(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から14のいずれかに記載の粘着シート上に電子部品を貼着すること、および、該粘着シートにレーザー光を照射して該粘着シートから該電子部品を剥離することを含む、電子部品の処理方法。
前記処理が、グラインド加工、ダイシング加工、ダイボンディング、ワイヤーボンディング、エッチング、蒸着、モールディング、回路形成、検査、検品、洗浄、転写、配列、リペアまたはデバイス表面の保護である、請求項17に記載の電子部品の処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.粘着シートの概要
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。この実施形態による粘着シート100は、ガス発生層10を備える。
図1(b)は、本発明の別の実施形態による粘着シートの概略断面図である。この実施形態による粘着シート200は、ガス発生層10の少なくとも片面に配置されたガスバリア層20をさらに備える。
図1(a)に示すように、粘着シート100は、ガス発生層10の片面に基材30をさらに備えていてもよい。また、
図1(b)に示すように、ガス発生層10とガスバリア層20を備える場合、粘着シート200は、ガス発生層10のガスバリア層20とは反対側に、基材30をさらに備えていてもよい。また、粘着シートは、本発明の効果が得られる限り、任意の適切なその他の層をさらに含んでいてもよい。1つの実施形態においては、上記粘着シートは、ガス発生層のガスバリア層とは反対側に配置された粘着剤層をさらに備え得る。粘着剤層の形態は限定されず、硬化型の粘着剤層であってもよく、感圧型の粘着剤層であってもよい。図示していないが、本発明の粘着シートは、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、ガス発生層またはガスバリア層の外側に剥離ライナーが設けられていてもよい。
【0010】
ガス発生層10は、レーザー光照射によりガスを発生する。より詳細には、ガス発生層10は、レーザー光照射よってその成分がガス化することにより、ガスを発生させる層である。レーザー光としては、代表的には、UVレーザー光が用いられる。粘着シート(実質的にはガス発生層)にレーザー光を照射することにより、粘着シートの表面が変形し得る。レーザー光としては、代表的には、UVレーザー光が用いられる。
【0011】
1つの実施形態においては、ガス発生層およびガスバリア層が粘着性を有する。なお、本明細書において、「粘着性を有する」とは、ステンレス板に貼着した際の23℃における粘着力が、0.1N/20mm以上であることを意味する。
【0012】
ガスバリア層20を備える粘着シートにおいては、粘着シート(実質的にはガス発生層)にレーザー光を照射することにより、ガスバリア層20の表面が変形し得る。1つの実施形態においては、当該変形は、ガス発生層10から生じるガスに起因し、ガスバリア層20のガス発生層10とは反対側に生じ得る。1つの実施形態においては、ガスバリア層が粘着性を有する。
【0013】
本発明の粘着シートは、粘着シート表面(
図1(a)に示す形態においてはガス発生層表面、
図1(b)に示す形態においてはガスバリア層)に電子部品等の被加工体を貼着して用いられ得る。本発明の粘着シートは、ガス発生層を備え、レーザー光照射により微小な範囲で部分的にガスを発生させる。当該ガス発生に起因して、粘着シートの表面に変形が生じ、その結果、レーザー光が照射された部分において、剥離性が発現する。本発明によれば、上記のようにして、微小な範囲で変形を生じさせることができるため、極めて微細な小型電子部品を加工する際にも当該小型電子部品を良好に剥離させることができる。また、剥離を要する小型電子部品と、剥離を要さない小型電子部品が隣り合って仮固定されている場合であっても、剥離対象の箇所で剥離し、剥離対象該の箇所では剥離しないこと、すなわち、剥離を要する小型電子部品のみを剥離させることができ、小型電子部品の不要な脱離を防止することもできる。本発明の粘着シートは、剥離時の指向性に優れ、所望の箇所でのみ剥離が可能であり、破損が防止され、かつ、糊残りが少ない点でも有利である。なお、剥離時の指向性とは、小型電子部品などの被着体を該粘着シートから剥離して、ある一定の距離が離れた場所を狙って射出する際の位置精度を表す指標であり、当該指向性に優れていれば、剥離の際に被着体が予期せぬ方向に飛んでしまうことが防止される。
【0014】
粘着シートの変形とは、粘着シート表面(
図1(a)に示す形態においてはガス発生層表面、
図1(b)に示す形態においてはガスバリア層)の法線方向(厚み方向)と水平方向(厚み方向と直交する方向)に生じる変位を意味する。粘着シートの変形は、例えば、波長355nm、ビーム径約20μmφのUVレーザー光を用いて、0.80mW出力、周波数40kHzでパルススキャンすることでガス発生層からガスを発生させることにより生じる。変形後の形状は、例えば、パルススキャンした任意の1スポットを、レーザー光照射から24時間後、共焦点レーザー顕微鏡もしくは非接触型干渉顕微鏡(WYKO)などの測定から観測される。その形状は、発泡(凸状)や貫通孔(凹凸状)、くぼみ(凹状)でもよく、これらの変形により剥離性が生じ得る。法線方向に電子部品を効率よく剥離するには、レーザー光照射前後の法線方向の変位変化が大きい方が好ましく、特に発泡形状を形成するものが適している。発泡(凸状)は未照射部の粘着シート表面を基準とし、最高点を垂直変位Y、半値全幅を水平変位X(直径)として定義する。レーザー光照射後に穴を形成する貫通孔(凹凸)とくぼみ(凹)に関しては、最高点と最低点の差を垂直変位Y、穴の直径を水平変位Xと定義する。粘着シートへのレーザー光照射による粘着シートの表面の水平変位は、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。このような範囲であれば、小さな被着体について、所望の箇所でのみの剥離を好ましく行うことができる。また、被着体が狭い間隔で配列されている場合にも、同様の効果が期待できる。当該水平変位の下限は、例えば、3μm(好ましくは4μm)である。
【0015】
本発明の粘着シートの波長360nmの光透過率は、好ましくは0%〜40%であり、より好ましくは0%〜35%であり、さらに好ましくは0.01%〜30%であり、特に好ましくは0.02%〜25%である。また、上記粘着シートの波長380nmの光透過率は、好ましくは10%〜100%であり、より好ましくは12%〜95%であり、さらに好ましくは15%〜90%であり、特に好ましくは20%〜85%である。なお、粘着シートの光透過率とは、粘着シートの厚み方向の光透過率であり、粘着シートの構成層全層を対象として測定される光透過率である。例えば、ガス発生層に所定の紫外線吸収剤を含有させることにより、光透過率がこのように調整された粘着シートを形成することができる。本発明においては、紫外線領域の光の波長を上記範囲とすることにより、UVレーザー光に用いられる波長355nmの光は効率よく吸収して、光エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。一方で、波長380nmの透過性を高くすることで、波長350〜380nmに吸収を持つ光重合開始剤を併用することが出来るようになる為、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた際に活性エネルギー線照射(例えば、波長380nmの紫外線照射)によってガス発生層を硬化させて弾性率を向上させることが可能になる。このような粘着シートにおいては、UVレーザー光を照射した際に粘着剤の過剰な変形が抑制され、剥離を要する小型電子部品のみを剥離させることができ、小型電子部品の不要な脱離を防止することもできる。上記のように、波長360nmおよび波長380nm透過率を特定すれば、波長350nm〜380nmの紫外線を硬化反応に好ましく使用することができ、ガス発生層の弾性率を最適な範囲に制御することができる。
