特許第6873398号(P6873398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873398
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20210510BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   E03C1/044
   E03C1/042 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-33865(P2017-33865)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-138750(P2018-138750A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】宮城 隆文
(72)【発明者】
【氏名】諸井 徹二
(72)【発明者】
【氏名】清藤 義弘
(72)【発明者】
【氏名】長野 健一
(72)【発明者】
【氏名】花園 正輝
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−295336(JP,A)
【文献】 実開昭49−053345(JP,U)
【文献】 特開2002−339417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00− 1/10
F16K 27/00−27/12
A47K 3/02− 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯又は水を吐水する水栓装置であって、
吐水口を含むスパウトと、
このスパウトの上流側に接続されて、給湯源から供給される湯又は給水源から供給される水を通水させる流路を形成する通水部材と、
上記スパウト又は上記通水部材の内部に別体で組み込まれて、上記通水部材の流路と上記スパウト内の流路とを連通する内部流路を形成する接続部材と、を有し、
上記通水部材の流路は、上記給湯源及び上記給水源のそれぞれから供給される湯及び水を上記接続部材の内部流路に通水させる第1流路と、この第1流路から分岐する第2流路と、を備え、
上記通水部材の流路には、上記第1流路又は上記第2流路のいずれか一方に切り替え可能な切替弁が設けられており、
上記接続部材には、上記切替弁の切替操作が可能な切替操作部が設けられており、
上記通水部材は、上記第2流路及び上記切替弁が設けられていない他の通水部材に変更可能であり、且つ、上記接続部材は、上記内部流路と異なる内部流路を形成すると共に上記切替操作部が設けられていない他の接続部材に変更可能であることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記接続部材は、樹脂の材料で形成されている請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
上記スパウト及び上記通水部材は、上記接続部材の材料よりも剛性が高い材料でそれぞれ形成されており、
上記接続部材は、上記通水部材が上記スパウトに接続された状態で上記通水部材と上記スパウトとの間の所定位置に保持可能である請求項2記載の水栓装置。
【請求項4】
さらに、互いに接続された上記スパウトと上記通水部材とを固定するねじ部材を有し、このねじ部材は、上記スパウト又は上記通水部材の一方に螺合された状態で、その先端が上記接続部材に当接することなく、上記スパウト又は上記通水部材の他方に当接可能である請求項3記載の水栓装置。
【請求項5】
上記第2流路の下流側は、シャワー吐水部に接続されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に係り、特に、湯又は水を吐水する水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、湯又は水を吐水する水栓装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、給水源から供給された水をシャワーヘッドから吐水するシャワー吐水と、給水源から供給された水をスパウトの吐水口から吐水するスパウト吐水とを切り替える切替弁を備えたものが知られている。
このような従来の水栓装置においては、切替弁がスパウト内に一体に設けられているため、スパウト内には切替弁の構造に応じた内部流路が形成されている。
そのため、例えば、シャワー吐水による吐水形態自体を必要としない、すなわち、切替弁が不要なスパウトを製造する場合には、スパウトの鋳物を複数形態用意するか、機械加工によって種々の形態のスパウトを成形して作り分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−20980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スパウトの鋳物を複数形態用意すると、その分だけ鋳型も必要になるため、製造コストが高くなってしまうという課題がある。
