特許第6873303号(P6873303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873303
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】マイクロニードルおよびチップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   A61M37/00 514
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-157801(P2020-157801)
(22)【出願日】2020年9月18日
(62)【分割の表示】特願2018-540396(P2018-540396)の分割
【原出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2021-495(P2021-495A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2020年10月19日
(31)【優先権主張番号】1530184-9
(32)【優先日】2015年12月4日
(33)【優先権主張国】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518194453
【氏名又は名称】アシリオン アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Ascilion AB
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス レンルンド
(72)【発明者】
【氏名】ペレ ラングステン
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/016579(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0091226(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/088492(WO,A1)
【文献】 特開2013−169404(JP,A)
【文献】 特表2007−504438(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0275521(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0019331(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(102)上に提供されたマイクロニードル(101)であって、
ベベル(505)を備えた遠位端部(504)から前記基板上の近位端部(506)まで長手方向軸線に沿って延びる細長い本体(503)を有し、
前記細長い本体は、前記ベベル(505)から該細長い本体の長手方向に延びておりかつ流路(508)を規定する毛管孔(507)を有しており、
前記近位端部は前記基板に接続されておりかつ前記毛管孔は前記基板の流体チャネル(309)と流体連通しており、300〜600μmの長さを有するマイクロニードルにおいて、
前記遠位端部における前記毛管孔の前記長手方向に対して垂直方向の前記毛管孔の断面積が、前記近位端部における前記毛管孔の前記長手方向に対して垂直方向の前記毛管孔の断面積よりも大きく、
前記毛管孔の前記断面積は、前記長手方向に沿って前記遠位端部から前記近位端部に向かって徐々に減少していることを特徴とする、マイクロニードル。
【請求項2】
前記毛管孔の横断面は、前記マイクロニードルの前記長手方向に対して垂直方向で三角形の横断面(610)を含む、請求項1記載のマイクロニードル。
【請求項3】
前記毛管孔の前記三角形の横断面により形成される三角形は、少なくとも1つの丸みのある角(611)をむ、請求項記載のマイクロニードル。
【請求項4】
前記毛管孔は、親水性表面を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のマイクロニードル。
【請求項5】
前記流体チャネルは、前記毛管孔に、大気圧に対して負圧を提供するように構成されており、記毛管孔を通る流体流れが促進される、請求項1から4までのいずれか1項記載のマイクロニードル。
【請求項6】
前記細長い本体は、さらに、前記マイクロニードルの1つの側から横穴を有しかつ径方向に延びており、前記横穴は、前記毛管孔と流体連通している、請求項1から5までのいずれか1項記載のマイクロニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、体液をサンプリングするためのマイクロニードルおよびチップに関する。本発明は、特に、基板に設けられたマイクロニードルに関する。マイクロニードルは、ベベルを備えた遠位端部から基板上の近位端部まで長手方向軸線に沿って延びる細長い本体を有しており、細長い本体は、細長い本体の長手方向に延びる毛管孔を有しておりかつ流路を規定しており、近位端部は基板に接続されており、毛管孔は基板の流体チャネルと流体連通している。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルのための多くの適用分野が存在するが、公開されたマイクロニードルの大多数は、様々な形式での薬剤送出に関する。