性であるクロストリジウム・ディフィシレ株である、請求項7に記載の医薬組成物。
前記クロストリジウム感染が、前記ハロゲン化サリチルアニリドの前記対象への投与の前に抗生物質で処置されていない、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記対象が、再発性クロストリジウム感染、例えば、前記ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質で前記対象を前処置した後に再発したクロストリジウム感染、に罹っている、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記クロストリジウム感染が、抗生物質、例えば、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン及びリファマイシンからなる群から選択される抗生物質で前記対象を前処置した後に再発し、任意選択で、前記クロストリジウム感染が、メトロニダゾール、バンコマイシン及びフィダキソマイシンからなる群から選択される抗生物質で処置された後に再発した、請求項10に記載の医薬組成物。
前記C.ディフィシレが、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシ及びリファマイシンから選択される抗生物質に対して抵抗性である、請求項15に記載の医薬組成物。
前記ハロゲン化サリチルアニリドがクリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド及びトリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記ハロゲン化サリチルアニリドがラフォキサニド、オキシクロザニド及びクリオキサニド、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択され、任意選択で、前記ハロゲン化サリチルアニリドがラフォキサニド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
クロストリジウム属は、100を超える種を含む、嫌気性条件下で生育する芽胞形成グラム陽性菌の属である。ヒト及び他の温血動物における疾患の原因となる4つの主たる種、すなわち、ボツリヌス菌(C. botulinum)(ボツリヌス中毒を引き起こす食品又は傷内で毒素を産生する生物);C.ディフィシレ(これは、偽膜性大腸炎、中毒性巨大結腸症及び抗生物質関連下痢症を引き起こし得る);破傷風菌(C. tetani)(これは、破傷風の原因となる生物である);及びウェルシュ菌(C. perfringens)(これは、腸毒血症、壊死性腸炎及びガス壊疽を引き起こし得る)がある。
【0003】
ウェルシェ菌は、環境中に遍在し、土壌、ちり、生の食材(例えば、食品加工に使用される香辛料)、並びにヒト及び動物の腸に見られる。それは、様々な腸状態をもたらす15を超える異なる毒素を産生する。ウェルシェ菌感染は、重大な負の経済的結果とともに、ブロイラーの群れにおいて消化管健康問題も引き起こし得る。
【0004】
C.ディフィシレは、日和見グラム陽性嫌気性芽胞形成性バシラスであり、クロストリジウム・ディフィシレ感染(CDI)、例えば、全世界にわたって健康管理システムに負担となる、抗生物質関連下痢症(CDAD)及び大腸炎を引き起こす。過去十年で、C.ディフィシレ感染、特に病院内感染(hospital-acquired infection)(院内感染(nosocomial infection))の比率は、劇的に増加し、羅患率の増加、結腸切除を必要とする合併症の頻度の増加、及び死亡率の上昇をもたらした。
【0005】
通常の人口の3〜15%は、C.ディフィシレに感染していると推定される。しかしながら、感染率は、入院患者においてはるかにより高い。C.ディフィシレは、腸にコロニーを形成し、感染した多くの対象で、細菌は他の腸内細菌叢と平衡状態で生息し、無症候性である。しかしながら、例えば、以前の抗生物質使用、胃のpHを変える薬物 (例えば、プロトンポンプ阻害剤)の使用、又は胃腸手術の結果として、正常な腸内細菌叢の恒常性が乱されると、症候性CDIが、腸内のC.ディフィシレの増殖の結果として生じ得る。C.ディフィシレにより産生される毒素は、結腸上皮を破壊し、炎症反応、及び軽度の下痢から重症度の生命を脅かす偽膜性大腸炎までの様々な臨床症状をもたらす。
【0006】
C.ディフィシレ菌は、毒素を産生し、これは、結腸を含む、下部胃腸管のライニングに炎症及び損傷を引き起こし得る。C.ディフィシレのいくつかの異なる株が存在し、これらの一部は、他のものよりも重症の疾病を引き起こし得る。株NAP1/027/BI 027(NAP1/027)は、特に高レベルの毒素を産生し、特に重症のCDI及び高レベルの死亡率と関連する。
【0007】
C.ディフィシレ感染は、特に、広域抗生物質、例えば、クリンダマイシン、セファロスポリン及びアモキシシリン/クラブラン酸の臨床使用と関連する。フルオロキノロン抗生物質は、CDIに対する特定の危険因子として同定されている。対象における一次感染(例えば、尿路感染、皮膚感染又は他の感染)を処置するために一般に使用される抗生物質は、一次感染を引き起こす細菌を死滅させる。しかしながら、それらはまた、GI管の菌叢に存在する細菌の多くを死滅させ得る。C.ディフィシレ細菌は、一般に使用される抗生物質の多くによって影響されず、これは、腸内でC.ディフィシレの増殖をもたらし、高レベルの関連毒素の存在は、CDIの症状の出現をもたらし得る。
【0008】
C.ディフィシレ感染は、高齢患者における院内下痢症の最も一般的な感染原因であり、抗生物質誘導下痢症の全症例の15%〜25%を占める。関節全置換術を受ける患者は、患者の高年齢、周術期における予防的抗生物質適用範囲の使用、多共存症状態、及び回復に必要な入院の長さのために、CDIの著しい危険にある。
【0009】
C.ディフィシレ感染の処置は、関連症状又は疾患の重症度に依存する。一般に、無症候性感染は処置されない。しかしながら、症状が進行する場合、その症状を減少させ、感染が悪化するのを防止するための処置が一般に必要とされる。
【0010】
一般に、CDIの処置における第1のステップは、誘発性抗生物質の中止である。併用抗生物質(すなわち、C.ディフィシレ感染を処置するために与えられるもの以外の抗生物質)による処置は、下痢症の相当の長期化と再発CDIの危険の増加との両方を伴う。併用抗生物質が一次感染の処置に不可欠である場合、可能であれば、抗生物質関連CDIにあまり頻繁に関与しない抗生物質治療、例えば、非経口アミノグリコシド、スルホンアミド、マクロライド、バンコマイシン、又はテトラサイクリンを使用することが一般に賢明である(Lakartidningen、103(46)、2006年)。
【0011】
C.ディフィシレ感染、例えばCDADは、通常、メトロニダゾール又は経口バンコマイシンで処置される。C.ディフィシレに対する新しい抗生物質、大環状抗生物質であるフィダキソマイシン(OPT-80、PAR-101)が最近承認された。フェーズIII臨床試験において、フィダキソマイシンは、CDADの臨床治癒の達成においてバンコマイシンに対して非劣性であった。フィダキソマイシン処置はまた、CDADの再発予防においてバンコマイシンよりも優れていた。これらの結果は、投与の容易性及びいくらかより良い安全性プロファイルと相まって、フィダキソマイシンをCDADの処置のための魅力ある処置選択肢にした(Louie, T.J.、Miller, M.A.、Mulvane, K.M.、Weiss, K.、Lenten, A.、Shoe, Y.K.(2011年)、「Fidaxomicin versus Vancomycin for Clostridium difficile infection」、New England Journal of Medicine、364、422〜431頁)。しかしながら、メトロニダゾール、バンコマイシン及びフィダキソマイシンに対する抵抗性が観察されている。
【0012】
リファマイシン及び誘導体、例えば、リファンピシン及びリファキシミンは、再発CDIを処置するために成功裏に使用されてきた。しかしながら、急速な自然耐性進化も、このクラスの抗生物質に関して観察されており、例えば、院内におけるリファンピシン耐性C.ディフィシレの蔓延も、増大する懸念事項である。
【0013】
テイコプラニン(広くは利用可能でなく、且つ高価であるけれども)は、CDIに対して報告された高い効力を有する別の抗生物質であり、限られたデータは、それが再発CDIにおいて有効であり得ることを示唆している。
【0014】
あるCDIに罹ってしまった患者は、感染の再発の危険にある。再発CDIの比率(RCDI)は、15%〜30%と推定される。病院及びコミュニティ内での再発C.ディフィシレ感染を有する患者は、増加する処置問題を生ぜしめる。第1の感染を有する患者のほとんどは、メトロニダゾール又は経口バンコマイシンのいずれかに反応するが、再発C.ディフィシレ感染に対する現在の治療手法は、失敗しがちであり、抗生物質耐性出現の危険を増加させる。ほとんどの処置ガイドラインは、長期経口バンコマイシンパルス及び/又は漸減投与量レジメンを推奨する。しかしながら、このような投与量レジメンの有効性を支持する証拠は限られている。
【0015】
C.ディフィシレにより形成される芽胞は、感染の伝播又は蔓延のための一次機構であると考えられる。更に、患者の結腸に存在する芽胞は、抗生物質処置による細菌の排除後でさえも、C.ディフィシレの再発の原因となり得る。フィダキソマイシンは、C.ディフィシレ芽胞形成を阻害することが示された(Babakhaniら、S162 CID 2012:55(suppl2))。しかしながら、芽胞形成を阻害し、したがって、C.ディフィシレ感染の伝播及び/又は再発の危険を最小限にし得るさらなる作用物質に対する必要性がある。
【0016】
米国特許第8,618,100号には、クロストリジウム属細菌、特にウェルシェ菌に対して抗細菌活性を有すると記載されたクロマニル誘導体が開示されている。
【0017】
PCT特許出願国際公開第2008/039640号には、REP3123としても知られる、化合物5-[3-((R)(+)-6,8-ジブロモ-クロマン-4-イルアミノ)-プロピルアミノ]-4H-チエノ[3,2-b]ピリジン-7-オン、及びクロストリジウム・ディフィシレに対するその抗細菌活性が開示されている。REP3123化合物の抗細菌活性のインビトロ試験では、前記化合物がクロストリジウム属の細菌に対して活性であるが、しかしながら、REP3123は、腸内に存在する多種多様な細菌に対しても抗細菌活性を有することが実証されている。
【0018】
米国特許第8,796,292号には、ある特定の7-置換-2-(ベンジルアミノ)-6-オキソプリンが、腸内嫌気性C.ディフィシレの増殖に対して強力な活性を有するが、他の腸内グラム陽性嫌気性菌に対しては弱い活性を有することが開示されている。この化合物は、C.ディフィシレ感染を発症する可能性の低減において、又はそれを処置するために有用であることが記載されている。
【0019】
PCT出願国際公開第2014135891号には、フィダキソマイシンを含む組成物の直腸投与が記載されている。この組成物は、C.ディフィシレによって引き起こされる下痢症等の感染の処置又は寛解維持に有用であると記載されている。
【0020】
PCT出願国際公開第2012/050826号には、C.ディフィシレ生物を死滅させ、したがって、C.ディフィシレ感染の徴候及び症状を軽減するためのロイテリサイクリン又はロイテリサイクリン類似体の使用が記載されている。
【0021】
しかしながら、C.ディフィシレに対する新しい処置に対する必要性がある。
【0022】
ハロゲン化サリチルアニリド、例えば、ニクロサミド、クロサンテル及びラフォキサニドは、ヒツジ及びウシにおけるヘモンクス属種(Haemonchus spp.)及びファシオラ属種(Fasciola spp.)感染、並びにヒツジにおけるオエストルス・オビス(Oestrus ovis)の防除に広く使用されている重要な駆虫薬である。
【0023】
ニクロサミドは、限定されないが、Bayer73(登録商標)、Bayer2353(登録商標)、Bayer25648(登録商標)、Bayluscid(登録商標)、Baylucide(登録商標)、Cestocid(登録商標)、クロニトラリド、Dichlosale(登録商標)、Fenasal(登録商標)、HL2447(登録商標)、lomesan(登録商標)、lomezan(登録商標)、Manosil(登録商標)、Nasemo(登録商標)、Niclosamid(登録商標)、Phenasal(登録商標)、Tredemine(登録商標)、Sulqui(登録商標)、Vermitid(登録商標)、Vermitin(登録商標)及びYomesan(登録商標)を含む、いくつかの製剤で市販されている。
【0024】
ニクロサミドは、プロテオバクテリアの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアクチノバクテリアのマイコプラズマム・ツベルクローシス(Mycoplasmum tuberculosis)によって引き起こされる慢性肺感染のための可能な全身処置として提案された(F.Imperiら、Antimicrobial, Agents and Chemotherapy、557(2)、996〜1005頁(2013年))。
【0025】
