特許第6873121号(P6873121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873121
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】大動脈弁状態の情報伝達
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20210510BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20210510BHJP
【FI】
   A61B6/00 370
   A61B6/00 335
   A61B6/00 350D
   A61B6/00 360A
   A61B5/04 310P
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-521389(P2018-521389)
(86)(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公表番号】特表2018-531721(P2018-531721A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016075992
(87)【国際公開番号】WO2017072262
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】15191832.3
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ダーク
(72)【発明者】
【氏名】ザーヤン チェリフ
(72)【発明者】
【氏名】ハンシス エバーハルト セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クリンダー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】グラス ミカエル
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−000656(JP,A)
【文献】 特開2012−223500(JP,A)
【文献】 特表2015−526150(JP,A)
【文献】 特開2008−220641(JP,A)
【文献】 特開2014−171826(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0167417(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/078012(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/040222(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
A61B 5/00 − 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大動脈弁介入治療を支援するための装置であって、当該装置は、
入力インターフェースと、
処理ユニットと、
を有し、
前記入力インターフェースは、i)心臓の大動脈弁のX線画像を表す画像データ信号及びii)前記心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号を受信し、
前記処理ユニットは、前記大動脈弁の状態を前記体表面信号の予め定められた信号経過に基づいて決定し、
前記処理ユニットは、更に、i)前記大動脈弁の決定された開状態の間において該大動脈弁を開いているとして、又はii)前記大動脈弁の決定された閉状態の間において該大動脈弁を閉じているとして通知するための表示信号成分を生成し、
前記処理ユニットは、更に、前記X線画像及び前記表示信号成分を有した表示画像を表す表示信号を生成する、
装置。
【請求項2】
前記体表面信号が血圧信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記体表面信号が前記心臓の電気的活動を示すECG信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記処理ユニットが、i)前記大動脈弁の前記決定された閉状態に基づいて、該大動脈弁の前記決定された閉状態の間において該大動脈弁を閉じているとして通知するための他の表示信号成分、又はii)前記大動脈弁の前記決定された開状態に基づいて、該大動脈弁の前記決定された開状態の間において該大動脈弁を開いているとして通知するための他の表示信号成分を計算する、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記処理ユニットが、前記大動脈弁の前記開状態及び/又は前記閉状態の開始及び終了を、前記体表面信号の対応する予め定められた閉開始信号経過及び/又は予め定められた閉終了信号経過に基づいて認識する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理ユニットが、前記ECG信号に基づいてECG信号画像を表示するための第4表示信号成分を計算する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記処理ユニットが前記表示信号成分を、前記大動脈弁の前記開状態が前記ECG信号画像において前記大動脈弁の開状態の開始と前記大動脈弁の開状態の終了との間にマーキングされるように計算する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記処理ユニットが前記表示信号成分を、大動脈弁画像の少なくとも一部が前記大動脈弁の開状態の開始と前記大動脈弁の開状態の終了との間において第1カラーで強調されるように計算する、請求項1ないし7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
強調された前記一部の形状が、前記大動脈弁の前記開状態と前記閉状態との間の動きによりカバーされる領域を示す、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記処理ユニットは大動脈弁画像において前記大動脈弁の弁位置及びカテーテルの先端の先端位置を認識し、前記処理ユニットは前記先端位置と前記弁位置との間のカテーテル距離を計算し、前記処理ユニットは、前記カテーテル距離が予め定められた最小距離より小さい場合に前記表示信号成分及び/又は前記他の表示信号成分が前記表示信号の一部となることを可能にする一方、それ以外の場合に前記表示信号成分及び/又は前記他の表示信号成分が前記表示信号の一部となることを不能にする、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
音響出力ユニットを更に有し、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記決定された開状態に基づいて前記大動脈弁を該大動脈弁の開状態の間に開いているとして通知するための音響信号を計算し、前記音響出力ユニットは前記大動脈弁の前記開状態を前記音響信号に基づいて音響的に示す、請求項1ないし10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
大動脈弁の状態を通知するためのシステムであって、
− 請求項1ないし11の何れか一項に記載の装置と、
− 大動脈弁画像を取得するためのX線撮像ユニットと、
− 前記体表面信号を供給するための体表面信号検出ユニットと、
− 前記表示画像を表示するための表示ユニットと、
を有する、システム。
【請求項13】
大動脈弁の状態を通知する方法であって、
a) 心臓の大動脈弁のX線画像を表す画像データ信号を受信するステップと、
b) 前記心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号を受信するステップと、
c) 前記大動脈弁の状態を前記体表面信号の予め定められた信号経過に基づいて決定するステップと、