また、機械加工によって種々の形態のスパウトを成形して作り分ける場合においても、スパウトの内部流路が複雑になる程、加工工程も増大し、その分だけ製造コストも高くなってしまうという課題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされてものであり、スパウトを共通化しつつ、種々の内部流路にも対応することができ、製造コストを抑制することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、湯又は水を吐水する水栓装置であって、吐水口を含むスパウトと、このスパウトの上流側に接続されて、給湯源から供給される湯又は給水源から供給される水を通水させる流路を形成する通水部材と、上記スパウト又は上記通水部材の内部に別体で組み込まれて、上記通水部材の流路と上記スパウト内の流路とを連通する内部流路を形成する接続部材と、を有し、上記通水部材の流路は、上記給湯源及び上記給水源のそれぞれから供給される湯及び水を上記接続部材の内部流路に通水させる第1流路と、この第1流路から分岐する第2流路と、を備え、上記通水部材の流路には、上記第1流路又は上記第2流路のいずれか一方に切り替え可能な切替弁が設けられており、上記接続部材には、上記切替弁の切替操作が可能な切替操作部が設けられており、上記通水部材は、上記第2流路及び上記切替弁が設けられていない他の通水部材に変更可能であり、且つ、上記接続部材は、上記内部流路と異なる内部流路を形成すると共に上記切替操作部が設けられていない他の接続部材に変更可能であることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、接続部材がスパウト又は通水部材の内部に別体で組み込まれているため、スパウト自体の構造を変更することなく、別体の接続部材を変更するだけで、スパウトと通水部材との間の内部流路を容易に変更することができる。
したがって、接続部材とは別体であるスパウトについては共通化することができると共に、様々な内部流路を備えた水栓装置にも対応することができる。
よって、スパウトを成形する型等を最小限に留めることがでるため、水栓装置の製造コストを抑制することができる。
また、接続部材の切替操作部を操作し、切替弁が通水部材の流路を第2流路に切り替えることにより、給湯源から供給される湯又は給水源から供給される水を第2流路に分岐させることができる。
したがって、スパウトを共通化しつつ、第2流路の下流側で、スパウトの吐水口以外による吐水が可能な多様性のある吐水形態を実現することができる。
さらに、第2流路及び切替弁が設けられている通水部材を採用している水栓装置には、切替操作部が設けられた接続部材を採用することができる。
一方、第2流路及び切替弁が設けられていない他の通水部材を採用している水栓装置には、内部流路が異なり且つ切替操作部が設けられていない他の接続部材を採用することができる。
したがって、互いに内部流路が異なる接続部材の少なくとも2種類の接続部材により、スパウトを共通化させて、様々な吐水形態に対応することができる。
また、例えば、スパウトが鋳物製である場合には、鋳型を共通化し、スパウトに対しては、別部材の接続部材に応じた最小限の加工で済ませることができる。
したがって、安価な水栓装置を製造することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記接続部材は、樹脂の材料で形成されている。
このように構成された本発明においては、接続部材が樹脂の材料で形成されているため、接続部材の内部流路が複雑になる場合であっても、容易に且つ安価に形成することができる。
また、スパウト内の内部流路を変更したい場合には、所望の内部流路に応じた別形態の樹脂製の接続部材を用意して交換すればよい。
したがって、例えば、スパウトが鋳物製である場合には、鋳型を共通化し、スパウトに対しては、別部材の接続部材に応じた最小限の加工で済ませることができる。
よって、別形態のスパウトの鋳型を別途に用意する必要もないため、水栓装置の製造コストを効果的に抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記スパウト及び上記通水部材は、上記接続部材の材料よりも剛性が高い材料でそれぞれ形成されており、上記接続部材は、上記通水部材が上記スパウトに接続された状態で上記通水部材と上記スパウトとの間の所定位置に保持可能である。
このように構成された本発明においては、通水部材とスパウトとを互いに接続した際に、通水部材及びスパウトから接続部材に対して過度な外力が作用することなく、接続部材を通水部材とスパウトとの間の所定位置に保持することができる。
したがって、接続部材が樹脂の材料で形成されていたとしても、接続部材が上述した過度な外力により破損してしまうことを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、互いに接続された上記スパウトと上記通水部材とを固定するねじ部材を有し、このねじ部材は、上記スパウト又は上記通水部材の一方に螺合された状態で、その先端が上記接続部材に当接することなく、上記スパウト又は上記通水部材の他方に当接可能である。
