(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側方鏡は、使用者側へ平行移動される際の移動量に合わせて、前記側方鏡反射光を徐々に減光する調光領域と、この調光領域よりも使用者側に設けられ、前記移動量に係らず前記側方鏡反射光消失状態となる側方鏡反射光消失領域と、を平行移動できることを特徴とする請求項2記載の洗面化粧台。
前記三面鏡の両側方の側方鏡は、この両側方の側方鏡を突き合わせて前記中央鏡の前方に平行移動させる第2位置に移動可能に構成されているとともに、前記側方鏡を前記第2位置に移動させることで、前記側方鏡は、前記上方照明装置及び前記下方照明装置から照射された光による前記中央鏡反射光を遮り、この中央鏡反射光を減光する一方で、前記側方鏡が前記第2位置に移動される前の第1位置では、前記側方鏡による前記側方鏡反射光が消失することで使用者の顔を照らす照度が減光するよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の洗面化粧台。
さらに、前記下方照明装置の下方で、かつ、前記三面鏡の前面よりも前記三面鏡の正面に立った使用者側に延設するように設けられた平面部を有するカウンターを備え、前記下方照明装置は、前記カウンターへ光を投光するように構成され、前記カウンターへ投光された光を前記カウンターで反射した第2床面反射光として、前記三面鏡の正面に立った使用者の顔を下方から照射するよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の洗面化粧台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、顔に影を作らないように満遍なく光を顔に照らし、色、濃淡、コントラストなどの化粧のバランスを整えやすくする洗面化粧台を提供することこそが化粧をする人の望みだと考え、その想いで洗面化粧台の開発がされていた。
【0006】
しかしながら、実情として化粧をする人は、洗面化粧台の鏡に映る最適な化粧のバランスを整えることを求めているわけではなく、今から向かう先のシーンに合せた化粧を行っていた。
【0007】
具体的には、例えば、カラオケルームに向かう場合は、ラメ入りのグロスを塗ったり、目立つようにチークを多めに塗って、きらびやかな化粧にしたり、映画館に向かう場合は、肌の色に近いベージュやブラウンのファンデーションやコーラルの口紅を使って地味目の化粧にしたりする。
【0008】
その要因の一端としては、シーンごとに人の顔への光の入射状態が変化することにある。一例として、前述した各シーンでの実際の人の顔への光の入射状態を以下に示す。カラオケルームでは、人の顔への光の入射状態は、スポット光を受け、顔の正面が強調されてより明るくなる。また、映画館では、照明が弱く設定されており、顔の正面と顔の側面が薄暗い状態となる。当然、太陽光でも季節や時間帯、天候でも光の照度や照射される方向が変化する。
ところが、従来の洗面化粧台の鏡では、使用者の顔へ満遍なく光を当てて、色、濃淡、コントラストなどの化粧のバランスを整えることが目的であり、顔に満遍なく光を当てているため、昼の屋外でのシーンは作り出せたが、上記に示すような、実際の様々なシーンでの光の照度や入射状態は作り出せなかった。
つまり、洗面化粧台の鏡に映る使用者の顔へ当たった光の状態と今から向かうシーンで使用者の顔へ当たる光の状態は一致していなかった。
【0009】
そのため、実際のシーンでの見え方を洗面化粧台の鏡の前で再現する方法として化粧をする人がしていたことは、頭の中で行き先、時間などの具体的なシーンをイメージし、その際の光の状態に合わせて化粧をすることや、部屋の照明の調整が可能な場合は光の入射状態を調整していた。
このように実際のシーンに合せた化粧をするには多くの経験や高いノウハウが必要であったり、出先で化粧を修整していたりと苦労が伴っていた。
【0010】
