特許第6873218号(P6873218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873218ミリ秒アニールシステムにおける基板支持
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873218
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ミリ秒アニールシステムにおける基板支持
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01L21/26 G
   H01L21/26 J
   H01L21/26 Q
   H01L21/26 T
   H01L21/265 602B
   H01L21/68 N
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-223633(P2019-223633)
(22)【出願日】2019年12月11日
(62)【分割の表示】特願2018-521892(P2018-521892)の分割
【原出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2020-57801(P2020-57801A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年12月17日
(31)【優先権主張番号】62/272,841
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E−Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ シーバー
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522400(JP,A)
【文献】 特表2010−509780(JP,A)
【文献】 特開2003−273191(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/086496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H01L 21/265
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ秒アニールシステムにおける支持構造に由来する、基板における局所的な接触応力を求めるための方法において、
1つまたは複数のプロセッサ回路によって、所定の期間にわたり基板に関する複数の面法線推定値を取得するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記複数の面法線推定値に少なくとも部分的に基づいて、時間にわたる前記基板の底面プロフィールを規定するモデルを生成するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記基板と支持構造との間の接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップと、
を含んでいる方法。
【請求項2】
前記方法は、前記局所的な接触応力を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ミリ秒アニールシステムにおける熱処理を変更するステップを含んでいる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記モデルを使用して、前記底面プロフィールの、前記支持構造との交差を識別するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記交差に基づいて、前記支持構造との接触点を求めるステップと、
を含んでいる、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記支持構造との接触速度を求めるステップを含んでいる、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、前記接触点および前記接触速度に基づいて、前記局所的な接触応力を推定するステップを含んでいる、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記基板にわたる応力分布を推定するステップを含んでいる、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記応力分布を、前記基板に関連付けられた複数の温度測定値に少なくとも部分的に基づいて推定する、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記支持構造は、支持ピンを含んでいる、
請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2015年12月30日に出願された、米国仮特許出願第62/272,841号、発明の名称「Wafer Support in a Millisecond Anneal System」の優先権の利益を主張するものであり、この文献は参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、一般的に、基板、例えば半導体基板を処理するために使用される熱プロセスチャンバに関し、より詳細にはミリ秒アニール熱プロセスチャンバに関する。
【背景技術】
【0003】
ミリ秒アニールシステムは、基板、例えばシリコンウェハを超高速に熱処理するための半導体プロセスに使用することができる。半導体プロセスにおいては、ドーパント種の拡散を制御しつつ、それと同時に、注入ダメージを回復させるため、堆積された層の品質を向上させるため、層界面の品質を向上させるため、ドーパントを活性化させるため、また他の目的を達成するために、高速な熱処理をアニールステップとして使用することができる。
【0004】
毎秒104℃を上回ることができる割合で基板の上面全体を加熱するために、集中的で短時間の露光を使用することによって、半導体基板のミリ秒の、または超高速の温度処理を達成することができる。基板の一方の表面のみを高速に加熱することによって、基板の厚さにわたり大きい温度勾配を生じさせることができ、その一方で、基板のバルクは、露光の前の温度を維持する。したがって、基板のバルクはヒートシンクとして機能し、その結果、上面の高速な冷却速度が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施の形態の態様および利点は、下記の明細書において部分的に明らかになるか、明細書から理解されるか、または実施の形態の実践によって理解される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの例示的な態様は、ミリ秒アニールシステムに関する。ミリ秒アニールシステムは、ウェハ支持プレートと、そのウェハ支持プレートから延びる複数の支持ピンと、を有しているプロセスチャンバを含むことができる。半導体基板を支持するように、複数の支持ピンを構成することができる。支持ピンのうちの少なくとも1つは、基板との接触点における基板面法線の変化する角度に適応するための球状表面プロフィールを有している。本発明の別の例示的な態様は、ミリ秒アニールシステムにおける支持構造に由来する、基板における局所的な接触応力を求めるための方法に関する。本方法は、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、所定の期間にわたり基板に関する複数の面法線推定値を取得すること、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、複数の面法線推定値に少なくとも部分的に基づいて、時間にわたる基板の底面プロフィールを規定するモデルを生成すること、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、モデルに少なくとも部分的に基づいて、基板と支持構造との間の接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めること、を含むことができる。
【0007】
