特許第6873142号(P6873142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873142
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】パレットコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/26 20060101AFI20210510BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B65D19/26
   B65D88/12 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-534000(P2018-534000)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公表番号】特表2018-527268(P2018-527268A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016001523
(87)【国際公開番号】WO2017050420
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】102015012163.4
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591112326
【氏名又は名称】マウザー−ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Mauser−Werke GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ヴァイラオホ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ヴァーメス
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0239608(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10161693(DE,A1)
【文献】 国際公開第2012/085941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00−19/44
B65D 88/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
状の充填物質を貯蔵するためおよび搬送するためのパレットコンテナ(10)であって、熱可塑性プラスチック製の、薄壁で剛性の内側容器と、該プラスチック内側容器を支持周壁として密に取り囲む管格子フレーム(12)であって、互いに溶接された水平な管ロッド(16)および鉛直な管ロッド(18)から成る管格子フレーム(12)とを備えており、前記プラスチック内側容器は、防火絶縁マット(28)によって取り囲まれており、さらに前記プラスチック内側容器が載置されていて前記管格子フレーム(12)が不動に結合されているベースパレット(14)を備えており、該ベースパレット(14)は、鋼薄板製の上側の支持プレート(20)と、熱可塑性プラスチックから製造された角隅足(22)および中央足(24)と、記角隅足(22)および前記中央足(24)の下において環状に延びる鋼管製のベース管構造体(26)とを備えたコンポジット構成で形成されている、パレットコンテナ(10)において、
それぞれの前記プラスチック角隅足(22)には、少なくとも1つの別体の耐熱性の支持エレメント(30)が対応配置されており、該支持エレメント(30)は、高い熱応力時にも強い押圧力を鉛直方向において伝達するように構成されており、
前記支持エレメント(30)は、外側から見えないように、前記プラスチック角隅足(22)の内部に配置されており、かつ上方に向かって、前記上側の支持プレート(20)の外縁に沿って延びる上側のアングルレール(32)に支持されていて、下方に向かって、環状の前記ベース管構造体(26)に支持されており、
前記支持エレメント(30)は、安定した縦長の鋼薄板条片から成っていて、中空の管形状の支持体へと加工成形され、内方に折られかつ/または内方に曲げられており、
前記中空の支持エレメント(30)は、相互に内方に曲げられることによって、1つの平らな側壁(34)と、互いに向かい合って位置していてV字形に内方に向かって加工成形された2つの側壁(36)とを有するように形成されており、
前記中空の支持エレメント(30)は、上端部および下端部に、内方への曲げによって1つの側壁から発生した各1つのカバー部分(38)およびベース部分(40)を有している、
ことを特徴とする、パレットコンテナ。
【請求項2】
前記支持エレメント(30)の前記上側のカバー部分(38)および前記下側のベース部分(40)はそれぞれ、3つの前記側壁(34,36)上を覆っていて、かつ該側壁(34,36)に支持されている、請求項記載のパレットコンテナ
【請求項3】
