特許第6873308号(P6873308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873308
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】調理器具及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   A47J27/00 109J
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-500636(P2020-500636)
(86)(22)【出願日】2018年6月1日
(65)【公表番号】特表2020-526307(P2020-526307A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】CN2018089550
(87)【国際公開番号】WO2019071962
(87)【国際公開日】20190418
【審査請求日】2020年1月7日
(31)【優先権主張番号】201710933124.9
(32)【優先日】2017年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519394207
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンスィズ(ウーハン)カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516089359
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンスィズ,インコーポレーテッド オブ ジュハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオシャン
(72)【発明者】
【氏名】コン,ジンシ
(72)【発明者】
【氏名】メイ,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,リ
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−012110(JP,A)
【文献】 特開2009−000186(JP,A)
【文献】 特開2009−160381(JP,A)
【文献】 特開2013−039296(JP,A)
【文献】 特開2011−072706(JP,A)
【文献】 特開2006−326289(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105982526(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107019409(CN,A)
【文献】 米国特許第05744783(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋本体と鍋本体の内容物に加熱を行うための加熱部品とを含む調理器具の制御方法であって、
前記制御方法は、ボウ仔飯を調製するための方法であり、
ボウ仔飯の調製過程は、少なくとも第2の蒸らし過程と、前記第2の蒸らし過程より先に実行される第1の蒸らし過程と、を含む蒸らし段階を含み、
前記加熱部品は前記第1の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量が前記第2の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量より少なく、
前記調理器具は、前記第1の蒸らし過程の実行が完成した後、おこげとご飯の剥離操作を行うよう促すことを特徴する調理器具の制御方法。
【請求項2】
前記調理器具は、前記第1の蒸らし過程の実行が完成した後、蓋を閉める動作が検出されると、または継続してボウ仔飯を炊くコマンドを受信すると、または所定時間だけ経過すると、継続して前記第2の蒸らし過程を実行する請求項に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第1の蒸らし過程において、前記加熱部品が間欠的な加熱を行って、前記鍋本体を第1の所定の温度範囲内に維持し、及び/又は、
前記第2の蒸らし過程において、前記加熱部品が間欠的な加熱を行って、前記鍋本体を第2の所定の温度範囲内に維持する請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記第1の所定の温度範囲が115℃乃至135℃であり、及び/又は、
前記第2の所定の温度範囲が135℃乃至155℃である請求項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記第1の蒸らし過程において、前記加熱部品が第1の加熱デューティー比及び/又は第1のパワーで間欠的な加熱を行い、前記第2の蒸らし過程において、前記加熱部品が第2の加熱デューティー比及び/又は第2のパワーで間欠的な加熱を行う請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第1の加熱デューティー比はX:Yであり、Xは6乃至16秒で、Yは16乃至26秒であり、及び/又は、