d) i)前記大動脈弁の決定された開状態の間において該大動脈弁を開いているとして、及び/又はii)前記大動脈弁の決定された閉状態の間において該大動脈弁を閉じているとして通知するための表示信号成分を生成するステップと、
e) 前記X線画像及び前記表示信号成分を有した表示画像を表す表示信号を生成するステップと、
を有する、方法。
【請求項14】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の装置又は請求項12に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記処理ユニットにより実行された場合に請求項13に記載の方法のステップを実行する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大動脈弁状態の情報伝達に係り、更に詳細には、大動脈弁の状態を通知する装置、大動脈弁の状態を通知するシステム、大動脈弁の状態を通知する方法、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ読取可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人の心臓は、4つの弁及び4つの室を有している。心臓の弁は、該心臓の4つの室の各々の出口に位置している。これら弁は、大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁及び三尖弁である。これら弁の各々は、組織のフラップ、即ち弁膜(弁尖)を有している。これら弁膜は、心臓がポンプ運動する際に開閉する。
【0003】
欠陥のある心臓弁は補修するか又は置換することができる。欠陥のある弁を補修又は置換するために、カテーテルを動脈又は静脈(通常は、足の)に挿入することができる。通常、X線及び/又は蛍光透視視覚化の下で、当該カテーテルは心臓内に進められ、欠陥弁の場所に位置決めされる。
【0004】
しかしながら、カテーテルを欠陥弁の場所で位置決めするために、該カテーテルは先ず該欠陥弁を通過しなければならない。介入治療の早期の段階における欠陥弁の通過は、依然として困難であると考えられると共に、時間が掛かる作業である(数分又はそれ以上掛かり得る)。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0289391号は、弁治療のための前方視撮像技術を用いたシステム及び方法に関するものである。該システムはカテーテルを誘導するためのガイドワイヤを有し、該ガイドワイヤは自身の遠端部に前方視超音波センサを含む撮像装置を有している。上記超音波センサは、当該ガイドワイヤの遠端側先端が欠陥弁の近傍にある場合に該欠陥弁の少なくとも相当の部分を含む視野を生成する。当該超音波ビームは画像を提供することができ、該画像は適切な弁の通過のための当該ガイドワイヤの遠端部先端の位置決めを支援ために使用することができる。
【0006】
米国特許出願公開第2011/0160848号は、心臓弁を通過するための方法に関するものである。該方法は、ガイドワイヤの適用に関するもので、該ガイドワイヤは遠端側先端に診断センサを有し、該センサは周囲領域の速度、温度及び/又は圧力を感知するように構成することができる。該ガイドワイヤの遠端側先端は、該先端が心臓弁の出口における血液ジェット内に位置されると振動し又は“踊り”始めることが予想される。この情報は、当該遠端側先端が上記血液ジェット内に適切に位置された場合を示すために使用することができる。当該遠端側先端が血液ジェット内に正しく位置されたなら、振動の増加が検出され得る。従って、ガイドワイヤを扱う医師は、大動脈弁の左心室内へのガイドワイヤの挿入を心臓の収縮期に同期させることができる。このことは、拡張期の間における通過又は挿入試行による弁膜への損傷のリスクを低減する。
【0007】
遠端側先端にセンサ(特に、超音波センサ又は速度センサ)を有するガイドワイヤは、少なくとも遠端側先端において該ガイドワイヤの寸法が増加し得る。しかしながら、動脈又は静脈に挿入されるために、ガイドワイヤは可能な限り小さな寸法を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大動脈弁介入治療を実施する医師に対して改善された支援を提供する必要性が存在し得る。更に詳細には、カテーテルにより通過されることを要する大動脈弁の向上された視覚化に対する必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、独立請求項の主題により解決され、更なる実施態様は従属請求項に含まれている。
【0010】
本発明の以下に記載される態様は、装置、システム、方法、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ読取可能な媒体にも当てはまることに注意されたい。
【0011】
本発明の第1態様によれば、大動脈弁介入治療を支援するための装置は、入力インターフェース及び処理ユニットを有する。前記入力インターフェースは、i)心臓の大動脈弁のX線画像を表す画像データ信号g及びii)前記心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号bを受信するように構成される。前記処理ユニットは、前記大動脈弁の開状態を前記体表面信号bに基づいて決定すると共に、前記大動脈弁の前記決定された開状態の間において該大動脈弁を開いているとして通知(伝達)するための表示信号成分を生成し、且つ、前記X線画像及び前記表示信号成分を有した表示画像を表す表示信号を生成するように構成される。
【0012】
結果として、上記表示画像は、有利にも、少なくとも当該大動脈弁の開状態の間において該大動脈弁を開いているとして表す表示を示す。
【0013】
一実施態様において、上記表示画像は、当該大動脈弁の少なくとも一部及び該大動脈弁を開いているとして表す表示のオーバーレイを示すことができる。該表示画像は、大動脈弁を開状態の間に通過するようカテーテルを前進させるための正しい期間を選択する際に医師を支援することができる。
【0014】
更なる結果として、大動脈弁の開状態に関する表示を有した上記表示画像を示すことは、大動脈弁の弁膜(leaflets)に対する損傷のリスクを低減することができる。
【0015】
本発明の前後関係において、大動脈弁の“開状態”とは、該大動脈弁がガイドワイヤ又はカテーテル等の介入装置の通過を可能にする程十分に開いている状態を指すと理解される。例えば、大動脈弁は、該大動脈弁の断面の少なくとも70%が斯様な装置を自由に通過させるものである場合に、開状態にある。
【0016】
以下において、“カテーテル”なる用語は、従って、大動脈弁を通過することを要する、実際のカテーテルのみならず例えばガイドワイヤをも含む如何なる介入装置も指すことができる。
【0017】
一例において、前記大動脈弁画像とは、心臓の大動脈弁の少なくとも一部のX線画像を指す。一例において、前記画像データ信号はX線画像データ信号に関するものである。該画像データ信号は、X線撮像ユニットのX線検出器により供給することができる。
【0018】
一例において、前記体表面信号は、人体の該人体の表面において検出される信号に関するものである。該体表面信号は、好ましくは、非断層撮影的信号である。他の例において、該体表面信号は非侵襲的身体信号に関するものである。該体表面信号は、身体の表面において直接的又は間接的の何れかで検出することができる。
【0019】
例示的実施態様によれば、前記体表面信号は血圧信号である。
【0020】
人の血圧は、心臓の拍動に対応して周期的に上昇及び下降する。従って、心拍は血圧信号から決定することができる。更に、大動脈弁の開状態は心拍に基づいて決定することができる。このように、大動脈弁の開状態は、血圧信号に基づいて決定することもできる。
【0021】
他の例示的実施態様によれば、前記体表面信号は心臓の電気的活動を示すECG信号である。
【0022】
ECG信号は心電図信号に関するものである。ECG信号は、人体表面に配置された電極により検出することができる。これら電極は、心筋が各心拍の間において脱分極することから生じる皮膚上の電気的変化を検出することができる。