J.Vinsovaら(Molecules、12巻1号、1〜12頁、2007年;Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、19巻2号、348〜351頁、2009年;European Journal of Medicinal Chemistry、45巻12号、6106〜6113頁、2010年)には、サリチルアニリドのある特定の抗細菌活性について記載されているが、CDIの処置の開示はない。
【0026】
Ghaziら(Zentralbl. Mikrobiol. 141(1986年)、225〜232頁)は、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する合成サリチルアニリド誘導体の抗細菌効果及び毒性を試験した。
【0027】
M.J.Macielagらは、薬物耐性生物、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)及びバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)(VREF)に対するクロサンテル及び関連誘導体の抗細菌活性について試験した(J. Med. Chem.、41(16)、2939〜45頁(1998年))。
【0028】
D.J.Hlastaらは、クロサンテルが、薬物耐性黄色ブドウ球菌及びE.フェシウムに対して抗細菌活性を有することを見出した(Bioorg. Med. Chem. Letters、8(14)、1923〜28頁(1998年))。
【0029】
R.Rajamuthiahら(PloS One、2014年、9(2):e89189)は、ハイスループット液体スクリーニングアッセイでのヒットとしてクロサンテルを同定し、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌分離株及び他のグラム陽性細菌に対するクロサンテルの抗ブドウ球菌活性を見出した。
【0030】
R.Rajamuthiahら(Plos One、2015年、10(4):e0124595)は、ニクロサミド及びオキシクロザニドがMRSAに対して活性を有することを記載している。
【0031】
Paukら、Bioorg. & Med. Chem. 23、6574〜6581頁(2013年)は、ある特定のハロゲン化サリチルアニリド及び誘導体のインビトロ抗細菌活性を開示している。
【0032】
国際公開第2008/155535号には、プロピオニバクテリア感染によって生じるざ瘡の処置のためのハロゲン化サリチルアニリドの使用が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
ハロゲン化サリチルアニリド(例えば、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン及びニクロサニド)が、クロストリジウム属細菌、特にC.ディフィシレに対して活性であり、クロストリジウム属感染及びその感染の可能な再発の処置及び/又は予防若しくは減少において有用であり得ることが見出された。ハロゲン化サリチルアニリドの使用はまた、クロストリジウム属感染の処置のために使用される公知の抗生物質と比較して、抗生物質耐性の発生率を減少させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明によれば、クロストリジウム属細菌によって引き起こされた対象における感染の処置における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0037】
感染は、例えば、ウェレシェ菌、C.ディフィシレ、ボツリヌス菌、破傷風菌、C.アブソナム(C. absonum)、C.アルゲンチネンス(C. argentinense)、C.バラチ(C. baratii)、C.ビフェメンタンス(C. bifermentans)、C.ベイジェリンスキ(C. beijerinckii)、C.ブチリカム(C. Butyricum)、C.カダベリス(C. cadaveris)、C.カミス(C. camis)、C.セラタム(C. celatum)、C.クロストリジオフォルム(C. clostridioforme)、C.コクレアリウム(C. cochlearium)、C. コクレアタム(C. cocleatum)、C.ファラックス(C. fallax)、C.ゴニ(C. ghonii)、C.グリコリカム(C. glycolicum)、C.ヘモリチカム(C. haemolyticum)、C.ハスチフォルム(C. hastiforme)、C.ヒストリチカム(C. histolyticum)、C.インドリス(C. indolis)、C.イノカム(C. innocuum)、C.イレグラレ(C. irregulare)、C.レプタム(C. leptum)、C.リモサム(C. limosum)、C.マレノミナタム(C. malenominatum)、ノーヴィ菌(C. novyi)、C.オロチカム(C. oroticum)、C.オエデマチエンス(C. oedematiens)、C.パラプトリフィカム(C. paraputrificum)、C.ピリフォルム(C. piliforme)、C.プトレファシエンス(C. putrefasciens)、C.ラモサム(C. ramosum)、C.セプチカム(C. septicum)、C.ソルデリ(C. sordelii)、C.スフェノイデス(C. sphenoides)、C.スピロフォルム(C. spiroforme)、C.スポロゲネス(C. sporogenes)、C.スブテルミナレ(C. subterminale)、C.シムビオサム(C. symbiosum)、C.テルチウム(C. tertium)又は破傷風菌から選択されるクロストリジウム属細菌によって引き起こされ得る。
【0038】
一実施形態において、感染を引き起こす細菌は、ウェルシェ菌ではない。
【0039】
感染は、特にC.ディフィシレによって引き起こされる感染である。
【0040】
クロストリジウム・ディフィシレによる感染は、対象にC.ディフィシレ疾患をもたらし得る。C.ディフィシレ疾患は、例えば、下痢症、大腸炎(偽膜性大腸炎を含む)又は中毒性巨大結腸症であり得る。C.ディフィシレ感染は、C.ディフィシレ関連下痢症であり得る。C.ディフィシレ感染は、C.ディフィシレ関連大腸炎、例えば、偽膜性大腸炎であり得る。C.ディフィシレ感染は、C.ディフィシレ関連膨満であり得る。C.ディフィシレ感染は、C.ディフィシレ関連腹部痛であり得る。
【0041】
対象におけるC.ディフィシレ感染は、一般に抗生物質による感染の処置の結果として生じる。感染を処置するための抗生物質の使用は、潜在的感染を引き起こす生物を死滅させる。しかしながら、抗生物質は、GI管内に存在する細菌の多くも死滅させ得る。正常な腸内菌叢の破壊は、C.ディフィシレの増殖並びに下痢症及び大腸炎を含む、感染の影響の出現をもたらし得る。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、抗生物質誘導クロストリジウム属感染、特に抗生物質誘導C.ディフィシレ感染の処置における使用のためであることであってもよい。
【0042】
抗生物質誘導クロストリジウム属感染の原因である抗生物質は、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質であることであってもよい。クロストリジウム属感染の誘導の原因である抗生物質は、クロストリジウム属感染以外の(例えば、C.ディフィシレ感染以外の)、身体における一次感染を処置するために使用される抗生物質であることであってもよい。例えば、一次感染は、皮膚感染、尿路感染、肺感染、又は骨感染であってもよい。感染の誘導の原因である抗生物質は、グラム陽性及び/又はグラム陰性生物に対して活性であり得る広域スペクトル抗生物質であってもよい。抗生物質は、クリンダマイシン、セファロスポリン(例えば、セフォタキシム及びセフタジジム)、アンピシリン、アモキシシリン及びキノロン(例えば、フルオロキノロン、任意選択でシプロフロキサキシン又はレボフロキサシン)から選択されてもよい。例えば、抗生物質誘導C.ディフィシレ感染は、限定されないが、シプロフロキサシン又はレボフロキサシンを含む、フルオロキノリン抗生物質によって引き起こされ得る。
【0043】
C.ディフィシレ感染は、一般に潜在的感染を処置するための抗生物質の前使用によって引き起こされるが、C.ディフィシレ感染はまた、抗生物質の前使用なしに生じ得る。例えば、胃の酸性度の低下は、通常は無菌の上部胃腸管のコロニー形成をもたらし得る。したがって、胃酸抑制剤、例えば、プロトンポンプ阻害剤(PPI)及びヒスタミンH2-受容体拮抗剤(H2RA)の使用は、C.ディフィシレコロニー形成及びその後のCDADの発症の危険の増加を伴い得る。PPIには、限定されないが、オメプラゾール(Losec、Prilosec、Zegerid)、ランソプラゾール(Prevacid、Zoton、Inhibitol)、エソメプラゾール(Nexium)、パントプラゾール(Protonix、Somac、Pantoloc、Pantozol、Zurcal、Pan)、及びラベプラゾール(Rabecid、Aciphex、Pariet、Rabeloc)が含まれる。H2RAには、限定されないが、シメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zinetac、Zantac)、ファモチジン(Pepcidine、Pepcid)、ロキサチジン(Roxit)及びニザチジン(Tazac、Axid)が含まれる。ハロゲン化サリチルアニリドは、胃酸抑制剤によって誘導されたクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の処置における使用のためであることであってもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、胃酸抑制剤、例えば、PPIで処置されているか、又は処置された対象におけるクロストリジウム属感染を処置することにおける使用のためであることであってもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、H2RAで処置された対象におけるクロストリジウム属感染を処置することにおける使用のためであってもよい。
【0044】
C.ディフィシレ感染関連疾患はまた、特に対象がある特定のC.ディフィシレ株に感染している場合、例えば、高レベルの毒素A、毒素B及び他の毒素を産生するNAP1/027/B株によって引き起こされる感染を自然的に生じ得る。
【0045】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クロストリジム属感染、例えば、C.ディフィシレ感染の第一選択処置として使用されてもよい。「第一選択」処置によって、クロストリジウム属感染の第1の処置が意味される。第一選択処置において、クロストリジウム属感染は、クロストリジウム属感染に対して活性な抗生物質、例えば、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン又はリファマイシン、例えば、リファキシミンで処置されていない。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、クロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の処置における使用のためであることであってもよく、ここで、感染は、対象へのハロゲン化サリチルアニリドの投与前に抗生物質で処置されていない。
【0046】
ハロゲン化サリチルアニリドは、再発クロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)、例えば、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質(又は他の作用剤)での対象の前の処置の後に再発したクロストリジウム属感染を処置するために使用されてもよい。例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン及びリファマイシン、例えば、リファキシミンから選択される抗生物質での対象の前の処置の後に対象において再発したクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)を処置するために使用されてもよい。適切には、抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びフィダキソマイシンから選択される。
【0047】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質(又は他の作用剤)での処置に難治性である(例えば、非応答性)であるクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)を処置するために使用されてもよい。例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、対象における難治性クロストリジム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)を処置するために使用されてもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、ハロゲン化サリチルアニリド以外の前の抗生物質処置に難治性であるクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ)の処置における使用のためであってもよい。例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、対象におけるC.ディフィシレを処置するために使用されてもよく、ここで、C.ディフィシレは、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン及びリファマイシン、例えば、リファキシミンから選択される抗生物質での対象の処置に難治性である。
