特許第6873300号(P6873300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873300触媒を使用しない表面官能基化およびポリマーグラフト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873300
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】触媒を使用しない表面官能基化およびポリマーグラフト
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20210510BHJP
   C07K 17/14 20060101ALI20210510BHJP
   C03C 17/34 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210510BHJP
   C03C 17/30 20060101ALI20210510BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20210510BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20210510BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20210510BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALN20210510BHJP
   G01N 33/50 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   B32B9/00 Z
   C07K17/14
   C03C17/34 A
   B32B27/00 101
   C03C17/30 A
   B05D3/10 H
   !C12Q1/6869 Z
   !C12Q1/6876 Z
   !C12Q1/68
   !G01N33/50 P
【請求項の数】11
【全頁数】65
(21)【出願番号】特願2020-130006(P2020-130006)
(22)【出願日】2020年7月31日
(62)【分割の表示】特願2019-72560(P2019-72560)の分割
【原出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2021-11111(P2021-11111A)
(43)【公開日】2021年2月4日
【審査請求日】2020年8月28日
(31)【優先権主張番号】61/841,647
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/971,381
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ ベルティ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エー. ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン エヌ. ジョージ
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0095203(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/063382(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0338044(US,A1)
【文献】 特開2009−263213(JP,A)
【文献】 特開2009−255380(JP,A)
【文献】 Mathew Ian Perring,Functionalization and patterning of monolayers on silicon(111) and polydicyclopentadiene,Iowa Research Online,The University of Iowa's Institutional Repository,2010年,pp.1-156,URL,http://ir.uiowa.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1907&context=etd
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 9/00
B05D 3/10
B32B 27/00
C03C 17/30
C03C 17/34
C07K 17/14
C12Q 1/68
C12Q 1/6869
C12Q 1/6876
G01N 33/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基を含む官能基化分子を基材の第1の表面に固定化する方法であって、
シランまたはシラン誘導体に共有結合されている、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または置換されているかもしくは置換されていないそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体を、該基材の該第1の表面に塗布する工程、および
該官能基化分子の該官能基を該第1の複数の不飽和部分と反応させることにより、該シランまたはシラン誘導体に該官能基化分子を共有結合させて、コーティング層を形成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
アルキン、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または置換されているかもしくは置換されていないそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を含むオリゴヌクレオチドを用意する工程、
該オリゴヌクレオチドの該第2の複数の不飽和部分を前記官能基化分子の前記官能基と反応させて、共有結合を形成する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、rans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または置換されているかもしくは置換されていないそれらの改変体もしくは組合せから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または置換されているかもしくは置換されていないそれらの改変体もしくは組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、置換されているかもしくは置換されていないノルボルネンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、置換されているかもしくは置換されていないシクロオクチンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、置換されているかもしくは置換されていないビシクロノニンから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記置換されているかもしくは置換されていないビシクロノニンが、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、置換されているかもしくは置換されていないシクロオクチンである、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、置換されているかもしくは置換されていないビシクロノニンから選択される、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記置換されているかもしくは置換されていないビシクロノニンが、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む、請求項10に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2013年7月1日に出願された米国仮特許出願第61/841,647号および2014年3月27日に出願された米国仮特許出願第61/971,381号に対する優先権の利益を主張し、これらのそれぞれはその全体が参考として本明細書に明確に援用される。
【0002】
一般に、本出願は、化学、生物学および材料科学の分野に関する。より詳細には、本出願は、目的の官能基化分子と直接コンジュゲートするための、共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンから選択される必要に応じて置換されている不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体を含む表面を有する基材に関する。官能基化表面を調製する方法、ならびにDNA配列決定および他の診断用途における使用も開示される。
【背景技術】
【0003】
ポリマーまたはヒドロゲルがコーティングされている基材は、多くの技術的用途に使用される。例えば、埋込式医療用デバイスは、生物的に不活性なポリマーによりコーティングされ得る。別の例では、ポリマーまたはヒドロゲルがコーティングされている基材は、生物分子の調製および/または分析に使用される。ある種の核酸配列決定法などの分子解析は、ポリマーまたはヒドロゲルがコーティングされている基材の表面に核酸鎖を結合することを利用している。次に、結合した核酸鎖の配列は、当分野で周知のいくつかの様々な方法により決定することができる。
【0004】
ある種のシークエンシング−バイ−シンセシス(sequencing−by−synthesis)法では、フローセルの1つまたは複数の表面が、核酸が結合するポリマーまたはヒドロゲルによりコーティングされる。現在市販されているフローセルは、非結合型ゲルコーティングを利用している。適切なコンジュゲート化学を使用することにより、共有結合しているゲルコーティングを有する商業的に実現可能なフローセルを提供することができる。材料の費用、工業法との適合性、保管および輸送の間の安定性、ならびに核酸増幅および配列決定などの下流の化学的な処理工程を支援する能力などを考慮することを考えることは重要である。本開示は、本開示から明らかとなる、いくつかの利点を有する特に有用な化学を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、適切に官能基化されている目的のヒドロゲル、ポリマー、分子またはバイオ分子に直接コンジュゲートするための基材表面を調製する新規方法を開示する。この表面は、シランまたはシラン誘導体のケイ素原子に直接、あるいは、リンカーを介して共有結合している、環ひずみが存在するノルボルネン、シクロオクテン、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または任意のシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、またはそれらの誘導体などのシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンから選択される第1の必要に応じて置換されている複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体により、触媒または追加の架橋剤を必要とすることなく、処理される。特定の実施形態において、本出願の実施により、追加の架橋性化合物または触媒の使用が排除され、DNA配列決定および他の診断用途において使用するための非常に多様な官能基化表面を得るための、共通の開始点としての単一表面修飾がもたらされる。さらに、本出願により調製される基材表面は、より高い安定性を有することが見いだされ、保管寿命が一層長くなり、かつ保管時の表面汚染が低減される。最後に、本出願により調製される基材表面は、標準的なシラン(APTESまたはAPTMSなど)と比べて、特有の表面親和力を有することが見いだされ、これにより、水をベースとする構成成分との一層良好な湿潤性および一層均一なコーティングがもたらされる。
【0006】
本出願はまた、基材の表面にプライマーをグラフトする新規方法も開示する。一実施形態において、この表面は、シランまたはシラン誘導体のケイ素原子に直接、またはリンカーを介して共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンから選択される第1の必要に応じて置換されている複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体により、触媒または追加の架橋剤を必要とすることなく、処理される。次に、プライマーが、オリゴヌクレオチドに共有結合している官能基を有する機能性分子により予めコンジュゲートされ、このオリゴヌクレオチドは、シクロオクチンまたはビシクロアルキン、例えばビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インなどのシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンから選択される第2の必要に応じて置換されている複数の不飽和部分を含む。最後に、この予めコンジュゲートされたプライマーは、官能基化分子の官能基をシランまたはシラン誘導体の不飽和部分と反応させることによって、シランまたはシラン誘導体に共有結合される。
【0007】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、シランまたはシラン誘導体のケイ素原子に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を介して官能基化分子に共有結合しているシランまたはシラン誘導体を含む第1の表面を含む基材に関する。一部の実施形態において、この基材は、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を介して官能基化分子に共有結合しているオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0008】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、官能基を含む官能基化分子を基材の第1の表面に固定化する方法であって、シランまたはシラン誘導体に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体を該基材の第1の表面に塗布する工程、および官能基化分子の官能基を第1の複数の不飽和部分と反応させることにより、シランまたはシラン誘導体に官能基化分子を共有結合させて、コーティング層を形成する工程を含む、方法に関する。一部の実施形態において、本方法はさらに、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を含むオリゴヌクレオチドを用意する工程、およびオリゴヌクレオチドの第2の複数の不飽和部分を官能基化分子の官能基と反応させて、共有結合を形成する工程を含む。
【0009】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、基材の第1の表面にプライマーをグラフトする方法であって、
基材の第1の表面にコーティング層を含む基材を用意する工程であって、コーティング層が、シランまたはシラン誘導体の第1の複数の不飽和部分を介して官能基化分子に共有結合しているシランまたはシラン誘導体を含み、該官能基化分子が官能基を含み、第1の複数の不飽和部分が、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、工程、
シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を含むオリゴヌクレオチドを上記のコーティング層に接触させる工程、および
オリゴヌクレオチドの第2の複数の不飽和部分を官能基化分子の官能基と反応させて、共有結合を形成する工程
を含む、方法に関する。一部の実施形態において、このコーティング層は、基材の第1の表面上に、第1の複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体を塗布する工程、および官能基化分子の官能基を第1の複数の不飽和部分と反応させることにより、シランまたはシラン誘導体に官能基化分子を共有結合する工程により調製される。
【0010】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、基材の第1の表面上にプライマーをグラフトする方法であって、
シランまたはシラン誘導体を含む第1の表面を有する基材を用意する工程であって、該シランまたはシラン誘導体が、該シランまたはシラン誘導体に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を基材の第1の表面に含む、工程、
官能基化分子に共有結合しているオリゴヌクレオチドを含む予めコンジュゲートされているプライマーを用意する工程であって、該官能基化分子が官能基を含む、工程、および
官能基化分子の官能基をシランまたはシラン誘導体の第1の複数の不飽和部分と反応させて共有結合を形成することにより、予めコンジュゲートされているプライマーが基材の第1の表面に共有結合するように、予めコンジュゲートされているプライマーをシランまたはシラン誘導体に接触させる工程
を含む、方法に関する。
【0011】
一部の実施形態において、予めコンジュゲートされているプライマーは、官能基化分子の官能基をオリゴヌクレオチドの第2の複数の不飽和部分と反応させて、共有結合を形成することにより調製され、該オリゴヌクレオチドの該第2の複数の不飽和部分は、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される。
【0012】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、第1の複数の不飽和部分は、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択することができる。一部の他の実施形態において、環ひずみのある他のいずれのシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンも使用することができる。一部の実施形態において、第1の複数の不飽和部分は、必要に応じて置換されているノルボルネンとすることができる。一部の実施形態において、第1の複数の不飽和部分は、必要に応じて置換されているシクロオクチンとすることができる。一部の実施形態において、第1の複数の不飽和部分は、必要に応じて置換されているビシクロノニンから選択することができる。一部の実施形態において、必要に応じて置換されているビシクロノニンは、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む。
【0013】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、オリゴヌクレオチドの第2の複数の不飽和部分は、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択することができる。一部の他の実施形態において、環ひずみのある他のいずれのシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンも使用することができる。一部の実施形態において、第2の複数の不飽和部分は、必要に応じて置換されているシクロオクチンとすることができる。一部の実施形態において、第2の複数の不飽和部分は、必要に応じて置換されているビシクロノニンとすることができる。一部のさらなる実施形態において、必要に応じて置換されているビシクロノニンは、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む。
【0014】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、シランまたはシラン誘導体は、以下の式
【化1】

(式中、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているアリールオキシ、必要に応じて置換されているヘテロアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールオキシからそれぞれ独立して選択される)を含むことができる。一部の実施形態において、R、RおよびRはそれぞれ、必要に応じて置換されているアルコキシから独立して選択することができる。一部のこうした実施形態において、R、RおよびRのそれぞれは、メトキシである。
【0015】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、シランまたはシラン誘導体は、化学蒸着によって第1の表面に塗布することができる。一部の他の実施形態において、シランまたはシラン誘導体は、Yield Engineering Systems(YES)法により第1の表面に塗布することができる。
【0016】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、シランまたはシラン誘導体はさらに、シランまたはシラン誘導体のケイ素原子と第1の複数の不飽和部分との間に共有結合しているリンカーを含む。一部のこうした実施形態において、リンカーは、必要に応じて置換されているアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロアルキレン、必要に応じて置換されているシクロアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロシクリレン、必要に応じて置換されているアリーレン、必要に応じて置換されているヘテロアリーレン、必要に応じて置換されているポリエチレングリコール、開裂可能なリンカー、またはそれらの組合せから選択される。一部のこうした実施形態において、リンカーは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーである。一部のさらなるこうした実施形態において、リンカーは、必要に応じて置換されているエチレンリンカーである。一部の他のこうした実施形態において、リンカーは、開裂可能なリンカーである。一部のこうした実施形態において、開裂可能なリンカーは、(−S−S−)、エステル、ニトロベンゼン、イミン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドから選択される。
【0017】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、官能基化分子は、ポリマー、ヒドロゲル、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、官能基化分子は、ポリマー、ヒドロゲル、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの組合せから選択される。一部のさらなる実施形態において、官能基化分子は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンまたはチオールから選択される1つまたは複数の官能基を含むヒドロゲルまたはポリマーである。一部の実施形態において、官能基化分子は、発明を実施するための形態において以下に記載されている、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位を含む、ポリマーまたはヒドロゲルを含む。一部の実施形態において、官能基化分子は、発明を実施するための形態において以下に記載されている、式(III)または(III’)を含む、ポリマーを含む。
【0018】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、官能基化分子は、必要に応じて置換されているアルケニル、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、カルボキシル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、またはチオールから選択される官能基を含み、但し、官能基化分子はノルボルネンでも重合ノルボルネンでもない。一部のこうした実施形態において、官能基化分子は、アジド基を含む。一部の実施形態において、官能基化分子は、ポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)(PAZAM)である。
【0019】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、基材は、ガラス基材、シリカ基材、石英、プラスチック基材、金属基材、金属酸化物基材、またはそれらの組合せから選択される。一実施形態において、基材はガラス基材である。
【0020】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、第1の表面は、官能基化分子コーティング領域と不活性領域との両方を含む。一部の実施形態において、不活性領域は、ガラス領域、金属領域、マスク領域もしくは介在領域、またはそれらの組合せから選択される。一実施形態において、不活性領域はガラスを含む。
【0021】
本明細書に記載されている方法の実施形態のいずれかにおいて、本方法は、過剰の非結合官能基化分子を除去するための洗浄工程をさらに含むことができる。
【0022】
本明細書に記載されている方法の実施形態のいずれかにおいて、本方法は、乾燥工程をさらに含むことができる。
【0023】
本明細書に記載されている、プライマーをグラフトする方法の実施形態のいずれかにおいて、本方法は、過剰の非結合オリゴヌクレオチドを除去するための洗浄工程をさらに含むことができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
シランまたはシラン誘導体のケイ素原子に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を介して官能基化分子に共有結合している該シランまたはシラン誘導体を含む第1の表面を含む基材。
(項目2)
前記第1の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、項目1に記載の基材。
(項目3)
前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているノルボルネンである、項目1または2に記載の基材。
(項目4)
前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目1または2に記載の基材。
(項目5)
前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンから選択される、項目1または2に記載の基材。
(項目6)
前記ビシクロノニンが、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インである、項目5に記載の基材。
(項目7)
前記シランまたはシラン誘導体が、以下の式
【化24】

(式中、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているアリールオキシ、必要に応じて置換されているヘテロアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールオキシからそれぞれ独立して選択される)
を含む、項目1から6のいずれか一項に記載の基材。
(項目8)
、RおよびRが、独立して必要に応じて置換されているアルコキシである、項目7に記載の基材。
(項目9)
、RおよびRのそれぞれがメトキシである、項目8に記載の基材。
(項目10)
前記シランまたはシラン誘導体のケイ素原子と前記第1の複数の不飽和部分との間に共有結合しているリンカーをさらに含む、項目1から9のいずれか一項に記載の基材。
(項目11)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロアルキレン、必要に応じて置換されているシクロアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロシクリレン、必要に応じて置換されているアリーレン、必要に応じて置換されているヘテロアリーレン、必要に応じて置換されているポリエチレングリコール、開裂可能なリンカー、またはそれらの組合せから選択される、項目10に記載の基材。
(項目12)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレンまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンから選択される、項目10または11に記載の基材。
(項目13)
前記リンカーが必要に応じて置換されているエチレンである、項目10から12のいずれか一項に記載の基材。
(項目14)
前記リンカーが開裂可能なリンカーである、項目10または11に記載の基材。
(項目15)
前記開裂可能なリンカーが、(−S−S−)、エステル、ニトロベンゼン、イミン、ペプチドまたはポリヌクレオチドから選択される、項目11または14に記載の基材。
(項目16)
前記シランまたはシラン誘導体が、化学蒸着により前記第1の表面に塗布される、項目1から15のいずれか一項に記載の基材。
(項目17)
前記シランまたはシラン誘導体が、Yield Engineering Systems(YES)法により前記第1の表面に塗布される、項目1から15のいずれか一項に記載の基材。
(項目18)
前記官能基化分子が、ポリマー、ヒドロゲル、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの組合せを含む、項目1から17のいずれか一項に記載の基材。
(項目19)
前記官能基化分子が、必要に応じて置換されているアルケニル、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、カルボキシル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、またはチオールから選択される官能基を含み、但し、該官能基化分子はノルボルネンでも重合ノルボルネンでもない、項目18に記載の基材。
(項目20)
前記官能基化分子が、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンもしくはチオール、またはそれらの組合せから選択される1つまたは複数の官能基を含むヒドロゲルまたはポリマーである、項目1から19のいずれか一項に記載の基材。
(項目21)
前記官能基化分子が、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位
【化25】