以上より、本件発明は「シーンシミュレーション洗面化粧台」、つまり、「今から向かうシーンを洗面化粧台の鏡の前で手軽に再現することができ、化粧をする人は、そのシーンを洗面化粧台の鏡の前で再現することで光の状態を疑似体験でき、自分自身の経験やノウハウに頼ることなく、今から向かうシーンにぴったりあった化粧が手軽にでき、また施した化粧をそのシーンに合った光の状態下で確認できる洗面化粧台」という従来にはなかった世界初の全く新しいコンセプトの洗面化粧台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明は、使用者の顔の化粧状態を確認可能な洗面化粧台であって、洗面ボウルと、洗面ボウルの上方に設けられる中央鏡と、この中央鏡の両側方に設けられ、使用者側へ平行移動できる側方鏡と、を有する三面鏡と、三面鏡の中央鏡及び両側方の側方鏡の上方から各鏡面に光を照射する上方照明装置と、三面鏡の中央鏡及び両側方の側方鏡の下方から各鏡面に光を照射する下方照明装置と、を備え、上方照明装置は、太陽光もしくは上方からの光を再現する擬似照明として構成される一方で、下方照明装置は、下方からの床面反射光を再現する擬似照明として構成され、更に、側方鏡を、側方鏡の正面に立った使用者側に平行移動させることで、側方鏡の背面が上方照明装置及び下方照明装置から照射された光を遮り、側方鏡の鏡面で反射される側方鏡反射光を減光するように構成されている
一方で、前記中央鏡の鏡面に前記上方照明装置及び前記下方照明装置から照射される光に加えて前記側方鏡の背面を照らす光が反射した背面反射光が入射することで、前記中央鏡の鏡面で反射される中央鏡反射光が増光するように構成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、様々なシーンを三面鏡の前で疑似体験させる上で欠かせない太陽光もしくは上方から光を作り出す擬似照明と、床面やテーブルなどから顔の下方に入射される床面反射光を作り出す擬似照明とを備えているので、日常生活の様々なシーンにおける顔への光の入射状態を自然な形で正確にシーン再現し、疑似体験させながら化粧を施すことが可能となっている。
さらに、本件発明においては、側方鏡を、側方鏡の正面に立った使用者側に平行移動させるという簡単な操作で、側方鏡の背面が上方照明装置及び下方照明装置から照射された光を遮るように工夫しているため、側方鏡の鏡面で反射される側方鏡反射光を減光することが可能となっている。これによって夕方や暗い部屋の照度が低いシーンを簡単な操作でシーン再現でき、今から行く空間のイメージだけに頼ることなく実際の照明環境下に近い状況で化粧を施すことが可能となったものである。言うまでもなく、側方鏡が移動されていない3つの鏡が面一になっている場合は、上方照明装置及び下方照明装置から三面鏡に照射された光は三面鏡の各鏡面ですべて同じように反射され、その反射光が、三面鏡の正面に立った使用者側の顔に上方及び下方から照射されるため、例えば、晴天の昼間で影がないようなシーンで、顔の正面及び側面に上方、下方から光が当たる公園や街中を歩くシーンを再現することができるものである。
また、上方照明装置及び下方照明装置から照射される光は、使用者を直接照らさず、三面鏡の鏡面を照らしており、本発明は鏡面に反射した光だけで使用者を照らしている。そのため、鏡をわずかに動かすだけでも、鏡面への光の入射角度及び入射量が変わり、顔への光の入射状態が変わるため、異なるシーンを再現することができる。
また、このように構成された本件発明においては、側方鏡を単に平行移動させるという簡単な操作で、側方鏡を減光させるだけでなく、中央鏡の鏡面に上方照明装置及び下方照明装置から照射される光に加えて側方鏡の背面を照らす光が反射した背面反射光が入射されて、中央鏡の鏡面で反射される中央鏡反射光を増光するように工夫されている。これによって、簡単な操作で中央鏡と側方鏡で大きな照度差を作り出すようにしたものである。このように構成されたことによって、例えば、カラオケルーム等でスポットライトを直接受ける場合と、受けない場合の両方を同時に疑似体験できるようなシーンを作りだせるものである。更に詳述すれば、中央鏡の正面に立った場合は、顔の正面がより明るく強調された状態となるため、スポットライトからの光を直接受け、自分がお立ち台に立って歌っているシーンとなり、側方鏡の正面に立った場合は、顔の正面と顔の側面が薄暗い状態となり、自分がお立ち台に立って歌っているのではなく椅子に座って聞いている立場のシーンを疑似体験できるものである。このように、一つの空間内でも異なった光の状態となるシーンが多くあるが、本件発明では、単純な一つの操作で2つのシーンを同時に疑似体験でき、その2つのシーンの両方を考慮した最適な化粧を行うことができるものであり、極めて実用的で優れた効果を奏するものである。言うまでもなく、この操作で、明るい昼と暗い夕方や夜などの状況も同様に作りだせるものとなる。更に、中央鏡は上下方向だけでなく側方を含めた中央鏡の略全面から使用者の顔に向けて光が照射され、使用者の顔に満遍なく光を当てることが可能となる。中央鏡の略全面で明るく、また照度差がない状態に近づくため、特許文献1記載の従来の三面鏡と同等の使い方を中央鏡で実現できるものである。
