特許第6873266号(P6873266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873266モジュール式のスルーチュービング地下仕上げユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873266
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】モジュール式のスルーチュービング地下仕上げユニット
(51)【国際特許分類】
   E21B 23/06 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E21B23/06
【請求項の数】28
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2019-551249(P2019-551249)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公表番号】特表2020-501054(P2020-501054A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】US2017064622
(87)【国際公開番号】WO2018106638
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】62/430,395
(32)【優先日】2016年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/823,862
(32)【優先日】2017年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】アルスラーン,ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ヌイ−メヒディ,モハメド,エヌ.
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0319928(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0073328(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0192596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーチュービング仕上げシステムであって、
炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービングを通過し、前記坑井の開孔部の目標区域に配置され、前記目標区域で仕上げ作業を実行するように構成された地下仕上げユニット(SCU)であって、前記SCUは前記SCUが前記生産チュービングを通過することを可能にするために前記生産チュービングの内径より小さい非展開の外径を備え、前記SCUが、
前記生産チュービングの前記内径よりも小さい外径を有するSCU本体であって、前記SCU本体がダウンホール端部とアップホール端部および前記SCU本体の前記ダウンホール端部から前記SCU本体の前記アップホール端部まで延びる中央通路を備え前記SCU本体を通る物質の通路を提供し、前記SCU本体のダウンホール端部は前記SCU本体の前記アップホール端部より前方の前記坑井に前進するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記アップホール端部は
前記SCUの前記坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたダウンホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供し、前記SCU本体の前記アップホール端部は前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたアップホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供するSCU本体と、
前記炭化水素井戸の前記坑井に配置されたダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって前記炭化水素井戸の地上制御システムとの双方向通信を提供するように構成されたSCU無線トランシーバと、
SCU固定シールであって、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCU固定シールであって、前記ダウンホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記ダウンホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の壁の間にシールを提供し、前記ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井のダウンホール領域と前記ダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供するダウンホールSCU固定シールと、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCU固定シールであって、前記アップホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記アップホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁の間にシールを提供し、前記アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井のアップホール領域と前記アップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井の前記目標領域の間に帯状の隔離を提供するアップホールSCU固定シールとを備え、
前記ダウンホールSCU固定シールおよび前記アップホールSCU固定シールは、前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記ダウンホール領域の間、および前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記アップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために前記展開位置に位置決めされるように構成されたものであり、
SCUセントラライザは、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCUセントラライザであって、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記ダウンホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記SCU本体のダウンホール端部を付勢するダウンホールSCUセントラライザと、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCUセントラライザであって、前記アップホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記アップホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記SCUを付勢するアップホールSCUセントラライザとを備え、
前記ダウンホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記ダウンホール端部の一部に位置決めされ、前記アップホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記アップホール端部の一部に位置決めされ、前記ダウンホールSCU固定シールと前記アップホールSCU固定シールは前記ダウンホールSCUセントラライザと前記アップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされるSCUセントラライザと、
前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の物質の流れを制御するように構成されたSCU流れ制御バルブであって、前記SCU流れ制御バルブが、前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを阻止するための閉鎖位置および前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるように構成されたSCU流れ制御バルブと、
前記SCUの動作を制御するように構成されたSCU制御システムとを備えるスルーチュービング仕上げシステム。
【請求項2】
前記SCU制御システムが、前記SCUの環境条件を感知するようになされたSCU検知システムを備え、前記SCU検知システムが、
前記坑井の前記目標領域の物質の温度および圧力を感知するように構成された目標区域センサを備え、前記SCU検知システムが感知された前記坑井の目標領域の物質の前記温度および圧力を含むSCUセンサデータを生成するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記SCU制御システムが前記SCUを動作させるための電力を供給するように構成されたSCUエネルギーシステムを備え、前記SCUエネルギーシステムが、前記SCU本体の前記中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集するように構成されたエネルギーハーベスティングシステムを備える、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記SCU制御システムが前記SCU固定シールの動作を制御するように構成されたSCU固定シール制御システムを備え、前記SCU固定シールの前記動作が、前記SCU固定シールのそれぞれを前記展開位置または前記非展開位置に位置決めすることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記SCU固定シールは回収不可能であり、前記SCU固定シールの前記動作が、前記SCU固定シールを前記SCU本体から切り離すこと、または前記SCU固定シールを前記SCU本体に連結することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記SCU制御システムが前記SCUセントラライザの動作を制御するように構成されたSCUセントラライザ制御システムを備え、前記SCUセントラライザの前記動作が、前記SCUセントラライザのそれぞれを前記展開位置または前記非展開位置に位置決めすることを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記SCU制御システムが前記SCU流れ制御バルブの動作を制御するように構成されたSCU流れ制御システムを備え、前記SCU流れ制御バルブの前記動作が、前記SCU流れ制御バルブを前記閉鎖位置または前記開放位置に位置決めすることを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記SCU制御システムが、前記SCUセンサデータを処理して処理済みのSCUセンサデータを生成するように構成されたSCU処理システムを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記SCU制御システムは、前記SCUと他のSCUの間の通信を制御し、前記SCUと前記ダウンホール無線トランシーバの間の通信を制御するように構成されたSCU通信システムを備え、前記SCU通信システムが、
前記SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によって前記ダウンホール無線トランシーバと通信すること、
前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器および前記SCUの前記アップホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUと通信すること、
前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの前記アップホール誘導結合器および前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUと通信するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記SCU固定シールのそれぞれが、前記SCU本体と解放可能に連結され、前記SCU本体を前記SCU固定シールの内部通路を通して移動させることができるようにするため、前記SCU固定シールが前記坑井に展開され、SCU本体から切り離されるよう構成されるように、前記SCU本体の外径以上の内径を有する内部通路を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ダウンホールSCU固定シールと前記アップホールSCU固定シールの間に位置する前記SCU本体の目標部分が、前記SCU本体の前記中央通路と前記SCU本体の外側の間に延びる穿孔を備え、
前記SCU流れ制御バルブが穿孔を備える円筒形スリーブを備え、前記SCU制御バルブの前記閉鎖位置は前記SCU本体の前記穿孔を遮断するように位置決めされた前記円筒形スリーブを備え、前記SCU制御バルブの前記開放位置は前記SCU本体の前記穿孔および前記円筒形スリーブの前記穿孔を少なくとも部分的に位置合わせするために位置決めされた前記円筒形スリーブを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ダウンホール無線トランシーバが、前記生産チュービングの前記ダウンホール端部に位置している、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ダウンホール無線トランシーバが、前記生産チュービングのダウンホール端部と前記目標区域の間に位置する前記坑井の前記開孔部の一部に配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記生産チュービングおよび前記坑井の前記開孔部を通って前記SCUを前進させるための原動力を提供するように構成されたダウンホールトラクタをさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記SCUの前記SCU本体の前記ダウンホール誘導結合器に誘導結合されたアップホール誘導結合器を備える第2のSCU、または
前記SCUの前記SCU本体の前記アップホール誘導結合器に誘導結合されたダウンホール誘導結合器を備える第3のSCUをさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記地上制御システム、前記生産チュービング、および前記ダウンホール無線トランシーバをさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
スルーチュービング仕上げシステムを備える井戸システムであって、前記井戸システムが 、
炭化水素井戸の地上制御システムと、
前記炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービングと
前記炭化水素井戸の前記坑井に配置され、前記地上制御システムとの通信を容易にするように構成されたダウンホール無線トランシーバと、
前記生産チュービングを通過し、前記坑井の開孔部の目標区域に配置され、前記目標区域で仕上げ作業を実行するように構成された地下仕上げユニット(SCU)であって、前記SCUは前記SCUが前記生産チュービングを通過することを可能にするために前記生産チュービングの内径より小さい非展開の外径を備え、前記SCUが、
前記生産チュービングの前記内径よりも小さい外径を有するSCU本体であって、前記SCU本体がダウンホール端部とアップホール端部および前記SCU本体の前記ダウンホール端部から前記SCU本体の前記アップホール端部まで延びる中央通路を備えSCU本体を通る物質の通路を提供し、前記SCU本体のダウンホール端部は前記SCU本体の前記アップホール端部より前方の坑井に前進するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記アップホール端部は前記SCUの前記坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたダウンホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供し、前記SCU本体の前記アップホール端部は前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたアップホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供するSCU本体と、
前記炭化水素井戸の前記坑井に配置された前記ダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって前記炭化水素井戸の前記地上制御システムとの双方向通信を提供するように構成されたSCU無線トランシーバと、
SCU固定シールであって、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCU固定シールであって、前記ダウンホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記ダウンホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の壁の間にシールを提供し、前記ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井のダウンホール領域と前記ダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供するダウンホールSCU固定シールと、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCU固定シールであって、前記アップホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記アップホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁の間にシールを提供し、前記アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井のアップホール領域と前記アップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井の前記目標領域の間に帯状の隔離を提供するアップホールSCU固定シールとを備え、
前記ダウンホールSCU固定シールおよび前記アップホールSCU固定シールは、前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記ダウンホール領域の間、および前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記アップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために前記展開位置に位置決めされるように構成されたものであり、