本発明の例示的な態様に対して変更および修正を行うことができる。本発明の他の例示的な態様は、半導体基板を熱処理するための、システム、方法、装置およびプロセスに関する。他の例示的な態様は、基板応力および基板運動を求めて解析するためのプロセスに関する。
【0008】
種々の実施の形態のそれらの特徴、態様および利点ならびに他の特徴、態様および利点は、下記の明細書および添付の特許請求の範囲を参照することにより一層理解されるであろう。本願に組み込まれ、また本願の一部を成す添付の図面は、本発明の実施の形態を示しており、また明細書と共に、関連する原理を説明するために用いられる。
【0009】
当業者に対する実施の形態の詳細な説明を、添付の図面を参照しながら下記に記す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例による、例示的なミリ秒アニール加熱プロフィールを示す。
図2】本発明の実施例による、例示的なミリ秒アニールシステムの一部の例示的な斜視図を示す。
図3】本発明の実施例による、例示的なミリ秒アニールシステムの分解図を示す。
図4】本発明の実施例による、例示的なミリ秒アニールシステムの断面図を示す。
図5】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用される例示的なランプの斜視図を示す。
図6】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムのウェハ面プレートにおいて使用される例示的なエッジ反射器を示す。
図7】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用することができる例示的な反射器を示す。
図8】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用することができる例示的なアークランプを示す。
図9】本発明の実施例による、例示的なアークランプの動作を示す。
図10】本発明の実施例による、例示的なアークランプの動作を示す。
図11】本発明の実施例による、例示的な電極の断面図を示す。
図12】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用される例示的なアークランプに水およびガス(例えばアルゴンガス)を供給するための例示的な閉ループシステムを示す。
図13】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムのための例示的な温度測定システムを示す。
図14】本発明の実施例による、例示的な方法のフローチャートを示す。
図15】本発明の実施例による、ミリ秒アニールプロセス中のウェハの面法線の変化する向きを示す。
図16】本発明の実施例による、ミリ秒アニールプロセス中にウェハが支持ピンと接触する変化する角度を示す。
図17】本発明の実施例による、例示的な支持ピンの例示的な球状表面プロフィールを示す。
図18】本発明の実施例による、ウェハ中心に対して相対的な点の半径方向の位置の関数としての、最大角度面法線に関する例示的な境界値を示す。
図19】本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用することができる、球状の表面を支持するための種々のベース構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、複数の実施の形態をより詳細に説明し、またそれらの実施の形態のうちの1つまたは複数は、図面に図示されている。各実施例は、実施の形態の説明を目的として表されており、本発明の限定を目的として表されたものではない。実際には、当業者であれば、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、種々の修正および変更を実施の形態に対して行えることが分かる。例えば、1つの実施の形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施の形態と共に用いて、さらに別の実施の形態を創作することができる。したがって、本発明の態様がそのような修正および変更をカバーすることが意図されている。
【0012】
概観
本発明の例示的な態様は、半導体基板のミリ秒アニール中の半導体基板(例えば、ウェハ)の支持に関する。説明および考察を目的として、本発明の態様を、「ウェハ」または半導体ウェハを参照しながら考察する。当業者であれば、本明細書における開示内容によって、本発明の例示的な態様を、任意のワークピース、半導体基板または他の適切な基板に関連させて使用できることを理解するであろう。数値と関連させた「約」という語の使用は、記載された数値の10%以内を表す。
【0013】
毎秒104℃を上回ることができる割合でウェハの上面全体を加熱するために、集中的で短時間の露光を使用することによって、半導体ウェハのミリ秒の、または超高速の温度アニールを達成することができる。ウェハ表面の高速な加熱は、ウェハの厚さにわたり大きい温度勾配を生じさせ、この大きい温度勾配によって、顕著な熱応力がもたらされる。それらの応力は、ウェハを湾曲または変形させる歪みをウェハに惹起し始める。この歪みは、表面を加熱してからかなりの時間が経過した後においても、ウェハの変形を継続させる虞がある。この継続する歪みは、場合によっては熱歪みを軽減することができる熱平衡に達するためにウェハが必要とする期間よりも一般的には遙かに短い期間にわたりウェハの表面が加熱されるということに起因していると考えられる。続いて、継続する歪みは、衝撃力として作用する応力を惹起し、ウェハの運動を制限または限定するために配置されている機構が存在しなければ、この応力によって、ウェハに振動がもたらされる可能性がある。振動するウェハ表面が、ウェハを支持することを意図した構造、例えばウェハ支持ピンと、0ではない速度で接触する場合には、それらのウェハ振動によって、ウェハ破損の危険が高まると考えられる。本発明の例示的な態様によれば、ウェハと接触する支持ピンの表面の形状、向き、および/または運動の自由度を、支持ピンと接触している間にウェハが受ける応力を低減するように構成することができる。
【0014】
(1つまたは複数の)支持ピンの要求は、高速熱アニールまたは高速熱処理とも称される、ウェハの非ミリ秒の、または従来の温度アニールにおける(1つまたは複数の)支持ピンの要求とは大きく異なると考えられる。従来の高速熱処理においては、(1つまたは複数の)支持ピンがウェハと接触する領域を含んでいるウェハのバルクが、1,200℃以上の温度に達する可能性があり、また数秒または数分にわたりその温度に留まる可能性がある。この従来のアニールの間、(1つまたは複数の)支持ピンに関する主たる関心事は、(1つまたは複数の)支持ピンがウェハと接触するウェハ領域にわたる熱損失を低減することである。一般的に、この関心事には、ウェハと接触する(1つまたは複数の)支持ピンの縮小された接触面積にわたり、支持ピンによって支えられるウェハの重量の一部によってもたらされる過度の接触圧力または接触応力によって、ウェハまたは支持ピンが損傷し始めることを阻止するという制約条件下で、支持ピンの表面積を縮小することによって取り組むことができる。
【0015】
半導体ウェハのミリ秒の、または超高速の温度アニールでは、(1つまたは複数の)支持ピンがウェハと接触する領域において、ウェハの温度のみが、約800〜950℃の範囲に達する。それらの温度では、(1つまたは複数の)支持ピンがウェハと接触しているウェハ領域にわたる熱損失は、(1つまたは複数の)支持ピンと接触しているウェハの横方向の変形および振動運動によってもたらされる可能性がある衝撃的な事象よりも関心は低い。ウェハの振動運動は、ドラムスティックによって叩かれた、緊張されたドラムヘッドの表面の振動に類似する。
【0016】
本発明の例示的な態様によれば、ウェハの振動運動を、ミリ秒温度アニールプロセス中のウェハ表面の反射性の高速写真測量を用いた定量測定法および有限要素シミュレーションを使用して定量化することができる。ウェハの振動運動は、数ミリ秒の周期にわたり数ミリメートルのオーダで横方向の変位を示す可能性がある。したがって、ウェハの表面の横方向の速度は、毎秒数メートルのオーダの大きさに達すると考えられる。支持構造、例えば(1つまたは複数の)ピンが、それらの速度で運動するウェハ表面と接触すると、ウェハ表面における接触領域内、またその周囲に顕著な応力が発生して、場合によってはウェハを破損させる可能性がある。したがって、ウェハ表面と支持構造、例えば支持ピンとの場合によって生じる接触によってもたらされる応力を低減することが重要である。
