(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873287
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】大気圧プラズマ堆積によるアノード構成要素の作製方法、アノード構成要素、並びにこの構成要素を含有するリチウムイオンセル及びバッテリー
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20210510BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20210510BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20210510BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20210510BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20210510BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20210510BHJP
C22C 1/08 20060101ALI20210510BHJP
C22C 1/05 20060101ALI20210510BHJP
C22C 32/00 20060101ALI20210510BHJP
C22C 1/10 20060101ALI20210510BHJP
B22F 3/115 20060101ALI20210510BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20210510BHJP
C01B 33/02 20060101ALN20210510BHJP
C01B 33/113 20060101ALN20210510BHJP
C01B 33/12 20060101ALN20210510BHJP
C01B 32/205 20170101ALN20210510BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/134
H01M4/36 B
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M4/36 Z
H01M4/13
C22C1/08 F
C22C1/05 A
C22C32/00 B
C22C1/10 J
B22F3/115
B22F7/04 E
!C01B33/02 Z
!C01B33/113 A
!C01B33/12 Z
!C01B32/205
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-569665(P2019-569665)
(86)(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公表番号】特表2020-512677(P2020-512677A)
(43)【公表日】2020年4月23日
(86)【国際出願番号】US2018022436
(87)【国際公開番号】WO2018182977
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】15/847,154
(32)【優先日】2017年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/476,787
(32)【優先日】2017年3月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519318339
【氏名又は名称】インテセルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャオホン・ガイデン
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−100712(JP,A)
【文献】
特表2016−507875(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0058389(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0162596(US,A1)
【文献】
特表2013−502045(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0104568(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0212735(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0323118(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102054969(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105027332(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106797017(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102498604(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
B22F 3/115
B22F 7/04
C22C 1/05
C22C 1/08
C22C 1/10
C22C 32/00
H01M 4/13
H01M 4/134
H01M 4/36
H01M 4/38
H01M 4/48
C01B 32/205
C01B 33/02
C01B 33/113
C01B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素を形成する方法であって、
プラズマデバイスの第1のノズルを通して第1の大気圧プラズマから金属粒子を基板上に堆積させて、接着された金属粒子の多孔質網状構造を形成する工程であり、前記金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金、及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記基板が、アノード集電体又は多孔質ポリマーセパレータである工程と、
前記金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に、前記第1のノズルを通して前記第1の大気圧プラズマから、又は前記プラズマデバイスの第2のノズルを通して第2の大気圧プラズマから、活性アノード材料粒子を堆積させる工程であり、前記活性アノード材料粒子が1マイクロメートル未満であり、前記金属粒子よりも小さく、且つケイ素及びSiOxからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む工程と
を含み、
前記活性アノード材料粒子が前記金属粒子に接着して、アノード材料の層が前記基板上に形成される、方法。
【請求項2】
前記金属粒子が約1から約15マイクロメートルであり、前記活性アノード材料粒子が約5から約900ナノメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性アノード材料粒子が、前記第1又は第2の大気圧プラズマ中で前駆体蒸気から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体蒸気がシロキサン化合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記活性アノード材料粒子が、前記プラズマ中でアルカンガスから形成された黒鉛状炭素を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記活性アノード材料が、
