【実施例1】
【0018】
最初に、
図1〜
図6を参照して、本発明の実施例1を説明する。
図1は、本実施例の無人商品受け渡し装置(以下「商品受け渡し装置」とする)を示す正面図であり、
図2は、本実施例の商品受け渡し装置のドア部の一つを開いた状態を示す正面図である。
図3は、本実施例の商品受け渡し装置の構成を示す分解斜視図である。
【0019】
図1〜
図3に示すように、本実施例の商品受け渡し装置10は、一対の側面18、20と、背面22と、正面24と、上面26と、底面48からなる筐体12の内側に、3つの格納部14A〜14Cが設けられている。格納部14A〜14Cは、注文された商品50を格納するものである。商品50の具体例としては、例えば、フードやドリンク、薬、家電品、おもちゃ、服などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記格納部14A〜14Cの正面24側には、格納した商品50を取りだすために開閉するドア部40A〜40Cが設けられている。ドア部40A〜40Cは、紫外線を透過しやすい材質で形成されている。例えば、透明アクリル板やガラスなどが用いられる。
【0021】
また、ドア部40A〜40Cの外側には、ドアを開くためのつまみ44A〜44Cが設けられている。また、ドア部40A〜40Cには、後述する認証部で認証したドア部だけを解錠して、商品50の取り出しを可能にする解錠部42A〜42Cが設けられている。更に、ドア部40A〜40Cは、前記つまみ44A〜44Cの上方に、金具47A〜47Cが設けられており、当該金具47A〜47Cに対応する位置であって、筐体12の内側にはソレノイド46A〜46Cが設けられている。
【0022】
前記ソレノイド46A〜46Cが解錠されると、解錠されたソレノイド46A〜46Cのプッシュ部材(図示せず)が、ドア部40A〜40Cの金具47A〜47Cを押し、それに伴い、解錠部42A〜42Cの蝶番が動き、ドア部40A〜40Cを開くことができる。
【0023】
このように、紫外線を透過しやすい材質でドア部40A〜40Cを形成することにより、後述する第1の照射部30〜36から照射された紫外線が、ドア部40A〜40Cの内側から外側まで達するため、ドア部40A〜40Cのうち、商品50の受取者が触れる部分(例えば、つまみ44A〜44C)のウイルスを殺菌することができる。なお、受取者とは、例えば、商品の注文者や配達者などであるが、これに限定されない。
【0024】
図3に示すように、本実施例の商品受け渡し装置10の一対の側面18、20の内側の面はミラー板18A、20Aとなっている。また、天板28も、一対の側面18、20と、背面22と、正面24によって構成される枠組みの上に取り付けるとき、装置内部を向く面がミラー板となっている。
【0025】
更に、商品受け渡し装置10の内部を3つの格納部14A〜14Cに仕切るための棚板16A〜16Cは、両面がミラー板となっている。このような棚板16A〜16Cを、装置内部に適宜間隔で設置することで、3つの格納部14A〜14Cが形成される。なお、た棚板16Cの下方と、筐体12の底面48の間には空間が生じるが、この空間には、後述する認証部60やソレノイド46A〜46Cに通電するための電源や、必要に応じてクラウド等と接続する制御装置などを設けるようにしてもよい。
【0026】
このとき、上段の格納部14Aは、側面のミラー板18A、20Aと、天板28のミラー板と、棚板16Aのミラー板により、背面と正面以外の部分がミラーで囲まれることになる。中段の格納部14Bは、側面のミラー板18A、20Aと、上方の棚板16Aのミラー板と、棚板16Bのミラー板により、背面と正面以外の部分がミラーで囲まれる。同様に、下段の格納部14Cは、側面のミラー板18A、20Aと、上方の棚板16Bのミラー板と棚板16Cのミラー板により、背面と正面以外の部分がミラーで囲まれる。
【0027】
また、前記筐体12の内側の4隅には、前記格納部14A〜14Cを紫外線で照射してウイルスを殺菌するための第1の照射部30〜36が設けられている。第1の照射部30は、例えば、
図3に一部拡大して示すように、断面三角形の長尺な透明アクリル材によって形成されており、その一つの面が、LEDによって紫外線を照射する照射面30Aとなっている。同様に、第1の照射部32には照射面32Aが、第1の照射部34には照射面34Aが、第1の照射部36には照射面36Aが設けられている。
【0028】
このような第1の照射部30〜36は、
図3に示すように、各照射面30A〜36Aが、格納部の中央を向くように配置される。前記照射面30A〜36Aを点灯して紫外線を照射すると、それぞれ中央に向けて配置された照射面30A〜36Aから紫外線が照射され、格納部14A〜14Cに格納された商品50を殺菌する。また、各格納部14A〜14Cは、正面24と背面22を除いてミラー面で囲まれているため、紫外線が反射し、より殺菌の効果が高まる。なお、紫外線の照射により、格納された商品50の臭いを消すこともできる。
【0029】
更に、照射部30A〜36Cから照射された紫外線は、紫外線を透過しやすい材料で形成されたドア部40A〜40Cを透過し、ドア部40A〜40Cの外側まで達するため、商品50の受取者が触れる部分(例えば、つまみ44A〜44Cなど)のウイルスを殺菌することができる。
【0030】
次に、
図4及び
図5を参照して、認証部60について説明する。
図4(A)は、認証部の分解斜視図、