【0048】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クロストリジウム属感染を処置するために使用された抗生物質剤に抵抗性であるクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)を処置するために使用されることであってもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質剤に抵抗性であるクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の処置における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0049】
クロストリジウム属(例えば、C.ディフィシレ)は、2016年5月27日より前に米国FDA又は欧州薬品庁(European Medicines Agency)により承認された抗生物質剤、好ましくはクロストリジム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の処置における使用のために承認された抗生物質に抵抗性であることであってもよい。クロストリジウム属 (例えば、C.ディフィシレ)は、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質に抵抗性であることであってもよい。クリストリジウム属(例えば、C.ディフィシレ)は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム(例えば、β-ラクタム抗生物質)、フシダン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、グリシルサイクリン、フェニコール(例えば、クロラムフェニコール)、マクロライド、大環状化合物(例えば、フィダキソマイシン)、リファマイシン、ケトライド、リンコサミド、オキサゾリジノン(例えば、カダゾリド)、アミノシクリトール、ポリミキシン、グリコペプチド、アミノグリコシド、リポペプチド、抗マイコバクテリア薬、ニトロイミダゾール、バシトラシン、ムピロシン、プレウロムチリン、リファマイシン、スルホンアミド、及びトリメトプリムから選択される抗生物質に抵抗性であることであってもよい。
【0050】
クロストリジム属(例えば、C.ディフィシレ)は、ニトロイミダゾール、例えば、メトロニダゾール;ベンゾイミダゾール、例えば、リジニラゾール(SMT19969);グリコペプチド、例えば、バンコマイシン;大環状抗生物質、例えば、フィダキソマイシン;オキサゾリジノン、例えば、カダゾリド;リポペプチド、例えば、スルトロマイシン又はダプトマイシン;グリシルサイクリン、例えば、チゲサイクリン;DNAマイナーグルーブバインダ(例えば、MGB-BP-3) グリコリポデプシペプチド(例えば、ラモプラニン);CRS3123(メチオニル-tRNAシンテターゼ(MetRS)阻害剤、Crestone Inc);及びリファマイシン、例えば、リファキシミンから選択される抗生物質に抵抗性であることであってもよい。例えば、クロストリジウム属(例えば、C.ディフィシレ)は、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、及びリファマイシン(例えば、リファキシミン)から選択される抗生物質に抵抗性であることであってもよい。
【0051】
C.ディフィシレ感染は、任意のC.ディフィシレ株、例えば、以下のTable 1 (表1)に示されるC.ディフィシレ株であってもよく、ここで、NCTC番号は、UK National Collection of Type Culture参照番号である。
【0052】
【表1】
【0053】
C.ディフィシレ感染は、高いレベルの毒素A(腸毒素)及び/又は毒素B(細胞毒素)を産生するC.ディフィシレの株であることであってもよい。例えば、C.ディフィシレ感染は、NCTC11209(T)よりも高いレベルの毒素Aを産生するC.ディフィシレの株であることであってもよい。C.ディフィシレ感染は、NCTC11209(T)よりも高いレベルの毒素Bを産生するC.ディフィシレの株であることであってもよい。C.ディフィシレ感染は、NCTC11209(T)よりも高いレベルの毒素A及び毒素Bを産生するC.ディフィシレの株であることであってもよい。
【0054】
C.ディフィシレ感染は、毒素A(腸毒素)及び毒素B(細胞毒素)の産生並びに追加的な新規な二元毒素の産生の増加を示す強毒性BI/NAP1(リボタイプ027、NAP1/027/BI又はNCTC13366としても知られる)であってもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、NAP1/027/BI C.ディフィシレ株によって引き起こされるC.ディフィシレの処置における使用のためであってもよい。
【0055】
C.ディフィシレは、嫌気性菌であり、したがって、細菌それ自体は、一般に感染の伝播にとっての一次機構ではなく、その理由は、細菌が好気条件で生存可能でないからである。しかしながら、C.ディフィシレは、代謝的に休止状態で、非常に安定である芽胞を産生する。したがって、糞便物質中に排出された芽胞は、それらが熱並びに一般的な清浄化及び滅菌化学薬品に抵抗性であるので、根絶するのは非常に困難であり、且つ環境中に長期間存続し得る。芽胞は、C.ディフィシレ感染の伝播にとっての一次機構に相当する。C.ディフィシレのための現在の処置剤、例えば、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びリファマイシンは、C.ディフィシレに対して有効である。しかしながら、これらの化合物は、芽胞形成に対して効果は限られており、芽胞による感染の伝播の予防には有効でないことがあり得る。フィダキソマイシンは、芽胞形成の阻害においてメトロニダゾール、バンコマイシン、及びリファキシミンより優れていることが示されており、したがって、感染の伝播も阻害するその潜在性のために、C.ディフィシレ感染の「ゴールドスタンダード」処置であると現在考えられている。
【0056】
以下の実施例で例証されるとおりに、ハロゲン化サリチルアニリド(例えば、ラフォキサニド)は、C.ディフィシレ芽胞形成の有効な阻害剤である。実施例で行われた研究では、ラフォキサニドは、芽胞形成の阻害においてフィダキソマイシンよりも有効であった。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、C.ディフィシレ細菌を死滅させるとともに、C.ディフィシレ芽胞形成を阻害する有効な処置を提供することが予想される。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、初期のC.ディフィシレ感染の有効な処置を提供し、及び感染の伝播又は蔓延、例えば、コミュニティ又は病院環境での感染の蔓延の危険を予防又は最小限にすることも予想される。
【0057】
したがって、C.ディフィシレの芽胞形成の予防又は阻害における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル(例えば、ラフォキサニド)が提供される。
【0058】
C.ディフィシレ感染の伝播又は蔓延の予防又は阻害における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル(例えば、ラフォキサニド)も提供される。
【0059】
C.ディフィシレ感染の伝播又は蔓延を予防又は阻害する方法における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル(例えば、ラフォキサニド)も提供され、該方法は、C.ディフィシレ感染に罹っている対象に、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0060】
C.ディフィシレ感染に関連する一般的な問題は、初期の抗生物質処置に続いての感染の再発である。しばしば、患者は、初期の抗生物質処置に十分に反応し、症状は一時期なくなる。しかしながら、多くの患者において、感染の再発は一般的であり、初期感染よりもしばしば重症である(Louie TJら、N. Eng. J. Med 2011年;364:422〜31頁)。死亡率は、再発感染の頻度が増加するにつれて、増加する。感染の再発の一次因子は、GI管、特にC.ディフィシレ感染を以前に有していた患者の結腸に存在する芽胞であると考えられる。芽胞は、C.ディフィシレに感染していた患者の結腸に存在し、そこに休止状態で長期間存続し得る。活性化後、芽胞は、感染の再発をもたらす。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドの芽胞形成阻害特性は、C.ディフィシレに感染した患者における芽胞形成を減少させ、又は排除することによる、C.ディフィシレ感染の再発の予防又は減少に有益であることが予想される。
【0061】
したがって、C.ディフィシレ感染に罹っている対象におけるC.ディフィシレ感染の再発を予防又は阻害する方法における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル(例えば、ラフォキサニド)も提供され、該方法は、対象にハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0062】
ハロゲン化サリチルアニリド
ハロゲン化サリチルアニリドは、2-ヒドロキシ-N-フェニルベンズアミド又は2-ヒドロキシベンズアニリドとしても知られる。サリチルアニリドは、弱酸性フェノール化合物である。ハロゲン化サリチルアニリドは、少なくとも1個のハロ基で置換されたサリチルアニリドである。この化合物は、元来、局所使用のための殺真菌剤として、及び石鹸における抗細菌剤として開発された。その後、これらの化合物は、ニクロサミド、トリブロムサラン、及びクリオキサニドがそれらの中で使用される最初の作用物質の一部である、強力な駆虫活性を有することが示された。広範なハロゲン化サリチルアニリド誘導体が公知である。クロストリジウム属に対して抗細菌活性を有するハロゲン化サリチルアニリドはいずれも、本発明で使用されてもよい。例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、国際公開第2008/021088号に記載されたニクロサミド類似体のいずれであってもよく、これはそれへの参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
ハロゲン化サリチルアニリドは、式(I):
【0064】
【化1】
【0065】
(式中、
Xは、O又はSであり;
R
1及びR
2は、出現するごとに、ハロから独立して選択され;
R
3及びR
4は、出現するごとに、H、C
1〜6アルキル、-OR
A1、-NO
2及び-CNから独立して選択され;
R
5は、H又は-L
1-R
7であり;
R
6は、H又は-C(O)R
A2であり;
L
1は、結合、O、S、又は-(CR
A3R
B)
o-(ここで、oは、1又は2である)から選択され;
R
6は、非置換の、又はハロ、C
1〜4アルキル、-OR
A4、-NO
2及び-CNから選択される1、2若しくは3個の基で置換されたフェニルであり;
R
A1、R
A2、R
A3及びR
A4は、出現するごとに、H及びC
1〜4アルキルから独立して選択され;
R
Bは、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル及び-CNから選択され;
n及びpは、0、1、2、3又は4からそれぞれ独立して選択され、但し、n+pは、少なくとも1であることを条件とし;
t及びvは、0、1及び2から独立して選択される)
のハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩、若しくはエステルであってもよい。
【0066】
式(I)のハロゲン化サリチルアニリドは、式(II)のもの、又はその薬学的に許容される塩、若しくはエステルであってもよい。
【0067】
【化2】
【0068】
以下の番号付けされた段落における以下の記述は、式(I)又は式(II)の化合物に適用される。これらの記述は、独立しており、且つ交換可能である。言い換えれば、以下の記述のいずれか一つに記載される特徴のいずれも、以下の1つ又は複数の他の記述に記載される特徴と組み合わされてもよい(化学的に許される場合)。特に、化合物が本明細書で例示又は例証される場合、いかなるレベルの一般性でも表現された、その化合物の特徴を記載する以下のいずれか2つ以上の記述は、本明細書中の本発明の開示の一部を形成すると企図される主題を表すために組み合わされてもよい。
【0069】
1. Xは、Oである。
【0070】
2. R
1及びR
2は、出現するごとに、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される。
【0071】
3. R
1及びR
2は、出現するごとに、クロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される。
【0072】
4. R
1は、クロロである。
【0073】
5. R
1は、ブロモである。
【0074】
6. R
1は、ヨードである。
【0075】
7. R
2は、クロロである。