リチウム線をスパッタリングすること、又は
リチウムを含有する気化した前駆体からリチウムを堆積させること、又は
前記プラズマデバイスの前記第1のノズル、前記第2のノズル、若しくは第3のノズルを通して大気圧プラズマから、表面不動態化を任意選択で含むリチウム粒子を堆積させること
の1つによってリチウム化される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記活性アノード材料粒子が、前記第1のノズルを使用して前記基板に付着される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が、銅、スズ、鉄、ニッケル、チタンコバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銀、金、パラジウム、白金、及びステンレス鋼からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記活性アノード材料が、
リチウム線をスパッタリングすること、又は
リチウムを含有する気化した前駆体からリチウムを堆積させること、又は
前記プラズマデバイスの前記第1のノズル、前記第2のノズル、若しくは第3のノズルを通して大気圧プラズマから、表面不動態化を任意選択で含むリチウム粒子を堆積させること
の1つによってリチウム化される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アノード材料の複数の層を、最大約150マイクロメートルの全厚を有する前記基板上に形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
金属粒子の組成、活性アノード材料の組成、活性アノード材料の濃度、網状構造の多孔度、金属粒子サイズ、活性アノード材料粒子サイズ、及びそれらの組合せ
からなる群から選択される少なくとも1つの要素が、前記複数の層のうち少なくとも2つの間で異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アノード材料層が、約5%から約75体積%の前記活性アノード材料粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素であって、アノード集電体上又はポリマーセパレータ上のアノード材料層であり、約1マイクロメートルから約15マイクロメートルの粒子サイズを有する接着された金属粒子の多孔質網状構造を含み、前記金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金からなる群から選択される、アノード材料層と、ケイ素及びSiOxからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み且つ前記金属粒子に接着された1マイクロメートルよりも小さい粒子サイズを有する活性アノード材料粒子と、を含み、前記アノード材料層が、約5%から約75体積%の前記活性アノード材料粒子を含む、アノード構成要素。
【請求項14】
前記金属粒子が約1から約10マイクロメートルであり、前記活性アノード材料粒子が約200から約800ナノメートルである、請求項13に記載のアノード構成要素。
【請求項15】
前記金属が、銅、スズ、鉄、ニッケル、チタンコバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銀、金、パラジウム、白金、及びステンレス鋼からなる群から選択される、請求項13に記載のアノード構成要素。
【請求項16】
前記活性アノード材料が、炭素及びリチウムからなる群から選択される要素を更に含む、請求項13に記載のアノード構成要素。
【請求項17】
前記アノード材料層が、約20%から約60体積%の前記活性アノード材料粒子を含む、請求項13に記載のアノード構成要素。
【請求項18】
前記アノード材料の複数の層を含み、金属粒子の組成、活性アノード材料の組成、活性アノード材料の濃度、網状構造の多孔度、金属粒子サイズ、活性アノード材料粒子サイズ、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの要素が、前記複数の層のうち少なくとも2つの間で異なる、請求項13に記載のアノード構成要素。
【請求項19】
請求項13に記載のアノード構成要素を含む、リチウムイオン電気化学セル。
【請求項20】
請求項19に記載の電気化学セルを含む、リチウムイオンバッテリー。
【請求項21】
前記アノード材料層が、ポリマーセパレータの1つの主面上にある、請求項20に記載のリチウムイオンバッテリー。
【請求項22】
前記アノード材料層が、アノード集電体の1つの主面上にある、請求項20に記載のリチウムイオンバッテリー。
【請求項23】
前記アノード材料層が、アノード集電体の両方の主面上にある、請求項20に記載のリチウムイオンバッテリー。
【請求項24】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素を形成する方法であって、
プラズマデバイスの第1のノズルを通して大気圧プラズマから金属粒子を基板上に堆積させて、接着された金属粒子の多孔質網状構造を形成する工程であり、前記金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金、及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記基板が、アノード集電体又は多孔質ポリマーセパレータである工程と、
前記金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に、前記プラズマデバイスの前記第1のノズルを通して前記大気圧プラズマ中で、又は第2のノズルを通して大気圧プラズマ中でシロキサン前駆体から形成された活性アノード材料粒子を堆積させる工程であり、前記活性アノード材料粒子が、ケイ素及びSiOxからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む工程と、
を含み、
前記金属粒子が約1から約15マイクロメートルであり、前記活性アノード材料粒子が約5から約900ナノメートルであり、
前記活性アノード材料粒子が前記金属粒子に接着して、アノード材料の層が前記基板上に形成される、方法。
【請求項25】
前記活性アノード材料粒子が、アルカンガスから形成された黒鉛状炭素、及び/又は有機リチウム化合物から形成された若しくはリチウム線からスパッタリングされたリチウムを更に含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年3月26日に出願された米国仮特許出願第62/476,787号、及び2017年12月19日に出願された米国非仮特許出願第15/847,154号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、リチウムイオンセルの電極、そのような電極の作製方法、並びにリチウムイオンセル及びバッテリーに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、本発明の理解の助けになる情報であるが必ずしも従来技術ではない情報を提供する。
【0004】
自動車車両における、並びにその他の高エネルギーデバイス及び設備における電動機に、電力を供給するためのリチウムイオンバッテリーの使用は、より高い質量容量及びより高い体積容量のバッテリーの必要性をもたらしてきた。黒鉛状炭素は、リチウムイオンセル内の負極(アノード)として耐久性のある有用なリチウム挿入材料であるが、そのようなリチウム挿入を行うのに比較的低い能力を有する。ケイ素(理論容量、Li
15Si
4に関して3579mAh/g)及びスズ(理論容量、Li
22Sn