薬剤送出目的の小型化されたニードルの配列の概念は、70年代の米国特許第3964482号明細書(US 3,964,482)に遡る。科学的な文献における最も早期の報告されたマイクロニードルの1つは、“A silicon-based, three-dimensional neural interface: manufacturing processes for an intercortical electrode array.”, IEEE Trans Biomed Eng.,1991 Aug; 38(8):758-68, Campbell他における、4.2mm×4.2mmの面積に1.5mmの長さの100個のニードルを特徴とする面外シリコンニードル配列であった。結局は、マイクロエレクトロニクスは20世紀の後半までだったが、バイオセンシング技術は21世紀までであろう。集積回路(IC)は、今日では我々の日常生活に甚大な影響をもたらしており、大量生産バイオセンシングの同じ小型化およびコスト利点を利用することは、臨床診断および健康モニタリングを高価な実験室から小さな手持ちの消費者装置へと変化させるであろう。測定される分析物のサンプリングはバイオセンシングのための前提条件である。科学的文献に記載された多くの設計は、体液、すなわち血液または間質液(ISF)を抽出するという目的を有する。血液の成功した抽出は、血管系における自然の「過圧」を利用することにより実証されてきた。しかしながら、拡散またはその他の機構による、負圧なしのISFの成功した抽出は、希であるかまたは不存在でさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の狙いは、従来公知のマイクロニードルの上述の欠点および欠陥を排除し、改良された解決策を提供することである。
【0004】
本発明の目的は、間質液(ISF)の容易なサンプリングを可能にする、冒頭に定義したタイプの改良されたマイクロニードルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、添付の請求項に定義されたようなマイクロニードルおよびチップのそれぞれで達成される。
【0006】
第1の態様において、本発明は、基板に提供されたマイクロニードルであって、ベベルを備えた遠位端部から基板上の近位端部まで長手方向軸線に沿って延びる細長い本体を有し、細長い本体は、細長い本体の長手方向に延びる毛管孔を有しておりかつ流路を規定しており、近位端部は基板と一体的に接続されておりかつ毛管孔は基板の流体チャネルと流体連通している、マイクロニードルにおいて、遠位端部における毛管孔の断面積が、近位端部における毛管孔の断面積よりも大きいことを特徴とする、マイクロニードルに関する。ベベルは、毛管孔の長手方向軸線に対する傾斜した面と呼ばれる。
【0007】
第2の態様において、本発明は、チップであって、基板上に一体に形成された複数のマイクロニードルを備え、各マイクロニードルは、ベベルを備えた遠位端部から基板上の近位端部まで長手方向軸線に沿って延びる細長い本体を有し、細長い本体は、細長い本体の長手方向に延びる毛管孔を有しておりかつ流路を規定しており、遠位端部における毛管孔の断面積が、近位端部における毛管孔の断面積よりも大きく、近位端部は基板と一体に形成されており、第1の流路は、基板の流体チャネルと流体連通しており、基板は、流路を形成する流体チャネルを有し、流体チャネルは、流体チャネルの深さよりも大きな幅を有する、チップに関する。
【0008】
第1の態様の付加的または代替的な特徴が以下で説明される。
【0009】
マイクロニードルの毛管孔の断面積は、遠位端部から近位端部に向かって長手方向に沿って徐々に減少していてもよい。このことは、毛管孔内の流体に作用する毛管力によって、毛管孔を通る流体流れの改良に寄与する。
【0010】
毛管孔の(長手方向に対して横方向の)横断面は、さらに、少なくとも1つの丸みのある角を有する。このことは、毛管孔の濡れに寄与し、これは、流体流れに好ましい効果を有する。
【0011】
毛管孔は、三角形の横断面を有していてもよい。三角形の横断面は、毛管孔内の極めて良好な流体流れを提供することが実証されている。本出願における三角形の横断面は、実質的に三角形の形状を有する横断面、すなわち、凸形状または凹形状または直線形状を備える縁、鋭角を備える角または鈍角を備える角および丸みのある角を備える横断面を含む。
【0012】
毛管孔の壁部は、親水性表面を有していてもよく、これは、毛管孔における流体流れを高める。
【0013】
流体チャネルは、毛管孔に、大気圧に対して負圧を提供するように構成されていてもよく、これにより、毛管孔を通る流体流れが改良される。負圧は、例えば、流体チャネルに接続されたシリンジを用いて形成されてもよい。
【0014】
マイクロニードルの細長い本体は、さらに、長手方向に対して半径方向に延びる横穴を有していてもよく、横穴は、毛管孔と流体連通している。これは、毛管孔における詰まりのリスクが低減されるという効果を有する。
【0015】
以下では、第2の態様の代替的または付加的な特徴が示される。
【0016】
毛管孔の壁部の少なくとも一部が流体チャネルの壁部の一部を形成してもよいチップにおいて、流体流れが高められる。