【0013】
本発明において、好ましくは、上方照明装置及び下方照明装置はそれぞれ三面鏡の上方及び下方に固定されており、側方鏡は、側方鏡反射光が消失する側方鏡反射光消失状態になるように鏡面に上方照明装置及び下方照明装置からの光が入射されない位置に平行移動できることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、上方照明装置及び下方照明装置を動かすことなく、側方鏡を移動させるだけの簡単な操作で、使用者の顔を照らす側方鏡反射光が完全に減光され、消失した状態を作り出せるように工夫されている。この側方鏡反射光消失状態において、側方鏡の正面に立った場合、使用者の顔は側方鏡反射光以外の間接的な光のみで照らされる。そのため、顔に光がほとんど当たらない状態となり、例えば、カラオケルーム等において室内照明がお立ち台を照らすスポットライトしかなく、その唯一の照明から離れて歌を聴いているシーンのような完全間接照明シーンを疑似体験することができ、このシーンに最適な化粧を施すことが可能となった。
【0014】
本発明において、好ましくは、側方鏡は、使用者側へ平行移動される際の移動量に合わせて、側方鏡反射光を徐々に減光する調光領域と、この調光領域よりも使用者側に設けられ、移動量に係らず側方鏡反射光消失状態となる側方鏡反射光消失領域と、を平行移動できることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、調光領域において側方鏡の平行移動する際の移動量に合わせて側方鏡反射光を減光でき、使用者の顔へ当たる光の照度を徐々に変更することができる一方で、この調光領域からさらに使用者側に平行移動させて側方鏡反射光消失領域の範囲に移動させるだけで、手軽に安定して側方鏡反射光消失状態を作り出すことができ、発生頻度の多いシーンである完全間接照明シーンを簡単確実に再現できる。
このような優れた工夫によって、例えば、カラオケルームにおいて使用者の状態で変わる様々な光の照度、特に、カラオケルームで発生頻度が多い間接照明しか当たらない椅子に座っている状態での照度を、単に側方鏡を移動させる量だけで実現でき、一層の使い勝手やシーン再現性を向上させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、三面鏡の両側方の側方鏡は、両側方の側方鏡を突き合わせて中央鏡の前方に平行移動させる第2位置に移動可能に構成されているとともに、側方鏡を第2位置に移動させることで、側方鏡は、上方照明装置及び下方照明装置から照射された光による中央鏡反射光を遮り、中央鏡反射光を減光する一方で、側方鏡が第2位置に移動される前の第1位置では、側方鏡による側方鏡反射光が消失することで使用者の顔を照らす照度が減光するよう構成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、三面鏡の側方鏡を第2位置に移動させるという簡単な操作によって、側方鏡が、上方照明装置及び下方照明装置から照射された光による中央鏡反射光を遮り第2位置での側方鏡に映る使用者の顔を暗くすることができる。一方で開放された第1位置となる領域では側方鏡からの強い側方鏡反射光は消失し、側方鏡がない状態で上方照明装置及び下方照明装置が単に光を照射しているだけの状態となるため使用者の顔への照射される光は減光され、使用者の顔の側面をぼんやり暗い状態で照らすような状態となる。よって、使用者の顔の正面は暗く、両側面がぼんやり明るい状態となることから、夜の街中を歩いている状態で、両側方のネオンや周囲の建物の窓やショールームから漏れる光で顔の側面がぼんやりと明るくなるようなシーンを再現できるものである。このようなシーンは、化粧を施して一番行くようなシーンであり、化粧を失敗したくない重要なシーンであるが、光の入射状態の難しいシーンである。