5に関して992mAh/g)等のその他の潜在的な電極材料は、リチウム挿入用の黒鉛よりも非常に高い理論容量を有する。しかし、リチウム化及び脱リチウム化プロセス中の、ケイ素に関する最大300体積パーセントの体積変化は、活性ケイ素材料の破砕をもたらし、伝導性添加剤との又はアノード粒子が取着する集電体との電気接触の損失をもたらす。スズには、リチウム化による大きな体積膨張という同様の課題があり、やはり急速な容量低下に至る。
【0005】
ケイ素系材料を含有する電極は、ポリマーバインダ溶液又は分散体を用いて、ケイ素粒子又は酸化ケイ素(SiO
x)粒子、黒鉛、及び伝導性炭素粒子のスラリーを形成することにより調製されてきた。例えば、ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれるYuの国際出願(PCT)の公開番号WO2016/082120は、大気圧プラズマスプレーデバイスを使用して、表面に電極粒子の多孔質層を形成する工程について記載している。次いで非プラズマスプレーデバイスを使用して、ポリマーバインダ材料の水性溶液を多孔質層上にスプレーする。水が蒸発し、ポリマーバインダは粒子を一緒に表面に結合させる。
【0006】
ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGaydenの米国特許出願公開第2016/0254533号明細書は、リチウムイオンセル及びバッテリー用の電極の作製における、大気圧プラズマ流の使用について記載している。記載される方法では、リチウムイオンを受け入れ且つ放出する電極材料の粒子が、伝導性金属の粒子でコーティングされ又は混合される。金属でプレコーティングされた電極材料粒子、又は金属及び電極材料の混合粒子(例えば、銅でコーティングされたケイ素粒子、又は銅粒子とケイ素粒子との混合物の、何れか)がプラズマ流中に送出されて、金属が部分的に溶融し、その後、基板上に堆積されて電極を形成する。電極材料粒子は、数十ナノメートルから数十ミクロンの範囲にあってもよい。米国特許出願公開第2016/0254533号明細書の方法は、有機バインダの必要性を回避し、より高いセル容量及び電力のために活性電極材料のより厚い、より低い応力の層の堆積を可能にすると言える。
【0007】
ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDengらの米国特許出願公開第2017/0121807号明細書は、リチウム二次電池用の電極材料の非金属粒子が元素金属の粒子でコーティングされ、その後、大気圧プラズマ流中に配置され、基板上に連続層として堆積される、電極材料を形成する方法について記載している。材料粒子は、堆積中に十分溶融して、非金属電極材料粒子を互いに且つ基板に結合する。
【0008】
ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDengらの米国特許出願公開第2017/0301958号明細書は、リチウムバッテリー用のリチウムイオンセルの多層を順次形成するための大気圧プラズマスプレー堆積デバイスについて記載している。このように適切な基板層が、一連のプラズマスプレーデバイスを経て搬送されて、順に集電体層、粒状電極材料層、多孔質セパレータ層、反対側の電極層、及び第2の集電体層を形成する。
【0009】
ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれるYuらの米国特許出願公開第2017/0309888号明細書は、活性電極材料を液体前駆体分散体でコーティングする工程について記載し、所定のエネルギーレベル及び最高3500℃の温度で大気圧プラズマに曝露されると、炭素又は金属酸化物に変換され、炭素又は金属酸化物でコーティングされた活性電極材料が、電極の形成中に基板上に堆積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2016/082120号
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0254533号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0121807号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0301958号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/0309888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
リチウムイオンバッテリーでの使用中に、より耐久性があり且つより高い容量を維持する、ケイ素含有及び金属含有負極材料構造組成物等の高い理論容量を持つ材料から、リチウムイオンセル電極を形成する方法が、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この要求は、大気圧プラズマ堆積プロセスによりアノード構成要素を作製するための開示される方法、並びに活性アノード材料の粒子(即ち、リチウムイオンを受容し放出する材料の粒子、例えば、ケイ素又はケイ素含有化合物、特にSiO
x等の高容量リチウムイオン挿入材料の粒子)が金属粒子の多孔質網状構造上に堆積される、リチウムイオンセル用の開示されるアノード構成要素によって満たされる。このアノード構造は、大気圧プラズマ適用法及び設備を使用して、活性アノード材料のナノメートルサイズの粒子、例えばケイ素又はSiO
xの粒子を同じプラズマ堆積デバイス内で、同じ又は異なるノズルの何れかから堆積させ(金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に)、銅等の金属の接着されたマイクロメートルサイズの粒子により形成された多孔質網状構造の表面及び/又は細孔内に接着させる方法で、形成されてもよい。多孔質金属層は、金属の粒子が表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化されて、粒子が互いに接着され且つ基板に接着され、その表面に、基板上の層内に粒子の安定で耐久性ある多孔質網状構造を形成するよう十分堆積されるようになされる、大気圧プラズマ堆積法によって形成されてもよい。活性アノード材料のナノメートルサイズの粒子は、同じプラズマ堆積デバイスの大気圧プラズマから(任意選択で同じプラズマ及びノズルから、又は第2のプラズマ及び第2のノズルから)同時に、重ねて、又は後に堆積され、その結果、好ましくは活性アノード材料粒子の少なくとも一部が、外面上の金属粒子及び多孔質金属層の細孔内に接着するようになされる。その他の粒子は、接着されなくてもよく、代わりに、金属粒子に接着された粒子によってアノード材料層内に捕捉され又は固定化されてもよい。接着された金属粒子の多孔質網状構造は、セル動作においてリチウムイオンを電解質から介入させるときに、活性(例えば、ケイ素含有)アノード材料の膨張に順応し、したがって電極は、リチウム化及び脱リチウム化プロセス中の破砕及び損傷を回避するようになる。接着された金属粒子の多孔質金属網状構造は、ナノメートルサイズの活性アノード材料粒子を金属粒子の表面(多孔質構造の細孔内を含む)に接着させてリチウム化及び脱リチウム化プロセス中に膨張させ収縮させながら、全体的な電極層の寸法を維持する。
【0013】