【0016】
本発明の粘着シートの波長500nmの光透過率は、好ましくは70%〜100%であり、より好ましくは75%〜98%であり、さらに好ましくは80%〜95%である。このような範囲であれば、レーザー光照射による被着体の剥離の際に、剥離対象となる被着体を粘着シート越しに良好に視認可能となる粘着シートを得ることができる。
【0017】
本発明の粘着シートのヘイズ値は、好ましくは70%以下であり、より好ましくは65%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。このような範囲であれば、レーザー光照射による被着体の剥離の際に、ガスバリア層のいずれの箇所においても変形部(例えば、凹凸部)を発生させ得、かつ、変形部(例えば、凹凸部)の形状にバラツキが少ない粘着シートを得ることができる。粘着シートのヘイズ値は低いほど好ましいが、その下限は、例えば、0.1%(好ましくは0%)である。
【0018】
本発明の粘着シートの粘着シート表面(
図1(a)に示す形態においてはガス発生層表面、
図1(b)に示す形態においてはガス発生層)をステンレス板に貼着した際の23℃における初期粘着力は、好ましくは0.3N/20mm〜15N/20mmであり、より好ましくは0.5N/20mm〜10N/20mmである。このような範囲であれば、良好に被着体を保持し得る粘着シートを得ることができる。また、低エネルギーのレーザー光照射により剥離性を発現さえることができ、糊残りが少なく、剥離時の指向性に優れる粘着シートを得ることができる。粘着力は、JIS Z 0237:2000に準じて測定される。具体的には、2kgのローラーを1往復により粘着シートをステンレス板(算術平均表面粗さRa:40±25nm)に貼着し、23℃下で30分間放置した後、剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/minの条件で、粘着シートを引きはがして測定される。粘着シートは、レーザー光照射により粘着力が変化するが、本明細書において、「初期粘着力」とは、レーザー光を照射する前の粘着力を意味する。また、初期粘着力および下記粘着力は、ガス発生層またはガスバリア層を上記ステンレス板に貼着して測定され得る。
【0019】
粘着シートの厚みは、好ましくは1μm〜300μmであり、より好ましくは5μm〜200μmである。
【0020】
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、被着体(例えば、電部品)のキャリアシートとして用いられる。例えば、(1)他の固定材料上に配置された複数の超小型部品を上記粘着シート上に転写して受け取り、(2)その後、UVレーザー光(例えば、波長355nmのUVレーザー光)を照射して、所望の箇所にある超小型部品を選択的に剥離するようにして、上記粘着シートは用いられ得る。
【0021】
上記のとおり、本発明の粘着シートは、レーザー光照射により良好な剥離性を示す。ここで、良好な剥離性とは、(1)低エネルギーで剥離可能であり、(2)糊残りが少なく、(3)剥離時の指向性に優れることを意味する。低エネルギーで剥離可能であれば、レーザー光照射部位の劣化を防止することができる。糊残りが少なければ、後工程の不具合を防止することができる。剥離時の指向性に優れていれば、不要なチップ飛びを防止することができる。
【0022】
B.ガス発生層
ガス発生層は、紫外線吸収可能な層であり得る。代表的には、ガス発生層は、紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤を含むことにより、レーザー光を吸収してガス化し得るガス発生層を形成することができる。
【0023】
上記ガス発生層断面のナノインデンテーション法による弾性率(本明細書において、単に、「ガス発生層のナノインデンテーション法による弾性率」ともいう)は、好ましくは0.1MPa〜10000MPaであり、より好ましくは0.2MPa〜1000MPaであり、特に好ましくは0.3MPa〜800MPaである。このような範囲であれば、ガス発生層から発生したガスの不要な抜けが防止され、レーザー光照射により良好に粘着シート(実質的にはガス発生層)が変形する。ナノインデンテーション法による弾性率とは、圧子を試料(例えば、粘着面)に押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さとを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定し、得られた負荷荷重−押し込み深さ曲線から求められる弾性率をいう。ナノインデンテーション法による弾性率は、ダイヤモンド製のBerkovich型(三角錐型)探針を測定対象層の切り出した断面に垂直に押し当てることで得られる変位-荷重ヒステリシス曲線を、測定装置付帯のソフトウェア(triboscan)で数値処理することで得られる。本明細書において、弾性率とは、ナノインデンター(Hysitron Inc社製Triboindenter TI−950)を用いて、所定温度(25℃)における単一押し込み法により、押し込み速度約500nm/sec、引き抜き速度約500nm/sec、押し込み深さ約1500nmの測定条件で、測定された弾性率である。なお、ガス発生層の弾性率は、当該層に含まれる材料の種類、材料を構成するベースポリマーの構造、該当する層に添加される添加剤の種類・量等により、調整することができる。
【0024】
上記ガス発生層の厚みは、好ましくは0.1μm〜50μmであり、より好ましくは0.5μm〜45μmであり、さらに好ましくは1μm〜42μmであり、特に好ましくは2μm〜40μmである。このような範囲であれば、レーザー光照射により、より良好な変形部を形成し得る粘着シートを得ることができる。
【0025】
上記ガス発生層は、ナノインデンテーション法による弾性率Er(gas)[単位:MPa]と厚みh(gas)[単位:μm]が、下記式(1)を満たす。
Log(Er(gas)×10
6)≧8.01×h(gas)
−0.116・・・(1)
本発明においては、ガス発生層が上記式(1)を満足するように構成されていることにより、ガス発生層から発生したガスによる過度な変形が防止され、レーザー光照射により良好に粘着シートが変形する。このようなガス発生層を形成することにより、過度な変形を防止する層として厚いバリア層を配置することなく、微小な範囲での表面変形を生じさせることができる。より具体的には、ガス発生層単体で表面変形させたり、ガスバリア層を柔軟に構成させることができる。
【0026】
1つの実施形態においては、ナノインデンテーション法による弾性率Er(gas)[単位:MPa]と厚みh(gas)[単位:μm]が、下記式(2)を満たす。1つの実施形態においては、ナノインデンテーション法による弾性率Er(gas)[単位:MPa]と厚みh(gas)[単位:μm]が、下記式(3)を満たす。
