(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化剤の少なくとも1種として、下記の条件で示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークのピークトップ温度が120℃超となる熱カチオン重合開始剤をさらに含有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の封止シート。
(示差走査熱量測定)
熱カチオン重合開始剤0.1質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100質量部、γ−ブチロラクトン0.1質量部の混合物を測定試料として用いて、30℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行う。
前記封止剤層が、バインダー樹脂を含有するものであって、バインダー樹脂の少なくとも1種が、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上のバインダー樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の封止シート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の封止シートは、熱硬化性の封止剤層を有する封止シートであって、以下の要件(I)、要件(II)、及び要件(III)を満たすことを特徴とするものである。
要件(I):前記封止剤層が、1種又は2種以上のエポキシ化合物を含有する。
要件(II):前記封止剤層の23℃における貯蔵弾性率が1.3×10
7Pa以下である。
要件(III):前記封止剤層を35℃から110℃まで25℃/分の速度で昇温し、その後110℃を維持したとき、昇温開始から250秒後の封止剤層の複素粘度が1×10
4Pa・s以上である。
【0014】
本発明において、「封止剤層」とは、「封止材形成用のシート状接着剤」を意味する。封止剤層の硬化物は封止材として用いられる。
封止剤層は、短冊状のものであっても、長尺状(帯状)のものであってもよい。
【0015】
〔要件(I)〕
封止剤層は1種又は2種以上のエポキシ化合物を含有する。
封止剤層がエポキシ化合物を含有することで、封止剤層は熱硬化性を有するものとなる。
【0016】
エポキシ化合物とは、分子内に少なくとも1個、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物をいう。なお、本発明においては、後述するフェノキシ樹脂は、エポキシ化合物には含まれないものとする。
エポキシ基には、グリシジル基、グリシジルエーテル基、エポキシシクロヘキシル基等のオキシラン構造を含有する基が含まれる。
【0017】
エポキシ化合物の分子量は、通常100〜5,000、好ましくは200〜3,000である。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq以上1000g/eq以下、より好ましくは100g/eq以上800g/eq以下である。
エポキシ化合物のエポキシ当量が上記範囲にあることで、接着強度が高い封止材(硬化物)をより効率よく形成することができる。
本発明におけるエポキシ当量とは、分子量をエポキシ基数で除した値を意味する。
【0018】
エポキシ化合物の含有量は、封止剤層全体に対して、好ましくは55質量%以上、より好ましくは57〜75質量%である。
エポキシ化合物の含有量が、封止剤層全体に対して55質量%以上であることで、接着強度が高い封止材をより効率よく形成することができる。
【0019】
エポキシ化合物としては、脂肪族エポキシ化合物(脂環式エポキシ化合物を除く)、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物;
脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物;が挙げられる。
【0020】
これらの脂肪族エポキシ化合物の代表的な化合物としては、アリルグリシジルエーテル等のアルケニルグリシジルエーテル;ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル;プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに、1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン;等が挙げられる。
【0021】
また、脂肪族エポキシ化合物として、市販品を用いることもできる。市販品としては、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(以上、ナガセケムテックス社製);
エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(以上、共栄社化学社製);
アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T(以上、ADEKA社製);が挙げられる。
【0022】
芳香族エポキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等の、芳香族環を少なくとも1個有するフェノール類、又はそのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;芳香族複素環を有するエポキシ化合物;等が挙げられる。
【0023】
これらの芳香族エポキシ化合物の代表的な化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらにさらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック樹脂;
レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;