このように構成された本発明においては、互いに接続されたスパウトと通水部材とをねじ部材が固定した状態では、このねじ部材がスパウト又は通水部材の一方に螺合されると共に、ねじ部材の先端が接続部材に当接することなく、スパウト又は通水部材の他方に当接することができる。
したがって、スパウトと通水部材とをねじ部材で固定する際に、ねじ部材の先端が強度の低い樹脂材料の接続部材に当接して接続部材が破損してしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記第2流路の下流側は、シャワー吐水部に接続されている。
このように構成された本発明においては、接続部材の切替操作部を操作し、切替弁が通水部材の流路を第2流路に切り替えることにより、給湯源から供給される湯又は給水源から供給される水をシャワー吐水部から吐水することができる。
したがって、スパウトを共通化しつつ、スパウトの吐水口以外によるシャワー吐水が可能な多様性を有する吐水を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水栓装置によれば、スパウトを共通化しつつ、種々の内部流路にも対応することができ、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による水栓装置の概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水栓装置の正面断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による水栓装置の側面断面図である。
図5図2に示す本発明の第1実施形態による水栓装置において、流路切替装置の部分を拡大した部分拡大断面図である。
図6図4に示す本発明の第1実施形態による水栓装置において、接続部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
図7】本発明の第1実施形態による水栓装置の接続部材を後方斜め上方から見た斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態による水栓装置の正面断面図であり、流路切替弁がシャワー吐水モードに切り替えられた状態を示す。
図9】本発明の第1実施形態による水栓装置の側面断面図であり、流路切替弁がシャワー吐水モードに切り替えられた状態を示す。
図10】本発明の第2実施形態による水栓装置の概略斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態による水栓装置の正面断面図である。
図12】本発明の第2実施形態による水栓装置の側面断面図である。
図13図12に示す本発明の第2実施形態による水栓装置において、接続部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、図1図9を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置の概略斜視図である。また、図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置の正面断面図である。さらに、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の分解斜視図である。また、図4は、本発明の第1実施形態による水栓装置の側面断面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、浴槽Bの周辺のデッキ面C上に設けられたスパウト2、プルアウト式のシャワーヘッド4、湯量調整用のハンドル6、及び、水量調整用のハンドル8をそれぞれ備えている。
また、図1図4に示すように、水栓装置1は、デッキ面Cよりも下方に設けられた通水部材10を備えている。
さらに、図1図4に示すように、水栓装置1は、通水部材10とスパウト2との間を接続する接続部材12(詳細は後述する)を備えている。
また、図1図4に示すように、水栓装置1は、通水部材10の流路14を切り替える流路切替装置16(詳細は後述する)を備えている。
【0016】
つぎに、図2に示すように、通水部材10の流路14は、給湯器等の給湯源18に上流側が接続されている通湯路20と、水道等の給水源22に上流側が接続されている通水路24とを備えている。
また、図2に示すように、通水部材10の流路14は、これら通湯路20及び通水路24の下流側に形成される第1流路(以下「スパウト吐水用通水路26」)及び第2流路(以下「シャワー吐水用通水路28」)をそれぞれ備えている。
さらに、図2に示すように、通湯路20には、湯量調整用のハンドル6の回転操作によって開閉される開閉弁30が設けられている。同様に、通水路24には、水量調整用のハンドル8の回転操作によって開閉される開閉弁32が設けられている。
【0017】
ここで、図2に示すように、通湯路20は、給湯源18から開閉弁30まで延びた後、通水部材10の分岐部10aまで延びている。
同様に、図2に示すように、通水路24は、給水源22から開閉弁32まで延びた後、通水部材10の分岐部10aまで延びている。
また、図2に示すように、スパウト吐水用通水路26は、通水部材10の分岐部10aからスパウト2側へ延びている。
