特許第6873139号(P6873139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873139
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】回転車両の前輪部
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20210510BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20210510BHJP
【FI】
   B62K5/10
   B62K5/027
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-533629(P2018-533629)
(86)(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公表番号】特表2019-500265(P2019-500265A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】IB2016058044
(87)【国際公開番号】WO2017115293
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年9月27日
(31)【優先権主張番号】102015000088101
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソッチ,ルチアノ
(72)【発明者】
【氏名】ラッファエッリ,アンドレア
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/046280(WO,A1)
【文献】 特開2015−123959(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0006498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つまたは4つの車輪を有する回転車両の前輪部であって、
−前輪部フレーム(16)と、
−前輪が同期して鏡面的に回転することを可能にする運動学的回転機構(20)によって相互に、かつ前記前輪部フレーム(16)に運動学的に連結された少なくとも1対の前輪(10´,10´´)であって、各車輪(10´,10´´)が、それぞれの車軸ジャーナル(60)によって前記回転運動機構(20)に連結され、前記車軸ジャーナル(60)が、回転軸(R´−R´,R´´−R´´)の周りに前記それぞれの車輪(10´,10´´)を回転可能に支持するために、それぞれの車輪(10´,10´´)の回転ピン(68)に機械的に連結されている、少なくとも1対の前輪(10´,10´´)と、
−ロールブロックシステム(100)と、
−前記運動学的回転機構(20)に対して少なくとも1つのスプリングサスペンション運動を各車軸ジャーナル(60)に提供するサスペンション手段(90)と、
−各前輪(10´,10´´)のそれぞれの操舵軸(S´−S´,S´´−S´´)の周りの前記車軸ジャーナル(60)の前記回転を命令するのに適した操舵装置(36)と、
を備え、
前記ロールブロックシステム(100)は、長さ伸縮ロッド(110)の両端のヒンジ手段(71,72,73)によって、前記それぞれの車軸ジャーナル(60)に対応する前記2つの前輪(10´)の1つを、前記前輪部フレーム(16)に直接連結する前記長さ伸縮ロッド(110)を備え、前記前輪部フレーム(16)は、前記運動学的回転機構(20)によって許容される回転運動において前記車軸ジャーナル(60)に追従するのに適しており、前記長さ伸縮ロッド(110)は、前記車軸ジャーナル(60)および前記前輪部フレーム(16)に対して空間的に向きを変化させることによって、前記車軸ジャーナル(60)および前記前輪部フレーム(16)の動きに受動的に追従するのに適しており、
前記ロールブロックシステム(100)は、前記回転運動機構(20)によって許容される前記回転運動を阻止するのに適するように、前記車軸ジャーナル(60)および/または前記前輪部フレーム(16)に対して、前記回転車両の長手方向(X−X)を横断する平面に対応する回転面上で前記伸縮ロッド(110)の設置位置を可逆的に固定するのに適した可逆的ブロック手段(120,130)を備え、前記設置位置は、前記車軸ジャーナル(60)に関連する前記車輪(10´)の前記回転軸(R´−R´,R´´−R´´)に直交する基準平面を有する垂直投影平面上の前記ロッド(110)の投影によって形成される角度(α)によって画定され、前記垂直投影平面は中心線平面(M−M)を横切ることを特徴とする、前輪部。
【請求項2】
前記ヒンジ手段(71,72,73)が、ボールジョイント(71)またはボールジョイントと運動学的に等価な装置(72,73)によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の前輪部。
【請求項3】
ボールジョイントと運動学的に等価な前記装置(72,73)が、互いに直交する軸を有する筒状ヒンジ対(72,73)によって構成される、請求項2に記載の前輪部。
【請求項4】
各対の前記2つのヒンジの一方の第1のヒンジは前記2つの前輪(10´,10´´)の前記回転面と直交するヒンジ軸を有する、請求項3に記載の前輪部。
【請求項5】
長さを伸縮できる前記ロッド(110)が、一般的な長手方向の伸縮方向に沿って互いに入れ子式に関連付けられた少なくとも2つの部分(111,112)によって形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の前輪部。
【請求項6】
前記2つのロッド(111,112)部分は、筒状に結合されて互いに関連づけられ、一般的な長手方向の前記伸縮方向の周りに自由に相対的に回転することを可能にする、請求項5に記載の前輪部。
【請求項7】
前記可逆的ブロック手段(120)が、前記車軸ジャーナル(60)または前記前輪部フレーム(16)に対する前記伸縮ロッド(110)の前記回転をブロックするのに適し、前記ロッド(110)は自由に長さを伸ばすことができる、請求項1からいずれか1項に記載の前輪部。
【請求項8】
前記可逆的ブロック手段(120)が、前記伸縮ロッド(110)が前記車軸ジャーナル(60)または前記前輪部フレーム(16)に連結された端部の少なくとも1つに対応して前記ロッド(110)の回転をブロックするのに適し、前記ヒンジ手段(72,73)に直接的または間接的に作用する、請求項に記載の前輪部。
【請求項9】
前記可逆的ブロック手段(120)が、少なくとも部分的にそれらの回転をブロックする前記ヒンジ手段(72,73)に直接作用するように構成され、前記可逆的ブロック手段(120)が作用する前記ヒンジ手段が、互いに直交する軸を有する筒状ヒンジ対(72,73)によって構成され、前記手段(120)が作動していない場合、前記伸縮ロッド(110)が前記回転面と平行に動くことができるように、前記対の前記2つのヒンジ(72,73)の一方の第1のヒンジ(72)が前記2つの前輪(10´,10´´)の前記回転面と直交するヒンジ軸を有し、
前記可逆的ブロック手段(120)は、前記ロッド(110)が前記車軸ジャーナル(60)または前輪部フレーム(16)に対して前記回転面上で回転することを防止するように、前記第1のヒンジの周りの前記ロッド(110)の前記回転をブロックするのに適している、請求項に記載の前輪部。
【請求項10】
前記可逆的ブロック手段が、前記ロッド(110)の前記少なくとも1つの端部に対する前記回転を可逆的にブロックするための直交軸を有する前記ヒンジ対(72,73)の前記第1の筒状ヒンジ(72)に関連するバンドブレーキ(120)またはドラムブレーキを備える、請求項に記載の前輪部。
【請求項11】