フェニルジメタノールやフェニルジエタノール、フェニルジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物;
フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物;
2,4,6−トリ(グリシジルオキシ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン骨格を有するエポキシ化合物;等が挙げられる。
【0024】
また、芳香族エポキシ化合物として、市販品を用いることもできる。市販品としては、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(以上、ナガセケムテックス社製);
オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(以上、大阪ガスケミカル社製);
HP4032、HP4032D、HP4700(以上、DIC社製);
ESN−475V(以上、日鉄ケミカル&マテリアル社製);
JER(旧エピコート)YX8800(以上、三菱ケミカル社製);
マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(以上、日油社製);
エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(以上、DIC社製);
EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(以上、日本化薬社製);
アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901(以上、ADEKA社製);
TECHMORE VG−3101L(以上、プリンテック社製):
TEPIC−FL、TEPIC−PAS、TEPIC−UC(以上、日産化学社製);等が挙げられる。
【0025】
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個以上の脂環式構造を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物、又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
【0026】
これらの脂環式エポキシ化合物の代表的な化合物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
【0027】
また、脂環式エポキシ化合物として、市販品を用いることもできる。市販品としては、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(以上、ダイセル社製);エポライト4000(共栄社化学社製);YX8000、YX8034(以上、三菱ケミカル社製);アデカレジンEP−4088S、アデカレジンEP−4088L、アデカレジンEP−4080E(以上、ADEKA社製);等が挙げられる。
【0028】
これらのエポキシ化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
エポキシ化合物の少なくとも1種は、25℃で液体のエポキシ化合物が好ましい。
「25℃で液体」とは、25℃において流動性を有することを意味する。エポキシ化合物は、E型粘度計を用いて、25℃、1.0rpmにて測定した粘度が、2〜10000mPa・sであることが好ましい。
25℃で液体のエポキシ化合物を用いることで、要件(II)を満たす封止剤層を形成し易くなる。
【0030】
封止剤層が、25℃で液体のエポキシ化合物を含有するとき、その含有量は、封止剤層が端部において意図しない物に付着することを防止する観点から、封止剤層全体に対して、好ましくは55〜70質量%であり、より好ましくは57〜65質量%である。
25℃で液体のエポキシ化合物の含有量を、封止剤層全体に対して55質量%以上にすることで、要件(II)を満たす封止剤層を形成し易くなる。
【0031】
エポキシ化合物の少なくとも1種は、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物であることが好ましい。
グリシジルエーテル基は、エポキシシクロヘキシル基等に比べて反応性がそれほど高くないため、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を用いることで、保存安定性により優れる封止シートを得ることができる。
【0032】
封止剤層が、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を含有するとき、その含有量は、エポキシ化合物全量に対して、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは、95〜100質量%である。
グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物の含有量を、エポキシ化合物全量に対して90質量%以上にすることで、保存安定性により優れる封止シートを得ることができる。
【0033】
エポキシ化合物の少なくとも1種は、脂環式骨格を有するエポキシ化合物であることが好ましい。
脂環式骨格を有するエポキシ化合物を用いることで、カチオン重合による硬化反応が進行しやすく、比誘電率が低く、また、無色透明性に優れる封止剤層を形成し易くなる。
【0034】
封止剤層が、脂環式骨格を有するエポキシ化合物を含有するとき、その含有量は、エポキシ化合物全量に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90〜100質量%である。
脂環式骨格を有するエポキシ化合物の含有量を、エポキシ化合物全量に対して80質量%以上にすることで、カチオン重合による硬化反応が進行しやすくなる。さらに、比誘電率が低く、また、無色透明性に優れる封止剤層を形成し易くなる。
【0035】
〔要件(II)〕
封止剤層の23℃における貯蔵弾性率は、1.3×10
7Pa以下である。