Log(Er(gas)×10
6)≧7.66×h(gas)
−0.092・・・(2)
Log(Er(gas)×10
6)≧7.52×h(gas)
−0.081・・・(3)
このような範囲であれば、上記効果がより顕著となる。
【0027】
1つの実施形態においては、ナノインデンテーション法による弾性率Er(gas)[単位:MPa]と厚みh(gas)[単位:μm]は、下記式(4)をさらに満たす。
Log(Er(gas)×10
6)≦47.675×h(gas)
−0.519・・・(4)
【0028】
上記ガス発生層のガス化開始温度は、好ましくは150℃〜500℃であり、より好ましくは170℃〜450℃であり、さらに好ましくは190℃〜420℃であり、特に好ましくは200℃〜400℃である。このような範囲であれば、レーザー光照射により、より良好な変形部を形成し得る粘着シートを得ることができる。なお、本明細書において、ガス発生層のガス化開始温度とは、粘着シートを昇温した際のEGA分析から算出されるガス発生立ち上がり温度を意味する。ガス発生立ち上がり温度とは、EGA分析から得られるEGA/MSスペクトルの最大ガス発生ピークの半値に到達する温度で定義される。ガス化開始温度が低いほど、レーザー光照射された際にガスが発生し始める温度は低くなり、より小さな出力でレーザー光照射された場合にも十分なガス量が発生する。1つの実施形態においては、ガス発生層のガス化開始温度は、紫外線吸収剤のガス化開始温度に相当する。
【0029】
上記ガス発生層の10%重量減少温度は、好ましくは150℃〜500℃であり、より好ましくは170℃〜450℃であり、さらに好ましくは200℃〜400℃である。このような範囲であれば、レーザー光照射により、より良好な変形部を形成し得る粘着シートを得ることができる。ガス発生層の10%重量減少温度とは、粘着シートを昇温した際(例えば、レーザー光照射により昇温した際)のTGA分析において、ガス発生層の重量が、昇温前の重量に対して10重量%減少した(すなわち、ガス発生層の重量が昇温前の重量に対して90%となった)時点での温度を意味する。
【0030】
上記のとおり、好ましくは、ガス発生層は、紫外線吸収剤を含む。1つの実施形態においては、上記ガス発生層は、活性エネルギー線硬化型組成物(例えば、粘着剤)をさらに含む。1つの実施形態においては、上記ガス発生層は、バインダー樹脂を含む。好ましくは、バインダー樹脂は、活性エネルギー線硬化型組成物(例えば、粘着剤)の硬化物である。1つの実施形態においては、ガス発生層は、アクリル系ポリマーを含む。
【0031】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、紫外線(例えば、波長360nm以下)を吸収する化合物であれば、任意の適切な紫外線吸収剤が用いられ得る。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。なかでも好ましくは、トリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはトリアジン系紫外線吸収剤である。特に、バインダー樹脂としてアクリル系ポリマーを用いる場合に、アクリル系ポリマーとの相溶性が高いことから、トリアジン系紫外線吸収剤は好ましく用いられ得る。トリアジン系紫外線吸収剤は、水酸基を有する化合物から構成されていることがより好ましく、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物から構成された紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)であることが特に好ましい。
【0032】
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10−C16(主としてC12−C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(商品名「TINUVIN 400」、BASF社製)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(商品名「TINUVIN 405」、BASF社製)、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUVIN 460」、BASF社製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(商品名「TINUVIN 1577」、BASF社製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]−フェノール(商品名「アデカスタブ LA−46」、(株)ADEKA製)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUVIN 479」、BASF社製)、BASF社製の商品名「TINUVIN 477」などが挙げられる。
【0033】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物)としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「TINUVIN PS」、BASF社製)、ベンゼンプロパン酸および3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C7−9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(商品名「TINUVIN 384−2」、BASF社製)、オクチル3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートおよび2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2イル)フェニル]プロピオネートの混合物(商品名「TINUVIN 109」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 900」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 928」、BASF製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(商品名「TINUVIN 1130」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(商品名「TINUVIN P」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 234」、BASF社製)、2−[5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 326」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(商品名「TINUVIN 328」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 329」、BASF社製)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](商品名「TINUVIN 