【0023】
ECG信号が前記体表面信号であることの効果は、当該心臓の動きと、対応して測定されるECG信号との間の短い時間遅延に関するものである。このように、ECG信号はリアルタイムな信号であり得る。更に、大動脈弁の状態(特に、大動脈弁の開状態)を正確に決定することができる。
【0024】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記開状態の開始を前記体表面信号の予め定められた開開始信号経過に基づいて認識するように構成され、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記開状態の終了を前記体表面信号の予め定められた開終了信号経過に基づいて認識するように構成される。
【0025】
このように、大動脈弁の開状態の開始及び終了を認識することができる。上記開状態の開始から該開状態の終了までの時間は、当該大動脈弁の開状態期間を定めることができる。
【0026】
心拍は、通常、周期的特性を有する。従って、大動脈弁の状態を決定することを可能にする表面信号も、周期的特性を有し得る。このように、各周期の前記体表面信号の一部は、前記開状態の開始に対して特徴的であり得る。同じ周期における該体表面信号の他の部分は、大動脈弁の開状態の終了に対して特徴的であり得る。体表面信号の上記部分は信号経過により定めることができる一方、該信号経過は、体表面信号の各周期において認識することができ、従って前記開状態の開始及び該開状態の終了を表すものであり得る。
【0027】
一例においては、前記体表面信号において前記開開始信号経過及び/又は開終了信号経過を識別するために、既知の信号検出ステップを実行することができる。該検出は、大動脈弁の開状態の開始及び/又は大動脈弁の開状態の終了を各々認識するための基礎となり得る。
【0028】
一例においては、心臓の収縮フェーズの開始を示す体表面信号の少なくとも1つの特徴点が、上記開開始信号経過を特徴付ける。
【0029】
一例においては、心臓の収縮フェーズの終了を示す体表面信号の少なくとも1つの特徴点が、上記開終了信号経過を特徴付ける。
【0030】
一例においては、特徴点q,r,s,tのうちの少なくとも2つが、心臓の収縮フェーズを示す。従って、特徴点q、特に対応するq波の終了が、収縮フェーズの開始及び/又は大動脈弁の開状態の開始を示し得る。特徴点t、特に対応するt波のピークが、収縮フェーズの終了及び/又は大動脈弁の開状態の終了を示し得る。
【0031】
一例においては、心臓の収縮フェーズの開始を示す互いに続く体表面信号の少なくとも2つの特徴点が、開開始信号経過を特徴付ける。
【0032】
他の例においては、心臓の収縮フェーズの終了を示す互いに続く体表面信号の少なくとも2つの特徴点が、開終了信号経過を特徴付ける。
【0033】
一例においては、qrs群に関係する特徴点q,r,s,tが、心臓の収縮フェーズを示す。従って、特徴点q、rは収縮フェーズの開始及び/又は大動脈弁の開状態の開始を示し得る。特徴点s,tは、収縮フェーズの終了及び/又は大動脈弁の開状態の終了を示し得る。
【0034】
結果として、心拍の各周期に関し特徴点q,r,s,tを検出するために既知の検出技術を用いることができる。検出された特徴点q,r,s,tに基づいて、大動脈弁の開状態の開始及び/又は大動脈弁の開状態の終了を決定することができる。
【0035】
更なる結果として、大動脈弁の開状態を決定するために強力な方法ステップを用いることができる。開状態の決定は、既知の検出技術により供給することが可能な信号及び処理された結果に基づくからである。このように、大動脈弁の開状態の決定も強力となる。
【0036】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記大動脈弁の閉状態を前記体表面信号に基づいて決定するように構成され、前記処理ユニットは、前記大動脈弁の前記決定された閉状態に基づいて、該大動脈弁の閉状態の間において該大動脈弁を閉じているとして通知するための他の表示信号成分を計算するように構成される。
【0037】
本発明の前後関係において、大動脈弁の“閉状態”とは、該大動脈弁がガイドワイヤ又はカテーテル等の介入装置の通過が実際上可能ではない又は不可能となる程度に閉じられている状態を指すと理解される。例えば、大動脈弁は、大動脈弁断面の多くて30%しか斯様な装置を自由に通過させるものでない場合、閉状態にある。
【0038】
前述したように、前記処理ユニットは前記表示信号成分又は前記他の表示信号成分を有した表示信号を供給するように構成される。
【0039】
結果として、当該表示画像は大動脈弁の閉状態の間において該大動脈弁を閉じているとして図示する表示を表すことができる。このように、医師は該表示画像において当該大動脈弁が開いているか又は閉じているかを直接見ることができる。大動脈弁の閉状態の間において、カテーテルの前進は、少なくとも該カテーテルが該大動脈弁の前に位置されている場合、停止することができる。
【0040】
大動脈弁の開状態に関連して示された全ての例及び説明をここで繰り返すことを要することなく、前記体表面信号に基づく大動脈弁の閉状態の決定は、該体表面信号に基づく大動脈弁の開状態の決定と同様に実行することができると理解される。
【0041】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記閉状態の開始を前記体表面信号の予め定められた閉開始信号経過に基づいて認識するよう構成される一方、該処理ユニットは前記大動脈弁の前記閉状態の終了を前記体表面信号の予め定められた閉終了信号経過に基づいて認識するよう構成される。
【0042】
一例において、心臓の拡張フェーズの開始を示す前記体表面信号の少なくとも1つの特徴点は、閉開始信号経過を特徴付ける。
【0043】
一例において、心臓の拡張フェーズの終了を示す前記体表面信号の少なくとも1つの特徴点は、閉終了信号経過を特徴付ける。
【0044】
一例においては、特徴点t,u,p,qのうちの少なくとも2つが、心臓の拡張フェーズを示す。従って、特徴点t、特に対応するt波の終了が、拡張フェーズの開始及び/又は大動脈弁の閉状態の開始を示し得る。特徴点p,q,r、特に対応するp波終了点が、拡張フェーズの終了及び/又は大動脈弁の閉状態の終了を示し得る。
【0045】
一例においては、心臓の拡張フェーズの開始を示す互いに続く体表面信号の少なくとも2つの特徴点が、閉開始信号経過を特徴付ける。
【0046】
一例においては、心臓の拡張フェーズの終了を示す互いに続く体表面信号の少なくとも2つの特徴点が、閉終了信号経過を特徴付ける。
【0047】
一例においては、特徴点t,u,p,qが、心臓の拡張フェーズを示す。従って、特徴点t、uは拡張フェーズの開始及び/又は大動脈弁の閉状態の開始を示し得る。特徴点p,qは、拡張フェーズの終了及び/又は大動脈弁の閉状態の終了を示し得る。
【0048】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは、前記ECG信号に基づいて、ECG信号画像を表示するための第4表示信号成分を計算するように構成される。
【0049】
他の表示信号成分の効果をここで繰り返し説明すること要することなく、当該表示信号はECG画像を有することができることが理解される。一例において、当該表示画像は前記大動脈弁画像に対しオーバーレイで及び/又は隣接してECG信号画像を有する。
他の例において、上記ECG信号画像は少なくとも部分的に透明である。
【0050】
他の例において、前記ECG信号はECGの生の信号とすることができる。従って、医師は当該表示画像から、前記大動脈弁画像、ECG信号及び大動脈弁が開状態にあるかを示す表示を受けることができる。更に、医師は上記表示から当該大動脈弁が閉状態にあるかを知ることもできる。
【0051】
効果として、当該表示画像は、特にカテーテルが大動脈弁を通過されねばならない場合、該大動脈弁の関連する情報についてのコンパクトな全体像を提供することができる。
【0052】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記表示信号成分を、前記大動脈弁の前記開状態が前記ECG信号画像において前記大動脈弁の開状態の開始と前記大動脈弁の開状態の終了との間にマーキングされるように計算するよう構成される。