封止剤層の23℃における貯蔵弾性率が1.3×10
7Pa以下であることで、封止剤層は常温での貼付性に優れたものとなる。
封止剤層の23℃における貯蔵弾性率は、好ましくは1.1×10
7Pa以下、より好ましくは1.0×10
7Pa以下である。
一定の形状が維持できる限り、封止剤層の23℃における貯蔵弾性率の下限値は特にないが、封止剤層の23℃における貯蔵弾性率は、通常は5.0×10
4Pa以上である。また、封止剤層が端部において意図しない物に付着することを防止する観点から、封止剤層の23℃における貯蔵弾性率は、3.0×10
5Pa以上であることが好ましく、9.5×10
5Pa以上であることがより好ましい。
封止剤層の23℃における貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0036】
封止剤層中の液体成分の量が増加するにしたがって、封止剤層の23℃における貯蔵弾性率が下がる傾向がある。
したがって、要件(II)を満たす封止剤層は、用いるエポキシ化合物の状態(固体、液体)や、それらの含有量を調節することにより効率よく形成することができる。
【0037】
〔要件(III)〕
封止剤層を35℃から110℃まで25℃/分の速度で昇温し、その後110℃を維持したとき、昇温開始から250秒後の封止剤層の複素粘度(以下、この測定条件における複素粘度を「複素粘度(Y)」と記載することがある。)は、1×10
4Pa・s以上である。
複素粘度(Y)が1×10
4Pa・s以上であることで、熱硬化工程の比較的早い段階から硬化反応が開始することになる。このため、本発明の封止シートの封止剤層は、温度上昇により流動性が高まる状態をほとんど経ることがなく硬化するため、熱硬化工程において変形し難いものとなる。
複素粘度(Y)は、好ましくは1×10
4〜1×10
6Pa・s、より好ましくは1×10
5〜1×10
6Pa・sである。
複素粘度(Y)は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0038】
複素粘度(Y)の値は、エポキシ化合物がより低い温度で反応するにしたがって、より大きくなる。
したがって、要件(III)を満たす封止剤層は、用いるエポキシ化合物の反応性に応じて、硬化剤の種類や量を調節することにより、効率よく形成することができる。
例えば、後述するように、硬化剤として低温反応性の熱カチオン重合開始剤を用いることで、複素粘度(Y)の値を高めることができる。
【0039】
〔要件(IV)〕
封止剤層は、以下の要件(IV)を満たすことが好ましい。
要件(IV):同質の封止剤層〔封止剤層(A)と封止剤層(B)〕を用意し、封止剤層(A)を試験片として用いて、0℃から200℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行い、発熱ピークの面積〔面積(α)〕を求める。次いで、封止剤層(B)を23℃、相対湿度50%の環境下で7日間保管後、これを測定試料として用いて、0℃から200℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行い、発熱ピークの面積〔面積(β)〕を求める。得られた面積値を基に、下記式(1)から算出されるXが95%以上である。
【0041】
ここで、「同質の封止剤層」とは、実質的に同一の組成および物性を有する複数の封止剤層のことをいう。例えば、一つの封止剤層を2つに切り分けて得られた2つの封止剤層が、同質の封止剤層〔封止剤層(A)と封止剤層(B)〕に該当する。また、一つの封止剤層から採取された2つの封止剤層ではなく、それぞれ別の封止剤層から採取されたものであっても、同一の製造番号を付されて製品として販売された封止剤層から採取された2つの封止剤層も、同質の封止剤層〔封止剤層(A)と封止剤層(B)〕に該当する。
なお、「発熱ピークの面積」とは、DSC曲線の発熱ピーク以外の部分から求められるベースラインとDSC曲線とで囲まれる領域の面積を意味する。
【0042】
封止剤層(A)と封止剤層(B)は、封止シートの製造直後の封止剤層の状態に近いものであることが好ましい。
したがって、封止シートの製造後、上記の測定を行うまでの間は、封止剤層(A)と封止剤層(B)は、−30〜+10℃の条件で保管されていることが好ましく、−15〜+5℃の条件で保管されていることがより好ましい。
【0043】
上記のように、本発明の封止シートの封止剤層は、要件(III)を満たすものである。
しかしながら、要件(III)を満たす封止剤層は、比較的低い温度で硬化反応が進行するおそれがあり、保存安定性に劣る場合がある。
【0044】
この点、要件(IV)を満たす封止剤層は、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間保管した場合であっても、硬化反応がほとんど進行しないものであり、保存安定性に優れる。
【0045】
要件(IV)を満たす封止剤層は、エポキシ化合物としてグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を用いたり、硬化剤の反応性に応じてその量を調節したりすることにより、効率よく形成することができる。
【0046】
〔硬化剤〕
封止剤層は硬化剤を含有してもよい。封止剤層が硬化剤を含有することで、封止剤層の硬化性がより高められる。
硬化剤としては、硬化反応を開始させるものであれば特に限定されないが、加熱により硬化反応を開始させるものが好ましく用いられる。
硬化剤としては、熱カチオン重合開始剤や、それ以外の硬化剤が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤以外の硬化剤としては、ベンジルメチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール等の3級アミン;2−メチルイミダゾール、3−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ピペラジン錯体などのルイス酸;等が挙げられる。
【0047】