本発明では単に鏡を操作するだけの簡単な操作でこのような光の入射状態の難しいシーンを再現することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、下方照明装置の下方で、かつ、三面鏡の前面よりも三面鏡の正面に立った使用者側に延設するように設けられた平面部を有するカウンターを備え、下方照明装置は、カウンターへ光を投光するように構成され、カウンターへ投光された光をカウンターで反射した第2床面反射光として、三面鏡の正面に立った使用者の顔を下方から照射するよう構成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、床面や机、テーブルからの床面反射光をカウンターからの反射で実現したものである。下方照明装置からの光を中央鏡や側方鏡で反射させた反射光は、鏡面での反射であるため非常に照度が高く、また乱反射しないことから、一般的な床面反射光とは違ったものになる。本件発明においては、カウンターで光が乱反射することを利用して使用者の顔の下方に光を当てるようにしたことで、床面や机、テーブルと等価の光を使用者に投光することが可能となり、一層自然な形でシーンを再現できるようになった。よって、夜道など地面からのほんのりとした照り返しのある夜の繁華街のシーンを高いレベルで再現可能となり、このシーンを疑似体験しながら最適な化粧を施すことが可能となった。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者が側方鏡を単に操作するという簡単な操作で、「シーンシミュレーション洗面化粧台」、つまり、「今から向かうシーンを洗面化粧台の鏡の前で再現することができ、化粧をする人は、そのシーンを洗面化粧台の鏡の前で再現することで光の状態を疑似体験でき、自分自身の経験やノウハウに頼ることなく、今から向かうシーンにぴったりあった化粧が手軽にでき、また施した化粧をそのシーンに合った光の状態下で確認できるという実用上優れた洗面化粧台」という従来になかった世界初の全く新しいコンセプトの洗面化粧台を提供せんとするものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
まず、
図1乃至
図2により、本発明の実施形態による洗面化粧台の基本構造を説明する。
図1は、本発明の実施形態による洗面化粧台の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態の洗面化粧台に備えられたミラーキャビネットを拡大して示す斜視図である。
なお、本発明の実施形態において、「光量」と「照度」は比例関係にあり、光量が多いものは照度が高く、光量が少ないものは照度が低いものである。
【0020】
図1に示すように、本実施形態にかかる洗面化粧台1は、木製の下部収納キャビネット100と、下部収納キャビネット100の上方に設けられた、樹脂製の洗面器200と、洗面器200内に水を吐出させる水栓装置300と、洗面器200の上方に設けられた、ミラーキャビネット400と、を備えている。なお、本実施形態において、洗面器200は樹脂製であるが、これに限らず、陶器製の洗面器でもよい。
【0021】
ここで、本発明の実施形態において、「上方」、「下方」、「右方」及び「左方」という記載は、洗面化粧台1の正面に立って、洗面化粧台1を使用する使用者を基準とした上、下、右及び左をそれぞれいう。また、本発明の実施形態においては、洗面化粧台1から、洗面化粧台1の正面に位置する使用者へ向かう方向を「前方」方向とし、その逆方向を「後方」方向とする。
【0022】
下部収納キャビネット100は、木製の板状部材を組み合わせた箱体であり、前方側に設けられた開閉扉110を開けることで、内部空間を収納空間として利用することができる。
【0023】
洗面器200は、洗面ボウル210と、洗面ボウル210の後方及び左右両側方に設けられたカウンター部220と、を有する。
洗面ボウル210は、上面視において略楕円形状であり、水栓装置300から吐水されて水を底面に設けられた排水口211から排出する。
カウンター部220は、略水平に形成された平坦面であり、洗面ボウル210と一体で形成されている。
また、カウンター部220は、その洗面ボウル210の後方に設けられた平坦面が後述する鏡ユニット410の前面より前方側まで延設するように設けられている。