SCUセントラライザは、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCUセントラライザであって、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記ダウンホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記前記SCU本体のダウンホール端部を付勢するダウンホールSCUセントラライザと、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCUセントラライザであって、前記アップホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記アップホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記SCUを付勢するアップホールSCUセントラライザとを備え、
前記ダウンホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記ダウンホール端部の一部に位置決めされ、前記アップホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記アップホール端部の一部に位置決めされ、前記ダウンホールSCU固定シールと前記アップホールSCU固定シールは前記ダウンホールSCUセントラライザと前記アップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされるSCUセントラライザと、
前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の物質の流れを制御するように構成されたSCU流れ制御バルブであって、前記SCU流れ制御バルブが、前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを阻止するための閉鎖位置および前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるように構成されたSCU流れ制御バルブと、
前記SCUの動作を制御するように構成されたSCU制御システムとを備える、SCUとを備える井戸システム。
【請求項18】
前記SCU制御システムが、
前記SCUの環境条件を感知するように構成されたSCU検知システムであって、前記SCU検知システムは前記坑井の前記目標領域の物質の温度および圧力を感知するように構成された目標区域センサを備え、前記SCU検知システムは感知された前記坑井の目標領域の物質の前記温度および圧力を含むSCUセンサデータを生成するように構成されたSCU検知システムと、
前記SCUを動作させるための電力を供給するように構成されたSCUエネルギーシステムと、
前記SCU固定シールの動作を制御するように構成されたSCU固定シール制御システムであって、前記SCU固定シールの前記動作が前記SCU固定シールのそれぞれを前記展開位置または前記非展開位置に位置決めすることを含むSCU固定シール制御システムと 、
前記SCUセントラライザの動作を制御するように構成されたSCUセントラライザ制御システムであって、前記SCUセントラライザの前記動作が前記SCUセントラライザのそれぞれを前記展開位置または前記非展開位置に位置決めすることを含むSCUセントラライザ制御システムと、
前記SCU流れ制御バルブの動作を制御するように構成されたSCU流れ制御システムであって、前記SCU流れ制御バルブの前記動作が前記SCU流れ制御バルブを前記閉鎖位置または前記開放位置に位置決めすることを含むSCU流れ制御システムと、
前記SCUセンサデータを処理して処理済みSCUセンサデータを生成するように構成されたSCU処理システムと、
前記SCUと他のSCUの間の通信を制御し、前記SCUと前記ダウンホール無線トランシーバの間の通信を制御するように構成されたSCU通信システムであって、前記SCU通信システムが、
前記SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によって前記ダウンホール無線トランシーバと通信すること、
前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器および前記SCUの前記アップホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUと通信すること、
前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの前記アップホール誘導結合器および前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUと通信するように構成されたSCU通信システムとを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービングを通し、坑井の開孔部の目標区域に、非展開位置に構成された地下仕上げユニット(SCU)を前進させることであって、前記SCUは前記SCUが前記生産チュービングを通過することを可能にするために前記生産チュービングの内径より小さい非展開の外径を備え、前記SCUが、
前記生産チュービングの前記内径よりも小さい外径を有するSCU本体であって、前記SCU本体がダウンホール端部とアップホール端部および前記SCU本体の前記ダウンホール端部から前記SCU本体の前記アップホール端部まで延びる中央通路を備えSCU本体を通る物質の通路を提供し、前記SCU本体のダウンホール端部は前記SCU本体の前記アップホール端部より前方の坑井に前進するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記アップホール端部は前記SCUの前記坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するように構成され、前記SCU本体の前記ダウンホール端部は前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたダウンホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供し、前記SCU本体の前記アップホール端部は前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するように構成されたアップホール誘導結合器を備え前記SCUと前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの間にデータ通信を提供するSCU本体と、
前記炭化水素井戸の前記坑井に配置されたダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって前記炭化水素井戸の地上制御システムとの双方向通信を提供するように構成されたSCU無線トランシーバと、
SCU固定シールであって、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCU固定シールであって、前記ダウンホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記ダウンホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の壁の間にシールを提供し、前記ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井のダウンホール領域と前記ダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供するダウンホールSCU固定シールと、
非展開位置と展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCU固定シールであって、前記アップホールSCU固定シールの前記非展開位置は、前記アップホールSCU固定シールが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCU固定シールの前記展開位置は、前記SCU本体と前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁の間にシールを提供し、前記アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する前記坑井のアップホール領域と前記アップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する前記坑井の前記目標領域の間に帯状の隔離を提供するアップホールSCU固定シールとを備え、
前記ダウンホールSCU固定シールおよび前記アップホールSCU固定シールは、前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記ダウンホール領域の間、および前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記アップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために前記展開位置に位置決めされるように構成されたものであり、
SCUセントラライザであって、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたダウンホールSCUセントラライザであって、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記ダウンホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記ダウンホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記前記SCU本体のダウンホール端部を付勢するダウンホールSCUセントラライザと、
非展開位置および展開位置に位置決めされるように構成されたアップホールSCUセントラライザであって、前記アップホールSCUセントラライザの前記非展開位置は前記アップホールSCUセントラライザが前記生産チュービングを通過することを可能にし、前記アップホールSCUセントラライザの前記展開位置は前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるよう前記SCUを付勢するアップホールSCUセントラライザとを備え、
前記ダウンホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記ダウンホール端部の一部に位置決めされ、前記アップホールSCUセントラライザは前記SCU本体の前記アップホール端部の一部に位置決めされ、前記ダウンホールSCU固定シールと前記アップホールSCU固定シールは前記ダウンホールSCUセントラライザと前記アップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされるSCUセントラライザと、
前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の物質の流れを制御するように構成されたSCU流れ制御バルブであって、前記SCU流れ制御バルブが、前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを阻止するための閉鎖位置および前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の前記物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるように構成されたSCU流れ制御バルブと、
前記SCUの動作を制御するように構成されたSCU制御システムとを備え、
前記SCUを制御して前記坑井の前記開孔部の前記目標区域の前記壁から離れるように前記SCU本体を付勢するために前記SCUセントラライザを展開位置に拡張すること、
前記SCUを制御して前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記ダウンホール領域の間および前記坑井の前記目標領域と前記坑井の前記アップホール領域の間に帯状の隔離を提供するために前記SCU固定シールを展開位置に拡張すること、
前記SCUを制御して前記坑井の前記目標領域と前記SCU本体の前記中央通路の間の物質の前記流れを調整するために前記SCU流れ制御バルブを位置決めすることを含む方法 。
【請求項20】
前記SCU制御システムが、
前記SCUの環境条件を感知するように構成されたSCU検知システムであって、前記SCU検知システムは前記坑井の前記目標領域の物質の温度および圧力を感知するように構成された目標区域センサを備えるSCU検知システムと、
SCU処理システムとを備え、
前記方法が、
感知された前記坑井の目標領域の物質の前記温度および圧力を含むSCUセンサデータを前記SCU検知システムによって生成すること、および
前記SCUセンサデータを前記SCU処理システムによって処理して、処理済みSCUセンサデータを生成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記SCU制御システムが、前記SCUを動作させるための電力を供給するように構成されたSCUエネルギーシステムを備え、前記SCUエネルギーシステムは前記SCU本体の前記中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集するように構成されたエネルギーハーベスティングシステムを備え、前記方法が前記SCU本体の前記中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集する前記エネルギーハーベスティングシステムをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記SCU固定シールを前記SCU本体から切り離すことをさらに含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記SCU制御システムがSCU通信システムを備え、前記方法が、
前記SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によって前記ダウンホール無線トランシーバと通信すること、
前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器および前記SCUの前記アップホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井ダウンホールに配置された前記SCUと通信すること、
前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUの前記アップホール誘導結合器および前記SCUの前記ダウンホール誘導結合器により前記SCUの前記坑井アップホールに配置された前記SCUと通信する前記SCU通信システムをさらに含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記SCU固定シールのそれぞれが前記SCU本体と解放可能に連結され、前記SCU本体の外径以上の内径を有する内部通路を有し、前記方法が、
前記SCU本体から、前記坑井の前記展開位置の前記SCU固定シールを切り離すこと、および
前記SCU本体を前記SCU固定シールの前記内部通路を通して移動させることをさらに含む、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ダウンホール無線トランシーバを前記生産チュービングのダウンホール端部に位置決めすることをさらに含む、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ダウンホール無線トランシーバを前記生産チュービングのダウンホール端部と前記目標区域の間に位置する前記坑井の前記開孔部の一部に位置決めすることをさらに含む、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記生産チュービングを通して前記非展開位置の前記SCUを前記坑井の前記開孔部の前記目標区域に前進させることは、前記生産チュービングを通して前記非展開位置の前記SCUを前記坑井の前記開孔部の前記目標区域に前進させる原動力を提供するトラクタを含む、請求項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記SCUの前記SCU本体の前記ダウンホール誘導結合器に第2のSCUのアップホール誘導結合器を誘導結合するように前記SCU本体の前記ダウンホール端部の横に前記第2のSCUを位置決めすること、または
前記SCUの前記SCU本体の前記アップホール誘導結合器に第3のSCUのダウンホール誘導結合器を誘導結合するように前記SCU本体の前記ダウンホール端部の横に前記第3のSCUを位置決めすることをさらに含む、請求項19から27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して井戸仕上げシステムに関し、より詳細にはスルーチュービング仕上げシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
井戸は一般に、地層から、炭化水素や水などの天然資源の抽出を容易にするため、地層への流体の注入を容易にするため、または地層の評価および監視を容易にするために地球の地下の地理的地層(しばしば「地下地層」と呼ばれる)へのアクセスを提供するために地球に掘削される坑井(または「ボアホール」)を含む。石油産業では、地下地層から、石油やガスなどの炭化水素を抽出(または「生産」)するために井戸がしばしば掘削される。「油井」という用語は通常、石油を生産するように設計された井戸を指すのに使用される。油井の場合には、多少の天然ガスが通常、石油と共に生産される。石油と天然ガスの両方を生産する井戸は、「石油・ガス井」または「油井」と呼ばれることがある。
【0003】
油井を開発することは、通常、掘削段階、仕上げ段階、および生産段階を含む。掘削段階は普通、しばしば「炭化水素貯留層」または「貯留層」と呼ばれる、生産可能な濃度の炭化水素を含むと予想される地下地層の一部に坑井を掘削することを含む。掘削工程は通常、地表に設置された掘削リグを含む地上システムによって促進される。掘削リグは、例えば、ドリルビットを操作して、坑井(しばしば、ダウンホールと呼ばれる)の坑井、ホイスト、下部および旋回ドリルパイプ、工具および他の装置を切断し、坑井で掘削流体を循環させ、そして一般的に様々なダウンホール操作を制御することができる。仕上げ段階は普通、炭化水素を生産するために井戸を整備することを含む。いくつかの事例では、仕上げ段階は、炭化水素生産のためのケーシングの設置、ケーシングの穿孔、生産チュービングの設置、生産流れを調整するためのダウンホールバルブの設置、および地層と井戸を破砕、清掃または準備するための坑井への流体の圧送を含む。生産段階は、貯留層から井戸を介して炭化水素を生産することを含む。生産段階では、掘削リグは普通、地上にある一連のバルブと交換される(しばしば「生産ツリー」と呼ばれる)。生産ツリーは、坑井の圧力を調整し、坑井からの生産の流れを制御し、追加の仕上げ作業(しばしば「改修」と呼ばれる)が必要となった場合に坑井へのアクセスを提供するためにダウンホールバルブと連動して操作される。特に井戸の圧力が非常に低く、炭化水素が地上に自由に流れない場合、ポンプジャッキまたは他の機構が貯留層から炭化水素を抽出するのを支援する揚力を提供することができる。生産ツリーの出口バルブからの流れは通常、生産物を精製所や輸出ターミナルなどの下流施設に輸送するタンク、パイプライン、および輸送車両などの中流施設の配送ネットワークに接続されている。仕上げした井戸で坑井の修理やダウンホール部品の取り外しや交換などの改修作業が必要な場合は、工具、バルブ、生産チュービングの取り外しや設置に使用するために改修リグを設置することが必要な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、従来の井戸構成は、掘削、仕上げおよび生産作業の様々な態様に関して複雑さを生み出す可能性があることを認識している。例えば、生産チュービングは普通、生産チュービングの取り外しおよび再設置を必要とする改修作業に伴う余分な時間および費用を避けるためにケーシングが設置された後に設置される。例えば、坑井の一部のケーシングを必要とする改修作業の場合、ケーシング作業の前に設置された設置済み生産チュービングを回収し、次いでケーシング作業が完了した後に生産チュービングを再運転することを含む場合がある。したがって、起こり得る遅延やかかり得る費用を回避するために、井戸オペレータが仕上げ計画を含む、井戸仕上げのための綿密な計画を立てることが重要である。残念なことに、井戸にはしばしば予測不可能な問題が起こり、そして十分に設計された井戸計画でさえも、井戸を開発するための時間と費用の支出を増やす可能性のある変更の影響を受けやすい。例えば、時間が経つにつれて、井戸は地層から坑井内への水またはガスなど、望ましくない物質の流れを発生させることがある(しばしば「ブレークスルー」と呼ばれる)。ブレークスルーにより、不要な物質による生産流体への阻害または、混入につながる可能性がある。例えば、坑井の一部分に入った水およびガスは、坑井の隣接部分からの石油生産物と混ざり合うことがある。地層から坑井に流れ込む流体に対する実質的な障壁がないため、坑井のケーシングされていない(または「開孔した」)セクションでブレークスルーがしばしば起こる。試みられた解決策は、不要な物質が坑井に入るのを防ぐために坑井の一部を並べることを含むことができる。坑井の一部がひどく損傷している場合、坑井のその部分は放棄することが必要な場合もある。これには、坑井の損傷部分をシールすること、および必要に応じて、坑井の損傷部分を回避または迂回する、側面などの新しい坑井セクションを掘削することが含まれる場合がある。