硬化剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤の含有量は、特に制限されないが、エポキシ化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
【0048】
封止剤層は、硬化剤の少なくとも1種として熱カチオン重合開始剤を含有するものが好ましい。
熱カチオン重合開始剤を用いることで、封止剤層の、室温付近における硬化性を制御し易くなり、要件(III)を満たす封止剤層をより効率よく形成することができる。
【0049】
熱カチオン重合開始剤は、加熱によって重合を開始させるカチオン種を発生しうる化合物である。
熱カチオン重合開始剤としては、スルニホウム塩、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0050】
スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルシネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート、(4−アセトキシフェニル)メチル(2−メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−ヒドロキシフェニル)メチル(4−メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−アセトキシフェニル)ベンジル(メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)(メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0051】
スルホニウム塩として、市販品を用いることもできる。市販品としては、アデカオプトンSP−150、アデカオプトンSP−170、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(以上、旭電化社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−B2A、サンエイドSI−B3、サンエイドSI−B3A、サンエイドSI−B7(以上、三新化学社製)、CYRACURE UVI−6974、CYRACURE UVI−6990(以上、ユニオン・カーバイド社製)、UVI−508、UVI−509(以上、ゼネラル・エレクトリック社製)、FC−508、FC−509(以上、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社製)、CD−1010、CD−1011(以上、サーストマー社製)、CIシリーズの製品(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0052】
第四級アンモニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0053】
ホスホニウム塩としては、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0054】
ジアゾニウム塩としては、AMERICURE(アメリカン・キャン社製)、ULTRASET(旭電化社製)等が挙げられる。
【0055】
ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられる。また、市販品として、UV−9310C(東芝シリコーン社製)、Photoinitiator2074(ローヌ・プーラン社製)、UVEシリーズの製品(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズの製品(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社製)なども用いることができる。
【0056】
熱カチオン重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
封止剤層は、下記の条件で示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークのピークトップ温度が120℃以下となる熱カチオン重合開始剤(以下、「熱カチオン重合開始剤(P)」ということがある。)を含有することが好ましい。
【0058】
(示差走査熱量測定条件)
熱カチオン重合開始剤0.1質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100質量部、γ−ブチロラクトン0.1質量部の混合物を測定試料として用いて、30℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行う。
【0059】
熱カチオン重合開始剤(P)は、低温反応性の熱カチオン重合開始剤である。したがって、熱カチオン重合開始剤(P)を含有する封止剤層は、要件(III)を満たし易いものとなる。熱カチオン重合開始剤(P)としては、(4−アセトキシフェニル)メチル(2−メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−ヒドロキシフェニル)メチル(4−メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−アセトキシフェニル)ベンジル(メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。また、熱カチオン重合開始剤(P)の市販品としては、サンエイドSI−B2A、サンエイドSI−B3A、サンエイドSI−B7(以上、三新化学社製)が挙げられる。
【0060】
封止剤層が熱カチオン重合開始剤(P)を含有するとき、上記の条件で示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークのピークトップ温度が120℃超となる熱カチオン重合開始剤(以下、「熱カチオン重合開始剤(Q)」ということがある。)をさらに含有することが好ましい。
【0061】