なお、本実施形態において、洗面ボウル210とカウンター部220とは、一体成形されているが、別体で成形されたものでもよい。
【0024】
水栓装置300は、洗面ボウル210後方のカウンター部220の上面に載置された吐水部310を有する。この吐水部310は、前方へ突出しており、洗面ボウル210の上方から洗面ボウル210に水を吐水することができる。
【0025】
図2に示すように、ミラーキャビネット400は、鏡ユニット(三面鏡)410と、鏡ユニット410の上方から鏡ユニット410の鏡面に光を照射する共に、鏡ユニット410下方から鏡ユニット410前面に光を照射する照明ユニット420と、鏡ユニット410の後方に設けられ、内部に収納空間を有するミラーキャビネット本体430と、を有している。
【0026】
鏡ユニット410は、洗面ボウル210の上方に設けられる中央鏡411と、中央鏡411の左右両側方に設けられた側方鏡412と、を有する。
鏡ユニット410は、中央鏡411の鏡面及び左右の側方鏡412の鏡面が面一に並んでいる状態であるフラット状態(
図5)でミラーキャビネット本体430に取り付けられている。
中央鏡411は、矩形状の鏡であり、前方面が鏡面となっている。また、中央鏡411は、ミラーキャビネット本体430に固定されて配置されている。
側方鏡412は、中央鏡411の縦幅及び横幅と同様である矩形状の鏡であり、その前方面が鏡面となっており、その後方面が樹脂製の平坦面となっており、上下方向の高さ位置を揃えた状態で配置されている。また、側方鏡412の内側側面は、平坦面になっている。なお、本実施形態において、側方鏡412の後方面は樹脂製であるが、光を透過しない他の材質で形成されていてもよい。
【0027】
照明ユニット420は、鏡ユニット410の上方に位置する上方照明部421(上方照明装置)と、鏡ユニット410の下方に位置する下方照明部422(下方照明装置)と、を有する。
照明ユニット420は、ミラーキャビネット400に設けられた操作スイッチ(図示せず)を操作することで、点灯及び消灯を切り替えられる。
照明ユニット420は、点灯中の発光色が昼白色であり、朝、昼の光に近い白色系の色合いを再現することができる。
また、照明ユニット420は、切替えスイッチ(図示せず)を操作することで、点灯中の発光色を昼白色から温白色に切り替えることができ、温白色では、夕暮れに近い橙色系の色合いを再現できる。
【0028】
上方照明部421及び下方照明部422は、ミラーキャビネット本体430の前面に固定され、そこから鏡ユニット410の前方まで延びている。
上方照明部421及び下方照明部422は、鏡ユニット410の横幅と同一の幅を有している。
なお、上方照明部421及び下方照明部422の横幅は、鏡ユニット410の横幅より小さいほうがより好ましい。
【0029】
上方照明部421は、鏡ユニット410の上端近傍に配置されており、鏡ユニット410との間にほぼ隙間がないように配置されている。
この上方照明部421は、電線(図示せず)に接続されたLED光源(図示なし)と、このLED光源を覆う樹脂製の遮蔽部材(図示なし)とを有し、遮蔽部材によって、LED光源の上方、前方、左右側方が覆われているので、その下面から光を照射する。
また、上方照明部421は、太陽光もしくは上方からの光を再現する擬似照明して機能する。
下方照明部422は、鏡ユニット410の下端近傍に配置されており、鏡ユニット410との間にほぼ隙間がないように配置されている。
この下方照明部422は、電線(図示せず)に接続されたLED光源(図示なし)と、このLED光源を覆う樹脂製の遮蔽部材(図示なし)とを有し、遮蔽部材によって、LED光源の前方及び左右側方が覆われているので、その上面及び下面から光を照射する。
また、下方照明部422は、下方からの床面反射光を再現する擬似照明として機能する。
【0030】
次に、
図3を用いて、鏡ユニットの詳細について説明を行う。
図3は、側方鏡を使用者側に平行移動させた状態の上面視図である。
【0031】
図3に示すように、側方鏡412は、棒状のフレーム部材413を介してミラーキャビネット本体430に接続されている。なお、フレーム部材413は、側方鏡412の上下端部にそれぞれ1本ある。