大気圧プラズマ適用は、15,000℃及びそれよりも高い温度を典型的には用いる熱プラズマ法とは対照的に、低温又は非熱的プラズマ適用法である。大気圧プラズマ適用は、約3500℃未満の温度又は約2000℃未満の温度で実施されてもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、アノード構成要素は、プラズマデバイスの第1のノズルを通して大気圧プラズマから金属粒子を基板上に堆積させて、接着された金属粒子の多孔質網状構造を形成する工程であって、金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族、それらの合金、及びそれらの組合せからなる群から選択され、基板が、アノード集電体又は多孔質ポリマーセパレータである工程と;金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に、プラズマデバイスの第1のノズルを通して又は第2のノズルを通して、大気圧プラズマ中でシロキサン前駆体から形成された活性アノード材料粒子を堆積させる工程であって、活性アノード材料粒子が、ケイ素及びSiO
xからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む工程とにより形成される。金属粒子は約1から約15マイクロメートルであり、活性アノード材料粒子は約5から約900ナノメートルである。活性アノード材料粒子は金属粒子に接着して、アノード材料の層が基板上に形成される。活性アノード材料粒子中に黒鉛状炭素を形成するために、前駆体蒸気中に炭素質前駆体が含まれてもよく;活性アノード材料粒子を事前にリチウム化するために、リチウムの供給源が使用されてもよい。
【0015】
本発明の粒子のその他の目的及び利点は、例示的な実施形態の以下の記載から明らかにされよう。
【0016】
実施形態は、以下の図面及び記載を参照することによって、より良く理解することができる。図中の構成要素は、その縮尺が必ずしも正しいものではなく、むしろ実施形態の原理を示すことに重点を置いている。図面は、選択された態様の単なる例示を目的とし、全ての可能性ある実現例とは限らず、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】活性アノード材料粒子を基板(例えば、金属集電体箔又はポリプロピレンセパレータ基板)上に保持する金属粒子のプラズマ堆積層の、層の断面の概略図である。
【
図2】ナノメートルサイズの活性アノード材料粒子が金属粒子の表面上及び金属粒子間の細孔内に保持された、マイクロメートルサイズの金属粒子のプラズマ堆積多孔質層の、概略的二次元上面図である。
【
図3】ナノメートルサイズの活性アノード材料粒子が金属粒子の表面上及び金属粒子間の細孔内に保持された、マイクロメートルサイズの金属粒子のプラズマ堆積層の一部の、概略的三次元図である。
【
図4】アノード構造の作製においてアノード材料構成要素を送出し且つそれらを順次又は一緒に基板上に付着させるための、粉末送出システム及び大気圧プラズマノズルを有する装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は複数」は、項目の少なくとも1つが存在することを示すのに同義で使用され;複数のそのような項目が、文脈が他に明示しない限り存在していてもよい。添付される特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメーター(例えば、量又は条件)の全ての数値は、「約」が数値の前に実際に現れてもそうでなくても、「約」という用語によって全ての場合に修飾されるとして理解されたい。「約」は、記載される数値に多少の不正確さがあってもよいことを示す(値の正確さに向けた何等かのアプローチ;値に近似的に又は妥当に近い;ほとんど)。「約」によって与えられた不正確さが、この通常の意味で当技術分野において他に理解されない場合、本明細書で使用される「約」は少なくとも、そのようなパラメーターを測定し使用する通常の方法から生じ得るばらつきを示す。更に、範囲の開示は、全ての値の開示と、更に全範囲内の分割された範囲を含む。
【0020】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(including)」、及び「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載される特徴、整数、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除しない。本明細書で使用される「又は」という用語は、関連付けられた列挙された項目の1つ又は複数の何れか及び全ての組合せを含む。
【0021】
本発明の粒子の取着(金属粒子の、その他の金属粒子への、又は活性アノード材料粒子の、金属粒子への)を記載するのに使用されるときの「接着された」は、粒子が溶融物質に完全には溶融せず且つ金属粒子の本体の冶金学的変化を受けない状態での、粒子の表面取着を意味する。金属粒子は、最高約3500℃の温度での大気圧プラズマによる、表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化によって、接着する。
【0022】
「大気圧プラズマ堆積」又は「大気圧プラズマ適用」は、最高3500℃の温度で実施されるプラズマ堆積法を指す。
【0023】
「粒子サイズ」は、ISO13320試験法によって決定される平均粒子サイズを指す。
【0024】
例示的な、非限定的実施形態の詳細な説明は、以下の通りである。
【0025】
対象の方法は、リチウムイオン電気化学セル及びバッテリーで使用される適切な基板上に活性アノード材料(例えば、ケイ素含有活性電極材料)の粒子が接着される、金属粒子の接着網状構造が形成されるように、大気圧プラズマによって表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化された金属の、共堆積された、重ねて堆積された、又は順次堆積された粒子の何れかを形成するために、大気圧プラズマ堆積法及び設備を使用して、リチウムイオン電気化学セル用の高容量アノード構造を形成する。活性アノード材料は好ましくは、金属粒子を堆積させるのに使用されるものと同じプラズマ、又は同じ大気圧プラズマ堆積デバイスの第2のノズルから活性アノード粒子を堆積させる第2のプラズマであってもよい、シロキサン化合物(プラズマ中に蒸気として存在する)から、プラズマ堆積プロセスで形成される。活性アノード材料の粒子を含有する金属粒子網状構造は、セル又はバッテリー内でアノード構造を支持する基板に接着し、セル又はバッテリーの動作中にアノード構造と相互作用する。活性アノード材料は、プラズマ中でシロキサン等の前駆体から形成されてもよく、同じノズル又は第2のノズルを使用して堆積されてもよい。
【0026】
対象の方法では、大気圧プラズマは、窒素等のプラズマ加熱不活性ガスを使用して、フローノズル内に発生させる。例えば、ミクロンサイズの銅粒子、及び蒸発したヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)等の適切なシロキサン前駆体を、プラズマ流にそれぞれ向けられた別々の開口に通して供給して、表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化されたCu粒子及びHMDSO蒸気の混合物を創出する。HMDSOは、分解してSiO
x(例えば、SiO−SiO
2複合体)のナノメートルサイズの粒子を形成し、この粒子は例えば5ナノメートルから900ナノメートルの範囲内、又は50から800ナノメートルの範囲内、又は50から750ナノメートルの範囲内にあるものであってもよい。SiO
xのこれらの粒子は、マイクロサイズの銅粒子とプラズマ流中で混合され、ノズルを通して、他の点では加熱されない基板表面に向けられる。例えば銅集電体表面に架ると、プラズマ流は逸れ、SiO
x粒子及び銅粒子が収集され、クエンチ処理されて、好ましくは堆積された材料の見掛けの外側体積の約40から70パーセントの多孔度を有する、接着された粒子の多孔質層を形成する。或いは、この方法の別の実施形態では、銅粒子、及びケイ素、酸化ケイ素−炭素複合体、ケイ素−炭素複合体、又はLi−Si合金等のケイ素合金のナノ粒子が、別々にプラズマノズル及び流れに供給される。
【0027】