【0053】
一例においては、前記ECG信号画像において大動脈弁の開状態をマーキングするために長方形を有するマーカを用いることができる。
【0054】
一例において、上記マーカは少なくとも部分的に透明とすることができ及び/又は当該ECG信号画像に対してオーバーレイとして配置することができる。
【0055】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記表示信号成分を、前記大動脈弁画像の少なくとも一部が前記大動脈弁の開状態の開始と前記大動脈弁の開状態の終了との間において第1カラーで強調されるように計算するよう構成される。
【0056】
好ましくは、上記の強調された部分の形状は、当該大動脈弁の開状態と閉状態との間の動きによりカバーされる領域を示すものとする。
【0057】
このように、有利にも、カテーテルを大動脈弁に向かって移動させる際に、医師は当該侵襲装置が閉じる弁を妨害し、又は該弁と干渉することを防止することができる。言い換えると、医師は、大動脈弁を超えてカテーテルを進める前に該カテーテルを最適に位置決めする際に支援され得る。当該弁の動きの範囲は、大動脈弁の弁膜の長さ(該長さは例えばコンピュータトモグラフィ画像データから抽出することができるので)から計算することができる。
【0058】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記他の表示信号成分を、前記大動脈弁画像の少なくとも一部が前記大動脈弁の閉状態の開始と前記大動脈弁の閉状態の終了との間において第2カラーで強調されるように計算するよう構成される。
【0059】
一例において、前記第1カラーは上記第2カラーとは相違する。
【0060】
一例において、前記第1カラーは緑色であり、前記第2カラーは赤色である。
【0061】
一例において、前記強調は、各々、少なくとも部分的に透明である。
【0062】
他の例示的実施態様によれば、前記処理ユニットは前記大動脈弁画像においてカテーテルの先端の先端位置を認識するように構成される。該認識は、画像に基づくものとすることができ、又は例えば上記先端上の電磁トランスジューサの位置追跡に基づくものとすることができる。前記処理ユニットは、更に、前記大動脈弁画像において前記大動脈弁の弁位置を認識すると共に、前記先端位置と該弁位置との間のカテーテル距離を計算するように構成される。該カテーテル距離が予め定められた最小距離より小さい場合、前記表示信号成分は前記表示信号の一部となることを可能にされる一方、それ以外の場合は不能にされる。
【0063】
効果として、カテーテルが大動脈弁に近い場合、当該表示画像は該大動脈弁の状態に関する情報を有することができる。このように、大動脈弁の状態に関する情報は、該情報が必要とされる場合にのみ表示される。従って、各表示において提供される情報を低減することができる。このことは、当該装置を使用する場合の医師の集中度を向上させることができる。
【0064】
他の例示的実施態様によれば、当該装置は音響出力ユニットを更に有することができ、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記決定された開状態に基づいて前記大動脈弁を該大動脈弁の開状態の間に開いているとして通知するための音響信号を計算するように構成され、前記音響出力ユニットは前記大動脈弁の前記開状態を該音響信号に基づいて音響的に示すよう構成される。
【0065】
効果として、当該装置を使用する医師は、大動脈弁が開状態である場合に音響的に聞き取ることができ、従ってカテーテルを進めるための良好な時点の指示情報を音響的に受けることができる。
【0066】
更なる効果として、ユーザ(特に、医師)は、大動脈弁の状態に関する(特に、該大動脈弁の開状態に関する)情報を受けるために表示器を見る必要がない。従って、医師はカテーテルを所望の位置に配置するための他の側面に集中することができる。
【0067】
他の例示的実施態様によれば、当該装置は出力ユニットを有し、前記処理ユニットは前記大動脈弁の前記決定された開状態に基づいて前記大動脈弁を該大動脈弁の開状態の間に開いているとして通知するための出力信号を計算するように構成され、前記出力ユニットは該出力信号を他の目的のために供給するよう構成される。
【0068】
効果として、上記出力信号は当該装置の他のユニットに又は他の装置に供給することができる。該他のユニット又は他の装置において、当該出力信号は、ユーザの注目のために、特に医師に対して供給することができる。このことは、光学的に、音響的に及び/又は触覚的に実施することができる。
【0069】
他の例示的実施態様によれば、当該装置はカテーテル及び信号接続部を有し、該信号接続部は当該装置の前記出力ユニット及び上記カテーテルを接続し、このカテーテルは該カテーテルを操作するためのハンドルを設け、該カテーテルは該ハンドルに又は該ハンドルに隣接して触覚ユニットを設け、該触覚ユニットは例えば前記出力信号に基づいて大動脈弁の開状態を触覚的に示すように構成された振動エレメントを有する。
【0070】
効果として、カテーテルを扱う当該装置のユーザは、大動脈弁の開状態に関する情報を触覚的に受け取ることができる。このように、医師は当該装置の表示器を見る必要がなく、従って大動脈弁を介して当該カテーテルを処理している間に他の問題に集中することができる。
【0071】
本発明の第2態様によれば、大動脈弁の状態を通知するためのシステムが提供され、該システムは、当該装置の上述した例のうちの何れかによる装置と、前記大動脈弁画像を取得するためのX線撮像ユニットと、前記体表面信号を供給するための体表面信号検出ユニットと、前記表示画像を表示するための表示ユニットと、を有する。
【0072】
本発明の第3態様によれば、大動脈弁の状態を通知する方法が提供され、該方法は、心臓の大動脈弁のX線画像を表す画像データ信号を受信するステップと、前記心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号を受信するステップと、前記大動脈弁の開状態を前記体表面信号に基づいて決定するステップと、前記大動脈弁の前記決定された開状態の間において該大動脈弁を開いているとして通知するための表示信号成分を生成するステップと、前記X線画像及び前記表示信号成分を有した表示画像を表す表示信号を生成するステップと、を有する。
【0073】
本発明の第4態様によれば、コンピュータプログラム要素が提供され、該コンピュータプログラム要素は、処理ユニットにより実行された場合に、上述した方法を実行するように構成される。
【0074】
本発明の第5態様によれば、プログラム要素を記憶したコンピュータ読取可能な媒体が提供され、前記プログラム要素は処理ユニットにより実行された場合に上述した方法を実行するように構成される。
【0075】
本発明の他の態様によれば、大動脈弁画像に加え、特には動き補償された大動脈弁モデルに基づいて、当該弁が開状態にある及び/又は該弁が閉状態にある場合の指示情報を表示することが提案される。該指示情報は、大動脈弁の画像に対するオーバーレイとし、医師が同一の表示器上で心臓の大動脈弁を介してカテーテルを前進させるために要する情報を見ることができるようにする。このことは、大動脈弁を損傷しないことを保証する。代わりに、医師は、大動脈弁が開状態にあり、従ってカテーテルを該大動脈弁の如何なる損傷も無しに進めることができる場合の関連する情報を受けることができる。大動脈弁が開状態にあるか又は閉状態にあるかの該情報は、心臓の収縮フェーズ及び拡張フェーズに各々対応する。心臓が収縮フェーズにある場合及び該心臓が拡張フェーズにある場合の情報は、ECG測定から抽出することができる。これらの心フェーズの検出から、当該弁の閉状態及び/又は該弁の開状態は、心サイクルの間における血流に関する一般的知識を用いて推定することができる。
【0076】
前記表示画像はグラフィック的誘導を提供することができ、その場合において、当該大動脈弁が開状態にあることを示すために、該表示画像にグリーンフラグ又は枠を設けることができる。