【0005】
残念ながら、ブレークスルーやその他の損傷など、井戸に関する予期しない問題が発生した場合、井戸オペレータは井戸の井戸計画を修正することが必要な場合がある。これには、問題を解決するための試みとして、費用のかかる改修作業を行うことが含まれる場合がある。例えば、ブレークスルー問題を解決するためにケーシングが坑井の一部を裏打ちするため必要とされる場合、井戸オペレータは坑井から既に設置された生産チュービング、バルブおよび工具を取り出し、坑井を修理するためにケーシング作業を行い、最後に生産チュービングバルブと工具を坑井に再設置する。これによって、改修作業を行うための費用の他、改修作業の期間中の生産の損失に関連した収益損失によって、費用を増加させる可能性がある。残念ながら、この種の問題は時間の経過とともに発生する可能性があり、古い既存の井戸ではさらに一般的である。したがって、井戸計画への影響を最小限に抑えながらこの種の問題を効果的に解決し、事実上、改修作業に従来伴う費用や遅延を削減し、井戸の純収益性を向上させるのに役立つ改修の解決策を提供することが重要である。
【0006】
既存のシステムのこれらおよび他の欠点を認識して、出願人は、地下仕上げユニット(SCU)を採用するスルーチュービング仕上げシステム(TTCS)を使用して井戸を操作する新規なシステムおよび方法を開発した。いくつかの実施形態では、TTCSは、所定の位置に生産チュービングストリングを有する坑井に、ダウンホールを展開する1つまたは複数のSCUを含む。例えば、SCUは生産チュービングを通して、生産チュービングのダウンホール端部からダウンホールでありブレークスルーを経験している坑井の開孔部など、仕上げを必要とする坑井の目標区域に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、展開されたSCUは、坑井の関連する目標区域の仕上げをもたらすように操作される。例えば、展開されたSCUのシールおよびバルブを操作して、SCUの周囲に位置する坑井の環状領域の帯状の流体隔離を提供し、坑井および生産チュービングを上方に流れる生産流体の流れへのブレークスルー流体の流れを制御することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、SCUは1つまたは複数のSCUモジュール(SCUM)から形成されたモジュール式SCUを含む。例えば、複数のSCUMを、エンドツーエンドで、直列に積み重ねて、比較的長いセクションの坑井の仕上げをもたらすことができる比較的長いSCUを形成することができる。適切な数のSCUMを一緒に積み重ねて坑井に所望の長さの仕上げをもたらすことができるので、これはさらなる柔軟性を提供することができる。いくつかの実施形態では、SCUMは地上またはダウンホールで組み立てることができる。これにより、SCUの設置に必要なダウンホールの実行回数を減らし、生産チュービングと坑井を通るSCUの物理的なサイズに柔軟性を提供し、井戸は時間とともに進展するので、後でSCUMを追加または取り出すための柔軟性を提供することでシステムの柔軟性をさらに高めることができる。生産チュービングを通してSCUを実行できることにより、SCUは、SCUの設置または回収の間に、井戸において、生産チュービングを取り出して再実行させる必要なしに、ブレークスルーを阻止するために井戸の坑井を並べるなどの仕上げ機能を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態で提供されるのは、炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービングを通過し、坑井の開孔部の目標区域に配置され、目標区域で仕上げ作業を実施するようになされたSCUを含むスルーチュービング仕上げシステムである。SCUの生産チュービングの通過を可能にするために、SCUは、生産チュービングの内径未満の、非展開外径を有している。SCUは、生産チュービングの内径未満の外径を有し、ダウンホール端部とアップホール端部、およびSCU本体を通過する物質の通路を提供するための、SCU本体のダウンホール端部からSCU本体のアップホール端部に至る中央通路を含むSCU本体を含んでいる。SCU本体のダウンホール端部は、SCU本体のアップホール端部より前方の坑井に前進するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するようになされ、SCU本体のアップホール端部は、SCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUとSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するようになされたダウンホール誘導結合器を含み、SCU本体のアップホール端部は、SCUとSCUの坑井アップホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するようになされたアップホール誘導結合器を含んでいる。SCUは、炭化水素井戸の坑井に配置されたダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって炭化水素井戸の地上制御システムとの双方向通信を提供するようになされたSCU無線トランシーバを含んでいる。SCUは以下を含むSCU固定シールを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCU固定シール(ダウンホールSCU固定シールの非展開位置は、ダウンホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井のダウンホール領域とダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCU固定シール(アップホールSCU固定シールの非展開位置は、アップホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井のアップホール領域とアップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)。ダウンホールSCU固定シールおよびアップホールSCU固定シールは、坑井の目標領域と坑井のダウンホール領域の間、および坑井の目標領域と坑井のアップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために展開位置に位置決めされるようになされている。SCUは以下を含むSCUセントラライザを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCUセントラライザ(ダウンホールSCUセントラライザの非展開位置は、ダウンホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCU本体のダウンホール端部を付勢する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCUセントラライザ(アップホールSCUセントラライザの非展開位置は、アップホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、アップホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCUを付勢する)。ダウンホールSCUセントラライザはSCU本体のダウンホール端部の一部に位置決めされ、アップホールSCUセントラライザはSCU本体のアップホール端部の一部に位置決めされ、およびダウンホールSCU固定シールとアップホールSCU固定シールはダウンホールSCUセントラライザとアップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされる。SCUは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを制御するようになされたSCU流れ制御バルブを含んでいる。SCU流れ制御バルブは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを遮断するための閉鎖位置および坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるようになされている。SCUは、SCUの動作を制御するようになされたSCU制御システムを含んでいる。
【0009】
いくつかの実施形態では、SCU制御システムは、SCUの環境条件を感知するようになされたSCU検知システムを含み、当該SCU検知システムは、坑井の目標領域の物質の温度および圧力を感知するようになされた目標区域センサを含み、当該SCU検知システムは感知された坑井の目標領域の物質の温度および圧力を含むSCUセンサデータを生成するようになされている。特定の実施形態では、SCU制御システムは、SCUを動作させるための電力を供給するようになされたSCUエネルギーシステムを含み、当該SCUエネルギーシステムは、SCU本体の中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集するようになされたエネルギーハーベスティングシステムを含んでいる。いくつかの実施形態では、SCU制御システムは、SCU固定シールの動作を制御するようになされたSCU固定シール制御システムを含み、SCU固定シールの動作は、SCU固定シールのそれぞれを展開位置または非展開位置に位置決めすることを含んでいる。特定の実施形態では、SCU固定シールは回収不可能であり、SCU固定シールの動作は、SCU固定シールをSCU本体から切り離すこと、またはSCU固定シールをSCU本体に連結することを含む。いくつかの実施形態では、SCU制御システムは、SCUセントラライザの動作を制御するようになされたSCUセントラライザ制御システムを含み、SCUセントラライザの動作は、SCUセントラライザのそれぞれを展開位置または非展開位置に位置決めすることを含んでいる。特定の実施形態では、SCU制御システムは、SCU流れ制御バルブの動作を制御するようになされたSCU流れ制御システムを含み、SCU流れ制御バルブの動作は、SCU流れ制御バルブを閉鎖位置または開放位置に位置決めすることを含んでいる。いくつかの実施形態では、SCU制御システムは、SCUセンサデータを処理して処理済みのSCUセンサデータを生成するようになされたSCU処理システムを含む。特定の実施形態では、SCU制御システムは、SCUと他のSCUの間の通信を制御し、SCUとダウンホール無線トランシーバの間の通信を制御するようになされたSCU通信システムを含み、当該SCU通信システムは以下を実行するようになされている。すなわち、SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によってダウンホール無線トランシーバと通信すること、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器およびSCUのアップホール誘導結合器によりSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUと通信すること、およびSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器およびSCUのダウンホール誘導結合器によりSCUの坑井アップホールに配置されたSCUと通信すること。
【0010】
いくつかの実施形態では、SCU固定シールのそれぞれは、SCU本体と解放可能に連結され、SCU本体をSCU固定シールの内部通路を通して移動させることができるようにするため、SCU固定シールが坑井に展開され、SCU本体から切り離されるように、SCU本体の外径以上の内径を有する内部通路を有する。特定の実施形態では、ダウンホールSCU固定シールとアップホールSCU固定シールの間に位置するSCU本体の目標部分は、SCU本体の中央通路とSCU本体の外側の間に延びる穿孔を含み、SCU流れ制御バルブは穿孔を含む円筒形スリーブを含む(SCU制御バルブの閉鎖位置はSCU本体の穿孔を遮断するように位置決めされた円筒形スリーブを含み、SCU制御バルブの開放位置はSCU本体の穿孔および円筒形スリーブの穿孔を少なくとも部分的に位置合わせするために位置決めされた円筒形スリーブを含む)。いくつかの実施形態では、ダウンホール無線トランシーバは、生産チュービングのダウンホール端部に位置している。特定の実施形態では、ダウンホール無線トランシーバは、生産チュービングのダウンホール端部と目標区域の間に位置する坑井の開孔部の一部に配置される。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、生産チュービングおよび坑井の開孔部を通ってSCUを前進させるための原動力を提供するようになされたダウンホールトラクタをさらに含む。特定の実施形態では、システムはさらに以下を含む。すなわち、SCUのSCU本体のダウンホール誘導結合器に誘導結合されたアップホール誘導結合器を含む第2のSCU、またはSCUのSCU本体のアップホール誘導結合器に誘導結合されたダウンホール誘導結合器を含む第3のSCU。いくつかの実施形態では、システムは、地上制御システム、生産チュービング、およびダウンホール無線トランシーバをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態で提供されるのは、スルーチュービング仕上げシステムを含む井戸システムである。井戸システムは以下を含んでいる。すなわち、炭化水素井戸の地上制御システム、炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービング、炭化水素井戸の坑井に配置され、地上制御システムとの通信を容易にするようになされたダウンホール無線トランシーバ、および生産チュービングを通過し、坑井の開孔部の目標区域に配置され、目標区域で仕上げ作業を実施するようになされたSCU。SCUは、SCUの生産チュービングの通過を可能にするために、生産チュービングの内径未満の、非展開外径を含んでいる。SCUは、生産チュービングの内径未満の外径を有し、ダウンホール端部とアップホール端部、およびSCU本体を通過する物質の通路を提供するための、SCU本体のダウンホール端部からSCU本体のアップホール端部まで延びる中央通路を含むSCU本体を含んでいる。SCU本体のダウンホール端部は、SCU本体のアップホール端部より前方の坑井に前進するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するようになされ、SCU本体のアップホール端部は、SCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUとSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するようになされたダウンホール誘導結合器を含み、SCU本体のアップホール端部は、SCUとSCUの坑井アップホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するようになされたアップホール誘導結合器を含んでいる。SCUは、炭化水素井戸の坑井に配置されたダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって炭化水素井戸の地上制御システムとの双方向通信を提供するようになされたSCU無線トランシーバを含んでいる。SCUは以下を含むSCU固定シールを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCU固定シール(ダウンホールSCU固定シールの非展開位置は、ダウンホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井のダウンホール領域とダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCU固定シール(アップホールSCU固定シールの非展開位置は、アップホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井のアップホール領域とアップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)。ダウンホールSCU固定シールおよびアップホールSCU固定シールは、坑井の目標領域と坑井のダウンホール領域の間、および坑井の目標領域と坑井のアップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために展開位置に位置決めされるようになされている。SCUは以下を含むSCUセントラライザを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCUセントラライザ(ダウンホールSCUセントラライザの非展開位置は、ダウンホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCU本体のダウンホール端部を付勢する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCUセントラライザ(アップホールSCUセントラライザの非展開位置は、アップホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、アップホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCUを付勢する)。ダウンホールSCUセントラライザはSCU本体のダウンホール端部の一部に位置決めされ、アップホールSCUセントラライザはSCU本体のアップホール端部の一部に位置決めされ、およびダウンホールSCU固定シールとアップホールSCU固定シールはダウンホールSCUセントラライザとアップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされる。SCUは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを制御するようになされたSCU流れ制御バルブを含んでいる。SCU流れ制御バルブは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを遮断するための閉鎖位置および坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるようになされている。SCUは、SCUの動作を制御するようになされたSCU制御システムを含んでいる。
【0013】