(式中、
は、Hまたはアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンおよびチオールからなる群から選択され、
Xは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンリンカーであり、
、R4’、RおよびR5’は、H、R、OR、−C(O)OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NRまたは−NRからそれぞれ独立して選択され、
は、H、OH、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されているそれらの改変体から独立して選択され、
およびRは、Hまたはアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、RおよびRは、それらが結合している1個または複数の原子と一緒になって複素環を形成する)を含む、項目20に記載の基材。
(項目22)
前記官能基化分子が、式(III)または(III’)のポリマー
【化26】

(Rは、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジンおよびチオールからなる群から選択され、
は、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルから選択され、
−(CH)−pのそれぞれは、必要に応じて置換することができ、
pは、1〜50の範囲の整数であり、
nは、1〜50,000の範囲の整数であり、
mは、1〜100,000の範囲の整数である)
を含む、項目20に記載の基材。
(項目23)
pが5である、項目22に記載の基材。
(項目24)
前記官能基化分子がアジド基を含む、項目1から23のいずれか一項に記載の基材。
(項目25)
前記官能基化分子が、ポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)である、項目24に記載の基材。
(項目26)
シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を介して前記官能基化分子に共有結合しているオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目1から25のいずれか一項に記載の基材。
(項目27)
前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目26に記載の基材。
(項目28)
前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンから選択される、項目26に記載の基材。
(項目29)
前記必要に応じて置換されているビシクロノニンがビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む、項目28に記載の基材。
(項目30)
ガラス基材、シリカ基材、プラスチック基材、石英基材、金属基材、金属酸化物基材、またはそれらの組合せから選択される、項目1から29のいずれか一項に記載の基材。
(項目31)
ガラスを含む、項目30に記載の基材。
(項目32)
前記第1の表面が、官能基化分子コーティング領域と不活性領域との両方を含む、項目1から31のいずれか一項に記載の基材。
(項目33)
前記不活性領域が、ガラス領域、金属領域、マスク領域または介在領域から選択される、項目32に記載の基材。
(項目34)
前記不活性領域がガラスを含む、項目33に記載の基材。
(項目35)
官能基を含む官能基化分子を基材の第1の表面に固定化する方法であって、
シランまたはシラン誘導体に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第1の複数の不飽和部分を含む該シランまたはシラン誘導体を該基材の該第1の表面に塗布する工程、および
該官能基化分子の該官能基を該第1の複数の不飽和部分と反応させることにより、該官能基化分子を該シランまたはシラン誘導体に共有結合させて、コーティング層を形成する工程
を含む、方法。
(項目36)
シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を含むオリゴヌクレオチドを用意する工程、
該オリゴヌクレオチドの該第2の複数の不飽和部分を前記官能基化分子の前記官能基と反応させて、共有結合を形成する工程
をさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第1の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記第2の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているノルボルネンである、項目35から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目35から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンから選択される、項目35から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記必要に応じて置換されているビシクロノニンがビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目36から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンから選択される、項目36から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記必要に応じて置換されているビシクロノニンがビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記シランまたはシラン誘導体が、以下の式
【化27】

(式中、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているアリールオキシ、必要に応じて置換されているヘテロアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールオキシからそれぞれ独立して選択される)
を含む、項目35から45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
、RおよびRが、独立して必要に応じて置換されているアルコキシである、項目46に記載の方法。
(項目48)
、RおよびRのそれぞれがメトキシである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記シランまたはシラン誘導体が、ケイ素原子と前記第1の複数の不飽和部分との間に共有結合しているリンカーをさらに含む、項目35から48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロアルキレン、必要に応じて置換されているシクロアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロシクリレン、必要に応じて置換されているアリーレン、必要に応じて置換されているヘテロアリーレン、必要に応じて置換されているポリエチレングリコール、開裂可能なリンカー、またはそれらの組合せから選択される、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレンまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンから選択される、項目49または50に記載の方法。
(項目52)
前記リンカーが必要に応じて置換されているエチレンである、項目49から51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記リンカーが、開裂可能なリンカーである、項目49または50に記載の方法。
(項目54)
前記開裂可能なリンカーが、(−S−S−)、エステル、ニトロベンゼン、イミン、ペプチドまたはポリヌクレオチドから選択される、項目50または53に記載の方法。
(項目55)
前記シランまたはシラン誘導体が、化学蒸着により前記第1の表面に塗布される、項目35から54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記シランまたはシラン誘導体が、Yield Engineering Systems(YES)法により前記第1の表面に塗布される、項目35から54のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記官能基化分子が、ポリマー、ヒドロゲル、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの組合せを含む、項目35から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記官能基化分子が、必要に応じて置換されているアルケニル、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、カルボキシル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、またはチオールから選択される官能基を含み、但し、該官能基化分子はノルボルネンでも重合ノルボルネンでもない、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記官能基化分子が、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンもしくはチオール、またはそれらの組合せから選択される1つまたは複数の官能基を含むヒドロゲルまたはポリマーである、項目35から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記官能基化分子が、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位
【化28】

(式中、
は、Hまたはアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンおよびチオールからなる群から選択され、
Xは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンリンカーであり、
、R4’、RおよびR5’は、H、R、OR、−C(O)OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NRまたは−NRからそれぞれ独立して選択され、
は、H、OH、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されているそれらの改変体から独立して選択され、
およびRは、Hまたはアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している1個または複数の原子と一緒になって複素環を形成する)
を含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記官能基化分子が、式(III)または(III’)
【化29】

(Rは、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンおよびチオールからなる群から選択され、
は、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルから選択され、
−(CH)−pのそれぞれは、必要に応じて置換することができ、
pは、1〜50の範囲の整数であり、
nは、1〜50,000の範囲の整数であり、
mは、1〜100,000の範囲の整数である)
を含むポリマーを含む、項目59に記載の方法。
(項目62)
pが5である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記官能基化分子がアジド基を含む、項目35から62のいずれか一項に記載の方法。(項目64)
前記基材が、ガラス基材、シリカ基材、プラスチック基材、石英基材、金属基材、金属酸化物基材、またはそれらの組合せから選択される、項目35から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記基材がガラスを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記第1の表面が、官能基化分子コーティング領域と不活性領域との両方を含む、項目35から65のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記不活性領域が、ガラス領域、金属領域、マスク領域または介在領域から選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記不活性領域がガラスを含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
過剰の非結合官能基化分子を除去するための洗浄工程をさらに含む、項目35から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
乾燥工程をさらに含む、項目35から69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
基材の第1の表面にプライマーをグラフトする方法であって、
該基材の第1の表面にコーティング層を含む基材を用意する工程であって、該コーティング層が、シランまたはシラン誘導体の第1の複数の不飽和部分を介して官能基化分子に共有結合している該シランまたはシラン誘導体を含み、該第1の複数の不飽和部分が、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されている改変体もしくはそれらの組合せから選択され、該官能基化分子が官能基を含む、工程、
シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される第2の複数の不飽和部分を含むオリゴヌクレオチドを該コーティング層に接触させる工程、および
該オリゴヌクレオチドの該第2の複数の不飽和部分を該官能基化分子の該官能基と反応させて、共有結合を形成する工程
を含む、方法。
(項目72)
前記コーティング層が、
前記第1の複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体を前記基材の前記第1の表面に塗布する工程、および
前記官能基化分子の前記官能基を該第1の複数の不飽和部分と反応させることにより、該官能基化分子を該シランまたはシラン誘導体に共有結合させる工程
により調製される、項目71に記載の方法。
(項目73)
基材の第1の表面にプライマーをグラフトする方法であって、
シランまたはシラン誘導体を含む第1の表面を有する基材を用意する工程であって、該シランまたはシラン誘導体が、該シランまたはシラン誘導体に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される該第1の複数の不飽和部分を該基材の該第1の表面に含む、工程、
官能基化分子に共有結合しているオリゴヌクレオチドを含む予めコンジュゲートされているプライマーを用意する工程であって、該官能基化分子が官能基を含む、工程、および
該官能基化分子の該官能基を該シランまたはシラン誘導体の該第1の複数の不飽和部分と反応させて共有結合を形成することにより、該予めコンジュゲートされているプライマーが該基材の該第1の表面に共有結合するように、該予めコンジュゲートされているプライマーを該シランまたはシラン誘導体に接触させる工程
を含む、方法。
(項目74)
前記予めコンジュゲートされているプライマーが、前記官能基化分子の前記官能基を前記オリゴヌクレオチドの第2の複数の不飽和部分と反応させて、共有結合を形成することにより調製され、該オリゴヌクレオチドの該第2の複数の不飽和部分は、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記第1の複数の不飽和部分および前記第2の複数の不飽和部分が、ノルボルネン、ヘテロノルボルネン、ノルボルネン誘導体、trans−シクロオクテン、trans−シクロオクテン誘導体、シクロオクチン、ビシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから独立して選択される、項目71、72および74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているノルボルネンである、項目71から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目71から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記シランまたはシラン誘導体の前記第1の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンである、項目71から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記ビシクロノニンが、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インである、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているシクロオクチンである、項目71、72、および74から79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記オリゴヌクレオチドの前記第2の複数の不飽和部分が、必要に応じて置換されているビシクロノニンである、項目71、72、および74から79のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記ビシクロノニンが、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インである、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記シランまたはシラン誘導体が、以下の式
【化30】

(式中、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているアリールオキシ、必要に応じて置換されているヘテロアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールオキシからそれぞれ独立して選択される)
を含む、項目71から82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
、RおよびRが、独立して必要に応じて置換されているアルコキシである、項目83に記載の方法。
(項目85)
、RおよびRのそれぞれがメトキシである、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記シランまたはシラン誘導体が、ケイ素原子と前記第1の複数の不飽和部分との間に共有結合しているリンカーをさらに含む、項目71から85のいずれか一項に記載の方法。
(項目87)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロアルキレン、必要に応じて置換されているシクロアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロシクリレン、必要に応じて置換されているアリーレン、必要に応じて置換されているヘテロアリーレン、必要に応じて置換されているポリエチレングリコール、開裂可能なリンカー、またはそれらの組合せから選択される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記リンカーが、必要に応じて置換されているアルキレンまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンから選択される、項目86または87に記載の方法。
(項目89)
前記リンカーが必要に応じて置換されているエチレンである、項目86から88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記リンカーが、開裂可能なリンカーである、項目86または87に記載の方法。
(項目91)
前記開裂可能なリンカーが、(−S−S−)、エステル、ニトロベンゼン、イミン、ペプチドまたはポリヌクレオチドから選択される、項目87または90に記載の方法。
(項目92)
前記シランまたはシラン誘導体が、化学蒸着により前記第1の表面に塗布される、項目71から91のいずれか一項に記載の方法。
(項目93)
前記シランまたはシラン誘導体が、Yield Engineering Systems(YES)法により前記第1の表面に塗布される、項目71から91のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
前記官能基化分子が、ポリマー、ヒドロゲル、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、またはそれらの組合せを含む、項目71から93のいずれか一項に記載の方法。
(項目95)
前記官能基化分子が、必要に応じて置換されているアルケニル、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、カルボキシル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、またはチオールから選択される官能基を含み、但し、該官能基化分子はノルボルネンでも重合ノルボルネンでもない、項目94に記載の方法。
(項目96)
前記官能基化分子が、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンもしくはチオール、またはそれらの組合せから選択される官能基を含むヒドロゲルまたはポリマーである、項目71から95のいずれか一項に記載の方法。
(項目97)
前記官能基化分子が、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位
【化31】

(式中、
は、Hまたはアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンおよびチオールからなる群から選択され、
Xは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンリンカーであり、
、R4’、RおよびR5’は、H、R、OR、−C(O)OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NRまたは−NRからそれぞれ独立して選択され、
は、H、OH、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されているそれらの改変体から独立して選択され、
およびRは、Hまたはアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している1個または複数の原子と一緒になって複素環を形成する)
を含む、項目96に記載の方法。
(項目98)
前記官能基化分子が、式(III)または(III’)
【化32】