図4(B)は認証部に設けられるタブレットの一例を示す図である。
図5は、前記
図4(A)の縦断面図である。
【0031】
これらの図に示すように、認証部60は、タブレット台62と、タブレット90と、カバー部110によって構成されている。前記タブレット台62は、略三角形の一対の側面68A、68Bと、これら一対の側面68A、68Bに挟まれたタブレット90を載せるための載置台70と、筐体12側に取り付けられる背面64によって構成されている。前記背面64の上方には開口部66が設けられており、タブレット90の端子に接続したケーブルなどが通される。
【0032】
前記載置台70の上方は、垂直方向に立ち上がった立ち上がり部72を有し、更に、載置台70と略平行になるように折り返し部74が形成されている。前記折り返し部74には、適宜間隔で複数(図示の例では3つ)のマグネット76が設けられており、前記カバー部110と磁力によって着脱可能に接着する。
【0033】
前記載置台70の下方には、開口部78が設けられている。当該開口部78は、
図4(B)に示すような位置に、タブレット90のスピーカ96A、96Bが設けられている場合に、放音を妨げないような放音孔の機能を有する。
【0034】
更に、前記載置台70は、前記開口部78よりも下方が載置台72に対してほぼ直角となる立ち上がり部80となっており、更に、立ち上がり部80の先端は、前記載置台72に対して略平行になるように折り返し部82が形成されている。前記折り返し部82には、適宜間隔で複数(図示の例では3つ)のマグネット84が設けられており、前記カバー部110と磁力によって着脱が可能となっている。
【0035】
図4(B)に示すように、タブレット90は、フレーム92と、表示部94と、スピーカ96A、96Bと、複数の端子部98A〜98Cと、図示しないカメラ等を備えている。このようなタブレット90は、
図4(A)に示すように前記載置台72に載置され、端子部98A〜98Cに接続されたケーブルが、筐体下部正面102に設けられた開口部104から筐体12の内側に入り、そこに設けられた図示しない電源などに接続され、給電されている。なお、端子部98A〜98Cは、給電以外を目的とするために使用される端子であってもよい。
【0036】
前記載置台70に載置されたタブレット90は、例えば、
図5に示すように接着剤102で所定の位置に固定される。
【0037】
また、前記タブレット90のフレーム92の4辺には、それぞれ紫外線を照射するための照射部100A〜100Dが配置されている。照射部100A、100Bは、タブレット90の短辺側に、当該短辺とほぼ同じ長さで配置されている。照射部100Cは、タブレット90の下側の長辺側に、当該長辺とほぼ同じ長さで配置されている。照射部100Dは、タブレット90の上側の長辺側の一部に配置されている。これら照射部100A〜100Dは、
図5に示すように、断面が略三角形であって、基本的な構造は、前記照射部30〜36と同様であるが、タブレット90や載置台72に接触しない面に、紫外線を照射するLEDを備えた照射面が設けられている。
【0038】
次に、カバー部110は、前記タブレット90を載置したタブレット台62を覆うものであって、中央には、前記タブレット90の表示部94が露出するための略長方形の開口部112が設けられている。また、前記開口部112の上部中央には、例えば、タブレット90に設けられたカメラ(図示せず)を露出させるための凸状開口部114が形成されている。
【0039】
また、前記カバー部110の下方は、本体に対して略直角になるように折り曲げられた折り曲げ部116となっており、
図5に示すように、当該折り曲げ部116が、前記タブレット台62の下方の立ち上がり部80を覆う。このようなカバー部110は、例えば、金属プレートにより形成されており、前記マグネット76、84と磁力によって着脱可能となっている。
【0040】
以上のようなカバー部110を取り付けた状態では、
図5に示すように、照射部100Cの照射面に近接して立ち上がり部72、折り返し部74、カバー部110の開口部112の縁部等があるため、照射部100Cから照射された紫外線は、これらの近接する部材によって反射され、タブレット90を殺菌する。同様に、照射部100Dの照射面に近接して、立ち上がり部80、折り返し部82、カバー部110の開口部112の縁部等があるため、照射部100Dから照射された紫外線は、これらの近接する部材によって反射され、タブレット90を殺菌する。
【0041】
同様に、照射部100Aは、照射面に近接してタブレット台62の側面68A、カバー部110の開口部112の縁部等があるため、照射部100Aから照射された紫外線は、これらの近接する部材によって反射され、タブレット90を殺菌する。同様に、照射部100Bは、照射面に近接してタブレット台62の側面68B、カバー部110の開口部112の縁部等があるため、照射部100Bから照射された紫外線は、これらの近接する部材によって反射され、タブレット90を殺菌する。このように、タブレット90の周囲の四方から紫外線を照射することにより、商品50の受取者がタブレット90に触れる部分のウイルスを殺菌する。
【0042】
以上のような認証部60による認証は、例えば、
図1に示すように、受取者のスマートフォン120の表示部122に、認証用のQRコード124を表示させ、当該QRコード124を、商品受け渡し装置10の認証部60のタブレット90で読み取り、認証が成立すれば、該当するドア部40A〜40Cの解錠部42A〜42Cを解錠して、ドア部40A〜40Cを開ける。