【0076】
8. R
2は、ブロモである。
【0077】
9. R
2は、ヨードである。
【0078】
10. R
3及びR
4は、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル、-OR
A1、-NO
2及び-CNから独立して選択される。
【0079】
11. R
3及びR
4は、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル、-OR
A1及び-NO
2から独立して選択される。
【0080】
12. R
3及びR
4は、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル、-OH、-OMe、-NO
2及び-CN、例えば、H、C
1〜4アルキル、-OH又は-NO
2から独立して選択される。
【0081】
13. R
5は、Hである。
【0082】
14. R
5は、-L
1-R
7である。
【0083】
15. L
1は、-O-、-CH
2-及び-CH(CN)-、例えば、-O-又は-CH(CN)-から選択される。
【0084】
16. R
7は、非置換の、又はハロ、C
1〜4アルキル及び-CNから選択される1、2、若しくは3個の基で置換されたフェニルである。
【0085】
17. R
7は、非置換の、又はハロから選択される1、2、若しくは3個の基(例えば、1又は2個の基)で置換されたフェニルである。
【0086】
18. R
7は、非置換フェニルである。
【0087】
19. L
1は、-O-及び-CH(CN)-から選択され;R
7は、非置換の、又はハロから選択される1、2、又は3個の基で置換されたフェニルである。
【0088】
20. R
6は、Hである。
【0089】
21. R
6は、-C(O)R
A2、例えば、-C(O)CH
3である。
【0090】
22. t=0又は1である。
【0091】
23. t=0である。
【0092】
24. v=0又は1である。
【0093】
25. V=0である。
【0094】
26. oは、1である。
【0095】
27. v=1であり、R
4は、-OH、C
1〜4アルキル及び-NO
2から選択される。
【0096】
28. 式(I)若しくは式(II)のいずれかの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【0097】
特定の化合物は、
Xが、Oであり;
R
1及びR
2が、出現するごとに、ハロから独立して選択され;
R
3及びR
4が、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル、-OR
A1、-NO
2及びCNから独立して選択され;
R
5が、H又は-L
1-R
7であり;
R
6が、H又は-C(O)R
A2であり;
L
1が、O及び-CH(CN)-から選択され;
R
7が、非置換の、又はハロから選択される1、2、若しくは3個の基で置換されたフェニルであり;
R
A1及びR
A2が、出現するごとに、H及びC
1〜4アルキルから独立して選択され;
n及びpが、0、1、2、3又は4からそれぞれ独立して選択され、但し、n+pは、少なくとも1であることを条件とし;
t及びvは、0、1及び2から独立して選択される、式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルである。
【0098】
ハロゲン化サリチルアニリドは、
【0099】
【化3】
【0100】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルから選択されてもよい。
【0101】
ハロゲン化サリチルアニリドは、
【0102】
【化4】
【0103】
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよい。
【0104】
ハロゲン化サリチルアニリドは、国際公開第2008/021088号中の表1から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩であってもよい。
【0105】
ハロゲン化サリチルアニリド、例えば、式(I)又は式(II)のハロゲン化サリチルアニリドは、以下の化合物:
【0106】
【化5】
【0107】
でない場合がある。
【0108】
ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン、ブロチアニド及びニクロサミド、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルからなる群から選択されてもよい。
【0109】
ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、ジブロムサラン、トリブロムサラン及びニクロサミド、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルからなる群から選択されてもよい。
【0110】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド、トリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルからなる群から選択されてもよい。
【0111】
ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン、ブロチアニド及びニクロサミド、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0112】
ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン及びニクロサミド、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0113】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ニクロサミド、クリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド及びトリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0114】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド及びトリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0115】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ラフォキサニド、オキシクロザニド及びクリオキサニド、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0116】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニド、クロサンテル、ラフォキサニド及びトリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されてもよい。
【0117】
ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン、ブロチアニド及びニクロサミドからなる群から選択されてもよい。
【0118】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ニクロサミド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、ニクロサミド又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、ニクロサミドである。
【0119】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニド又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、クリオキサニドである。
【0120】
ハロゲン化サリチルアニリドは、クロサンテル、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、クロサンテル又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、クロサンテルである。
【0121】
ハロゲン化サリチルアニリドは、オキシクロザニド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、オキシクロザニド又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、オキシクロザニドである。
【0122】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ラフォキサニド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、ラフォキサニド又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、ラフォキサニドである。
【0123】
ハロゲン化サリチルアニリドは、トリブロムサラン、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、トリブロムサラン又はその薬学的に許容される塩であり、適切には、特にハロゲン化サリチルアニリドは、トリブロムサランである。
【0124】
本出願のこの節又は別に記載されるハロゲン化サリチルアニリドのいずれも、本明細書に記載される処置のいずれにおいて使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0125】
ハロゲン化サリチルアニリドは、任意の適切な経路、例えば、非経口的に(例えば、静脈内、筋内又は皮下投与)、粘膜投与(例えば、経口又は直腸投与)を使用して対象に投与されてもよい。適切には、ハロゲン化サリチルアニリドは、経口的に又は直腸的に投与される。より特には、ハロゲン化サリチルアニリドは、経口的に投与される。
【0126】
記載される処置のいずれかにおける対象又は患者は、適切にはヒト又は動物、例えば、温血動物である。特には、対象は、ヒトである。対象は、65歳以上のヒトであってもよい。対象は、動物、例えば、哺乳動物であってもよい。特に、ハロゲン化サリチルアニリドは、商業的動物、例えば、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、ブタ、ガチョウ、アヒル、ヤギ等)におけるクロストリジウム属感染の処置における使用のためであってもよい。代わりに、ハロゲン化サリチルアニリドは、コンパニオンアニマル、例えば、ネコ、イヌ、ウマ等を処置するために使用され得る。C.ディフィシレに感染した動物の処置は、ヒト又は他の動物への動物糞便物質を介しての感染の蔓延を予防するために特に有効であり得る。
【0127】
クロストリジウム属細菌によって引き起こされる対象における感染の処置のための薬剤の製造のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルの使用も提供される。
【0128】
対象におけるクロストリジウム属細菌により引き起こされる感染を処置する方法であって、前記対象に治療有効量のハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法も提供される。
【0129】
上記2つの段落の使用及び方法は、本明細書に記載される感染、ハロゲン化サリチルアニリド、及び投与の経路のいずれにも適用可能であることが理解されるべきである。
【0130】
本発明のいずれか一つの特定の態様の好ましい、適切な、及び任意選択の特徴は、いずれか他の態様の好ましい、適切な、及び任意選択の特徴でもある。
【発明を実施するための形態】
【0132】
定義
特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下に提示される以下の意味を有する。
【0133】
「処置すること(treating)」又は「処置(treatment)」への言及は、予防に加えて、病状の確立された症状の軽減を含むことが認識されるべきである。したがって、状態、障害又は病状の「処置すること」又は「処置」は、(1)状態、障害又は病状に悩まされているか、又は罹りやすくあり得るが、状態、障害又は病状の臨床的又は亜臨床的な症状をまだ経験し又は示さない、対象、例えば、ヒトにおいて発症する状態、障害又は病状の臨床的症状の出現を予防し又は遅延させること、(2)状態、障害又は病状を阻止する、すなわち、疾患若しくはその再発の進行(維持療法の場合)、又は少なくとも1つのその臨床的若しくは亜臨床的症状の進行を停止させ、減少させ、又は遅延させること、或いは(3)疾患を緩和し又は減弱させる、すなわち、状態、障害若しくは病状、又は少なくとも1つのその臨床的若しくは亜臨床的症状の退行を引き起こすこと、を含む。したがって、クロストリジウム属細菌によって引き起こされる感染を処置する文脈において、
(i)クロストリジウム属種、特にクロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる疾患の予防;
(ii)クロストリジウム属種、特にクロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる疾患の抑制;
(iii)クロストリジウム属種、特にクロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる疾患の症状の緩和;