【0017】
本発明の例示的な態様によれば、湾曲部の広がりが接触点におけるウェハ面法線の変化する角度に適応するように支持ピンの曲率半径を大きくすることによって、かつ/またはウェハ表面と接触する領域にわたり支持ピンの表面の平滑度を高めることによって、例えば石英支持ピンを火炎研磨して高めることによって、ウェハの表面が支持ピンと接触した際にウェハが受ける接触応力を低減することができる。
【0018】
例えば、本発明の1つの実施例は、ミリ秒アニールシステムに関する。システムは、ウェハ支持プレートを有しているプロセスチャンバを含んでいる。システムは、基板を支持するように構成されているウェハ支持プレートから延びる複数の支持ピンを含んでいる。支持ピンのうちの少なくとも1つは、基板との接触点における基板面法線の変化する角度に適応するための球状表面プロフィールを有している。
【0019】
幾つかの実施の形態においては、球状表面プロフィールが、基板との接触点における基板面法線の最大角度に少なくとも部分的に基づいて求められた範囲を有している。例えば、球状表面プロフィールは、少なくとも2倍の最大角度に関連付けられた範囲を有している。幾つかの実施の形態においては、最大角度が、約2°〜約8°の範囲内にある。
【0020】
幾つかの実施の形態においては、複数の支持ピンが、基板の中心に対して相対的な第1の半径方向の距離に配置されている第1の支持ピンと、基板の中心に対して相対的な第2の半径方向の距離に配置されている第2の支持ピンと、を含んでいる。第2の半径方向の距離は、第1の半径方向の距離よりも長くてよい。幾つかの実施の形態においては、第1の支持ピンが、第1の範囲を備えた球状表面プロフィールを有しており、また第2の支持ピンが、第2の範囲を備えた球状表面プロフィールを有している。第2の範囲は、第1の範囲よりも大きくてよい。
【0021】
幾つかの実施の形態においては、支持ピンが石英材料を含んでいる。幾つかの実施の形態においては、球状表面プロフィールが研磨されている。幾つかの実施の形態においては、支持ピンが、球状表面プロフィールを支持するベース構造を有している。ベース構造は、垂直ベース構造、傾斜ベース構造、またはT字形の横断面を備えたベース構造であってよい。
【0022】
本発明の別の例示的な態様は、ミリ秒アニールシステムにおける支持構造に由来する、基板における局所的な接触応力を求めるための方法に関する。本方法は、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、所定の期間にわたり基板に関する複数の面法線推定値を取得すること、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、複数の面法線推定値に少なくとも部分的に基づいて、時間にわたる基板の底面プロフィールを規定するモデルを生成すること、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、モデルに少なくとも部分的に基づいて、基板と支持構造(例えば、支持ピン)との間の接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めること、を含んでいる。幾つかの実施の形態においては、方法は、局所的な接触応力を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、熱処理を変更することを含むことができる。
【0023】
幾つかの実施の形態においては、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めることは、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、モデルを使用して、底面プロフィールの、支持構造との交差を識別すること、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、交差に基づいて支持構造との接触点を求めること、を含んでいる。幾つかの実施の形態においては、1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めることは、支持構造との接触速度を求めることを含んでいる。幾つかの実施の形態においては、接触点における局所的な接触応力を表すデータは、接触点および接触速度に基づいて、局所的な接触応力を推定することを含んでいる。
【0024】
幾つかの実施の形態においては、方法は、モデルに少なくとも部分的に基づいて、基板にわたる応力分布を推定することを含むことができる。応力分布を、基板に関連付けられた複数の温度測定値に基づいて推定することができる。
【0025】
例示的なミリ秒アニールシステム
例示的なミリ秒アニールシステムは、集中的で短時間の露光を提供して、例えば約104℃/sを上回ることができる割合で、ウェハの上面を加熱するように構成することができる。図1には、ミリ秒アニールシステムを使用して達成される、半導体基板の例示的な温度プロフィール100が示されている。図1に図示されているように、半導体基板(例えば、シリコンウェハ)のバルクが、傾斜フェーズ102中に中間温度TIに加熱される。中間温度TIは、約450℃〜約900℃の範囲であってよい。中間温度TIに達すると、半導体基板の上面を、非常に短い集中的な閃光に晒すことができ、その結果、約104℃/sまでの加熱の割合が得られる。窓110は、短い集中的な閃光中の、半導体基板の温度プロフィールを示す。曲線112は、閃光による露光中の、半導体基板の上面の急速な加熱を示す。曲線116は、閃光による露光中の、半導体基板のその他の部分またはバルクの温度を表す。曲線114は、ヒートシンクとして機能する半導体基板のバルクを介する、半導体基板の上面の伝導冷却による急速な冷却を示す。半導体基板のバルクは、基板に関する高速な上面冷却速度を生じさせるヒートシンクとして機能する。曲線104は、冷却剤としてのプロセスガスを用いる、熱放射および熱対流による半導体基板のバルクの緩慢な冷却を示す。本明細書において使用されているように、「約」という語は、数値と関連させて使用される場合、記載された数値の30%以内を表す。
【0026】
例示的なミリ秒アニールシステムは、例えば半導体基板の上面をミリ秒の長さで露光するための、つまり、いわゆる「閃光」を生じさせるための光源として、複数のアークランプ(例えば、4つのアルゴンアークランプ)を含むことができる。基板が中間温度(例えば、約450℃〜約900℃)に加熱されると、閃光を半導体基板に供給することができる。複数の連続モードアークランプ(例えば、2つのアルゴンアークランプ)を使用して、半導体基板を中間温度に加熱することができる。幾つかの実施の形態においては、中間温度への半導体基板の加熱が、ウェハのバルク全体を加熱する傾斜割合で、半導体基板の底部表面を介して達成される。
【0027】
図2から図5には、本発明の実施例による、例示的なミリ秒アニールシステム80の種々の態様が図示されている。図2から図4に図示されているように、ミリ秒アニールシステム80は、プロセスチャンバ200を含むことができる。プロセスチャンバ200を、ウェハ面プレート210によって、上部チャンバ202および下部チャンバ204に分割することができる。半導体基板(例えばシリコンウェハ)60を、ウェハ支持プレート214(例えば、ウェハ面プレート210に挿入された石英ガラスプレート)に取り付けられている支持ピン(例えば、石英支持ピン)212によって支持することができる。
【0028】
図2および図4に図示されているように、ミリ秒アニールシステム80は、例えば半導体基板60の上面をミリ秒の長さで露光するための、つまり、いわゆる「閃光」を生じさせるための光源として、上部チャンバ202の近傍に配置されている、複数のアークランプ220(例えば、4つのアルゴンアークランプ)を含むことができる。基板が中間温度(例えば、約450℃〜約900℃)に加熱されると、閃光を半導体基板に供給することができる。
【0029】