前記中空の支持エレメント(30)は、前記プラスチック角隅足(22)の内部において上方に対しては、前記上側のカバー部分(38)で前記上側の支持プレート(20)の前記外縁に沿って延びる前記アングルレール(32)に結合されており、かつ下方に対しては、下側のベース部分(40)で床側における環状の前記管構造体(26)に固定されており、これにより前記中空の支持エレメント(30)は、前記プラスチック角隅足(22)に直接的に不動に結合されていない、請求項1または2記載のパレットコンテナ
【請求項4】
前記中空の支持エレメント(30)の前記上側のカバー部分(38)は、外縁に単純な孔(42)を有していて、かつリベット結合体を用いて、前記上側の支持プレート(20)の前記外縁に沿って延びる前記アングルレール(32)に不動にリベット結合されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のパレットコンテナ
【請求項5】
前記中空の支持エレメント(30)の前記上側のカバー部分(38)は、ねじ結合体を用いて、前記上側の支持プレート(20)の前記外縁に沿って延びる前記アングルレール(32)に不動にねじ結合されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のパレットコンテナ
【請求項6】
前記下側のベース部分(40)は、じ山成形部を備えた(44)を有していて、かつねじ山付ボルト(46)を用いて、床側における環状の前記管構造体(26)に下から不動にねじ結合されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のパレットコンテナ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に可燃性のまたは容易に引火可能な液状の充填物質を貯蔵するためおよび搬送するためのパレットコンテナであって、液状の充填物質を収容するための、熱可塑性プラスチック製の、薄壁で剛性の内側容器と、該プラスチック内側容器を支持周壁として密に取り囲む管格子フレームであって、互いに溶接された管から成る管格子フレームと、プラスチック内側容器が載置されていて管格子フレームが不動に結合されているベースパレットとを備えており、このときプラスチック内側容器は、管格子フレームの内部において防火絶縁マットによって取り囲まれており、かつベースパレットは、プラスチック足を備えた鋼薄板フレームから成るコンポジットパレットとして構成されている、パレットコンテナに関する。
【0002】
従来の技術:
鋼パレットを備えた類似のパレットコンテナは、独国特許出願公開第19747690号明細書(DE 19747690 A1)に基づいて公知であり、このパレットコンテナは、難燃性の構造形式によって傑出していて、かつ十分な耐火性を有するようになっている。そのためにこのパレットコンテナでは、プラスチック内側容器と格子ケージとの間に、薄壁の断熱材が配置されており、この断熱材は、厚紙およびアルミフォイルから成っている。このプレート状の断熱材は、少なくとも鋼パレットの場合においても、内側容器下底およびパレット上底との間に挿入されていることが望ましい。この公知の構成における欠点としては次のことが挙げられる。すなわちこの場合、床側の取出し装備と、充填管片およびスクリュキャップを備えた内側容器上底全体が、自由にかつオープンに接近可能なままであり、したがってこれらの部材は、完全には保護されずに、隣接する火災の火炎にさらされている。これによって、火炎に対する保護が不十分なこのパレットコンテナは、極めて短時間しか、外側から作用する火災の作用に対して抗することができない。
【0003】
独国特許出願公開第10161693号明細書(DE 10161693 A1)には、鋼パレットに載置された、防火構成を備えた別のパレット容器が開示されており、このパレット容器では、内側容器と格子フレームとの間に、金属薄板ボードから成る防火周壁と、火災および熱に対する追加的な絶縁材とが配置されており、この絶縁材は、プラスチック内側容器の上底および下底をも覆っている。プラスチック内側容器は、電荷を放電するために、さらになお細い金属ワイヤ製の格子状の外装によって取り囲まれている。改善された防火構成を備えたこの公知のパレット容器は、保険業者試験所(UL)によって監視される、可燃性および容易に引火可能な液体を貯蔵するための米国規格NFPA−30による防火基準に相当するようになっており、かつ内部収容体が火災時に少なくとも20分間は、スプリンクラー設備による助成時に、液状の充填物質の損傷もしくは流出に対して保護されるようになっている。
【0004】
欧州特許出願公開第1481918号明細書(EP 1481918 A1)に基づいて公知の、木製パレットを備えたパレットコンテナでは、電荷を放電するために、少なくとも1つのパレット足に放電金属薄板が取り付けられており、この放電金属薄板は、金属格子ケージから床への電気的接続部を成すようになっている。等しい問題に対する改善された解決策が、欧州特許出願公開第2433880号明細書(EP 2433880 A1)に記載されている。この明細書では、スキッドパレットを備えたパレット容器において、金属薄板成形部材を備えた少なくとも1つのプラスチック足が設けられており、金属薄板成形部材は、電荷を放電するために、プラスチック足の内部における凹部内に配置されていて、起立接触部分と積層接触面とを有している。さらに設置床に電荷を放電するためにパレット角隅足の内部に金属製の薄板成形部材を備えた相応のプラスチック容器が、特開平11-157535号公報(JPH11157535(A))に基づいて公知である。最後に挙げた従来技術は、もっぱらパレット容器もしくはプラスチック内側容器の電荷を阻止するためのものであり、すなわち防火処置を施された挿入体のための使用は、これらの液体容器においては提案されていない。