熱カチオン重合開始剤(Q)は、高温反応性の熱カチオン重合開始剤である。したがって、熱カチオン重合開始剤(Q)を含有する封止剤層は、要件(IV)を満たし易いものとなる。熱カチオン重合開始剤(Q)の上記発熱ピークのピークトップ温度は、封止剤層を硬化する際の温度が高温になりすぎないようにする観点から、170℃以下であることが好ましい。熱カチオン重合開始剤(Q)としては、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)(メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。また、熱カチオン重合開始剤(Q)の市販品としては、サンエイドSI−B3(三新化学社製)が挙げられる。
【0062】
封止剤層が、熱カチオン重合開始剤(P)と熱カチオン重合開始剤(Q)を含有するとき、その重量比〔熱カチオン重合開始剤(P):熱カチオン重合開始剤(Q)〕は、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは35:65〜65:35である。
熱カチオン重合開始剤(P)と熱カチオン重合開始剤(Q)の重量比が上記範囲内であることで、熱硬化工程の比較的早い段階から硬化反応が開始する封止剤層を有し、かつ、保存安定性に優れる封止シートを効率よく得ることができる。
【0063】
本発明の封止シートは、封止剤層に含まれる硬化剤の全てが熱カチオン重合開始剤であることが好ましい。
熱カチオン重合開始剤以外の硬化剤を用いると、封止剤層が着色したり、封止剤層の透明性が低下したりするおそれがある。
一方、熱カチオン重合開始剤を用いる場合はそのような問題が生じにくいため、封止剤層に含まれる硬化剤の全てが熱カチオン重合開始剤であることで、無色透明性に優れる封止剤層を効率よく形成することができる。
【0064】
〔バインダー樹脂〕
封止剤層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂を含有する封止剤層は、形状保持性及び取り扱い性に優れたものとなる。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、エポキシ化合物との相溶性により優れ、さらに、形状保持性に優れることから、好ましくは10,000以上、より好ましくは10,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜800,000である。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0065】
封止剤層がバインダー樹脂を含有するとき、バインダー樹脂の含有量(2種以上のバインダー樹脂を含むときはこれらの合計量)は、封止剤層全体に対して、好ましくは20〜43質量%、より好ましくは23〜40質量%である。
バインダー樹脂の含有量が、上記範囲内であることで、形状保持性に優れ、かつ、十分な粘着力を有する封止剤層が得られ易くなる。
【0066】
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、60℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることで、接着剤層の硬化物の貯蔵弾性率を上昇させることが容易である。また、バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が、90℃以上であることで、形状保持性に優れる封止剤層を効率よく形成することができる。
【0067】
バインダー樹脂としては、フェノキシ系樹脂、変性オレフィン系樹脂、アセタール系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、形状保持性に優れる封止剤層が得られ易いことから、バインダー樹脂としてはフェノキシ系樹脂が好ましい。
【0068】
フェノキシ系樹脂は、一般に、高分子量のエポキシ樹脂に該当し、重合度が100程度以上のものをいう。
フェノキシ系樹脂のエポキシ当量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは7,000以上である。エポキシ当量の値は、JIS K7236に準じて測定することができる。
【0069】
フェノキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の共重合体型フェノキシ樹脂、その蒸留品、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、シクロペンタジエン型フェノキシ樹脂等が挙げられる。
これらのフェノキシ系樹脂は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
フェノキシ系樹脂は、二官能フェノール類とエピハロヒドリンとを高分子量まで反応させる方法、又は、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応により得ることができる。
例えば、二官能フェノール類とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で、不活性溶媒中、40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類とを、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で、沸点が120℃以上の、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶剤中で、反応固形分濃度が50重量%以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得ることもできる。
【0071】