(Rは、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルであり、
は、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、ニトリルオキシド、ニトロンおよびチオールからなる群から選択され、
は、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルから選択され、
−(CH)−pのそれぞれは、必要に応じて置換することができ、
pは、1〜50の範囲の整数であり、
nは、1〜50,000の範囲の整数であり、
mは、1〜100,000の範囲の整数である)
を含むポリマーを含む、項目96に記載の方法。
(項目99)
pが5である、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記官能基化分子がアジド基を含む、項目71から99のいずれか一項に記載の方法。(項目101)
前記基材が、ガラス基材、シリカ基材、プラスチック基材、石英基材、金属基材、金属酸化物基材、またはそれらの組合せから選択される、項目71から100のいずれか一項に記載の方法。
(項目102)
前記基材がガラスを含む、項目101に記載の方法。
(項目103)
前記第1の表面が、官能基化分子コーティング領域と不活性領域との両方を含む、項目71から102のいずれか一項に記載の方法。
(項目104)
前記不活性領域が、ガラス領域、金属領域、マスク領域もしくは介在領域、またはそれらの組合せから選択される、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記不活性領域がガラスを含む、項目104に記載の方法。
(項目106)
過剰の非結合官能基化分子を除去するための洗浄工程をさらに含む、項目71から105のいずれか一項に記載の方法。
(項目107)
過剰の非結合オリゴヌクレオチドを除去するための洗浄工程をさらに含む、項目71から106のいずれか一項に記載の方法。
(項目108)
乾燥工程をさらに含む、項目71から107のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは、ノルボルネン−シラン誘導体[(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル)エチル]トリメトキシシラン(1a)によりシラン処理し、続いて、PAZAMによりコーティングして熱的に架橋したガラス基材を示す。
【0025】
図1B図1Bは、相補的なTET色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズさせた、グラフトノルボルネンシラン誘導体(1a)によるシラン処理/PAZAMコーティングした非パターン化表面のTyphoon強度中央値の関連グラフを示す。
【0026】
図2A図2Aは、ノルボルネン−シラン誘導体(1a)によりシラン処理し、続いて、PAZAMによりコーティングして熱的に架橋した、ナノウェルによりパターン化したガラス基材を示す。
【0027】
図2B図2Bは、相補的なTET色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズさせた、グラフトノルボルネンシラン誘導体(1a)によるシラン処理/PAZAMコーティングした非パターン化表面の蛍光強度中央値の関連グラフを示す。
【0028】
図3A図3Aは、アクリルアミド官能基化基材を使用する、相補的な色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズさせたグラフト表面のTyphoon蛍光画像を示す。
【0029】
図3B図3Bは、ノルボルネンシラン誘導体(1a)によりシラン処理したPAZAMコーティング基材を使用する、相補的な色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズさせたグラフト表面のTyphoon蛍光画像を示す。
【0030】
図3C図3Cは、0.25%PAZAM水溶液が、ノルボルネンシラン誘導体(1a)によりシラン処理した表面を湿らせていることを示している。
【0031】
図4図4は、実施例1において記載されている手順によって調製した基材に由来する、グラフトプライマーの配列決定メトリクスを示す。
【0032】
図5A図5Aは、BCN修飾プライマーを用いる、銅不含グラフト法を使用する、基材のグラフト表面の初期Typhoon画像を示す。
【0033】
図5B図5Bは、BCN修飾プライマーによりPAZAM表面をグラフトした後の初期TET QCデータ、および熱応力試験後に測定された表面減少率を例示する、線グラフおよび棒グラフである。
【0034】
図6A図6Aは、銅不含グラフト法および様々な濃度のBCN修飾プライマーを用いる、基材のグラフト表面の初期Typhoon画像を示す。
【0035】
図6B図6Bは、様々な濃度のBCN修飾プライマーによりPAZAM表面をグラフトした後の初期TET QCデータ、および熱応力試験後に測定された表面減少率を例示する、線グラフおよび棒グラフである。
【0036】
図7A図7Aは、低クラスター密度を有する、BCN修飾プライマーでグラフトした表面から成長したクラスターの蛍光画像を示している。
【0037】
図7B図7Bは、高クラスター密度を有する、BCN修飾プライマーでグラフトした表面から成長したクラスターの蛍光画像を示している。
【0038】
図8AB図8ABは、標準HiSeqシステムから得られた予めコンジュゲートされているPAZAM混合物によりコーティングされたチャネルの両面に由来する、クラスターのサムネイル画像を示す。
【0039】
図9図9は、標準MiSeqシステムから得られた予めコンジュゲートされているPAZAM混合物によりコーティングされたチャネルの一面に由来する、クラスターのサムネイル画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態は、シランまたはシラン誘導体のケイ素原子に共有結合している、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、またはヘテロシクロアルキンから選択される必要に応じて置換されている不飽和部分を有するシランまたはシラン誘導体により官能基化した基材の表面への官能基化分子のコンジュゲートに関する。一実施形態において、官能基化分子は、基材に結合させるのが望まれる、ヒドロゲル、ポリマーまたは他の分子である。一部の実施形態において、この官能基化分子は、[(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル)エチル]トリメトキシシランなどのノルボルネン誘導体化シランなどのノルボルネン誘導体を介して、表面にコンジュゲートされる。一部の実施形態において、官能基化分子は、シクロオクチンまたはビシクロノニン誘導体化シラン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−イン誘導体化シラン)またはそれらの混合物などのシクロアルキン誘導体化シランを介して、表面にコンジュゲートされる。
【0041】
一部の実施形態は、ノルボルネン誘導体化シラン連結基、シクロオクチン誘導体化シラン連結基、またはビシクロノニン誘導体化シラン連結基を介して、ガラス基材にコンジュゲートされたポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)(「PAZAM」)などのヒドロゲルを含む、シークエンシング−バイ−シンセシス反応を実施するためのフローセルに関する。
【0042】
一部の実施形態は、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−イン誘導体化連結基などのシクロオクチンまたはビシクロノニン誘導体化連結基を介して、ヒドロゲルまたはポリマーコーティングされた基材にコンジュゲートされているP5またはP7プライマーなどのオリゴヌクレオチドを含む、シークエンシング−バイ−シンセシス反応を実施するためのフローセルに関する。
定義
【0043】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において参照される、特許、出願、出願公開、および他の刊行物はすべて、特に明記されない限り、それらの全体が、参照により組み込まれている。本明細書における用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記されない限り、この項目におけるものが優先する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に明白に示さない限り、複数の指示物を含む。特に示さない限り、質量分光法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換え型DNA技法、および薬理学の従来の方法が用いられる。「または」または「および」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。本明細書において使用する場合、移行句においてまたは請求項の本体においてに関わりなく、用語「含む(comprise(s))」および「含む(comprising)」は、オープンエンドな意味を有すると解釈されるものとする。すなわち、この用語は、句「少なくとも有する」または「少なくとも含む」と同義語として解釈されるものとする。用語「含む(comprising)」は、方法の文脈において使用する場合、少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含んでもよいことを意味する。化合物、組成物またはデバイスの文脈において使用する場合、用語「含む(comprising)」は、該化合物、組成物またはデバイスが、少なくとも列挙された特徴または構成要素を含むが、追加の特徴または構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0044】
本明細書において使用される見出し項目は、構成上の目的に過ぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書で使用する場合、一般的な有機物の略語は、以下の通り定義される:
Ac アセチル
AcO 無水酢酸
APTS アミノプロピルシラン
APTES (3−アミノプロピル)トリエトキシシラン
APTMS (3−アミノプロピル)トリメトキシシラン
aq. 水性
Azapa N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド
BCN ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−イン
BHT ブチル化ヒドロキシルトルエン
Bn ベンジル
BrapaまたはBRAPA N−(5−ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド
Bz ベンゾイル
BOCまたはBoc tert−ブトキシカルボニル
Bu n−ブチル
cat. 触媒的な
Cbz カルボベンジルオキシ
CMP 化学機械研磨
CyCl 塩化シアヌル
CVD 化学蒸着
℃ 摂氏度での温度
dATP デオキシアデノシン三リン酸
dCTP デオキシシチジン三リン酸
dGTP デオキシグアノシン三リン酸
dTTP デオキシチミジン三リン酸
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCA ジクロロ酢酸
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM 塩化メチレン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DME ジメトキシエタン
DMF N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
g グラム
GPC ゲル浸透クロマトグラフィー
hまたはhr 時間
iPr イソプロピル
KPi pH7.0における10mMリン酸カリウム緩衝液
KPS ペルオキソ過硫酸カリウム
IPA イソプロピルアルコール
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分光法
LDA リチウムジイソプロピルアミド
mまたはmin 分
mCPBA メタ−クロロ過安息香酸
MeOH メタノール
MeCN アセトニトリル
mL ミリリットル
MTBE メチル三級−ブチルエーテル
NaN アジ化ナトリウム
NHS N−ヒドロキシスクシンイミド
NHS−AA アクリル酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
PAZAM アクリルアミドとAzapaとが任意の比のポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)
PG 保護基
Ph フェニル
PMEDTA N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン
ppt 沈殿物
rt 室温
SBS シークエンシング−バイ−シンセシス
SFA 米国特許公開第2011/0059865号において定義されているシラン不含アクリルアミド
スルホ−HSABまたはSHSAB N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート(azidobenoate)
TEA トリエチルアミン
TEMPO (2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル
TCDI 1,1’−チオカルボニルジイミダゾール
Tert、t 三級
TFA トリフルオロ酢酸(trifluoracetic acid)
THF テトラヒドロフラン
TEMED テトラメチルエチレンジアミン
YES Yield Engineering Systems
μL マイクロリットル
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「アレイ」とは、様々なプローブ分子が、相対的な位置に従って互いに区別することができるように、1つまたは複数の基材に結合している様々なプローブ分子の集団を指す。アレイは、基材上の様々なアドレス可能な位置に互いに位置している様々なプローブ分子を含むことができる。代替的または追加的に、アレイは、様々なプローブ分子をそれぞれ保有する個別の基材を含むことができ、様々なプローブ分子は、基材が結合している表面の基材の位置に従って、または液体における基材の位置に従って特定することができる。個別の基材がその表面に位置している例示的なアレイには、非限定的に、例えば、米国特許第6,355,431B1号、US2002/0102578、およびPCT公開番号WO00/63437に記載されている、ウェルにおけるビーズを含むものが挙げられる。例えば、蛍光活性化セルソーター(FACS)などのマイクロ流体デバイスを使用して、液体アレイにおけるビーズを識別するために本出願において使用することができる例示的なフォーマットは、例えば、米国特許第6,524,793号において記載されている。本出願において使用することができるアレイのさらなる例には、非限定的に、米国特許第5,429,807号、同第5,436,327号、同第5,561,071号、同第5,583,211号、同第5,658,734号、同第5,837,858号、同第5,874,219号、同第5,919,523号、同第6,136,269号、同第6,287,768号、同第6,287,776号、同第6,288,220号、同第6,297,006号、同第6,291,193号、同第6,346,413号、同第6,416,949号、同第6,482,591号、同第6,514,751号および同第6,610,482号、ならびにWO93/17126、WO95/11995、WO95/35505、EP742287およびEP799897に記載されているものが挙げられる。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「共有結合している(covalently attached)」または「共有結合している(covalently bonded)」は、原子間の対電子を共有することを特徴とする、化学結合の形成を指す。例えば、共有結合しているポリマーコーティングとは、他の手段、例えば接着、静電的相互作用を介した表面への結合と比較すると、基材の官能基化表面と化学結合を形成するポリマーコーティングを指す。表面に共有結合しているポリマーはまた、共有結合の他の手段、例えば物理吸着により結合し得ることが理解されよう。
【0048】
本明細書で使用する場合、「a」および「b」が整数である「C〜C」または「Ca〜b」は、指定した基中の炭素原子数を指す。すなわち、この基は、「a」〜「b」個を含む炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C〜Cアルキル」または「C1〜4アルキル」基とは、1〜4個の炭素を有するすべてのアルキル基、すなわち、CH−、CHCH−、CHCHCH−、(CHCH−、CHCHCHCH−、CHCHCH(CH)−および(CHC−を指す。
【0049】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用する場合、元素周期表の7列目の放射安定な原子のいずれか1つ、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、フッ素および塩素が好ましい。
【0050】
本明細書で使用する場合、「アルキル」とは、完全に飽和されている(すなわち、二重結合も三重結合も含有しない)線状または分岐状炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1〜20個の炭素原子(本明細書において現れる場合はいつでも、「1〜20個」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1〜20個の炭素原子」とは、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大20個を含む炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が表されていない用語「アルキル」の出現にも及ぶ)を有することができる。アルキル基はまた、1〜9個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキルとすることもできる。アルキル基は、「C1〜4アルキル」または類似の命名として表されてもよい。単なる例として、「C1〜4アルキル」は、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子が存在していることを指し、すなわち、このアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基には、決して限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれる。
【0051】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」とは、式−ORを指し、ここで、Rは、以下に限定されないがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシなどを含む、「C1〜9アルコキシ」などの、上で定義されているアルキルである。
【0052】
本明細書で使用する場合、「アルキルチオ」とは、式−SRを指し、ここで、Rは、以下に限定されないがメチルメルカプト、エチルメルカプト、n−プロピルメルカプト、1−メチルエチルメルカプト(イソプロピルメルカプト)、n−ブチルメルカプト、イソ−ブチルメルカプト、sec−ブチルメルカプト、tert−ブチルメルカプトなどを含む、「C1〜9アルキルチオ」などの、上で定義されているアルキルである。
【0053】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」とは、1つまたは複数の二重結合を含有する、線状または分岐状炭化水素鎖を指す。アルケニル基は2〜20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「アルケニル」という用語の出現にも及ぶ。アルケニル基はまた、2〜9個の炭素原子を有する中間サイズのアルケニルであってもよい。アルケニル基はまた、2〜4個の炭素原子を有する低級アルケニルとすることもできる。アルケニル基は、「C2〜4アルケニル」または類似の命名として表されてもよい。単なる例として、「C2〜4アルケニル」は、アルケニル鎖中に2〜4個の炭素原子が存在していることを示し、すなわち、アルケニル鎖は、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、プロペン−3−イル、ブテン−1−イル、ブテン−2−イル、ブテン−3−イル、ブテン−4−イル、1−メチル−プロペン−1−イル、2−メチル−プロペン−1−イル、1−エチル−エテン−1−イル、2−メチル−プロペン−3−イル、ブタ−1,3−ジエニル、ブタ−1,2,−ジエニル、およびブタ−1,2−ジエン−4−イルからなる群から選択される。典型的なアルケニル基には、決して限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどが含まれる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「アルキニル」とは、1つまたは複数の三重結合を含有する、線状または分岐状炭化水素鎖を指す。アルキニル基は2〜20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「アルキニル」という用語の出現にも及ぶ。アルキニル基はまた、2〜9個の炭素原子を有する中間サイズのアルキニルであってもよい。アルキニル基はまた、2〜4個の炭素原子を有する低級アルキニルとすることもできる。アルキニル基は、「C2〜4アルキニル」または類似の命名として表されてもよい。単なる例として、「C2〜4アルキニル」は、アルキニル鎖中に2〜4個の炭素原子が存在していることを指し、すなわち、アルキニル鎖は、エチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル、ブチン−1−イル、ブチン−3−イル、ブチン−4−イルおよび2−ブチニルからなる群から選択される。典型的なアルキニル基には、決して限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルなどが含まれる。
【0055】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアルキル」とは、1個または複数のヘテロ原子、すなわち以下に限定されないが、鎖骨格に窒素、酸素および硫黄を含めた、炭素以外の元素を含有する線状または分岐状炭化水素鎖を指す。ヘテロアルキル基は1〜20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「ヘテロアルキル」という用語の出現にも及ぶ。ヘテロアルキル基はまた、1〜9個の炭素原子を有する中間サイズのヘテロアルキルであってもよい。ヘテロアルキル基はまた、1〜4個の炭素原子を有する低級ヘテロアルキルとすることもできる。ヘテロアルキル基は、「C1〜4ヘテロアルキル」または類似の命名として表されてもよい。ヘテロアルキル基は、1個または複数のヘテロ原子を含有してもよい。単なる例として、「C1〜4ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子、およびさらにはこの鎖の骨格中に1個または複数のヘテロ原子が存在していることを示す。
【0056】
本明細書で使用する場合、「アルキレン」は、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している炭素と水素だけを含有する完全に飽和な分岐鎖または直鎖のジラジカル化学基(すなわち、アルカンジイル)を意味する。アルキレン基は1〜20,000個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、アルキレンという用語の出現にも及ぶ。アルキレン基はまた、1〜9個の炭素原子を有する中間サイズのアルキレンであってもよい。アルキレン基はまた、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキレンとすることもできる。アルキレン基は、「C1〜4アルキレン」または類似の命名として表されてもよい。単なる例として、「C1〜4アルキレン」は、アルキレン鎖中に1〜4個の炭素原子が存在していることを示し、すなわち、アルキレン鎖は、メチレン、エチレン、エタン−1,1−ジイル、プロピレン、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、1−メチル−エチレン、ブチレン、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、1−メチル−プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、1,2−ジメチル−エチレン、および1−エチル−エチレンからなる群から選択される。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアルキレン」とは、アルキレンの1個または複数の骨格原子が、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはそれらの組合せから選択される、アルキレン鎖を指す。ヘテロアルキレン鎖は、2〜20,000個の長さを有することができる。例示的なヘテロアルキレンには、以下に限定されないが、−OCH−、−OCH(CH)−、−OC(CH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−CHOCH−、−CHOCHCH−、−SCH−、−SCH(CH)−、−SC(CH−、−SCHCH−、−CHSCHCH−、−NHCH−、−NHCH(CH)−、−NHC(CH−、−NHCHCH−、− −CHNHCH−、−CHNHCHCH−などが含まれる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「アルケニレン」は、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、炭素と水素だけを含有する直鎖または分岐鎖のジラジカル化学基を意味する。アルケニレン基は2〜20,000個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、アルケニレンという用語の出現にも及ぶ。アルケニレン基はまた、2〜9個の炭素原子を有する中間サイズのアルケニレンであってもよい。アルケニレン基はまた、2〜4個の炭素原子を有する低級アルケニレンとすることもできる。アルケニレン基は、「C2〜4アルケニレン」または類似の命名として表されてもよい。単なる例として、「C2〜4アルケニレン」は、アルケニレン鎖中に2〜4個の炭素原子が存在していることを示し、すなわち、アルケニレン鎖は、エテニレン、エテン−1,1−ジイル、プロペニレン、プロペン−1,1−ジイル、プロパ−2−エン−1,1−ジイル、1−メチル−エテニレン、ブタ−1−エニレン、ブタ−2−エニレン、ブト−1,3−ジエニレン、ブテン−1,1−ジイル、ブト−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−2−エン−1,1−ジイル、ブタ−3−エン−1,1−ジイル、1−メチル−プロパ−2−エン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパ−2−エン−1,1−ジイル、1−エチル−エテニレン、1,2−ジメチル−エテニレン、1−メチル−プロペニレン、2−メチル−プロペニレン、3−メチル−プロペニレン、2−メチル−プロペン−1,1−ジイル、および2,2−ジメチル−エテン−1,1−ジイルからなる群から選択される。
【0059】
本明細書で使用する場合、「アルキニレン」は、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する、炭素と水素だけを含有する直鎖または分岐鎖のジラジカル化学基を意味する。
【0060】
用語「芳香族性」とは、共役パイ電子系を有する環または環系を指し、炭素環式芳香族基(例えば、フェニル)とヘテロ環式芳香族基(例えば、ピリジン)との両方を含む。この用語には、単環式、または多環式縮合環(すなわち、隣接する一対の原子を共有する環)基が含まれるが、但し環系全体が芳香族性である。
【0061】
本明細書で使用する場合、「アリール」とは、環骨格に炭素しか含有していない芳香族環または環系(すなわち、2個の隣接炭素原子を共有する2個またはそれ超の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、この系の各環は芳香族性である。アリール基は6〜18個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「アリール」という用語の出現にも及ぶ。一部の実施形態において、アリール基は、6〜10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6〜10アリール」、「CまたはC10アリール」、または類似の命名として表されてもよい。アリール基の例には、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが含まれる。
【0062】
本明細書で使用する場合、「アリーレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、炭素と水素だけを含有する芳香族環または環系を指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、「アリールオキシ」および「アリールチオ」とは、RO−およびRS−を指し、ここで、Rは、以下に限定されないが、フェニルオキシを含む、「C6〜10アリールオキシ」または「C6〜10アリールチオ」などの、上で定義されているアリールである。
【0064】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、以下に限定されないが、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、およびナフチルアルキルを含む、「C7〜14アラルキル」などのアルキレン基を介して、置換基として接続しているアリール基である。一部の場合、アルキレン基は低級アルキレン基(すなわち、C1〜4アルキレン基)である。
【0065】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」とは、環骨格中に、1個または複数のヘテロ原子、すなわち、以下に限定されないが、窒素、酸素および硫黄を含む炭素以外の元素を含有する、芳香族環または環系(すなわち、2個の隣接原子を共有する2個またはそれ超の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、この系の各環は芳香族性である。ヘテロアリール基は5〜18個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含めた、環骨格を構成する原子数)を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「ヘテロアリール」という用語の出現にも及ぶ。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜10個の環員または5〜7個の環員を有する。ヘテロアリール基は、「5〜7員のヘテロアリール」、「5〜10員のヘテロアリール」、または類似の命名として表されてもよい。ヘテロアリール環の例には、以下に限定されないが、フリル、チエニル、フタラジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキンリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインドリル、およびベンゾチエニルが含まれる。
【0066】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリーレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、環骨格中に1個または複数のヘテロ原子を含有する芳香族環または環系を指す。
【0067】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレン基を介して、置換基として接続しているヘテロアリール基である。例には、以下に限定されないが、2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、フリルメチル、チエニルエチル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、およびイミダゾリルアルキルが含まれる。一部の場合、アルキレン基は低級アルキレン基(すなわち、C1〜4アルキレン基)である。
【0068】
本明細書で使用する場合、「カルボシクリル」は、環系の骨格に、炭素原子しか含有していない非芳香族環式環または環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つまたはそれ超の環は、一緒になって、縮合、架橋またはスピロ接続様式であってもよい。カルボシクリルは、任意の飽和度を有してもよいが、但し、環系の少なくとも1つの環は、芳香族性ではない。すなわち、カルボシクリルには、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルが含まれる。カルボシクリル基は3〜20個の炭素原子を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「カルボシクリル」という用語の出現にも及ぶ。カルボシクリル基はまた、3〜10個の炭素原子を有する中間サイズのカルボシクリルであってもよい。カルボシクリル基はまた、3〜6個の炭素原子を有するカルボシクリルとすることもできる。カルボシクリル基は、「C3〜6カルボシクリル」または類似の命名として表されてもよい。カルボシクリル環の例には、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3−ジヒドロ−インデン、ビシクロ(bicycle)[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、およびスピロ[4.4]ノナニルが含まれる。
【0069】
「(カルボシクリル)アルキル」は、以下に限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルエチル、シクロプロピルイソプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチルなどを含む、「C4〜10(カルボシクリル)アルキル」などの、アルキレン基を介して置換基として接続しているカルボシクリル基である。一部の場合、アルキレン基は、低級アルキレン基である。
【0070】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和されているカルボシクリル環または環系を意味する。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0071】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキレン」は、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、完全に飽和されているカルボシクリル環または環系を意味する。
【0072】
本明細書で使用する場合、「シクロアルケニル」または「シクロアルケン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの二重結合を有するカルボシクリル環または環系を意味する。例は、シクロヘキセニルまたはシクロヘキセンである。別の例は、ノルボルネンまたはノルボルネニルである。
【0073】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルケニル」または「ヘテロシクロアルケン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの二重結合を有する、環骨格中に少なくとも1個のヘテロ原子を有するカルボシクリル環または環系を意味する。
【0074】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキニル」または「シクロアルキン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの三重結合を有するカルボシクリル環または環系を意味する。例は、シクロオクチンである。別の例は、ビシクロノニンである。
【0075】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキニル」または「ヘテロシクロアルキン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの三重結合を有する、環骨格中に少なくとも1個のヘテロ原子を有するカルボシクリル環または環系を意味する。
【0076】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクリル」は、環骨格中に、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族環式環または環系を意味する。ヘテロシクリルは、一緒になって、縮合、架橋またはスピロ接続様式であってもよい。ヘテロシクリルは、任意の飽和度を有してもよいが、但し、環系の少なくとも1つの環は、芳香族性ではない。ヘテロ原子は、環系において、非芳香族環または芳香族環中のどちらかで存在し得る。ヘテロシクリル基は3〜20個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含めた、環骨格を構成する原子数)を有することができるが、本定義は、数値範囲が表されていない、「ヘテロシクリル」という用語の出現にも及ぶ。ヘテロシクリル基はまた、3〜10個の環員を有する中間サイズのヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリル基はまた、3〜6個の環員を有するヘテロシクリルとすることもできる。ヘテロシクリル基は、「3〜6員のヘテロシクリル」または類似の命名として表されてもよい。好ましい6員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は、1個から最大3個のO、NまたはSからから選択され、好ましい5員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択される1個または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例には、以下に限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリジオニル、4−ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3−ジオキシニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキシニル、1,4−ジオキサニル、1,3−オキサチアニル、1,4−オキサチイニル、1,4−オキサチアニル、2H−1,2−オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジニル、1,3−ジオキソリル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオリル、1,3−ジチオラニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3−オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ−1,4−チアジニル、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリジニル、およびテトラヒドロキノリンが含まれる。
【0077】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクリレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族環または環系を意味する。
【0078】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、アルキレン基を介して、置換基として接続しているヘテロシクリル基である。例には、以下に限定されないが、イミダゾリニルメチルおよびインドリニルエチルが含まれる。
【0079】
本明細書で使用する場合、「アシル」とは−C(=O)Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルである。非限定例には、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリルが含まれる。
【0080】
「O−カルボキシ」基とは「−OC(=O)R」基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルから選択される。
【0081】
「C−カルボキシ」基とは「−C(=O)OR」基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルから選択される。非限定例には、カルボキシル(すなわち、−C(=O)OH)が含まれる。
【0082】
「アセタール」基とはRC(H)(OR’)を指し、ここで、RおよびR’は、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルから独立して選択される。
【0083】
「シアノ」基とは、「−CN」基を指す。
【0084】
「シアナト」基とは、「−OCN」基を指す。
【0085】
「イソシアナト」基とは、「−NCO」基を指す。
【0086】
「チオシアナト」基とは、「−SCN」基を指す。
【0087】
「イソチオシアナト」基とは、「−NCS」基を指す。
【0088】
「スルフィニル」とは「−S(=O)R」基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルから選択される。
【0089】
「スルホニル」基とは「−SOR」基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルから選択される。
【0090】
「S−スルホンアミド」基とは「−SONR」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0091】
「N−スルホンアミド」基とは「−N(R)SO」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0092】
「ニトリルオキシド」とは、本明細書で使用する場合、「RC≡N」基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、または5〜10員のヘテロシクリルから選択される。ニトリルオキシドを調製する非限定例には、クロラミン(chloramide)−Tにより処理することにより、または塩化イミドイル[RC(Cl)=NOH]に基づく作用により、アルドキシムからのインサイチュ生成が挙げられる。
【0093】
「ニトロン」とは、本明細書で使用する場合、「RC=NR」基を指し、ここで、R、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、または5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0094】
「O−カルバミル」基とは「−OC(=O)NR」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0095】
「N−カルバミル」基とは「−N(R)OC(=O)R」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0096】
「O−チオカルバミル」基とは「−OC(=S)NR」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0097】
「N−チオカルバミル」基とは「−N(R)OC(=S)R」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0098】
「C−アミド」基とは「−C(=O)NR」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0099】
「N−アミド」基とは「−N(R)C(=O)R」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。
【0100】
「アミノ」基とは「−NR」基を指し、ここで、RおよびRは、本明細書で定義されている通り、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7カルボシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、および5〜10員のヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される。非限定例には、遊離アミノ(すなわち、−NH)が含まれる。
【0101】
「アミノアルキル」基とは、アルキレン基を介して接続しているアミノ基を指す。
【0102】
「アルコキシアルキル」基は、「C2〜8アルコキシアルキル」など、アルキレン基を介して接続しているアルコキシ基を指す。
【0103】
用語「ヒドラジン」または「ヒドラジニル」とは、本明細書で使用する場合、−NHNH基を指す。
【0104】
用語「ヒドラゾン」または「ヒドラゾニル」とは、本明細書で使用する場合、
【化2】