【0077】
追加の機能を可能にするために、当該カテーテルの二次元的及び/又は三次元的追跡を組み込むことができる。好ましい例によれば、大動脈弁の状態のグラフィック的指示情報は、カテーテルと大動脈弁との間の距離に依存して可能化及び/又は不能化することができる。該距離が過度に大きい場合、当該指示情報は不能化される。該距離が予め定められた閾距離よりも小さい場合、当該指示情報は可能化される。大動脈弁の大動脈壁及び/又は大動脈弁自体までの当該カテーテルの二次元又は三次元距離の情報は、表示画像において更なる指示情報を追加するために該表示画像に組み込むことができる。一般的に、当該カテーテルが大動脈弁に対して中心に位置決めされた場合、該大動脈弁の一層容易な通過が期待される。
【0078】
本発明の上記及び他の態様は、後述する実施態様から明らかとなり斯かる実施態様を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1図1は、装置の一例を概略的に示す。
図2図2は、X線撮像システムを概略的に示す。
図3図3は、ECG信号を概略的に示す。
図4図4は、大動脈弁の状態を概略的に示す。
図5図5は、心臓の開いた大動脈弁を示すオーバーレイを伴ったX線画像を示す。
図6図6は、心臓の閉じた大動脈弁を示すオーバーレイを伴ったX線画像を示す。
図7図7は、当該装置の他の例を概略的に示す。
図8図8は、当該装置の他の例を概略的に示す。
図9図9は、当該装置の他の例を概略的に示す。
図10図10は、本発明による方法の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、本発明の例示的実施態様を、図面を参照して説明する。
【0081】
以下において、本発明は、経カテーテル大動脈弁手術(TAVI)のためにX線撮像システム24の前後関係において使用されるものとして説明される。本発明は、他の心臓介入治療及び/又は診断の前後関係で使用することもできる。
【0082】
経カテーテル大動脈弁実装介入手術において、重要な点は実装可能な装置の正確な位置決めである。この位置を実現するため、例えば、弁配置の良好な又は最適な計画を決定するために、大動脈弁上血管造影(好ましくは、造影剤による)を実施することができる。好ましくは良好なコントラストの画像を、選択し、記憶し及び/又は後に移植前基準画像として使用することができる。造影剤注入は、大動脈根内に配置された所謂ピッグテールカテーテルを介して実施することができる。正確な位置決めを容易化するために、ロードマッピング及び/又は輪郭描写法を用いることができる。これは、生画像(例えば、造影剤無しでの蛍光透視)に解剖学的構造(例えば、大動脈造影画像から抽出された大動脈根の輪郭、3D事前介入データから導出された解剖学的モデル及び/又は両者の組み合わせ、又は何らかの他の好適な表現)の解剖学的表示を重畳させることを含む。この解剖学的表示は、次いで、生の画像に正しく位置合わせすることができる。生画像との連続的な位置合わせ処理は、時には、トラッキング(追跡)と称される。
【0083】
以下、本発明の例示的実施態様を以下の図面を参照して説明する。
【0084】
図1は、大動脈弁の状態を通知する(伝達する)装置10を図式的に示す。装置10は、入力インターフェース12、処理ユニット14及び表示ユニット16を有する。入力インターフェース12は、心臓の大動脈弁X線画像20を示す画像データ信号gを受信するように構成される。入力インターフェース12は、心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号bを受信するように構成される。処理ユニット14は、大動脈弁の開状態30を体表面信号bに基づいて決定するように構成される。処理ユニット14は、画像データ信号gに基づいて、大動脈弁の大動脈弁画像20を示すための第1表示信号成分を計算するように構成される。処理ユニット14は、前記決定された大動脈弁の開状態30に基づいて、当該大動脈弁の開状態30の間において該大動脈弁が開状態であると通知するための第2表示信号成分を計算するように構成される。処理ユニット14は、上記各表示信号成分を有する表示信号dを供給するように構成される。表示ユニット16は、表示信号dに基づいて表示画像22を表示するように構成される。
【0085】
図2は、大動脈弁の状態を通知するためのシステム24を概略的に示す。システム24は、装置10、X線撮像ユニット26及び体表面信号検出ユニット28を有する。X線撮像ユニット26は、心臓の大動脈弁のX線画像20を取得すると共に、該大動脈弁X線画像20を示す画像データ信号gを供給するように構成される。特に、カテーテル又はガイドワイヤによる大動脈弁に向かう前進及び該大動脈弁の通過を誘導(案内)するために一連の生の蛍光透視X線画像を取得することができる。
【0086】
体表面信号検出ユニット28は、心臓の拍動を示す体表面信号bを検出するように構成される。体表面信号検出ユニット28は、心臓の拍動を示す生の、時間的に変化する体表面信号bを供給するように構成される。
【0087】
当該システムに関連して提供される全ての以下の例及び説明を繰り返すこともなく、同様の例及び説明は装置に対しても同様の態様で成り立つと理解されるべきである。このように、提示される全てのフィーチャ、例及び効果は、装置によってもそのように実施化されるものである。装置に関して記載される例、フィーチャ及び/又は説明は、システムに対して理解されるべきであり、その逆も成り立つ。
【0088】
図1は装置10の一例を示す。
【0089】
図2はシステム24の前後関係で装置10を示しているが、該装置10は独立型装置10とすることができ、別途に設けることができる。システム24は、特に図2ではCアームシステムに関連して示されたX線撮像システム24とすることができる。
【0090】
システム24は、X線源32及びX線検出器34を有することができる。X線源32は、検出器34に向かって人の身体36の関心領域の少なくとも一部(特に、対応する大動脈弁)を照射するX線放射を放射するように構成することができる。図2において、人の身体の一部は円により表されている。X線検出器34は、画像データ信号gを好ましくは生の画像データ信号gとして供給するように構成することができる。
【0091】
システム24の体表面検出ユニットは、体表面信号検出器38及び前処理ユニット40を有することができる。一例において、前処理ユニット40は装置10から離されて、信号線42を介して相互接続することができる。
【0092】
表示信号dは、少なくとも、大動脈弁X線画像20を表す画像データ信号を第1表示信号成分として、及び大動脈弁の開状態30の間において大動脈弁が開状態であるとして通知する表示信号成分を第2表示信号成分として有している。結果として、表示画像22は斯かる第1及び第2信号成分に基づいて生成することができる。
【0093】
図5及び図6は表示画像22の例を示し、該表示画像は当該大動脈弁の状態を示すための第2表示信号成分としての表示29及び大動脈弁画像20の少なくとも一部を有している。
【0094】
結果として、表示画像22は当該大動脈弁の少なくとも一部及び該一部に対するオーバーレイとして表示29を示すことができる。当該表示画像の例は、図5においては当該大動脈弁を開状態として表すものとして示されている。該表示画像22は、医師がカテーテル44を大動脈弁の開状態30の間に該大動脈弁を通過するように前進させるための正しい期間を選択することを支援することができる。
【0095】
この好ましい実施態様において、表示29は、大動脈弁が開状態から閉状態へ又はその逆に変化した場合の該大動脈弁の弁膜の動きの程度(範囲)を示すような形状のものである。
【0096】
カテーテル44は、大動脈弁画像20及び/又は表示画像22にオーバーレイとしての線状のマーキングにより示すことができる。
【0097】
更なる結果として、例えば当該大動脈弁の開状態30及び当該弁膜の動き範囲を示す表示29を有する表示画像22を示すことは、医師が大動脈弁を通過する前にカテーテル44を該大動脈弁に向かって前進させる際に最適に位置決めすることを支援し、これにより該大動脈弁の弁膜を損傷するリスクを低減することができる。