特定の実施形態では、SCU制御システムは、SCUの環境条件を感知するようになされたSCU検知システム(SCU検知システムは坑井の目標領域の物質の温度および圧力を感知するようになされた目標区域センサを含んでおり、SCU検知システムは感知された坑井の目標領域の物質の温度および圧力を含むSCUセンサデータを生成するようになされている)、SCUを動作させるための電力を供給するようになされたSCUエネルギーシステム、SCU固定シールの動作を制御するようになされたSCU固定シール制御システム(SCU固定シールの動作はSCU固定シールのそれぞれを展開位置または非展開位置に位置決めすることを含んでいる)、SCUセントラライザの動作を制御するようになされたSCUセントラライザ制御システム(SCUセントラライザの動作はSCUセントラライザのそれぞれを展開位置または非展開位置に位置決めすることを含んでいる)、SCU流れ制御バルブの動作を制御するようになされたSCU流れ制御システム(SCU流れ制御バルブの動作はSCU流れ制御バルブを閉鎖位置または開放位置に位置決めすることを含んでいる)、SCUセンサデータを処理して処理済みSCUセンサデータを生成するようになされたSCU処理システム、ならびにSCUと他のSCUの間の通信を制御し、SCUとダウンホール無線トランシーバの間の通信を制御するようになされたSCU通信システムを含む。SCU通信システムは以下を実行するようになされている。すなわち、SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によってダウンホール無線トランシーバと通信すること、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器およびSCUのアップホール誘導結合器によりSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUと通信すること、およびSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器およびSCUのダウンホール誘導結合器によりSCUの坑井アップホールに配置されたSCUと通信すること。
【0014】
いくつかの実施形態で提供されるのは、炭化水素井戸の坑井に配置された生産チュービングを通して、坑井の開孔部の目標区域に、非展開位置に適合されたSCUを前進させることを含む方法である。SCUは、SCUの生産チュービングの通過を可能にするために、生産チュービングの内径未満の、非展開外径を含んでいる。SCUは、生産チュービングの内径未満の外径を有するSCU本体を含んでいる。SCU本体は、ダウンホール端部とアップホール端部、およびSCU本体を通過する物質の通路を提供するためのSCU本体のダウンホール端部からSCU本体のアップホール端部まで延びる中央通路を含んでいる。SCU本体のダウンホール端部は、SCU本体のアップホール端部より前方の坑井に前進するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール端部と係合するようになされ、SCU本体のアップホール端部は、SCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール端部と係合するようになされ、SCU本体のダウンホール端部は、SCUとSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器に誘導結合するようになされたダウンホール誘導結合器を含み、SCU本体のアップホール端部は、SCUとSCUの坑井アップホールに配置されたSCUの間でデータ通信を提供するためにSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器に誘導結合するようになされたアップホール誘導結合器を含んでいる。SCUは、炭化水素井戸の坑井に配置されたダウンホール無線トランシーバとの無線通信によって炭化水素井戸の地上制御システムとの双方向通信を提供するようになされたSCU無線トランシーバを含んでいる。SCUは以下を含むSCU固定シールを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCU固定シール(ダウンホールSCU固定シールの非展開位置は、ダウンホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、ダウンホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井のダウンホール領域とダウンホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCU固定シール(アップホールSCU固定シールの非展開位置は、アップホールSCU固定シールが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCU固定シールの展開位置は、SCU本体と坑井の開孔部の目標区域の壁の間にシールを提供し、アップホールSCU固定シールのアップホールに位置する坑井のアップホール領域とアップホールSCU固定シールのダウンホールに位置する坑井の目標領域の間に帯状の隔離を提供する)。ダウンホールSCU固定シールおよびアップホールSCU固定シールは、坑井の目標領域と坑井のダウンホール領域の間、および坑井の目標領域と坑井のアップホール領域の間で帯状の隔離を提供するために展開位置に位置決めされるようになされている。SCUは以下を含むSCUセントラライザを含んでいる。すなわち、非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたダウンホールSCUセントラライザ(ダウンホールSCUセントラライザの非展開位置は、ダウンホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、ダウンホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCU本体のダウンホール端部を付勢する)、および非展開位置と展開位置に位置決めされるようになされたアップホールSCUセントラライザ(アップホールSCUセントラライザの非展開位置は、アップホールSCUセントラライザが生産チュービングを通過することを可能にし、アップホールSCUセントラライザの展開位置は、坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるようSCUを付勢する)。ダウンホールSCUセントラライザはSCU本体のダウンホール端部の一部に位置決めされ、アップホールSCUセントラライザはSCU本体のアップホール端部の一部に位置決めされ、およびダウンホールSCU固定シールとアップホールSCU固定シールはダウンホールSCUセントラライザとアップホールSCUセントラライザの間に位置するSCU本体の一部に位置決めされる。SCUは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを制御するようになされたSCU流れ制御バルブを含んでいる。SCU流れ制御バルブは、坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを遮断するための閉鎖位置および坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを可能にするための開放位置に位置決めされるようになされている。SCUは、SCUの動作を制御するようになされたSCU制御システムを含んでいる。本方法はさらに以下を含んでいる。すなわち、SCU本体を坑井の開孔部の目標区域の壁から離れるように付勢するためにSCUセントラライザを展開位置に拡張するようSCUを制御すること、坑井の目標領域と坑井のダウンホール領域の間および坑井の目標領域と坑井のアップホール領域の間に帯状の隔離を提供するためにSCU固定シールを展開位置に拡張するようSCUを制御すること、ならびに坑井の目標領域とSCU本体の中央通路の間の物質の流れを調整するためにSCU流れ制御バルブを位置決めするようSCUを制御すること。
【0015】
いくつかの実施形態では、SCU制御システムは以下を含む。すなわち、SCUの環境条件を感知するようになされたSCU検知システム(SCU検知システムは坑井の目標領域の物質の温度および圧力を感知するようになされた目標区域センサを含んでいる)、およびSCU処理システム、そして本方法は以下をさらに含む。すなわち、感知された坑井の目標領域の物質の温度および圧力を含むSCUセンサデータをSCU検知システムによって生成すること、およびSCUセンサデータをSCU処理システムによって処理して、処理済みSCUセンサデータを生成すること。特定の実施形態では、SCU制御システムは、SCUを動作させるための電力を供給するようになされたSCUエネルギーシステム(SCUエネルギーシステムはSCU本体の中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集するようになされたエネルギーハーベスティングシステムを含む)を含み、本方法はSCU本体の中央通路を通って流れる物質からエネルギーを収集するエネルギーハーベスティングシステムをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、SCU固定シールをSCU本体から切り離すことをさらに含む。特定の実施形態では、SCU制御システムはSCU通信システムを含み、本方法は以下を実行するSCU通信システムをさらに含む。すなわち、SCU無線トランシーバを動作させて、無線通信によってダウンホール無線トランシーバと通信すること、SCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUのダウンホール誘導結合器およびSCUのアップホール誘導結合器によりSCUの坑井ダウンホールに配置されたSCUと通信すること、およびSCUの坑井アップホールに配置されたSCUのアップホール誘導結合器およびSCUのダウンホール誘導結合器によりSCUの坑井アップホールに配置されたSCUと通信すること。
【0016】
いくつかの実施形態では、SCU固定シールのそれぞれは、SCU本体と解放可能に連結され、SCU本体の外径以上の内径を有する内部通路を有し、本方法はSCU本体から、坑井の展開位置のSCU固定シールを切り離すこと、およびSCU本体をSCU固定シールの内部通路を通して移動させることをさらに含む。特定の実施形態では、本方法は、ダウンホール無線トランシーバを生産チュービングのダウンホール端部に位置決めすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法はダウンホール無線トランシーバを生産チュービングのダウンホール端部と目標区域の間に位置する坑井の開孔部の一部に位置決めすることをさらに含む。特定の実施形態では、生産チュービングを通して非展開位置のSCUを坑井の開孔部の目標区域に前進させることは、生産チュービングを通して非展開位置のSCUを坑井の開孔部の目標区域に前進させる原動力を提供するトラクタを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに以下を含む。すなわち、SCUのSCU本体のダウンホール誘導結合器に第2のSCUのアップホール誘導結合器を誘導結合するようにSCU本体のダウンホール端部の横に第2のSCUを位置決めすること、またはSCUのSCU本体のアップホール誘導結合器に第3のSCUのダウンホール誘導結合器を誘導結合するようにSCU本体のダウンホール端部の横に第3のSCUを位置決めすること。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】1つまたは複数の実施形態による井戸環境を示す図である。
【0018】
図2A】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
図2B】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
図3A】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
図3B】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
図4A】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
図4B】1つまたは複数の実施形態による地下仕上げユニット(SCU)を示す図である。
【0019】
図5A】1つまたは複数の実施形態による取り外し可能な固定シールを示す図である。
図5B】1つまたは複数の実施形態による取り外し可能な固定シールを示す図である。
図5C】1つまたは複数の実施形態による取り外し可能な固定シールを示す図である。
【0020】
図6A】1つまたは複数の実施形態によるモジュール式SCUを示す図である。
図6B】1つまたは複数の実施形態によるモジュール式SCUを示す図である。
図6C】1つまたは複数の実施形態によるモジュール式SCUを示す図である。
図6D】1つまたは複数の実施形態によるモジュール式SCUを示す図である。
【0021】
図7】1つまたは複数の実施形態による、SCUを採用したスルーチュービング仕上げシステム(TTCS)を使用して井戸を操作する方法を示すフローチャートである。
【0022】
図8】1つまたは複数の実施形態による例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は様々な修正形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が図面に例として示されており、詳細に説明される。図面は縮尺通りではない場合がある。図面および詳細な説明は、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨および範囲内にある修正、同等物、および代替物を開示することを意図していることを理解していただきたい。
【0024】
地下仕上げユニット(SCU)を採用するスルーチュービング仕上げシステム(TTCS)を使用して、井戸を操作するシステムおよび方法の実施形態が説明される。いくつかの実施形態では、TTCSは、所定の位置に生産チュービングストリングを有する坑井に、ダウンホールを展開する1つまたは複数のSCUを含む。例えば、SCUは生産チュービングを通して、生産チュービングのダウンホール端部からダウンホールでありブレークスルーを経験している坑井の開孔部など、仕上げを必要とする坑井の目標区域に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、展開されたSCUは、坑井の関連する目標区域の仕上げをもたらすように操作される。例えば、展開されたSCUのシールおよびバルブを操作して、SCUの周囲に位置する坑井の環状領域の帯状の流体隔離を提供し、坑井および生産チュービングを上方に流れる生産流体の流れへのブレークスルー流体の流れを制御することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、SCUは1つまたは複数のSCUモジュール(SCUM)から形成されたモジュール式SCUを含む。例えば、複数のSCUMを、エンドツーエンドで、直列に積み重ねて、比較的長いセクションの坑井の仕上げをもたらすことができる比較的長いSCUを形成することができる。適切な数のSCUMを一緒に積み重ねて坑井に所望の長さの仕上げをもたらすことができるので、これはさらなる柔軟性を提供することができる。いくつかの実施形態では、SCUMは地上またはダウンホールで組み立てることができる。これにより、SCUの設置に必要なダウンホールの実行回数を減らし、生産チュービングと坑井を通るSCUの物理的なサイズに柔軟性を提供し、井戸は時間とともに進展するので、後でSCUMを追加または取り出すための柔軟性を提供することでシステムの柔軟性をさらに高めることができる。生産チュービングを通してSCUを実行できることにより、SCUは、SCUの設置または回収の間に、井戸において、生産チュービングを取り出して再実行させる必要なしに、ブレークスルーを阻止するために井戸の坑井を並べるなどの仕上げ機能を提供することができる。
【0026】
図1は、1つまたは複数の実施形態による井戸環境100を示す図である。図示の実施形態では、井戸環境100は、地下地層(「地層」)104に配置された炭化水素貯留層(または「貯留層」)102と、炭化水素井戸システム(または「井戸システム」)106とを含む。
【0027】
地層104は、地下、地球の表面(または「地上」)107の下に存在する多孔質または破砕岩石層を含む場合がある。井戸システム106が炭化水素井戸である場合、貯留層102は、石油およびガスなどの炭化水素の地下プールを含む(または含むと判断されるかまたは含むと予測される)地層104の一部を含む場合がある。地層104および貯留層102はそれぞれ、多様な程度の透過性、多孔度、および抵抗率などの様々な特性を有する異なる岩石層を含む場合がある。井戸システム106が生産井戸として動作している場合、井戸システム106は、貯留層102からの炭化水素の抽出(または「生産」)を容易にすることができる。井戸システム106が注入井戸として動作している場合、井戸システム106は、水などの流体の貯留層102への注入を容易にすることができる。井戸106が監視井戸として動作している場合、井戸システム106は、貯留層102の特性、貯留圧力または水の浸入の監視を容易にすることができる。
【0028】
井戸システム106は、炭化水素井戸(または「井戸」)108および地上システム109を含むことができる。地上システム109は、地上制御システム109a、掘削リグ、生産ツリー、および改修リグなどの、井戸108を開発および操作するための構成要素を含むことができる。地上制御システム109aは、井戸掘削作業、井戸仕上げ作業、井戸生産作業、ならびに井戸および地層監視作業などの様々な井戸の制御および監視を提供することができる。いくつかの実施形態では、地上制御システム109aは地上作業およびダウンホール作業を制御することができる。これらの作業は、本明細書で説明されている地下位置決め装置123およびSCU122の動作を含む場合がある。例えば、地上制御システム109aは、本明細書で説明されている様々な動作を含む、それぞれの装置の動作を制御するために、地下位置決め装置123またはSCU122に指令を出すことができる。いくつかの実施形態では、地上制御システム109aは、少なくとも図8に関して説明されるコンピュータシステム1000と同じまたは類似のコンピュータシステムを含む。
【0029】
井戸108は、地上107から地層104および貯留層102に延びる坑井110を含むことができる。坑井110は、例えば、マザーボア112と、1つまたは複数の横穴114(例えば、横穴114aおよび114b)とを含むことができる。井戸108は、ケーシング116および生産チュービング118などの仕上げ要素を含むことができる。ケーシング116は、例えば、坑井110に構造的一体性を提供するために坑井110の内径を裏打ちする鋼管の管状部分を含むことができる。ケーシング116は、坑井110の構造的一体性をさらに高めるために、鋼管の外面と坑井110の壁の間に配置されたセメントなどの充填材料を含むことができる。坑井110のケーシング116が設置されている部分は、坑井110の「ケーシング」部分と呼ぶことができる。坑井110のケーシング116が設置されていない部分は坑井110の「開孔」または「非ケーシング」部分と呼ばれることがある。例えば、ケーシング116が設置されている図示された坑井110の上部は坑井110のケーシング部分と呼ばれる場合があり、ケーシング116の下端より下(またはそこからの「ダウンホール」)の坑井110の下部は坑井110の非ケーシング(または開孔)部分と呼ばれる場合がある。
【0030】