【0005】
問題:UL−IBC用のプラスチック角隅足を備えたコンポジットパレットの使用時においては、長時間続く火災の場合に、外側からの強い熱作用によってまさにこれらのプラスチック角隅足が軟化し始め、かつその後、燃焼し始めるということが発生し得る。これによって、充填されたパレットコンテナの安定性が強く損なわれ、それどころか、互いに上下に積み重ねられたパレットコンテナでは、このような積重ね構造物が転倒してしまうことがある。このような特別な問題は、純然たる鋼パレットでは、もちろん発生しない。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、鋼薄板フレームとプラスチック足とから成るコンポジットパレットを備えて形成された、防火装備を有するパレットコンテナをさらに改良して、従来技術において存在する欠点が克服され、かつ当該パレットコンテナの特別な構造形式によって、例えば火災の直接的な作用時におけるような、高められた熱応力時にも、耐久安定性を有する十分な耐火性が与えられているように形成することである。
【0007】
解決策:この課題は、請求項1に記載の特殊な特徴によって解決される。従属請求項における特徴は、本発明に係るパレットコンテナの別の好適な構成可能性を記載している。提案された技術的な教示は、UL−IBCにおけるコンポジットパレットの使用を開示しており、このとき特に、互いに上下に積み重ねられた充填されたUL−IBCのために、安定性(積重ね構造物の耐負荷能力)が維持されており、UL−IBCの転倒が阻止される。このことは、それぞれのプラスチック角隅足に、少なくとも1つの別体の耐熱性の支持エレメントが対応配置されており、該支持エレメントが、高い熱応力時にも強い押圧力を鉛直方向において伝達するように構成されていることによって解決される。これによって、火災の場合に互いに上下に積み重ねられた充填されたUL−IBCの安定性が不都合に損なわれることなしに、プラスチック角隅足はそれ自体が軟化し、かつそれどころか燃焼することができる。好ましくは、支持エレメントは、外側から見えないように、コンポジットパレットのプラスチック角隅足の内部に配置されており、かつ上方に向かって、上側の支持プレートの外縁に沿って延びる上側のアングルレールに支持されていて、下方に向かって、環状のベース管構造体に支持されている。
【0008】
支持エレメントのためには、種々様々な耐熱性材料を使用することができる(例えばセラミック部材、アルミニウム部材またはこれに類したもの)。しかしながら好ましくは、支持エレメントは、安定した縦長の鋼薄板条片から製造されていて、かつ単純な打抜きおよび曲げ方法において、中空の管形状の支持体へと加工成形され、内方に折られかつ/または内方に曲げられている。好ましい構造上の構成では、中空の支持エレメントは、相互に内方に曲げられることによって、1つの平らな側壁(ベース側壁)と、互いに向かい合って位置していてV字形に内方に向かって加工成形された2つの側壁とを有するように形成されている。好ましくは、中空の支持エレメントでは、上端部および下端部に、内方への曲げによって1つの側壁から、一体に発生した各1つのカバー部分もしくはベース部分が、一体成形されていて、支持エレメントの上側のカバー部分および下側のベース部分はそれぞれ、内方に向かって加工成形された山形の両方の側壁を覆っていて、かつ該側壁に支持されている。支持エレメントには、実地においては、引張り荷重による負荷がほとんど加えられず、むしろ強い押圧荷重による負荷が加えられるので、中空の支持エレメントの上側のカバー部分は、プラスチック角隅足の内部において上方に向かって、上側の支持プレートの外縁に沿って延びるアングルレールに不動に結合されており(例えばリベット結合またはねじ結合されており)、かつ下方に向かって、下側のベース部分で床側における環状の管構造体において固定されており、したがってこのとき支持エレメントは、プラスチック角隅足に直接的に不動に結合されておらず、したがってプラスチック角隅足に対しては応力を加えない。
【0009】
次に、図面に示された好適な実施形態について、本発明を詳細に説明および記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】防火構成を有するコンポジットパレット上における本発明に係るパレットコンテナを示す斜視図である。
図2図1に示されたコンポジットパレットを示す斜視図である。
図3】カバープレートなしで、図2に示されたコンポジットパレットを示す斜視図である。
図4】カバープレートおよびプラスチック角隅足なしで、図2に示されたコンポジットパレットを示す斜視図である。
図5】プラスチック角隅足から成る支持エレメントを示す斜視図である。