下部チャンバ204の近傍に設けられている、複数の連続モードアークランプ240(例えば、2つのアルゴンアークランプ)を使用して、半導体基板60を中間温度に加熱することができる。幾つかの実施の形態においては、中間温度への半導体基板60の加熱が、下部チャンバ204から、半導体基板60のバルク全体を加熱する傾斜割合で、半導体基板の底部表面を介して達成される。
【0030】
図3に図示されているように、半導体基板60を加熱するための、(例えば、中間温度への半導体基板の加熱に使用するための)下部アークランプ240からの光、および(例えば、閃光によるミリ秒の加熱の提供に使用するための)上部アークランプ220からの光を、水の窓260(例えば、水冷式の石英ガラス窓)を介して、プロセスチャンバ200に入射させることができる。幾つかの実施の形態においては、水の窓260は、2つの石英ガラス板から成るサンドイッチ構造を含むことができ、それら2つの石英ガラス板の間において、約4mmの厚さの水の層が石英板を冷却するために循環しており、また例えば約1,400nmを上回る波長に対する光学的なフィルタを提供することができる。
【0031】
さらに図3に図示されているように、プロセスチャンバ壁250は、加熱光を反射するための反射性のミラー270を含むことができる。反射性のミラー270は、例えば、水冷式の研磨されたアルミニウムパネルであってよい。幾つかの実施の形態においては、ミリ秒アニールシステムにおいて使用されるアークランプのメインボディは、ランプ放射に関する反射器を含むことができる。例えば、図5には、ミリ秒アニールシステム80において使用することができる、上部ランプアレイ220および下部ランプアレイ240の両方の斜視図が示されている。図示されているように、各ランプアレイ220および240のメインボディは、加熱光を反射するための反射器262を含むことができる。それらの反射器262は、ミリ秒アニールシステム80のプロセスチャンバ200の反射表面の一部を形成することができる。
【0032】
半導体基板の温度均一性を、半導体基板の異なる領域に入射する光の密度を操作することによって制御することができる。幾つかの実施の形態においては、メイン反射器に対して小型の反射器の反射等級を変更することによって、かつ/またはウェハを包囲するウェハ支持面に取り付けられたエッジ反射器の使用によって、均一性の調整を達成することができる。
【0033】
例えば、下部ランプ240からの光を半導体基板60の縁部に再方向付けるために、エッジ反射器を使用することができる。一例として、図6には、例示的なエッジ反射器264が図示されており、このエッジ反射器264は、下部ランプ240からの光を半導体基板60の縁部に方向付けるために使用することができるウェハ面プレート210の一部を形成している。エッジ反射器264を、ウェハ面プレート210に取り付けることができ、またこのエッジ反射器264は、半導体基板60を取り囲むことができるか、または少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0034】
幾つかの実施の形態においては、ウェハ面プレート210の近傍のチャンバ壁に、付加的な反射器を取り付けることもできる。例えば、図7には、加熱光のための反射器ミラーとして機能することができ、またプロセスチャンバ壁に取り付けることができる、例示的な反射器が図示されている。より詳細には、図7には、下部チャンバ壁254に取り付けられている、例示的なくさび形反射器272が示されている。また図7には、上部チャンバ壁252の反射器270に取り付けられている反射性の素子274も示されている。半導体基板60の処理の均一性を、プロセスチャンバ200における、くさび形反射器272および/または他の反射性の素子(例えば反射性の素子274)の反射等級を変更することによって調整することができる。
【0035】
図8から図11には、半導体基板60の上面をミリ秒の長さで集中的に露光するための(例えば「閃光」を生じさせるための)光源として使用することができる、例示的な上部アークランプ220の種々の態様が図示されている。例えば、図8には、例示的なアークランプ220の横断面図が示されている。アークランプ220は、例えば、オープンフローのアークランプであってよく、このアークランプでは、加圧されたアルゴンガス(または他の適切なガス)がアーク放電中に高圧プラズマに変換される。アーク放電は、負に帯電されたカソード222と、そこから距離を置いて設けられている(例えば、約300mm離隔されている)、正に帯電されたアノード230と、の間の石英管225において行われる。カソード222とアノード230との間の電圧が、アルゴンの降伏電圧(例えば、約30kV)または他の適切なガスの降伏電圧に達すると、安定した低誘導性のプラズマが即座に形成され、このプラズマが電磁スペクトルの可視範囲およびUV範囲の光を放射する。図9に図示されているように、ランプは、半導体基板60の処理のためにランプによって提供された光を反射するために使用することができるランプ反射器262を含むことができる。
【0036】
図10および図11には、本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステム80におけるアークランプ220の例示的な動作の異なる態様が図示されている。より詳細には、プラズマ226が、水壁228によって内側から水冷される石英管225内に包含されている。水壁228は、高い流速でランプ220のカソード端部に注入され、またアノード端部において排出される。同一のことが、アルゴンガス229についても当てはまり、このアルゴンガス229もまた、カソード端部においてランプ220に供給され、アノード端部から排出される。水壁228を形成する水は、遠心作用が水の渦を生じさせるように、ランプの軸線に対して垂直に注入される。したがって、ランプの中心線に沿って、アルゴンガス229のためのチャネルが形成される。アルゴンガス柱229は、水壁228と同一方向に回転する。プラズマ226が形成されると、水壁228は石英管225を保護し、かつプラズマ226を中心軸線に向かって閉じ込める。水壁228および電極(カソード230およびアノード222)のみが、高エネルギのプラズマ226と直接的に接触する。
【0037】
図11には、本発明の実施例による、アークランプと共に使用される例示的な電極(例えば、カソード230)の断面図が示されている。図11には、カソード230が図示されている。しかしながら、類似の構成をアノード222に対して使用することができる。
【0038】
幾つかの実施の形態においては、電極が高い熱負荷に晒されるので、電極のうちの一方または両方がそれぞれ先端部232を含むことができる。この先端部をタングステンから作製することができる。またこの先端部を水冷式の銅製ヒートシンク234に接合かつ/または融着させることができる。銅製ヒートシンク234は、電極の内部冷却システムの少なくとも一部(例えば、1つまたは複数の水冷チャネル236)を含むことができる。電極はさらに、水または他の液体の循環および電極の冷却を提供するための水冷チャネル236を備えている真鍮製ベース部235を含むことができる。
【0039】
本発明の態様による例示的なミリ秒アニールシステムにおいて使用されるアークランプは、水およびアルゴンガスのための、オープンフローのシステムであってよい。しかしながら幾つかの実施の形態においては、保存上の理由から、両媒体を閉ループ系において循環させることができる。
【0040】
図12には、本発明の実施例によるミリ秒アニールシステムにおいて使用される、オープンフローのアルゴンアークランプを動作させるために必要とされる水およびアルゴンガスを供給するための、例示的な閉ループ系300が図示されている。
【0041】
より詳細には、高純度水302およびアルゴン304がランプ220に供給される。高純度水302は、水壁および電極の冷却のために使用される。ランプから送り出されるものは、ガス/水混合物306である。この水/ガス混合物306は、ランプ220の入口に再び供給できるようになる前に、セパレータ310によって、ガスを含まない水302および乾性のアルゴン304に分離される。ランプ220を介する所要圧力降下を生じさせるために、ガス/水混合物306が、水駆動式のジェットポンプ320を用いてポンピングされる。
【0042】