360」、BASF社製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(商品名「TINUVIN 213」、BASF社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(商品名「TINUVIN 571」、BASF社製)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(商品名「Sumisorb 250」、住友化学(株)製)、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「SEESORB 703」、シプロ化成社製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール(商品名「SEESORB 706」、シプロ化成社製)、2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成社製の商品名「SEESORB 7012BA」)、2−tert−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール(商品名「KEMISORB 73」、ケミプロ化成社製)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](商品名「アデカスタブ LA−31」、(株)ADEKA製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−セルロース(商品名「アデカスタブ LA−32」、(株)ADEKA製)、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール(商品名「アデカスタブ LA−36」、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0034】
上記紫外線吸収剤は、染料または顔料であってもよい。顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、レーキ系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサンジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の顔料が挙げられる。染料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、カルボニル系、インジゴ系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系等の染料が挙げられる。
【0035】
上記紫外線吸収剤を構成する化合物の分子量は、好ましく100〜1500であり、より好ましくは200〜1200であり、さらに好ましくは200〜1000である。このような範囲であれば、レーザー光照射により、より良好な変形部を形成し得る粘着シートを得ることができる。
【0036】
1つの実施形態において、上記紫外線吸収剤の最大吸収波長は、好ましくは360nm以下であり、より好ましくは355nm以下であり、さらに好ましくは340nm以下である。このような紫外線吸収剤を用いれば、好ましく紫外線を吸収して、良好な剥離性を示し得ながらも、常態における特性安定性に優れる粘着シートを得ることができる。
【0037】
上記紫外線吸収剤の含有割合は、ガス発生層中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部〜50重量部であり、より好ましくは3重量部〜40重量部である。
【0038】
(活性エネルギー線硬化型組成物)
活性エネルギー線硬化型組成物を用いることにより、好ましく弾性率が調整されたガス発生層を形成することができる。
【0039】
1つの実施形態においては、活性エネルギー線硬化型組成物として、母剤となるベースポリマーと、該ベースポリマーと結合可能な活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)とを含む活性エネルギー線硬化型組成物(A1)が用いられる。別の実施形態においては、ベースポリマーとして活性エネルギー線反応性ポリマーを含む活性エネルギー線硬化型組成物(A2)が用いられる。好ましくは、上記ベースポリマーは、光重合開始剤と反応し得る官能基を有する。該官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0040】
上記組成物(A1)において用いられるベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系ポリマー;シリコーン系ポリマー;アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、アクリル系ポリマーである。
【0041】
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの単重合体または共重合体;該炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステルすなわちラウリルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、およびエイコシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステルおよびシクロヘキシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルおよび(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以上であり、より好ましくは60重量部以上である。
【0042】
上記他の共重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルなどの官能基含有モノマー等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、および(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。アクリルアミドとしては、例えばN−アクリロイルモルホリンが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記共重合性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは60重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下である。
【0043】
アクリル系ポリマーは、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、多官能性モノマー由来の構成単位を含み得る。多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(すなわち、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記多官能性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下である。