前記第2の加熱デューティー比はX:Yであり、Xは16乃至26秒で、Yは6乃至16秒である請求項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記第1の蒸らし過程は継続時間が10乃至30minであり、及び/又は、
前記第2の蒸らし過程は継続時間が10乃至30minである請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ボウ仔飯の調製過程は、蒸らし段階の前に実行される昇温段階と沸騰段階をさらに含み、
前記昇温段階は、第2の昇温段階と前記第2の昇温段階より先に実行される第1の昇温段階とを含み、前記第1の昇温段階において、前記加熱部品が前記鍋本体を持続的に加熱し、前記第2の昇温段階において、前記加熱部品が第3の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行い、及び/又は、
前記沸騰段階において、前記加熱部品が第4の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行って、前記調理器具の内容物中の液体部分を沸騰状態に維持させる請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項9】
前記調理器具がボウ仔飯の調製過程を開始した場合、直接に前記昇温段階に移行するように前記調理器具を制御する請求項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記調理器具は、鍋本体の温度を反映するための鍋本体温度検知素子及び/又は鍋本体の内容物の温度を反映するための内容物温度検知素子をさらに含み、
前記調理器具は、前記鍋本体温度検知素子及び/又は前記内容物温度検知素子により検知された温度に応じて各段階の切り替えを行う請求項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記昇温段階において、鍋本体の温度が第1のプリセット温度以上であると、前記第1の昇温段階から前記第2の昇温段階へ移行するように前記調理器具を制御し、及び/又は、
鍋本体の温度が第2のプリセット温度以上であって、且つ内容物の温度が第3のプリセット温度以上であると、第2の昇温段階から前記沸騰段階へ移行するように前記調理器具を制御し、及び/又は、
鍋本体の温度が第4のプリセット温度以上であると、前記沸騰段階から前記蒸らし段階へ移行するように前記調理器具を制御する請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記第1のプリセット温度が70℃乃至90℃であり、及び/又は、
前記第2のプリセット温度が80℃乃至100℃であり、及び/又は、
前記第3のプリセット温度が60℃乃至80℃であり、及び/又は、
前記第4のプリセット温度が100℃乃至120℃である請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載の制御方法で制御するボウ仔飯モードを有する調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理技術分野に関し、特に、調理器具及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボウ仔飯は土鍋飯とも呼ばれ、広東、広西の漢族の名物料理であり、土鍋を道具としてご飯を炊く。ボウ仔飯の伝統的な調製工程は、事前に浸した米を土鍋に入れて、水の量を計り、蓋をして、七割程度熟するまで強火で炊き、材料を加えてから、弱火で炊きあがる。ボウ仔飯の調理過程が一度で完成できることではなく、途中に他の材料を入れる必要があるので、専ら監視しなければならない。一方、ガスコンロの直火で土鍋を加熱し、人為的に炊き程度を制御しなければならないので、豊かな経験が必要である。操作中に、炊き程度を適切に把握できないと、土鍋の底部及び側壁に密着したおこげが焦げて、簡単に取って食べることができなくなる。また、おこげの美味しさが悪く、具体的にはおこげが硬く、歯にくっついてサクサクしない。
【0003】
既存のボウ仔飯調理機能を有する調理器具において、その制御方法は通常、まず強火で加熱し、それ後加熱を停止するまで火力を徐々に下げ、このような方式で得られるボウ仔飯のおこげには歯にくっつき、食感が悪い問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、形成されるおこげが歯にくっつかずサクサクし、食感のよいボウ仔飯を調製するための調理器具の制御方法及びこの制御方法で制御する調理器具を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、一態様において、本発明は以下のような技術案を用いる。