一般に、プラズマノズル内で形成された活性アノード材料粒子は、約5から又は約10から又は約50から又は約100から又は約200ナノメートルから、約900まで又は約850まで又は約800まで又は約750まで又は約700ナノメートルまでであってもよい。様々な実施形態では、活性アノード材料粒子は、約200から約800ナノメートル又は約250から約750ナノメートル又は約250から約600ナノメートルであってもよい。一般に、金属粒子は、約1から約15マイクロメートル又は約1から約12マイクロメートル又は約1から約10マイクロメートル又は約1から約5又は約1から約3マイクロメートルであってもよい(粒子サイズは、ISO13220によって測定された平均粒子サイズとして与えられる)。アノード材料層は、適切なアノード容量を提供するのに十分な量の活性アノード材料を含有する。様々な実施形態では、活性アノード材料粒子は、金属粒子及び活性アノード材料粒子を含有するアノード材料層の全体積の約5%から約75%、好ましくは全体積の約20%から約70%、より好ましくは全体積の約20%から約60%又は約40%から約70%又は約40%から約60%を占有する。
【0028】
開示される方法及びアノードの様々な態様では、多孔質金属層は、銅、スズ、鉄、ニッケル、チタンコバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銀、金、パラジウム、白金、周期表の1B、IVA、及びVIII族からのその他の金属、それらの合金、例えばステンレス鋼、及びそれらの組合せであって、約1から約15マイクロメートルの金属粒子を使用する金属に形成され得るものから選択されてもよく;活性アノード材料は、ケイ素、ケイ素の酸化物(特に、SiO
x(式中、x=1又は2))、SiO
x−C複合体、ケイ素−炭素複合体、ケイ素合金、例えばLi−Si合金、チタン酸リチウム(メタチタン酸リチウム、Li
2TiO
3)、及びそれらの組合せから選択されてもよい、1種又は複数の材料で形成されてもよい。
【0029】
本発明の一態様では、大気圧プラズマ堆積法を用いて、リチウムイオンバッテリー用の多孔質アノード構成要素を形成する。アノード材料は、金属(例えば、銅)集電体箔の片面若しくは両面上に、又は多孔質ポリマー(例えば、ポリプロピレン)セパレータ層の表面上に、多孔質層として堆積されてもよい。集電体箔又は多孔質セパレータ層は、プラズマ堆積法での基板としての働きをする。堆積された多孔質層は、液体リチウムイオン含有電解質溶液を浸透させたときに効率的なアノード材料として使用される、所定のコンシステンシー、厚さ、及び面積のものである。
【0030】
本発明のアノード構成要素の構造は、ケイ素含有(又はスズ含有)活性アノード材料粒子等の、より小さい活性アノード材料粒子を含有し支持するように形成された、銅、スズ、又はニッケル(IB、VIII、IVA族)等の伝導性元素金属の多孔質粒状マトリックスを有するものである。金属粒子は、活性アノード材料粒子がサブマイクロメートルのサイズであるのに対して、マイクロメートルサイズである。プラズマ堆積された元素金属粒子のサイズは、約1〜15マイクロメートルの範囲にあり、堆積された層内の細孔は、活性アノード材料の粒子を運び且つ支持するようにサイズが決められる。活性アノード材料は、元素状ケイ素、SiO
x(例えば、SiO−SiO
2複合体)、酸化ケイ素−炭素複合体、ケイ素−炭素複合体、又はリチウム合金、例えばLi−Si合金の、1マイクロメートルより小さい、好ましくは約900ナノメートル以下、又は約800ナノメートル以下、例えば約200から約800ナノメートルの粒子であってもよく、活性アノード材料としてプラズマ堆積されてもよい。リチウム又はリチウム合金及びスズ又はスズ合金の共堆積された混合物を、アノード材料として使用してもよい。活性アノード材料の粒子は分散され、堆積された金属粒子網状構造層の、金属粒子間の細孔を含む金属粒子の表面に接着される。したがってアノード構成要素が、適合性あるカソードと対になり、これらの電極にリチウムイオン伝導電解質の非水性溶液を浸透させた場合、活性アノード材料の高容量特性を、この新しいアノード構成要素に損傷を与えることなく実現することができる。
【0031】
アノード構造は、適切な大気圧プラズマ適用デバイスを利用する、元素金属と活性アノード材料との共堆積によって形成されてもよい。又は元素金属の多孔質層は、選択されたアノード材料の粒子の後続の大気圧堆積により最初に形成されてもよい。2つの要素のアノード構造の個々の層を形成する際、異なる大気圧プラズマ堆積条件を適応させることが好ましいと又は必要と考えられる。一実施形態では、元素金属粒子の多孔質層の堆積が、最初に完了することになる。次いで金属層の細孔内への、アノード材料の、より小さい粒子のプラズマ堆積が、同じ又は第2のノズルから、同じプラズマデバイス内で同時に又は順次行われることになる。活性アノード材料粒子は、メタン、エタン、又はプロパンのようなアルカン等の炭素源が、プラズマ中にシロキサン前駆体蒸気と共に導入される場合、黒鉛状炭素を含んでいてもよい。同様に、活性アノード材料粒子は、前駆体中に有機リチウムアミド等のリチウムを含有する揮発性液体前駆体を含むことによって、又はプラズマ流中でリチウム線をスパッタリングすることによって、又はナノメートルサイズのリチウム粒子、例えば保護カーボネートコーティングを持つリチウム粒子を、少なくとも約700℃の温度でプラズマ流中に導入することによって、リチウム化することができる。或いは、炭素又はリチウム改質剤は、同じプラズマデバイス内で活性アノード材料粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズルとは別のプラズマノズルを使用して、適用されてもよい。
【0032】
一実施形態では、SiO
x−黒鉛複合活性アノード材料粒子は、同じプラズマノズル内で、SiO
x用(例えば、テトラエチルシロキサンのようなテトラアルキルシロキサン、又はヘキサメチルジシロキサン等のヘキサアルキルジシロキサン)の前駆体蒸気と二次炭素源(メタン、エタン、又はプロパンのようなアルカン等)とを混合することによって形成される。プラズマノズルは、金属粒子を堆積させるのに使用されるものと同じプラズマノズルであってもよく、又は金属粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズルと同じプラズマ堆積デバイス内の第2のプラズマノズルであってもよい。或いは、二次炭素源は、金属粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズル内に導入されてもよく、同じプラズマ堆積デバイス内の第2のプラズマノズルは、ケイ素含有活性アノード材料粒子を堆積させるのに使用されてもよい。
【0033】
同様に、リチウム化(リチウムがドープされた)活性アノード材料、例えばSiO
x−Li複合体又はSiO
x−C−Li複合体は、同じプラズマノズル内の有機リチウム前駆体蒸気とSiO
x用(例えば、テトラエチルシロキサンのようなテトラアルキルシロキサン、又はヘキサメチルジシロキサン等のヘキサアルキルジシロキサン)の前駆体蒸気、及び任意選択で二次炭素源(メタン、エタン、又はプロパンのようなアルカン等)とを混合することによって形成されてもよい。有機リチウム前駆体の例は、酢酸リチウム、リチウムビス(n−プロピルジメチルシリル)アミド、及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである。プラズマノズルは、金属粒子を堆積させるのに使用されるものと同じプラズマノズルであってもよく、又は金属粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズルと同じプラズマ堆積デバイス内の二次プラズマノズルであってもよい。或いは、有機リチウム前駆体及び/又は二次炭素源は、金属粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズルに導入されてもよく、同じプラズマ堆積デバイス内の二次プラズマノズルは、ケイ素含有活性アノード材料粒子を堆積させるのに使用されてもよい。