前記可逆的ブロック手段(120)が、少なくとも部分的にそれらの回転をブロックする前記ヒンジ手段(72,73)に間接的に作用するように構成され、前記可逆的ブロック手段(120)は、長さを固定する手段が設けられ、前記伸縮ロッド(110)を前記車軸ジャーナル(60)または前記前輪部フレーム(16)に斜めに連結する長さが伸縮できるストラットを備え、前記ストラットは、ヒンジ手段によって前記ロッド(110)と前記車軸ジャーナル(60)または前記前輪部フレーム(16)の両方に連結されており、前記ストラットが長さを自由に伸長できる状態のままである場合、前記伸縮ストラットは前記車軸ジャーナルおよび前記前輪部フレームに対して前記伸縮ロッドの動きを妨げないように構成され、一方長さが固定されている場合、前記伸縮ストラットは、ロッドと車軸ジャーナルとの間またはロッドとフレームとの間の前記共通の設置平面において、前記車軸ジャーナルに対して、または前記フレームに対して前記ロッドの前記回転を防ぐように構成され、前記伸縮ストラットは、固定された場合であっても、前記ロッド(110)が自由に長さを伸ばすのに適するように配置される、請求項に記載の前輪部。
【請求項12】
前記可逆的ブロック手段(130)は、前記伸縮ロッド(110)から連結された前記車軸ジャーナル(60)と前記前輪部フレーム(16)の前記2つの点の間の前記距離(D)を固定することによって、前記設置位置を固定し、前記ロッド(110)の長さの伸びを防止するのに適している、請求項1からいずれか1項に記載の前輪部。
【請求項13】
前記車軸ジャーナル(60)上の前記ロッド(110)の前記連結点が、前記各車軸ジャーナル(60)の前記操舵軸(S´−S´,S´´−S´´)上に位置している、請求項12に記載の前輪部。
【請求項14】
前記運動学的回転機構(20)が、2つの懸架アームを有するシステムである、請求項12または13に記載の前輪部。
【請求項15】
前記伸縮ロッド(110)は、前記車軸ジャーナルの任意の部分上で前記車軸ジャーナル(60)に連結され、前記各車軸ジャーナル(60)の前記操舵軸(S´−S´,S´´−S´´)上に配置され、前記前輪部フレームの任意の部分上で前記前輪部フレーム(16)に連結される、請求項14に記載の前輪部。
【請求項16】
前記運動学的回転機構(20)は、中間ヒンジ(28)に対応して前記前輪部フレーム(16)にヒンジ止めされた一対のクロスメンバ(24´,24´´)を備えた関節式四辺形システムであり、前記クロスメンバ(24´,24´´)は、側部ヒンジ(52)に対応して前記横方向端部(40,44)で枢動される直立部(48´,48´´)によって、対向する前記横方向端部(40,44)に対応して互いに連結され、前記クロスメンバ(24´,24´´)および前記直立部(48´,48´´)は、前記関節型四辺形(20)を画定し、各前記直立部(48´,48´´)は、前記前輪(10´,10´´)の1つの車軸ジャーナル(60)をガイドし支持する、請求項12または13に記載の前輪部。
【請求項17】
前記車軸ジャーナル上の前記ロッド(110)の前記連結点は、前記車軸ジャーナル(60)に関連する前記直立部(48´´)の前記理想的な設置平面(Z−Z)上に位置し、前記理想的な設置平面(Z−Z)は前記2つの側部ヒンジ(52)の前記軸を通り、一方、前記前輪部フレーム(16)上の前記ロッド(110)の前記連結点は前記2つの中間ヒンジ28を通る前記設置平面上にあり、前記ロッド(110)の前記2つの連結点は、前記関節型四辺形システムの前記2つのクロスメンバに平行でない方向に従って相互に整列している、請求項16に記載の前輪部。
【請求項18】
前記車軸ジャーナル上の前記ロッド(110)の前記連結点は、前記車軸ジャーナル(60)に関連する前記直立部(48´´)の前記理想的な設置平面(Z−Z)上に位置せず、前記理想的な設置平面(Z−Z)は前記2つの側部ヒンジ(52)の前記軸を通り、または、前記前輪部フレーム(16)上の前記ロッド(110)の前記連結点は前記2つの中間ヒンジ(28)を通る前記設置平面上に位置せず、前記ロッド(110)の前記2つの連結点は、前記関節型四辺形システムの前記2つのクロスメンバ(24´,24´´)に対して任意の方向に沿って相互に整列している、請求項16に記載の前輪部。
【請求項19】
前記2つの連結点は、前記関節型四辺形システムの前記2つのクロスメンバ(24´,24´´)に平行な方向である、請求項18に記載の前輪部。
【請求項20】
前記可逆的ブロック手段(130)が、前記伸縮ロッド(110)の前記2つの部分(111,112)の前記相互の入れ子式の摺動を阻止し、前記ロッドの前記長さを固定するのに適している、請求項4と、請求項12から19のいずれか1項に記載の前輪部。
【請求項21】
前記可逆的ブロック手段(130)が、前記ロッド(110)の前記2つの入れ子部(111,112)に作用するキャリパブレーキシステム(130)によって構成される、請求項20に記載の前輪部。
【請求項22】
前記可逆的ブロック手段(130)が、前記ロッド(110)の前記2つの入れ子部(111,112)に作用するラチェットギヤシステム(130)によって構成される、請求項20に記載の前輪部。
【請求項23】
請求項1から22いずれか1項に記載後および前輪部(8)に駆動輪を有する車両(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールブロックを有する回転車両(動力車)の前輪部に関する。
【0002】
に、本発明による車両は、前輪部に2つの操舵輪および回転輪と後部に固定された車軸駆動輪とを備えた車両であってもよい。
【背景技術】
【0003】
車両の分野では、ハンドリングの面でオートバイの特性と、四輪車の安定性の特性を組み合わせた「ハイブリッド」車両の供給が増加している。
【0004】
そのようなモデルは、例えば、2つの前操舵輪を備えた三輪車両とQUADとして知られる4輪車両によって表される。
【0005】
より具体的には、前述の三輪車両は、前輪部に2つの操舵輪および回転輪(チルトまたは傾斜)を備え、後部に固定の車軸駆動輪を備える。後輪は、トルクを提供して牽引を可能にすることを意図しており、対になっている前輪は、車両の方向性を提供することを意図している。前輪部の車輪対は、操舵するだけでなく傾けたり、回転させることができる。この解決策のおかげで、後車軸に2つの車輪を備えた三輪車と比較して、前輪部に2つの車輪を備えた車両はオートバイのようにカーブで傾斜できるため実際のオートバイのようである。2輪のみの車両と比較して、前輪部に対の2つの車輪を有するこのような車両は、自動車によって提供されるものと同様に、前輪の地面上の二重支持によって、より大きな安定性が保証される。
【0006】
例えば関節型四辺形の介在によって、前輪が同期して鏡面的に回転することを可能にする運動機構によって、前輪は互いに運動学的に連結されている。このような車両にはさらに、独立したショックアブソーバを備えた2つの独立したサスペンションが、2つの前輪の各々に対して1つ設けられている。
【0007】
したがって、回転三輪車両は、二輪オートバイの取り扱いと同時に、四輪車両の安定性および安全性をユーザに提供するように設計されている。
【0008】
この種の回転三輪車両は、例えば、同じ出願人の、イタリア特許出願第2003MIA001108号明細書に記載されている。
【0009】
この種の車両の構造上の特質のために、例えば、非常に低速で、あるいは制動または停止中などの特定の走行条件下では、偶発的および/または制御されない回転運動の結果として車両が転倒する可能性がある。
【0010】
この問題は、前述の車両に、ユーザによる手動または自動制御システムによって操作されるロールブロックシステムを装備することによって対処されている。
【0011】