【0044】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10万〜300万であり、より好ましくは20万〜200万である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
【0045】
上記組成物(A1)に用いられ得る上記活性エネルギー線反応性化合物としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の重合性炭素−炭素多重結合を有する官能基を有する光反応性のモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。該光反応性のモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;多官能ウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、メタクリロイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアナトエチルメタクリレート)、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のモノマーを用いてもよい。光反応性のオリゴマーの具体例としては、上記モノマーの2〜5量体等が挙げられる。光反応性のオリゴマーの分子量は、好ましくは100〜3000である。
【0046】
また、上記活性エネルギー線反応性化合物として、エポキシ化ブタジエン、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルシロキサン等のモノマー;または該モノマーから構成されるオリゴマーを用いてもよい。
【0047】
さらに、上記活性エネルギー線反応性化合物として、オニウム塩等の有機塩類と、分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物を用いてもよい。該混合物は、活性エネルギー線(例えば、紫外線、電子線)の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成し得る。上記有機塩類としては、例えば、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩等が挙げられる。上記分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジン等が挙げられる。
【0048】
上記組成物(A1)において、活性エネルギー線反応性化合物の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜500重量部であり、より好ましくは5重量部〜300重量部であり、さらに好ましくは40重量部〜150重量部である。
【0049】
上記組成物(A2)に含まれる活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の炭素−炭素多重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。活性エネルギー線反応性ポリマーの具体例としては、多官能(メタ)アクリレートから構成されるポリマー;光カチオン重合型ポリマー;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化されたアミノノボラック樹脂;ポリアクリルアミド;等が挙げられる。
【0050】
1つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマーの側鎖、主鎖および/または主鎖末端に、活性エネルギー線重合性の炭素−炭素多重結合が導入されて構成された活性エネルギー線反応性ポリマーが用いられる。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素−炭素二重結合の導入手法としては、例えば、所定の官能基(第1の官能基)を有するモノマーを含む原料モノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得た後、第1の官能基との間で反応を生じて結合しうる所定の官能基(第2の官能基)と放射線重合性炭素−炭素二重結合とを有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応または付加反応させる方法が、挙げられる。
【0051】
第1の官能基と第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基が挙げられる。これら組み合わせのうち、反応追跡の容易さの観点からは、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせや、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが、好ましい。また、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製するのは技術的難易度が高いところ、アクリル系ポリマーの作製または入手のしやすさの観点からは、アクリル系ポリマー側の上記第1の官能基がヒドロキシ基であり且つ上記第2の官能基がイソシアネート基である場合が、より好ましい。この場合、放射線重合性炭素−炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、およびm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。また、第1の官能基を有するアクリル系ポリマーとしては、上記のヒドロキシ基含有モノマー由来の構成単位を含むものが好ましく、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルや、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルなどのエーテル系化合物由来の構成単位を含むものも好ましい。
【0052】
上記組成物(A2)は、上記活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をさらに含んでいてもよい。
【0053】
上記活性エネルギー線硬化型組成物は、光重合開始剤を含み得る。
【0054】
光重合開始剤としては、任意の適切な開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、任意の適切な量に設定され得る。
【0055】
1つの実施形態においては、波長365nmの吸光係数が10ml/g・cm〜10000ml/g・cm(好ましくは80ml/g・cm〜8000ml/g・cm、より好ましくは100ml/g・cm〜5000ml/g・cm)である光重合開始剤が用いられる。本発明においては、粘着シートの波長360nmの光透過率が0%〜35%となるようにガス発生層が構成されていることにより、中波長(例えば、360nm〜380nm)域で反応性の高い光重合開始剤を採用することができる。このような光重合開始剤を含むガス発生層は、硬化されるべきではない状況、例えば、保管時、UVカットランプ下での使用時等において、特性が変化し難い点で有利である。なお、本明細書において、吸光係数はメタノール中での吸光係数を意味する。吸光係数は、光重合開始剤のメタノール溶液を調整し、紫外可視近赤外分光光度計(商品名「V−570」、日本分光社製)を用いて測定され得る。