【0017】
チップの流体チャネルは、90度よりも小さな角度θでの方向変化を有していてもよい。流体チャネルの鋭い曲がりを回避することによって、流体流れが高められる。
【0018】
チップは、流体チャネルと流体連通する流体ポートを有するベース基板をさらに有し、流体ポートは、ベース基板の裏面で開放している。これは、センサエレメントまたは別の流体チャネルに接続することができる、サンプリングされた流体へのアクセスポイントを提供する。
【0019】
流体ポートは、ベース基板の後側に向かって、ポートの長手方向で増大する面積を有していてもよい。これは、チューブまたはシリンジなどの他の流体チャネルへの、流体が漏れない接続を可能にする。
【0020】
ベース基板は、陽極/直接ボンディングによって基板に作動的に接続されていてもよく、これは、接着剤によって流体チャネルを詰まらせるリスクなしに、強い、流体が漏れないシールを提供する。
【0021】
チップ上の複数のマイクロニードルは、マイクロニードルの遠位端部と同じ高さの縁によって包囲されていてもよい。これは、マイクロニードルの遠位端部との係合中に、試験対象の膜を緊張させるという効果を有する。
【0022】
本発明の上述の特徴および利点ならびにその他の特徴および利点のより十分な理解は、同封の図面を参照した実施の形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】複数のマイクロニードルを備えるチップの概略斜視図である。
図2】複数のマイクロニードルを備えるチップの概略平面図である。
図3】流体チャネルを備える基板の下面図である。
図4図2中の線C−Cに沿った断面図である。
図5】マイクロニードルの断面図である。
図6】マイクロニードルの長手方向軸線に沿った断面図である。
図7】流体チャネルを備える基板の下面図である。
図8】基板上のマイクロニードルの概略斜視図である。
図9】流体チャネルおよび毛管孔を備える基板の裏面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、以下の考察に基づく。注意深く検討したとき、従来技術におけるマイクロニードルは、良好な歩留りで製造することができないことが明らかであり、ほ乳類における安全な使用を可能にするように十分に頑丈ではなく、または実際の抽出は可能な限り小さなフォントで書かれた複数の注意書きで行われる。従来技術に記載された注意書きおよび免責条項の例は、例えば、抽出は、豚の皮膚、制御された研究における水疱を有するほ乳類または抽出の前に最も外側の皮膚層、すなわち角質層が除去されたほ乳類においてのみ実証されてきたということである。したがって、マイクロニードルの頑丈な、大量生産可能な設計を発明、設計および実現することができ、毛管力のみを使用し、負圧または吸引を使用しないで抽出が行われる安全な抽出を許容する、ということは全く驚くべきことであったと言ってもよい。
【0025】
本発明の幾つかの実施の形態によれば、本発明は、100マイクロメートルの、しかしながら1mm以下の最小距離だけ互いから離れて配列またはマトリックス上に組織化された複数のニードルを含むマイクロニードルチップセットの設計に関し、包囲する構造と同じ平面または包囲する構造よりも僅かに低い鋭い先端部を有し、先端部は、54.7度のベベルを有し、ニードルは、詰まりなしの抽出を可能にする毛管寸法を備える中空ボアを有し、シャフトは、200マイクロメートルよりも長く、および、裏面チャネル内に整列していない孔が接続する、収集チャネル/空所/キャビティまでずっと液体に毛管力を作用させる内部寸法および形状を有する。
【0026】
本発明の幾つかの実施の形態によれば、本発明は、上述した複数のマイクロニードルを備えるチップセットによって特徴づけられ、
・ニードルは、結晶学的平面によって規定された鋭い先端部を有する。
・各ニードルのベベルスロープは、111の平面によって規定されている。
・各マイクロニードルは、毛管孔、例えば、1つの毛管孔を有していてもよい。これにより、マイクロニードル、流体キャビティおよび流体出口ポートを通って毛管吸引によって体液が抽出可能である。
・各マイクロニードルには、毛管孔を詰まりから遮蔽するためのキャップが遠位端部に設けられており、これにより、毛管孔への少なくとも1つの開口が、マイクロニードルの軸方向または長手方向の延びに対して垂直な、マイクロニードルの横方向で提供されている。
・各マイクロニードルの毛管孔には、親水性表面が設けられていてもよい。これにより、体液の毛管流れを補助することができる。
・各マイクロニードルは、マイクロニードルの長手方向に沿って延びる複数の切断エレメントを有していてもよい。これにより、体液の抽出を容易にするために、皮膚を切開することができる。
・ニードルのベベル上に投影された各マイクロニードルのボア孔の外周は、先端部が外周の外側になるように、先端部から所定の距離に配置されている。
・各マイクロニードルは、200〜1000μm、好適には400〜900μm、より好適には300〜600μmの長さと、400〜800μmの外周とを有していてもよい。これにより、マイクロニードルは、皮膚の貫通および体液の抽出に適した寸法を有する。
・毛管システムを含む側に投影されたボア孔の部分は、接続毛管の外側にあり、表面張力を最小限に減じる最大化された壁表面を形成する。