そのような車両用のロールブロックシステムは、例えば、同じ出願人の、イタリア特許出願第2004A000171号明細書に記載されている。ロールブロックシステムは、関節型四辺形構造および2つの独立したフロントサスペンションを備えた操舵システムを備えた回転車両に関連して記載されている。ロールブロックシステムは、それによって許容される横転を防止するように、関節型四辺形の動きをブロックするのに適した機械的キャリパと、2つの車輪の非対称のスプリングサスペンション運動によって生じる回転を防止するように、ショックアブソーバと平行に配置されたロッドに作用する電動モータによって同時に作動される2つの油圧式キャリパと、を備える。
【0012】
上述のブロックシステムの欠点は、その複雑さにある。実際には、3つの別々のブロック装置が必要であり、関節型四辺形に作用する1つと、ショックアブソーバに作用する2つである。
【0013】
関節型四辺形構造を備えた操舵システムを備えた回転車両を意図した他のアンチロールシステムは、欧州特許出願第2810861A1号明細書、フランス特許第2953184号明細書および欧州特許第2345576B1号明細書に記載されている。このようなアンチロールシステムは、関節型四辺形構造上で直接動作し、関節型四辺形の動きをブロックすることによって回転をブロックする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したアンチロールシステムはすべて、関節型四辺形構造を有する操舵システム上で動作するように特別に設計されているため、この構造およびその機械的構成の存在に直接結びついている。
【0015】
したがって、機械的に製造がより容易であり、車両に存在する回転運動機構に関係なく適用可能なロールブロックシステムを備えた回転車両を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の目的は、従来の解決策よりも機械的に簡単な方法で、非対称スプリングサスペンション運動によらない、回転運動をブロックできるロールブロックシステム(回転阻止システム)を備えた回転車両(動力車)の前輪部を提供することにより、従来技術に関連して上述した問題を排除するか、少なくとも低減することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、従来の解決策よりも機械的に簡単なロールブロックシステムを備えた回転車両の前輪部を利用可能にすることであり、これは非対称スプリングサスペンション運動に関連するものを含めて、全ての回転運動をブロックすることを可能にする。
【0018】
本発明の更なる目的は、製造および前記車両への取り付けが構築的に簡単で安価であるロールブロックシステムを備えた回転車両の前輪部を利用可能にすることである。
【0019】
本発明の技術的特徴は、添付の特許請求の範囲の内容から明らかに理解でき、本発明の利点は非限定的な例として、1つまたは複数の実施形態を示す添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明からより明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態による関節型四辺形傾斜システムを備え、ロールブロックシステムを備えた前輪部を備えた車両の部分斜視図を示す。
図2図1の矢印IIの側から見た図1の車両の直交平面図を示す。
図3図1の矢印IIIの側から見た図1の車両の背面図を示す。
図4図1の車両の前輪部の後部斜視図を示す。
図5】本発明の第2の実施形態によるロールブロックシステムを備えた図1の車両の前輪部の後部斜視図を示す。
図6a】関節型四辺形傾斜システムを備えた本発明による車両の2つの前輪の間の非対称スプリングサスペンション運動の効果を、本発明によるロールブロックシステムのそれぞれ2つの概略図および簡略図を、非対称スプリングサスペンション運動がないものと、非対称スプリングサスペンション運動があるものとを用いて示し、地面は文字Gで示されている。
図6b】関節型四辺形傾斜システムを備えた本発明による車両の2つの前輪の間の非対称スプリングサスペンション運動の効果を、本発明によるロールブロックシステムのそれぞれ2つの概略図および簡略図を、非対称スプリングサスペンション運動がないものと、非対称スプリングサスペンション運動があるものとを用いて示し、地面は文字Gで示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前述の図を参照すると、参照番号4は本発明による車両を全体的に示している。
【0022】
本発明の目的のために、車両という用語は広い意味で考慮すべきであり、少なくとも3つの車輪、すなわち、以下に詳細に説明するように2つの整列した車輪と、少なくとも1つの後輪を有する任意のオートバイを含むということを示すべきである。したがって、このような定義はまた、前輪部に2つの車輪を有し、後車軸に2つの車輪を有する、いわゆるクワッドバイクも含む。
【0023】
車両4は、少なくとも2つの前輪10を支持する、前輪部8から1つまたは複数の後輪14を支持する後部12まで延在するフレーム6を備える。左10´および右10´´の定義が純粋に形式であり、車両の運転者に対する意味を有する左前輪10´と右前輪10´´とを区別することが可能である。前記車輪は、それを運転する運転者の観測点と比較して、車両の中心線平面M−Mの左右に配置される。
【0024】
以下の説明および図面において、それを運転する運転者の観測点と比較して、前輪部の左および右にそれぞれ部品を示すために、引用符´および´´を使用して、前記中心線平面M−Mに関する前輪部の対称的または鏡面的要素について参照する。
【0025】
本発明の目的のために、車両のフレーム6は、任意の形状、サイズであってもよく、例えば、格子タイプ、ボックスタイプ、クレードル、シングルまたはダブルなどであってもよい。車両のフレーム6は、一体型であってもよいし、複数の部品であってもよく、例えば、車両のフレーム6は、1つまたは複数の後部駆動輪14を支持する振動する後部フォーク(図示せず)を備え得る後部フレーム13と相互連結する。前述の後部振動フォークは、直接ヒンジによって、またはレバー機構および/または中間フレームの介在によってフレーム6に連結されてもよい。
【0026】
本発明の一般的な実施形態によれば、車両の前輪部8は、前輪が同期して鏡面的(対称的に)に回転することを可能にする回転運動機構20によって、互いに、また前輪部フレーム16に運動学的に連結される前輪部フレーム16と前輪対10´および10´´とを備える。
【0027】
前述の回転運動機構により、前述の前輪部フレーム16は、回転運動機構20によって許容される回転運動において車軸ジャーナル60に追従する。回転運動機構20によって許容される回転運動は、車軸ジャーナルおよび関連する車輪の非対称スプリングサスペンション運動に起因する回転運動を含まない。
【0028】
後の説明でさらに説明するように、回転運動機構は、前輪が同期的かつ鏡面的に回転することを可能にするように機能する限り、任意の構成を有することができる。特に、このような回転運動機構は、関節型平行四辺形システム(添付図面の実施形態に示されるように)として構成されたシステムであってもよいし、懸架された縦アームシステムであってもよい。
【0029】
各車輪10´および10´´は、回転軸R´−R´およびR´´−R´´の周りに回転可能に支持するために、車輪の回転ピン68に機械的に連結されるそれぞれの車軸ジャーナル60によって前述の回転運動機構20に連結される。
【0030】
車輪の「車軸ジャーナル」は、前記車輪の回転ピンを支持し、それを運動学的にサスペンションに、操舵装置に、かつ前述の回転運動機構20に相互連結するように設計された車両の機械的部分であると理解される。車軸ジャーナルは車輪ピンに対して自由度がなく、したがってそれと運動学的に一体である。車軸ジャーナルは、車輪ピンと一体に形成されてもよく、機械的に拘束されて単一部品を形成してもよい。
【0031】
車両の前輪部8は、
【0032】
−ロールブロックシステム(100)と、
【0033】
−各車軸ジャーナル60に、回転運動機構20に対して少なくとも1つのスプリングサスペンション運動T−Tを提供するサスペンション手段90と、
【0034】