一方、図2に示すように、シャワー吐水用通水路28は、分岐部10aからシャワーヘッド4側へ延びて、その下流側が、シャワーヘッド4のシャワーホース(図示せず)の接続管4aに接続されている。
【0018】
つぎに、図5は、図2に示す本発明の第1実施形態による水栓装置において、流路切替装置の部分を拡大した部分拡大断面図である。また、図6は、図4に示す本発明の第1実施形態による水栓装置において、接続部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
図2図6に示すように、流路切替装置16は、通水部材10の流路14を切り替える流路切替弁34と、この流路切替弁34を操作可能にする切替操作部である操作レバー36とを備えている。
また、図5に示すように、流路切替弁34は、上下動することによりスパウト吐水用通水路26の流入口26a及びシャワー吐水用通水路28の流入口28aをそれぞれ開閉する弁体34aを備えている。
さらに、図5に示すように、流路切替弁34は、上下方向に摺動可能に設けられて且つその下端で弁体34aを保持する弁側シャフト34bを備えている。
【0019】
つぎに、図7は、本発明の第1実施形態による水栓装置の接続部材を後方斜め上方から見た斜視図である。
図5図7に示すように、操作レバー36は、レバー部材36aを備えており、このレバー部材36aは、接続部材12の縦穴12aを貫いて水平前後方向に延びている。
また、図5及び図6に示すように、操作レバー36は、このレバー部材36aの前端に連結されて上下方向に摺動可能に設けられたレバー側シャフト36bを備えている。
さらに、図5に示すように、流路切替弁34の弁側シャフト34bの上端と操作レバー36のレバー側シャフト36bの下端は、締結部材38によって互いに連結されている。
図2及び図4図6に示すように、例えば、操作レバー36のレバー部材36aを手動で最低位置まで下降させた場合には、操作レバー36のレバー側シャフト36b及び流路切替弁34の弁側シャフト34bが下方に摺動するようになっている。
これにより、弁体34aがスパウト吐水用通水路26の流入口26aが開放する共に、シャワー吐水用通水路28の流入口28aを閉止するモード(以下「スパウト吐水モード」)に切り替わるようになっている。
よって、通湯路20から分岐部10aに供給された湯、及び、通水路24から分岐部10aに供給された水は、スパウト吐水用通水路26内に流入するようになっている。
【0020】
一方、図8は、本発明の第1実施形態による水栓装置の正面断面図であり、流路切替弁がシャワー吐水モードに切り替えられた状態を示す。また、図9は、本発明の第1実施形態による水栓装置の側面断面図であり、流路切替弁がシャワー吐水モードに切り替えられた状態を示す。
図8及び図9に示すように、流路切替装置16の操作レバー36のレバー部材36aを手動で最高位置まで上昇させた場合には、操作レバー36のレバー側シャフト36b及び流路切替弁34の弁側シャフト34bが上方に摺動するようになっている。
これにより、弁体34aがスパウト吐水用通水路26の流入口26aが閉止する共に、シャワー吐水用通水路28の流入口28aを開放するモード(以下「シャワー吐水モード」)に切り替わるようになっている。
【0021】
つぎに、図2図7に示すように、接続部材12は、樹脂材料で概ね円筒状に形成された部材であり、スパウト2の内部に別体で組み込まれている。
一方、図2図6に示すように、スパウト2は、金属製の鋳型成形品であり、通水部材10は、黄銅等で形成された金属製の部材である。すなわち、これらの金属製のスパウト2や通水部材10は、樹脂製の接続部材12よりも剛性が高い材料で形成されている。
また、図5及び図6に示すように、スパウト2内の上流側には、接続部材12が下側からスパウト2内に挿入可能な挿入穴40が形成されている。
さらに、図5図7に示すように、接続部材12は、その下側のフランジ12bの上面が段部42に当接するまで挿入穴40に挿入されると、スパウト2の下端から所定高さH1の位置に位置決めされるようになっている。
そして、図5に示すように、接続部材12が下側から挿入穴40に挿入された後に、通水部材10の下流側端部(上端部)がスパウト2内の上流側端部(下端部)に接続された状態では、接続部材12は、スパウト2内の通水部材10の下流側端部(上端部)の上方の所定位置に保持されるようになっている。
なお、本実施形態の水栓装置1においては、接続部材12については、スパウト2の内部に別体で組み込まれた形態について説明するが、通水部材10の下流側端部(上端部)の内部等に別体で組み込まれた形態であってもよい。
【0022】
つぎに、図2及び図6に示すように、本実施形態の水栓装置1は、さらに、互いに接続されたスパウト2と通水部材10の下流側端部(上端部)とを固定するねじ部材である金属製の止めねじ44を備えている。
また、図6に示すように、通水部材10の下流側端部(上端部)の外周面には、凹部10bが形成されている。
そして、図6に示すように、止めねじ44は、スパウト2の背面側から前方に向かって螺合された後、接続部材12に当接することなく、止めねじ44の先端(前端)が通水部材10の凹部10b内に当接した状態で嵌合されるようになっている。