【0056】
1つの実施形態においては、上記光重合開始剤の波長405nmの吸光係数が10ml/g・cm以下であり、より好ましくは8ml/g・cm以下である。
【0057】
上記光重合開始剤として、市販品を用いてもよい。例えば、光重合開始剤として、BASF社製の商品名「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア500」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア127」、「イルガキュア754」、「イルガキュアMBF」、「イルガキュア907」等が挙げられる。
【0058】
上記光重合開始剤の含有割合は、粘着剤のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜20重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜15重量部である。
【0059】
好ましくは、上記活性エネルギー線硬化型組成物は、架橋剤を含む。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。
【0060】
上記架橋剤の含有割合は、上記活性エネルギー線硬化型組成物中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜15重量部であり、より好ましくは0.2重量部〜12重量部である。
【0061】
1つの実施形態においては、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。イソシアネート系架橋剤は、多種の官能基と反応し得る点で好ましい。上記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;等が挙げられる。好ましくは、イソシアネート基を3個以上有する架橋剤が用いられる。
【0062】
活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、活性エネルギー線重合促進剤、ラジカル捕捉剤、粘着付与剤、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等)、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0063】
C.ガスバリア層
上記ガスバリア層のナノインデンテーション法による弾性率は、好ましくは0.1MPa〜100MPaであり、より好ましくは0.2MPa〜50MPaであり、さらに好ましくは0.3MPa〜35MPaである。
【0064】
上記ガスバリア層の厚みは、好ましくは0.1μm〜50μmであり、より好ましくは0.2μm〜45μmであり、さらに好ましくは0.3μm〜40μmである。本発明においては、薄く柔軟なガスバリア層を有していても、レーザー光照射による表面変形を好ましく生じさせることができる。
【0065】
上記ガスバリア層は、任意の適切な粘着剤を含み得る。上記ガスバリア層に含まれる粘着剤Aとしては、感圧粘着剤Aが好ましく用いられる。粘着剤Aとしては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、等が挙げられる。なかでも好ましくは、アクリル系粘着剤またはゴム系粘着剤であり、より好ましくはアクリル系粘着剤である。なお、上記粘着剤は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルが挙げられる。なかでも、炭素数が4〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ得る。
【0067】
上記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;ビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0068】
上記ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム;ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、これらの変性体等の合成ゴム;等をベースポリマーとするゴム系粘着剤が挙げられる。
【0069】
上記粘着剤Aは、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、架橋剤、粘着付与剤(例えば、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、炭化水素系粘着付与剤等)、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤)、顔料、染料、老化防止剤、導電材、帯電防止剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0070】
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なかでも好ましくは、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤である。
【0071】
上記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤の含有量は、所望とする粘着力に応じて、任意の適切な量に設定され得、ベースポリマー100重量部に対して、代表的には0.1重量部〜20重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
【0072】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE−400」)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールP−200」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX−611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX−314」)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX−512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の含有量は、所望とする粘着力に応じて、任意の適切な量に設定され得、ベースポリマー100重量部に対して、代表的には0.01重量部〜10重量部であり、より好ましくは0.03重量部〜5重量部である。
【0073】
D.粘着剤層
上記基材のガス発生層とは反対側に配置される粘着剤層を構成する粘着剤としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な粘着剤が用いられ得る。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、活性エネルギー線硬化型粘着剤等が挙げられる。中でも好ましくは、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤またはシリコーン系粘着剤であり、より好ましくはアクリル系粘着剤である。