図2には、受取者が受け取る商品50が格納部14Bに収納されている場合であって、上述した方法で認証が成立した場合に、格納部14Bのドア部40Bが開く様子を示している。
【0043】
あるいは、
図6に示す商品受け渡し装置10Aのように、認証部60Aの表示部94に固定のQRコード124を表示させるか、カバー部110に固定のQRコード124を貼る。そして、受取者が、自身のスマートフォン120で前記QRコード124を読み取ると、注文情報(どの格納部に注文商品がはいっているか)を参照して、該当する格納部14A〜14Cを解錠する。この場合は、QRコード124の読み取りが、受取者が到着したことを示す役目を果たす。
【0044】
あるいは、上記いずれかの認証方法において、タブレット90の表示部94に4桁の暗証番号を入力するような方法を組み合わせるようにしてもよい。
【0045】
いずれの認証の仕方であっても、格納部14A〜14Cに格納された商品50に紫外線を照射してウイルスを殺菌すること、商品50の受取者が触れる部分、すなわち、ドア部40A〜40Cのつまみ44A〜44Cや、認証部60の表示部94にも紫外線が照射されてウイルスが殺菌される。
【0046】
<効果>・・・本実施例1の無人で商品の受け渡しを行う無人商品受け渡し装置10では、注文された商品50を格納する格納部14A〜14Cと、前記格納した商品50を取り出すために開閉するドア部40A〜40Cと、前記格納部14A〜14Cを紫外線で照射してウイルスを殺菌する第1の照射部30〜36と、前記格納した商品50を受け取る受取者を認証する認証部60と、前記認証したドア部40A〜40Cだけを解錠して、前記商品の取り出しを可能にする解錠部42A〜42Cを備える。そして、前記ドア部40A〜40Cを、紫外線を透過しやすい材質とすることで、前記第1の照射部30〜36は、格納部14A〜14Cの内部のみならず、ドア部40A〜40Cの内側から外側まで紫外線を照射して、当該ドア部40A〜40Cの受取者が触れる部分のウイルスを殺菌する。このため、無人で商品の受け渡しを行い、かつ、受取者が触れる部分のウイルスを殺菌することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、
図7を参照して、本発明の実施例2を説明する。
図7は、本実施例の無人商品受け渡し装置を示す図であり、
図7(A)は分解斜視図、
図7(B)は商品受け渡し装置の横断面図であり、かつ棚板を示す平面図である。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする。上述した実施例1は、格納部が上下に3つ配置されたロッカータイプの商品受け渡し装置であったが、本実施例2は、格納部を上下に3段、横に2列、すなわち、6つの格納部を備えた商品受け渡し装置200の例である。
【0048】
商品受け渡し装置200の基本的な構造は、上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、商品格納部を横並びにも配置するために、筐体12の内部を、仕切り板202によって左右に区画している。前記仕切り板202は、両面がミラー面となっている。
【0049】
そして、第1の照射部30〜36は、
図7(B)に示すように、照射面30A〜30Dが格納部の中央を向くように、すなわち、仕切り板202の中央に向けて配置される。このような配置とすることにより、格納部の内部のみならず、格納部に設けられたドア部40A〜40Fの外側まで紫外線を照射することができ、格納された商品50のみならず、受取者が触れる部分のウイルスを殺菌することができる。
【0050】
なお、上述した実施例は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。
(1)前記実施例で示した商品受け渡し装置10、200はロッカータイプであるが、オフィス用のランチステーションボックスとしてもよく、格納部の数も必要に応じて増減してよい。
(2)前記実施例で示した認証部60による認証方法も一例であり、例えば、認証部60やスマートフォン120がクラウドと接続して認証するような態様であってもよい。
(3)前記実施例で示したミラー板を設ける部分も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
【0051】
(4)前記実施例では、第1の照射部30〜36により、格納された商品50の臭いを消臭することとしたが、これも一例であり、格納部内に、備長炭、活性炭、ポリフェノールのような消臭機能を有する他の消臭部を設けるようにしてもよい。また、照射部の配置も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更してよい。
(5)前記認証部60で認証した受取者のログ(例えば、日時、時間、どの店舗かなど)を記録する記録部を設けるようにしてもよい。
(6)前記実施例では、LEDで紫外線を照射することとしたが、これも一例であり、紫外線を照射することができるものであれば、LEDに限らず電球であってもよい。
(7)前記実施例で示した解錠の機構も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜設計変更可能である。