これらにより、スパウト2と通水部材10とを止めねじ44で固定する際には、強度が低い樹脂材料で形成された接続部材12に対して、金属製の止めねじ44の先端(前端)が当接し、接続部材12が破損してしまうことを抑制することができるようになっている。
なお、本実施形態の水栓装置1においては、通水部材10の下流側端部(上端部)の外周側がスパウト2の上流側端部(下端部)の内周側に接続された形態について説明している。
しかしながら、変形例として、通水部材10の下流側端部(上端部)の内周側がスパウト2の上流側端部(下端部)の外周側に接続された形態であってもよい。このような形態の場合においても、止めねじ44は、接続部材12に当接することなく、スパウト2と通水部材10とを固定すればよい。
【0023】
つぎに、図4図7に示すように、スパウト2内において、接続部材12の下流側には、スパウト2の吐水口2aまで延びる流路2bが形成されている。そして、接続部材12の内部には、通水部材10のスパウト吐水用通水路26とスパウト2内の流路2bと互いに連通させる内部流路46が形成されている。
これにより、図2及び図4図7に示すように、上述した流路切替装置16の流路切替弁34がスパウト吐水モードに切り替えた場合において、通湯路20及び通水路24のそれぞれからスパウト吐水用通水路26に流入した湯及び水は、接続部材12の内部流路46を通過するようになっている。
そして、この接続部材12の内部流路46を通過した湯及び水は、スパウト2の流路2b内に流入するようになっている。その後、スパウト2の流路2b内の湯及び水は、湯量調整用のハンドル6及び水量調整用のハンドル8の調整具合に応じて、スパウト2の吐水口2aから湯、水又は混合湯水として吐水されるようになっている。
【0024】
つぎに、図1図9を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用について説明する。
まず、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1によれば、接続部材12がスパウト2の内部に別体で組み込まれている。したがって、スパウト2自体の構造を変更することなく、別体の接続部材12を変更するだけで、スパウト2と通水部材10との間の内部流路46を容易に変更することができる。
したがって、接続部材12とは別体であるスパウト2については共通化することができると共に、様々な内部流路46を備えた水栓装置にも対応することができる。
よって、スパウト2を成形する型(鋳型)等を最小限に留めることがでるため、水栓装置1の製造コストを抑制することができる。
また、接続部材12の縦穴12a貫く操作レバー36のレバー部材36aを操作し、流路切替弁34が通水部材10の流路14をシャワー吐水用通水路28に切り替えることにより、給湯源18から供給される湯又は給水源22から供給される水をシャワー吐水用通水路28に分岐させることができる。
したがって、スパウト2を共通化しつつ、シャワー吐水用通水路28の下流側のシャワーヘッド4において、スパウト2の吐水口2a以外による吐水が可能な多様性のある吐水形態を実現することができる。
【0025】
つぎに、本実施形態による水栓装置1によれば、接続部材12が樹脂の材料で形成されているため、接続部材12の内部流路46が複雑になる場合であっても、容易に且つ安価に形成することができる。
また、スパウト2内の内部流路46を変更したい場合には、所望の内部流路46に応じた別形態の樹脂製の接続部材12を用意して交換すればよい。
したがって、例えば、スパウト2が鋳物製である場合には、鋳型を共通化し、スパウト2に対しては、別部材の接続部材12に応じた最小限の加工で済ませることができる。
よって、スパウト2とは別形態のスパウトの鋳型を別途に用意する必要もないため、水栓装置1の製造コストを効果的に抑制することができる。
【0026】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、通水部材10とスパウト2とを互いに接続した際に、通水部材10及びスパウト2から接続部材12に対して過度な外力が作用することなく、接続部材12を通水部材10とスパウト2との間の所定位置に保持することができる。
したがって、接続部材12が樹脂の材料で形成されていたとしても、接続部材12が上述した過度な外力により破損してしまうことを抑制することができる。
【0027】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、互いに接続されたスパウト2と通水部材10とを止めねじ44が固定した状態では、この止めねじ44がスパウト2の背面側から螺合される。この際、止めねじ44の先端(前端)が接続部材12に当接することなく、通水部材10の凹部10bに当接して嵌合することができる。
したがって、スパウト2と通水部材10とを止めねじ44で固定する際に、止めねじ44の先端(前端)が、強度の低い樹脂材料の接続部材12に当接して接続部材12が破損してしまうことを抑制することができる。
【0028】