−各前輪10´および10´´のそれぞれの操舵軸S´−S´およびS´´−S´´の周りの車軸ジャーナル60の回転を命令するのに適した操舵装置36と、を備える。
* * *
【0035】
好ましくは、添付の図面に示すように、前述の運動学的回転機構20は、関節型四辺形システムである。
【0036】
より詳細には、そのような関節型四辺形システム(関節のある四辺形システム、連結式の四辺形システム)は、中間ヒンジ28で前輪部フレーム16にヒンジ止めされたクロスメンバ対24´および24´´を備える。クロスメンバ24´および24´´は、側部ヒンジ52で前記横方向端部40および44で枢動される直立部48´および48´´によって、対向する横方向端部40および44で互いに連結される。クロスメンバ24および24´´および直立部48´および48´´は、前述の関節型四辺形20を画定する。
【0037】
作動可能に、直立部48´および48´´のそれぞれは、前記前輪10´および10´´の1つの車軸ジャーナル60をガイドし支持する。
【0038】
有利に、添付の図面に示された実施形態で提供されるように、関節型四辺形運動学的回転機構20は、各直立部48´および48´´がそれぞれの前輪10´および10´´の車軸ジャーナル60を主伸縮軸T−Tと同軸にガイドして支持するように製造されてもよい。そのような場合、各前輪のサスペンション手段90は、関連する直立部に一体化され、車軸ジャーナル60に、直立部48´および48´´の主伸縮軸T−Tに沿った直線スプリングサスペンション運動を提供する。
【0039】
より具体的には、車軸ジャーナル60は、直立部48´および48´´と同軸に配置されたスリーブ88を備える。車軸ジャーナル60と直立部48´および48´´との間には、車輪10のサスペンション手段90が配置される。例えば、サスペンション手段90はスプリングおよび/またはダンパを備える。
【0040】
特に、直立部48´および48´´は、中空であり、少なくとも部分的に、サスペンション手段90を内部に収容する。好ましくは、サスペンション手段90は、それぞれの直立部48´および48´´に対して同軸に配置される。
【0041】
好ましくは、そのような実施形態によれば、各車軸ジャーナル60とそれぞれの直立部48´および48´´との間の結合は、直立部48´および48´´の主伸縮軸T−Tに対して車軸ジャーナル60の並進および回転の両方を可能にするように、筒状タイプである。各前輪10´および10´´は、関連直立部48´および48´´の主伸縮および対称軸T−Tに一致する操舵軸S´−S´およびS´´−S´´を有する。
【0042】
特に、各直立部48´および48´´は、上端部48sから下端部48iまで延在する。各前輪10´および10´´(車軸ジャーナル60と一体化されている)の回転ピン68は、関節型四辺形運動学的回転機構20の対応する直立部48´および48´´の上端部48sと下端部48iとの間に配置される。
【0043】
あるいは、図示されていない実施形態によれば、関節型四辺形運動学的回転機構20は、回転−並進型運動学的連結システムによって、各直立部材がそれぞれの前輪10´および10´´の車軸ジャーナル60を、自身の外部にガイドして支持するように製造されてもよい。
【0044】
より具体的には、各車軸ジャーナル60は、支持ブラケットによって支持されており、この支持ブラケットは、各直立部材の上端部および下端部に対応して配置された操舵ヒンジによって前述の関節型四辺形20にヒンジ止めされる。前記操舵ヒンジは、車輪10´および10´´のそれぞれの操舵軸S´−S´およびS´´−S´´を互いに平行に画定する。
【0045】
車軸ジャーナル60は、それぞれの傾斜軸を画定し、車軸ジャーナル60と支持ブラケットとの間の回転−並進連結を実現する少なくとも3つの傾斜ヒンジによって、対向する上部および下部軸方向端部で支持ブラケットにヒンジ止めされている。特に、車軸ジャーナル60は、2つの前記ヒンジによって連結ロッドを介して支持ブラケットにヒンジ止めされる。
【0046】
各前輪のサスペンション手段は、特に、それぞれの車軸ジャーナル60に一体化されてもよい。より具体的には、車軸ジャーナル60は、内部にスプリングが挿入され、ロッドによって支持ブラケットに機械的に連結されたシースを備える。シースは、スプリングの作用下でロッドに対して平行移動可能である。動作可能に、そのようなシステムは、曲線の軌道に沿ったスプリングサスペンション運動を画定する。
【0047】
添付の図面に示されていない実施形態によれば、前述の運動学的回転機構20は、2つの懸架アームを有するシステムであってもよい。
【0048】
より具体的には、そのようなシステムは、特に、車両の中心線平面M−Mを横切る共通の回転軸の周りを回転するために、その第1の端部で前輪部フレームにヒンジ止めされた2つの懸架アームを備えることができる。第1の端部に対向するその第2の端部で、両方の前記アームはサスペンション手段によって懸架され、次にロッカアームによって支持され、前輪部フレームにヒンジ止めされる。2つの前輪10´および10´´の回転運動は、2つの懸架アームおよびロッカアームの振動によって許容される。各懸架アームは、その第2の端部において、2つの前輪10´および10´´のうちの1つの車軸ジャーナル60を支持する。特に、各車軸ジャーナル60は、各懸架アームに回転自在に連結されて、自身の操舵軸S´−S´およびS´´−S´´を中心に回転する。操舵装置は、車軸ジャーナルと一体の2つの把持部に作用する。
* * *
【0049】
本発明の第1の態様によれば、前述のロールブロックシステム100は、その両端のヒンジ手段71、72および73によって、それぞれの車軸ジャーナル60における2つの車輪10´および10´´の1つを前述の前輪部フレーム16に直接連結する長さ(全長)が伸縮できるロッド110を備える。
【0050】
機能的には、両端部に設けられた前記ヒンジ手段71、72および73により、前述の伸縮ロッド110は、車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16に対して空間的に向きを変化させることによって、それらの動きに受動的に追従するのに適している。
【0051】
好ましくは、前述の伸縮ロッド110がその両端で車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16に連結されるヒンジ手段は、ボールジョイント71またはボールジョイント71と運動学的に等価な装置72および73からなる。このようにして、伸縮ロッド110は、ジャミングまたはブロックを生じることなく、車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16の動きを支援することができる。
【0052】
特に、球形ジョイントと運動学的に類似する前述の装置は、互いに直交する軸を有する筒状ヒンジ対72および63から構成されてもよい。
【0053】
好ましくは、対の(一対の)第1のヒンジ72は、2つの前輪10´および10´´の回転面に直交する自身のヒンジ軸を有する。有利には、このヒンジ式解決策により、可逆的ブロック手段が作動していない場合、ロッド110は前述の回転面と平行に移動することができる。このようにして、回転面上の運動部品とそれに直交する平面上の運動部品とを分離することも可能である。この選択は、直立部が直線運動(図を参照)に従って車軸ジャーナルの運動をガイドする関節型四辺形で、回転運動機構が構成される特定の場合に好ましい。「回転面」は、長手方向X−Xまたは車両の走行方向に横断し、したがって車両の中心線平面M−Mに付随する平面を意味すると理解される。
【0054】
有利には、図4および図5に示すように、ロッド110は、一端が球形ジョイント71に連結され、他端が直交軸を有するヒンジ対72および73に連結され、そのうち第1のヒンジは回転面に対して垂直なヒンジ軸を有する。
【0055】
