【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される風呂装置は、浴槽の湯水を前記浴槽に接続された湯水循環路を介して除菌及び/又は濾過処理用の湯水処理部に導き、かつこの湯水処理部を利用して処理された湯水を前記浴槽に戻す湯水処理動作を可能とする循環ポンプと、所定の入浴対応現象及び出浴対応現象を検出可能な検出手段と、この検出手段によって前記出浴対応現象が検出されたときに、前記湯水処理動作を開始させる制御を実行可能な制御部と、を備えている、風呂装置であって、前記浴槽への湯張り後において、最初の前記入浴対応現象又は前記出浴対応現象が前記検出手段によって検出された時点から所定の第1の時間が経過する迄の期間は、前記出浴対応現象が検出されたとしても前記循環ポンプは駆動されず、前記湯水処理動作が実行されない湯水処理禁止期間とされ
、前記湯水処理禁止期間が経過した後において、前記出浴対応現象が前記検出手段によって検出された場合には、前記湯水処理動作が開始される一方、そうでない場合には、前記湯水処理動作の開始が保留され、その後に前記出浴対応現象が検出された時点で、前記湯水処理動作が開始され、前記湯水処理動作の開始が保留された後において、前記出浴対応現象が検出されない状況が所定の第2の時間以上継続した場合には、前記湯水処理動作は実行されることなく、前記入浴対応現象及び前記出浴対応現象の検出動作が終了するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
ここで、本発明でいう「入浴対応現象」とは、人が入浴する場合にこれに対応して生じ、かつその現象が検出されたときには浴室に入浴者が存在する可能性が高いと考えられる現象である。たとえば、浴室に設置された人感センサによって人の存在が検出される現象、浴槽への湯水供給がなされていないにも拘わらず浴槽の水位が上昇する現象、あるいは浴室の照明がオンにされる現象などが該当する。
本発明でいう「出浴対応現象」とは、人が出浴する場合にこれに対応して生じ、かつその現象が検出されたときには浴室に入浴者が不在である可能性が高いと考えられる現象である。たとえば、浴室に設置された人感センサによって人が検出された後に、人が非検出となる現象、浴槽への湯水供給が実行されることなく浴槽の水位が上昇した後に、浴槽の水位が元の水位に復帰し、かつその状態が所定時間以上継続する現象、あるいは浴室の照明がオフにされる現象などが該当する。
【0010】
本発明の前記した構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴槽への湯張り後に一人が入浴(最初の入浴)を終え、出浴したとしても、このことのみを条件として湯水処理動作が開始されることはなく、最初の入浴対応現象又は出浴対応現象が検出された時点から所定の第1の時間が経過する迄の湯水処理禁止期間を過ぎなければ、湯水処理動作は開始されない。この湯水処理禁止期間中に、たとえば二人目、あるいは三人目の人が入浴したとしても、湯水処理動作は開始されないこととなる。このようなことから、前記従来技術とは異なり、入浴者の数と同数だけ湯水処理動作が頻繁に実行されることはなく、湯水処理動作の回数を少なくすることによって、ランニングコストを低減することが可能となる。湯水処理動作として、除菌灯を用いた除菌処理動作を行なわせる場合には、除菌灯の使用寿命を長くする効果も得られることとなる。
また、たとえば一人目の人が入浴を終えたとしても、その後直ちに湯水処理動作が開始されないケースが生じ得るが、一人目の入浴者が入浴を終えただけでは、浴槽の湯水が多くの雑菌類を含まない場合が多いため、浴槽の湯水を衛生的なものとする上で、とくに不具合を生じるようなこともない。
さらに、湯水処理禁止期間(所定の第1の時間)のタイムカウント基準時は、最初の入浴対応現象又は出浴対応現象が検出された時点とされており、入浴によって浴槽の湯水が実際に汚れる虞があることを前提条件として湯水処理禁止期間についてのタイムカウントが開始される。このため、湯水処理動作が開始される時期を実際の入浴状況に適切に対応させることが可能となる。たとえば、本発明とは異なり、第1の時間のカウント開始時期が、浴槽への湯張り時であると、その後誰も入浴していない状況下で湯水処理禁止期間が経過するといった事態を生じる虞があるが、本発明によれば、そのような虞もない。
【0011】
本発明の第2の側面により提供される風呂装置は、浴槽の湯水を前記浴槽に接続された湯水循環路を介して除菌及び/又は濾過処理用の湯水処理部に導き、かつこの湯水処理部を利用して処理された湯水を前記浴槽に戻す湯水処理動作を可能とする循環ポンプと、所定の入浴対応現象及び出浴対応現象を検出可能な検出手段と、この検出手段によって前記出浴対応現象が検出されたときに、前記湯水処理動作を開始させる制御を実行可能な制御部と、を備えている、風呂装置であって、前記制御部は、前記浴槽への湯張り後における入浴者数を判断可能であり、かつ前記湯張り後から前記入浴者数が所定の人数に達する迄の期間は、前記出浴対応現象が前記検出手段によって検出されたとしても前記循環ポンプは駆動されず、前記湯水処理動作が実行されない湯水処理禁止期間とされ