二官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基をもつ化合物であれば、特に限定されない。例えば、ハイドロキノン、2−ブロモハイドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどの単環二官能フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシビフェニル類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシフェニルエーテル類;及びこれらのフェノール骨格の芳香環に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリール基、メチロール基、アリル基、環状脂肪族基、ハロゲン(テトラブロモビスフェノールA等)、ニトロ基等を導入したもの、これらのビスフェノール骨格の中央にある炭素原子に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリル基、置換基のついたアリル基、環状脂肪族基、アルコキシカルボニル基等を導入した多環二官能フェノール類;等が挙げられる。
【0072】
エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリンなどが挙げられる。
【0073】
また、本発明においては、フェノキシ系樹脂として、市販品を用いることもできる。例えば、三菱ケミカル社製の商品名:YX7200、YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482、三菱ケミカル社製の商品名:YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、東都化成社製の商品名:FX280、FX293、FX293S(フルオレン骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の商品名:jER1256、jER4250、日鉄ケミカル&マテリアル社製の商品名:YP−50、YP−50S(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の商品名:YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、日鉄ケミカル&マテリアル社製の商品名:ZX−1356−2等が挙げられる。
【0074】
〔シランカップリング剤〕
封止剤層は、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤を含有することで、湿熱耐久性により優れる封止剤層がより得られ易くなる。
【0075】
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。なかでも、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。
シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;
p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等のスチリル基を有するシランカップリング剤;
【0076】
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノ基を有するシランカップリング剤;
3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するシランカップリング剤;
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン原子を有するシランカップリング剤;
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;
ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;
3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシランカップリング剤;
アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアリル基を有するシランカップリング剤;
3−ヒドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基を有するシランカップリング剤;等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
封止剤層がシランカップリング剤を含有するとき、シランカップリング剤の含有量は、封止剤層全体中、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
【0078】
〔その他の成分〕
封止剤層は、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止剤層が、これらの添加剤を含有する場合、その含有量は、目的に合わせて適宜決定することができる。
【0079】
〔封止剤層〕
封止剤層の厚みは、通常1〜50μmであり、好ましくは1〜25μm、より好ましくは5〜25μmである。厚みが上記範囲内にある封止剤層は、封止材の形成材料として好適に用いられる。
封止剤層の厚みは、公知の厚み計を用いて、JIS K 7130(1999)に準じて測定することができる。
【0080】
封止剤層の形成方法は特に限定されない。例えば、キャスト法を用いて封止剤層を形成することができる。
封止剤層をキャスト法により製造する場合、封止剤層を構成する成分を含有する封止剤組成物を調製し、得られた封止剤組成物を、公知の方法を用いて、基材又は剥離フィルムの剥離処理された剥離層面に塗工し、得られた塗膜を乾燥することで、封止剤層を形成することができる。
【0081】
封止剤組成物は、溶媒を含有してもよい。
溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の含有量は、塗工性等を考慮して適宜決定することができる。
【0082】