【0006】
鍋本体と鍋本体の内容物に加熱を行うための加熱部品とを含む調理器具の制御方法であって、前記制御方法は、ボウ仔飯を調製するための方法であり、ボウ仔飯の調製過程は、少なくとも、第2の蒸らし過程と、前記第2の蒸らし過程より先に実行される第1の蒸らし過程と、を含む蒸らし段階を含み、前記加熱部品は前記第1の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量が前記第2の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量より少ない調理器具の制御方法。
【0007】
前記調理器具は、前記第1の蒸らし過程の実行が完成した後、おこげとご飯の剥離操作を行うよう促すことが好ましい。
【0008】
前記調理器具は、前記第1の蒸らし過程の実行が完成した後、蓋を閉める動作が検出されると、または継続してボウ仔飯を炊くコマンドを受信すると、または所定の時間だけ経過すると、継続して前記第2の蒸らし過程を実行することが好ましい。
【0009】
前記第1の蒸らし過程において、前記加熱部品が間欠的な加熱を行って、前記鍋本体を第1の所定の温度範囲内に維持すること、及び/又は、
前記第2の蒸らし過程において、前記加熱部品が間欠的な加熱を行って、前記鍋本体を第2の所定の温度範囲内に維持することが好ましい。
【0010】
前記第1の所定の温度範囲が115℃乃至135℃であること、及び/又は、
前記第2の所定の温度範囲が135℃乃至155℃であることが好ましい。
【0011】
前記第1の蒸らし過程において、前記加熱部品が第1の加熱デューティー比及び/又は第1のパワーで間欠的な加熱を行い、前記第2の蒸らし過程において、前記加熱部品が第2の加熱デューティー比及び/又は第2のパワーで間欠的な加熱を行うことが好ましい。
【0012】
前記第1の加熱デューティー比はX:Yで、Xは6乃至16秒で、Yは16乃至26秒であること、及び/又は、
前記第2の加熱デューティー比はX:Yで、Xは16乃至26秒で、Yは6乃至16秒であることが好ましい。
【0013】
前記第1の蒸らし過程は継続時間が10乃至30minであること、及び/又は、
前記第2の蒸らし過程は継続時間が10乃至30minであることが好ましい。
【0014】
前記ボウ仔飯の調製過程は、蒸らし段階の前、順番に実行される昇温段階と沸騰段階をさらに含み、
前記昇温段階は、順番に実行される第1の昇温段階と第2の昇温段階を含み、前記第1の昇温段階において、前記加熱部品が前記鍋本体を持続的に加熱し、前記第2の昇温段階において、前記加熱部品が第3の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行うこと、及び/又は、
前記沸騰段階において、前記加熱部品が第4の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行って、前記調理器具の内容物中の液体部分を沸騰状態に維持させることが好ましい。
【0015】
前記調理器具がボウ仔飯の調製過程を開始した場合、直接に昇温段階に移行するように前記調理器具を制御することが好ましい。
【0016】
前記調理器具は、鍋本体の温度を反映するための鍋本体温度検知素子及び/又は鍋本体の内容物の温度を反映するための内容物温度検知素子をさらに含み、前記調理器具は前記鍋本体温度検知素子及び/又は前記内容物温度検知素子により検知された温度に応じて各段階の切り替えを行うことが好ましい。
【0017】
前記昇温段階において、鍋本体の温度が第1のプリセット温度以上であると、前記第1の昇温段階から前記第2の昇温段階へ移行するように前記調理器具を制御すること、及び/又は、
鍋本体の温度が第2のプリセット温度以上であって、且つ内容物の温度が第3のプリセット温度以上であると、第2の昇温段階から前記沸騰段階へ移行するように前記調理器具を制御すること、及び/又は、
鍋本体の温度が第4のプリセット温度以上であると、前記沸騰段階から前記蒸らし段階へ移行するように前記調理器具を制御することが好ましい。
【0018】
前記第1のプリセット温度が70℃乃至90℃であること、及び/又は、
前記第2のプリセット温度が80℃乃至100℃であること、及び/又は、
前記第3のプリセット温度が60℃乃至80℃であること、及び/又は、
前記第4のプリセット温度が100℃乃至120℃であることが好ましい。
【0019】
他の態様によると、本発明は以下の技術案を用いる。
【0020】
上述した制御方法で制御するボウ仔飯モードを有する調理器具。
【発明の効果】
【0021】
本発明で提供する調理器具の制御方法によれば、ボウ仔飯を調製する蒸らし段階において2段階の蒸らし過程を用いて、第1段階の蒸らし過程において低い単位時間あたりの熱量出力を用いることで、鍋本体が低い温度区間に維持されて、鍋底及び鍋壁におこげが一層形成され、第2段階の蒸らし過程において高い単位時間あたりの熱量出力を用いることで、鍋本体が高い温度区間に維持されて、形成されたおこげを高温で乾燥させて、おこげのサクサク感を高め、おこげの独特の色を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明し、本発明の上述した及び他の目的、特徴とメリットはさらに明確になるはずである。