高出力電気ポンプ330は、ランプ220における水壁を駆動させるための水圧、ランプ電極のための冷却水、およびジェットポンプ320のための駆動流を供給する。ジェットポンプ320の下流側に設けられているセパレータ310を、混合物(アルゴン)から液相および気相を抽出するために使用することができる。アルゴンはさらに、ランプ220に再び流入する前に、コアレッシングフィルタ340において乾燥される。必要に応じて、付加的なアルゴンをアルゴン源350から供給することができる。
【0043】
アークによって水中に放出された粒子を除去するために、水は1つまたは複数の粒子フィルタ350を通過する。イオン性汚染は、イオン交換樹脂によって除去される。水の一部は、混床イオン交換フィルタ370を通過する。イオン交換バイパス370への入口弁372を、水の抵抗率によって制御することができる。水の抵抗率が下側の値よりも低下すると弁372が開かれ、水の抵抗率が上側の値に達すると、弁372が閉じられる。システムは、活性炭フィルタバイパスループ380を含むことができ、そこでは水の一部を付加的に濾過して、有機汚染を除去することができる。水温を維持するために、水は熱交換器390を通過することができる。
【0044】
本発明の実施例によるミリ秒アニールシステムは、半導体基板の両表面(例えば、上面および下面)の温度を独立して測定するための能力を有することができる。図13には、ミリ秒アニールシステム80のための例示的な温度測定システム150が図示されている。
【0045】
ミリ秒アニールシステム80の簡略化された図が図13に示されている。半導体基板60の両面の温度を、複数の温度センサによって、例えば温度センサ152および温度センサ154によって独立して測定することができる。温度センサ152は、半導体基板60の上面の温度を測定することができる。温度センサ154は、半導体基板60の下面を測定することができる。幾つかの実施の形態においては、約1,400nmの測定波長を有している、狭帯域高温測定センサを、例えば半導体基板60の中心領域の温度を測定するための温度センサ152および/または温度センサ154として使用することができる。幾つかの実施の形態においては、温度センサ152および154が、閃光による加熱によって生じるミリ秒温度スパイクを分解するには十分な高さであるサンプリングレートを有している、超高速放射計(UFR:ultra−fastradiometer)であってよい。
【0046】
温度センサ152および154の読取り値は、補償された放射率であってよい。図13に図示されているように、放射率補償スキームは、診断用フラッシュ156と、基準温度センサ158と、半導体ウェハの上面および下面を測定するように構成されている温度センサ152および154と、を含むことができる。診断用加熱および測定値を、診断用フラッシュ156(例えば、試験用フラッシュ)と共に使用することができる。基準温度センサ158からの測定値を、温度センサ152および154の放射率補償のために使用することができる。
【0047】
幾つかの実施の形態においては、ミリ秒アニールシステム80が、水の窓を含むことができる。水の窓は、温度センサ152および154の測定帯域にあるランプ放射を抑制する光学フィルタを提供することができ、それによって温度センサ152および154は、半導体基板に由来する放射のみを測定する。
【0048】
温度センサ152および154の読取り値を、プロセッサ回路160に供給することができる。プロセッサ回路160を、ミリ秒アニールシステム80のケーシング内に配置することができるが、代替的には、プロセッサ回路160を、ミリ秒アニールシステム80から離れた場所に配置することができる。本明細書に記載する種々の機能を、所望される場合には、単一のプロセッサ回路によって実行することができるか、または局所的なプロセッサ回路および/または遠隔のプロセッサ回路の他の組合せによって実行することができる。
【0049】
ミリ秒アニールシステムにおける例示的なウェハ応力の決定
本発明の例示的な態様は、ウェハ面法線測定値を使用することによって、ミリ秒アニールプロセス中の半導体基板(例えば、ウェハ)の変形および/または応力分布を推定するための方法に関する。方法を、例えば、ウェハ面法線測定値および/または表面温度測定値に基づいて、1つまたは複数のプロセッサ回路によって実施することができる。方法は、時間にわたる半導体基板の形状および運動を規定するモデルを生成することができ、またモデルを使用することによって、支持ピンとの接触点における局所的な接触応力を推定することができる。幾つかの実施の形態においては、半導体基板にわたる応力分布を推定するために、温度測定値をモデルと共に使用することができる。
【0050】
図14には、本発明の実施例による、ミリ秒アニールプロセス中の半導体基板の接触点における局所的な接触応力を推定するための例示的な方法(400)が図示されている。図14を、1つまたは複数のプロセッサ回路によって実施することができる。本明細書において説明する方法を実行するための、1つまたは複数のメモリデバイスにおいてプログラミングされたコンピュータ可読命令を実行するように、(1つまたは複数の)プロセッサ回路を構成することができる。(1つまたは複数の)プロセッサ回路は、ミリ秒アニールシステムの一部(例えば、1つまたは複数のコントローラの一部)であってもよいし、ミリ秒アニールシステムから離れた場所に設けられていてもよい。
【0051】
(402)においては、方法が、(1つまたは複数の)プロセッサ回路によって、半導体基板に関する面法線推定値を取得することを含むことができる。面法線推定値を、例えば、メモリデバイスからアクセスすることができる。面法線測定値を、所定の期間にわたる異なる時点に取得することができる。幾つかの実施の形態においては、ウェハ面法線推定値を、例えば参照により本願に組み込まれる米国特許第9,070,590号に記載されているような画像解析を使用して取得することができる。より詳細には、1つの実施例においては、既知のシーン(例えば、格子線のパターン)を、例えば、照明源からウェハの裏面に投影することができる。既知のシーンの点(例えば、格子線または他の既知のシーンの点との交点)を、基板の表面から反射させて、カメラによって撮影することができる。画像を処理することによって、例えば、反射点の場所、面法線の向き、および/または反射角度を求めることができる。期間にわたるウェハ面法線測定値を、本発明の範囲から逸脱することなく、類似の適切なやり方で取得することができる。
【0052】
(404)においては、方法が、取得された面法線に少なくとも部分的に基づいて、時間にわたる半導体基板の底面プロフィールの形状および運動を規定するモデルを生成することを含むことができる。例えば、幾つかの実施の形態においては、ウェハの底面プロフィールを、ウェハの底面にわたり取得されるM個の面法線のセットを使用することによって、推定することができる。それらの面法線の位置は、均一な間隔を有している必要はないが、関心領域(例えば、ウェハの底面全体)にわたり分散するものであってよい。M個の面法線の各セットを、n番目の時点tnにおけるウェハの底面の形状に関連付けることができる。m番目の推定された面法線、またはより詳細には単位面法線は、
【数1】
として表され、ここで(xm,zm)は、ウェハ底面における法線の位置である。ベクトルは、太字で表されており、列ベクトルとして定義されていることを言及しておく。面法線の位置を識別するために使用される座標系は、底面がy=0にあり、かつ半径方向の中心がx=z=0にあり、またウェハの上面(デバイス側)に向けられている正のy軸およびツールの横方向の次元に便宜上位置合わせされている正のx軸およびz軸を備えているxz平面に完全に平坦なウェハが位置するような座標系であってよい。
【0053】
ウェハ面法線のセット、M={n^e(xm,zm):m=1,2,...,M}、が与えられている場合、Mから表面プロフィールを推定するという問題は、不良設定問題であると考えられる。より詳細には、セットMを生成することができる無限数の表面プロフィールが存在する可能性がある。扱いやすい解を有するようにするために、考えられる表面プロフィールに対して、(1)単一の最適解を提供する、または少なくとも局所的に受け入れられる解を提供することができ、かつ(2)実際の表面プロフィールを許容可能な誤差レベルに近似させることができる、関数族の制約を課すことが要求されると考えられる。
【0054】
それら2つの要求を満たすために、2次元のn次多項式の族、つまり
【数2】