【0034】
一実施形態では、表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化された金属粒子の多孔質層は、大気圧プラズマ適用デバイス内で形成され、選択された基板上に接着された金属粒子の、多孔質のほぼ均一に厚い層として堆積される。冷却後、堆積された材料は、活性アノード材料の、より小さい粒子の後続のプラズマ堆積用の多孔質金属マトリックスを形成する。適切な金属マトリックス材料は、リチウムイオンバッテリーのアノード用に、銅、スズ、又はニッケル(IB、VIII、IVA族)を含む。ある特定の実施形態では、銅は、多孔質伝導性マトリックスを形成するための、1つの好ましい金属である。選択された金属は、プラズマ流に向けられた適切なキャリアガス中の粒子として、又はプラズマ流中でスパッタリングされる若しくはプラズマノズル内で蒸発するワイヤの形で、大気圧プラズマ堆積ノズル内に導入されてもよい。大気圧発生機で使用される電力は、厚さが最大約150マイクロメートルであってもよい、接着された金属粒子のほぼ均一に厚い多孔質網状構造が形成されるように、適切な温度で且つ約1から約15マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有する金属粒子を堆積させるよう制御される。金属粒子は、接着多孔質層形成する際に、互いに且つ基板に接着する。この金属粒子マトリックス又は網状構造層の細孔は、選択された活性アノード材料の、より小さい大気圧プラズマ堆積粒子の受入れ部位を提供することが意図され、且つそのように管理される。
【0035】
本発明の一部の実施において、活性アノード材料のサブマイクロメートルサイズの粒子は、プラズマ活性化ノズル内の適切な前駆体蒸気から生成されてもよく、同じプラズマ活性化ノズルでより大きい金属粒子と共堆積されてもよい。活性化アノード材料粒子サイズは、金属粒子供給率に対する前駆体流量、プラズマ電力、基板の温度、プラズマ作用ガス及び流量、並びに基板に対するプラズマノズルヘッドの横行速度等の、プロセスパラメーターによって制御されてもよい。活性アノード材料の、より小さい粒子は、金属マトリックス層の表面上及び細孔内に堆積される。本発明の他の実施形態では、活性アノード材料の粒子は、金属粒子が表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化されたままの状態で、形成された金属マトリックス層の上及び内部に引き続き堆積される。基板上に全厚が最大150マイクロメートルである複数のアノード材料層を構築するのに、基板上でプラズマノズルを多数回の連続通過させることによって記載される複数のアノード材料層を形成する際、異なる大気圧プラズマ状態を使用することが望ましいと考えられる。選択された基板上での適切な厚さの複数のアノード層の形成は、元素金属粒子と、アノード材料のより小さい粒子との組合せの、1つ又は複数の更なる層の堆積によって、実現されても必要とされてもよい。層は、プラズマに供給される材料、1種又は複数のプラズマへの材料の相対供給速度を様々にすることによって、粒子又は前駆体蒸気の供給速度を様々にすることによって、プラズマの電力を様々にすることによって、基板表面に対してプラズマノズルが運ばれ移動する速度を変化させることによって、又はノズルと基板との間の距離を変化させることによって、又はこれらの任意の組合せによって、活性アノード材料の濃度及び組成、金属マトリックスの多孔度、金属粒子の組成、網状構造の多孔度、金属粒子サイズ、活性アノード材料粒子サイズ、及びこれらの任意の組合せが、互いに異なっていてもよい。
【0036】
適切なアノード材料は、元素状ケイ素、SiO
x(例えば、SiO−SiO
2複合体)、SiO
x−C複合体、ケイ素−炭素複合体、リチウム合金、例えばLi−Si合金、リチウムとスズとの合金(Li−Sn)、リチウム、ケイ素、若しくはスズを含有する合金、又はそれらの組合せを含む。SiO
x(例えば、SiO−SiO
2複合体)粒子の堆積は、活性アノード材料の前駆体をプラズマ環境内に導入することによって形成されてもよい。適切な前駆体の例には、プラズマノズル内の適切なプラズマ流中で分解してSiO
x(x=1〜2、例えばSiO−SiO
2複合体)のナノサイズの粒子を形成し得る、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)又はテトラエチルシロキサン(TEOS)が含まれる。
【0037】
リチウムバッテリー用のアノード構成要素の作製では、多孔質アノード層を、比較的薄い銅集電体箔の両面に堆積させてもよい。本発明の実施に際し、プラズマ堆積された金属及び活性アノード材料マトリックスは、適切なアノード集電体箔の主面の一方又は両方に堆積されてもよい。本発明の方法のその他の実施において、プラズマ堆積金属マトリックス材料及び活性アノード材料は、多孔質ポリマーセパレータ層の主面上に堆積されてもよい。例えば、多孔質ポリプロピレン繊維構造は、ポリマーセパレータの表面の性質によってセパレータの細孔内にプラズマ堆積アノード材料を侵入させることができないとき、基板として働いてもよい。アノード材料がセパレータの主面上に堆積される場合、集電体箔は通常、プラズマ堆積アノード構造の反対側の面に付着され又は形成されることになる。
【0038】
特定の例示的な実施例では、SiO
x及び銅の適切な非熱的プラズマスプレー混合物が、層の見掛けの堆積の40%から約70%の多孔度を有する多孔質アノード層として形成されることになる。電極層は、例えば、銅集電体箔の主面上に又はポリマーセパレータのそれぞれの表面上に形成されてもよい。典型的には、堆積されたSiO
xの体積の、堆積された銅の体積に対する比は、約0.4〜0.7(又は銅に対して2:3から2:5体積部のSiO
x)である。
【0039】
次に本発明を、図を参照しながら更に説明する。次に
図1を参照すると、活性アノード材料(例えば、SiO
x)粒子14を保持する金属(例えば、銅)粒子12のプラズマ堆積層10が、金属(例えば、銅)集電体箔上に又はポリマー(例えば、ポリプロピレン)セパレータ基板16上に接着している。堆積された接着された金属粒子12及び堆積された接着活性アノード材料粒子14は、ほぼ球状として示されるが、プラズマ堆積粒子は不規則な形状を有していてもよい。粒子のサイズは、それらの最大寸法によって特徴付けられる。更に堆積された層の多孔度は、その支持基板から外向きに延びるときのその見掛けの体積の割合又はパーセンテージとして決定されてもよい。
【0040】
堆積された接着された金属粒子12は、堆積された活性アノード材料粒子14よりも大きく、活性アノード材料粒子14が接着し且つ引き続き配置されるリチウムイオン含有電解質溶液を浸透させるための、表面及び細孔体積を提供する。一般に、金属粒子12は、任意の規則的な構成である必要はなく、細孔サイズは広く変化させることができる。金属粒子は、表面軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化されて、粒子が互いに、且つ粒子が堆積される基板に接着するようになり、活性アノード材料粒子14を接着させるための安定なマトリックス又は足場を形成するのに十分な密度を有し、その結果、アノード材料層は良好な熱及び電気伝導性と共に耐久性あるものになる。
【0041】
図2は、ナノメートルサイズの活性アノード粒子14が金属粒子12の表面に且つ金属粒子12同士の間の細孔18内に接着された、マイクロメートルサイズの金属粒子12で構成された多孔質層10の概略的上面図を示す。
【0042】
図3は、ナノメートルサイズの活性アノード材料粒子14が金属粒子12の表面に且つ金属粒子12同士の間の細孔内に接着された、マイクロメートルサイズの金属粒子12のプラズマ堆積層10の部分の、概略的三次元図である。
【0043】