【0074】
上記粘着シートの粘着剤層をポリエチレンテレフタレートフィルムに貼着した際の23℃における粘着力は、好ましくは0.01N/20mm〜15N/20mmであり、より好ましくは0.05N/20mm〜10N/20mmである。
【0075】
上記粘着剤層の波長355nmの光透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。上記粘着剤層の355nmの光透過率の上限は、例えば、98%(好ましくは99%)である。
【0076】
E.基材
上記基材は、任意の適切な樹脂から構成され得る。該樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくはポリオレフィン系樹脂である。
【0077】
上記基材の厚みは、好ましくは2μm〜300μmであり、より好ましくは2μm〜100μmであり、さらに好ましくは2μm〜50μmである。
【0078】
基材の波長355nmの光透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。基材の全光線透過率の上限は、例えば、98%(好ましくは99%)である。
【0079】
F.粘着シートの製造方法
本発明の粘着シートは、任意の適切な方法により製造することができる。本発明の粘着シートは、例えば、所定の基材上に直接、活性エネルギー線硬化型組成物および紫外線吸収剤を含むガス発生層形成用組成物を塗工(塗布、硬化)してガス発生層を形成して得られ得る。また、粘着シートが、ガスバリア層を備える場合、当該ガス発生層上に粘着剤Aを含むガスバリア層形成用組成物を塗工して、粘着シートを得てもよい。また、各層を別々に形成した後に貼り合わせて粘着シートを形成してもよい。
【0080】
上記組成物の塗工方法としては、任意の適切な塗工方法が採用され得る。例えば、塗布した後に乾燥して各層を形成することができる。塗布方法としては、例えば、マルチコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケーター等を用いた塗布方法が挙げられる。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。加熱乾燥する場合の加熱温度は、乾燥対象となる物質の特性に応じて、任意の適切な温度に設定され得る。また、各層の形態に応じて、活性エネルギー線照射(例えば、紫外線照射)が行われ得る。
【0081】
G.電子部品の加工方法
本発明の電子部品の処理方法は、上記粘着シートに電子部品を貼着すること、および、当該粘着シートにレーザー光を照射して、当該粘着シートから電子部品を剥離することを含む。電子部品としては、例えば、半導体チップ、LEDチップ、MLCC等が挙げられる。
【0082】
上記電子部品の剥離は、位置選択的に行われ得る。具体的には、複数の電子部品を粘着シートに貼着、固定し、電子部品の一部を剥離し、その他の電子部品は固定されたままとなるようにして電子部品の剥離が行われ得る。
【0083】
1つの実施形態においては、本発明の電子部品の処理方法は、粘着シートに電子部品を貼着した後、粘着シートから電子部品を剥離する前に、当該電子部品に所定の処理を行うことを含む。上記処理は特に限定されず、例えば、グラインド加工、ダイシング加工、ダイボンディング、ワイヤーボンディング、エッチング、蒸着、モールディング、回路形成、検査、検品、洗浄、転写、配列、リペア、デバイス表面の保護等の処理が挙げられる。
【0084】
上記電子部品のサイズ(貼着面の面積)は、例えば、1μm
2〜250000μm
2である。1つの実施形態においては、電子部品のサイズ(貼着面の面積)が1μm
2〜6400μm
2の電子部品が処理に供され得る。別の実施形態においては、電子部品のサイズ(貼着面の面積)が1μm
2〜2500μm
2の電子部品が処理に供され得る。
【0085】
1つの実施形態においては、上記のとおり、複数の電子部品が粘着シート上に配置され得る。電子部品の間隔は、例えば、1μm〜500μmである。本発明においては、間隔を狭くして、被処理体を仮固定し得る点で有利である。
【0086】
レーザー光としては、例えば、UVレーザー光が用いられ得る。レーザー光の照射出力は、例えば、1μJ〜1000μJである。UVレーザー光の波長は、例えば、240nm〜380nmである。
【0087】
1つの実施形態においては、上記電子部品の処理方法は、電子部品の剥離後、当該電子部品を別のシート(例えば、粘着シート、基板等)に配置することを含む。
【実施例】
【0088】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0089】
(1)初期粘着力
粘着シートのガスバリア層(実施例17においてはガス発生層)をSUS304BAに貼着して、当該粘着シートの対する粘着力を、JIS Z 0237:2000に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、引張速度:300mm/min、剥離角度180°、測定温度:23℃)により、測定した。また、粘着シートのガスバリア層(実施例17においてはガス発生層)をステンレス板などの支持体に貼り付け固定し、基材のガス発生層とは反対側に配置される粘着剤層をポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:25μm)に貼着して、粘着剤層の粘着力を、JIS Z 0237:2000に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、引張速度:300mm/min、剥離角度180°、測定温度:23℃)により、測定した。
【0090】
(2)光透過率
粘着シートを、分光光度計(商品名「UV−VIS紫外可視分光光度計 SolidSpec3700」、島津製作所社製)にセットして、入射光がサンプルのガスバリア層側に垂直に入射するようにして、300nm〜800nmの波長領域の光透過率を測定した。得られた透過スペクトルの360nm、380nmおよび500nmの波長における透過率を抽出した。
【0091】
(3−1)粘着シートの表面形状変化
粘着シートの粘着剤層側を、ガラス板(松波硝子社製、大型スライドグラスS9112(標準大型白縁磨No.2))を貼り合わせて測定サンプルを得た。測定サンプルのガラス板側から、波長355nm、ビーム径約20μmφのUVレーザー光を用いて、0.80mW出力、周波数40kHzでパルススキャンして、ガス発生層からガスを発生させた。このような操作により生じた粘着シート表面(ガスバリア層表面、実施例17においてはガス発生層表面)の形状変化を観察した。
【0092】
(3−2)粘着シートの表面形状変化(剥離性、剥離の位置選択性)
粘着シートの粘着剤層側にガラス板(松波硝子社製、大型スライドグラスS9112(標準大型白縁磨No.2))を貼り合わせて測定サンプルを得た。測定サンプルのガラス板側から、波長355nm、ビーム径約20μmφのUVレーザー光を用いて、0.80mW出力、周波数40kHzでパルススキャンして、ガス発生層からガスを発生させた。パルススキャンした任意の1スポットに対応するガスバリア層表面(実施例17においてはガス発生層表面)を、レーザー光照射から1分後、共焦点レーザー顕微鏡により観察して、垂直変位Yと水平変位X(直径;半値全幅)を測定した。