・ボア孔と毛管との間の各接続部は、張力駆動される流れを可能にするために、最小限の接触角度で設計されるべきである。
・流体と接触する表面は、親水性であるべきである。
・各ニードルのシャフトは、柄がない。
・鉛直方向ボア孔は、ある分子にとって選択的かつ特定の材料で満たされてもよく、これにより、一体化された抽出および検出チップセットを形成する。フィラー材料は、例えば、グルコースオキシダーゼおよび炭素粉末であってもよく、これにより、グルコース特定抽出および検出チップセットを形成する。
・マイクロニードルの周囲に沿って、複数の開口が横方向に提供されてもよい。少なくとも1つの開口は、マイクロニードルの長手方向延びに沿ったほぼ中間に提供されてもよい。これにより、体液の抽出が容易になり、詰まりのリスクがさらに減少する。
【0027】
本発明の幾つかの実施の形態によれば、本発明は、さらに、複数のニードルが以下の形態である上述のチップセットによって特徴づけられる:
・好適には15mm未満の直径を有する、マイクロニードルの長手方向に沿って突出した構造として構成された指の先端部を支持するように寸法決めされたフレーム構造を有する。
・指の先端部を支持するように寸法決めされたフレーム構造によって少なくとも部分的に包囲されていてもよい。これにより、皮膚への少なくとも1つのマイクロニードルの貫通を容易にするために、指の先端部の皮膚を支持しかつ緊張させることができる。
・ニードルの先端部と少なくとも同じ平面へ突出した包囲構造によって保護されており、例えば、本明細書に記載されたチップセットのMEMS製造の場合にウェハの取扱いを可能にする。
・上述の複数のニードルによる貫通の前に皮膚を引っ張る包囲構造を有する。
・それらの中空構造により、体液をサンプリングするための入口を構成している。これにより、間質液(ISF)などの体液を、患者にとって最小限の不快感で抽出し、センサへ導入することができる。
・様々なパターンで毛管の収集網を有しており、利点として、液体の収集および貯蔵が蒸発の問題なしに行われる。これにより、チップはサンプリングすることができ、分析を実験施設内で行うことができる。
・液体が壁部を濡らし、これにより、毛管作用によって、裏面上の収集チャネルを充填するように、鉛直方向ボア孔と、横方向に整列されていない収集毛管との間に境界面を有する。
・針のむしろ(bed of nails)の影響を回避するために、互いから200ミクロンの最小距離に配置されている。
・結晶学的方向または好適には同じ方向に向けられたベベルを有する。
・一体化された、例えばエッチングされた毛管を使用してニードルの少なくともサブセットの間の接続を可能にするように配向されている。
・全てを毛管システムと組み合わせることができ、流体出口ポートへの毛管流れを可能にする。
【0028】
構成
・別の構成では、上記のサンプリングチップセットは、検出ユニットに関連して使用することができる。検出ユニットは、他の手段によって抽出チップセットに結合されたまたは取り付けられたウェハであってもよいが、毛管チューブまたは同等の流れシステムを介して接続されていてもよい。
・検出ユニットは、体液中のグルコースレベルを検出するために構成されていてもよく、すなわち、グルコースセンサであってもよい。これにより、体液中のグルコースレベルの迅速かつ正確な検出のためのセンサを提供することができる。
・センサは、体液中の乳酸塩、二酸化炭素またはその他の分子の濃度または存在を検出するように構成されていてもよい。これにより、体液中の上述の分子またはその他の分子、イオンまたはバイオマーカーレベルの迅速かつ正確な検出のためのセンサを提供することができる。
【0029】
本発明の第1の実施の形態において、全体が符号115で示されたチップが、図1に斜視図で示されている。チップ115は、基板102上に配置された複数のマイクロニードル101を備える基板102を有している。各マイクロニードルは、毛管孔107を有する。毛管孔107は、マイクロニードルおよび基板102を貫通して延びている。上記の段落において、毛管孔107は、鉛直方向の孔であることが示されている。基板102は、さらに、上縁117を備える包囲壁112を有する。上縁117は、マイクロニードルと同じ高さを有していてもよい。これは、試験対象の指がマイクロニードルと相互作用することが想定されている場合、極めて有効であることが分かっている。なぜならば、皮膚の緊張効果が達成されるからである。
【0030】
図2には、図1のチップが上方から示されている。この図は、基板102上のマイクロニードル101の配列を示している。マイクロニードル101は、好適には、針のむしろの影響を回避するために、隣接するマイクロニードルの間に200μmの最小距離AおよびBを有して配置されている。しかしながら、隣接するマイクロニードルの間の距離は、100μm〜1mmの間隔であってもよい。この図では、線C−Cも示されており、この仮想線は、基板およびマイクロニードルの断面を規定するために後で使用される。
【0031】