フレーム部材413は、一端が側方鏡412の後方面の左右方向の外側端部に接続され、他端がミラーキャビネット本体430の側方鏡412の内側端部側に接続されている。また、フレーム部材413の両先端は蝶番(図示せず)となっている。
側方鏡412は、内側端部側の回動角度αと外側端部側の回動角度βを調整することで、側方鏡412の高さ位置を変えずに使用者側である前方に平行移動的に移動させることができる。
具体的には、側方鏡412は、側方鏡412を側方鏡412の正面に立った使用者側に平行移動させる第1スイング状態(実線の状態)と、両側方の側方鏡412を突き合わせて中央鏡411の前方に側方鏡412を平行移動させる第2スイング状態(点線の状態)に鏡ユニット410をすることができる。
なお、本実施形態において、フラット状態及び第1スイング状態における側方鏡412の位置を第1位置とし、第2スイング状態における側方鏡412の位置を第2位置とする。
なお、本実施形態において、使用者側とは、洗面化粧台1の正面に位置する使用者の方向を指す。
【0032】
第1スイング状態は、側方鏡412がほぼ前後方向にのみ平行移動した状態であり、中央鏡411を完全に覆っていない。
また、中央鏡411の鏡面と、側方鏡412の後方面との間には光を妨げるものがなく開放された状態となっている。
この第1スイング状態は、上方照明部421及び下方照明部422よりも前方側でも行うことができる。
【0033】
第2スイング状態は、左右の側方鏡412が突き合わされ中央鏡411の正面である第2位置に位置する状態であり、中央鏡411を覆っている。
この第2スイング状態において、フラット状態及び第1スイング状態において左右の側方鏡412が位置していた第1位置の領域には鏡がなく、ミラーキャビネット本体430の前方が開放されている。また、側方鏡412の内側側面が平坦面になっているため、突き合わせた側方鏡412の間から光がもれないようになっている。
【0034】
このように側方鏡412を平行移動させて第1スイング状態及び第2スイング状態にすることで、鏡ユニット410は、照明ユニット420からの光を、減光または増光することができ、使用者に対して、複数の光の照射状態を作り出すことができる。なお、具体的な光の照射状態については後述する。
【0035】
次に、
図4乃至
図6より、照明ユニット420から照射される光について説明を行う。
図4は、
図1のミラーキャビネットにおける光の照射状態を示す側面視図である。
図5は、本発明の実施形態による洗面化粧台のミラーキャビネットにおいて、側方鏡を使用者側に移動させた状態での光の照射状態を示す側面視図である。
図6は、
図5の側方鏡をさらに使用者側に平行移動させた状態での光の照射状態を示す側面視図である。
【0036】
まず、
図4及び
図5より、照明ユニット420から照射される光について説明を行う。
【0037】
図4に示すように、上方照明部421は、その下面から鏡ユニット410の鏡面に照射光Luを照射している。上方照明部421から照射された照射光Luは、鏡ユニット410の鏡面に反射され、鏡面反射光Ruが鏡ユニット410の正面に立った使用者側に向かう。この鏡面反射光Ruは、使用者Mの顔を上方から照らし、太陽光もしくは上方から室内照明の光を作り出すことができる。
同様に、下方照明部422は、その上面から鏡ユニット410の鏡面に照射光Ldを照射している。下方照明部422から照射された照射光Ldは、鏡ユニット410の鏡面に反射され、鏡面反射光Rdが鏡ユニット410の正面に立った使用者側に向かう。この鏡面反射光Rdは、使用者Mの顔を下方から照らし、下方からの床面反射光を再現することができる。
【0038】
この鏡面反射光Ru、Rdによって、日常生活の様々なシーンにおける顔への光の入射状態を自然な形で正確にシーン再現し、疑似体験させながら化粧を施すことが可能となっている。
【0039】
また、下方照明部422は、その下面から洗面ボウル210の後方に設けられたカウンター部220に向けて照射光Lkを照射している。下方照明部422からカウンター部220に向けて照射された照射光Lkは、カウンター部220の上面で乱反射し、カウンター反射光Rkが鏡ユニット410の正面に立った使用者側に向かう。このカウンター反射光Rk(第2床面反射光)は、使用者Mの顔を下方から照らす。