生産チュービング118は、地上システム109から坑井110まで延び、坑井110と地上107の間の生産流体の流れに導管を提供する管状パイプを含むことができる。例えば、坑井110の生産流体は、生産チュービング118のダウンホール端部118aにおいて生産チュービング118に入ることができ、生産流体は、生産チュービング118の中央通路まで移動し、地上107において生産チュービング118のアップホール端部118bに連結された生産ツリーまで移動することができ、生産ツリーは、生産流体を生産収集および分配ネットワークに送ることができる。生産チュービング118は、坑井110のケーシング部分と非ケーシング部分の一方または両方に配置することができる。生産チュービング118は、生産チュービング118を通る生産流体の流れを容易にするのに十分なサイズの内径(ID)を有することができる。生産チュービング118は、坑井110への設置を容易にするために、ケーシング116または坑井110の開孔部など、通過する構成要素のIDよりも小さい外径(OD)を有することができる。例えば、坑井110の開孔部は、約6インチ(約15センチメートル(cm))のIDを有し、生産チュービング118は、約5インチ(約13センチメートル(cm))のOD、および約4インチ(約10センチメートル(cm))のIDを有することができる。いくつかの実施形態では、生産チュービング118のダウンホール端部118aの下の坑井110の一部は開孔されている。例えば、図示の実施形態では、生産チュービング118のダウンホール端部118aの坑井110ダウンホールの部分は、マザーボア112の開孔した水平向き部分と、開孔横穴114aおよび114bを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、井戸システム106は、スルーチュービング仕上げシステム(TTCS)120を含む。TTCS120は、1つまたは複数の地下仕上げユニット(SCU)122を含むことができる。地下仕上げユニット122のそれぞれは、坑井110のそれぞれの目標区域124に配置することができ、それらを仕上げすることができる。例えば、第1のSCU122aは坑井110の第1の目標区域124aに配置され、第1の目標区域124aでの水の望ましくないブレークスルーを制御し、第2のSCU122bは坑井110の第2の目標区域124bに配置され、第2の目標区域124bでのガスの望ましくないブレークスルーを制御し、第3のSCU122cは坑井110の第3の目標区域124cに配置され、目標区域124cのダウンホールに位置する横方向114bの末端(または「ダウンホール」)部分の水の望ましくないブレークスルーを制御するために横方向114bを密封することができる。いくつかの実施形態では、第1、第2、または第3のSCU122a、122b、または122cは、SCU122、122’、122’’、122’’’ならびにモジュール式SCU170、170’、170’’および170’’’などの本明細書に記載のSCUと同じまたは類似するものとすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、SCU122は生産チュービング118により目標区域124に進められる。例えば、SCU122aを参照すると、SCU122aが生産チュービング118を出て生産チュービング118のダウンホール端部118aで坑井110の開孔部に入るように、SCU122aは生産チュービング118の内部通路を通って前進し、それから坑井110の開孔部を通って目標区域124aまで前進することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、SCU122は、非展開構成の生産チュービング118を通って前進する。非展開構成では、セントラライザおよび固定シールなどのSCU122の1つまたは複数の拡張可能な要素が後退した(または「非展開」)位置で提供される。非展開構成では、SCU122の全体のサイズは、展開構成でのSCU122の全体のサイズと比較して比較的小さくすることができる(拡張(または「展開」)位置に設けるSCU122の1つまたは複数の拡張可能な要素を含むことができる)。非展開構成により、SCU122が生産チュービング118の内部通路、および生産チュービング118のダウンホール端部118aと目標区域124の間の坑井110の介在部分の最小断面を通過できるようになる。例えば、生産チュービング118が約4インチ(約10cm)のIDを有し、生産チュービング118のダウンホール端部118aと目標区域124aの間の坑井110の介在開孔部が最小断面直径約5インチ(約13cm)を有する場合、SCU122aは非展開構成で約4インチ(約10cm)以下のODを有することができる。これにより、SCU122aが生産チュービング118および坑井110の介在部分を通って地上107から目標区域124aへ自由に通過できるようになる。さらなる例として、生産チュービングが約4インチ(約10cm)のIDを有し、生産チュービング118のダウンホール端部118aと目標区域124bの間の坑井110の介在開孔部が約3インチ(約7.5cm)の最小断面直径の場合、SCU122bは非展開構成で3インチ(約7.5cm)以下のODを有することができる。これにより、SCU122bが生産チュービング118および坑井110の介在部分を通って地上107から目標区域124bへ自由に通過できるようになる。
【0034】
SCU122の展開構成では、SCU122が目標区域124の少なくとも一部を密封するなどの仕上げ作業を容易に提供するために、セントラライザおよび固定シールなどのSCU122の1つまたは複数の拡張可能な要素が拡張(または「展開」)位置に提供される。例えば、SCU122は、SCU122を坑井110にセンタリングするために半径方向外向きに展開構成に拡張されたセントラライザ、および半径方向外向きに拡張され、SCU122の周りに位置する坑井110の壁に係合してシールする固定シールなどの位置決め装置を有することができる。セントラライザは、坑井110の壁と係合してSCU122の本体を坑井110の壁から離れるよう付勢させるために、半径方向に延びるアームまたはフープなどの部材を含むことができる。この付勢は、坑井110にSCU122の本体を「センタリング」することができる。固定シールは、SCU122の本体の外側と坑井110の壁の間に流体シールを提供するために半径方向に拡張される、SCU122の本体の外側の周りに配置されたリング形状の膨張式バッグなどのシール部材を含むことができる。これにより、シール部材の両側の領域間に流体シールを提供し、事実上、シール部材の両側の領域間に「帯状の流体隔離」を提供することができる。SCU122の展開作業では、坑井110の壁から離れるようにSCU122の本体を付勢させ、SCU122をセンタリングするため、最初にSCU122のセントラライザが伸長され、坑井110内にSCU122を固定し、各固定シールの両側に位置する坑井で領域の帯状の流体隔離を提供するため、次にSCU122の固定シールが拡張されることができる。
【0035】
展開構成では、SCU122の横方向の断面サイズ(例えば、SCU122のOD)は、非展開構成でのSCU122の横方向の断面サイズと比較して、比較的大きい場合がある。SCU122のODは、坑井110の目標区域124の断面サイズ(例えば、ID)以上の場合がある。例えば、SCU122のセントラライザは、展開状態において坑井110の目標区域124のサイズよりも大きい十分に拡張されたサイズを有し、SCU122の本体を坑井110の壁から移動させるための付勢力を提供することができる。さらなる例として、SCU122の固定シールは、展開状態において坑井110の目標区域124のサイズよりも大きい十分に拡張されたサイズを有し、固定シール128と坑井110の壁の境界でシール接触を提供することができる。いくつかの実施形態では、SCU122は、SCU122が比較的小さいサイズを有する非展開構成で維持され、一方、SCU122は、生産チュービング118および生産チュービングのダウンホール端部118aと目標区域124の間の坑井110の介在部分を通って地上107から目標区域124まで前進する。一旦SCU122が目標区域124に位置決めされると、SCU122は、そのセントラライザおよび固定シールの拡張を含め、目標区域124の少なくとも一部の帯状の流体隔離などの仕上げ作業を提供するために展開することができる。したがって、SCU122は、坑井110の比較的小さな生産チュービング118を通過する柔軟性を有し、それでもなお比較的大きな断面積を有する坑井110の一部で仕上げ作業を提供することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、SCU122は回収可能である。例えば、SCU122aは、目標区域124aに送達されて展開され、SCU122aがもはや目標区域124aで必要とされなくなったとき、または目標区域124aを通る他の装置の通路を提供するために、目標区域124aから回収することができる。いくつかの実施形態では、回収可能なSCU122を坑井110内で再位置決めすることができる。例えば、SCU122aは、目標区域124aでのブレークスルーに対処するために目標区域124aに展開することができ、目標区域124aでのブレークスルーが解決され、目標区域124cで新たなブレークスルーが発生した後に、目標区域124cでのブレークスルーに対処するために、SCU122aは目標区域124aから124cに移動することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、SCU122は地上システム109を含む、システムの他の構成要素と無線で通信する。例えば、SCU122は、ダウンホール無線トランシーバ125と無線通信することができるSCU無線トランシーバを含むことができる。ダウンホール無線トランシーバ125は、地上制御システム109aとSCU122の間の通信を中継するための媒介として機能することができる。ダウンホール無線トランシーバ125は、例えば、生産チュービング118のダウンホール端部118aまたはその近くに配置することができる。例えば、ダウンホール無線トランシーバ125は、生産チュービング118のダウンホール端部118aから約20フィート(約6メートル)以内に配置することができる。ダウンホール無線トランシーバ125は、地上制御システム109aに通信で結合することができる。例えば、無線トランシーバ125は、地上制御システム109aへの有線または無線接続を有することができる。その結果、いくつかの実施形態では、SCU122は生産チュービング118および地上システム109から物理的に拘束されずに坑井110に展開することができ、SCU122はダウンホール無線トランシーバ125により地上制御システム109aと無線で通信するスタンドアロンユニットとして動作することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、SCU122の位置決めは、トラクタなどの地下位置決め装置123によって容易にされる。地下位置決め装置123は、生産チュービング118の内部通路および坑井110の内部を通過することができ、生産チュービング118と坑井110を通してSCU122を前進させるのに必要な原動力(例えば、押すことまたは引くこと)を提供することができる。例えば、設置作業中、位置決め装置123は地上107に位置しながらSCU122aの後端(または「アップホール」)端部に連結し、SCU122aダウンホールを、生産チュービング118を通し、坑井110の介在開孔部に沿って、目標区域124aの位置に押すことができる。回収作業中、位置決め装置123は、目標区域124aに位置しながら、SCU122aのアップホール端部に連結し、SCU122aアップホールを、坑井110の介在開孔部に沿って、生産チュービング118を通り、目標区域124aから地上107まで引き上げることができる。再位置決め作業中、位置決め装置123は、目標区域124aに位置しながらSCU122aのアップホール端部に連結し、SCU122aアップホールを、坑井110の開孔部に沿って、目標区域124aから引き上げ、SCU122aを目標区域124cなどの別の目標区域124に押すことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、地下位置決め装置123は地上システム109に堅く結合されていなくてもよい。例えば、地下位置決め装置123は、生産チュービング118および坑井110を通して地下位置決め装置123およびSCU122を推進させるのに必要な原動力を提供する局所推進システムを有するダウンホールトラクタを含むことができる。局所推進システムは、例えば、搭載バッテリ、バッテリによって駆動する電気モータ、およびモータによって駆動する車輪または軌道を含むことができる。いくつかの実施形態では、地下位置決め装置123は地上システム109につながれる。例えば、地下位置決め装置123は、位置決め装置123と地上システム109の間のデータ通信、および地上システム109から位置決め装置123への電力の伝達を提供する地上システム109への有線接続を有することができる。いくつかの実施形態では、地下位置決め装置123は地上システム109に直接つながれるわけではない。例えば、地下位置決め装置123は、地上システム109またはダウンホール無線トランシーバ125との無線通信を提供する無線トランシーバ123aを有することができる。そのような実施形態では、地下位置決め装置123は、直接または無線トランシーバ123aとダウンホール無線トランシーバ125の間の無線通信によって地上システム109と無線通信することができる。例えば、無線通信が無線トランシーバ123aと地上システム109の間で直接確立できると判断した(例えば、SCU122は利用可能な十分な電力を有し、地上システム109は無線トランシーバ123aの通信範囲内にある)ことに応答して、無線トランシーバ123aは無線通信によって地上システム109と直接通信することができる。無線通信が無線トランシーバ123aと地上システム109の間で直接確立することができないと判断した(例えば、SCU122が利用可能な十分な電力を有しない、または地上システム109が無線トランシーバ123aの通信範囲内にいない)ことに応答して、無線トランシーバ123aは、ダウンホール無線トランシーバ125により、地上システム109と間接的に通信することができる(例えば、ダウンホール無線トランシーバ125は無線トランシーバ123aと地上システム109の間の通信を中継することができる)。いくつかの実施形態では、無線トランシーバ123aは、無線通信が無線トランシーバ123aと地上システム109の間で直接確立できるかどうかにかかわらず、ダウンホール無線トランシーバ125により間接的に地上システム109と通信することができる。位置決め装置123と地上システム109との間の通信は、例えば、位置決め装置123の動作を制御するための地上システム109からの指令、または位置決め装置123の状況や動作またはダウンホール環境条件に関するフィードバックを提供することなど、位置決め装置123からのデータの報告を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、地下位置決め装置123はSCU122と無線通信することができる。例えば、目標区域124aに位置するSCU122aからの無線通信がダウンホール無線トランシーバ125に到達することができない場合、位置決め装置123はダウンホール無線トランシーバ125と目標区域124aの間の位置に移動することができ、無線位置決め装置123は、無線トランシーバ123aにより、ダウンホール無線トランシーバ125とSCU122aの無線トランシーバの間の通信を中継することができる。いくつかの実施形態では、地下位置決め装置123は、位置決め装置123がSCU122の相補型誘導結合器と通信することを可能にする誘導結合器123bを含むことができる。例えば、位置決め装置123のダウンホール端部が第1の誘導結合器123aを含む場合、SCU122aのアップホール端部は第2の誘導結合器を含み、位置決め装置123のダウンホール端部は、第1および第2の誘導結合器が誘導結合されて通信を伝達することができるように、SCU122aのアップホール端部に結合され、位置決め装置123とSCU122aは、第1および第2の誘導結合器により互いに通信することができる。
【0041】
図2A図4Bは、1つまたは複数の実施形態による、SCU122’、122’’および122’’’を含む例示的なSCU122の縦方向の断面図を示す図である。図2A、3A、および4Aは、1つまたは複数の実施形態による、展開構成の例示的なSCU122を示し、図2B、3B、および4Bは、非展開構成の例示的なSCU122を示す。
【0042】
いくつかの実施形態では、SCU122は、坑井110のSCU122の位置決め、または坑井110内の領域の帯状の流体隔離を提供する1つまたは複数の位置決め装置を含む。位置決め装置は、1つまたは複数のセントラライザ126および1つまたは複数の固定シール128を含むことができる。SCU122のセントラライザ126は、SCU122の本体を坑井110の壁から離れるように付勢するよう展開することができる。この付勢は、坑井110内でSCU122を効果的に「センタリング」することができる。SCU122の固定シール128は、SCU122を坑井110内に取り付け(または「固定」)し、坑井110の隣接領域間に流体シールを提供するために展開することができ、隣接領域の帯状の流体隔離と呼ばれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、SCU122は本体130を含む。SCU122およびSCU122の本体130は、第1の(「前」または「ダウンホール」)端部132および第2の(「後」または「アップホール」)端部134を有するものとして定義することができる。SCU122のダウンホール端部132および本体130は、SCU122の反対側のアップホール端部134および本体130の前方で、最初に坑井110に前進させるSCU122の端部および本体130を指す場合がある。坑井110に位置決めされるとき、SCU122のダウンホール端部132および本体130は坑井110のダウンホール端部に最も近いSCU122の端部およびSCU本体130を指す場合があり、SCU122のアップホール端部134および本体130は坑井110経由で地上107に最も近いSCU122の端部およびSCU本体130を指す場合がある。いくつかの実施形態では、本体130は中央通路136を定義する管状部材を含む。中央通路136は、SCU122のダウンホールに位置する坑井110の一部とSCU122のアップホールに位置する坑井110の一部の間で、SCU122を通る流体の流れを方向付けるための導管として作用することができる。図2Aおよび図2BのSCU122’、図3Aおよび図3BのSCU122’’、ならびに図4Aおよび図4BのSCU122’’’を参照すると、SCU122’、122’’および122’’’のそれぞれ、ならびにそれぞれのSCU本体130は、ダウンホール端部132とアップホール端部134を含んでいる。
【0044】
いくつかの実施形態では、SCU122のセントラライザ126は、後退(または「非展開」)位置から拡張(または「展開」)位置まで半径方向外向きに延びる1つまたは複数の部材を含み、坑井110の壁を係合し(例えば、押し付けて)、SCU122の本体130が坑井110の壁から離れるように付勢する。これによって、坑井110でSCU122の本体130を「センタリング」することができる。本体130のセンタリングは、坑井110の壁と本体130の外側の間で、本体130の周囲に環状領域を形成することを含むことができる。セントラライザ126は、SCU122が生産チュービング118および坑井110を通って坑井110の目標区域124に移動する間、後退(非展開)位置に保持されるフレキシブルアームまたはフープとすることができ、SCU122が目標区域124に位置しながら拡張(展開)され、SCU122の本体130を坑井110の壁から離れるよう付勢する。
【0045】