(iv)身体上又は身体内の領域からの、クロストリジウム属種、特にクロストリジウム・ディフィシレによる無症候性コロニー形成の根絶;
(v)クロストリジウム・ディフィシレ症候性感染の根絶;
(vi)疾患に冒されていない領域-例えば、腸管におけるよりも、感染の確立をより容易に可能にし得る別の疾患により冒された身体の領域からの、クロストリジウム属種、特にクロストリジウム・ディフィシレの根絶;
(vii) 疾患に冒されていない領域におけるよりも、感染の確立をより容易に可能にし得る別の非感染性疾患により冒された身体の領域からの、クロストリジウム属感染、特にクロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる疾患の抑制;
(viii)クロストリジウム属感染、特にクロストリジウム・ディフィシレの伝播又は蔓延の危険の予防又は低減;又は
(ix)クロストリジウム属感染、特にクロストリジウム・ディフィシレの再発の危険の予防又は低減
が含まれる。
【0134】
「治療有効量」は、疾患を処置するために対象、例えば、ヒトに投与される場合、疾患のためのこのような処置を有効にするのに十分である、化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度、並びに処置される対象の年齢、体重等に依存して変わる。
【0135】
最小発育阻止濃度(MIC)は、一晩のインキュベーション後の微生物の目視できる生育を阻止する、抗細菌剤の最低濃度である。最小阻止濃度は、抗微生物剤への微生物の抵抗性を確認するために、及びまた新しい抗微生物剤の活性をモニターするために診断実験室において重要である。MICは、一般に生物に対する抗微生物剤の活性の最も基本的な実験室測定値とみなされる。
【0136】
毒素、放射線、又は病原体の半数致死量、LD50(「致死量、50%」の略)は、特定の試験期間後に試験集団のメンバーの半分を死滅させるのに必要な用量である。LD50の数字は、物質の急性毒性の一般的指標として頻繁に使用される。
【0137】
治療指数(治療可能比)は、MICとして測定された治療効果を引き起こす治療剤の、LD50として測定される動物研究で死を引き起こす量に対する量と定義される。
【0138】
抵抗性発生率は、所与濃度の抗生物質に抵抗することができる細菌の集団における自然突然変異体の頻度として定量化される。例えば、抵抗性発生率は、平均で10
9個細胞中1個の細胞が、Dragoら、Journal of Antimicrobial Chemotherapy、2005年、56(2)、353〜359頁に記載された方法を使用して37℃で48時間インキュベートされた1×MICに相当する抗生物質の濃度を生き残ることができる場合、10
-9であり得る。
【0139】
微生物学において、コロニー形成単位(CFU)は、試料中の生存可能な(viable)細菌又は真菌細胞の数の推定値である。生存可能は、制御された条件下で二分裂によって繁殖する能力と定義される。
【0140】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、周期律表の第17族のハロゲンの一つを指す。特にこの用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0141】
用語C
m〜C
nは、m〜nの炭素原子を有する基を指す。
【0142】
用語「C
1〜C
6アルキル」は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルを指す。「C
1〜C
4アルキル」は同様に、4個までの炭素原子を有するこのような基を指す。
【0143】
用語「任意選択で置換された」は、置換されている基、構造、又は分子のいずれか、及び置換されていないそれらのものを指す。
【0144】
任意選択の置換基が「1個又は複数」の基から選択される場合、それは、この定義が、特定の基の1個から選択される置換基のすべて、又は特定の基の2個以上から選択される置換基を含むことと理解されるべきである。
【0145】
部分が置換されている場合、それは、化学的に可能で、且つ原子価要件と一致する部分でのいずれの点で置換されていてもよい。その部分は、1個又は複数の置換基、例えば、1、2、3又は4個の置換基で置換されていてもよく;任意選択で、基上に1又は2個の置換基がある。2個以上の置換基がある場合、置換基は同じでも、異なっていてもよい。
【0146】
置換基は、それらが化学的に可能である位置でのみ存在し、当業者は、どの置換基が化学的に可能であるか、そうでないかを過度の努力なしに(実験的に又は理論的に)決定することができる。
【0147】
本明細書の記載及び特許請求の範囲の全体を通して、語「含む(comprise)」及び「含む(contain)」並びにそれらの変形は、「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味し、それらは、他の部分、付加物、構成要素、完全体又はステップを排除することは意図されない(そしてそれらを排除しない)。本明細書の記載及び特許請求の範囲の全体を通して、単数形は、文脈が別に必要としない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈が別に必要としない限り、単数同様に複数を企図すると理解されるべきである。
【0148】
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例とともに記載される特徴、完全体、特質、化合物、化学的部分又は基は、それらと矛盾しない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であることが理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面のいずれをも含む)に開示される特徴のすべて、及び/又はそのように開示される方法若しくはプロセスのいずれかのステップのすべては、このような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本発明は、いずれの前述の実施形態の詳細にも制限されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面のいずれをも含む)に開示される特徴の任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせに、又はそのように開示される方法若しくはプロセスのいずれかのステップの任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせにまで及ぶ。
【0149】
読者の注意は、本出願と関連して本明細書と同時に又はそれより前に申請されており、且つ本明細書とともに公衆の縦覧に開かれている書類及び文書のすべてに対して向けられ、すべてのこのような書類及び文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
本発明の任意の化合物の適切な又は好ましい特徴はまた、任意の他の態様の適切な特徴であってもよい。
【0151】
本発明は、本発明のハロゲン化サリチルアニリド化合物の薬学的に許容される塩を企図する。これらには、本化合物の酸付加塩及び塩基付加塩が含まれてもよい。これらは、本化合物の酸付加塩及び塩基付加塩であってもよい。適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。適切な塩基付加塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0152】
ハロゲン化サリチルアニリド化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、以下の方法の1つ又は複数によって:
(i)本発明の化合物を所望の酸又は塩基と反応させることによって;又は
(ii)適切な酸若しくは塩基との反応によって又は適切なイオン交換カラムによって本発明の化合物の一つの塩を別の塩に変換することによって
調製されてもよい。
【0153】
これらの方法は、典型的には溶液中で行われる。得られた塩は、析出し、濾過により収集されてもよく、又は溶媒の蒸発によって回収されてもよい。得られた塩におけるイオン化の程度は、完全イオン化からほとんど非イオン化まで変わり得る。
【0154】
同じ分子式を有するが、性質又はそれらの原子の結合の配列若しくは空間でのそれらの原子の配置で異なる化合物は、「異性体」と称される。空間でのそれらの原子の配置で異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いの鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と称され、重ね合わすことができない互いの鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」と称される。化合物が不斉中心を有する、例えば、それが4つの異なる基に結合されている場合、一対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、カーン及びプレローグのR-及びS-順位則によって、又は分子が偏光面を回転させ、右旋性若しくは左旋性として(すなわち、それぞれ、(+)-又は(-)-異性体として)指定される仕方によって記述される。キラル化合物は、個別のエナンチオマーとして又はそれらの混合物としてのいずれかで存在し得る。等しい割合のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。本発明の化合物が2つ以上の立体中心を有する場合、(R)及び(S)立体異性体の任意の組み合わせが企図される。(R)及び(S)立体異性体の組み合わせは、ジアステレオマー混合物又は単一ジアステレオ異性体をもたらす。本発明の化合物は、単一立体異性体として存在してもよく、又は立体異性体の混合物、例えば、ラセミ混合物及び他のエナンチオマー混合物、並びにジアステレオマー混合物であってもよい。混合物がエナンチオマーの混合物である場合、エナンチオマー過剰は、上に開示されたもののいずれであってもよい。本化合物が単一立体異性体である場合、本化合物は、不純物として他のジアステレオ異性体又はエンナチオマーをなお含んでもよい。したがって、単一立体異性体は、必ずしも100%のエナンチオマー過剰(e.e.)又はジアステレオマー過剰(d.e.)を有するとは限らないが、約少なくとも85%のe.e.又はd.e.を有することができる。
【0155】
本発明の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を有してもよく;したがって、このような化合物は、個別の(R)-若しくは(S)-立体異性体又はそれらの混合物として生成され得る。特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の記述又は命名は、個別のエナンチオマーと、それらの混合物、ラセミ体又はそうでないものとの両方を含むことが意図される。例えば、光学活性出発材料からの合成によるか、又はラセミ体の分割による、立体化学の決定及び立体異性体の分離のための方法は当技術分野で周知である(「Advanced Organic Chemistry」、第4版、J.March、John Wiley and Sons、New York、2001年の第4章における検討を参照されたい)。本発明の化合物の一部は、幾何異性中心を有してもよい(E-及びZ-異性体)。本発明は、クロストリジウム属細菌、例えば、C.ディフィシレに対して活性を有する、光学異性体、ジアステレオ異性体及び幾何異性体並びにそれらの混合物をすべて包含することが理解されるべきである。
【0156】
本発明のある特定の化合物、又はその塩若しくはエステルが、非溶媒和形態のみならず、溶媒和形態、例えば、水和形態等で存在してもよいことも理解されるべきである。本発明は、クロストリジウム属細菌、例えば、C.ディフィシレに対して活性を有するような溶媒和形態をすべて包含することが理解されるべきである。
【0157】
本発明のハロゲン化サリチルアニリドは、多形を示してもよいこと、及び本発明は、クロストリジウム属細菌、例えば、C.ディフィシレに対して活性を有するような形態をすべて包含することも理解されるべきである。
【0158】
ハロゲン化サリチルアニリドは、本化合物の適切な薬学的に許容されるプロドラッグの形態で使用されてもよいこと、及びこのようなプロドラッグは、本発明によって包含されることが意図されることが更に理解されるべきである。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、ヒト又は動物の体内で分解されて本発明の化合物を放出する化合物である、プロドラッグの形態で投与されてもよい。プロドラッグは、本発明の化合物の物理的特性及び/又は薬物動態特性を変えるために使用されてもよい。プロドラッグは、特性改変基がそれに結合され得る適切な基又は置換基を本発明の化合物が有する場合、形成され得る。プロドラッグの例には、化合物中のヒドロキシ基において形成され得るインビボで切断可能なエステル誘導体が含まれる。
【0159】
したがって、本発明は、有機合成により利用可能にされる場合及びそのプロドラッグの切断によってヒト又は動物の身体内で利用可能にされる場合に、以上で定義されたとおりのハロゲン化サリチルアニリドを含む。したがって、本発明は、有機合成手段によって生成されるハロゲン化サリチルアニリド化合物、及びまた前駆体化合物の代謝によってヒト又は動物の身体内で産生されるような化合物を含み、すなわち、ハロゲン化サリチルアニリドは、合成的に生成された化合物又は代謝的に産生された化合物であってもよい。