回転運動機構が車軸ジャーナルへの直線スプリングサスペンション運動を許容しない特定の場合、好ましくは、伸縮ロッド110のヒンジ手段はボールジョイントからなり、前記ロッド110の運動におけるジャミングを防ぐ。
【0056】
有利には、ボールジョイント71またはヒンジ対72および73は、前記車軸ジャーナルと一体の支持要素63によって車軸ジャーナル60に連結される。
【0057】
好ましくは、長さ(全長)が伸縮できる各ロッド110は、長手方向の主伸縮方向に沿って互いに入れ子式に結合された少なくとも2つの部分111および112から形成される。好ましくは、ロッド110のこのような2つの部分111および112は、筒状の結合によって互いに関連付けられ、前記長手方向の主伸縮方向の周囲で相対的に自由に回転できる。
* * *
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、ロールブロックシステム100は、前述の回転運動機構20によって可能にされる回転運動をブロックするのに適するように、車軸ジャーナル60および/または前輪部フレーム16に対して、回転面上で伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロックするのに適した可逆的ブロック手段120および130を含む。
【0059】
「回転面」は、長手方向X−Xまたは車両の走行方向に横断し、したがって車両の中心線平面M−Mに付随する平面を意味すると理解される。
【0060】
回転面上のロッドの設置位置は、前記車軸ジャーナル60に関連する車輪の回転軸R´−R´およびR´´−R´´に直交する基準平面を有する、中心線平面M−Mを横切る垂直投影平面上のロッド110の投影によって形成される角度αによって画定される。より詳細には、角度αは、投影面と基準面との間で決定される交線と、ロッドの投影線との間に画定される。
【0061】
前記垂直投影面は実質的に回転面に対応する。したがって、垂直投影面は、(車輪が中心線平面に平行である場合)中心線平面M−Mと完全に直交することができるか、(車輪が操舵されている場合)中心線平面M−Mに対して傾斜することができる。
【0062】
言い換えれば、回転面上の伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロックするのに適した前記可逆的ブロック手段120および130は、車輪10´および10´´の回転運動に映画的に対応する伸縮ロッド110の運動を選択的にブロックすることができる。
【0063】
言い換えると、前記ロールブロックシステム100は、前記長さ伸縮ロッド(全長伸縮ロッド)110の両端のヒンジ手段71、72および73によって、それぞれの車軸ジャーナル60に対応する前記2つの前輪10´の1つを、前記前輪部フレーム16に直接連結する長さ伸縮ロッド110を備える。前記長さ伸縮ロッド110は、前記車軸ジャーナル60および前記中心線平面M−Mを含む平面または前記中心線平面M−Mに平行な平面に対して空間的に向きを変えることによって、前記車軸ジャーナル60および前記前輪部フレーム16の運動に受動的に追従するように適合される。ブロックシステム100は、前記車軸ジャーナル60および前記中心線平面M−Mを含む平面または前記中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向を可逆的にブロックし、それにより前記運動学的回転機構(20)によって許容される回転運動を排他的にブロックするのに適した可逆的ブロック手段120および130を備える。
【0064】
このようにして、回転運動のみがブロックされ、操舵運動は妨げられない。好ましくは、伸縮ロッド110は、前記中心線平面M−Mに対応して前輪部フレーム16に連結される。しかし、伸縮ロッド110は、中心線平面M−Mに平行な平面に対応して前輪部フレーム16に連結することができる。
【0065】
残りの説明および特許請求の範囲では、「車軸ジャーナルおよび中心線平面M−Mを含む平面または中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッドの空間的配向を可逆的にブロックするのに適した可逆的ブロック手段120および130」という表現、および「車軸ジャーナル60および/または前輪部フレーム16に対して、回転面上の伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロックするのに適した可逆的ブロック手段120および130」という表現は、同等かつ互換性のある表現とみなされるべきである。
【0066】
動作的に、伸縮ロッド110の設置位置のブロック(言い換えれば、前記車軸ジャーナル60および中心線平面M−Mを含む平面または中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向のブロック)は、車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間の相対位置のブロックを自動的に決定し、これは、回転運動機構20のブロック、したがってそれによって許容される回転運動のブロックと同等である。
【0067】
したがって、車軸ジャーナル上のブロック作用は、少なくとも、運動学的回転機構によって許容される回転運動に関して、他の車軸ジャーナルにも自動的に伝達される。2つの車軸ジャーナルおよび2つの前輪10´および10´´は、実際には、運動学的回転機構20によって、同期的かつ鏡面的に(対称的に)回転するように互いに運動学的に連結されている。
【0068】
それぞれのサスペンションによって許容される車軸ジャーナルのスプリングサスペンション運動に関しては、以下のことが注目される。
【0069】
ロッド110が車軸ジャーナル60を前輪部フレーム16に直接相互連結するという事実により、伸縮ロッド110の設置位置のブロック(言い換えれば、ジャーナルおよび中心線平面M−Mを含む平面または中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向のブロック)は、ロッド110が連結される前記車軸ジャーナルのスプリングサスペンション運動(バネのサスペンション運動)のブロック(阻止、固定)を自動的に決定する。
異なって、ロッド110との相互連結の影響を受けない他の車軸ジャーナルのスプリングサスペンション運動は、図6a(非対称スプリングサスペンション運動がない状況でのロールブロックシステムの状態を模式的に示す)を図6b(非対称スプリングサスペンション動作を伴う状態を示す)と比較することによって分かるように、代わりに、依然として許容される。したがって、従来のロールブロック装置に対して、本発明によるロールブロックシステム(回転ブロックシステム)は、少なくとも前述のように定義された一般的な実施形態では、前輪の非対称スプリングサスペンション運動による回転運動を部分的にのみ抑制する。図6aおよび図6bから、実際には、そこに示された関節型四辺形運動学的回転機構が、ある状況から別の状況に移行する構成を変化させないことが分かる。
【0070】
したがって、性能に関して、本発明によるロールブロックシステム(回転阻止システム)は、関節型四辺形のブロックを有し、単一のショックアブソーバのブロックを有する従来のロールブロックシステムと同等である。しかしながら、このレベルの性能は、2つのブロック(四辺形とショックアブソーバ)を有する従来のシステムで得られるが、本発明によるロールブロックでは、このレベルの性能は単一のブロック要素、すなわち車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間の相互連結ロッド、で得られる。したがって、同じ性能に対して、本発明によるロールブロックシステムは、従来のブロックより機械的に簡単である。
【0071】
同じ数のブロック部品であっても、本発明によるブロックシステムは、従来のブロックシステムよりも優れた性能を発揮する。
【0072】