封止剤組成物を塗工する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0083】
塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が挙げられる。
塗膜を乾燥するときの条件としては、例えば、80〜150℃で30秒から5分間である。
【0084】
封止剤層は熱硬化性を有するものである。すなわち、封止剤層を加熱することにより、少なくともエポキシ化合物のエポキシ基が反応し、封止剤層が硬化する。
【0085】
封止剤層を熱硬化させる際の条件は特に限定されない。
加熱温度は、通常、80〜200℃、好ましくは90〜150℃である。
加熱時間は、通常、30分から12時間、好ましくは1〜6時間である。
【0086】
封止剤層を硬化させて得られる封止剤硬化物層の90℃における貯蔵弾性率は、好ましくは1×10
8Pa以上であり、より好ましくは1×10
9〜1×10
11Paである。90℃における貯蔵弾性率が1×10
8Pa以上の封止剤硬化物層は封止性に優れるため、封止材としてより適している。また、封止剤硬化物層形成後に、デバイス封止体の製造のために実施される工程において、封止剤硬化物層の破壊、剥離が防止されやすくなる。
【0087】
〔封止シート〕
本発明の封止シートは、上記の封止剤層を有するものである。
本発明の封止シートは、封止剤層の他に、基材、剥離フィルム、機能性フィルム等を有していてもよい。
【0088】
基材としては、通常、樹脂フィルムを利用することができる。
樹脂フィルムの樹脂成分としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。
基材の厚みは、特に制限はないが、好ましくは10〜500μm、より好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは15〜200μmである。
【0089】
剥離フィルムは、封止シートの製造工程においては支持体として機能するとともに、封止シートを使用するまでの間は、封止剤層の保護シートとして機能する。
なお、本発明の封止シートを使用する際は、通常、剥離フィルムは剥離除去される。
【0090】
剥離フィルムとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、剥離フィルム用の基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。
剥離フィルム用の基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
【0091】
剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離フィルムの厚みは、特に制限はないが、通常20〜250μm程度である。
【0092】
本発明の封止シートが剥離フィルムを有するものである場合、封止剤層の両側にそれぞれ1枚、合計2枚の剥離フィルムを有していてもよいし、封止剤層の片側にのみ剥離フィルムを有していてもよい。
【0093】
機能性フィルムとしては、導電性フィルム、ガスバリアフィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。これらのうち、例えば、ガスバリアフィルムとしては、金属や無機化合物の膜を有するフィルム等が挙げられる。
機能性フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常、5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
【0094】
本発明の封止シートの封止剤層は、電子デバイスの封止材の形成材料として好適に用いられる。電子デバイスのなかでも、発光デバイス、受光デバイス、表示用デバイス等の光関連デバイスであることが好ましい。
光関連デバイスとしては、有機ELディスプレイ、有機EL照明等の有機EL素子;液晶ディスプレイ等の液晶素子;電子ペーパー素子;太陽電池素子;発光ダイオード;等が挙げられる。
【0095】
本発明の封止シートを用いて電子デバイスを封止する方法は特に限定されない。例えば、対象の電子デバイスに本発明の封止シートの封止剤層を貼付し、次いで、上記の方法により封止剤層を硬化させることにより電子デバイスを封止することができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0097】
〔実施例又は比較例で使用した化合物〕
・エポキシ化合物(A1):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔三菱ケミカル社製、商品名:YX8000、エポキシ当量:205g/eq〕
・エポキシ化合物(A2):3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P、エポキシ当量:128〜145g/eq〕
・フェノキシ樹脂(B1):(三菱ケミカル社製、商品名:YX7200B35、ガラス転移温度(Tg):150℃)
・熱カチオン重合開始剤(C1):(4−ヒドロキシフェニル)メチル(4−メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(三新化学社製、商品名:サンエイドSI−B7)
・熱カチオン重合開始剤(C2):ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)(メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(三新化学社製、商品名:サンエイドSI−B3)
・シランカップリング剤(D1):8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM4803)
【0098】
〔熱カチオン重合開始剤の反応性評価〕