【0160】
ハロゲン化サリチルアニリド化合物の適切な薬学的に許容されるプロドラッグは、望ましくない薬理学的活性及び過度の毒性なしにヒト又は動物の身体への投与に適しているとの妥当な医学的判断に基づくものである。
【0161】
プロドラッグの様々な形態が、例えば、以下の文書に記載されている:
a) Methods in Enzymology、第42巻、309〜396頁、K.Widderら編(Academic Press、1985年);
b) Design of Pro-drugs、H.Bundgaard編(Elsevier、1985年);
c) A Textbook of Drug Design and Development、Krogsgaard-Larsen編及びH.Bundgaard、H.Bundgaardによる第5章「Design and Application of Pro-drugs」、113〜191頁(1991年);
d) H.Bundgaard、Advanced Drug Delivery Reviews、8、1〜38頁(1992年);
e) H.Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences、77、285頁(1988年);
f) N.Kakeyaら、Chem. Pharm. Bull.、32、692頁(1984年);
g) T.Higuchi及びV.Stella、「Pro-Drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S. Symposium Series、第14巻;並びに
h) E.Roche(編集者)、「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987年。
【0162】
ハロゲン化サリチルアニリドは、本化合物、例えば、そのインビボで切断可能なエステルのプロドラッグの形態で使用されてもよい。化合物のインビボで切断可能なエステルは、例えば、ヒト又は動物の身体内で切断されて親化合物を生成する薬学的に許容されるエステルであってもよい。
【0163】
ヒドロキシ基を有するハロゲン化サリチルアニリドの適切な薬学的に許容されるプロドラッグは、例えば、そのインビボで切断可能なエステル又はエーテルである。ヒドロキシ基を有する化合物のインビボで切断可能なエステル又はエーテルは、例えば、ヒト又は動物の身体内で切断されて、親ヒドロキシ化合物を生成する薬学的に許容されるエステル又はエーテルである。ヒドロキシ基に対する適切な薬学的に許容されるエステル形成基には、無機エステル、例えば、リン酸エステル(ホスホロアミド酸環状エステルを含む)が含まれる。ヒドロキシ基に対するさらなる適切な薬学的に許容されるエステル形成基には、C
1〜10アルカノイル基、例えば、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル並びに置換ベンゾイル及びフェニルアセチル基、C
1〜10アルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、N,N-(C
1〜6)
2カルバモイル、2-ジアルキルアミノアセチル及び2-カルボキシアセチル基が含まれる。フェニルアセチル及びベンゾイル基上の環置換基の例には、アミノメチル、N-アルキルアミノメチル、N,N-ジアルキルアミノメチル、モルホリノメチル、ピペラジン-1-イルメチル及び4-(C
1〜4アルキル)ピペラジン-1-イルメチルが含まれる。ヒドロキシ基に対する適切な薬学的に許容されるエーテル形成基には、α-アシルオキシアルキル基、例えば、アセトキシメチル及びピバロイルオキシメチル基が含まれる。したがって、化合物の「薬学的に許容されるエステル」への言及は、上に記載されたエステルを包含する。
【0164】
ハロゲン化サリチルアニリド
本発明で使用されるハロゲン化サリチルアニリドは、本明細書に記載されるハロゲン化サリチルアニリド、若しくはその薬学的に許容される塩、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれで、又はそれらのいずれのプロドラッグであってもよい。
【0165】
特定のハロゲン化サリチルアニリドには、本明細書に記載されるとおりの式(I)及び式(II)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0166】
より特には、ハロゲン化サリチルアニリドは、テトラクロロサリチルアニリド、クロサンテル、ラフォキサニド、オキシクロザニド、レソランテル、クリオキサニド、ジブロムサラン、トリブロムサラン及びニクロサミドからなる群から選択される。
【0167】
ニクロサミド
本発明の一実施形態において、ハロゲン化サリチルアニリドは、ニクロサミド、又はその薬学的に許容される塩である。ニクロサミド(2',5-ジクロロ-4'-ニトロサリチルアニリド)は、以下の急性毒性を示す:
LD
50、マウス、p.o.、>5000mg/kg
LD
50、ラット、p.o.、5000mg/kg
LD
50、ラット、皮膚、2000mg/kg
LD
50、ウサギ、p.o.、5000mg/kg
LD
50、ネコ、p.o.、>1000mg/kg
【0168】
したがって、ニクロサミドは低毒性を示す。この化合物は、水に溶解しにくく、低い腸吸収を示す。血流中で直ぐに、ニクロサミドは、尿路を経て、又は肝臓内の酵素的代謝によって急速に除去される。
【0169】
ニクロサミド誘導体
いくつかのニクロサミド類似体は、本明細書に記載されるクロストリジウム属感染の処置においてニクロサミドと同様な方式で作用すると考えられる。例証的なニクロサミド類似体には、限定されないが、クロサンテル(CAS番号:57808-65-8)、オキシクロザニド(CAS番号:2277-92-1)、ラフォキサニド(CAS番号:22662-39-1)、クリオキサニド(CAS番号:14437-41-3)が含まれる。他の適切なニクロサミド類似体には、ブロチアニド(CAS番号:23233-88-7)、4'-クロロ-3-ニトロサリチルアニリド、4'-クロロ-5-ニトロサリチルアニリド、2'-クロロ-5'-メトキシ-3-ニトロサリチルアニリド、2'-メトキシ-3,4'-ジニトロサリチルアニリド、2',4'-ジメチル-3-ニトロサリチルアニリド、2'-クロロ-3,4'-ジニトロサリチルアニリド、2'-エチル-3-ニトロサリチルアニリド及び2'-ブロモ-3-ニトロサリチルアニリド;又はそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。さらなるニクロサミド誘導体には、国際公開第2008/021088号に記載されたもの、特にその中の表1に記載されたものが含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
特定のニクロサミド類似体には、クロサンテル、ラフォキサニド及びオキシクロザニドが含まれる。これらの化合物は、本明細書に記載される使用のための適切な毒性プロファイルを有することが予想される。
【0171】
クロサンテルの急性毒性:
LD
50、ラット、p.o.、262〜342mg/kg(本研究に依存する)、メジアン302mg/kg
LD
50、ラット、s.c.、67mg/kg
LD
50、マウス、p.o.、331mg/kg
LD
50、マウス、i.m.、57mg/kg
【0172】
ラフォキサニドの急性毒性:
LD
50、ラット、p.o.、980〜>2000mg/kg(本研究に依存する)、メジアン>1490mg/kg
LD
50、マウス、p.o.、232〜300mg/kg(本研究に依存する)、メジアン266mg/kg
LD
50、ウサギ、p.o.、3200mg/kg
【0173】
オキシクロザニドの急性毒性:
LD
50、ラット、p.o.、980〜3519mg/kg(本研究に依存する)、メジアン2250mg/kg
LD
50、マウス、p.o.、300mg/kg
LD
50、ウサギ、p.o.、3200mg/kg
【0174】
臭素化ハロゲン化サリチルアニリド
別の実施形態において、ハロゲン化サリチルアニリドは、臭素化ハロゲン化サリチルアニリド、例えば、4',5-ジブロモサリチルアニリド(ジブロムサランとしても知られる);3,5-ジブロモサリチルアニリド(メタブロムサランとしても知られる);及び3,4',5-トリブロモサリチルアニリド(トリブロムサランとしても知られる)である。
【0175】
合成
本明細書に記載されるハロゲン化サリチルアニリドは、公知であるか、又は公知の方法、例えば、国際公開第2004/006906号に記載されたものと類似の方法を使用して合成され得る。本明細書における式(I)の化合物は、式(III)のアミンを式(IV)の酸とカップリングさせることによって調製されてもよい:
【0177】
必要な出発材料は、公知であるか、又は有機化学の標準的な手順を使用して調製され得る。
【0178】
医薬組成物
ハロゲン化サリチルアニリドは、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル、及び薬学的に許与される賦形剤を含む医薬組成物の形態で、対象に投与されてもよい。
【0179】
適切な医薬製剤の選択及び調製のための慣用手順は、例えば、「Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs」、M.E.Aulton、Churchill Livingstone、1988年に記載されている。
【0180】
組成物は、経口使用に適する(例えば、錠剤、トローチ剤、硬質又は軟質カプセル剤、水性又は油性懸濁液剤、乳剤、分散性散財又は顆粒剤、シロップ剤又はエルキシル剤としての)、局所使用に適する(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、又は水性若しくは油性溶液剤若しくは懸濁液剤としての)、吸入による投与に適する(例えば、微粉化散剤若しくは液体エアロゾルとしての)、通気による投与に適する(例えば、微粉化散剤としての)、又は非経口投与に適する(例えば、静脈内、皮下、筋内若しくは腹腔内投与のための滅菌水性若しくは油性溶液剤として、又は直腸投与のための坐剤としての)形態であってもよい。適切には、組成物は、経口投与に適する形態である。
【0181】
組成物は、当技術分野で周知の慣用の医薬賦形剤を使用して慣用手順によって得られてもよい。したがって、経口使用が意図された組成物は、例えば、1種又は複数の着色剤、甘味剤、香味剤及び/又は保存剤を含んでもよい。
【0182】
投与量
単一の剤形を生成するために1種又は複数の賦形剤と組み合わされる活性成分の量は、処置される対象及び特定の投与経路に応じて必然的に変わる。例えば、ヒトへの経口投与が意図された錠剤又はカプセル剤等の単位用量での製剤は、一般に、全組成物の約5〜約98重量パーセントまで変わってもよい、適切で都合のよい量の賦形剤と一緒に配合された、例えば、0.1mg〜5mg、例えば、0.5mg〜5g、0.5〜1000mg又は10〜500mgのハロゲン化サリチルアニリドを含む。
【0183】
本明細書に記載されるクロストリジウム属感染の処置のためのハロゲン化サリチルアニリドの用量の大きさは、当然ながら、医学の周知の原理に従って、病状の性質及び重症度、動物又は患者の年齢及び性別、並びに投与経路に応じて変わる。
【0184】
ハロゲン化サリチルアニリドは、一般に、約0.001〜約75mg/kg、例えば、約0.013〜約66.7mg/kg、約0.5〜約30mg/kg又は約2.5〜約30mg/kgの用量で投与される。ハロゲン化サリチルアニリドは、対象にこれらの投与量の範囲内で1日当たり1〜4回投与されてもよい。投与量は、いずれの適切な経路によって、例えば、非経口的に、経口的に又は直腸的に投与されてもよい。一般に本明細書に記載されるハロゲン化サリチルアニリドの使用のすべてに適用可能である特定の投与経路は、対象へのハロゲン化サリチルアニリドの経口投与である。
【0185】
対象を処置するために使用される特定の投与量レジメンは、容易に決定され得るいくつかの因子、例えば、病状の重症度、及び初期の処置へのその反応性に依存するが、通常は継続的に1日当たり1回又は複数の投与を伴う。本発明の医薬組成物の有効投与量は、製剤、投与経路、ヒト若しくは動物の年齢、体重及び性別によって、又はクロストリジム属種、特に、クロストリジウム・ディフィシレ感染に罹っているヒト若しくは動物の腸管にコロニーを形成し若しくは感染するクロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる疾患によって変わる。
【0186】
治療上の使用
以上に記載されたとおりに、ハロゲン化サリチルアニリドは、クロストリジウム属細菌、特にC.ディフィシレによって引き起こされる感染の処置のために使用される。ハロゲン化サリチルアニリドは、対象からの感染を死滅させ又は根絶するように作用し、したがって、殺細菌効果を与え得る。代わりに、ハロゲン化サリチルアニリドは、細菌の生育又は複製を阻害し、したがって、静菌効果を生じさせ得る。本発明の文脈において、病状の処置は、対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト又は動物、しかし、特にはヒトにおける、感染性又は非感染性病状のいずれかの、治療的及び予防的処置の両方を包含する。それは、病状の完全な若しくは部分的根絶、関連症状の除去若しくは改善、病状のその後の進行の停止、及び/又は病状のその後の出現の予防、若しくは危険の減少を伴い得る。
【0187】