を使用することができ、ここで、係数の総数は(n+1)(n+2)/2によって与えられ、多項式表面は、底面がy=0にあるxz平面に平坦なウェハが位置することになるような、上記において定義した座標系に対応するxおよびzの関数として表される。幾つかの実施の形態においては、n=4の4次多項式が、閃光プロセス中のウェハの実際の底面プロフィールの許容可能な近似を提供できると仮定することができる。
【0055】
セットMへのこの多項式表面のフィッティングの問題は、多項式表面n^p(xm,zm)の面法線を、画像解析から取得された、推定された面法線n^e(xm,zm)と比較すること、またそれに続いて、セットMにおける各法線に関して、n^e(xm,zm)に可能な限り近いn^p(xm,zm)を有するように多項式係数αijを調整することを要求すると考えられる。この問題は、非線形最適化問題であり、また目的関数またはコスト関数を設定し、この関数を、極小値が一度発見されれば、n^p(xm,zm)がすべてのmに関して可能な限りn^e(xm,zm)に近付くように極小化(または極大化)することを要求すると考えられる。
【0056】
コスト関数の一例を、以下のように定義することができる:
【数3】
ここで、||・||は、l2作用ノルムであり、wmは、重み付け係数である。したがって、コスト関数は、2つのベクトル間の距離の加重合計の二乗の尺度である。重み付け係数は、面法線を強調することができるか、または強調を弱めることができ、またn^e(xm,zm)に関連付けられた不確実性推定値に従い設定することができる。つまり、高い不確実性は、wm→0をもたらす。それに続く問題記述は、
+=minαij∈R(C) (1.3)
であり、ここでC+は、Cの極小値、または場合によってはCの最小値であり、また極小化は、実数Rに限定される多項式係数に関する。この極小化を、任意の数の非線形極小化法を使用して達成することができる。
【0057】
コスト関数を評価するために、コスト関数を極小化することができ、n^e(xm,zm)としてn^p(xm,zm)を明示的に表現することを、画像解析によって提供することができる。n^p(xm,zm)のこの表現を、xおよびzに関する最初の分Pn(x,z)によって取得することができ、またこれによって、
【数4】
を取得することができる。
【0058】
式(1.4)および式(1.5)は、方向微分を表し、またxy平面およびzy平面それぞれに位置するベクトルとみなすことができ、それらのベクトルを、
【数5】
を使用することによって、単位列ベクトルn^x(x,z)、n^z(x,z)として表すこともできる。上記の式において、Tは、転置演算子である。さらに、相互に直交するそれら2つのベクトルもまた、微分が行われる多項式表面における点(xm,zm)に接する平面に位置していなければならない。この条件のもとで、この点における面法線を、それらの単位ベクトルのクロス積
【数6】
を取ることによって取得することができる。ここで
【数7】
は、クロス積演算子であり、n^p(xm,zm)の方向は、底面から離れる方向を指す方向である。つまり、接平面がxz平面に位置する場合、n^p(xm,zm)は、−y軸方向を指すことになる。n^p(xm,zm)は、微分式(1.1)によって取得されるので、k=0の係数はなくなり、ウェハの表面の近似には使用されないことを言及しておく。換言すれば、表面の形状のみが取得され、垂直方向のオフセット、またはy軸に沿った表面の位置は求められない。より詳細には、表面の形状は、
【数8】
によって与えられる多項式でもって近似される。測定された任意の2つ以上の面法線間にない点におけるウェハ表面の近似は外挿であるが、その誤差は、近似の点が測定された面法線から遠ざかる方向に移動するに連れ大きくなると考えられることを言及しておく。
【0059】
場合によっては、2次元のn次多項式を使用することによって適切な表面近似を取得するために必要とされる最小数の面法線が存在することも考えられる。幾つかの実施の形態においては、この最小数は、係数の総数(n+1)(n+2)/2−2によって正確に与えられている。例えば、単にn=1である1次の2次元多項式、すなわち平面が使用されると仮定する。3次元空間における任意の平面を一意に定義するためには、少なくとも3つの点、すなわちn=1では(n+1)(n+2)/2=2×3/2=3、が必要になることは明らかであるが、しかしながら平面の向きを規定するためにはただ1つの面法線だけが必要になり、もちろん、法線に沿った平面の位置は特定されないので、平面は一意には定義されない。したがって、n=4に設定された場合には、表面を定義するために、少なくとも5×6/2−2=13の面法線が要求されるが、しかしながら表面の位置は未知である。13より多くの面法線ベクトルが利用できる場合には、極小化プロセスによって、最小二乗法の意味において、推定された面法線、n^e(xm,zm)に対する最も近いフィットを提供する最善の表面近似が発見されることになる。
【0060】
本発明の例示的な態様によれば、ウェハ面法線測定値に一般的に存在するシステム誤差を、ウェハが平坦である(これは、ミリ秒温度アニールプロセスの開始直前に生じる)と仮定した場合の、ウェハ面法線測定値のセットを取得することによって低減することができる。このシステム誤差を、平坦なウェハのウェハ面法線測定値から取得された表面近似を、後続の表面近似から減算することによって除去することができる。特に、t=tnにおける補正された多項式表面近似を
n(x,z,tn)=Pn(x,z,tn)−Pn(x,z,t0) (1.11)
によって与えることができ、ここで、Qn(x,z,tn)は、時点tnにおける補正された多項式表面近似であり、t0は、平坦なウェハに関連付けられた時点を特定する。
【0061】
上記において述べたように、tnにおけるウェハの底面の表面近似は、表面の形状しか提供せず、y軸に沿った垂直方向のオフセット位置は提供しない。この垂直方向のオフセットを、例えば時点tnにおけるウェハの中心の垂直方向の位置を提供する、レーザ反射率測定を使用することによって取得された測定値から取得することができる。
【0062】
代替的に、ウェハの中心の垂直方向の位置が物理的に測定されない場合には、その位置を、既知のウェハ支持部の物理的な寸法制約条件を使用することによって推定することができる。例えば、ミリ秒温度アニールプロセスの直前に、ウェハを支持構造(例えば、支持ピン)に平らに置くことができ、ウェハの質量中心は、重力に由来する下向きの力を受けると考えられる。例えば、ウェハの垂直方向の位置のこの推定をどのように行うことができるかの図示の実施例では、t0においては、ウェハが支持構造に平らに置かれている、つまりウェハの底面の中心がy=0にあるとみなされる。時点t1においては、α00に関する未知の値を用いて、Q4(x,z,t1)に近似される仮定の何らかの形状を、ウェハ表面が有することになる。期間Δt1=t1−t0にわたり、ウェハは、重力の下向きの力gを受けることになり、この下向きの力gは、ウェハが支持構造による制約を受けない場合には、ウェハの質量中心の位置を
【数9】
によって与えられる量によって下向きに引っ張る。
【0063】
(406)においては、方法が、種々の期間における、モデルによって規定される底面プロフィールと、支持構造と、の交差を識別することを含むことができる。より詳細には、重力が存在せず、かつウェハが自由空間に吊されていると仮定した場合、ウェハに外力は作用しないことから、ウェハの質量中心の位置は変化しない。したがって、ニュートンの運動の法則によって、ミリ秒熱アニールプロセスに起因してウェハの形状が変化する時間は、質量中心の位置を変化させない時間であると考えられる。この事実を、有利には、少なくとも2つの点で使用することができる。
【0064】
第1に、支持構造素子、例えば支持ピンを、支持ピンから離れる方向に移動するウェハ形状の初期変化が生じる位置に配置することによって、少なくともある程度の初期期間にわたり、ウェハが支持ピンと接触することを回避できることが明らかになる。所定の期間にウェハが移動する一般的な距離は、ウェハが重力によって引っ張られることになるであろう距離よりも大きいので、支持ピンとの接触のこの回避を実現することができる。もちろん、より長い期間では、支持ピンまたは他の支持素子との接触が生じることになるほど、ウェハが重力によって十分に引っ張られることになる。
【0065】