基を指す。
【0105】
用語「ホルミル」は、本明細書で使用する場合、−C(O)H基を指す。
【0106】
用語「エポキシ」は、本明細書で使用する場合、
【化3】

を指す。
【0107】
用語「エステル」とは、本明細書で使用する場合、R−C(=O)O−R’を指し、RおよびR’は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、または必要に応じて置換されているそれらの改変体とすることができる。
【0108】
用語「カルボン酸」または「カルボキシル」とは、本明細書で使用する場合、−C(O)OHを指す。
【0109】
用語「チオシアネート」とは、本明細書で使用する場合、−S−C≡N基を指す。
【0110】
用語「オキソ−アミン」とは、本明細書で使用する場合、−O−NH基を指し−NHの1個または複数の水素は、R基により必要に応じて置換され得る。Rは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、または(ヘテロアリシクリル)アルキルとすることができる。
【0111】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」には、複素環式塩基、糖、および1つまたは複数のリン酸基を含有する窒素が含まれる。これらは、核酸配列のモノマー単位である。RNAでは、糖はリボースであり、DNAではデオキシリボース、すなわちリボース中の2’位に存在しているヒドロキシル基がない糖である。複素環式塩基を含有する窒素は、プリンまたはピリミジン塩基とすることができる。プリン塩基には、アデニン(A)およびグアニン(G)、およびそれらの修飾誘導体またはアナログが含まれる。ピリミジン塩基には、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)、およびそれらの修飾誘導体またはアナログが含まれる。デオキシリボースのC−1原子は、ピリミジンのN−1またはプリンのN−9に結合している。
【0112】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」とは、ヌクレオチドと構造的に類似しているが、5’位においていかなるリン酸部分もない。本明細書では、用語「ヌクレオシド」は、当業者により理解されるその通常の意味で使用される。例には、以下に限定されないが、リボース部分を含むリボヌクレオシド、およびデオキシリボース部分を含むデオキシリボヌクレオシドが含まれる。修飾ペントース部分は、酸素原子が炭素により置き換えられている、および/または炭素が硫黄原子もしくは酸素原子により置き換えられている、ペントース部分である。「ヌクレオシド」は、置換されている塩基および/または糖の部分を有することができるモノマーである。さらには、ヌクレオシドは、より大きなDNAおよび/またはRNAポリマーおよびオリゴマーに組み込まれ得る。
【0113】
本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド」とは、一般に、DNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA)、RNA(例えば、mRNA)、合成オリゴヌクレオチドおよび合成核酸アナログを含めた、核酸を指す。ポリヌクレオチドは、天然もしくは非天然の塩基、またはそれらの組合せ、および天然もしくは非天然の骨格連結、例えば、ホスホロチオエート、PNAまたは2’−O−メチル−RNA、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0114】
本明細書で使用する場合、「BCNプライマー」または「BCN修飾プライマー」とは、5’末端において、共有結合しているビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを含むプライマーを指す。プライマーは、カップリング反応を可能にする遊離3’OH基および5’末端に修飾基を有する一本鎖DNA(ssDNA)分子として定義される。プライマーの長さは、任意の数の塩基の長さとすることができ、様々な非天然ヌクレオチドを含むことができる。
【0115】
本明細書で使用する場合、用語「シラン」とは、1個または複数のケイ素原子を含有する有機または無機有機化合物を指す。無機シラン化合物の非限定例は、SiH、または水素が1個もしくは複数のハロゲン原子により置き換えられているハロゲン化SiHである。有機シラン化合物の非限定例は、X−R−Si(ORであり、Xは、アミノ、ビニル、エポキシ、メタクリレート、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニルなどの加水分解が不可能な有機基であり、Rは、スペーサー、例えば−(CH−(nは、0〜1000である)であり、Rは、本明細書で定義されている通り、水素、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているアルキニル、必要に応じて置換されているカルボシクリル、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されている5〜10員のヘテロアリール、および必要に応じて置換されている5〜10員のヘテロシクリルから選択される。本明細書で使用する場合、用語「シラン」は、様々なシラン化合物の混合物を含むことができる。
【0116】
本明細書で使用する場合、用語「テトラジン」または「テトラジニル」とは、4個の窒素原子を含む、6員のヘテロアリール基を指す。テトラジンは、必要に応じて置換され得る。
【0117】
本明細書で使用する場合、用語「テトラゾール」または「テトラゾリル」とは、4個の窒素原子を含む、5員の複素環式基を指す。テトラゾールは、必要に応じて置換され得る。
【0118】
本明細書で使用する場合、用語「不飽和部分」とは、少なくとも1つの二重結合または1つの三重結合を含む、化学基(シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体を含む)を指す。不飽和部分は一価または二価とすることができる。不飽和部分が一価である場合、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキンは、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニルと互換的に使用される。不飽和部分が二価である場合、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキンは、シクロアルケニレン、シクロアルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキニレンと互換的に使用される。
【0119】
本明細書で使用する場合、用語「ポリマー」とは、多数の繰り返しサブ単位からなる分子を指す。ポリマーは、線状、分岐状または超分岐状とすることができる。分岐状ポリマーの非限定例には、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ブラシ型ポリマー、デンドリマー型ポリマー、ラダー、およびデンドリマーが含まれる。本明細書に記載されているポリマーは、ポリマーナノ粒子の形態であることもできる。
【0120】
本明細書で使用する場合、接頭語「フォト(photo)」または「フォト(photo−)」は、光照射または電子波照射に関連することを意味する。この用語は、以下に限定されないが、スペクトルのラジオ波、マイクロ波、赤外、可視、紫外、X線、またはガンマ線の一部として一般に公知の、1つまたは複数の範囲を含めた、電磁波スペクトルのすべてまたは一部を包含することができる。スペクトルの一部は、本明細書において説明されている金属などの、表面の金属領域により遮断されるものとすることができる。代替的または追加的に、スペクトルの一部は、ガラス、プラスチック、シリカ、または本明細書において説明されている他の材料から作られる領域などの、表面の介在領域を通過するものとすることができる。特定の実施形態において、金属を通過することが可能な照射線を使用することができる。代替的または追加的に、ガラス、プラスチック、シリカ、または本明細書において説明されている他の材料によりマスクされる照射線を使用することができる。
【0121】
本明細書で使用する場合、用語「反応性部位」は、化学反応または分子の相互作用により、1つまたは複数の分子を結合させるために使用することができる、本明細書に記載されている官能基化分子のコーティング上の部位を意味する。こうした結合は、共有結合を介するもの、または他の結合もしくは相互作用力によるものとすることができる。
【0122】
本明細書で使用する場合、用語「YES法」とは、Illumina,Inc.により開発された、化学蒸着法によるYield Engineering Systems(「YES」)によってもたらされる化学蒸着手段を指す。これには、3種の様々な蒸着システムが含まれる。自動化YES−VertaCoatシラン蒸気システムは、200または300mmウェハを収容することができる、可撓性ウェハ取り扱いモジュールによる大量生産向けに設計されたものである。手動搭載型YES−1224Pシラン蒸気システムは、その変更可能な大容量チャンバを有する多様な大量生産向けに設計されたものである。Yes−LabKoteは、実現可能性調査およびR&Dにとって理想的な、低コストの卓上版である。
【0123】
本明細書で使用する場合、置換されている基は、1個または複数の水素原子が別の原子または基に交換された、無置換の親基から誘導される。特に示さない限り、基が「置換されている」と見なされる場合、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cカルボシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、C〜C−カルボシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C〜C)アルキル(例えば、−CF)、ハロ(C〜C)アルコキシ(例えば、−OCF)、C〜Cアルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、およびオキソ(=O)から独立して選択される1つまたは複数の置換基により置換されていることを意味する。基が「必要に応じて置換されている」と記載されている場合、その基は、上の置換基により置換され得る。
【0124】
ある種のラジカルの命名規則は、文脈に応じて、モノラジカルまたはジラジカルのどちらかを含むことができることを理解されたい。例えば、置換基が分子の残りと2つの結合点を必要とする場合、この置換基はジラジカルであると理解される。例えば、2つの結合点を必要とするアルキルとして特定される置換基には、−CH−、−CHCH−、−CHCH(CH)CH−などのジラジカルが含まれる。他のラジカル命名規則は、そのラジカルが「アルキレン」または「アルケニレン」などのジラジカルであることを明確に示している。
【0125】
置換基がジラジカル(すなわち、分子の残りに対して2つの結合点を有する)として示される場合、この置換基は、特に示さない限り、任意の方向の立体配置で結合し得ることを理解されたい。すなわち、例えば、−AE−または
【化4】