一般に、ハロゲン化サリチルアニリドは、クロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の症状を経験している対象に投与される。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、C.ディフィシレ関連疾患の処置における使用のためであってもよく、例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、下痢症及び大腸炎(偽膜性大腸炎を含む)から選択されるC.ディフィシレ関連疾患の処置における使用のためであってもよい。
【0188】
代わりの実施形態において、ハロゲン化サリチルアニリドは、無症候性である対象におけるC.ディフィシレの処置における使用のためである。このような使用は、C.ディフィシレ関連疾患を発症する危険にある対象におけるC.ディフィシレ感染を根絶又は阻害するために有用であり得る。このような対象には、例えば、予防的抗生物質が投与され得る外科手術(例えば、ある特定の整形外科手術)を必要とする対象が含まれる。さらなる抗生物質の投与前にC.ディフィシレ感染を根絶することによって、抗生物質誘導下痢症の危険は低減され得る。
【0189】
以前に抗生物質誘導C.ディフィシレ感染を患っている対象は、それらが将来抗生物質を投与される場合、C.ディフィシレ感染を発症する特定の危険にあり得る。したがって、別の実施形態において、ハロゲン化サリチルアニリドは、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質の投与前の対象の処置における使用のためであり、ここで、患者はハロゲン化サリチルアニリドの投与前にC.ディフィシレ感染について無症候性であり、且つ対象は、以前に抗生物質誘導C.ディフィシレ感染を患っている。
【0190】
クロストリジウム属感染が抗生物質誘導クロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)である場合、誘導感染を引き起こす抗生物質のさらなる投与は適切に休止される。代わりに、抗生物質の投与量が、減少又は徐々に漸減されて、抗生物質誘導クロストリジウム属感染を悪化させる危険を低減させてもよい。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、対象における一次感染を処置するために使用されている別の抗生物質と同時に、対象に投与されてもよい。例えば、ハロゲン化サリチルアニリドは、C.ディフィシレ感染以外の一次感染を処置するために使用されている抗生物質と同時に、対象に投与されることであってもよい。一次感染を処置するために使用される抗生物質は、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム(例えば、β-ラクタム抗生物質)、フシダン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、グリシルサイクリン、フェニコール(例えば、クロラムフェニコール)、マクロライド、大環状化合物(例えば、フィダキソマイシン)、リファマイシン、ケトライド、リンコサミド、オキサゾリジノン、アミノシクリトール、ポリミキシン、グリコペプチド、アミノグリコシド、リポペプチド、抗マイコバクテリア薬、ニトロイミダゾール、バシトラシン、ムピリシン、プレウロムチリン、リファマイシン、スルホンアミド及びトリメトプリム、又はそれらの2種以上の組み合わせから選択される1種又は複数の抗生物質であってもよい。しかしながら、好ましくは、ハロゲン化サリチルアニリドは、単独で、又は誘導クロストリジウム属感染の原因である抗生物質の減少又は漸減用量とともに使用される。より好ましくは、ハロゲン化サリチルアニリドは、いずれの他の抗生物質も非存在下で対象に投与される。
【0191】
一実施形態において、ハロゲン化サリチルアニリドは、本明細書に記載されるクロストリジウム属感染(特にC.ディフィシレ感染)の処置のいずれにおいても別の治療剤と同時に対象に投与される。他の治療剤は、例えば、C.ディフィシレに対して活性な抗生物質、微生物叢治療剤若しくは糞便移植、又は例えば、C.ディフィシレのためのワクチン若しくは抗体治療であってもよい。
【0192】
したがって、ハロゲン化サリチルアニリドは、ハロゲン化サリチルアニリドそれ自体以外の、クロストリジウム属感染、特にC.ディフィシレ感染に対して活性な別の抗生物質と同時に対象に投与されることであってもよい。このような抗生物質の例には、ニトロイミダゾール、例えば、メトロニダゾール; ベンゾイミダゾール、例えば、リジニラゾール(SMT19969);グリコペプチド、例えば、バンコマイシン;大環状抗生物質、例えば、フィダキソマイシン;オキサゾリジノン、例えば、カダゾリド;リポペプチド、例えば、スルトロマイシン又はダプトマイシン;グリシルサイクリン、例えば、チゲサイクリン;DNAマイナーグルーブバインダ(例えば、MGB-BP-3) グリコリポデプシペプチド(例えば、ラモプラニン);CRS3123(メチオニル-tRNAシンターゼ(MetRS)阻害剤、Crestone Inc);及びリファマイシン、例えば、リファキシミン、又はそれらの2種以上の組み合わせが含まれる。ハロゲン化サリチルアニリドは、メトロニダゾールと同時に(例えば、静脈内メトロニダゾールと同時に)投与されることであってもよい。
【0193】
ハロゲン化サリチルアニリドは、ワクチンと同時に、例えば、C.ディフィシレ毒素に対して免疫反応を誘導するワクチン、例えば、毒素A及び毒素B(例えば、ACAM-CDIFF、Sanofi)、又はVLA84(毒素A及び毒素Bの細胞結合ドメインを含む融合タンパク質、Valneva)、又はC.ディフィシレ感染を予防するワクチン、例えば、PF06425090(Pfizer)と同時に対象に投与されることであってもよい。
【0194】
ハロゲン化サリチルアニリドは、抗体治療剤、例えば、アクトクスマブ若しくはベズロトクスマブ又はそれらの組み合わせと同時に対象に投与されることであってもよい。
【0195】
ハロゲン化サリチルアニリドは、糞便移植又は微生物叢治療剤と同時に、例えば、糞便移植片、非毒素産生性C.ディフィシレ株(例えば、VP-20621)由来の芽胞;微生物叢生物(例えば、SER-109)由来の芽胞、細菌叢懸濁液(例えば、RBX2660)、プロバイオティック(例えば、ラクトバシラス・ロイテリ(lactobacillus reuteri))又はβ-ラクタマーゼ、例えば、SYN-004と同時に対象に投与されることであってもよい。
【0196】
本明細書での「同時に」投与への言及は、他の治療と一緒のハロゲン化サリチルアニリドの別個の、同時又は別個投与を含む。ハロゲン化サリチルアニリドは、同じ又は異なる投与経路(例えば、経口的に、静脈内に、皮下に、又は直腸に)によって対象に投与されてもよい。ハロゲン化サリチルアニリド及び他の治療は、組み合わせ調製物として投与されてもよいが;しかしながら、一般にそれらは、別個の剤形として投与されて、それぞれの用量及び投与レジメンがそれに応じて合わせられることを可能にする。
【0197】
対象におけるクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の存在は、慣用方法を使用して診断されてもよく、例えば、感染は、C.ディフィシレ関連疾患の症状を示す対象から疑われてもよい。感染はまた、公知の方法、例えば、
・白血球増加症の存在を試験するための全血算
・重度の疾患を伴い得る低アルブミン血症を検査するためのアルブミン値の測定
・重度の疾患の徴候であり得る、血清乳酸値上昇(≧5ミリモル/L)の試験
・検便。糞便は、重度の大腸炎における血液について陽性であり得る。糞便白血球は、症例の約半分に存在する
を使用して、診断されてもよい。
【0198】
C.ディフィシレの糞便アッセイはまた、以下を含めて使用されてもよい:
・糞便培養:これは感受性試験である。しかしながら、その結果は、遅く、診断における遅延をもたらし得る。
・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素免疫アッセイ(EIA):これは非常に感受性の試験であり、C.ディフィシレによって産生されるグルタミン酸デヒドロゲナーゼの存在を検出する。
・実時間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ:この試験は、糞便培養に対する代替の「ゴールドスタンダード」である。このアッセイは、C.ディフィシレ遺伝子毒素を検出するために使用されてもよい。
・C.ディフィシレによって産生される毒素A及び毒素Bを検出するためのEIA。
【0199】
画像化研究及び手順が、対象における感染を検出するために使用されてもよい。適切な方法には、腹部コンピュータ断層撮影(CT)走査が含まれる。この方法は、偽膜性大腸炎又はCDIの他の合併症が疑われる場合に特に適切である。疑われた巨大結腸症による敗血症の対象において、腹部放射線療法が、CT操作の代わりに行われて、巨大結腸症の存在を確立してもよい。
【0200】
本明細書に記載されるとおりのクロストリジウム属感染(例えば、C.ディフィシレ感染)の処置のためのハロゲン化サリチルアニリドの使用は、慣用処置剤、例えば、バンコマイシン、メトロニダゾール又はフィダキソマイシンよりも広い治療枠を提供すると予想される。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドの使用は、公知のC.ディフィシレ処置剤と比較して副作用の減少をもたらし得る。
【0201】
ハロゲン化サリチルアニリド(例えば、ニクロサミド)は、経口投与後に十分に吸収されない。したがって、糞便中のハロゲン化サリチルアニリドの濃度は、例えば、バンコマイシン又はメトロニダゾールの同様の用量の経口投与と比較して高いと予想される。GI管、特に結腸におけるハロゲン化サリチルアニリドの高い局所濃度は、腸及び結腸で局所的に抗細菌効果の効力及び/又は効率を増強すると予想される。
【0202】
実施例で例証されるとおりに、いくつかの試験されたハロゲン化サリチルアニリドは、バンコマイシン、メトロニダゾール又はフィダキソマイシンと同様の又はそれらよりも高い効力を有し、したがって、慣用処置剤、例えば、バンコマイシンと同様の又はそれより低い用量でクロストリジウム属感染に対して抗細菌効果を与えると予想される。
クロストリジウム属細菌(例えば、C.ディフィシレ)は、本明細書に記載されるハロゲン化サリチルアニリドの存在下で自然突然変異の低い頻度を示すと予想される。したがって、ハロゲン化サリチルアニリドに対する抵抗性出現の危険は低いことが予想される。
【実施例】
【0203】
以下の実施例において、種々のハロゲン化サリチルアニリドの効果を、バンコマイシン(クロストリジウム・ディフィシレ感染の処置のための現在承認された化合物)と比較する。
【0204】
(実施例1)
MIC決定
C.ディフィシレMICは、溶解ウマ血液の代わりにイソビタレックスを使用したことを除いて、「Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria; Approved Standard-第8版」CLSI、ISBN:1-56238-789-8」に記載されたとおりの微量液体希釈を使用してCLSIガイドラインに従って決定する。
【0205】
C.ディフィシレMIC試験に使用した媒体は、(製造者の使用説明書に従って)ヘミン(5μg/ml)、ビタミンK及びイソビタレックスを補充したブルセラブロスであった。接種プレートを、嫌気性条件(嫌気性チャンバ又はガスパック付きの嫌気性ジャー)下36℃で44〜48時間インキュベートした。
【0206】
C.ディフィシレ株ATCC 700057を、C.ディフィシレMIC決定の間に参照対照として使用した。この株は、1μg/mLのバンコマイシンに対する予想MICを有する。
【0207】
結果をTable 2(表2)及びTable 3(表3)に示す。
【0208】
【表2】
【0209】
Table 2(表2)は、ニクロサミドが、試験したC.ディフィシレ分離株に対してバンコマイシンよりも低いMICを有することを例証する。
【0210】
【表3】
【0211】
(実施例2)
Table 4(表4)は、ニクロサミドの特性と、バンコマイシン、メトロニダゾール、フィダキソマイシンの特性とを比較する。Table 4(表4)に示されるデータは、本明細書での実施例からのデータと一緒に公表データから得た。
【0212】
【表4】
【0213】
(実施例3)
追加のMIC決定
ハロゲン化サリチルアニリド、クリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド及びトリブロムサランのMICを、C.ディフィシレの24の臨床分離株に対して決定した。フィダキソマイシン、メトロニダゾール及びバンコマイシンを本研究での比較化合物として使用した。比較化合物は、C.ディフィシレ感染の現在の処置で最もしばしば使用される抗生物質に相当する。
【0214】
試験化合物及び比較化合物のストック溶液は、1mg/mLの濃度でDMSO中で作製した。
【0215】
微生物
使用したC.ディフィシレ株をTable 5(表5)に示す:
【0216】
【表5】
【0217】
培養培地
C.ディフィシレ株は、ブルセラ血液寒天+ヘミン+ビタミンKで生育させ[1]、プレートを嫌気性条件下36℃で44〜48時間インキュベートした。ブロス培養は、供給者(BBL)からの使用説明書に従って、イソビタレックスで補充したブルセラブイヨン中で行なった[2]。すべての培養を嫌気性チャンバ中嫌気性条件下で行なった[3]。
【0218】
抗細菌活性
本研究化合物の抗細菌活性は、以下のプロトコルを使用して決定した。