大気圧プラズマ堆積法は公知であり、プラズマスプレーノズルは市販されている。次に
図4を参照すると、大気圧プラズマ装置100は、窒素等の適切な作用ガス、形成ガス(窒素−水素ガス混合物)、又はヘリウム若しくはアルゴン等の不活性ガスの流動流を、導入し伝導させるための上流ラウンドフローチャンバー110を有する。この実施形態では、この例示的な初期流動チャンバー110は、より小さいラウンドフローチャンバー110’へと、内向きに先細りになっている。上述のように、アノード用の金属マトリックス粒子は、銅、スズ、及びニッケル(IB、VIII、IVA族)粒子を含む。活性アノード材料は、ケイ素、酸化ケイ素(SiO
x)、リチウムとケイ素との合金(Li−Si)、リチウムとスズとの合金(Li−Sn)を含む。
【0044】
選択された材料の粒子116又は粒子の前駆体は、供給管112を通して送出され、主チャンバーの作用ガス流中に適切に導入され、次いでプラズマノズル120内に運ばれ、そこで窒素(又はその他の作用ガス)が大気圧でプラズマ流に変換される。例えば、銅の粒子116は、銅粒子の流動流を示すのに部分的に切り欠きされた、適切な供給管112を通して送出されてもよい。シロキサン前駆体蒸気118は、シロキサン蒸気118の流動供給を示すのに部分的に切り欠きされた、別の供給管114を通して送出されてもよい。銅粒子は、プラズマ流に進入するにつれ、分散し且つシロキサン前駆体蒸気と混合され、それが分解して、その内部に酸化ケイ素(SiO
x粒子)の混合物のナノメートルサイズの粒子を形成し、その流れによって運ばれる。プラズマ流が、下流のプラズマ発生機ノズル120を経て流れるにつれ、形成されたプラズマ中に形成された銅粒子及びSiO
x粒子は、形成されたプラズマによって堆積温度に加熱される。粒子に対する瞬間的な熱の影響は、最高約2000℃の温度であってもよい。本明細書では上述のように、金属粒子を、プラズマ中で軟化、表面溶融、又は表面エネルギー活性化させて、粒子が互いに且つ活性電極材料粒子に接着するようにする。
【0045】
懸濁させた電極材料粒子を含有し且つ運ぶ窒素ベースのプラズマの流れ122は、リチウムイオンセルのアノード用の銅集電体箔等、基板124の表面へと、ノズルにより徐々に向けられる。基板の箔は、大気圧プラズマ堆積プロセスに適切な作用面126上に支持される。大気圧プラズマ堆積用の堆積基板は、そのコーティングされていないコネクタータブ124’を備えた個々の集電体箔124として示される。しかし、大気圧プラズマ堆積用の基板は、プラズマの経済的な使用及び適用のため、任意のサイズ及び形状のものであってもよいことが理解されよう。基板を所定位置に固定するのに適切な固定具が必要とされ得ること、及び/又はコーティングされた1つ又は複数の面積を画定するのにマスクが必要とされ得ることも理解されよう。更に、指定された、より小さい作用電極部材を、より大きな当初コーティングされた基板から後で切断してもよい。粒状電極材料が、指定された厚さの多孔質アノード電極材料の層128として集電体箔基板124の表面に堆積されるように、ノズルを適切な経路で且つ適切な速度で移動させる。プラズマノズルはロボットアームで運ばれてもよく、プラズマ発生の制御及びロボットアームの移動は、プログラムされたコンピューターの制御下で管理されてもよい。本発明の他の実施形態では、基板は、プラズマが停止している間に移動させる。
【0046】
アノード材料粒子の層は、リチウム容量損失を効率的に補償して第1サイクル効率を著しく改善させるため、そのプラズマ堆積中にリチウム化されてもよい。これは例えば、3つの方法の何れか1つで行ってもよい。第1の方法では、リチウム金属のワイヤをプラズマ流中に配置して、アノード材料層が集電体又はポリマーセパレータ基板上に形成されるときにその層にスパッタリング堆積させてもよい。第2の方法では、有機リチウム前駆体蒸気を、同じプラズマノズル内で、SiO
xの前駆体蒸気と、及び任意選択で二次炭素源(メタン、エタン、又はプロパンのようなアルカン等)と混合してもよい。有機リチウム前駆体の例は、酢酸リチウム、リチウムビス(n−プロピルジメチルシリル)アミド、及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである。プラズマノズルは、金属粒子を堆積させるのに使用されるものと同じプラズマノズルであってもよく、又は金属粒子を堆積させるのに使用されるプラズマノズルと同じプラズマ堆積デバイス内の、第2のプラズマノズルであってもよい。第3の方法では、安定化リチウム金属粒子(例えば、炭酸リチウム、Li
2CO
3でコーティングされたLi金属)の粒子を、多孔質金属層を形成する金属粒子と混合し且つ供給管112から供給してもよく、又は供給管112及び114とは別の、追加の供給管を使用して供給し、大気圧プラズマ堆積によって基板上に共堆積させてもよい。アノード材料層内のリチウム粒子の形態及びサイズは、プラズマノズルの長さに沿った進入の位置、プラズマの出力、ワイヤ供給速度によって、並びに/又は多孔質網状構造を形成する金属粒子の堆積及び活性アノード材料粒子(例えば、前駆体シロキサンからプラズマ流中で形成される)の堆積に対してリチウム粒子を順序づけて堆積することにより、制御することができる。好ましい実施形態では、リチウム金属が、堆積中に反応して、Si−Li合金のナノメートルサイズの粒子をアノード材料層内に形成する。
【0047】
本発明によるリチウムイオンセルは、(順に)アノード集電体、金属粒子表面上及び金属粒子間の空隙内に活性アノード材料粒子を保持する金属粒子の多孔質層を含み任意選択で更にリチウムを更に含む本発明のアノード材料層;多孔質ポリマーセパレータ層;カソード材料層(例えば、リチウムと別の金属との混合酸化物若しくはホスフェート、例えばリチウム−マンガン酸化物、リチウム−ニッケル酸化物、及び/又はリチウム−コバルト酸化物、リチウム−マンガン−ニッケル−コバルト酸化物、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム酸化物、リチウム鉄ホスフェート、又はこれらの材料の組合せを含む);及びカソード集電体により組み立てられる。アノード材料層及びカソード材料層は、それらのそれぞれのセパレータ層の面上又はそれらのそれぞれの集電体上の何れかに位置付けられてもよい。本発明のアノード材料層は、アノード集電体上又はセパレータ層のアノード側に形成されてもよいことを理解すべきである。したがって、アノード構成要素がアノード集電体及びアノード材料層を含む場合、リチウムイオンセルは、アノード構成要素、多孔質ポリマーセパレータ層;カソード材料層、及びカソード集電体から組み立てられてもよい。アノード構成要素がアノード材料層及びセパレータ層を含む場合、リチウムイオンセルは、アノード集電体、本発明のアノード構成要素、カソード材料層、及びカソード集電体から組み立てられてもよい。
【0048】
リチウムセル電解質、しばしば、1種又は複数の有機溶媒(例えば、炭酸エチレン、炭酸ジメチル)に溶解されたリチウム塩(例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4)を、リチウムイオンセルアセンブリの、密に間隔を空けて配置した層の内部及び間に慎重に導入する。そのようなリチウムイオンセルアセンブリは、多くの参考文献に記載されるように周知であり、本発明のリチウムイオンセルは、本発明のアノード材料層が使用されるという点で、これまで公知であったものとは区別される。本発明によるリチウムイオンバッテリーは、本発明による少なくとも1つのリチウムイオンセルを含む。リチウムイオンバッテリーの実施形態では、金属粒子間の空隙内の金属表面に接着されたものを含む、金属粒子表面に接着された活性アノード材料粒子を保持する接着された金属粒子の多孔質層を含み、更に任意選択でリチウムを含む、本発明のアノード材料層が、アノード集電体のそれぞれの側に付着される。この実施形態では、バッテリーが、アノード材料層のそれぞれの側から外向きに、多孔質ポリマーセパレータ層;カソード材料層;及びカソード集電体と共に組み立てられる。