【0098】
一例において、大動脈弁画像20は、心臓の大動脈弁の少なくとも一部のX線画像に関するものである。システム24は、このような画像を供給するために使用することができる。一例において、前記画像データ信号gはシステム24のX線画像データ信号に関するものである。該画像データ信号gは、システム24のX線検出器34により供給することができる。
【0099】
一例において、前記体表面信号bは皮膚において検出される人体の信号に関するものである。他の例において、体表面信号bは非侵襲的身体信号に関するものである。体表面信号bは身体の皮膚において直接的又は間接的に検出することができる。例えば、体表面信号bは、人体36の皮膚との直接的接触を有する検出器38により検出することができる。しかしながら、身体36の皮膚から或る距離に又は離れて配置することができるが、それでも、人体36の皮膚における体表面信号bを検出することができる検出器38を設けることもできる。
【0100】
一例において、前記画像データ信号gは時間的に不変なものとすることができる。例えば、画像データ信号gは、1度生成されて、装置10の入力インターフェース12に供給されたX線画像データ信号に関するものであり得る。このように、画像データ信号gを送信するために検出器34と入力インターフェース12との間に信号線46を設けることができる。
【0101】
他の実施態様において、画像データ信号gは検出器34を有するCアームX線ユニットから入力インターフェース12に信号線46を介して供給することができる。
【0102】
代替例において、画像データ信号gは時間的に変化するものであり得る。このように、該画像データ信号gは大動脈弁画像を時間的に変化する態様で示すことができる。従って、大動脈弁画像20は時間的に変化する画像であり得る。大動脈弁画像20は、画像データ信号gに対応して大動脈弁の動きを示すことができる。
【0103】
他の例において、画像データ信号g及び/又は体表面信号bはサーバにより供給される。
【0104】
一例において、画像データ信号g及び体表面信号bは同期した時間的に変化する(時間変化的)信号である。更に、画像データ信号g及び体表面信号bは同期した、生の時間変化的信号であり得る。
【0105】
心臓の大動脈弁は周期的に開閉される。一例において、大動脈弁は大動脈弁断面の少なくとも70%が自由通過状態の場合、開状態である。一例において、大動脈弁は大動脈弁断面の最大で30%が自由通過状態の場合、閉状態である。閉状態と開状態30との間において、大動脈弁は中間状態であり得る。大動脈弁の状態は、当該心臓の拍動と相関し得、及び/又は該心臓の拍動の関数であり得る。心臓の拍動は、該心臓が属する人の表面で検出することができる。例えば、血圧信号は人の表面で検出することができる。血圧信号は心臓の拍動の関数であり得る。対応するように、大動脈弁の状態(特に、開状態30)は血圧信号の関数であり得る。更に、体表面信号は、人の表面において検出することが可能な神経信号であり得る。該神経信号は人の心臓に関係し得る。このように、該神経信号は心臓の拍動を示すことができる。対応するように、大動脈弁の状態(特に、大動脈弁の開状態30)は人の神経の電気信号の関数であり得る。人の表面で検出することが可能な他の信号は、大動脈弁の開状態30を決定するための関数の引数として使用することが可能な信号を表し得る。
【0106】
体表面信号bは、通常、検出するのが容易である。このように、大動脈弁の開状態30に関する情報を提供することは、大動脈弁の開状態30を体表面信号bに基づいて計算することにより容易に行うことができる。
【0107】
更に、表示信号dは表示信号成分を有する。このように、表示ユニット16により表示された表示画像22は、当該大動脈弁に関する及び該大動脈弁の開状態30に関する(少なくとも該大動脈弁が開状態30にある場合)情報を示すことができる。
【0108】
結果として、装置10は表示画像22を提供し、該表示画像は当該大動脈弁及び該大動脈弁を通過するためにカテーテル44を前進させることができる良好な時点に関する情報を容易に受け取ることを可能にする。
【0109】
一例によれば、体表面信号bは血圧信号である。
【0110】
人の血圧は、心臓の拍動に対応して周期的に上昇及び低下する。従って、心拍を血圧信号から決定することができる。更に、大動脈弁の開状態30は心拍に基づいて決定することができる。このように、大動脈弁の開状態30は、血圧信号に基づいて決定することもできる。
【0111】
一例において、体表信号bとしての血圧信号は触覚的血圧センサ38を介して検出することができる。従って、該血圧センサにより供給される血圧信号は、非侵襲的信号である。更に、該血圧信号は非断層撮影的信号である。該血圧信号は容易に検出することができる。対応する検出エレメントは現状技術において既知であり且つ提供される。
【0112】
一例において、上記血圧信号は表面画像カメラを介して検出することができる。血圧の上昇は、人の皮膚を緊縮させ得る。血圧の低下は皮膚を弛緩させ得る。これらの皮膚の変化は、表面画像カメラを介して検出することができる。従って、血圧信号は、表面画像カメラにより供給される信号に基づいて決定することができる。
【0113】
効果として、体表面信号b及び特に血圧信号を供給するために非侵襲的検出エレメントを用いることができる。このような検出エレメントは、容易に実施化することができると共に、低価格のものである。更に、大動脈弁の前に位置する際のカテーテル44の前進のタイミングを提供するために該カテーテル44により更なる検出エレメントは収容する必要がないので、カテーテルの複雑さは限られたものとなり得る。
【0114】
他の例によれば、前記体表面信号bは心臓の電気的活動を示すECG信号である。
【0115】
ECG信号は、心電図信号に関係するものである。ECG信号は、人の体表面に配置された電極により検出することができる。これら電極は、心筋が各心拍の間において脱分極することから生じる皮膚上の電気的変化を検出し得る。このように、ECG信号は、特にECGセンサを有するECG検出ユニットを介して検出することができる。
【0116】
一例において、ECG信号は生のECG信号であり得る。
【0117】
ECG信号が体表面信号bであることの効果は、心臓の動き及び/又は拍動と、対応して測定されるECG信号との間の時間遅延が短いことに関するものである。ECG信号はリアルタイムな信号とすることができる。このように、大動脈弁の状態(特に、大動脈弁の開状態30)を正確に決定することができる。更に、大動脈弁の状態(特に、大動脈弁の開状態30)をリアルタイムに決定することができる。
【0118】
図3には、体表面信号bとしての人体36の周期的ECG信号の一例が示されている。好ましくはqrs群に関係する特徴点q,r,s,tは、人体36の心臓の収縮フェーズを示す。
【0119】
他の例によれば、処理ユニット14は大動脈弁の開状態30の開始48を体表面信号bの予め定められた開開始信号経過50に基づいて認識するように構成され、該処理ユニット14は大動脈弁の開状態30の終了52を体表面信号bの予め定められた開終了信号経過54に基づいて認識するように構成される。
【0120】
このように、大動脈弁の開状態30の開始48及び終了52は、ECG信号から認識することができる。開状態30の開始48から該開状態30の終了52までの時間は、当該大動脈弁の開状態期間を定義することができる。
【0121】
心拍は、通常、周期的特性を有する。従って、大動脈弁の状態を決定することを可能にする体表面信号bも周期的特性を有し得る。このように、各周期における体表面信号bの一部は、開状態の開始48に対して特徴的であり得る。同じ周期における該体表面信号bの他の部分は、当該大動脈弁の開状態30の終了52に対して特徴的であり得る。体表面信号bの斯かる部分は信号経過により定義することができるもので、これらは、体表面信号bの各周期において認識することができ、従って開状態30の開始48及び開状態30の終了52を、各々表す。
【0122】
一例において、体表面信号bにおける開開始信号経過及び/又は開終了信号経過を認識するために、既知の信号検出ステップを実行することができる。該検出は、大動脈弁の開状態30の開始48及び/又は該大動脈弁の開状態30の終了52を各々認識するための基礎となり得る。