熱カチオン重合開始剤(C1)0.1質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(三菱ケミカル社製、jER828)100質量部、γ−ブチロラクトン0.1質量部の混合物を測定試料として用いて、30〜300℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行った場合の発熱ピークのピークトップ温度は105℃である。
一方、熱カチオン重合開始剤(C1)に代えて、熱カチオン重合開始剤(C2)を用いた場合、このときの発熱ピークのピークトップ温度は140℃である。
【0099】
〔実施例1〕
エポキシ化合物(A1)170質量部、フェノキシ樹脂(B1)100質量部、熱カチオン重合開始剤(C1)1.5質量部、熱カチオン重合開始剤(C2)1.5質量部、シランカップリング剤(D1)0.2質量部をメチルエチルケトンに溶解し、塗工液を調製した。
この塗工液を剥離フィルム(第1剥離フィルム、リンテック社製、商品名:SP−PET752150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚みが15μmの封止剤層を形成した。この封止剤層上に、もう1枚の剥離フィルム(第2剥離フィルム、リンテック社製、商品名:SP−PET381130)の剥離処理面を貼り合わせて封止シートを得た。
【0100】
〔実施例2〜3、比較例1、2〕
封止剤層を構成する各成分の種類及び量を第1表に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして封止シートを得た。
【0101】
実施例1〜3、比較例1、2で得た封止シートについて、以下の試験を行った。結果を第1表に示す。
【0102】
[封止剤層の23℃における貯蔵弾性率測定]
実施例、比較例で得た封止シートの封止剤層を、ラミネーターを用いて23℃で積層し、厚みが約1mmの試験片を得た。
得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、商品名:Physica MCR301)を使用して、周波数1Hz、ひずみ1%、昇温速度3℃/分の条件で、−20〜150℃の範囲で貯蔵弾性率を測定した。23℃における測定結果を第1表に示す。
【0103】
[封止剤層の被封止物への貼付適性評価]
実施例、比較例で得た封止シートを裁断し、幅50mm長さ150mmの試験片を得た。得られた試験片の第2剥離フィルムを剥がして露出させた封止剤層を、温度23℃、相対湿度50%の条件下で無アルカリガラス板に重ね、さらに圧着ロールを用いて、0.5MPaの圧力を加えた。封止剤層の無アルカリガラス板からの浮きの状態を観察し、浮きが無いものをA、浮きが発生したものをBと評価した。
【0104】
[昇温過程における封止剤層の複素粘度]
実施例、比較例で得た封止シートの封止剤層を、23℃、相対湿度50%の条件で積層し、厚みが約1mmの試験片を得た。
得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、商品名:ARES)を使用して、周波数1Hz、ひずみ0.1%、昇温速度25℃/分(110℃に達した後は110℃を維持)の条件で、35〜110℃の範囲で複素粘度を測定した。
昇温開始から250秒後の試験片の複素粘度を第1表に示す。
【0105】
[熱硬化過程における封止剤層の形状保持性評価]
実施例、比較例で得た封止シートの第2剥離フィルムを剥がして露出させた封止剤層を、無アルカリガラス板に貼着した後、これを幅50mm×長さ50mmのサイズに裁断して試験片を得た。
試験片から第1剥離フィルムを剥がして露出させた封止剤層を、温度23℃、相対湿度50%の条件下で無アルカリガラス板に重ね、さらに圧着ロールを用いて、0.5MPaの圧力を加え、積層体を得た。
そして、0.5MPa、110℃の条件で積層体に熱プレスを行った。熱プレス後の積層体の封止剤層に変形が見られなかった場合をA、封止剤層の面積が広がり、変形していた場合をBと評価した。
【0106】
[封止剤層の保存安定性評価]
実施例、比較例で得た封止シートをそれぞれ2枚用意した。
一方の封止シートの封止剤層を試験片Aとして用いて、0℃から200℃まで10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定(使用装置:TAインスツルメンツ社製、DSC Q2000)を行い、発熱ピークのピーク面積〔面積(α)〕を求めた。
もう一方の封止シートを、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間保管し、その封止シートの封止剤層を試験片Bとして用いて同様に示差走査熱量測定を行い、発熱ピークのピーク面積〔面積(β)〕を求めた。
面積(α)に対する面積(β)の割合が、95%以上であったものをA、95%未満だったものをBと評価した。
【0107】
【表1】
【0108】
第1表から以下のことが分かる。
実施例1〜3で得られた封止シートの封止剤層は、23℃における貼付性に優れ、かつ、熱硬化過程において変形し難いものである。
一方、比較例1で得られた封止シートの封止剤層は、低温反応性を有する熱カチオン重合開始剤を含有しないため、本発明の要件(III)を満たさない。このため、熱硬化過程において流動化し易くなり、形状保持性に劣っている。
また、比較例2で得られた封止シートの封止剤層は、本発明の要件(II)を満たさない。このため、23℃における貼付性に劣っている。
さらに、比較例2で得られた封止シートの封止剤層は、低温反応性を有する熱カチオン重合開始剤を含有するとともに、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を含有していない。このため、この封止シートは保存安定性に劣るものである。
本発明は、熱硬化性の封止剤層を有する封止シートであって、以下の要件(I)、要件(II)、及び要件(III)を満たすことを特徴とする封止シートである。本発明の封止シートは、常温での貼付性に優れ、かつ、熱硬化過程において変形し難い封止剤層を有するものである。
要件(III):前記封止剤層を35℃から110℃まで25℃/分の速度で昇温し、その後110℃を維持したとき、昇温開始から250秒後の封止剤層の複素粘度が1×10