として示される置換基には、置換基が、Aが分子の一番左の結合点で結合しているような向きであること、およびAが分子の一番右の結合点で結合している場合が含まれる。
【0126】
本明細書において開示されている化合物が、少なくとも1つの立体中心を有する場合、それらは、個々の鏡像異性体およびジアステレオマーとして、またはラセミ体を含めた、こうした異性体の混合物として存在し得る。個々の異性体の分離または個々の異性体の選択的合成は、当分野の専門家に周知の様々な方法を適用することにより達成される。特に示さない限り、こうした異性体のすべておよびそれらの混合物は、本明細書において開示されている化合物の範囲に含まれる。さらには、本明細書において開示されている化合物は、1つまたは複数の結晶性形態またはアモルファス形態で存在し得る。特に示さない限り、こうした形態はすべて、任意の多形形態を含む、本明細書において開示されている化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書において開示されている化合物の一部は、水と溶媒和物(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成してもよい。特に示さない限り、こうした溶媒和物は、本明細書において開示されている化合物の範囲に含まれる。
【0127】
本明細書で使用する場合、用語「パーセント残留表面」とは、P5/P7表面プライマーを染色するためのTET QCを使用して測定される強度を指すことができる。これらのP5およびP7プライマーは、HiSeq、MiSeq、Genome AnalyzerおよびNextSeqプラットフォームで配列決定するために、Illumina Inc.により販売されている市販のフローセルの表面に使用される。プライマーの配列は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第2011/0059865A1号に記載されている。TETは、P5/P7プライマーへの相補的配列を有する色素標識オリゴヌクレオチドである。TETは、表面にあるP5/P7プライマーにハイブリダイズすることができ、過剰のTETは、洗い流すことができ、結合した色素濃度は、Typhoon Scanner(General Electric)などの走査装置を使用して蛍光を検出することにより測定することができる。
【0128】
当業者は、本明細書に記載されている一部の構造が、他の化学構造によって適性に表すことができる化合物の共鳴形態または互変異性体であってもよいことを認識するであろう。当業者は、こうした構造がこのような化合物の実例の極めて小さな一部を表し得るに過ぎないことを認識している。こうした化合物は、図示されている構造の範囲内とみなされるが、こうした共鳴形態または互変異性体は本明細書において示されていない。
シランまたはシラン誘導体
【0129】
本明細書において開示されている一部の実施形態は、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、または必要に応じて置換されているそれらの改変体もしくは組合せから選択される、複数の不飽和部分を含むシランまたはシラン誘導体に関する。本明細書で使用する場合、「シクロアルケン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの二重結合を有するカルボシクリル環または環系を意味する。本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルケン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの二重結合を有する、環骨格中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有するカルボシクリル環または環系を意味する。本明細書で使用する場合、「シクロアルキン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの三重結合を有するカルボシクリル環または環系を意味する。本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキン」は、環系の環が芳香族性ではない、少なくとも1つの三重結合を有する、環骨格中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有するカルボシクリル環または環系を意味する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルケン中のヘテロ原子は、N、OまたはSからなる群から選択される。シクロアルケンとヘテロシクロアルケンとの両方が、必要に応じて置換され得る。不飽和部分は一価または二価とすることができる。不飽和部分は、シランまたはシラン誘導体のケイ素(silion)原子に直接、共有結合し得るか、またはリンカーを介して間接的に結合し得る。不飽和部分は、官能基化分子にさらに結合することができる。一部の実施形態において、不飽和部分は、ノルボルネンおよびその誘導体などの、必要に応じて置換されているシクロアルケンである。一部の実施形態において、不飽和部分は、必要に応じて置換されているシクロオクチンまたはビシクロノニンである。環ひずみがある他のシクロアルケン、ヘテロシクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルキンも不飽和部分として使用することができる。
ノルボルネン
【0130】
一部の実施形態において、シクロアルケンは、ノルボルネンまたはノルボルネン誘導体である。
【0131】
一部の実施形態において、ノルボルネンは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cカルボシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、C〜C−カルボシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C〜C)アルキル(例えば、−CF)、ハロ(C〜C)アルコキシ(例えば、−OCF)、C〜Cアルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、およびオキソ(=O)から選択される1つまたは複数の置換基により置換され得る。
【0132】
代替的に、ノルボルネン上のこれらの2つの隣接置換基は、さらなる環を形成することができる。例えば、
【化5】

は、二置換のノルボルネンを表し、RおよびRは一緒になって、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているシクロアルキルまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルを形成することができる。
【0133】
一部の実施形態において、ノルボルネンは他のシクロアルケンにより置き換えることができる。非限定例には、必要に応じて置換されているtrans−シクロオクテン、必要に応じて置換されているtrans−シクロペンテン、必要に応じて置換されているtrans−シクロヘプテン、必要に応じて置換されているtrans−シクロノネン、必要に応じて置換されているビシクロ[3.3.1]ノナ−1−エン、必要に応じて置換されているビシクロ[4.3.1]デカ−1(9)−エン、必要に応じて置換されているビシクロ[4.2.1]ノナ1(8)−エン、および必要に応じて置換されているビシクロ[4.2.1]−ノナ−1−エンが含まれる。
ヘテロ(ノルボルネン)
【0134】
一部の実施形態において、本明細書において使用されるヘテロシクロアルケンは、ヘテロノルボルネンである。本明細書で使用する場合、(ヘテロ)ノルボルネンは、ノルボルネン分子中の1個または複数の炭素原子が、1個または複数のヘテロ原子により置き換えられていることを意味する。(ヘテロ)ノルボルネンの非限定例には、
【化6】

または必要に応じて置換されているそれらの改変体が含まれる。
例示的なノルボルネン反応
A.アジドとの1,3−双極性環付加
【0135】
有機アジドとオレフィン性結合との反応による1,2,3−トリアゾリンの形成は、1912年、Wolffにより最初に報告された。Wolff, Liebigs. Ann.、1912年、394巻、23頁を参照されたい。このタイプの反応は、1,3−双極性環付加と呼ばれる。末端アルキンへのアジド付加は、Huisgenの研究から、1,3−双極性環付加反応の一例として認識された。Proceedings of the Chemical Society、1961年、357〜396頁を参照されたい。Scheinerらは、アリールアジドのノルボルネンへの速度論調査を報告した(Scheinerら、J. Am. Chem. Soc、1965年、87巻、306〜311頁を参照されたい)。一般反応スキームは、以下の通りに示される。
【化7】
【0136】
さらに、Sheaらは、2,4,6−トリニトロフェニルアジドとの1,3−双極性環付加における、ひずみのねじれた二重結合の反応性の検討を報告した。trans−シクロアルケンおよび橋頭位アルケンを含めた、一連の単環式および二環式オレフィンが試験された。Sheaら、J. Am. Chem. Soc.、1992年、114巻、4846〜4855頁を参照されたい。
B.テトラジンとのカップリング反応
【0137】
ポリマーの官能基化、ならびにテトラジンとノルボルネンとの逆電子要求型ディールス−アルダー(DAinv)反応によるカップリングのための添加物不含の「クリック」反応が、Hansellら(Hansellら、J. Am. Chem. Soc.、2011年、133巻、13828〜13831頁を参照されたい)により報告された。一般反応スキームは、以下の通りに示される。
【化8】
【0138】
他の例示的な金属不含クリック反応には、Hoyleら、Chem. Soc. Rev.、2010年、39巻、1355〜1387頁により報告された、(ヘテロ−)ディールス−アルダーおよびラジカル系のチオール−エン反応が含まれる。
C.テトラゾールおよびヒドラゾンとのカップリング反応
【0139】
Kayaらは、銅不含のクリック反応における、タンパク質修飾用のノルボルネンアミノ酸(1)を報告した。Kayaら、Angew. Chem. Int. Ed.、2012年、51巻、4466〜4469頁を参照されたい。この最初の例では、ニトリルイミンが、塩化ヒドラゾニルから塩基促進によるHCl脱離により生成し、次に、ノルボルネン誘導体(1)との環化付加反応に使用された。第2の例では、ニトリルイミンが、光化学反応において、テトラゾールから生成した。
【化9】

D.オレフィンとの開環反応
【0140】
Kimらは、ノルボルネンの表面開始開環メタセシス重合を使用することによる、天然酸化物(Si/SiO)を保有するシリコンウェハの表面からポリマー膜を成長させる方法を報告した。以下のスキームは、3つの工程手順:(i)ノルボレニル基を含むケイ素上での自己組織化単分子膜の形成、(ii)表面へのルテニウム触媒[(CyP)ClRu=CHPh、Cy=シクロヘキシル]の結合、(iii)添加されたモノマーの重合による膜の生成を概略している。Kimら、Macromolecules、2000年、33巻、2793〜2795頁を参照されたい。
【化10】
【0141】
同様に、Liuらは、以下のスキームに示されている通り、ルテニウム触媒により触媒される、ノルボルネン誘導体と電子豊富オレフィンとの、位置選択的開環/クロスメタセシス反応を報告した。Liuら、Org. Lett.、2005年、7巻、131〜133頁を参照されたい。
【化11】

E.ニトリルオキシドとの環化付加
【化12】
【0142】
Gutsmiedlらは、ニトリルオキシドのひずみ促進性環化付加が関与するノルボルネン修飾DNA基材の最初の例を報告した。ひずみのあるアルケンは、塩化ヒドロキサモイルから、または親オキシムのN−クロロスクシンイミドによる処理によって、直接、インサイチュで生成させた様々なニトリルオキシドとの環化付加に好適である。Gutsmiedlら、Org. Lett.、2009年、11巻、2405〜2408頁を参照されたい。
シクロオクチン
【0143】
一部の実施形態において、シクロアルキンは、シクロオクチンまたはシクロオクチン誘導体である。
【0144】
一部の実施形態において、シクロアルキンは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cカルボシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、C〜C−カルボシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C〜C)アルキル(例えば、−CF)、ハロ(C〜C)アルコキシ(例えば、−OCF)、C〜Cアルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、およびオキソ(=O)から選択される1つまたは複数の置換基により置換され得る。
【0145】
代替的に、シクロオクチン上のこれらの2つの隣接置換基は、さらなる環を形成することができる。例えば、
【化13】

は、二置換のシクロオクチンを表し、RおよびRは一緒に、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているシクロアルキルまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルを形成することができる。一部の実施形態において、シクロオクチン誘導体は、以下の構造
【化14】

を含むことができる。
ひずみ促進性アジド−アルキン環化付加またはニトリルオキシド−アルキン環化付加
【0146】
シクロオクチンは、アジドと1,3−環化付加を受けることができる。このタイプのひずみ促進性アジド−アルキン環化付加(SPAAC)反応は、銅不含DNAライゲーションに使用されてきた。Van Geelらは、アジドタグ付きタンパク質を効率よく標識するために、ひずみのある様々なオクチンを使用することができることを報告している。R. van Geelら、「Preventing Thiol−yne Addition Improves the Specificity of Strain−Promoted Azide−Alkyne Cycloaddition」、Bioconjugate Chem.、2012年、23巻、392〜398頁を参照されたい。類似の業績が、Yaoらによっても報告され、彼らは、アミノ酸配列にフルオロフォアを結合するために、ひずみのあるアルキンを使用することができることを実証している。Yaoら、「Fluorophore targeting to cellular proteins via enzyme−mediated azide ligation and strain−promoted cycloaddition」、J. Am. Chem. Soc.、2012年、134巻、3720〜3728頁を参照されたい。
【0147】
シクロオクチンとの反応における、アジド双極子の代替としての、ニトリルオキシド、ニトロンの相対活性に関する最近の検討により、ひずみ促進性アルキン/ニトリルオキシド環化付加の優れた反応性が示唆された。Sandersら、J. Am. Soc. Chem.、2011年、133巻、949〜957頁、Jawalekarら、Chem. Commun.、2011年、47巻、3198〜3200頁、およびMcKayら、Chem. Commun.、2010年、46巻、931〜933頁を参照されたい。ビシクロ[6.1.0]ノニン(BCN)とベンゾニトリルオキシドとの[3+2]付加に関する速度定数は、ベンジルアジドを用いる対応する反応に関して観察されるものよりも、10倍大きいことが観察された。類似の結果が、ジベンゾシクロオクチノール(dibenzocycloactynol)(DIBO)と、ベンゾニトリルオキシド(塩化ヒドロキサモイルからインサイチュ生成される)またはベンジルアジドとの間の環化付加においても観察された。これらの検討により、前者の反応が、後者よりも約60倍、速かったことが示唆されている。
【化15】

ビシクロノニン
【0148】
一部の実施形態において、シクロアルキンは、二環式環系、例えばビシクロノニンを含むことができる。一部の実施形態において、ビシクロノニンは、ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インまたはその誘導体から選択することができる。一部の他の実施形態において、ビシクロノニンは、ビシクロ[6.1.0]ノナ−2−インまたはビシクロ[6.1.0]ノナ−3−インからも選択することができる。
【0149】
一部の実施形態において、ビシクロノニンは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cカルボシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、C〜C−カルボシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロシクリル−C〜C−アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、アリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、5〜10員のヘテロアリール(C〜C)アルキル(ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシにより必要に応じて置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C〜C)アルキル(例えば、−CF)、ハロ(C〜C)アルコキシ(例えば、−OCF)、C〜Cアルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、およびオキソ(=O)から選択される1つまたは複数の置換基により置換され得る。
【0150】
代替的に、ビシクロノニン上のこれらの2つの隣接置換基は、さらなる環を形成することができる。例えば、
【化16】