【0123】
一例において、心臓の収縮フェーズの開始を示す互いに続く体表面信号bの少なくとも2つの特徴点q,rは、開開始信号経過を特徴付けるものである。
【0124】
他の例において、心臓の収縮フェーズの終了を示す互いに続く体表面信号bの少なくとも2つの特徴点t,uは、開終了信号経過を特徴付けるものである。
【0125】
結果として、心拍の各周期に関し特徴点q,r,s,t,uを検出するために既知の検出技術を用いることができる。検出された特徴点q,r,s,t,uに基づいて、大動脈弁の開状態30の開始48及び/又は大動脈弁の開状態30の終了52を決定することができる。
【0126】
更なる結果として、大動脈弁の開状態30を決定するために強力な方法ステップを用いることができる。開状態30の決定は、既知の技術により供給され得る信号及び前処理結果に基づくものであり得るからである。このように、大動脈弁の開状態30の決定は、強力なものとすることもできる。
【0127】
他の例によれば、前記処理ユニット14は大動脈弁の閉状態56を体表面信号bに基づいて決定するように構成され、その場合において、該処理ユニット14は、該決定された大動脈弁の閉状態56に基づいて、大動脈弁の閉状態56の間において該大動脈弁を閉状態として通知するための更なる表示信号成分(以下、“第3表示成分”とも称する)を計算するように構成される。
【0128】
前述したように、処理ユニット14は各表示信号成分を有する表示信号dを供給するように構成されている。このように、該表示信号は全ての信号成分に、及び上記第3信号成分にも基づくものである。
【0129】
結果として、当該表示画像は、大動脈弁の閉状態の間において該大動脈弁を閉じられたものとして示すために表示29により閉状態56を表すことができる。医師は、表示画像22において大動脈弁が開いているか又は閉じているかを直接見ることができる。大動脈弁の閉状態56の間において、カテーテル44の前進は、少なくとも該カテーテル44が該大動脈弁の前に位置されている場合、停止することができる。
【0130】
大動脈弁の開状態30に関連して提供された全ての例、フィーチャ及び説明を繰り返すことを要せずに、体表面信号bに基づく大動脈弁の閉状態56の決定は該体表面信号bに基づく大動脈弁の開状態30の決定と同様に実行することができると理解される。
【0131】
他の例によれば、処理ユニット14は大動脈弁の閉状態56の開始を体表面信号bの予め定められた閉開始信号経過に基づいて認識するように構成され、該処理ユニット14は大動脈弁の閉状態56の終了を体表面信号bの予め定められた閉終了信号経過に基づいて認識するように構成される。
【0132】
一例において、心臓の拡張フェーズの開始を示す互いに続く体表面信号bの少なくとも2つの特徴点t,uは、上記閉開始信号経過を特徴付けるものである。
【0133】
一例において、心臓の拡張フェーズの終了を示す互いに続く体表面信号bの少なくとも2つの特徴点p,qは、上記閉終了信号経過を特徴付けるものである。
【0134】
一例において、特徴点t,u,p,qは心臓の拡張フェーズを示す。従って、特徴点t,uは、拡張フェーズの開始及び/又は大動脈弁の閉状態56の開始58を示し得る。特徴点p,qは、拡張フェーズの終了及び/又は大動脈弁の閉状態56の終了60を示し得る。
【0135】
更なる例によれば、処理ユニット14は、ECG信号に基づいて、ECG信号画像62を表示するための第4表示信号成分を計算するように構成される。
【0136】
オーバーレイとしてのECG画像62の例が、図5及び図6に例示的に示されるように、表示画像22内に示される。
【0137】
ここで更なる表示信号成分の効果を繰り返すことを要することなく、該表示画像22がECG画像62を有することができることが理解される。一例において、表示画像22は、オーバーレイとしての及び/又は大動脈弁画像20に隣接したECG信号画像62を有する。
【0138】
更なる例において、ECG信号画像62は少なくとも部分的に透明である。
【0139】
更なる例において、ECG信号は生のECG信号であり得る。
【0140】
従って、医師は表示画像22から大動脈弁画像20、ECG画像62及び大動脈弁が開状態30であるか又は閉状態56であるかを示す表示29を受けることができる。表示29は、他の状態(例えば、大動脈弁の中間状態)を有することもでき、該中間状態は開状態30と閉状態56との間及び/又はその逆であり得る。
【0141】
効果として、表示画像22は大動脈弁の関連情報(特に、カテーテル44が大動脈弁を通過されることになっている場合の)に関するコンパクトな全体像を提供することができる。
【0142】
他の例によれば、処理ユニット14は前記第2表示成分を、大動脈弁の開状態30がECG信号画像62において該大動脈弁の開状態30の開始48と該大動脈弁の開状態30の終了52との間にマーキングされるように計算するよう構成される。
【0143】
一例において、ECG画像62において大動脈弁の開状態30をマーキングするために、長方形を持つマーカ64を使用することができる。
【0144】
一例において、ECG画像62において大動脈弁の閉状態56をマーキングするために(特に、該大動脈弁の閉状態56の開始58と該大動脈弁の閉状態56の終了60との間に)、長方形を持つ他のマーカ66を使用することができる。
【0145】
一例において、マーカ64,66は、少なくとも部分的に透明にすることができ、及び/又はECG信号画像62に対してオーバーレイとして配置することができる。
【0146】
他の例によれば、処理ユニット14は前記第2表示成分を、大動脈弁画像20の少なくとも一部が大動脈弁の開状態30の開始48と該大動脈弁の開状態30の終了52との間において第1カラーにより強調されるように計算するよう構成される。
【0147】
他の例によれば、処理ユニット14は前記第3表示画像成分を、大動脈弁画像20の少なくとも一部が大動脈弁の閉状態56の開始58と該大動脈弁の閉状態56の終了60との間において第2カラーにより強調されるように計算するよう構成される。
【0148】
一例において、前記第1カラーは前記第2カラーとは相違する。
【0149】
一例において、前記第1カラーは緑色であり、前記第2カラーは赤色である。
【0150】
一例において、前記強調は各々少なくとも部分的に透明である。
【0151】
他の例によれば、処理ユニット14は前記画像データ信号gに基づいて大動脈弁画像20及び/又は表示画像22内のカテーテル44の先端68の先端位置を認識するように構成され、その場合において、該処理ユニット14は画像データ信号gに基づいて大動脈弁画像20及び/又は表示画像22における大動脈弁の弁位置を認識するように構成され、該処理ユニット14は上記先端位置と弁位置との間のカテーテル距離を計算するように構成され、該処理ユニット14は、該カテーテル距離が予め定められた最小距離より小さい場合は前記第2及び/又は第3信号成分が表示信号dの一部となることを可能にする一方、それ以外の場合は第2及び/又は第3信号成分が該表示信号の一部となることを不能にするよう構成される。
【0152】
効果として、表示画像22は、カテーテル44が大動脈弁の近くにある場合に該大動脈弁の状態に関する情報を有することができる。このように、大動脈弁の状態に関する情報は、斯かる情報が必要とされる場合にのみ表示される。結果として、各表示において提供される情報を低減することができる。このことは、当該装置10及び/又はシステム24を使用する場合に医師の集中力を増加させることができる。
【0153】
図7は、装置10の他の例を例示的に示す。
【0154】
他の例によれば、装置10は音響出力ユニット70を有し、その場合において、前記処理ユニット14は、大動脈弁の決定された開状態30に基づいて、該大動脈弁の開状態30の間において該大動脈弁を開いているとして通知するための音響信号mを計算するように構成され、音響出力ユニット70は該音響信号mに基づいて当該大動脈弁の開状態を音響的に示すよう構成される。
【0155】
効果として、当該装置10を使用する医師は、大動脈弁が開状態30にある場合を音響的に聞き取ることができ、従って当該音響信号mを、カテーテル44を前進させるための良い時間であると認識することができる。