そのような目的のために、本発明によるブロックシステム(単一のブロックを有する)と、関節型四辺形のみのブロックを有する、すなわちショックアブソーバのブロックを有さない従来のシステムとの間の比較を以下に提案する。作動的な観点から、本発明による単一車軸ジャーナルのスプリングサスペンション運動をブロックすることにより、車両が回転において遭遇する剛性は、回転運動機構の運動のみを抑制し、サスペンションおよび相対的なショックアブソーバのブロックに介入しないロールブロックシステムを有する従来の車両が遭遇する剛性よりもはるかに大きいと言える。実際に、そのような従来の車両を、側方に押すことによって上述の動作状態(ショックアブソーバは自由で、回転運動機構はブロック(固定)されている)で回転しようとすると、連続する2つのサスペンションを見て、各スプリングの半分の剛性に等しい剛性に気づく。本発明によるロールブロックを有する車両に対して同じ試験を実施すると異なって、フリーショックアブソーバの剛性のみが分かる。したがって、等しい力が作用することにより、車両は半分傾斜する。
【0073】
したがって、本発明が提供するロールブロックは、従来のシステムがショックアブソーバのブロックを含まないか、または前記ブロックが停止されている場合に、従来のシステムよりも有効である。
【0074】
有利なことに、本発明の実施形態によれば、ロールブロックシステム100は、両方の車軸ジャーナルを前輪部フレームに相互連結するように、各車軸ジャーナル60に1つずつの2つの伸縮ロッドを備える。前記特定の実施形態によれば、本発明によるブロックシステムは、2つの車輪のショックアブソーバの非対称スプリングサスペンション運動から生じるものを含む、回転運動の完全なブロックを達成することを可能にする。前記ブロックは達成されるが、従来の解決法のように、3つのブロック(四辺形と2つのショックアブソーバのブロック)ではなく、2つのブロック構成要素(2つのロッド)によって実現される。この場合も、同じ性能に対して、本発明によるブロックシステムは機械的に簡単である。
【0075】
伝統的なブロックシステムと同様に、車輪の非対称スプリングサスペンション運動から生じる運動を含む回転運動の完全な遮断は、ピッチ運動のブロック(2つのサスペンションの対称スプリングサスペンション運動)を決定する。
【0076】
さらに、ロールブロックシステム100が、単一の車軸ジャーナル60に、または場合によっては両方の車軸ジャーナル60に直接的に作用し、車輪を同期して鏡面的に回転させことができる回転運動機構20には作用しないことにより、本発明によるロールブロックシステム100は、前記回転運動機構およびその特定の機械的構成の存在を直接的に条件としていないが、このような回転運動機構が回転運動において車軸ジャーナルの運動学に影響を及ぼす程度にのみ間接的に影響を受けてもよい。
【0077】
このすべてが、本発明によるロールブロックシステムを従来のシステムと比較して有利にする機械的な単純化と組立のさらなる要素を構成する。
【0078】
述べてきたことは、特に、関節型四辺形または懸架アームであってもよい前記回転運動機構20の構成にかかわらず適用される。
【0079】
以下でより明確になるように、回転運動における車軸ジャーナルの運動学に対する回転運動機構20の影響は、前記回転運動機構の構成と、車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16に関して回転面上の伸縮ロッド110を可逆的にブロックするために選択された手段のタイプとの両方に依存する。
【0080】
これ以降説明するように、伸縮ロッドの横位置を可逆的にブロックするため(または、車軸ジャーナルおよび中心線平面M−Mを含む平面または中心線平面M−Mに平行な平面に対する伸縮ロッドの空間的配向を可逆的にブロックするため)に選択される可逆的ブロック手段は、特に、以下の2つのタイプのものであってもよい。
【0081】
−第1のタイプ(好ましい)は、設置位置のブロック(言い換えれば、車軸ジャーナルおよび中心線平面M−Mを含む平面または中心線平面M−Mに平行な平面に対する伸縮ロッドの空間的配向のブロック)は、車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16に対して伸縮ロッド110の回転をブロック(固定、阻止)することによって実現されるが、ロッド110は自由に長さを伸ばすことができる。
【0082】
−第2のタイプ(代替)は、設置位置のブロック(言い換えれば、車軸ジャーナルを含む平面および中心線平面M−Mまたは中心線平面M−Mに平行な平面に対する伸縮ロッドの空間的配向のブロック)は、伸縮ロッド110によって連結された車軸ジャーナル60と前輪部フレーム16の2つの点の間の距離Dをブロック(固定)し、ロッド110の長さの伸びを防止することによって達成される。
【0083】
第1のタイプの可逆的ブロック手段が採用される場合、ロールブロックシステム100は、回転運動機構20の影響を受けない。
【0084】
多様に、第2のタイプの可逆的ブロック手段が採用される場合、ロールブロックシステム100は、以下に説明するように、回転運動機構20の影響を受ける可能性がある。
* * *
【0085】
好ましくは、上述したように、車軸ジャーナル60および/または前輪部フレーム16に対して前記伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロック(固定)する手段(言い換えれば、車軸ジャーナル60を含む平面および中心線平面M−Mまたは中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記伸縮ロッド110の空間的配向を可逆的にブロックする手段120および130)は、車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16に対して伸縮ロッド110の回転をブロックすることに適するが、ロッド110は自由に長さを伸ばすことができる。
【0086】
特に、前述の可逆的ブロック手段120は、前記伸縮ロッド110が車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16に連結された端部の少なくとも1つに対応してロッド110の回転をブロックすることができ、ヒンジ手段に直接的または間接的に作用する。
【0087】
図1図5に示す実施形態によれば、可逆的ブロック手段120は、ヒンジ手段に直接作用し、少なくとも部分的にその回転をブロックするように構成されている。
【0088】
より詳細には、この場合、可逆的ブロック手段が作用するように構成されたヒンジ手段は、互いに直交する軸を有する筒状ヒンジ対(筒状の一対のヒンジ)72および73からなる。前記対の第1のヒンジ72は、2つの前輪10´および10´´の回転面に直交する自身のヒンジ軸を有し、可逆的ブロック手段120が作動していない場合、伸縮ロッド110は回転面に平行に動くことができる。
【0089】
動作的に、可逆的ブロック手段120は、ロッド110が車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16に対して回転面上で回転することを防止するように、前述の第1のヒンジ72の周りを伸縮ロッド110が回転するのをブロックするのに適している。
【0090】
添付の図面に示されていない実施形態によれば、伸縮ロッドの回転のブロックは、ロッド110の両端で、すなわち車軸ジャーナルと前輪部フレームの両方に対して実現することができる。そのような二重ブロックは冗長であり、伸縮ロッドのより安全なブロッキングを得るためにのみ機能する。
【0091】
図1から図5に示すように、可逆的ブロック手段は、ロッド110の回転を可逆的にブロックするための直交軸を有するヒンジ対の第1の筒状ヒンジ72に関連するバンドブレーキ120を備える。
【0092】