図1】本発明の具体的な実施形態で提供する蒸らし段階の制御方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の具体的な実施形態で提供する調理器具の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されることはない。以下の本発明の詳細な説明において、特定の部分を詳細に説明する。当業者はこれらの詳細に説明された部分に依拠せずにも本発明を完全に理解できる。本発明の実質が混乱になることを回避するため、周知の方法、過程、プロセス、素子については詳しく説明しない。
【0024】
また、ここで提供する図面はいずれも説明するためのものであり、必ずしも比例に合わせて作成されているものではないことは当業者が理解できることである。
【0025】
文脈上明確に要求されていない限り、明細書と特許請求の範囲全体において記載された「含む」、「含有」等の類似する用語は、排他的または列挙の意味ではなく、含む意味に解釈されるべきである。つまり、「含むがそれに限定されることはない」の意味である。
【0026】
尚、本発明の説明において、「第1」、「第2」等の用語は説明のために使用されたものであり、比較的な重要性を指示または暗示するものと理解してはいけない。また、本発明の説明において、別途の説明がない限り、「複数」は二つまたは二つ以上の意味である。
【0027】
既存のボウ仔飯を調製する機能を有する調理器具に存在するおこげが歯にくっつき、食感が悪い問題について、出願人は、既存の調理器具の制御方法の不当によるものであり、既存の制御方法におけるまず強火で加熱してから弱火で加熱する方式によると、おこげの焦げは回避できるが、後期の加工過程が弱火での加熱であるので、おこげ中の水分が乾燥されにくく、これにより調製されたおこげが歯にくっつく問題が発生し、食感に影響を及ぼすことを見つけた。
【0028】
上記問題に対して、本願において調理器具の制御方法を提供し、この調理器具は鍋本体と鍋本体の内容物に加熱を行うための加熱部品とを含み、調理器具はボウ仔飯を調製する機能を有し、加熱部品を制御することで、歯にくっつかずに食感のよいボウ仔飯を調製することができる。
【0029】
さらに、調理器具は温度検知素子をさらに含み、その中には鍋本体の温度を反映するための鍋本体温度検知素子と、鍋本体の内容物の温度を反映するための内容物温度検知素子とが含まれ、好適な実施例において、鍋本体は、本体と蓋を含み、鍋本体温度検知素子は本体の底部に設けられ、内容物温度検知素子は鍋の蓋に設けられている。鍋本体温度検知素子により検知される温度をTとし、内容物温度検知素子により検知される温度をTとする。
【0030】
具体的に、ボウ仔飯を調製する過程は、昇温段階と、沸騰段階と、蒸らし段階と、を含む。ここで、おこげの形成は主に蒸らし段階であり、本願において、図1に示すように、蒸らし段階は少なくとも、第1の蒸らし過程と第2の蒸らし過程とを含み、ここで、第1の蒸らし過程は第2の蒸らし過程より先に実行される。なお、ここで第1の蒸らし過程と第2の蒸らし過程との前後関係のみを限定し、第1の蒸らし過程後にすぐに第2の蒸らし過程を実行するとは限定せず、二つの蒸らし過程間に他の動作を行うこともできる。加熱部品は、第1の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量が第2の蒸らし過程において単位時間で出力する熱量より少ない。このように、第1段階の蒸らし過程において低い単位時間あたりの熱量出力を用いることで、鍋本体を低い温度区間に維持して、鍋底及び鍋壁におこげを一層形成し、第2段階の蒸らし過程において高い単位時間あたりの熱量出力を用いることで、鍋本体を高い温度区間に維持して、形成されたおこげを高温で乾燥させて、おこげのサクサク感を高め、おこげの独特の色を形成する。
【0031】
ここで、加熱部品のパワーレベル、加熱時間長及び/又は加熱デューティー比を制御することで加熱部品が単位時間で出力する熱量の大きさを調整することができ、ここで、加熱デューティー比について、加熱部品がオンオフのサイクルを行い、1サイクルにおいて、加熱継続時間と加熱停止時間との比を加熱デューティー比と定義し、例えば、加熱デューティー比がX:Yであると、1サイクルにおいて、加熱継続時間はX秒で、加熱停止時間はY秒である。
【0032】