図2Aおよび図2Bの例示的なSCU122’を参照すると、SCU122’のセントラライザ126のそれぞれは、SCU122’の本体130の長さに沿ったそれぞれの縦方向の位置で、SCU122’の本体130の外側の周りに配置されたアームのそれぞれのセットを含むことができる。セントラライザ126のそれぞれは、例えば、SCU122’の本体130を囲む坑井110の壁の横方向に隣接する部分を押すために、後退(非展開)位置から拡張(展開)位置に回転することができる。図3Aおよび図3Bの例示的なSCU122’’を参照すると、SCU122’’のセントラライザ126のそれぞれは、SCU122’’の本体130の長さに沿ったそれぞれの縦方向の位置で、SCU122’’の本体130の外側の周りに配置された細長い部材のそれぞれのセットを含むことができる。第1の(または「ダウンホール」)セントラライザ126aは、固定シール128と本体130のダウンホール端部132の間に位置することができ、第2の(または「アップホール」)セントラライザ126bは、固定シール128とSCU本体130のアップホール端部134の間に配置することができる。セントラライザ126のそれぞれは、(部材が比較的平らな)後退(非展開)位置から(部材が比較的湾曲した、三日月形を形成する)拡張(展開)位置に至るフープ形状部材のセットを含み、SCU122’’の本体130を囲む坑井110の壁の横方向に隣接する部分を押すことができる。図4Aおよび図4Bの例示的なSCU122’’’を参照すると、SCU122’’’のセントラライザ126のそれぞれは、SCU122’’’の本体130の長さに沿ったそれぞれの縦方向の位置で、SCU122’’’の本体130の外側の周りに配置された細長い部材のそれぞれのセットを含むことができる。セントラライザ126のそれぞれは、例えば、SCU122’’’の本体130を囲む坑井110の壁の横方向に隣接する部分を押すために、後退(非展開)位置から拡張(展開)位置に回転することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、SCU122を坑井110内に取り付け(または「固定」)し、坑井110の隣接領域を密封するために、SCU122の固定シール128は、後退(または「非展開」)位置から拡張(または「展開」)位置まで半径方向外向きに拡張する1つまたは複数のシール要素を含む。いくつかの実施形態では、固定シール128は、SCU122の本体130の周囲に横方向に延びるリング形状要素で、SCU本体132の横方向に隣接する坑井110の壁の部分に係合し、SCU本体132の外側と坑井110の横方向に隣接する部分の間に流体シールを形成するために、半径方向に拡張(展開)される。これにより、固定シール128の両側の領域間に流体バリアまたはシールを提供することができ、固定シール128の両側の領域間に、実質的に「帯状の流体隔離」を提供することができる。例えば、SCU122の固定シール128は、SCU本体130の周囲に位置決めされた膨張可能なリング(例えば、ドーナツ形のブラダー)とすることができる。SCU122が生産チュービング118および坑井110の介在部分を通って坑井110の目標区域124に前進する一方、固定シール128は膨張していない(非展開)位置に留まることができる。固定シール128は、SCU122の本体130と坑井110の壁の間の環状領域を埋めるように膨張(展開)することができる。膨張した固定シール128は、SCU122を目標区域124に固定し、本体130の外側と坑井110の壁の間に流体シールを提供するために、目標区域124の坑井110の壁に係合(例えば、それに対してシール)することができる。結果として得られる流体シールは、固定シール128の坑井110ダウンホールの領域と固定シール128の坑井110アップホールの領域の間に帯状の流体隔離を提供することができる。
【0047】
図2Aおよび図2Bの例示的なSCU122’を参照すると、SCU122’の固定シール128のそれぞれは、SCU122’の本体130の外側の周りに配置された膨張可能なリングを含むことができる。固定シール128のそれぞれは、膨張していない(非展開)状態から膨張している(展開)状態に膨張させて、SCU122’を目標区域124に固定し、SCU122’のSCU本体130と坑井110の壁の間に流体シールを作成することができる。流体シールは、固定シール128の坑井110ダウンホールの領域と固定シール128の坑井110アップホールの領域の間に帯状の流体隔離を提供することができる。例えば、SCU122’の第1の展開固定シール128aは、坑井110の第1の領域110aと第2の領域110bの間に帯状の流体隔離を提供することができ、SCU122’の第2の展開固定シール128bは、坑井110の第2の領域110bと第3の領域110cの間に帯状の流体隔離を提供することができ、SCU122’の第3の固定シール128cは、坑井110の第3の領域110cと第4の領域110dの間に帯状の流体隔離を提供することができる。
【0048】
図3Aおよび図3Bの例示的なSCU122’’を参照すると、SCU122’’の固定シール128のそれぞれは、SCU122’’の本体130の外側の周りに配置された膨張可能なリングを含むことができる。固定シール128のそれぞれは、膨張していない(非展開)状態から膨張している(展開)状態に膨張させて、SCU122’を目標区域124に固定し、SCU122’のSCU本体130と坑井110の壁の間に流体シールを作成することができる。流体シールは、固定シール128の坑井110ダウンホールの領域と固定シール128の坑井110アップホールの領域の間に帯状の流体隔離を提供することができる。例えば、SCU122’’の第1の展開固定シール128dは、坑井110の第1の領域110eと第2の領域110fの間に帯状の流体隔離を提供することができ、SCU122’’の第2の固定シール128eは、坑井110の第2の領域110fと第3の領域110gの間に帯状の流体隔離を提供することができる。
【0049】
図4Aおよび図4Bの例示的なSCU122’’’を参照すると、SCU122’’’の固定シール128は、SCU122’’’の本体130の外側の周りに配置された膨張可能なリングを含むことができる。固定シール128は、膨張していない(非展開)状態から膨張している(展開)状態に膨張させて、SCU122’’’を目標区域124に固定し、SCU122’’’のSCU本体130と坑井110の壁の間に流体シールを作成することができる。流体シールは、固定シール128の坑井110ダウンホールの領域と固定シール128の坑井110アップホールの領域の間に帯状の流体隔離を提供することができる。例えば、SCU122’’’の展開固定シール128は、坑井110の第1の領域110hと第2の領域110iの間に帯状の流体隔離を提供することができる。
【0050】
SCU122のサイズは、SCU122の横方向の断面プロファイルの範囲によって定義することができる。SCU122の展開サイズは、例えば、伸長(展開)位置にあるSCU122のセントラライザ126および固定シール128を合わせたSCU122の横方向の断面プロファイルの範囲によって定義することができる。SCU122の非展開サイズは、例えば、後退(非展開)位置にあるSCU122のセントラライザ126および固定シール128を合わせたSCU122の横方向の断面プロファイルの範囲によって定義することができる。SCU122の非展開サイズ137は、例えば、後退(非展開)位置にあるSCU122のセントラライザ126および固定シール128を合わせたSCU122の横方向の断面プロファイル最大直径である。SCU122の非展開サイズ137は、例えば、生産チュービング118のIDおよび地上107と目標区域124の間の坑井110の介在部分のIDの最小など、地上107から目標区域124に沿って移動する経路の最小の横方向の断面プロファイルよりも小さくすることができる。図2B図3Bおよび図4Bは、非展開構成のSCU122’、122’’および122’’’、ならびにそれぞれの非展開サイズ137を示す。SCU122’、122’’および122’’’のそれぞれの非展開サイズ137は、その横方向の断面プロファイルの範囲(例えば、SCUの横方向の断面プロファイル全体を包含する最小直径)によって定義することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、固定シール128は取り外し可能である。取り外し可能な固定シール128は、SCU122の本体130から取り外す(または「切り離す」)ように設計することができる。これにより、SCU122は、固定シール128を目標区域124に展開し、固定シール128から取り外し、目標区域124から移動して、固定シール128を坑井110に展開したままにすることができる。これは、例えば、目標区域124の坑井110ダウンホールの領域にアクセスする必要がある場合に利点になり得る。そのような場合、(固定シール128を非展開にする必要なく)SCU122を取り出すことができ、目標区域124の坑井110ダウンホールの領域に、目標区域124で展開したままの固定シール128の中央通路を通しアクセスすることができ、一旦アクセスが不要になると、SCU122は目標区域124の所定の位置に戻されて、目標区域124で展開されたままの固定シール128に再取り付け(「再連結」)することができる。いくつかの実施形態では、取り外し可能な固定シール128とSCU122の本体130の間の連結は、本体130の周囲に配置された拡張可能なリングまたはブラダーなどの半径方向に拡張する部材によって容易になされる。本体130への固定シール128の取り付け(または「連結」)は、固定シール128の中央通路の内径に係合してシールするように半径方向に拡張する部材を半径方向に拡張することによって提供することができる。本体130からの固定シール128の取り外し(または「切り離し」)は、固定シール128の中央通路の内径を係合解除するために半径方向に拡張する部材を半径方向に後退させることによって提供することができる。図5Aは、1つまたは複数の実施形態によるSCU122の本体130に連結された取り外し可能な固定シール128を示す図である。例えば、SCU122の本体130は、取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502とシーリング係合するように半径方向外側に拡張した半径方向に拡張する部材500を含む。図5Bは、1つまたは複数の実施形態による、SCU122の本体130から切り離された取り外し可能な固定シール128を示す図である。例えば、SCU122の本体130は、取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502を係合解除するために半径方向内側に後退した半径方向に拡張する部材500を含む。図5Cは、1つまたは複数の実施形態による、SCU122の本体130から切り離され、坑井110で展開されたままの取り外し可能な固定シール128を示す図である。取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502を係合解除するために後退した半径方向に拡張する部材500により、SCU122の他の部分(例えば、本体130およびセントラライザ126を含む)は、坑井110の長さに沿って前進し、矢印によって示されるように、取り外し可能な固定シール128を貫通して離れるようにして、取り外し可能な固定シール128を坑井110で展開したままにすることができる。いくつかの実施形態では、半径方向に拡張する部材500は、SCU122の本体130の周囲に配置されたリング形状の膨張可能なバッグなどの拡張リングを含む。拡張リングは、例えば、取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502と係合するように膨張し、取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502を係合解除するように収縮することができる。
【0052】
取り外し可能な固定シール128の中央通路504は、内径506によって画定された円筒形通路とすることができる。取り外し可能な固定シール128の中央通路502は、SCU122の本体130および後退位置の半径方向に拡張する部材500の断面サイズ以上の断面サイズを有し、取り外し可能な固定シール128からのSCU122の取り外しを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、坑井110に展開されたままである取り外し可能な固定シール128を通るダウンホール構成要素の通過を容易にするために、取り外し可能な固定シール128の中央通路502は坑井110の生産チュービング118の断面サイズ以上の断面サイズを有することができる。例えば、生産チュービング118が約4インチ(約10cm)の最小IDを有する場合、取り外し可能な固定シール128の中央通路502は約4インチ(約10cm)以上のID506を有することができる。したがって、例えば、生産チュービング118を通過することができる構成要素は、坑井110に展開されたままで、回収不可能な固定シール128の中央通路504を通過することもできる。
【0053】
いくつかの実施形態では、固定シール128は回収可能である。回収可能な固定シール128は、SCU122を用いてまたは用いずに、坑井110の目標区域124から回収されるように設計することができる。例えば、回収可能な固定シール128は、SCU122を目標区域124に前進させる間にSCU122に連結することができ、SCU122は展開することができ(例えば、固定シール128の展開を含む)、SCU122は仕上げ作業を提供するように操作することができ(例えば、ブレークスルー物質が坑井110の生産流体の流れに入るのを阻止すること)、SCU122は非展開とすることができ(例えば、固定シール128の非展開を含む)、SCU122(固定シール128を含む)は目標区域124から回収することができる。さらなる例として、回収可能な固定シール128は、SCU122を目標区域124に前進させる間にSCU122に連結することができ、SCU122は展開することができ(例えば、固定シール128の展開を含む)、SCU122は仕上げ作業を提供するように操作することができ(例えば、ブレークスルー物質が坑井110の生産流体の流れに入るのを阻止すること)、SCU122は非展開とすることができ(例えば、SCU122のSCU本体130からの固定シール128の切り離しを含む)、SCU122(固定シール128を含まない)は目標区域124から回収することができ、固定シール128は目標区域124から後で回収することができる。回収可能な固定シール128は、例えば、装置を目標区域124のダウンホールに配置する必要がある場合に利点になることができ、SCU122および固定シール128を取り外すと目標区域124を通る装置の通過が容易になる。
【0054】
いくつかの実施形態では、固定シール128は回収不可能である。SCU122の回収不可能な固定シール128は、SCU122の残りの部分が目標区域124から回収された場合でも、SCU122の本体130から切り離され、坑井110の目標区域124に留まるように設計することができる。例えば、回収不可能な固定シール128は、SCU122を目標区域124に前進させる間にSCU122に連結することができ、SCU122は展開することができ(例えば、固定シール128の展開を含む)、SCU122は仕上げ作業を提供するように操作することができ(例えば、ブレークスルー物質が坑井110に入るのを阻止すること)、SCU122は非展開とすることができ(例えば、SCU122のSCU本体130からの固定シール128の切り離しを含む)、SCU122(固定シール128を含まない)は目標区域124から回収することができ、固定シール128は目標区域124に展開したままにすることができる。いくつかの実施形態では、回収不可能な固定シール128は、硬化した形態をとり、したがって後退させることができない(非展開)固定シール128を含む。例えば、SCU122の回収不可能な固定シール128は、セメントまたはエポキシなどの流体形態の物質で膨張する膨張可能なブラダーを含むことができ、それは後に硬化して、SCU122の本体130と坑井110の壁の間に延びる堅固で硬質のシール部材を形成する。そのような堅固なシール部材は、坑井110の固定シール128およびSCU122の比較的永続的で確実な位置決めを提供することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、SCU122は、SCU122の機能的動作を制御する搭載(または「局所」)制御システム138を含む。例えば、局所制御システム138は、局所通信システム140、局所処理システム142、局所エネルギーシステム143、局所検知システム144、局所流れ制御システム146、および位置決め制御システム147を含むことができる。いくつかの実施形態では、局所制御システム138は、少なくとも図8に関して説明したコンピュータシステム1000と同じまたは類似のコンピュータシステムを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、局所通信システム140は、SCU無線トランシーバ148または同様の無線通信回路を含む。SCU無線トランシーバ148は、無線ダウンホールトランシーバ125、原動機123の無線トランシーバ123a、または坑井110に配置された他のSCU122など、システムの他の構成要素と双方向無線通信を提供することができる。無線トランシーバは、例えば、電磁および/または音響無線トランシーバを含むことができる。いくつかの実施形態では、SCU無線トランシーバ148は1つまたは複数の無線アンテナ151を含む。無線アンテナ151は、SCU122と相補無線アンテナを有する他の装置の間の無線通信を容易にすることができる。例えば、SCU122は、SCU122のアップホール端部に配置された第1の(または「アップホール」)アンテナ151a(例えば、SCU122の本体130の長さのアップホール端部の最後の25%)、およびSCU122のダウンホール端部に配置された第2の(または「ダウンホール」)アンテナ151b(例えば、SCU122の本体130の長さのダウンホール端部の最後の25%)の一方または両方を含むことができる。SCU122にアップホールアンテナ151aを配置することは、無線ダウンホールトランシーバ125、原動機123の無線トランシーバ123a、または坑井110のSCU122のアップホールに位置する他のSCU122など、SCU122のアップホールに位置する装置との通信を改善するのに役立てることができる。SCU122にダウンホールアンテナ151bを配置することは、坑井110のSCU122のダウンホールに位置する、他のSCU122または原動機123の無線トランシーバ123aなど、SCU122のダウンホールに位置する装置との通信を改善するのに役立てることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、局所通信システム140は1つまたは複数のSCU誘導結合器152を含む。誘導結合器は、SCU122の誘導結合器と他の装置の相補型誘導結合器の間の誘導結合を介して、他のSCU122などの他の装置との通信を可能にすることができる。例えば、SCU122は、SCU122の本体130のアップホール端部に配置された第1の(または「アップホール」)誘導結合器152a、およびSCU122の本体130のダウンホール端部に配置された第2の(または「ダウンホール」)誘導結合器152bの一方または両方を含むことができる。そのような構成は、SCU122が誘導結合を介して互いに通信することを可能にすることができる。例えば、2つのSCU122は、2つのSCU122のうちの第1のSCU122の本体130のダウンホール端部132が2つのSCU122のうちの第2のSCU122の本体130のアップホール端部134と嵌合(あるいは当接)し、第1のSCU122のダウンホール誘導結合器152bが第2のSCU122のアップホール誘導結合器152aと位置合わせされるように組み立てることができる。このような実施形態では、第1および第2のSCU122の局所通信システム140は、第1のSCU122のダウンホール誘導結合器150bと第2のSCU122のアップホール誘導結合器152aの間の誘導結合によって互いに通信することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、SCU122の局所処理システム142は、局所検知システム144により取得されたセンサデータなどのデータの処理を提供し、SCU122の様々な構成要素を制御するプロセッサを含む。