より具体的には、図4および図5の両方に示すように、ロッド110は、一端が球形ジョイント71を有する車軸ジャーナル60に連結され、他端が直交軸を有するヒンジ対72および73によって前輪部フレーム16に連結され、そのうち第1のヒンジ72は、回転面に垂直なヒンジ軸を有する。長さが伸縮できるロッド110は、長手方向の主伸縮方向に沿って互いに入れ子式に結合された2つの部分111および112から形成される。バンドブレーキ120は、第1の筒状ヒンジ72に配置される。ブレーキ120は、−前輪部フレーム16と一体の支持体121と、−第1のヒンジ72によって画定される軸の周りを回転するために支持体121に回転可能に関連し、第2のヒンジ73によってロッド110の第1の伸縮部112に関連するドラム122と、を備える。ドラム122は、支持体121の内部に部分的に挿入され、それと共に、内部にバンドが収容された環状の空間(図示せず)を形成する。バンドの2つの端部は、様々な位置でブレーキバンドの作動レバー123に固定される。レバー123を作動させることによって、バンドはドラム122の周りで締め付けられ、ヒンジ軸の周りでの回転を防止する。このようにして、伸縮ロッド110が第1のヒンジ72の周りで、したがって前輪部フレーム16に対して回転することが防止される。動作的に、これにより、ロッド110と前輪部フレーム16との間の角度αがブロックされ、したがって伸縮ロッド110の設置位置がブロック(固定)される。レバー123が作動していない場合、バンドはドラム122およびロッド110の周りに締め付けられず、第1のヒンジ72の軸の周りを自由に回転し、関節型四辺形(回転運動機構20)によって許容される回転運動を自由にする。
【0093】
バンドブレーキ120の代わりに、ドラムブレーキを使用することも可能である。
【0094】
添付の図面に示されていない代替の実施形態によれば、可逆的ブロック手段は、ヒンジ手段に間接的に作用し、少なくとも部分的にその回転をブロックするように構成することができる。
【0095】
特に、前述の可逆的ブロック手段は、長さが伸縮できるストラットを備え、これはその長さのブロック手段を設けられ、伸縮ロッド110を車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16に斜めに連結する。ストラットは、ヒンジ手段によってロッド110と車軸ジャーナル60または前輪部フレーム16の両方に連結されており、ストラットが長さが自由に伸長できるままである場合、車軸ジャーナルおよび前輪部フレームに対して伸縮ロッドの動きを妨げないように構成され、一方長さがブロック(固定)されている場合、前記ストラットは、ロッドおよび車軸ジャーナルまたはロッドおよびフレームの共通の設置平面において、車軸ジャーナルに対して、また前輪部フレームに対してロッドの回転を防ぐように構成される。
【0096】
有利に、前記伸縮ストラットは、ブロック(固定)された場合であっても、伸縮ロッド110が自由に長さを伸ばすのに適するように配置される。
【0097】
前述したように、第1のタイプの可逆的ブロック手段が採用される場合、すなわちロッドの回転をブロック(固定、阻止)するが、ロッドの長さが自由に伸びる場合、ロールブロックシステム100は回転運動機構20に影響されない。
【0098】
したがって、一般に、長さが伸縮できるロッド110は、いかなる特定の位置決めの制約なしに、車軸ジャーナル上および前輪部フレーム上の任意の2点を連結することができる。
【0099】
好ましくは、特に図4および図5に示された実施形態で提供されるように、長さが伸縮できるロッド110は、車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16を、地面と平行になるように地面に対して同じ高さで連結する。回転運動機構20が関節型四辺形(図3および図4のように)からなる場合、前記ロッド110は、関節型四辺形のクロスメンバ24と実質的に平行である。
【0100】
可逆的ブロック手段が作動している場合であっても、伸縮ロッド110が常に長さを伸ばす可能性を有するという事実は、ロールブロックシステムが操舵に影響を及ぼすまたはブロックすることを防ぐ。
【0101】
好ましくは、図4および図5に示すように、操舵運動中の伸縮ロッド110の長さの変動を最小にするために、伸縮ロッド110は、車軸ジャーナル60に関連する車輪の操舵軸S´−S´またはS´´−S´´にできるだけ近い位置で車軸ジャーナル60に連結される。図4において、伸縮ロッド110は、車軸ジャーナル60に関連する車輪の操舵軸S´−S´上で車軸ジャーナル60に連結され、図5では、伸縮ロッド110が、車軸ジャーナル60に関連する車輪の操舵軸S´−S´の近くで車軸ジャーナル60に連結される。
* * *
【0102】
添付の図面には示されていない本発明の代替の実施形態によれば、車軸ジャーナル60および/または前輪部フレーム16に対して伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロックする手段130(言い換えれば、車軸ジャーナル60を含む平面および中心線平面M−Mまたは中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向を可逆的にブロックする手段130)は、伸縮ロッド110によって連結された車軸ジャーナル60および前輪部フレーム16の2つの点の間の距離Dをブロックすることにより、設置位置(または前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向)をブロックすることができ、ロッド110の長さの伸縮を防止する。
【0103】
好ましくは、可逆的ブロック手段130がロッド110の伸張性をブロックすることによって動作する場合、車軸ジャーナル60上のロッド110の連結点は、それぞれの車軸ジャーナル60の操舵軸S´−S´およびS´´−S´´上に位置するように選択される。このようにして、可逆的ブロック手段が作動される場合、すなわちロッドの長さがブロックされた場合、操舵の運動は妨げられない。
【0104】
既に前述したように、第2のタイプの可逆的ブロック手段が採用される場合、すなわちロッドの長さがブロックされている場合、ロールブロックシステム100は回転運動機構20の影響を受けることがある。
【0105】
回転運動機構20が2つの懸架アームを有するシステムである特定の場合、ロールブロックシステム100は回転運動機構20の影響を受けない。
【0106】
有利に、この場合、伸縮ロッド110は、前記車軸ジャーナル60の任意の部分上で車軸ジャーナル60に連結されてもよく、これは各車軸ジャーナル60の操舵軸S´−S´およびS´´−S´´上に配置され、前輪部フレームの任意の部分上で前輪部フレーム16に連結されてもよい。実際、回転運動の間に、車軸ジャーナル間の距離、特に、各車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間の距離Dは、前記距離が測定される点にかかわらず常に変化する。その結果、車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間に連結されたロールブロックシステムの伸縮ロッド110は、常に回転運動をブロック(固定)するのに有効である。操舵軸上の位置決めは、操舵に影響を与えないように機能する。
【0107】
回転運動機構20が関節型四辺形である特定の場合、ロールブロックシステム100は代わりに回転運動機構20の影響を受ける。
【0108】
実際、回転運動の間に、車軸ジャーナル間の距離、特に各車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間の距離Dは、車軸ジャーナルのいくつかの部分の間でのみ効果的に変化する。この場合、ロールブロックシステム100の伸縮ロッド110は、任意の2つの点の間で車軸ジャーナルと前輪部フレームを連結することができないが、車軸ジャーナル間の特定の連結点を識別しなければならない。
【0109】
より詳細には、図6aおよび図6bを参照して、この点における差別的条件は以下である。