は、二置換のビシクロ[6.1.0]ノナ−4−インを表し、RおよびRは一緒に、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているシクロアルキルまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルを形成することができる。ビシクロノニンは、二環式環系におけるひずみのために、シクロオクチンに関する上記のアジドまたはニトリルオキシドと類似のSPAACアルキン環化付加を受けることができる。
ヒドロゲル
【0151】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、官能基化シランまたはシラン誘導体の不飽和部分により、基材の表面に官能基化ヒドロゲルを固定化する工程を含む。本出願において使用することができるヒドロゲルの非限定例は、本明細書に記載されている。
【0152】
WO00/31148は、ポリアクリルアミドヒドロゲルおよびポリアクリルアミドヒドロゲルをベースとするアレイを開示しており、ここで、いわゆるポリアクリルアミドプレポリマーは、好ましくはビニル基を含有するアクリルアミド、およびアクリル酸またはアクリル酸誘導体から形成される。次に、このプレポリマーの架橋を行うことができる。そうして作製したヒドロゲルは、好ましくはガラスに固体担持される。固体担持ヒドロゲルの官能基化も行うことができる。
【0153】
WO01/01143は、WO00/31148と類似している技術であるが、ヒドロゲルがバイオ分子との[2+2]光環化付加反応に関与することが可能な官能基を保有し、こうしたバイオ分子の固定化アレイを形成するという点で異なる技術を記載している。ジメチルマレイミド(DMI)が特に好ましい官能基である。ポリアクリルアミドをベースとするマイクロアレイ技術の文脈における[2+2]光環化付加反応の使用は、WO02/12566およびWO03/014392にも記載されている。
【0154】
米国特許第6,465,178号は、核酸のマイクロアレイの調製に使用するための活性化スライドの提供における試薬組成物の使用を開示している。この試薬組成物には、アクリルアミドコポリマーが含まれる。活性化スライドは、マイクロアレイの調製における従来の(例えば、シリル化)ガラス製スライドを置き換えるのに特に好適であると明記されている。
【0155】
WO00/53812は、ポリアクリルアミドをベースとするDNAのヒドロゲルアレイの調製、およびレプリカ増幅におけるこれらのアレイの使用を開示している。
【0156】
所望の場合、一旦、ヒドロゲルが形成されると、次に、分子アレイを作製するように、ヒドロゲルに分子を結合することができる。結合は、従来技術における様々な方法で行われてきた。例えば、米国特許第6,372,813号は、ジメチルマレイミド基を保有するポリヌクレオチドを、2つのジメチルマレイミド基間の[2+2]光環化付加工程を行うことにより、ジメチルマレイミド基を保有して作製したヒドロゲルに固定化することを教示している。1つのジメチルマレイミド基は、ポリヌクレオチドに結合して固定化され、1つのジメチルマレイミド基は、ヒドロゲルからの側鎖となる。
【0157】
分子アレイがヒドロゲルの生成後に形成される場合、2つの戦略が、この目的を実現するために用いられてきた。1つ目は、ヒドロゲルが作製された後に、これを化学修飾してもよい。この手法の課題には、アレイの調製における効率の総合的な低さ、および、特に高温、イオン性溶液および複数の洗浄工程に曝されると、結合化学に関連する安定性の低さが挙げられる。
【0158】
より一般的な代替法は、配列されることになる分子と反応するよう整えられた、または予備活性化された官能基を有するコモノマーとの重合を行うことである。
【0159】
ヒドロゲルを最初に形成した後、続いてそれに分子を配列させる代替法は、従来技術に記載されており、この場合、アレイはヒドロゲルの作製と同時に形成される。これは、例えば、アクリルアミド誘導体化ポリヌクレオチドの直接共重合により行うことができる。この手法の一例は、WO01/62982に記載されており、この場合、アクリルアミド誘導体化ポリヌクレオチドがアクリルアミドの溶液と混合され、重合は直接、行われる。
【0160】
Mosaic Technologies(Boston、Mass.、米国)は、ACRYDITE(商標)(アクリルアミドホスホロアミダイト)を作製しており、これは、ポリヌクレオチドと反応させた後に、得られたモノマーとアクリルアミドとを共重合することができる。
【0161】
Efimovら(Nucleic Acids Research、1999年、27巻(22号)、4416〜4426頁)は、ヒドロゲル/アレイの同時形成のさらなる例を開示しており、反応性アクリル酸誘導体であるアクリルアミドと5’または3’末端アクリルアミド基を有する修飾ポリヌクレオチドとの共重合が行われている。
ポリマー
【0162】
本明細書に記載されている一部の実施形態には、シクロアルケンまたはヘテロシクロアルケンで官能基化したシランまたはシラン誘導体を介して、官能基化ポリマーを基材の表面に固定化する工程が含まれる。本出願において使用することができるポリマーの非限定例は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、US第13/784,368号および米国特許公開第2011/0059865号に記載されている。
【0163】
一部の実施形態において、本明細書において使用されるポリマーは、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位
【化17】

(式中、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、およびチオールからなる群から選択され、Xは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーまたは必要に応じて置換されているヘテロアルキレンリンカーであり、R、R4’、RおよびR5’は、H、R、OR、−C(O)OR、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NRまたは−NRからそれぞれ独立して選択され、Rは、H、OH、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または必要に応じて置換されているそれらの改変体から独立して選択され、RおよびRは、Hまたはアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している1個または複数の原子と一緒になって複素環を形成する)
を含む。
【0164】
一部の実施形態において、Rはアジドである。一部の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーである。一部の実施形態において、Rは水素であり、一部の他の実施形態において、Rはメチルである。一部の実施形態において、Rは水素であり、R4’は−C(O)NRである。一部の実施形態において、RおよびR5’のそれぞれは水素である。一部の実施形態において、Rは水素であり、R’はメチルである。
【0165】
一部の実施形態において、本明細書において使用されるポリマーは、式(III)または(III’)のポリマー
【化18】

(式中、Rは、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルから選択され、Rは、アジド、必要に応じて置換されているアミノ、必要に応じて置換されているアルケニル、必要に応じて置換されているヒドラゾン、必要に応じて置換されているヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているテトラゾール、必要に応じて置換されているテトラジン、およびチオールからなる群から選択され、−(CH)−pのそれぞれは、必要に応じて置換することができ、pは、1〜50の範囲の整数であり、Rは、Hまたは必要に応じて置換されているアルキルから選択され、nは、1〜50,000の範囲の整数であり、mは、1〜100,000の範囲の整数である)を含む。一部の実施形態において、pは5である。一部の実施形態において、Rはアジドである。
PAZAM
【0166】
一実施形態において、式(III)または(III’)のポリマーはまた、式(IIIa)または(IIIb)
【化19】

(式中、nは、1〜20,000の範囲の整数であり、mは1〜100,000の範囲の整数である)
によっても表される。
【0167】
一部の実施形態において、直接コンジュゲートに使用される官能基化分子は、ポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)(PAZAM)である。一部の実施形態において、PAZAMは線状ポリマーである。一部の他の実施形態において、PAZAMは、軽度に架橋されているポリマーである。一部の実施形態において、PAZAMは、水溶液として表面に塗布される。一部の他の実施形態において、PAZAMは、エタノールなどの1種または複数の溶媒添加物との水溶液として表面に塗布される。様々なPAZAMポリマーを調製するための方法は、その全体が参照により明細書に組み込まれている、US第13/784,368号に詳述されている。
基材
【0168】
一部の実施形態において、本出願に使用される基材には、ガラス、溶融シリカ、および他のシリカ含有材料などのシリカをベースとする基材が含まれる。一部の実施形態において、シリカをベースとする基材はまた、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、水素化ケイ素とすることもできる。一部の実施形態において、本出願に使用される基材には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ(メタクリル酸メチル)などのプラスチック製材料が含まれる。好ましいプラスチック製材料は、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリスチレンおよび環式オレフィンポリマーの基材である。一部の実施形態において、基材は、シリカをベースとする材料またはプラスチック製材料である。一実施形態において、基材は、ガラスを含む少なくとも1つの表面を有する。
【0169】
一部の他の実施形態において、基材は金属とすることができる。一部のこうした実施形態において、金属は金である。一部の実施形態において、基材は、金属酸化物を含む少なくとも1つの表面を有する。一実施形態において、表面は酸化タンタルを含む。
【0170】
アクリルアミド、エノン、またはアクリレートもまた、基材材料として利用することができる。他の基材材料は、以下に限定されないが、ガリウムひ素(gallium aresnide)、リン化インジウム、アルミニウム、セラミック、ポリイミド、石英、樹脂、ポリマーおよびコポリマーを含むことができる。上記の列挙は、例示を意図するものであり、本出願に限定されるものではない。
【0171】
一部の実施形態において、基材および/または基材表面は、石英とすることができる。一部の他の実施形態において、基材および/また基材表面は、半導体、すなわちGaAs、またはITOとすることができる。
【0172】
基材は、単一材料または複数の様々な材料を含むことができる。基材は、複合体または積層体とすることができる。基材は、平坦である、丸みがある、ざらざらしている、およびパターン化されているものとすることができる。パターンは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第13/661,524号に記載されている、非金属表面上にフィーチャーを形成する金属パッドによって形成され得る。別の有用なパターン化表面は、例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第13/787,396号、米国特許出願公開第2011/0172118A1号、または米国特許第7,622,294号において記載されている、表面に形成されたウェルフィーチャーを有するものである。パターン化した基材を使用する実施形態の場合、ゲルはパターンフィーチャーに選択的に結合(例えば、ゲルは金属パッドに結合することができ、またはゲルはウェルの内側に結合することができる)するか、または代替的に、ゲルは、パターンフィーチャーと介在領域との両方全体に、均一に結合することができる。
【0173】
分子アレイの調製および使用においてプラスチックをベースとする基材を使用する利点には、コストが含まれる。例えば、射出成形による適切なプラスチックをベースとする基材の調製は、一般に、例えば、シリカをベースとする基材のエッチングおよび結合による調製よりも安価である。別の利点は、意図されるかまたは利用される用途に好適な支持体の光学特性の微調整が可能な様々なプラスチックがほとんど無限にあることである。
【0174】
金属が基材としてまたは基材上のパッドとして使用される場合、これは、所望の用途が理由となり得る。金属の導電性により、DNAをベースとするセンサーにおける電場の調節を可能にし得る。この方法では、DNAの不適合性の区別を強化することができ、固定化されたオリゴヌクレオチド分子の配向決定を行うことができるか、またはDNAハイブダイゼーション速度を加速することができる。
【0175】
好ましくは、基材は、シリカをベースとするが、用いられる基材の形状は、本出願が実施される用途に応じて様々とすることができる。しかし、一般に、シリカ、例えば溶融シリカなどの支持材料のスライドが、特に、調製およびその後の分子の集積に利便性がある。本出願の実施において特に有用なものは、SPECTRASIL(商標)という商標名で販売されている、溶融シリカのスライドである。これにもかかわらず、本出願は、ビーズ、ロッドなどの基材(シリカをベースとする支持体を含む)である他の提示物にも等しく適用可能であることが、当業者に明らかとなろう。
【0176】
一部の実施形態において、基材の表面は、機能性分子によりコーティングされている領域と、コーティング剤を含まない不活性領域との両方を含む。一部のこうした実施形態において、官能基化分子のコーティング剤は、ヒドロゲルまたはポリマーコーティング剤である。機能性分子によりコーティングされている領域は、反応性部位を含むことができ、したがって、化学結合または他の分子相互作用により、分子を結合するために使用することができる。一部の実施形態において、パターンまたは格子を形成するように、機能性分子によりコーティングされている領域(例えば、反応性フィーチャー、パッド、ビーズまたはウェル)と不活性領域(介在領域と呼ばれる)とを交互に並べることができる。こうしたパターンは、一次元または二次元にあることができる。一部の実施形態において、不活性領域は、ガラス領域、金属領域、マスク領域または介在領域から選択することができる。あるいは、これらの材料は、反応性領域を形成することができる。不活性または反応性は、基材上で使用される化学および方法に依存することになろう。一実施形態において、表面はガラス領域を含む。別の実施形態において、表面は金属領域を含む。さらに別の実施形態において、表面はマスク領域を含む。本明細書に記載されている組成物の一部の実施形態において、基材はビーズとすることができる。本開示のポリマーによりコーティングすることができるか、または他には組成物においてもしくは本明細書で説明されている方法において使用することができる非限定的な例となる基材材料は、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第13/492,661号および同第13/661,524号に記載されている。
【0177】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている基材は、フローセルの少なくとも一部の形態であるか、またはフローセルに位置している。一部のこうした実施形態において、フローセルはさらに、機能性分子によるコーティング、例えばポリマーコーティングを介して、基材の表面に結合しているポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドクラスター中のフローセルに存在しており、ポリヌクレオチドクラスターのポリヌクレオチドは、ポリマーコーティングを介して、フローセルの表面に結合している。こうした実施形態において、ポリヌクレオチドが結合しているフローセル本体の表面は基材とみなされる。他の実施形態において、ポリマーでコーティングされている表面を有する個別の基材は、フローセルの本体に装着される。好ましい実施形態において、フローセルは、複数のレーンまたは複数のセクターに分けられているフローチャンバであり、複数のレーンまたは複数のセクターの1つまたは複数が、本明細書に記載されている、共有結合したポリマーコーティング剤でコーティングされている表面を含む。本明細書に記載されているフローセルの一部の実施形態において、単一ポリヌクレオチドクラスター内に結合しているポリヌクレオチドは、同一または類似のヌクレオチド配列を有する。本明細書に記載されているフローセルの一部の実施形態において、異なるポリヌクレオチドクラスターの結合しているポリヌクレオチドは、異なるまたは非類似のヌクレオチド配列を有する。本明細書において説明されている方法または組成物で使用することができるフローセルの製造用の例示的なフローセルおよび基材は、以下に限定されないが、Illumina,Inc.(San Diego、CA)から市販されているもの、またはそれらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、US2010/0111768A1またはUS2012/0270305において記載されているものが挙げられる。
シリカをベースとする基材
【0178】
一部の実施形態において、本出願において使用される基材は、シリカをベースとする基材である。一般に、シリカをベースとする基材表面は、官能基化分子、例えばヒドロゲル、ポリマーまたはある程度形成されているヒドロゲル(例えば、プレポリマー(PRP))と反応することが可能な化学的に反応性に富む基に共有結合するように、ある方法で化学修飾されている。表面活性化剤は、通常、有機シラン化合物である。一実施形態において、表面活性化剤は、「Bind Silane」または「Crosslink Silane」として公知の、およびPharmaciaから市販されているγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであるが、モノエトキシジメチルシリルブタナール、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリメトキシシラン(すべて、Aldrichから入手可能)などの他のケイ素をベースとする表面活性化剤も公知である。この方法では、アミノ基、アルデヒド基または重合可能な基(例えば、オレフィン)などの側鎖官能基がシリカに結合し得る。
【0179】
本出願は、共有結合しているシクロアルケンまたはヘテロシクロアルケンを含む有機シラン化合物を用いる。一部の実施形態において、シクロアルケンは、必要に応じて置換されているノルボルネンである。一部の実施形態において、有機シラン化合物のシラン部分は以下の構造
【化20】