変位Yが1μm以上である場合、剥離性が優れ(表中、〇);変位Yが0.6μm以上1μm未満である場合、剥離性が良好であり(表中、△);変位Yが0.6μm未満である場合、剥離性が不十分である(表中、×)。変位Xが50μm以下である場合、剥離の位置選択性が優れ(表中、〇);変位Xが50μmを超える場合、剥離の位置選択性が不十分である(表中、×)。
【0093】
(4)ヘイズ値
ヘイズメーター(商品名「HAZE METER HM−150」,村上色彩技術研究所製)を使用して、粘着シートのヘイズ値を測定した。
【0094】
(5)10%重量減少温度
紫外線吸収剤について、10%重量減少温度を測定した。
示差熱分析装置(TA Instruments社製、商品名「Discovery TGA」)を用いて、粘着シートを昇温温度10℃/分、N
2雰囲気下、流量は25ml/分とし、重量が10%減少する温度を測定した。
(6)弾性率
ナノインデンター(Hysitron Inc社製Triboindenter TI−950)を用いて、所定温度(25℃)における単一押し込み法により、押し込み速度約500nm/sec、引き抜き速度約500nm/sec、押し込み深さ約1500nmの測定条件で、弾性率を測定した。
【0095】
[製造例1]アクリルポリマーIの製造
酢酸エチル中に、2−エチルヘキシルアクリレート95重量部と、アクリル酸5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.15重量部とを加えた後、70℃に加熱してアクリル系共重合体(アクリルポリマーI)の酢酸エチル溶液を得た。
【0096】
[製造例2]アクリルポリマーIIの製造
トルエン中に、2−エチルヘキシルアクリレート100重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート12.6重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.25重量部とを加えた後、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.5部を加えて付加反応させることで、炭素―炭素二重結合を有するアクリル系共重合体(アクリルポリマーII)のトルエン溶液を得た。
【0097】
[実施例1]
(ガスバリア層形成用の粘着剤A(1)の調製)
アクリル系ポリマーIを100重量部含むアクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液Iに、エポキシ系架橋剤(三菱ガス社製、商品名「TETRAD−C」)1重量部、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)3重量部を加え、ガスバリア層形成用の粘着剤A(1)を調製した。
(ガス発生層形成用組成物の調製)
アクリル系ポリマーIIを100重量部含むアクリル系ポリマーのトルエン溶液Iに、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)0.2重量部と、光重合開始剤(BASF社製、商品名「Irgacure127」)3重量部と、紫外線吸収剤(BASF社製、商品名「Tinuvin400」)20重量部を加え、ガス発生層形成用組成物(1)を調製した。
(粘着剤(2)の調製)
アクリル系ポリマーIを100重量部含むアクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液Iに、エポキシ系架橋剤(三菱ガス社製、商品名「TETRAD−C」)2重量部を加え、粘着剤(2)を調製した。
(粘着シート)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)の一方の面に、粘着剤(2)を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるようにして、塗工して粘着剤層を形成した。
次いで、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)の他方の面に、ガス発生層形成用組成物(1)を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるよう塗工して、ガス発生層の前駆層を形成した。
次いで、ガスバリア層形成用の粘着剤A(1)を、シリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「セラピール」厚み:38μm)に、溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるよう塗工して、ガスバリア層を形成した。
次いで、ガス発生層の前駆層とガスバリア層とを積層して、シリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれた粘着シート前駆体(ガスバリア層/ガス発生層/基材)を得た。この粘着シート前駆体のガスバリア層側のシリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルム越しに、500mJ/cm
2の紫外線を照射して、粘着シートを得た。上記紫外線照射は、紫外線照射装置(日東精機社製、商品名「UM−810」)を用いて、高圧水銀灯の紫外線(特性波長:365nm、積算光量:500mJ/cm
2、照射エネルギー:70W/cm
2、照射時間:7.1秒)をガス発生層に照射して行った。
得られた粘着シートを上記評価(1)〜(6)に供した。結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2〜16、比較例1〜5]
ガスバリア層の厚み、ガス発生層の厚み、紫外線吸収剤の配合量、架橋剤の配合量を表1のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。得られた粘着シートを上記評価(1)〜(6)に供した。結果を表1〜4に示す。なお、実施例10〜13および17、ならびに比較例3〜5は、ガス発生層への紫外線照射をせずに、当該ガス発生層を形成した。
【0099】
[実施例17]
実施例1と同様にして、ガス発生層形成用組成物(1)を調製した。
実施例1と同様にして、粘着剤(2)を調製した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)の一方の面に、粘着剤(2)を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるようにして、塗工して粘着剤層を形成した。ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)の他方の面に、ガス発生層形成用組成物(1)を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが10μmとなるよう塗工して、ガス発生層の前駆層を形成した。
このようにして得られた粘着シートを上記評価(1)〜(6)に供した。結果を表3に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
本発明の粘着シートは、レーザー光照射によりガスを発生するガス発生層を備え、該ガス発生層のナノインデンテーション法による弾性率Er(gas)[単位:MPa]と厚みh(gas)[単位:μm]が、下記式(1)を満たす。