好適な実施例において、第1の蒸らし過程において、加熱部品が間欠的な加熱を行って、鍋本体を第1の所定の温度範囲内に維持し、第1の所定の温度範囲は調理器具の加熱方式、容量等の要素に基づいて設定することができ、好ましくは、第1の所定の温度範囲が115℃乃至135℃であり、すなわち、第1の蒸らし過程において、鍋本体の温度が115℃乃至135℃の範囲に維持されるように、加熱部品を制御する。第2の蒸らし過程において、加熱部品が間欠的な加熱を行って、鍋本体を第2の所定の温度範囲内に維持し、第2の所定の温度範囲は調理器具の加熱方式、容量等の要素に基づいて設定することができ、好ましくは、第2の所定の温度範囲が135℃乃至155℃であり、すなわち、第2の蒸らし過程において、鍋本体の温度が135℃乃至155℃の範囲に維持されるように、加熱部品を制御する。
【0033】
鍋本体の温度に対する制御は、適切な加熱デューティー比及び/又は加熱部品の火力を設定することで実現することができる。好適な実施例において、第1の蒸らし過程において、加熱部品が第1の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行い、第2の蒸らし過程において、加熱部品が第2の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行い、ここで、第1の加熱デューティー比は第2の加熱デューティー比より小さい。第1の加熱デューティー比はX:Yであり、Xの好適な範囲は6乃至16秒で、Yの好適な範囲は16乃至26秒である。第2の加熱デューティー比はX:Yであり、Xの好適な範囲は16乃至26秒で、Yの好適な範囲は6乃至16秒である。第1の蒸らし過程における加熱部品の第1の火力と第2の蒸らし過程における加熱部品の第2の火力とは同じでも異なってもよい。第1の火力と第2の火力が異なる場合、第1の火力が第2の火力より低いことが好ましい。
【0034】
具体的な実施例において、調理器具は第1の蒸らし過程に移行すると、まず鍋本体の現在の温度と第1の所定の温度範囲との関係を判断し、鍋本体の現在の温度が第1の所定の温度範囲の最大値より高いと、加熱部品は動作せず、鍋本体の温度が第1の所定の温度範囲の最小値以下まで低下すると、加熱部品が第1の加熱デューティー比での加熱を開始し、そうではないと、加熱部品は直接に第1の加熱デューティー比で加熱する。入れ替え可能な実施例またはさらに好適な実施例では、第1の蒸らし過程において、鍋本体のリアルタイムの温度が第1の所定の温度範囲の最大値より高いと、加熱部品は加熱を停止し、鍋本体の温度が第1の所定の温度範囲の最小値以下まで低下すると、加熱部品は再び第1の加熱デューティー比で加熱を行う。
【0035】
同様に、調理器具が第1の蒸らし過程から第2の蒸らし過程に移行する場合、まず鍋本体の現在の温度と第2の所定の温度範囲との関係を判断し、鍋本体の現在の温度が第2の所定の温度範囲の最大値より高いと、加熱部品は動作せず、鍋本体の温度が第2の所定の温度範囲の最小値以下まで低下すると、加熱部品は第2の加熱デューティー比で加熱し始め、そうではないと、加熱部品は直接に第2の加熱デューティー比で加熱する。入れ替え可能な実施例またはさらに好適な実施例では、第2の蒸らし過程において、鍋本体のリアルタイムの温度が第2の所定の温度範囲の最大値より高いと、加熱部品は加熱を停止し、鍋本体の温度が第2の所定の温度範囲の最小値以下まで低下すると、加熱部品は再び第2の加熱デューティー比で加熱を行う。
【0036】
第1の蒸らし過程と第2の蒸らし過程の継続時間長を調理器具の加熱方式、容量等の要素に基づいて決定することで、第1の蒸らし過程におけるおこげの形成及び第2の蒸らし過程におけるおこげの乾燥効果を保証する。好適な実施例において、第1の蒸らし過程の継続時間は第1の所定時間t1であり、第1の所定時間t1は10乃至30minであることが好ましい。第2の蒸らし過程の継続時間は第2の所定時間t2であり、第2の所定時間t2は10乃至30minであることが好ましい。これにより、鍋本体の温度及び加熱の継続時間の両方を精確に制御することによって、調製されたボウ仔飯が焦げることなく歯にくっつかずサクサクするように保証する。
【0037】
ボウ仔飯を調製する際、通常、ご飯にソーセージ、野菜等の材料を添加するので、本願の制御方法において、第1の蒸らし過程の実行が完成した後、調理器具が剥離操作を行うように促すことが好ましく、提示方式としては、例えば音声、文字表示等の方式であることができる。この時、利用者は蓋を開けて本体内のご飯を攪拌して中央のご飯と外側のおこげとを剥離させるとともに、各種の材料を添加し、その後第2の蒸らし過程を実行することができる。ご飯とおこげとの剥離操作を行っておこげとご飯との間に隙間を形成したので、後続の第2の蒸らし過程において、おこげを高温で乾燥させる時、おこげがご飯の水分を吸収せず、またはご飯の水分を少しだけ吸収して、おこげのサクサク感をさらに向上させる。
【0038】
調理器具がさらに第2の蒸らし過程を実行するタイミングについて、例えば第1の蒸らし過程の実行が完成した後、調理器具が蓋を閉める動作を検出した時、または継続してボウ仔飯を調製する利用者からのコマンドを受信した時、または所定時間だけ経過した時に、調理器具がさらに第2の蒸らし過程を実行する。所定時間は具体的な需要に応じて設定されることができ、例えば3乃至5minに設定することができる。
【0039】