このカウンター反射光Rkによって、床面や机、テーブルと等価の光を使用者に投光することが可能となる。
なお、本実施形態において、カウンター反射光Rkが使用者側に向かいやすいように、照射光Lkは、真下出なく、斜め前方に向けて照射されているが、カウンター部220に前方傾斜をつけて使用者側にカウンター反射光Rkが向かいやすいようにしてもよい。
なお、本実施例において、下方照明部422は、鏡ユニット410の鏡面及びカウンター部220にむけて照射光Ld、Lkを照射しているが、鏡ユニット410に向けての照射と、カウンター部220に向けての照射をする別体の照明で行っても良い。
【0040】
ここで、上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ld、Lkの光量は、Lu:Ld:Lk=100:40:100となっている。鏡ユニット410の鏡面での反射率は、略90%であり、カウンター部220の上面での反射率は、樹脂による反射となるため光エネルギーの減衰率が大きくなり略20%となり、鏡面反射光Ru、Rdとカウンター反射光Rkの光量は、Ru:Rd:Rk=90:36:20となっている。
【0041】
図5に示すように、側方鏡412を鏡ユニット410の正面に立った使用者側に平行移動させると、上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ldの照射範囲は変わらず、側方鏡412の鏡面が上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ldの照射位置の後端より前方に位置するようになる。そのため、照射光Lu、Ldの一部は、側方鏡412の鏡面に照射されず、側方鏡412の背面側にあるミラーキャビネット本体430に照射されるようになる。
つまり、鏡面反射光Ru、Rdは、側方鏡412を使用者側に平行移動させると、側方鏡412の鏡面に照射される照射光Lu、Ldが少なくなり、側方鏡412が前方(使用者側)へ移動していないフラット状態と比べて減光され使用者側に届く。
なお、上方照明部421及び下方照明部422は、鏡ユニット410の側方鏡412と上下方向の隙間がほぼないように配置されているため、ミラーキャビネット本体430で反射されたキャビネット反射光Cu、Cdをほぼ完全に遮ることができ、側方鏡412よりも使用者側へ照射されないようになっている。
したがって、側方鏡412を使用者側に平行移動させ、鏡面反射光Ru、Rdが減光されると、側方鏡412よりも使用者側へ届く光が減光されたことになる。
また、側方鏡412は、側方鏡412の前方(使用者側)へ平行移動される移動量Dに合わせて、側方鏡412の鏡面に照射される照射光Lu、Ldが少なくなり、側方鏡で反射される側方鏡反射光Ru1、Rd1を徐々に減光することができる。なお、本実施形態において、
図4及び
図5の領域が調光領域である。
【0042】
図6に示すように、側方鏡412を
図4及び
図5の位置から鏡ユニット410の正面に立った使用者側にさらに平行移動させると、側方鏡412は、上方照明部421及び下方照明部422の照射光Lu、Ldの照射範囲よりも前方に位置し、上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ldは、側方鏡412の鏡面に入射しなくなり、移動量Dに係らず側方鏡反射光Ru1、Rd1が消失し、使用者に届かない側方鏡反射光消失状態にすることができる。また、ミラーキャビネット本体430で反射されたキャビネット反射光Cu、Cdをほぼ完全に遮ることができ、側方鏡412よりも使用者側へ照射されないようになっている。そのため、使用者Mの顔には、光がほとんど照射されない。なお、本実施形態において、
図6の領域が側方鏡反射光消失領域である。
【0043】
次に、
図7乃至
図12より、照明ユニット420からの光の照射状態について、鏡ユニット410の状態(フラット状態、第1スイング状態、第2スイング状態)ごとに説明を行う。
図7は、本発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットがフラット状態での光の照射状態を示す平面視図である。
図8は、本発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットがフラット状態でのカウンター反射光の状態を示す平面視図である。