これは、位置決め制御システム147の制御(例えば、セントラライザ126および固定シール128の展開、取り外し可能な固定シール128への本体130の連結の制御を含む)、局所エネルギーシステム143の動作の制御、局所検知システム144の動作の制御、局所流れ制御システム146の動作の制御、および局所通信システム140の動作の制御を含む。いくつかの実施形態では、局所処理システムは、少なくとも図8に関して説明したコンピュータシステム1000のプロセッサ1006と同じまたは類似のプロセッサを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、SCU122の局所エネルギーシステム143は局所エネルギー源を含む。局所エネルギー源は、例えば、流動エネルギーハーベスタ、振動エネルギーハーベスタ、または熱エネルギーハーベスタなどの、ダウンホール環境からエネルギーを収集するように設計されたエネルギーハーベスティングシステムを含むことができる。局所エネルギー源は、充電式電池、超充電コンデンサ、または機械的エネルギー貯蔵装置(例えば、フライホイール)などの局所エネルギー貯蔵を含むことができる。いくつかの実施形態では、SCU122の局所エネルギーシステム143は、SCU122の中央通路136を通って流れるかまたは中央通路136に存在する生産流体または他の物質からエネルギーを収集することができる。例えば、SCU122の局所エネルギーシステム143は、SCU122のSCU本体130の中央通路136に配置され、中央通路136を通って流れる生産流体からエネルギーを抽出するように動作するタービンを含む流動エネルギーハーベスタを含むことができる。抽出されたエネルギーは、SCU122のバッテリを充電するために使用することができる。生成されたエネルギーおよび貯蔵されたエネルギーは、SCU122の機能的動作に電力を供給するために使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、SCU122の局所検知システム144は、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、止水センサ、および水飽和センサなどの様々なダウンホール状態を検出するためのセンサを含む。いくつかの実施形態では、帯状に隔離された領域の状態の測定値を取得するためにセンサのセットを設けることができる。図2Aの例示的なSCU122’を参照すると、例えば、センサ150a、150b、150c、150dのそれぞれ第1、第2、第3、および第4のセット(例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、止水センサ、および水飽和センサのそれぞれのセット)はそれぞれ第1、第2、第3および第4の領域110a、110b、110cおよび110dにおける状態のそれぞれのセット(例えば、温度圧力、流量、止水および水の飽和のそれぞれのセット)を検出することができる。図3Aの例示的なSCU122’’を参照すると、例えば、センサ150e、150f、および150gのそれぞれ第1、第2、および第3のセットは、それぞれ第1、第2、および第3の領域110e、110f、および110gにおける状態のそれぞれのセットを検出することができる。図4Aの例示的なSCU122’’’を参照すると、例えば、センサ150hおよび150iのそれぞれ第1および第2のセットは、第1および第2の領域110hおよび110iにおける状態のそれぞれのセットを検出することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、SCU122の局所流れ制御システム146は、目標区域124からの流体の流れ、SCU122および目標区域124のダウンホールからの生産流体の上流の流れ、SCU122および目標区域124のアップホールからの注入流体の下流の流れを制御するためのバルブまたは同様の流れ制御装置を含む。いくつかの実施形態では、SCU122の中央通路136は、SCU122によって作成された全ての帯状に隔離された領域のうちのいくつかの間の流体連通を提供し、SCU122の局所流れシステム146は、帯状に隔離された領域と中央通路136の間の流体の流れを選択的に制御するための1つまたは複数のバルブを含む。図2Aの例示的なSCU122’を参照すると、例えば、第1、第2、第3および第4のバルブ162a、162b、162cおよび162dは、それぞれ第1、第2、第3および第4の領域110a、110b、110cおよび110dから中央通路136への流体の流れを制御することができる。第1のバルブ162aおよび第4のバルブ162dを開き、第2のバルブ162bおよび第3のバルブ162cを閉じて、生産流体を第4の領域110dから第1の領域110aに上流に流すことができ、同時に第2の領域110bおよび第3の領域110cのブレークスルー流体が生産流体および第1の領域110cに流れ込むのを防ぐ。第2の領域110bおよび第3の領域110cは、SCU122’が展開されている目標区域124の目標領域と呼ばれることがある。図3Aの例示的なSCU122’’を参照すると、例えば、第1、第2、および第3のバルブ162e、162fおよび162gはそれぞれ、第1、第2および第3の領域110e、110f、および110gそれぞれから中央通路136への流体の流れを制御することができる。第1のバルブ162eおよび第3のバルブ162gを開き、第2のバルブ162fを閉じて、生産流体を第3の領域110gから第1の領域110eに上流に流すことができ、同時に第2の領域110fのブレークスルー流体が生産流体および第1の領域110eに流れ込むのを防ぐ。第2の領域110fは、SCU122’’が展開されている目標区域124の目標領域と呼ばれることがある。図4Aの例示的なSCU122’’’を参照すると、例えば、第1、第2、および第3のバルブ162h、162iおよび162jはそれぞれ、第1および第2の領域110hおよび110iそれぞれから中央通路136への流体の流れを制御することができる。
【0062】
バルブは、例えば、摺動スリーブ、ボールバルブ、または同様の装置を含むことができる。図3Aの例示的なSCU122’’を参照すると、例えば、バルブ162bは、SCU122’’の中央通路136に配置され、SCU122’’の本体130を通って半径方向に延びる穿孔164に隣接して配置された管状スリーブ163を含む流入制御バルブ(ICV)を含むことができる。管状スリーブ163は、管状スリーブ163を通って半径方向に延びる相補的な穿孔166を有することができる。バルブ162bの動作中、スリーブ163は、管状スリーブ163の穿孔166をSCU122’’の本体130の相補的な穿孔164と位置合わせすることを含む開放位置へと前進させられ(例えば、中央通路136内で横方向に回転させる、または中央通路136の長さに沿って縦方向にスライドさせる)、中央通路136と、中央通路136と第2領域110fの間の物質の流れを可能にする本体130の外側の第2の領域110fの間に開放経路を定義することができる。スリーブ163は、中央通路136と第2の領域110fの間の物質の流れを阻止するために、管状スリーブ163の穿孔166とSCU122’’の本体130の穿孔164が互いに十分にずれていることを含む閉鎖位置に前進させられる。スリーブ163は、管状スリーブ163の穿孔166をSCU122’’の本体130の穿孔164と部分的に位置合わせする(または「部分的にずらす」)ことを含む部分的開放位置に前進させられ、通路160と第2の領域110fの間の物質の制限された(または「絞られた」)流れを可能にする、中央通路136と第2領域110fの間の部分的開放経路を定義することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、SCU122の位置決め制御システム(「セントラライザ制御システム」または「固定シール制御システム」とも呼ばれる)147は、セントラライザ126、固定シール128、およびSCU122の半径方向に拡張する部材(「拡張部材」)500の動作を制御するための1つまたは複数の装置を含む。例えば、SCU122の位置決め制御システム147は、非展開位置と展開位置の間でセントラライザ126を移動させる原動力を提供するもうひとつの機械的アクチュエータを含むことができる。さらなる例として、SCU122の位置決め制御システム147は、1つまたは複数の固定シール128を展開または展開解除するために流体圧力を供給する流体ポンプを含むことができる。固定シール128の展開は、ブラダーを膨張させるために搭載流体リザーバから固定シール128の膨張可能なブラダーにポンプ輸送する流体ポンプを含むことができる。固定シール128の展開解除は、ブラダーを収縮させるために固定シール128の膨張可能なブラダーから搭載流体リザーバに流体をポンプ輸送する流体ポンプを含むことができる。さらなる例として、SCU122の位置決め制御システム147は、SCU122の半径方向に拡張する部材500を展開または展開解除するために流体圧力を供給する流体ポンプを含むことができる。半径方向に拡張する部材500の展開は、ブラダーを膨張させ、ブラダーを取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502とのシール接触へ半径方向に膨張させるために搭載流体リザーバから半径方向に拡張する部材500の膨張可能なブラダーに流体をポンプ輸送する、流体ポンプを含むことができる。半径方向に拡張する部材500の展開解除は、ブラダーを収縮させ、ブラダーを取り外し可能な固定シール128の中央通路504の内面502とのシール接触から半径方向に後退させるために半径方向に拡張する部材500の膨張可能なブラダーから搭載流体リザーバに流体をポンプ輸送する流体ポンプを含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、SCU122は1つまたは複数のSCUモジュール(SCUM)から形成される。例えば、複数のSCUMを組み立てて(例えば、エンドツーエンド連結で)目標区域124に展開されているか、または展開可能なSCU122を形成することができる。いくつかの実施形態では、SCUMは、個別にまたは他のSCUMと事前に組み立てられて目標区域124に送達される。例えば、複数のSCUMを生産チュービング118および坑井110に1つずつ通し、エンドツーエンド連結して、目標区域124aにSCU122aダウンホールを形成することができる。いくつかの実施形態では、複数のSCUMは、目標区域124に配置されるSCU122の一部または全部を形成するためにダウンホールを実行する前に事前に組み立てることができる。例えば、3つのSCUMを地上107でエンドツーエンド連結して地上107にSCU122bを形成し、組み立てられたSCU122b(3つのSCUMを含む)を生産チュービング118および坑井110を通って目標区域124bに至らせることができる。追加のSCUMが必要な場合は、追加のSCUMを別々な実行で提供することができる。例えば、5つのSCUMが目標区域124bに必要とされる場合、2つの追加のSCUMを生産チュービング118および坑井110を通って目標区域124に至らせ、SCU122を形成するために坑井110の目標区域124bに既に配置されている3つのSCUMのアップホール端部に連結することができる。したがって、SCUMは、井戸システム106の生産チュービング118を取り出す必要なしに、モジュール式SCU122ダウンホールを形成するためモジュール式で位置決めおよび組み立てを行うことができる。
【0065】
いくつかの事例では、より小さいサイズが生産チュービング118および坑井110の通過を容易にすることができるので、個別に、または少なくとも少数の組み立てられたSCUMでSCUMを実行することが利点となり得る。例えば、完全に組み立てられたSCU122と比較して、より少ない数の組み立てられたSCUMは、比較的短い全長を有することができ、それにより生産チュービング118および坑井110の比較的狭い屈曲部の通過を容易にする。さらに、完全に組み立てられたSCU122と比較して、より少ない数の組み立てられたSCUMは比較的軽い重量を有することができ、それにより生産チュービング118および坑井110を通ってSCUMを前進させるのを容易にする。いくつかの例では、SCU122を目標区域124に送達するのに必要な実行数を減らすために、より多くの組み立てられたSCUM、またさらに完全に組み立てられたSCU122を実行することが利点となり得る。モジュール式SCU122のSCUMがどのように送達されるかは、サイズ長、生産チュービング118および坑井110の軌道など、井戸108の複雑さに基づくことができる。
【0066】
図6Aは、1つまたは複数の実施形態による、(SCUM172a、SCUM172b、およびSCUM172cを含む)複数のSCUM172から形成されたモジュール式SCU170を示す図である。各SCUM172は、第1(「前」または「ダウンホール」)端部174および第2(「後」または「アップホール」)端部176を有することができる。いくつかの実施形態では、2つのそれぞれのSCUM172のうちの第1の端部174および第2の端部176は、モジュール式SCU170を形成するために互いに連結される(あるいは当接される)。特定の実施形態は、例示の目的で、3つのSCUM172から形成されたモジュール式SCU170の文脈で説明されているが、モジュール式SCU170は任意の適切な数のSCUM172を含むことができる。いくつかの実施形態では、SCU122はモジュール式SCU170とすることができる。例えば、SCU122a、SCU122bまたはSCU122cは、モジュール式SCU122とすることができる。さらに、モジュール式SCU170のモジュール式構成要素は例示の目的で、SCUM172として説明されているが、いくつかの実施形態では、SCUM172は本明細書で説明されているSCU122のうちの1つを含むことができる。例えば、モジュール式SCU122は、エンドツーエンド連結された複数のSCU122’、エンドツーエンド連結された複数のSCU122’’、エンドツーエンド連結された複数のSCU122’’’、または3つのエンドツーエンド連結の任意の組み合わせから形成することができる。例えば、図6B図6C、および図6Dは、1つまたは複数の実施形態による、複数のSCU122(SCUM172)から形成された例示的なモジュール式SCU170を示す図である。図6Bは、1つまたは複数の実施形態による、エンドツーエンド連結の複数のSCU122’(SCUM172’)から形成された例示的なモジュール式SCU172’の縦方向の断面図を示す図である。図6Cは、1つまたは複数の実施形態による、エンドツーエンド連結の複数のSCU122’’(SCUM172’’)から形成された例示的なモジュール式SCU170’’の縦方向の断面図を示す図である。図6Dは、1つまたは複数の実施形態による、エンドツーエンド連結の複数のSCU122’’’(SCUM172’’’)から形成された例示的なモジュール式SCU170’’’の縦方向の断面図を示す図である。
【0067】
いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170の複数のSCUM172は協調して動作し、ダウンホール仕上げ作業の拡張されたセットを提供する。図6Dのモジュール式SCU122を参照すると、例えば、3つのSCU122’’’(SCUM172’’’)が目標区域124でエンドツーエンド連結される場合、3つのSCU122’’’(SCUM172’’’)のうちの第1のバルブ162hと第3のバルブ162jは開くことができ、3つのSCU122’’’(SCUM172’’’)のうちの第2のバルブ162iは閉じることができ、それによって生産流体がモジュール式SCU170’’’の領域110mダウンホールからモジュール式SCU170’’’の領域110jアップホールまで上流に流れることが可能になり、領域110kおよび110lのブレークスルー流体が生産流体ならびに領域110jおよび110mに流れ込むのを防ぐ。
【0068】
いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170のSCUM172は、個別に目標区域124に送達される。例えば、複数のSCUM172を、井戸108の生産チュービング118および坑井110に1つずつ通し、目標区域124でエンドツーエンドを一緒に連結して、モジュール式SCU170ダウンホールを形成することができる。図6Aを参照すると、例えば、第1のSCUM172aは、井戸108の生産チュービング118および坑井110を通過し、目標区域124に配置することができる。次いで、第2のSCUM172bは、井戸108の生産チュービング118および坑井110を通過し、第2のSCUM172bの前端174が第1のSCUM172aの後端176に連結するように目標区域124に配置することができる。次いで、第3のSCUM172bは、井戸108の生産チュービング118および坑井110を通過し、第3のSCUM172bの前端174が第2のSCUM200aの後端176に連結するように目標区域124に配置することができる。いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170のSCUM172は、モジュール式SCU170の他のSCUM172と事前に組み立てられた目標区域124に送達される。例えば、図6Aを参照すると、3つのSCUM172a、172b、および172cは、(例えば、第2のSCUM172bの前端174が第1のSCUM172aの後端176に連結し、第3のSCUM172bの前端174が第2のSCUM200aの後端176に連結するように)地上107でエンドツーエンドで組み立てられ、生産チュービング118および坑井110を通って目標区域124に至る組み立てられたユニットとして実行することができる。いくつかの実施形態では、追加のSCUM172を別々の実行で提供することができる。例えば、5つのSCUM172が目標区域124に必要とされる場合、2つの追加のSCUM172が地上107で組み立てられ、生産チュービング118および坑井110を通って目標区域124に組み立てられたユニットとして実行することができる。2つの追加のSCUM172は、既に目標区域124に配置されている3つのSCUM172と(例えば、アップホール端部に対して連結して)組み立てることができる。したがって、SCUM172は、井戸108から生産チュービング118を取り出す必要なしに、モジュール式SCU170ダウンホールを形成するためモジュール式で位置決めおよび組み立てを行うことができる。記述したように、いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170は仕上げシステムとして実行される。例えば、5つのSCUM172が目標区域124に必要とされる場合、5つのSCUM172が地上107で組み立てられ、生産チュービング118および坑井100を通って目標区域124に組み立てられたユニットとして実行することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170の各SCUM172は、ダウンホール無線トランシーバ125と個別に通信することができる。例えば、エンドツーエンド連結された図6Cのモジュール式SCU170’’(複数のSCU122’’から形成されている)(SCUM172a’’、172b’’および172c’’)を参照すると、第1のSCUM172a’’、第2のSCUM1720b’’、および第3のSCUM172c’’のそれぞれの無線トランシーバ148はアップホールアンテナ151aによりダウンホール無線トランシーバ125と直接通信することができる。いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170のSCUM172は互いに通信することができる。例えば、図6Cのモジュール式SCU170’’を再び参照すると、第1のSCUM172a’’は、それぞれの局所通信システム140により第2のSCUM172b’’と通信することができる。これは、例えば、それぞれの無線トランシーバ148間の無線通信による、またはそれらの間の誘導結合による(例えば、第2および第1のSCUM172b’’および172a’’のアップホール誘導結合器152aとダウンホール誘導結合器152bの間のそれぞれの誘導結合による)通信を含むことができる。第1のSCUM172a’’は、それぞれの局所通信システム140により第3のSCUM172c’’と通信することができる。これは、例えば、それぞれの無線トランシーバ148間の無線通信による、またはそれらの間の誘導結合による(例えば、第3および第2のSCUM172c’’および172b’’のアップホール誘導結合器152aとダウンホール誘導結合器152bの間のそれぞれの誘導結合により、および第2および第1のSCUM172b’’および172a’’のアップホール誘導結合器152aとダウンホール誘導結合器152bの間のそれぞれの誘導結合による)通信を含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、モジュール式SCU170のSCUM172は、ダウンホール無線トランシーバ125と連携して通信することができる。モジュール式SCU170のアップホール最大のSCUM172は、ダウンホール無線トランシーバ125などのSCU170のアップホール装置と直接通信することができ、モジュール式SCU170のダウンホール最大のSCUM172は、SCU170のダウンホール装置と直接通信することができる。例えば、図6Cのモジュール式SCU170’’を再び参照すると、第1のSCUM172a’’の無線トランシーバ148は、その第1のアンテナ151aによりダウンホール無線トランシーバ125と直接通信し、ダウンホール無線トランシーバ125と第2および第3のSCUM172b’’および172c’’の間の通信を中継して仲介役として機能することができる。さらに、第3のSCUM172b’’の無線トランシーバ148は、その第2のアンテナ151bによりモジュール式SCU170のダウンホールに位置する、別のSCU122などの装置の無線トランシーバ125と直接通信し、モジュール式SCU170のダウンホールに位置する装置と第1および第2のSCUM172a’’および172b’’の間の通信を中継して仲介役として機能することができる。