第2に、ウェハがいずれの支持素子とも接触せず、また重力によって下向きに引っ張られているだけの期間中は、モデルQ1(x,z,tn)によって与えられるウェハ形状推定値は、体積Vによって与えられるウェハの質量中心の垂直方向の位置を積分
【数10】
で表すことができ、ここでMwは、ウェハの総質量であり、ρは、ウェハの密度であり、かつycomは、所定の許容誤差Errycom内でほぼ0に近い。換言すれば、|ycom|≦Errycomである場合には、ウェハは依然として落下しており、かついずれの支持素子とも接触していない。
【0066】
ウェハが支持構造素子と接触すると、ウェハは、1つまたは複数の支持構造点に対してウェハが押し付けられることによって生じる反力を受けることになる。ここでもまた、ニュートンの運動の法則によって、質量中心の位置が変化することになる。接触中には、ウェハの形状が変化し、その結果、ウェハの質量中心の垂直方向の位置がもはやほぼ0ではなくなる、つまり|ycom|>Errycomになる可能性が高い。この場合、α00の値によって与えられるウェハの垂直方向の位置を、任意の支持構造素子との交差のErrycom内でQ1(x,z,tn)によって与えられる形状に従う、ウェハの表面の1つ、またはそれ以上の点を有するためにはα00のどの値が必要とされるかを算術的に求めることによって推定することができる。ウェハ表面が任意の支持構造素子と交差するか否かを求めるこのプロセスを、各時点tnに対して使用することができる。モデルQ1(x,z,tn)によって与えられる任意の形状の、支持構造との交差を、ウェハ表面が支持構造と接触しているか否か、またいつ接触したかを求めるために使用することができる。
【0067】
したがって、方法(400)は、(1つまたは複数の)接触点を求めるため(408)、ならびに接触速度を求めるため(410)に、モデルの交差を使用することができる。(1つまたは複数の)接触点および接触速度が一度既知となれば、この情報を、(412)において示すように、(1つまたは複数の)接触点における(例えば速度の関数としての)局所的な接触応力の大きさを(例えば運動の法則を使用することによって)計算するために使用することができる。
【0068】
局所的な接触応力の他に、本発明の幾つかの実施の形態は、オプションとして、Q1(x,z,tn)ならびにウェハの上面および下面に由来する温度測定値を使用することによって、ウェハにおける応力分布を推定すること(414)に関する。例えば、半導体基板の温度推定値を取得することができる。この応力分布は、基板上の複数の点における温度に依存するものであってよい。Q4(x,z,tn)および温度測定値によって提供される境界条件および初期条件を満たすために要求される応力分布について解く有限要素解析を実施することができる。幾つかの実施の形態においては、半導体ウェハの上面および下面のウェハ表面の中心位置から熱的に放出された放射に基づいて、ウェハ表面温度推定値を取得することができる。ウェハ表面温度測定値を、本発明の範囲から逸脱することなく、類似の適切なやり方で取得することができる。
【0069】
基板の形状および運動を規定するモデルからは、推定された局所的な接触応力および/または推定された応力分布を、種々の目的のために使用することができる。幾つかの実施の形態においては、ミリ秒アニールシステムにおける熱処理を、モデル、推定された局所的な接触応力、および/または推定された応力分布に基づいて変更することができる。例えば、モデル、推定された局所的な接触応力、および/または推定された応力分布に基づいて、支持構造を設計かつ/または配置することができる。局所的な接触応力を低減するための情報を使用することによって、加熱レシピ(例えば、プロセスレシピ)を規定および変更することができる。モデル、推定された局所的な接触応力、および/または応力分布に基づいて、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切なパラメータおよび係数を変更することができる。
【0070】
幾つかの実施の形態においては、基板の処理中に、局所的な接触応力および/または応力分布をリアルタイムで、かつ/またはほぼリアルタイムで求めることができる。熱処理(例えば、プロセスレシピ、ランプ加熱のプロフィールの制御など)を、処理中に、本発明の実施例による局所的な接触応力の計算に少なくとも部分的に基づいて局所的な接触応力を低減するために変更することができる。
【0071】
ミリ秒アニールシステムにおける接触応力を低減するための例示的なウェハ支持ピン
本発明の例示的な態様によれば、基板の表面が、例えば相対的な速度で支持ピンと接触した際に基板が受ける接触応力を低減することができる。より詳細には、幾つかの実施の形態においては、湾曲部の広がりが接触点におけるウェハ面法線の変化する角度に適応するように支持ピンの曲率半径を大きくすることによって、かつ/またはウェハ表面と接触する領域にわたり支持ピンの表面の平滑度を高めることによって、例えば石英支持ピンを火炎研磨して高めることによって、接触応力を低減することができる。
【0072】
図15に示されているように、任意の特定の半径位置におけるウェハ面の法線の向きは、アニールプロセスの間に変化する可能性がある。例えば、図15に図示されているように、ウェハ502は、半径方向位置r1および時点tnにおいて、第1の面法線504を有している可能性がある。ウェハ502は、半径方向位置r2および時点tnにおいて、第2の面法線506を有している可能性がある。ウェハ502は、半径方向位置r3および時点tnにおいて、第3の面法線508を有している可能性がある。面法線(例えば、面法線504、506および508)の向きの変化は、ミリ秒アニール中のウェハ502の時変的な横方向の熱勾配および惹起された振動運動によってもたらされる、ウェハ502の横方向の撓みに起因すると考えられる。
【0073】
ウェハの表面が例えば支持ピンと接触した場合、接触点においてウェハ表面が位置している角度が、ウェハ面法線の向きによって求められることになる。例えば、図16には、面法線(例えば、面法線504、506および508)の向きに依存する、ウェハ502が支持ピン510と接触することになる種々の角度が図示されている。この接触に由来する応力を低減するために、支持構造、例えば支持ピンの表面が、接触の領域にわたり、ウェハ面法線の向きに可能な限り平行な向きの面法線を有していることが望ましいと考えられる。
【0074】
幾つかの実施の形態においては、ウェハ表面に対する球状表面プロフィールを表すように支持構造の表面を構成することによって、このことを達成することができる。図17には、球状表面プロフィールが図示されている。より詳細には、図17Aは、球体512の横断面ならびに支持ピンに関する球状表面プロフィール515を示す。同様に、図17Bは、球体512の立体図ならびに支持ピンに関する球状表面プロフィール515を示す。
【0075】
幾つかの実施の形態においては、支持ピンが球状表面プロフィールを示す広がりまたは範囲を、達成できる垂直方向の軸線に関する面法線の最大角度θmaxによって求めることができる。一例として、球状表面プロフィール510は、2×θmaxの関数である範囲を有することができる。
【0076】
図18は、ウェハに沿った半径方向の位置の関数としての、ウェハ面法線の最大角度θmaxに関する境界値を示す。図18において、水平方向の軸に沿って半径方向位置がプロットされており、また垂直方向の軸に沿ってθmaxがプロットされている。曲線520によって示されているように、最大角度θmaxは、ウェハの半径方向の場所に依存して、約2°〜約8°であってよい。球状の表面が、ウェハの半径方向の場所に関するθmaxの境界値に少なくとも等しいか、またはそれ以上であるθmaxに基づいて求められた範囲を有するように、球状表面の広がりまたは範囲を構成することによって、球状表面が、場合によっては支持ピンと接触している間にウェハ表面に示される尤度を高めることができる。
【0077】
一例として、システムは、第1の半径方向の場所における第1の支持ピンおよび第2の半径方向の場所における第2の支持ピンを含むことができる。第2の半径方向の場所は、第1の半径方向の場所に対して相対的に、半導体基板の中心からより遠い場所であってよい。第1の支持ピンは、第1の範囲を備えた球状表面プロフィールを有することができる。第2の支持ピンは、第2の範囲を備えた球状表面を有することができる。第1の範囲は、第2の範囲よりも小さくてよい。例えば、第1の範囲は、約2°の最大角度θmaxに基づくものであってよい。第2の範囲は、約8°の最大角度θmaxに基づくものであってよい。