図3には、マイクロニードルの間に流体連通を提供する流体チャネル309のパターンが示されている。この図は、基板102の裏面から見た図である。この図では、マイクロニードルの毛管孔107が示されており、基板102の流体チャネル内へ開放している。流体チャネル309は、浅く、好適には対応する深さよりも大きな幅を有している。流体チャネルは、流体チャネル内の流体流れをさらに高めるために、減少する断面積を有していてもよい(図示せず)。流体チャネルは、流体チャネルポート318を中心とするらせん状パターンで配置されている。1つの実施の形態では、流体チャネルのパターンは、周囲のマイクロニードルの毛管孔(図示せず)を接続する周囲の流路を含んでいてもよい。これは、流体チャネル309が詰まったときでも、流体流れが流体チャネルポート318へ供給されるという効果を有する。
【0032】
図4は、マイクロニードルの列および基板102の、仮想線C−Cに沿った断面図である。つまり、基板は切断され、側面図で示されている。この図では、マイクロニードル101は切断されて示されている。マイクロニードルは、マイクロニードルの材料の結晶学的平面によって規定されたベベル505を有する。毛管孔507は、流体チャネルポート318および流体チャネル309と流体連通している。基板102は、流体ポート414を有するベース基板413に作動的に接続されている。流体ポート414は、傾斜した側壁を有していてもよい。傾斜した側壁は、他の装置への容易な、流体が漏れない接続を提供する。ベース基板413は、技術分野において公知の、ボンディング、例えば陽極または直接ボンディングによって基板102に作動的に接続されていてもよい。
【0033】
マイクロニードル101は、図5にさらに示されており、マイクロニードルは断面で示されている。マイクロニードル101は、遠位端部504と、基板102上の近位端部506とを備える細長い本体503を有する。この実施の形態では、マイクロニードルは基板と一体に形成されている。このような製造プロセスは、以下のプロセスステップを含んでもよい。
【0034】
フォトリソグラフィ(PL)と、例えば、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用した基板102のドライエッチングとによって、細長い本体503を形成する。
【0035】
異方性ウェットエッチングを使用して遠位端部504のベベル505を形成する。
【0036】
基板102上にフォトレジストを提供した後、ベベル505上に開口を備えるマスクを形成するPLによって、毛管孔507のためのマスクを形成する。
【0037】
ベベル505上のマスク開口を通じた基板102の前側からの毛管孔507のエッチング。
【0038】
上に概説した典型的なプロセスにおいて、基板102に提供されたフォトレジストは、スプレーコーティングレジストまたはドライフィルムレジストであってもよい。遠位端部504のベベル505は、特にバイオセンシング用途に適した鋭い縁を提供する。毛管孔507は、毛管孔507の周囲とベベルの鋭い縁の先端部との間の距離が得られるようにベベル505において開放している。毛管孔507は、細長い本体503の遠位端部504のベベル505から基板102上の近位端部506に向かって延びている。遠位端部504における毛管孔の断面積は、近位端部506における毛管孔507の断面積よりも大きい。これにより、毛管作用が高められ、毛管孔507を通る流体流れが増大する。
【0039】
マイクロニードル101の1つの実施の形態が、図6に上方から示されている。この図では、毛管孔507の三角形の横断面610が示されている。この用途では、三角形の横断面は、対応する角によって接続された3つの縁を備える形状を包囲している。縁は、直線、曲線、凸状または凹状であってもよい。角は、鋭くても、鈍くてもまたは異なるまたは同じ半径を有するように丸みづけられていてもよい。これにより、この用途内では、卵または心臓の形状を有する横断面が三角形であると考えられる。毛管孔の三角形610。図6において、毛管孔507の形状は、湾曲した角611を介して直線的なセクションに接続された凸状のベースを備える実質的に三角形である。毛管孔507のこの形状は、人間試験対象の指から間質液を抽出するために極めて効率的であることが実証されてきた。
【0040】
図7には、基板120の裏面の拡大図が示されている。基板102の裏面の流体チャネルポート318は、複数の流体チャネル309に接続されている。この図では、流体チャネル309の幅がWで示されており、湾曲した角度がθで示されている。張力駆動される流体流れを提供するために、最大湾曲角度は90度である。毛管孔507は、毛管孔の壁部916の少なくとも一部が流体チャネル309の壁部の一部を形成するように、流体チャネル309にも接続されている。これはさらに図9に示されている。
【0041】
最後に、図8には、マイクロニードル101の遠位端部が上縁117と同じ高さであることが示されている。この縁は、皮膚とチップとの接触時に皮膚の緊張効果を提供する。
【0042】
第1の実施の形態に関して開示された付加的な特徴は、第2の実施の形態に適用することもできる。
【0043】
1つの実施の形態では、基板102はシリコンから形成されており、ベース基板413はガラスから形成されている。
【0044】
添付の請求項は、開示された実施の形態と、開示から導出することができる、実施の形態の変更および実行とを含む発明の範囲を規定するために起草されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9