さらに好ましくは、昇温段階が第1の昇温段階と第2の昇温段階とを含み、第1の昇温段階は第2の昇温段階より先に実行され、好ましくは、第1の昇温段階の実行が完成した後に直接に第2の昇温段階を実行する。第1の昇温段階において、加熱部品は鍋本体に持続的な加熱を行って、鍋本体を高速に昇温させ、第2の昇温段階において、加熱部品は第3の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行って、鍋本体をさらに昇温させる。ここで、第3の加熱デューティー比はX:Yであり、Xの好適な範囲は6乃至30秒で、Yの好適な範囲は2乃至26秒である。
【0040】
さらに好ましくは、沸騰段階において、加熱部品が第4の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行うことで、調理器具の内容物中の液体部分を沸騰状態に維持して、ご飯を調理するとともに液体を徐々に蒸発させる。ここで、第4の加熱デューティー比はX:Yであり、Xの好適な範囲は10乃至16秒で、Yの好適な範囲は16乃至22秒である。
【0041】
正統的なボウ仔飯は、米の粒が良好な粒子感を有しなければならず、当該問題に対して、調理器具がボウ仔飯の調製過程を開始した時に、直接に昇温段階に移行するように調理器具を制御することで、米の浸漬段階を省略し、浸漬しすぎて出来上がった後の粒子感に影響を与えることを回避し、米の粒がもともとの弾性を有するように保証することが好ましい。なお、入れ替え可能な実施例において、顧客の食感要求違いに応じて、昇温段階の前に浸漬段階を行うこともできる。
【0042】
さらに好ましくは、調理器具は、鍋本体温度検知素子、内容物温度検知素子により検知された温度に応じて各段階(第1の昇温段階、第2の昇温段階、沸騰段階、蒸らし段階を含む)の切り替えを行う。
【0043】
具体的に、昇温段階において、鍋本体の温度が第1のプリセット温度以上であると、調理器具は第1の昇温段階から第2の昇温段階に移行し、第1のプリセット温度Tは70℃乃至90℃であることが好ましい。鍋本体の温度が第2のプリセット温度T以上であって、且つ内容物の温度が第3のプリセット温度T以上であると、調理器具は第2の昇温段階から沸騰段階に移行し、第2のプリセット温度Tは80℃乃至100℃であることが好ましく、第3のプリセット温度Tは60℃乃至80℃であることが好ましい。鍋本体の温度が第4のプリセット温度T以上であると、調理器具は沸騰段階から蒸らし段階に移行し、第4のプリセット温度Tは100℃乃至120℃であることが好ましい。
【0044】
以下、本願の調理器具がボウ仔飯を調製する制御過程の具体的な実施例について説明し、図2に示すように、この制御方法はS001〜S013を含む。
【0045】
S001、開始する。
【0046】
S002、第1の昇温段階:加熱部品が加熱し続ける。
【0047】
S003、Tが第1のプリセット温度T以上であるか否かを判断し、YESであると、S004を実行し、そうではないと、S002に戻る。
【0048】
S004、第2の昇温段階:加熱部品が第3の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行う。
【0049】
S005、TがT以上であり、且つTがT以上である条件を同時に満たすか否かを判断し、YESであると、S006を実行し、そうではないと、S004に戻る。
【0050】
S006、沸騰段階:加熱部品が第4の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行う。
【0051】
S007、TがT以上であるか否かを判断し、YESであると、S008を実行し、そうではないと、S006に戻る。
【0052】
S008、第1の蒸らし過程:加熱部品が第1の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行う。
【0053】
S009、第1の蒸らし過程の継続時間がt1以上であるか否かを判断し、YESであると、S010を実行し、そうではないと、S008に戻る。
【0054】
S010、剥離操作を行うように促し、ご飯とおこげを剥離し、その後S011を実行する。
【0055】
S011、第2の蒸らし過程:加熱部品が第2の加熱デューティー比で間欠的な加熱を行う。
【0056】
S012、第2の蒸らし過程の継続時間がt2以上であるか否かを判断し、YESであると、S013を実行し、そうではないと、S011に戻る。
【0057】
S013、調理過程を終了する。
【0058】
衝突しない限り、上述した各好適な技術案を自由に組み合わせ、重ね合わせることが可能であることは当業者が理解できることである。
【0059】
上述した実施形態は例示的なもので、本願を限定するものではなく、当業者が本発明の基本原理を離脱せずに得られる上記詳細に対する各種の明確または同等な修正または入れ替えはいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2