【0078】
幾つかの実施の形態においては、支持ピンの球状表面プロフィールは、可能な限り大きい、表面曲率半径ROCを有することができる。この曲率を、支持ピンの横断面の幅、または円形の横断面の直径dと、最大角度θmaxと、によって、例えば
ROC=(d/2)/sinθmax
を使用することによって求めることができる。図16には、本発明の実施例による、支持ピン510の球状表面515に関するd/2およびθmaxの例が示されている。
【0079】
要求される球状表面プロフィールが維持される限り、支持構造、例えば支持ピンの球状表面プロフィールを、あらゆる適切なベース構造に配置できることを言及しておく。図19には、本発明の実施例による、ミリ秒アニールシステムにおいて使用することができる、球状表面を支持するための種々のベース構造が示されている。
【0080】
例えば、図19Aは、球状表面515および垂直ベース構造602を備えた支持ピン510を示す。図19Bは、球状表面515および第1の方向に向かって角度付けられている傾斜ベース構造604を備えた支持ピン510を示す。図19Cは、球状表面515および第2の方向に向かって角度付けられている傾斜ベース構造604を備えた支持ピン510を示す。図19Dは、球状表面515および傾斜ベース構造608を備えた支持ピン510を示す。傾斜ベース構造608は、第1の方向に角度付けられている第1の部分および第2の方向に角度付けられている第2の部分を有している。図19Eは、球状表面515および傾斜ベース構造610を備えた支持ピン510を示す。傾斜ベース構造608は、第1の方向に角度付けられている第1の部分および第2の方向に角度付けられている第2の部分を有している。図19Fは、球状表面515およびT字形の横断面を有しているベース構造612を備えた支持ピン510を示す。
【0081】
本発明の対象を、本発明の特定の実施例を参照しながら詳細に説明したが、当業者であれば、上記の記載を理解することによって、そのような実施の形態の代替形態、変形形態および等価形態を容易に創作できることは明らかである。したがって、本明細書の範囲は、限定的なものではなく、むしろ例示的なものであり、また本発明の対象は、当業者には容易に明らかになるであろう、本発明の対象に対するそのような修正、変更および/または追加が含まれることを排除するものではない。
【0082】
以下は、親出願(特願2018−521892)の出願当初請求項である。
[請求項1]
ミリ秒アニールシステムにおいて、
ウェハ支持プレートを有しているプロセスチャンバと、
基板を支持するように構成されている前記ウェハ支持プレートから延びる複数の支持ピンと、
を含んでおり、
前記複数の支持ピンのうちの少なくとも1つは、前記基板との接触点における基板面法線の変化する角度に適応するための球状表面プロフィールを有している、
ミリ秒アニールシステム。
[請求項2]
前記球状表面プロフィールは、前記基板との接触点における前記基板面法線の最大角度に少なくとも部分的に基づいて求められた範囲を有している、
請求項1記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項3]
前記球状表面プロフィールは、少なくとも2倍の最大角度に関連付けられた範囲を有している、
請求項2記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項4]
前記最大角度は、約2°〜約8°の範囲内にある、
請求項2記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項5]
前記複数の支持ピンは、基板の中心に対して相対的な第1の半径方向の距離に配置されている第1の支持ピンと、前記基板の中心に対して相対的な第2の半径方向の距離に配置されている第2の支持ピンと、を含んでおり、前記第2の半径方向の距離は、前記第1の半径方向の距離よりも長い、
請求項1記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項6]
前記第1の支持ピンは、第1の範囲を備えた球状表面プロフィールを有しており、前記第2の支持ピンは、第2の範囲を備えた球状表面プロフィールを有しており、前記第2の範囲は、前記第1の範囲よりも大きい、
請求項5記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項7]
前記球状表面プロフィールは、研磨されている、
請求項1記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項8]
前記支持ピンは、石英材料を含んでいる、
請求項1記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項9]
前記支持ピンは、前記球状表面プロフィールを支持するベース構造を含んでいる、
請求項1記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項10]
前記ベース構造は、垂直ベース構造である、
請求項9記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項11]
前記ベース構造は、傾斜ベース構造である、
請求項9記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項12]
前記ベース構造は、T字形の横断面を有している、
請求項9記載のミリ秒アニールシステム。
[請求項13]
ミリ秒アニールシステムにおける支持構造に由来する、基板における局所的な接触応力を求めるための方法において、
1つまたは複数のプロセッサ回路によって、所定の期間にわたり基板に関する複数の面法線推定値を取得するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記複数の面法線推定値に少なくとも部分的に基づいて、時間にわたる前記基板の底面プロフィールを規定するモデルを生成するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記基板と支持構造との間の接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップと、
を含んでいる方法。
[請求項14]
前記方法は、前記局所的な接触応力を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、熱処理を変更するステップを含んでいる、
請求項13記載の方法。
[請求項15]
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記モデルを使用して、前記底面プロフィールの、前記支持構造との交差を識別するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記交差に基づいて、前記支持構造との接触点を求めるステップと、
を含んでいる、
請求項13記載の方法。
[請求項16]
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、前記支持構造との接触速度を求めるステップを含んでいる、
請求項15記載の方法。
[請求項17]
前記1つまたは複数のプロセッサ回路によって、接触点における局所的な接触応力を表すデータを求めるステップは、前記接触点および前記接触速度に基づいて、前記局所的な接触応力を推定するステップを含んでいる、
請求項16記載の方法。
[請求項18]
前記方法は、前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記基板にわたる応力分布を推定するステップを含んでいる、
請求項13記載の方法。
[請求項19]
前記応力分布を、前記基板に関連付けられた複数の温度測定値に少なくとも部分的に基づいて推定する、
請求項18記載の方法。
[請求項20]
前記支持構造は、支持ピンを含んでいる、
請求項13記載の方法。
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