図6図5に示された支持エレメントを底部側から見た平面図である。
図7】切断されたプラスチック角隅足および挿入された支持エレメントを備えた、図2に示されたコンポジットパレットの1つの角隅を、外側から見て部分的に示す斜視図である。
【0011】
図1には、符号10で、1000lの充填容積を有する本発明に係るパレットコンテナ(UL−IBC)が示されており、このパレットコンテナ10は、特に危険な可燃性液体を収容および搬送するための、熱可塑性プラスチックから成る薄壁で剛性の内側容器(不可視)と、このプラスチック内側容器を支持周壁として密に取り囲む管格子フレーム12と、ベースパレット14とを備えており、このベースパレット14には、プラスチック容器が載置されており、かつベースパレット14には、支持周壁が不動に結合されている。パレットコンテナ10の管格子フレーム12(外側容器)は、互いに溶接された水平な管ロッド16と鉛直な管ロッド18とから成っている。閉鎖された外側容器を得るために、環状の水平な管ロッド16は、それぞれ互いに結合されている。ベースパレット14は、コンポジットパレット(プラスチック足を備えた鋼管フレーム)として形成されていて、プラスチック内側容器を載置するための、鋼薄板製の上側の支持プレート20と、射出成形法で熱可塑性プラスチックから製造された角隅足22および中央足24と、角隅足22および中央足24の下側において環状に延びる、鋼管製のベース管構造体26とを備えている。
【0012】
このパレットコンテナ10では、防火絶縁マット28が、完全な被覆体として、管格子フレーム12とプラスチック内側容器との間に直接配置されている。プラスチック内側容器の上底および下底(=パレット載置部)もまた、防火絶縁マット28によって覆われていて、保護されている。上側の充填開口および下側の取出し装備への接近のために、相応のオーバラップする接近フラップが絶縁マット28に加工形成されている。
【0013】
図2には、図1に示されたパレットコンテナ10のコンポジットベースパレット14が斜視図で示されており、このコンポジットベースパレット14は、鋼薄板製の上側の支持プレート20と、プラスチック製の角隅足22および中央足24と、鋼管製の下側の環状のベース管構造体26とを備えており、管格子フレーム、プラスチック内側容器および防火絶縁マットは、ここでは除去されている。
【0014】
図3には、同様な形式で、図2に示されたコンポジットベースパレット14が斜視図で示されており、しかしながらここではさらに上側の鋼薄板支持プレート20は除去されている。したがってこの図では、支持プレート20の直ぐ下にある上側の支持管フレームが見える。上側の支持管構造体は、2つの側部の中央足24の間において互いに平行にかつ互いに密に並んで延びる2つの鋼管と、すべての4つの中央足24の間において対角線方向に延びる4つの鋼管とから成っており、これらの鋼管は、鋼薄板支持プレート20、およびコンポジットベースパレット14の長辺に沿って延びる2つのアングルレール32と共に、パレットの上側の支持フレームを形成している。角隅足および中央足(22,24)は、載置床に対する間隔を形成し、かつフォークリフト車両のフォーク先端が係合するのに必要なスペースを提供している。床側において角隅足および中央足(22,24)は、このコンポジットベースパレット14を安定させるために、鋼管製の環状のベース管構造体26に固定されている。上側の支持管構造体は、本発明の説明のために、重要ではないので、これについてはさらに言及しない。本発明は、むしろ、内部に支持エレメント30を取り付けたプラスチック角隅足22を目指している。図3における図示は、コンポジットパレットの構造に対する理解を容易にし、かつ最終的に支持エレメント30の位置決めを明らかにするためのものである。そのためコンポジットパレットは、図4においてさらに「露出」させられていて、かつプラスチック角隅足なしの状態で斜視図において示されているので、4つの支持エレメント30の配置形態が明らかになっており、このような状態は、通常の場合には起こり得ない。それというのは、支持エレメントは、外側から見えることなく、プラスチック角隅足の内部に固定されているからである。
【0015】
支持エレメント30の構造上の形状付与は、図5において明瞭に斜視図で示されている。この図面から明らかなように、支持エレメント30は、安定した縦長の鋼薄板条片から成っていて、かつ中空の管形状の支持体へと加工成形され、もしくは内方に折られかつ内方に曲げられている。縦長の鋼薄板条片を相互に内方に曲げることによって、中空の支持エレメント30は、1つの平らな側壁34(背側のベース側壁)とV字形に内方に向かって加工成形された互いに向かい合って位置する2つの側壁36とを有するように形成されている。平らな側壁34をさらに内方に曲げることによって、中空の支持エレメント30には上端部および下端部に、それぞれ上側のカバー部分38およびベース部分40が一体成形されており、このとき支持エレメント30の上側のカバー部分38および下側のベース部分40はそれぞれ、V字形に内方に向かって加工成形された両方の側壁36を覆い、かつこれらの側壁36に支持される。鋼薄板条片の壁厚は、約2mmであり、支持エレメント30の寸法は、その高さが約90mmであり、カバー部分もしくはベース部分の寸法は約40×40mmである。