(式中、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているアリールオキシ、必要に応じて置換されているヘテロアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールオキシからそれぞれ独立して選択される)を有する。一部のこうした実施形態において、R、RおよびRは、独立して必要に応じて置換されるアルコキシである。一部のさらなる実施形態において、R、RおよびRのそれぞれはメトキシである。一実施形態において、有機シラン化合物は、[(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル)エチル]トリメトキシシランである。
リンカー
【0180】
本明細書に記載されている一部の実施形態において、シランまたはシラン誘導体とシクロアルケンまたはヘテロシクロアルケンとの間のリンカーは、必要に応じて置換されているアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロアルキレン、必要に応じて置換されているシクロアルキレン、必要に応じて置換されているヘテロシクリレン、必要に応じて置換されているアリーレン、必要に応じて置換されているヘテロアリーレン、必要に応じて置換されているポリエチレングリコール、開裂可能なリンカーまたはそれらの組合せから選択される。
【0181】
一部の実施形態において、本明細書に記載されているリンカーは、必要に応じて置換されているアルキレンリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、−(CH)n−であり、nは1〜20,000から選択される。一実施形態において、nは2である。一部の他の実施形態において、本明細書に記載されているリンカーは、必要に応じて置換されているヘテロアルキレンリンカーである。例えば、リンカーは−(CH)n−であり、nは1〜20,000から選択され、骨格上の1個または複数の炭素原子が、O、S、NまたはPから選択される1個または複数のヘテロ原子により置き換えられている。
【0182】
一部の実施形態において、本明細書に記載されているリンカーは、開裂可能なリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、酸に不安定なリンカー(ジアルコキシベンジルリンカー、Sieberリンカー、インドールリンカー、t−ブチルSieberリンカーを含む)、求電子的に開裂可能なリンカー、求核的に開裂可能なリンカー、光開裂可能なリンカー、還元条件下、酸化条件下での開裂、セーフティキャッチリンカーの使用による開裂、および脱離機構による開裂から選択される。一部のこうした実施形態において、Lは、ジスルフィドリンカー(−S−S−)、エステル、ニトロベンゼン、イミン、酵素によりまたは化学的に開裂可能なペプチド、およびDNAなどのポリヌクレオチドから選択される。
【0183】
開裂可能なリンカーは、当分野で公知であり、従来の化学を適用して、リンカーをヌクレオチド塩基および標識に結合することができる。このリンカーは、酸、塩基、求核剤、求電子剤、ラジカル、金属、還元剤または酸化剤、光、温度、酵素などへの曝露を含む、任意の適切な方法により開裂することができる。本明細書で議論されているリンカーは、3’−O−保護基の結合を開裂するために使用されるものと同じ触媒を使用して開裂することもできる。適切なリンカーは、Greene & Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & SonsまたはGreg T. Hermansonの「Bioconjugate Techniques」、Academic Pressに記載されている、標準的な化学保護基から採用することができる。固相合成に使用されるさらなる適切な開裂可能なリンカーは、Guillierら(Chem. Rev.、100巻、2092〜2157頁、2000年)に開示されている。
【0184】
用語「開裂可能なリンカー」の使用は、リンカー全体を、例えば反応性複素環から除去する必要があることを暗示することを意図するものではない。一例として、開裂部位は、リンカーの一部が開裂後に複素環に結合したままであることを確実にする、リンカーの場所に位置することができる。
A.求電子的に開裂するリンカー
【0185】
求電子的に開裂するリンカーは、通常、プロトンにより開裂され、酸に敏感な開裂を含む。適切なリンカーには、トリチル、p−アルコキシベンジルエステルおよびp−アルコキシベンジルアミドなどの修飾ベンジル系が含まれる。他の適切なリンカーには、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基およびアセタール系が含まれる。
【0186】
チオアセタールまたは他の硫黄含有保護基の開裂における、ニッケル、銀または水銀などの求硫黄性金属の使用も、適切なリンカー分子の調製に考えることができる。
B.求核的に開裂するリンカー
【0187】
求核的な開裂も、リンカー分子の調製に、よく認識されている方法である。水中で不安定なエステルなどの基(すなわち、塩基性pHで簡単に開裂し得る)および非水性求核剤に不安定な基を使用することができる。フッ化物イオンは、トリイソプロピルシラン(TIPS)またはt−ブチルジメチルシラン(TBDMS)などの基において、ケイ素−酸素結合を開裂するために使用することができる。
C.光開裂可能なリンカー
【0188】
光開裂可能なリンカーは、炭水化物の化学において広く使用されてきた。開裂を活性化するために必要な光は、修飾ヌクレオチドの他の構成成分に影響を及ぼさないことが好ましい。例えば、フルオロフォアを標識として使用する場合、これは、リンカー分子を開裂するために必要な異なる波長の光を吸収する場合、好ましい。適切なリンカーには、O−ニトロベンジル化合物およびニトロベラトリル化合物をベースとするものが含まれる。ベンゾインの化学に基づくリンカーも使用することができる(Leeら、J. Org. Chem.、64巻、3454〜3460頁、1999年)。
D.還元条件下での開裂
【0189】
還元的開裂に敏感なリンカーが多数公知である。パラジウムをベースとする触媒を使用する触媒的水素化を使用して、ベンジルおよびベンジルオキシカルボニル基が開裂される。ジスルフィド結合の還元も、当分野において公知である。
E.酸化条件下での開裂
【0190】
酸化に基づく手法が、当分野において周知である。これらには、p−アルコキシベンジル基の酸化、ならびに硫黄およびセレンリンカーの酸化が含まれる。ジスルフィド、および他の硫黄またはセレンをベースとするリンカーを開裂する水性ヨウ素の使用も、本出願の範囲内である。
F.セーフティキャッチリンカー
【0191】
セーフティキャッチリンカーは、2つの工程で開裂するものである。好ましい系では、第1の工程は、反応性に富む求核的中心の生成であり、その後に開裂をもたらす分子内環化が関与する第2の工程が続く。例えば、レブリン酸エステル連結基は、ヒドラジンまたは光化学により処理されて、活性なアミンを放出することができ、次に、このアミンは環化して、分子内のどこかのエステルを開裂させる(Burgessら、J. Org. Chem.、62巻、5165〜5168頁、1997年)。
G.脱離機構による開裂
【0192】
脱離反応も使用することができる。例えば、Fmocおよびシアノエチルなどの基の塩基触媒脱離、およびアリル系のパラジウム触媒による還元的脱離を使用することができる。
【0193】
一部の実施形態において、リンカーはスペーサー単位を含むことができる。他の例示的な適切な開裂可能なリンカーは、その全体が参照により明細書に組み込まれている、米国公開第2006−0188901号に詳細に議論されている。
配列決定用途
【0194】
本明細書において説明されている方法は、様々な増幅技法のいずれかを使用することができる。使用することができる例示的な技法には、以下に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多置換増幅(MDA)、またはランダムプライマー増幅(RPA)が含まれる。特定の実施形態において、増幅に使用される1つまたは複数のプライマーは、ポリマーコーティング剤に結合することができる。PCRの実施形態において、増幅に使用される一方または両方のプライマーを、ポリマーコーティング剤に結合することができる。結合したプライマーの2つの種を利用するフォーマットは、二重鎖アンプリコンが、複写された鋳型配列をフランキングする2つの結合しているプライマー間に架橋様構造を形成するので、ブリッジ増幅と呼ばれることが多い。ブリッジ増幅に使用することができる例示的な試薬および条件は、例えば、それらの各々が、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,641,658号、米国特許公開第2002/0055100号、米国特許第7,115,400号、米国特許公開第2004/0096853号、米国特許公開第2004/0002090号、米国特許公開第2007/0128624号、および米国特許公開第2008/0009420号に記載されている。PCR増幅は、ポリマーコーティング剤および第2のプライマーに結合させた増幅用プライマーの1つを用いて、溶液中で行うこともできる。1つの結合させたプライマーと可溶なプライマーとの組合せを使用する例示的なフォーマットは、例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Dressmanら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、100巻、8817〜8822頁(2003年)、WO05/010145、または米国特許公開第2005/0130173号もしくは同第2005/0064460号に記載されているエマルションPCRである。エマルションPCRは、そのフォーマットの例示であり、本明細書において説明されている方法の目的は、エマルションの使用は任意選択であり、実際に、いくつかの実施形態の場合、エマルションは使用されていないことが理解されよう。さらに、プライマーは、ePCRの参照文献に説明されている基材または固体支持体に直接結合している必要はなく、代わりに、本明細書において説明されているポリマーコーティング剤に結合することができる。
【0195】
RCA技法は、本開示の方法に使用するために改変することができる。RCA反応において使用することができる例示的な構成成分、およびRCAがアンプリコンを作製する原理は、例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Lizardiら、Nat. Genet.、19巻、225〜232頁(1998年)およびUS2007/0099208A1に記載されている。RCAに使用されるプライマーは溶液中に存在することができるか、またはポリマーコーティング剤に結合することができる。
【0196】
MDA技法は、本開示の方法に使用するために改変することができる。MDAの一部の基本的な原理および有用な条件は、例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Deanら、Proc Natl. Acad. Sci. USA、99巻、5261〜66頁(2002年)、Lageら、Genome Research、13巻、294〜307頁(2003年)、Walkerら、Molecular Methods for Virus Detection、Academic Press, Inc.、1995年、Walkerら、Nucl. Acids Res.、20巻、1691〜96頁(1992年)、US5,455,166、US5,130,238、およびUS6,214,587に記載されている。MDAに使用されるプライマーは溶液中に存在することができるか、またはポリマーコーティングに結合することができる。
【0197】
特定の実施形態において、上で例示した増幅技法の組合せを使用することができる。例えば、RCAおよびMDAは、RCAが使用されて、溶液中で(例えば、溶液相のプライマーを使用して)コンカテマー(concatameric)アンプリコンを生成する組合せで使用することができる。次に、ポリマーコーティング剤に結合しているプライマーを使用して、上記のアンプリコンがMDA用の鋳型として使用され得る。この例では、RCA工程とMDA工程を組み合わせた後に作製したアンプリコンが、ポリマーコーティング剤に結合することになろう。
【0198】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている、官能基化ヒドロゲルまたはポリマーによりコーティングされている基材は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するために使用することができる。こうした実施形態において、本方法は、(a)ポリヌクレオチドポリメラーゼを、本明細書に記載されているポリマーまたはヒドロゲルコーティングのいずれか1つを介して、基材の表面に結合しているポリヌクレオチドクラスターに接触させる工程、(b)1種または複数のヌクレオチドがポリヌクレオチドポリメラーゼにより利用されると検出可能なシグナルが生成されるように、ヌクレオチドをポリマーによりコーティングされた基材の表面に供給する工程、(c)1つまたは複数のポリヌクレオチドクラスターでシグナルを検出する工程、および(d)工程(b)および(c)を繰り返し、これより1つまたは複数のポリヌクレオチドクラスターに存在しているポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する工程を含むことができる。
【0199】
核酸配列決定は、当分野で公知の様々な方法により、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するために使用することができる。好ましい方法では、シークエンシング−バイ−シンセシス(SBS)を利用して、本明細書に記載されているポリマーコーティングのいずれか1つを介して基材の表面に結合しているポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する。こうした方法では、ポリヌクレオチドポリメラーゼに関連する鋳型ポリヌクレオチドに、1種または複数のヌクレオチドが供給される。このポリヌクレオチドポリメラーゼにより、1種または複数のヌクレオチドが、ポリヌクレオチド鋳型に相補的な新規に合成された核酸鎖に組み込まれる。この合成は、鋳型ポリヌクレオチドの一部、または鋳型ポリヌクレオチドの一方の末端で共有結合している普遍または非可変核酸の一部に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーから開始される。ヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドに組み込まれるので、配列決定法の各工程の間に組み込まれたヌクレオチドの決定が可能になる検出可能なシグナルが生じる。この方法では、鋳型ポリヌクレオチドの少なくとも一部に相補的な核酸の配列を生じさせることができ、これにより、鋳型ポリヌクレオチドの少なくとも一部のヌクレオチド配列の決定が可能になる。フローセルは、本開示の方法によって作製されるアレイであって、シークエンシング−バイ−シンセシス(SBS)、または試薬の周期的な繰り返し送達に関与する他の検出技法が施されるアレイを収容するための便利なフォーマットを提供する。例えば、最初のSBSサイクルを開始するため、1種または複数の標識したヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどが、本明細書において説明されている方法によって作られた核酸アレイを収容するフローセル内に/内を流され得る。プライマーの伸長により標識化ヌクレオチドの組込みが引き起こされる、アレイのこうした部位が検出され得る。必要に応じて、ヌクレオチドはさらに、ヌクレオチドが一旦プライマーに加えられると、さらなるプライマーの伸長を終了させる、可逆的終結特性を含むことができる。例えば、可逆的ターミネーター部分を有するヌクレオチドアナログをプライマーに加えて、脱ブロック剤が送達されて上記の部分が除去されるまで、その後の伸長が起こり得なくなるようにすることができる。したがって、可逆的終結を使用する実施形態の場合、脱ブロック試薬をフローセルに送達させることができる(検出が起こる前またはその後に)。様々な送達工程の間に、洗浄を行うことができる。次に、このサイクルをn回繰り返して、プライマーをヌクレオチドn個分伸長し、これにより、長さnの配列を検出することができる。本開示の方法によって作製されるアレイにおける使用に容易に採用することができる、例示的なSBS手順、流体系および検出プラットフォームは、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Bentleyら、Nature、456巻、53〜59頁(2008年)、WO04/018497、US7,057,026、WO91/06678、WO07/123744、US7,329,492、US7,211,414、US7,315,019、US7,405,281、およびUS2008/0108082に記載されている。
【0200】
ピロ配列決定などの、周期的な反応を使用する他の配列決定手順を使用することができる。ピロ配列決定は、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に組み込まれる際の無機ピロリン酸(PPi)の放出を検出するものである(そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Ronaghiら、Analytical Biochemistry、242巻(1号)、84〜9頁(1996年)、Ronaghi、Genome Res.、11巻(1号)、3〜11頁(2001年)、Ronaghiら、Science、281巻(5375号)、363頁(1998年)、US6,210,891、US6,258,568およびUS6,274,320)。ピロ配列決定では、放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に直ちに変換されることにより検出することができ、生じたATPのレベルは、ルシフェラーゼにより生じる光子により検出することができる。したがって、この配列決定反応は、ルミネッセンス検出システムによって、モニタリングすることができる。蛍光に基づく検出システムに使用される励起照射源は、ピロ配列決定手順には必要ではない。本開示のアレイにピロ配列決定を適用するために使用することができる、有用な流体系、検出および手順は、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれているWO12/058096A1、US2005/0191698A1、US7,595,883、およびUS7,244,559に記載されている。
【0201】
例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Shendureら、Science、309巻、1728〜1732頁(2005年)、US5,599,675およびUS5,750,341において記載されているものを含む、シークエンシング−バイ−ライゲーション(Sequencing−by−ligation)反応もまた有用である。一部の実施形態は、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Bains ら、Journal of Theoretical Biology、135巻(3号)、303〜7頁(1988年)、Drmanacら、Nature Biotechnology、16巻、54〜58頁(1998年)、Fodorら、Science、251巻(4995号)、767〜773頁(1995年)、およびWO1989/10977において記載されている、シークエンシング−バイ−ハイブリダイゼーション(sequencing−by−hybridization)手順を含むことができる。シークエンシング−バイ−ライゲーション手順とシークエンシング−バイ−ハイブリダイゼーション手順との両方において、アレイの部位に存在している核酸に、オリゴヌクレオチド送達および検出という繰り返しサイクルを施す。シークエンシング−バイ−ライゲーション手順またはシークエンシング−バイ−ハイブリダイゼーション手順用の試薬を送達するため、本明細書において、または本明細書において引用されている参照文献において説明されているSBS法向けの流体系を容易に採用することができる。通常、オリゴヌクレオチドは、蛍光標識されており、本明細書における、または本明細書において引用されている参照文献におけるSBS手順に関して記載されているものと類似の蛍光検出器を使用して検出することができる。
【0202】
一部の実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを必要とする方法を利用することができる。例えば、ヌクレオチドの組込みは、フルオロフォアを保有するポリメラーゼとγ−リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用により、またはゼロモードウェーブガイド(zeromode waveguide)(ZMW)を用いて検出することができる。FRETに基づく配列決定に関する技法および試薬は、例えば、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、Leveneら、Science、299巻、682〜686頁(2003年)、Lundquistら、Opt. Lett.、33巻、1026〜1028頁(2008年)、Korlachら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、105巻、1176〜1181頁(2008年)に記載されている。
【0203】
一部のSBSの実施形態には、ヌクレオチドが伸長生成物に組み込まれると放出される光子の検出が含まれる。例えば、放出された光子の検出に基づく配列決定は、電気検出器、およびIon Torrent(Guilford、CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている関連技法、またはそのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、US2009/0026082A1、US2009/0127589A1、US2010/0137143A1、またはUS2010/0282617A1に記載されている配列決定法およびシステムを使用することができる。
【0204】
例えば、本明細書において説明されている方法により作製された本開示のアレイの別の有用な用途は、遺伝子発現解析である。遺伝子発現は、デジタルRNA配列決定と呼ばれるものなどの、RNA配列決定技法を使用して、検出または定量することができる。RNA配列決定技法は、上で説明されているものなどの、当分野で公知の配列決定の方法論を使用して実施することができる。遺伝子発現はまた、アレイへの直接ハイブリダイゼーションにより実施されるハイブリダイゼーション技法を使用して、またはその生成物がアレイ上で検出される多重アッセイを使用して、検出または定量することもできる。例えば、本明細書において説明されている方法により作製された本開示のアレイは、1つまたは複数の個体に由来するゲノムDNA試料の遺伝子型を決定するために使用することもできる。本開示のアレイ上で実施することができる、アレイに基づく発現および遺伝子型解析のための例示的な方法は、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,582,420号、同第6,890,741号、同第6,913,884号、または同第6,355,431号、または米国特許公開第2005/0053980A1号、同第2009/0186349A1号、またはUS2005/0181440A1に記載されている。
【0205】
フローセルを用いる上記の方法の一部の実施形態において、単一タイプのヌクレオチドだけが、単一フロー工程の間、フローセル中に存在している。こうした実施形態において、ヌクレオチドは、dATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびそれらのアナログからなる群から選択することができる。フローセルを用いる上記の方法の他の実施形態において、複数の異なるタイプのヌクレオチドが、単一フロー工程の間、フローセル中に存在している。こうした方法では、ヌクレオチドは、dATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびそれらのアナログから選択することができる。
【0206】
フローセル中に存在している基材の表面のポリマーコーティングに結合している1種または複数のポリヌクレオチドについて、各フロー工程の間に組み込まれた1種または複数のヌクレオチドの決定は、ポリヌクレオチド鋳型において、またはその近傍で生じたシグナルを検出することにより実現される。上記の方法の一部の実施形態において、検出可能なシグナルは、光学シグナルを含む。他の実施形態において、検出可能なシグナルは、非光学シグナルを含む。こうした実施形態において、非光学シグナルは、1つまたは複数のポリヌクレオチド鋳型において、またはその近傍におけるpHの変化を含む。
【実施例】
【0207】
さらなる実施形態は、以下の実施例においてさらに詳細に開示され、これらの実施例は、特許請求の範囲を限定することを決して意図するものではない。
(実施例1)
ノルボルネン1aによりシラン処理されているガラス表面におけるPAZAMの固定化
【化21】