つぎに、図10図13を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図10は、本発明の第2実施形態による水栓装置の概略斜視図である。つぎに、図11は、本発明の第2実施形態による水栓装置の正面断面図である。また、図12は、本発明の第2実施形態による水栓装置の側面断面図である。さらに、図13は、図12に示す本発明の第2実施形態による水栓装置において、接続部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
ここで、図10図13に示す本発明の第2実施形態による水栓装置100において、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0029】
図10図13に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置100では、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1のプルアウト式のシャワーヘッド4がデッキ面Cに設けられていない点で異なっている。
よって、図10図13に示すように、本実施形態の水栓装置100では、通水部材110の分岐部110aは、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1の通水部材10のシャワー吐水用通水路28を備えていない。したがって、本実施形態の水栓装置100は、第1実施形態による水栓装置1の流路切替装置16についても備えていない構造となっている。
また、図11図13に示すように、本実施形態の水栓装置100では、そのスパウト2が第1実施形態のスパウト2と同一の鋳型で形成されており、スパウト2の外観は共通している。
【0030】
さらに、図11図13に示すように、本実施形態の水栓装置100では、接続部材112が、スパウト2内の通水部材110の下流側端部(上端部)の上方の所定位置に保持されるようになっている点で、第1実施形態の接続部材12と同様である。
しかしながら、接続部材112の内部流路146の構造が、第1実施形態の接続部材12の内部流路46とは異なっている。
これらにより、本実施形態の水栓装置100では、通湯路20及び通水路24のそれぞれから流出した湯及び水は、常時、スパウト吐水用通水路26に流入する。そして、接続部材112の内部流路146を通過して、スパウト2の流路2b内に流入する。その後、スパウト2の流路2b内の湯及び水は、湯量調整用のハンドル6及び水量調整用のハンドル8の調整具合に応じて、スパウト2の吐水口2aから湯、水又は混合湯水として吐水される。
【0031】
上述した本発明の第2実施形態による水栓装置100によれば、第1実施形態の水栓装置1の通水部材10の代わりに、シャワー吐水用通水路28や流路切替弁34が設けられていない他の通水部材110に変更可能である。
また、第1実施形態の水栓装置1の接続部材12の代わりに、内部流路46と異なる内部流路146を形成すると共に操作レバー46が設けられていない他の接続部材112に変更可能である。
したがって、シャワー吐水用通水路28や流路切替弁34が設けられている通水部材10を採用している第1実施形態の水栓装置1には、操作レバー36が設けられた第1実施形態の水栓装置1の接続部材12を採用することができる。
一方、シャワー吐水用通水路28や流路切替弁34が設けられていない他の通水部材110を採用している第2実施形態の水栓装置100には、内部流路146が異なり且つ操作レバー36が設けられていない第2実施形態の水栓装置100の接続部材112を採用することができる。
したがって、互いに内部流路46,146が異なる接続部材12,112である少なくとも2種類の接続部材12,112により、スパウト2を共通化させて、様々な吐水形態に対応することができる。
また、例えば、スパウト2が鋳物製である場合には、鋳型を共通化し、スパウト2に対しては、別部材の接続部材12又は112に応じた最小限の加工で済ませることができる。
したがって、安価な水栓装置1,100を製造することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 本発明の第1実施形態による水栓装置
2 スパウト
2a 吐水口
2b スパウト内の流路
4 プルアウト式のシャワーヘッド
4a 接続管
6 湯量調整用のハンドル
8 水量調整用のハンドル
10 通水部材
10a 分岐部
10b 凹部
12 接続部材
12a 縦穴
12b フランジ
14 通水部材の流路
16 流路切替装置
18 給湯源
20 通湯路
22 給水源
24 通水路
26 スパウト吐水用通水路(第1流路)
26a スパウト吐水用通水路の流入口
28 シャワー吐水用通水路(第2流路)
28a シャワー吐水用通水路の流入口
30 開閉弁
32 開閉弁
34 流路切替弁(切替弁)
34a 弁体
34b 弁側シャフト
36 操作レバー(切替操作部)
36a レバー部材
36b レバー側シャフト
38 締結部材
40 挿入穴
42 段部
44 止めねじ(ねじ部材)
46 接続部材の内部流路
100 本発明の第2実施形態による水栓装置
110 通水部材
110a 分岐部
112 接続部材
146 接続部材の内部流路
B 浴槽
C デッキ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13