1. 1日目:細菌株を分離し、ブルセラ血液寒天+ヘミン+ビタミンK上37℃でインキュベートする。
2. 2日目:イソビタレックスで補充した5mlのブルセラブイヨン(BBI)に、15mlFalconチューブ中1つの分離コロニーを接種し、嫌気性条件下36℃で一晩インキュベートする。
3. 3日目:
・抗生物質をBBI中それらの最高濃度に希釈する(2ml中8μg/ml)。
・一連の2倍希釈液をディープウェル96ウェルプレート中で作製する。
・150μlの抗生物質溶液を96ウェルプレートに移す。
・5〜6時間後、培養を止め、OD
600を測定する。培養液を10
6CFU/mlに希釈する。
・1ウェル当たり10
3個細胞を有するために、約1μlのこの希釈培養液をすべてのウェルに添加する。
・プレートを嫌気性条件下36℃で44〜48時間インキュベートする。
4. 5日目:インキュベーション後にOD
600を測定する。
阻害は、以下のとおりに計算する:
【0219】
【数1】
【0220】
結果
C.ディフィシレの24株に対する試験化合物のMIC値をTable 6(表6)に示す。
【0221】
【表6A】
【0222】
【表6B】
【0223】
Table 6(表6)は、試験ハロゲン化サリチルアニリドが、試験株に対して活性であったことを示す。最も活性な化合物は、クリオキサニド、ラフォキサニド及びオキシクロザニドであり、これらは、比較化合物フィダキソマイシンの活性に比肩した。試験ハロゲン化サリチルアニリドのすべては、メトロニダゾール及びバンコマイシンである比較化合物よりも概して低いMIC値を示した。
(参考文献)
【0224】
(実施例5)
芽胞形成研究
クロストリジウム・ディフィシレは、医療の場で重度の下痢症を引き起こす芽胞形成細菌である。芽胞は、感染性作用物質であり、疾患伝播及び再発に関与する。したがって、芽胞形成の予防又は阻害は、特に病院環境における、感染の伝播及び再発の危険を最小限にし得る。現在、C.ディフィシレ感染の処置に使用される主な処置剤は、バンコマイシン、メトロニダゾール、リファキシミン及びフィダキソマイシンである。フィダキソマイシンは、C.ディフィシレ芽胞形成を阻害することが示された[1]。
【0225】
ラフォキサニドであるハロゲン化サリチルアニリドを、芽胞形成を阻害するその能力を評価するために試験した。フィダキソマイシンをこの研究におけるコンパレータとして使用した。
【0226】
方法
細菌株
この研究で使用したC.ディフィシレ株は、MLST群ST002からの臨床分離株である7-6011209であった。
【0227】
抗細菌剤
ラフォキサニド及びフィダキソマイシン(例えば、Sigma-Aldrich)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中10mg/mLのストック溶液として調製した。これらの化合物を、芽胞形成に対するそれらの効果を試験する前に発育培地中適切な濃度に更に希釈した。
【0228】
培養培地及び培養条件
C.ディフィシレ株を、実施例3において上で記載したとおりのイソビタレックスで補充したブルセラブイヨン中で生育させ及び培養した。
【0229】
芽胞形成は、Special Peptone Mix(Oxoid)10g/L、酵母抽出物10g/L、(NH
4)
2 SO
4 0.6g/L、MgSO
4 7H
2O 0.12μg/L、CaCl
2 2H
2O 0.08g/L、K
2CO
3 3.48g/L、KH
2PO
4 2.6g/L、pH7.9±0.1を含む、Clospore培地[2]を使用して行った。
【0230】
発芽培地は、1g/Lのタウロコール酸ナトリウムを含むBHIS培地[3]であった。BHIS培地は、ブレインハートインフュージョン37g/L、酵母抽出物5g/L、寒天15g/L、L-システイン0.1%(w/v)、グルコース0.5%(w/v)及びFeSO
4 0.09%(w/v)を含む。
【0231】
すべての培養は、実施例3において記載したとおりの嫌気性チャンバ中嫌気性条件下37℃で行なった。
【0232】
芽胞形成反応速度論
C.ディフィシレを血液寒天プレート上で一晩生育させた。1つのコロニーを、イソビタレックスで豊富化した10mLのブルセラブイヨンに移し、一晩生育させた。適切な濃度の試験化合物を含むClospore培地を一晩培養によって1%でインキュベートした。試料(65℃で20分間のインキュベーション後、生き残っているもの)を、耐熱性芽胞の定量化のために24時間ごとに抜き取った。芽胞を、0.09%NaCl中に連続的に希釈し、0.1%タウロコール酸ナトリウムで補充したBHIS寒天上にプレーティングして、定量化のための芽胞を生育させた。
【0233】
試験化合物の濃度を、それらがそれぞれの化合物のMICを超えて少なくとも8倍(ラフォキサニドについて8倍及びフィダキソマイシンについて>8倍)であるようにMICに対して正規化した。
【0234】
結果
試験化合物の芽胞形成速度論に対する影響を
図1に示す。
【0235】
陰性対照芽胞形成は、24時間までに2×10
5の値に急速に到達し、48時間までにおよそ10
7の芽胞形成のその最大カウントに接近した。ラフォキサニドは、8倍MICで、96時間の研究期間中を通して芽胞の形成を抑制した。比較化合物フィダキソマイシンは、>8倍MICで、最初の48時間の研究の間芽胞の形成を抑制したが、しかしながら、72時間及び96時間時点でラフォキサニドと比較して芽胞形成を増加させた。
【0236】
図1により例証されるデータは、ラフォキサニドは、この研究におけるMICに対して固定効果レベルでフィダキソマイシンよりも有効に芽胞形成を抑制することを示す。これらの結果は、ラフォキサニドが、C.ディフィシレ芽胞の排出(shedding)を阻害し、したがって、例えば、病院環境内の感染の蔓延の制御に有効であり得ることを示唆する。本化合物はまた、患者における再発感染の危険を最小限にすることに有用であり得る。
(参考文献)
【0237】
本発明は、以下の番号付けされた項により更に例証される:
1. クロストリジウム属細菌によって引き起こされる対象における感染の処置における使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
2. 感染が、クロストリジウム・ディフィシレによって引き起こされる、項1に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
3. 感染が、クロストリジウム・ディフィシレ関連疾患である、項2に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
4. クロストリジウム・ディフィシレ関連疾患が、下痢症、大腸炎(例えば、偽膜性大腸炎)又は中毒性巨大結腸症である、項3に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
5. クロストリジウム属感染が、抗生物質誘導クロストリジウム属感染であり、抗生物質は、ハロゲン化サリチルアニリド以外である、項1から4のいずれか一項の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
6. ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質が、クリンダマイシン、セファロスポリン(例えば、セフォタキシム及びセフタジジム)、アンピシリン、アモキシシリン及びキノロン(例えば、フルオロキノロン、任意選択でシプロフロキサキシン又はレボフロキサシン)から選択される、項5に記載の使用のための、ハロゲン化サリチルアニリド。
7. クロストリジウム属感染が、ハロゲン化サリチルアニリドの対象への投与前に抗生物質で処置されていない、項1から6のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
8. 対象が、ハロゲン化サリチルアニリド以外の抗生物質での処置後に再発したクロストリジウム属感染に罹っている、項1から6のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
9. クロストリジウム属感染が、メトロニダゾール、バンコマイシン及びフィダキソマイシンから選択される抗生物質で処置された後に再発した、項8に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
10. クロストリジウム属感染が、ハロゲン化サリチルアニリド以外の前の抗生物質処置に対して難治性である、項1から6のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
11. 前の抗生物質処置が、メトロニダゾール、バンコマイシン及びフィダキソマイシンから選択される、項10に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
12. 感染が、NAP1/027/BI C.ディフィシレ株によって引き起こされる、項1から11のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
13. 式(I):
【0238】
【化7】
【0239】
(式中、
Xは、O又はSであり;
R
1及びR
2は、出現するごとに、ハロから独立して選択され;
R
3及びR
4は、出現するごとに、H、C
1〜6アルキル、-OR
A1、-NO
2及び-CNから独立して選択され;
R
5は、H又は-L
1-R
7であり;
R
6は、H又は-C(O)R
A2であり;
L
1は、結合、O、S、又は-(CR
A3R
B)
o-(ここで、oは、1又は2である)から選択され;
R
6は、非置換の、又はハロ、C
1〜4アルキル、-OR
A4、-NO
2及び-CNから選択される1、2、若しくは3個の基で置換されたフェニルであり;
R
A1、R
A2、R
A3及びR
A4は、出現するごとに、H及びC
1〜4アルキルから独立して選択され;
R
Bは、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル及び-CNから選択され;
n及びpは、0、1、2、3又は4からそれぞれ独立して選択され、但し、n+pは、少なくとも1であることを条件とし;
t及びvは、0、1及び2から独立して選択される)
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルのものである、項1から12のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
14. Xが、Oである、項13に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
15. R
6が、Hである、項13又は14に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
16. R
3及びR
4が、出現するごとに、H、C
1〜4アルキル、-OR
A1及び-NO
2からそれぞれ独立して選択される、項13から15のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
17. L
1が、O、-CH
2-及び-CH(CN)-から選択される、項13から16のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
18. R
7が、非置換の、又はハロから選択される1、2若しくは3個の基で置換されたフェニルである、項13から17のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
19.
【0240】
【化8】
【0241】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルから選択される、項1から12のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
20. ニクロサミド、クリオキサニド、クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド、トリブロムサラン、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルからなる群から選択される、項1から12のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド。
21. クロストリジウム属細菌によって引き起こされる対象における感染の処置のための薬剤の製造のための、ハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルの使用。
22. 対象におけるクロストリジウム属細菌によって引き起こされる感染を処置する方法であって、前記対象に、有効量のハロゲン化サリチルアニリド、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与する工程を含む、方法。
23. ハロゲン化サリチルアニリドが、対象に経口投与される、項1から20のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド、項21に記載の使用、又は項22に記載の方法。
24. 対象が、ヒト又は温血動物であり、任意選択で対象が、ヒトである、項1から20のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド、項21に記載の使用、又は項22に記載の方法。
25. 対象が、65歳以上の年齢のヒトである、項1から20のいずれか一項に記載の使用のためのハロゲン化サリチルアニリド、項21に記載の使用、又は項22に記載の方法。