表面のシラン処理
【0208】
方法1(ガラス製真空デシケーターを使用するシラン処理):液体ノルボルネンシラン200μL〜500μLをガラス製バイアルの内側に堆積させ、ガラス製真空デシケーターに入れた。ガラス基材も上記のデシケーターに入れた。次に、このデシケーターを15〜30mTorrの圧力まで排気し、60〜125℃の間の温度のオーブンに入れた。シラン処理を1h続け、その後、このデシケーターをオーブンから取り出し、冷却して空気中に通気した。この工程の直後に基材を利用するか、または基材に追加の硬化工程(100℃で1h)および/またはエタノールによるすすぎなどの溶媒による洗浄工程を施した。
【0209】
方法2(YES CVDオーブンを使用するシラン処理):まず、基材をCVDオーブンチャンバに導入し、このチャンバを300mTorrの圧力まで排気した。この試料を最初に酸素プラズマにより10min処理した。プラズマによる活性化後、チャンバを排気し、基本圧500mTorrで水0.5mLを注入することによる、10minの再水和サイクルを実行した。さらなるパージサイクルの後、シラン処理プログラムを実行した。15minの遅延時間後、シランのバルブを0.15秒間の開、20秒間の閉に設定した。シラン処理を500mTorrの基本圧力、および125℃のチャンバ温度で60min、次いで、2回の窒素パージサイクルをやはり125℃で行った。次に、このチャンバを3minかけて、通気した。YESオーブンのシラン処理サイクルは、高度に自動化され、制御されていた。シラン処理工程の間、ノルボルネンシランの容器を120℃に維持し、シラン蒸気のラインを125℃の一定に維持した。真空ラインを145℃に維持した。サイクルの完了後、基材を取り出し、短時間、オーブンの外で冷却し、続いて、追加の後処理を行うことなく使用した。これらの基材は、シラン処理後、少なくとも1か月、使用可能であった。
PAZAMの堆積および表面の架橋
【0210】
ノルボルネンシラン処理したガラス基材の上部に水性PAZAM(0.25%+5%エタノール)500μLを堆積させ、表面全体に広げた。以下の手順を含むスピンコーティングにより、PAZAMの薄膜を得た:工程1−600rpm、5秒間、加速1500rpm/秒、工程2−1500rpm、30秒、加速5000rpm/秒、工程3−4000rpm、5秒間、加速5000rpm/秒、工程4−600rpm、5秒間、加速5000rpm/秒。他のスピンコーティング処方も使用することができる。スピン−コーティングの後、この基材をオーブン中、またはホットプレートで1h、65〜75℃に加熱した。
【0211】
洗い流し:加熱工程後、45℃で音波照射工程(10min)を加えることにより、基材を水中で洗浄し、非結合PAZAMを除去し、次いで、多量の水によるすすぎ、および窒素銃による乾燥を行った。
【0212】
プライマーのグラフト:KPi(10mM)中のアルキンオリゴヌクレオチドを、60℃で30分間、PMDETA、硫酸銅およびNaAsc(500mg/mL水溶液)と反応させることによるプライマーのグラフト工程に、上記の調製した基材を使用した。
【0213】
QC:プライマーのグラフト工程を完了した後、このグラフトプライマーにTET品質管理を施した。TETは、P5/P7プライマーに対する相補的配列を有する、色素標識されたオリゴヌクレオチドである。TETは、表面のP5/P7プライマーにハイブリダイズすることができる。過剰のTETは、洗い流すことができ、結合した色素濃度を、Typhoon Scanner(General Electric)などの走査装置を使用する蛍光検出により測定することができる。色素濃度の強度は、ヒドロゲル固定化後の残存しているパーセント表面の指標として測定した。PAZAMの堆積および表面架橋の手順も、その全体が参照により組み込まれている、米国出願第13/784,368号に開示されている。
【0214】
図1Aは、ノルボルネン−シラン誘導体[(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル)エチル]トリメトキシシラン(1a)によりシラン処理し、続いて、PAZAMによりコーティングして熱的に架橋したD263Schottガラス基材を示している。暗いエリアは、P5/P7プライマーをグラフトし、TET色素により誘導体化した相補鎖とハイブリダイズした際に観察された実際の蛍光強度である。図1Bは、同じグラフトノルボルネン(1a)によるシラン処理/PAZAMコーティングされた非パターン化表面であって、相補的なTET色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズした非パターン化表面の各レーンに対する蛍光強度中央値の関連グラフを示している。
(実施例2)
ナノウェル基材における、PAZAMによりパターン化した表面の調製
【0215】
PAZAMポリマーおよび化学機械研磨(CMP)によりナノウェル基材を一体化することにより、パターン化された配列決定可能なクラスターを作り出した。ナノウェル基材(直径400nm、ピッチ750nm、ウェル深さ300nm)をIlluminaにより開発された知的所有権のあるナノ加工処理による加工を行い、ナノインプリントリソグラフィを使用するTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd(TSMC)に外部委託した。実施例1のノルボルネンシランを基材の表面全体にCVDにより堆積し、PAZAMをスピンコーティングして、60〜70℃に加熱して基材表面にポリマーの共有結合による連結基を作り出した。CMP法による、水中の3μm SiOマイクロ粒子の10wt%スラリーを用いて表面を磨くことにより、介在する共有結合により連結したポリマーを除去した。次に、パターン化したポリマーの基材を標準的なIllumina プロトコールに従って、プライマーによりグラフトした。Typhoonイメージャーを用いて、基材上にパターン化したプライマーを画像化した。次に、phiX DNAを基材に接種し、Illuminaの知的所有権のある増幅プロトコールによりクラスターを形成させて、Twist DXキット(等温増幅)から導いて、配列決定した。配列決定は、標準的なSBSシークエンシング試薬キットを使用して、Illumina HiSeq 2000で行い、Illuminaのsequencing analysis viewerを使用してこのメトリクスを抽出した。配列決定の分析データにより、ノルボルネンシラン処理した基材の配列決定メトリクスは、アクリルアミドにより官能基化した基材のそれと等価である。
【0216】
図2Aは、ノルボルネン−シラン誘導体(1a)によりシラン処理し、続いて、PAZAMによりコーティングして熱的に架橋した、ナノウェルによりパターン化したD263Schottガラス基材を示す。暗いエリアは、過剰のPAZAMを化学機械研磨した後、およびP5/P7プライマーをグラフトし、TET色素により誘導体化した相補鎖とハイブリダイズした際に観察された実際の蛍光強度である。図2Bは、相補的なTET色素含有オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズした、同じグラフトノルボルネン(1a)によるシラン処理/PAZAMコーティングした非パターン化表面の、各レーンに対する蛍光強度中央値の関連グラフを示す。
【0217】
ノルボルネンシラン処理された基材は、追加の架橋剤の必要性を排除するばかりではなく、ノルボルネンシラン処理した基材は、PAZAMに対して優先的な親和性を示し、かつPAZAM水溶液の拡散を促進した。その結果、PAZAMコーティングが一層均一になり、基材の品質変動にそれほど敏感ではなかった。図3Aは、標準的なアクリルアミド官能基化表面を使用するスピンコーティングの典型的な失敗の結果としての、フローセルのtyphoon画像を示している。図3Bは、より均一なコーティングがもたらされているノルボルネンシラン誘導体(1a)によるシラン処理したフローセルのtyphoon画像を示している。図3Cは、固−液界面の表面エネルギー間に、エネルギーの大きな不整合が存在する場合でさえも、水の塗りつけと比べて、0.25%PAZAM水溶液は、ノルボルネンシラン誘導体(1a)によりシラン処理した表面を湿らせることを示している。
(実施例3)
表面安定性試験
【0218】
ノルボルネンシラン処理/PAZAMコーティング基材も良好な保管寿命を実証した。YES法を使用して、実施例1のノルボルネンシランによりいくつかのパターン化基材および非パターン化基材をシラン処理し、次に、実施例1および2において記載されている方法を使用して、PAZAMコーティングおよび架橋を施した。パターン化基材は、室温、暗所で、デシケーター内のスライド担体に保管した。30日後、これらの基材を配列決定し、許容されるTET QC結果および配列決定メトリクスをもたらした(図4)。
(実施例4)
BCN修飾したオリゴによるプライマーのグラフト
【化22】
【0219】
PAZAMによりコーティングした表面にBCN修飾したオリゴをグラフトする方法の一実施形態は、以下の通りである:標準P5およびP7(チオリン酸およびアルキン)オリゴと同じ配列を含有する5’修飾BCN P5およびP7オリゴを使用し、触媒を何ら使用しないで、PAZAM(0.25%w/v)によりコーティングしたフローセル表面と反応させた(スキーム2)。まず、表面を3−アミノプロピルトリメトキシシラン(aminopropyltrimethoxoysilane)(APTMS)で処理し、次いで塩化アクリロイル(無溶媒の塩化アクリロイル80μL、および無水MeCN1880μL中のDIPEA40μL)または活性化されているアクリロイルNHSエステル(KPi中、20mg/mL、pH=8.0、200mM)で処理することにより、PAZAMによりコーティングされた表面を調製し、不飽和アクリルアミド基を形成させた。次に、PAZAMをこの不飽和表面に導入し、基材を60℃で50〜75min、インキュベートした(静置)。一般法は、その全体が参照により明細書に組み込まれている、米国出願第13/784,368号に記載されている。フローセルの各レーンに関する詳細な実験条件は、以下の表1に例示されている。
【表1】
【0220】
上記のBCN修飾オリゴの触媒を使用しないグラフトを使用する、フローセルのグラフト表面の初期Typhoon画像が、図5Aに図示されている。このフローセル表面に熱応力試験を施し、グラフトされたコーティングの頑健性を求め、図5Bに示されている結果は、シグナルの低下(表面減少とほぼ相関する)が最小限であり、標準レーンと一致することを実証した。
【0221】
最適なプライマー密度を得るための実験条件を探索するため、様々な濃度のBCN修飾オリゴも試験した(表2)。PAZAMによりコーティングしたフローセル表面は、実施例1に記載されているものと同様の手順を使用して、ノルボルネン修飾シランから調製した。次に、様々な濃度のBCN修飾プライマーをポリマー層にグラフトした。銅不含グラフト法および様々な濃度のBCNプライマーを使用したフローセルのグラフト表面の初期Typhoon画像を図6Aに実証している。このフローセル表面にも熱応力試験を施し、図6Bは、表面の熱応力負荷前および後に実施した、TET QC解析からの結果を示している。
【表2】
【0222】
グラフトしたフローセル表面に行ったブリッジ増幅は円滑に進行した。蛍光顕微鏡を使用して、これらのクラスターを検査し、それらは対照レーンにおいて成長したものと同等であるように見えた。図7Aは、BCNプライマーでグラフトした表面から成長したクラスターの蛍光画像を示している。鋳型の接種濃度は0.5pMとした。同様に、図7Bは、鋳型濃度が3pMである場合の、BCNプライマーによるグラフト表面から成長したクラスターの蛍光画像を示している。
【0223】
次に、BCN修飾オリゴグラフトしたフローセル表面を、HiSeq装置を使用するいくつかの配列決定実験に取り入れた。メトリクスのレベルの高さは、対照レーンと同等であった。SBSデータの比較により、配列決定メトリクスのレベルの高さは、標準アルキンオリゴを使用してグラフトしたPAZAM表面から現在のところ得られている結果とかなり同等であることが示される。
(実施例5)
BCNオリゴによるプライマーのグラフト
【0224】
本明細書に記載されている基材表面の調製法の一部の実施形態において、原料となる基材をまずシラン誘導体、例えば、ノルボルネン誘導体化シランによりコーティングし、次に、その表面にPAZAMをスピンコーティングする。次に、この基材を磨いて組み立て、続いてプライマーのグラフトおよびQCを施す。予備グラフトしたPAZAMを使用し、溶液中、標準P5およびP7オリゴでPAZAMを官能基化することによる基材調製の代替手法も探索した。この方法は、いくつかの重要な利点をもたらす。プライマーのグラフト工程を上流に移動することにより、より効果的なポリマー精製およびオリゴの使用量の一層高度な制御が行われて、表面のプライマーの標的密度を実現することができると思われる。さらに、コーティングした基材表面は、鋳型のハイブリダイゼーションのために必要なプライマーをすでに含有していると思われるので、完成した基材へのワークフローを短縮することができ、こうして、適切にグラフトされた表面を実現するために特化した流体装置を使用する必要がなくなる。
【0225】
混合したP5/P7 BCN修飾プライマー(全濃度=15μM)の溶液をPAZAM(0.5w/v%)水溶液に加え、得られた混合物を70℃で2時間、加熱した。室温まで冷却した後、この混合物を使用して、ノルボルネンにより誘導体化したシラン層により予備処理した、標準的なHiSeqフローセルをコーティングした(スキーム3)。
【化23】
【0226】
予備グラフトした表面に標準的な熱応力試験を施し、シグナルの減少(表面減少に相当する)は、対照と同等であった。Illuminaの標準プロトコールにおいて記載されている標準試薬を用いて、2×26HiSeq SBS配列決定実験を行った。図8Aは、予備グラフトしたPAZAM表面から得られたクラスターのタイプを示している。接種鋳型濃度は、低下させた(0.5pM)。図8Bにおいて、接種濃度を3pMまで増加させた、同じフローセルのチャネルからの底面を示している。クラスター密度の変化は、予期される範囲内にあり、したがって、この新しい表面は、対照表面と非常に類似した挙動であることを示している。画像(図8Aおよび8B)の検査により、これらのクラスターは、わずかな変動は、半値全幅(FWHM)(見かけ上のクラスターサイズに対する代用として内部で使用している)を考慮することにより見積もられる見かけ上のクラスター「サイズ」であるという、典型的なものであることを示している。これは、こうしたクラスターの強度が低下したことと一致している。予備グラフトした、対照とBCN修飾プライマーでグラフトしたチャネルに関するSBSメトリクス間の比較により、SBSサイクルは、表面に生じるクラスターから進行したことが確認される。
【0227】
MiSeq装置を使用して、類似のより長いSBSの実験を行った。この場合、標準PAZAM溶液を70℃で3時間、BCN修飾プライマーとインキュベートした。次に、標準プロトコールに従い、得られたグラフトポリマー混合物をノルボルネン官能基化MiSeqフローセルに塗布した。オンボードのクラスター生成に続き、標準4チャネルシステムを使用して2×151サイクルのSBS実験を行った。図9は、標準MidSeqシステム(2×151のSBS)から得られた予めコンジュゲートされているPAZAM混合物によりコーティングされたチャネル表面から成長したクラスターのサムネイル画像を示す。画像の右側の部分は、画像の左側の部分の拡大図である。
【0228】
この試行からのすべてのサイクルに関するSBS画像は、標準(SFAおよびPAZAM)SBS実験に由来するものと同等である。シグナル対ノイズ比の測定値は、標準表面と比べて、やはり非常に類似しており、配列決定の間に、色素分子の明らかな取込みは起こっていないことを示している(すなわち、このポリマーコーティングは、さらなる変化を受けていないように見える)。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8AB
図9