【0071】
図7は、1つまたは複数の実施形態による、SCUを採用したスルーチュービング仕上げシステムを使用して井戸を操作する方法700を示すフローチャートである。方法700は一般に、生産チュービングを井戸に設置すること(ブロック702)、生産チュービングによりSCUを井戸の目標区域に設置すること(ブロック704)、SCUを使用して生産作業を行うこと(ブロック706)、およびSCUを再位置決めすること(ブロック708)を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、生産チュービングを井戸に設置すること(ブロック402)は、生産チュービングを井戸の坑井に設置することを含む。例えば、生産チュービングを井戸に設置することは、生産チュービング118を井戸108の坑井110に設置することを含むことができる。いくつかの実施形態では、生産チュービングの設置は、生産チュービングの端部にダウンホール無線トランシーバを設置することを含む。例えば、生産チュービング118を設置することは、生産チュービング118のダウンホール端部118aから約20フィート(約6メートル)以内にダウンホール無線トランシーバ125を設置することを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、生産チュービングによりSCUを井戸の目標区域に設置すること(ブロック404)は、生産チュービング118および井戸108の坑井110の介在部分により井戸108の目標区域124にSCU122を設置することを含む。例えば、生産チュービングにより井戸の目標区域にSCUを設置することは、目標区域124aにSCU122aを位置決めするために、生産チュービング118のダウンホール端部118aと目標区域124aの間に位置する、坑井110の生産チュービング118の内部および坑井110の介在部分の内部をSCU122aが通過することを含むことができる。いくつかの実施形態では、SCU122は、位置決め装置123によって提供される原動力(例えば、押すことおよび引くこと)によって、生産チュービング118または坑井110を通って目標区域124に前進する。いくつかの実施形態では、SCU122を目標区域124に設置することは、SCU122を目標区域124に固定するため、または目標区域124の領域に帯状の流体隔離を提供するために位置決め装置を展開することを含む。例えば、SCU122aを目標区域124aに設置することは、SCU122aの1つまたは複数のセントラライザ126を展開してSCU122aを坑井110でセンタリングした後、目標区域124aにSCU122aを固定し、目標区域124aの領域に帯状の流体隔離を提供するためSCU122aの本体130と坑井の目標区域124aの壁の間に流体シールを作成するために、SCU122aの1つまたは複数の固定シール128を展開することを含むことができる。図2A図3Aおよび図4Aは、坑井110のそれぞれの目標区域124に設置された、SCU122’、122’’および122’’’を含む、例示的なSCU122を示す。
【0074】
いくつかの実施形態では、生産チュービングによりSCUを井戸の目標区域に設置することは、モジュール式SCUを設置することを含む。例えば、図6Aを参照すると、3つのSCUM172a、172b、および172cが生産チュービング118を通過し、目標区域124に設置され、目標区域124に設置されたモジュール式SCU172を提供することができる。このように、SCUM172は、個別にまたは他のSCUM172と一緒に目標区域124に送達されることができる。例えば、複数のSCUM172を、井戸108の生産チュービング118に1つずつ通し、目標区域124でエンドツーエンドで連結して、モジュール式SCU170ダウンホールを形成することができる。さらなる例として、複数のSCUM172は、目標区域124に配置されるモジュール式SCU170の一部または全部を形成するためにダウンホールを実行する前に事前に組み立てることができる。図6B図6C、および図6Dは、1つまたは複数の実施形態による、モジュール式SCU170’、SCU170’’およびSCU170’’’を含む例示的なモジュール式SCU170を示す図である。
【0075】
いくつかの実施形態では、SCUを使用して生産作業を実施すること(ブロック406)は、SCUを操作して様々な機能的生産作業を提供することを含む。例えば、SCUを使用して生産作業を実施することは、生産フローを調整するために設置されたSCU122のバルブを操作すること、およびダウンホール状態の測定値を取得することを含むことができる。いくつかの実施形態では、SCUを使用して生産作業を実施することは、所望のレベルの帯状の隔離を提供するためにSCU122のバルブを操作することを含む。図2Aを参照すると、例えば、第1、第2、第3および第4のバルブ162a、162b、162cおよび162dは、それぞれ第1、第2、第3および第4の領域110a、110b、110cおよび110dからSCU122’の通路136への流体の流れを制御するように操作することができる。図3Aの例示的なSCU122’’を参照すると、例えば、第1、第2、および第3のバルブ162e、162fおよび162gは、それぞれ第1、第2および第3の領域110e、110f、および110gからSCU122’’の通路136への流体の流れを制御するように操作することができる。図4Aの例示的なSCU122’’’を参照すると、例えば、それぞれ第1、第2、および第3のバルブ162h、162iおよび162jは、それぞれ第1および第2の領域110hおよび110iからSCU122’’’の通路136への流体の流れを制御するように操作することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、SCUを使用して生産作業を実施することは、SCUを使用してダウンホール状態を監視することを含む。例えば、SCUを使用して生産作業を実施することは、設置されたSCU122のセンサを使用して様々な領域を監視することを含むことができる。図2Aの例示的なSCU122’を参照すると、例えば、センサ150a、150b、150c、150dのそれぞれ第1、第2、第3および第4のセットは、それぞれ第1、第2、第3および第4の領域110a、110b、110cおよび110dで、状態のそれぞれのセットを検出することができる。図3Aの例示的なSCU122’’を参照すると、例えば、センサ150e、150f、および150gのそれぞれ第1、第2、および第3のセットは、それぞれ第1、第2および第3の領域110e、110f、および110gで、状態のそれぞれのセットを検出することができる。図4Aの例示的なSCU122’’’を参照すると、例えば、センサ150hおよび150iのそれぞれ第1、第2、および第3のセットは、それぞれ第1および第2の領域110hおよび110iで、状態のそれぞれのセットを検出することができる。感知された状態を示す感知データは、処理されたセンサデータを生成するため(例えば、局所処理システム142によって)局所的に処理することができ、処理されたセンサデータはさらなる処理のため地上制御ユニット109aに(例えば、SCU無線送信機148およびダウンホール無線送信機125により)送信することができる。いくつかの実施形態では、生の感知データを地上制御ユニット109aに送信することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、SCUを再位置決めにすること(ブロック408)は、生産チュービングによりSCUを井戸から取り外すことを含む。例えば、SCU122aの全ての固定シール128が回収可能である場合、SCU122aを目標区域124aから再位置決めすることは、SCU122aの固定シール128およびセントラライザ126を展開解除すること、および坑井110および生産チュービング118を通して、(回収可能な固定シール128を含む)SCU122aを目標区域124aから取り外すことを含むことができる。さらなる例として、SCU122bの一部の固定シール128が取り外し可能である場合、SCU122bを目標区域124bから再位置決めすることは、セントラライザ126およびあらゆる回収可能な固定シール128を展開解除すること、SCU122bの本体130から取り外し可能な固定シール128を取り外すこと、および坑井110および生産チュービング118を通して、SCU122b(取り外された固定シール128を除く)を目標区域124bから取り出すことを含むことができる。そのような実施形態では、取り外された固定シール128は、目標区域124bに固定されたままにすることができる。いくつかの実施形態では、SCU122を再位置決めすることは、SCU122を地上107に戻すことなく、SCU122を坑井110内で移動させることを含む。例えば、SCU122aの全ての固定シール128が回収可能である場合、SCU122aを目標区域124aから設置解除することは、SCU122aの固定シール128およびセントラライザ126を展開解除すること、および目標区域124aから目標区域124cまで、坑井110を通してSCU122a(回収可能な固定シール128を含む)を移動させることを含むことができる。SCU122aは、目標区域124cにおいて仕上げ作業を提供するために、目標区域124cに再展開することができる。いくつかの実施形態では、SCU122は、トラクタなどの位置決め装置123を使用して再位置決めされ、坑井110および生産チュービング118の一部または全部を通してSCU122を前進させる原動力(例えば、引くことまたは押すこと)を提供する。
【0078】
SCUを採用する井戸システムのそのような実施形態は、生産チュービングの取り出しを必要とする改修手順に従来関連付けられた時間および費用なしで採用することができるオンデマンドおよびモジュール式の仕上げ解決策を提供することができる。例えば、坑井の目標区域の改修のためのアクセスを提供するために、生産チュービングストリングを取り出す改修リグを持ち込む必要がある代わりに、井戸オペレータは単に生産チュービングを通して坑井の目標区域内の位置にSCUを通過させて、必要な改修作業を提供することができる。これにより、状況に応じて、井戸仕上げ作業のオンデマンドでの実施を容易にすることができる。さらに、異なる目標区域に様々なSCUを設置できることは、多様なダウンホール条件にカスタマイズできる柔軟な解決策を提供する。例えば、状況に応じて、様々な組み合わせおよびタイプのSCUおよびSCUMを設置、回収、および再位置決めすることができる。したがって、TTCSの実施形態は、絶えず変化する井戸条件および生産目標に対処する、柔軟で、費用および時間効果のある仕上げ解決策を提供することができる。
【0079】
図8は、1つまたは複数の実施形態による例示的なコンピュータシステム1000を示す図である。いくつかの実施形態では、システム1000はプログラム可能ロジックコントローラ(PLC)とすることができる。システム1000は、メモリ1004、プロセッサ1006、および入出力(I/O)インターフェース1008を含むことができる。メモリ1004は、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM))、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM))、大容量記憶メモリ(例えば、CD−ROMおよび/またはDVD−ROM、ハードドライブ)などを含むことができる。メモリ1004は、プログラム命令1010を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。プログラム命令1010は、地上制御システム109a、局所制御システム138、および方法700に関して説明したものを含む、本明細書で説明した機能的動作をもたらすコンピュータプロセッサ(例えば、プロセッサ1006)によって実行可能なプログラムモジュール1012を含むことができる。
【0080】
プロセッサ1006は、プログラム命令を実行することができる任意の適切なプロセッサとすることができる。プロセッサ1006は、本明細書で説明されている算術演算、論理演算、および入出力操作を実施するためにプログラム命令(例えば、プログラムモジュール1012のプログラム命令)を実行する中央処理装置(CPU)を含むことができる。プロセッサ1006は、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。I/Oインターフェース1008は、ジョイスティック、コンピュータマウス、キーボード、表示画面(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するための電子ディスプレイ)などの1つまたは複数のI/O装置1014と通信するためのインターフェースを提供することができる。I/O装置1014は、1つまたは複数のユーザ入力装置を含むことができる。I/O装置1014は、有線(例えば、工業用イーサネット)または無線(例えば、Wi−Fi)接続によりI/Oインターフェース1008に接続することができる。I/Oインターフェース1008は、他のコンピュータ、ネットワーク、などの1つまたは複数の外部装置1016と通信するためのインターフェースを提供することができる。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1008は、アンテナ、トランシーバ、などを含むことができる。いくつかの実施形態では、外部装置1016は、トラクタ、センサ、セントラライザ、固定シールなどを含むことができる。
【0081】
本開示の様々な態様のさらなる修正および代替の実施形態は、この説明に鑑みて当業者には明らかであろう。したがって、この説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、実施形態を実行する一般的な方法を当業者に教示することを目的としている。ここに示し説明した実施形態の形態は実施形態の例として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書で図示および説明したものの代わりに要素および材料を使用してもよく、部分およびプロセスを逆にしても省略してもよく、実施形態の特定の特徴を独立に利用してもよく、実施形態のこの説明の恩恵を受けた後、当業者には全てが明らかであろう。特許請求の範囲に記載の実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の要素に変更を加えることができる。本明細書で使用される見出しは、編成目的のためだけのものであり、説明の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。
【0082】
本明細書に説明されているプロセスおよび方法は、説明されている技法に従って採用することができるプロセスおよび方法の例示的な実施形態であることが理解されよう。プロセスおよび方法はそれらの実施および使用の変形を容易にするために修正することができる。提供されるプロセスおよび方法の順序および動作は変更されてもよく、様々な要素が追加、並べ替え、組み合わせ、省略、修正などされてもよい。プロセスおよび方法の一部は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせで実施することができる。プロセスおよび方法の部分の一部または全部は、本明細書で説明される1つまたは複数のプロセッサ、モジュール、またはアプリケーションによって実施することができる。
【0083】
本出願全体で使用されているように、「できる(may)」という用語は、必須という意味(必要があるという意味など)ではなく、許容的な意味(潜在性を持つという意味など)で使用される。「含む(include)」、「含むこと(including)」、および「含む(includes)」という用語は、含むことを意味するがそれに限定されない。本出願を通し使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明らかにそうでないと示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの要素」への言及は、2つ以上の要素の組み合わせを含むことができる。本出願を通し使用されるように、「基づいて」という句は、関連する動作を特定の項目のみに基づいていることに限定しない。したがって、例えば、データAに「基づいて」処理することは、内容が明らかにそうでないと示さない限り、少なくとも部分的にデータAに基づき、かつ少なくとも部分的にデータBに基づいている処理を含むことができる。本出願を通して使用されるように、「から」という用語は、それから直接関連する動作に限定するものではない。したがって、例えば、エンティティ「から」項目を受け取ることは、エンティティから直接またはエンティティから間接的に(例えば、中間エンティティにより)項目を受け取ることを含むことができる。特に明記しない限り、考察から明らかなように、本明細書を通して、「処理」、「演算」、「計算」、「決定」などの用語を利用する考察は、特殊用途のコンピュータまたは類似の特殊用途の電子処理/演算装置などの特定の装置の動作またはプロセスを指すことを理解されたい。本明細書の文脈では、特殊用途のコンピュータまたは類似の特殊用途の電子処理/演算装置は信号の操作または変換を行うことができ、典型的にメモリ、レジスタ、または他の情報記憶装置、送信装置、あるいは特殊用途のコンピュータまたは類似の特殊用途の電子処理/演算装置の表示装置内の物理量、電子量または磁気量として表される。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8