【0049】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素を形成する方法が開示され、この方法は、プラズマデバイスの第1のノズルを通して第1の大気圧プラズマから金属粒子を基板上に堆積させて、接着された金属粒子の多孔質網状構造を形成する工程であって、金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金、及びそれらの組合せからなる群から選択され、基板がアノード集電体又は多孔質ポリマーセパレータである工程と;金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に、第1のノズルを通して第1の大気圧プラズマから、又はプラズマデバイスの第2のノズルを通して第2の大気圧プラズマから、活性アノード材料粒子を堆積させる工程とを含み、活性アノード材料粒子は1マイクロメートル未満であり、金属粒子よりも小さく、且つケイ素及びからSiO
xからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み、活性アノード材料粒子は金属粒子に接着して、アノード材料の層が基板上に形成される。この方法において、金属粒子は、1から15、好ましくは1から10、より好ましくは1から5、最も好ましくは1から3マイクロメートルであってもよく、金属は、好ましくは、銅、スズ、鉄、ニッケル、チタンコバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銀、金、パラジウム、白金、及びステンレス鋼からなる群から選択され、より好ましくは、銅、スズ、及びニッケルからなる群から選択され;活性アノード材料粒子は、1マイクロメートル未満、好ましくは200から800ナノメートル、より好ましくは250から750ナノメートル、最も好ましくは250から600ナノメートルであってもよく、活性アノード材料は、炭素を含有していてもよく、好ましくはリチウム化され、アノード材料層は、ポリマーセパレータの1つの主面上、又はアノード集電体の一方若しくは両方の主面上に形成されてもよい。この方法によって作製されたアノード構成要素を使用して、リチウムイオン電気化学セルを作製し、これを使用してリチウムイオン電気化学バッテリーを作製する。この方法によれば、列挙される特徴の任意の組合せを有することにより、活性アノード材料粒子は、第1又は第2の大気圧プラズマ中で、好ましくはシロキサン蒸気を含む、より好ましくはヘキサメチルジシロキサン等のヘキサアルキルジシロキサン又はテトラエチルシロキサン等のテトラアルキルシロキサンを含む、更に任意選択でアルカン等、好ましくはメタン、エタン、又はプロパン等の有機炭素化合物を含む前駆体から形成されて、黒鉛状炭素及び/又は揮発性有機リチウム化合物、例えばリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを含む活性アノード材料粒子を提供し、その結果、リチウム化活性アノード材料粒子が提供され得る。活性アノード材料粒子が、前駆体を使用してプラズマ中に形成されても形成されなくても、活性アノード材料粒子は、リチウム線からのスパッタリングを介して、又はプラズマノズル内の気化したリチウム前駆体から、又はプラズマデバイスの第1のノズル、第2のノズル、若しくは第3のノズルを通して大気圧プラズマから堆積された表面不動態化を任意選択で含むリチウム粒子を使用して、リチウム化され得る。
【0050】
この方法の上記列挙された実施形態の何れか又は全てを使用して、アノード材料の複数の層を、最大約150マイクロメートルの全厚を有する基板上に形成してもよく、金属粒子の組成、活性アノード材料の組成、活性アノード材料の濃度、網状構造の多孔度、金属粒子サイズ、活性アノード材料粒子サイズ、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの要素は、複数の層のうち何れか2つの層の間で異なってもよい。
【0051】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素を形成する方法も開示され、この方法は、プラズマデバイスの第1のノズルを通して大気圧プラズマから金属粒子を基板上に堆積させて、接着された金属粒子の多孔質網状構造を形成する工程であって、金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金、及びそれらの組合せからなる群から選択され、基板がアノード集電体又は多孔質ポリマーセパレータである工程と;金属粒子の堆積と同時に、重ねて、又は後に、プラズマデバイスの第1のノズルを通して又は第2のノズルを通して、大気圧プラズマ中でシロキサン前駆体から形成された活性アノード材料粒子を堆積させる工程とを含み、活性アノード材料粒子はケイ素及びSiO
xからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み、更に任意選択で、プラズマノズル中の大気圧プラズマ中でアルカンガスから形成された黒鉛状炭素、及び/又はプラズマノズル中の大気圧プラズマ中で有機リチウム化合物から形成された若しくはリチウム線からスパッタリングされたリチウムを含み、金属粒子は、約1から約15マイクロメートルであり、活性アノード材料粒子は約5から約900ナノメートルであり;活性アノード材料粒子は金属粒子に接着して、アノード材料の層が基板上に形成される。
【0052】
リチウムイオン電気化学セル用のアノード構成要素も開示され、このアノード構成要素は、アノード集電体上又はポリマーセパレータ上のアノード材料層であって、約1マイクロメートルから約15、好ましくは1から12、より好ましくは1から10、最も好ましくは1から5から1から3マイクロメートルの粒子サイズを有し、金属が、周期表の1B族、IVA族、及びVIII族の金属、それらの合金からなる群から選択され、好ましくは銅、スズ、鉄、ニッケル、チタンコバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銀、金、パラジウム、白金、及びステンレス鋼からなる群から選択され、より好ましくは銅、スズ、及びニッケルからなる群から選択される接着された金属粒子の多孔質網状構造を含む、アノード材料層と;ケイ素及びSiO
xからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み、任意選択で更に黒鉛状炭素及び/又はリチウムを含み、且つ1マイクロメートルよりも小さい、好ましくは200から800ナノメートル、より好ましくは250から750ナノメートル、最も好ましくは200から600又は250から600ナノメートルの粒子サイズを有する、金属粒子に接着された活性アノード材料粒子とを含み、アノード材料層は、約5%から約75体積%、好ましくは約20%から約60体積%の活性アノード材料粒子を含む。アノード材料層は、基板上の単層又は基板上の複数の層であってもよく、任意選択で、金属粒子の組成、活性アノード材料の組成、活性アノード材料の濃度、網状構造の多孔度、金属粒子サイズ、活性アノード材料粒子サイズ、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの要素は、複数の層のうち少なくとも2つの間、及びポリマーセパレータの1つの主面上又はアノード集電体の一方若しくは両方の主面上の何れかで異なる。また、アノード構成要素を含むリチウムイオン電気化学セル、及びリチウムイオン電気化学セルを含むリチウムイオン電気化学バッテリーも開示される。
【符号の説明】
【0053】
10 プラズマ堆積層
12 金属粒子
14 活性アノード材料粒子
16 基板
18 細孔
100 大気圧プラズマ装置
112 供給管
114 供給管
116 粒子
118 蒸気
120 ノズル
124 基板
126 作用面