【0110】
−車軸ジャーナルが関連している関節型四辺形の直立部48´および48´´の理想的設置平面Y−Yに関して、車軸ジャーナル60上の連結点によって採用される位置。
【0111】
−関節型四辺形の2つの側部ヒンジ52の軸を通る理想的な設置平面Z−Zに関して、前輪部フレーム16上の連結点によって採用される位置。
【0112】
用語「直立部の理想的な設置平面Y−Y」は、関節型四辺形の2つのクロスメンバ24´および24´´上の直立部48´および48´´のヒンジ軸を通る平面を意味するものと解釈される。
【0113】
車軸ジャーナル60上のロッド110の連結点が、車軸ジャーナルが関連する直立部Y−Yの理想的な設置平面上にあり、また、前輪部フレーム16上のロッド110の連結点が2つの中間ヒンジ28を通る設置平面上にある場合、ロッド110の2つの連結点は、関節型四辺形の2つのクロスメンバに平行でない方向に従って相互に整列しなければならない。言い換えれば、ロールブロックシステムのロッド110は、関節型四辺形のクロスメンバに平行でない直線に沿った2点間の距離Dをブロックできなければならない。回転の場合、したがって平行四辺形の構成を変更する場合、そのような距離Dは変化し、ロールブロックシステムは車軸ジャーナルと前輪部フレームとの間の距離をブロックするのに有効である。
【0114】
車軸ジャーナル上のロッド110の連結点が、車軸ジャーナルが関連する直立部の理想的な設置平面Y−Y上になく、または、前輪部フレーム16上のロッド110の連結点が2つの中間ヒンジ28を通る設置平面Z−Z上にない場合、ロッド110の2つの連結点は、関節型四辺形の2つのクロスメンバに対して任意の方向に従って相互に整列してもよい。この選択は、上記条件の両方が同時に起こる場合にもなされ得る。回転の場合、したがって関節型平行四辺形の構成を変更する場合、上記の2つの点の間の距離Dはいずれの場合にも変化し、したがってロールブロックシステムは前記距離をブロックするのに有効である。
【0115】
好ましくは、前記2つの連結点は、関節型四辺形の2つのクロスメンバに平行な方向に互いに整列するように選択される。
【0116】
図6aおよび図6bは、車軸ジャーナル上のロッド110の連結点が、車軸ジャーナルが関連する直立部の理想的な設置平面Y−Y上にある場合を示しているが、一方、前輪部フレーム16上のロッド110の連結点は、2つの中間ヒンジ28を通る設置平面Z−Z上に位置していないが、距離Δだけ離間している。ロッド110は、関節型四辺形の2つのクロスメンバ24´および24´´に平行に配置されている。
【0117】
図6aおよび図6bに概略的に示される特定の実施形態によれば、車軸ジャーナル60および/または前輪部フレーム16に対して伸縮ロッド110の設置位置を可逆的にブロックする手段130(言い換えれば、車軸ジャーナル60を含む平面および中心線平面M−Mまたは中心線平面M−Mに平行な平面に対する前記長さ伸縮ロッド110の空間的配向を可逆的にブロックする手段130)は、伸縮ロッド110の2つの部分111および112の相互の入れ子式摺動をブロックする、従ってロッド110の長さをブロックすることにより動作する。
したがって、前記手段130は、ロッド110の2つの部分の入れ子式摺動をブロックするのに適している。
【0118】
特に、前記可逆的ブロック手段は、ロッド110の2つの入れ子部111および112に作用するキャリパブレーキシステム130からなる。
【0119】
より詳細には、キャリパ本体は、ロッドの一部に固定され、互いに対向し、ロッドの第2の入れ子部の形状に従って成形された2つの摩擦要素を備えている。ブレーキキャリパは、いかなる方法でも制御でき、好ましくは油圧で作動させることができるが、ワイヤを介して機械的に作動させることもできる。前記ブレーキキャリパは、任意の長さの伸長値でロッドを連続的にブロックすることを可能にし、したがって任意の回転角で車両をブロックすることを可能にする。
【0120】
ブレーキキャリパシステム130の代わりに、ロッドの長さのブロック手段は、ラチェットシステムから構成されてもよい。より詳細には、前記ラチェットシステムは、より小さな断面を有するロッドの入れ子部に形成されたスプロケットと、スプロケットを係合または解放するように動作可能な大きな断面の他の入れ子部上で旋回する可動ラチェットとを備える。
【0121】
しかしながら、ブレーキキャリパシステムとは異なり、このようなシステムは、任意の長さの伸長値でロッドを連続的にブロック(固定)することを許容しないが、離散的なブロック値でのみ可能である。このようにして、車両は、予め定められた回転角度でのみブロックされ得る。
* * *
【0122】
好ましくは、前述のロールブロックシステム100は、上述の可逆的ブロック手段の自動制御装置(図示せず)をさらに備える。このような自動制御装置は、所定の制御ロジックに従って可逆的ブロック手段を作動させる電子制御ユニットを備えており、特に車両が静止しているかまたは低速で動いている回転運動をブロックし、車両の安定性およびユーザの安全性を保証する。
【0123】
自動運転に代えてまたはそれと並行して、前述のロールブロックシステム100は、車両の運転者によって直接制御される可逆的ブロック手段の手動作動システムを備えることができる。
【0124】
好ましくは、運転者によって設定されたマニュアルコマンドは、車両の安全を確保することを目的として、車両の主な運転ロジックに従って電子制御パネルによってフィルタリングされる。
* * *
【0125】
本発明は、特に上述したように、本発明による後部に少なくとも1つの駆動輪および前輪部8を有する車両4に関する。
【0126】
車両が四輪自転車である場合、後車軸12の後駆動輪14は、前輪10に関して上述したように、回転運動機構20によって互いに、また後車軸フレーム13に連結される。
* * *
【0127】
本発明は、すでに部分的に説明したように、多くの利点を達成することを可能にする。
【0128】
本発明による回転車両の前輪部は、ロールブロックシステムを備えており、その一般的な実施形態(車軸ジャーナルと前輪部フレームとを連結する単一ロッド)は、従来の解決策と比較して機械的により簡単な方法で、非対称なスプリングサスペンション運動に起因しない回転運動をブロックすることを可能にする。そのようなブロックは実際には2つではなく単一のブロック部品によって実現される。
【0129】
本発明による回転車両の前輪部は、ロールブロックシステムを備えており、その特定の実施形態(両方の車軸ジャーナルと前輪部フレームとを連結する2つのロッド)は、従来の解決策と比較して機械的により簡単な方法で、非対称のスプリングサスペンション運動に関連するものを含むすべての回転運動をブロックすることを可能にする。このようなブロックは、実際には3つではなく2つのブロック構成要素によって実現される。
【0130】
さらに、本発明による回転車両の前輪部には、製造が構築的に簡単で安価で前記車両にフィットするロールブロックシステムが装備されている。これは、実際には、長さまたは回転の相対的ブロック装置を使用して長さが伸縮できる入れ子式ロッドから構成されてもよい(例えば、バンドブレーキ)。
【0131】
本発明によるロールブロックシステムは、作動される場合、車両の操舵を抑制しないように実現することができる。
【0132】
本発明によるロールブロックシステムはまた、車輪が同期して鏡面的に回転することを可能にする運動機構とは独立している。
【0133】
従って、本発明は、意図された目的を達成すると考えられる。
【0134】
明らかに、その実際的な実施形態は、本発明の保護の範囲内にとどまっているが、記載されたものとは異なる形態および構成をとることができる。
【0135】
さらに、全ての詳細は、技術的に均等な要素によって置き換えられてもよく、使用される寸法、形状、および材料は、必要に応じて任意であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a-6b】