【0016】
支持エレメント30の左側の縁部において認識できる「歯列」は、内方に折られた左側の側壁36と平らな背側のベース側壁34との間における結合ラインである。ここではこの結合ラインは、複数の打抜き孔であり、これらの打抜き孔は、内方に折られた両方の側壁36を90°よりも大きな角度(ここでは約135°)だけ内方に曲げることを容易にする。
【0017】
図6にはさらに、図5に示された支持エレメント30が、下側のベース部分40の側から見て底を示す平面図で示されている。このベース部分40は、上に見える平らな背側のベース側壁34から90°の角度だけ下に向かって曲げられている。ここではそのうちの短い部分だけが見える上側のカバー部分38も、同様な形式で、平らな背側のベース側壁34から90°だけ曲げられている。内方に折られた両方の側壁36のうち、ここではまた単にそれぞれ一部分だけを見ることができる。内部に取り付けられた通常の場合において、上側のカバー部分38は上から、かつ下側のベース部分40は下から、内方に折られた両方の側壁36に支持されている。ここで完全に見えている下側のベース部分40は、サイドスリットとねじ山付ボルトをねじ込むためのねじ山成形部とを備えた、幾分偏心的に形成された孔44を有している。またさらに見ることができるように、上側のカバー部分38は側縁に、リベット結合体を挿入するための単純な孔42を有している。
【0018】
最後に図7には、コンポジットパレットの1つの角隅が、外側から見て部分的に斜視図で示されており、この斜視図では、プラスチック角隅足22は前側が切除されているので、不動に内部に取り付けられた支持エレメント30を見ることができ、この支持エレメント30は、上側においてリベット結合体を用いて(単純な孔42を通して)、上側の支持プレート20の外縁に沿って延びる上側のアングルレール32に不動にリベット結合されており、かつ下側において、下からねじ込まれた皿頭ねじ山付ボルト46によって(サイドスリットとねじ山成形部とを備えた幾分偏心的に形成された孔44を通して)、環状のベース管構造体26に不動にねじ結合されている。このときプラスチック角隅足22は、支持エレメント30またはその結合手段に直接的に不動に結合されていない。
【0019】
プラスチック角隅足および中央足(22,24)のプラスチック材料内に直接ねじ込まれた、超過荷重時にしばしば引き抜かれてしまう固定ねじは、この箇所において省かれている。
【0020】
本発明に係る解決策は、いわば二次効果として、通常は非導電性のプラスチック足の追加的な放電装置を省くことができるという利点を提供する。容易に引火性のまたは爆発危険性の液状の充填物質のためのUL−IBCおよびその使用の場合には、必要な許可規定に従って、設置床に電荷を放電するための装置もしくは処置が、強制的に定められている。4つのプラスチック角隅足22における支持エレメント30は、一方では上方に向かって、上側の鋼薄板支持プレート20の外縁に沿って延びる鋼薄板アングルレール32(および管格子フレーム12)にねじ結合されていて、かつ他方では、下側の環状のベース管構造体26にねじ結合されている。これによって防火絶縁マット28の織布外側への、ひいては管格子フレーム12もしくはベースパレット14への、導電性の内側層を介した、放電可能なブロー成形体=プラスチック内側容器のアースが、保証されている。
【0021】
したがって本発明の上に記載した特徴は、熱に敏感なプラスチックパレット足を備えたコンポジットパレットを有する、火炎保護装置を備えた特殊なパレットコンテナ=UL−IBCを、少なくとも約25分の間、外側の火炎作用に対して耐えるように形成することができる。
【0022】
このような本発明に係る処置によって、火災による熱作用時、およびパレット足の熱可塑性プラスチック材料の軟化開始時においても、パレット足の片側における屈曲、および次いで生じる、互いに上下に積み重ねられた2つの充填されたUL−IBCの転倒が、阻止される。
【0023】
結論:「通常の」コンポジットパレットのプラスチック角隅足は、UL−IBCのための使用時に弱点を有するが、この弱点は、上に述べた記載および図面の記載から明らかになったように、本発明の技術的な教示によって容易に克服することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 パレットコンテナ
12 管格子フレーム
14 ベースパレット
16 水平な管ロッド(12)
18 鉛直な管ロッド(12)
20 上側の鋼薄板支持プレート
22 プラスチック角隅足(14)
24 プラスチック中央足(14)
26 ベース管構造体(14)
28 防火絶縁マット(10)
30 支持エレメント(22)
32 アングルレール(14)
34 平らな側壁(30)
36 内方に折られた側壁(30)
38 上側のカバー部分(30)
40 下側のベース部分(30)
42 単純な孔(38)
44 サイドスリットを備えた孔(40)
46 ねじ山付ボルト(44)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7