【0156】
他の効果として、ユーザ(特に、医師)は、大動脈弁の状態に関する(特に、該大動脈弁の開状態30に関する)情報を受けるために表示ユニット16を見る必要がない。結果として、医師はカテーテル44を所望の位置に配置するための他の側面に集中することができる。
【0157】
図8は、装置10の他の例を例示的に示す。
【0158】
他の例によれば、装置10は出力ユニット72を有し、その場合において、前記処理ユニット14は、大動脈弁の決定された開状態30に基づいて、該大動脈弁の開状態30の間において該大動脈弁を開いているものとして通知するための出力信号nを計算するように構成され、該出力ユニット72は出力信号nを更なる目的のために供給するよう構成される。
【0159】
効果として、出力信号nは当該装置の他のユニットに又は他の装置に供給することができる。該他のユニット又は他の装置において、出力信号nはユーザ(特に、医師)の注目のために供給することができる。このことは、光学的、音響的及び/又は触覚的に実施することができる。
【0160】
図9は、装置10の他の例を例示的に示す。
【0161】
他の例によれば、装置10はカテーテル44及び信号接続部74を有し、該信号接続部74は装置10の出力ユニット72とカテーテル44とを接続し、カテーテル44は該カテーテル44を操作するためのハンドル76を有し、該カテーテル44はハンドル76に又は該ハンドル76に隣接して、前記出力信号に基づいて大動脈弁の開状態30を触覚的に示すように構成された触覚ユニット(例えば、振動エレメントを有する)78を有する。
【0162】
効果として、カテーテル44を扱う装置10のユーザは、大動脈弁の開状態30に関する情報を触覚的に受けることができる。このように、医師は、装置10の表示ユニット16を見る必要がなく、従って大動脈弁を介してガイドワイヤ及び/又はカテーテル44を前進させる間に他の問題に対して集中することができる。
【0163】
本発明の上記装置及び/又はシステムに関連して提示された全ての例及び説明をここで繰り返すことを要せずに、本発明の方法80を斯かる装置及び/又はシステムの機能的フィーチャを果たすように構成することができることが理解される。このように、上述した例及び説明の全ては(先ずは装置に関連して提供されたが)、本発明の方法により実施されようとするものでもある。このことは、例えば、適切なソフトウェアにより達成することができる。
【0164】
本発明の第3態様によれば、図10に示されるように、大動脈弁の状態を通知する方法80が提供され、該方法は以下のステップを有する。
【0165】
第1受信ステップ82(ステップa)とも称する)において、心臓の大動脈弁画像20を示す画像データ信号gが受信される。
【0166】
第2受信ステップ84(ステップb)とも称する)において、心臓の拍動を示す時間的に変化する体表面信号bが受信される。
【0167】
決定ステップ86(ステップc)とも称する)において、大動脈弁の開状態30が体表面信号bに基づいて決定される。
【0168】
図示ステップ88(ステップd)とも称する)において、大動脈弁の大動脈弁画像20が画像データ信号gに基づいて図示される。
【0169】
通知ステップ90(ステップe)とも称する)において、大動脈弁の開状態30の間において大動脈弁画像20の図示と同時に大動脈弁が開いていると通知される。
【0170】
一例において、方法80のステップc)は、大動脈弁の開状態30の開始48を体表面信号bの予め定められた開開始信号経過50に基づいて認識するサブステップc1)、及び大動脈弁の開状態30の終了52を体表面信号bの予め定められた開終了信号経過54に基づいて認識するサブステップc2)を有する。
【0171】
他の例において、方法80のステップc)は、大動脈弁の閉状態56を体表面信号bに基づいて決定するサブステップc3)、及び、大動脈弁の決定された閉状態56に基づいて、大動脈弁の閉状態56の間において該大動脈弁が閉じていると通知するための第3表示信号成分を計算するサブステップc4)を有する。
【0172】
他の例において、方法80のステップc)は、大動脈弁の閉状態56の開始58を体表面信号の予め定められた閉開始信号経過に基づいて認識するサブステップc5)、及び大動脈弁の閉状態56の終了60を体表面信号bの予め定められた閉終了信号経過に基づいて認識するサブステップc6)を有する。
【0173】
一例において、方法80のステップe)は、大動脈弁画像20の図示と同時にECG信号画像を図示するサブステップe1)を有する。
【0174】
一例において、方法80のステップe)は、大動脈弁の開状態30をECG信号画像62において大動脈弁の開状態30の開始48と大動脈弁の開状態30の終了52との間にマーキングするサブステップe2)を有する。一例において、方法80のステップe)は、大動脈弁画像の少なくとも一部を大動脈弁の開状態30の開始48と大動脈弁の開状態30の終了52との間において第1カラーで強調するサブステップe3)を有する。
【0175】
一例において、方法80のステップc)は、画像データ信号gに基づいて大動脈弁画像20内のカテーテル44の先端68の先端位置を認識するサブステップc7)、画像データ信号gに基づいて大動脈弁画像20内の大動脈弁の弁位置を認識するサブステップc8)、及び前記先端位置と前記弁位置との間のカテーテル距離を計算するサブステップc9)を有する。
【0176】
一例において、方法80のステップe)は、開状態30の間に大動脈弁を開いていると通知し、大動脈弁の開状態30をマーキングし、及び/又は大動脈弁画像の少なくとも一部を第1カラーで強調することを可能にする一方、それ以外の場合は大動脈弁を開いていると通知し、大動脈弁の開状態30をマーキングし、及び/又は大動脈弁画像の少なくとも一部を第1カラーで強調することを不能にするサブステップe4)を有する。
【0177】
一例において、当該方法は、大動脈弁の開状態30及び/又は閉状態56を音響的及び/又は触覚的に示すステップf)を有する。
【0178】
本発明の第4態様によれば、コンピュータプログラム要素が提供され、該コンピュータプログラム要素は処理ユニットにより実行された場合に上述した方法を実行するように構成される。
【0179】
本発明の第5態様によれば、プログラム要素を記憶したコンピュータ読取可能な媒体が提供され、該プログラム要素は処理ユニットにより実行された場合に上述した方法を実行するように構成される。
【0180】
本発明の実施態様は異なる主題に関して説明されていることに注意されたい。特に、幾つかの実施態様は挿入物に関して説明される一方、他の実施態様は装置に関して説明されている。しかしながら、当業者であれば、上記から、特にそうでないと言及しない限り、1つの主題に属するフィーチャの如何なる組み合わせにも加えて、別の主題に関係するフィーチャの間の如何なる組み合わせも本出願により開示されていると見なされることが分かるであろう。しかしながら、全てのフィーチャは、これらフィーチャの単なる寄せ集め以上の相乗効果をもたらすよう組み合わせることができる。
【0181】
以上、本発明を図面及び上記記載において詳細に図示及び説明したが、このような図示及び説明は解説的又は例示的なものであって限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施態様に限定されるものではない。開示された実施態様に対する他の変形例は、当業者によれば、請求項に記載された本発明を実施するに際して図面、当該開示及び従属請求項の精査から理解し、実施することができる。
【0182】
尚、請求項において“有する”なる文言は他の要素及びステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一のインターフェース又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。また、請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。
図1
図2
図3-4】
図5
図6
図7
図8
図9
図10