、前記湯水処理禁止期間が経過した後において、前記出浴対応現象が前記検出手段によって検出された場合には、前記湯水処理動作が開始される一方、そうでない場合には、前記湯水処理動作の開始が保留され、その後に前記出浴対応現象が検出された時点で、前記湯水処理動作が開始され、前記湯水処理動作の開始が保留された後において、前記出浴対応現象が検出されない状況が所定の第2の時間以上継続した場合には、前記湯水処理動作は実行されることなく、前記入浴対応現象及び前記出浴対応現象の検出動作が終了するように構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本発明の第1の側面により提供される風呂装置と同様に、浴槽への湯張り後に一人が入浴(最初の入浴)を終え、出浴したとしても、このことのみを条件として湯水処理動作が開始されることはない。所定の人数が入浴しない限りは、湯水処理動作は開始されない。したがって、入浴者の数よりも湯水処理動作の回数を少なくし、ランニングコストを低減することが可能となる。除菌灯を用いた除菌処理動作を行なわせる場合には、除菌灯の使用寿命を長くすることもできる。
また、所定の人数が入浴を終える迄は、湯水処理動作が開始されないこととなるが、入浴者数が少ない間は、浴槽の湯水が多くの雑菌類を含まない場合が多いため、浴槽の湯水を衛生的なものとする上で、とくに大きな不具合はない。
さらに、湯水処理禁止期間は、本発明の第1の側面により提供される風呂装置とは異なり、時間で規定されておらず、入浴者の数が所定数に達する迄の期間とされているため、より実情に沿ったタイミングで湯水処理動作を効率よく実行させることができるといった利点も得られる。
【0014】
また、本発明の第1および第2の側面により提供される風呂装置の構成によれば、人が入浴していない状況で湯水処理動作を適切に実行することが可能である。前記構成とは異なり、人が入浴している際に、湯水処理動作が実行されるべく循環ポンプが駆動されると、たとえば湯水循環路に設けられている水位センサを利用した浴槽の水位測定が困難になるなどの不具合を生じる虞があるが、前記構成によれば、そのような虞を無くすことも可能である。
【0016】
さらに本発明の第1および第2の側面により提供される風呂装置の構成によれば、湯水処理動作の開始が保留された後に、なんらかの事情により出浴に対応する所定現象が検出されない場合に、湯水処理動作の保留状態、及び入浴対応現象や出浴対応現象を検出する動作が、異常に長引いた状態で無駄に実行されることを回避することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記湯水処理部は、除菌灯を備え、かつこの除菌灯及び前記循環ポンプがともに駆動オンとされることにより、前記湯水処理動作として、前記浴槽の湯水の除菌処理動作が可能とされている。
【0018】
このような構成によれば、簡易な構造の装置構成により浴槽の湯水の除菌処理動作を適切に行なうことが可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記除菌処理動作中において、前記入浴対応現象が検出されたときには、前記循環ポンプが駆動オフとされて前記除菌処理動作が中断される一方、前記除菌灯については駆動オン状態が維持され、前記除菌処理動作の中断時において、前記出浴対応現象が検出されたときには、前記循環ポンプが駆動オンとされて、前記除菌処理動作が再開される構成とされている。
【0020】
このような構成によれば、除菌処理動作中に入浴がなされるようなことがあった場合には、循環ポンプが駆動オフとされるために、浴槽の水位の検出を伴う風呂自動保温動作などを適切に実行することが可能となる。また、除菌処理動作を中断する際であっても、除菌灯については駆動オン状態が維持されており、除菌処理動作を再開する際には循環ポンプを駆動させるだけでよいため、除菌灯の駆動オン・オフの切り替え頻度を少なくすることができる。したがって、除菌灯の使用寿命を長くする上で、より好ましいものとなる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記除菌処理動作の中断時において、前記除菌灯の駆動オン状態が所定の第3の時間以上継続したときには、前記除菌灯は駆動オフとされるように構成されている。
【0022】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、除菌処理動作の中断時は、人が入浴している最中である可能性が高く、この際に除菌灯が長時間にわたって連続して駆動オン状態とされると、除菌灯の熱によって湯水循環路の湯水が比較的高温に加熱され、かつこの加熱された湯水が浴槽に供給されることにより入浴者に違和感を与える虞がある。これに対し、前記構成によれば、除菌灯の熱によって湯水循環路の湯水が高温に加熱されることを防止し、前記した虞を解消することが可能である。
【0023】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。