図9は、本発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットが第1スイング状態での光の照射状態を示す平面視図である。
図10は、本発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットが第1スイング状態でのカウンター反射光の状態を示す平面視図である。
図11は、発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットが第2スイング状態での光の照射状態を示す平面視図である。
図12は、本発明の実施形態による洗面化粧台において、鏡ユニットが第2スイング状態でのカウンター反射光の状態を示す平面視図である。
【0044】
まず、
図7及び
図8により側方鏡412が前方(使用者側)へ移動していないフラット状態での光の照射状態について説明を行う。
【0045】
図7及び
図8に示すように、フラット状態において、鏡ユニット410の中央鏡411の鏡面及び左右の側方鏡412の鏡面が面一に並んでいる。
この状態において、照射光Lu、Ldは、中央鏡411及び側方鏡412の各鏡面ですべて同じように反射され、その鏡面反射光Ru、Rdが、三面鏡の正面に立った使用者の顔に上方及び下方から照射される。
また、カウンター反射光Lkも三面鏡の正面に立った使用者の顔に下方から照射される。
【0046】
そのため、フラット状態において、例えば、晴天の昼間で影がないようなシーンで、顔の正面および側面に上方、下方から光が当たる公園や街中を歩くシーンを再現することができるものである。
【0047】
次に、
図9及び
図10を用いて第1スイング状態での光の照射状態について説明を行う。
【0048】
図9に示すように、第1スイング状態において、側方鏡412はフラット状態と比べて前後方向の位置のみが使用者側に移動している。
この状態において、中央鏡411と側方鏡412との間には光を妨げるものがなく開放された状態となっている。
なお、本実施形態において、側方鏡412は、側方鏡412の移動量Dをできるだけ大きくしており、上方照明部421及び下方照明部422よりも前方側の位置である側方鏡反射光消失領域にある。
【0049】
この状態において、上方照明部421及び下方照明部422から側方鏡412に照射される照射光Lu、Ldは、ミラーキャビネット本体430を照らしており、側方鏡412の鏡面に入射しない(
図4参照)。そして、照射光Lu、Ldをミラーキャビネット本体430で反射させたキャビネット反射光Cu、Cdが側方鏡412の背面に遮られるので、側方鏡412の鏡面で反射される側方鏡反射光Ru1、Rd1はなく使用者側に届かない。
また、中央鏡411と側方鏡412との間には光を妨げるものがなく開放された状態になっているので、中央鏡411には、照射光Lu、Ldに加えて、キャビネット反射光Cu、Cdを側方鏡412の背面で反射した背面反射光Bu、Bdが中央鏡411の鏡面の左右の両側方側から入射することで、中央鏡で反射される中央鏡反射光Ru2、Rd2が増光されている。
このように、第1スイング状態のおいては、簡単な操作で中央鏡411と側方鏡412で大きな照度差を作り出している。
また、カウンター反射光Rkが、使用者に向けて照射されている。
【0050】
この第1スイング状態において、側方鏡412の正面に立った使用者には、中央鏡反射光Ru2、Rd2の間接光が使用者の顔の側面にわずかに照射されることによって、顔の正面と顔の側面が薄暗い状態になる。また、使用者の顔の下方には、カウンター反射光Rkが照射されているので、顔の下方がぼんやりと明るい状態になる。
そのため、使用者は、例えば、カラオケルームで、自分がお立ち台に立って歌っているのではなく椅子に座って聞いている立場のときに、床面からのほんのりとした光の照り返しを受けるシーンを疑似体験できる。
【0051】
また、中央鏡411の正面に立った使用者には、増光された中央鏡反射光Ru2、Rd2が使用者の顔に照射されることによって、使用者の顔の正面がより強調される。
そのため、使用者は、例えば、カラオケルームでスポットライトからの光を直接受け、自分がお立ち台に立って歌っているシーンを疑似体験することができる。
また、増光された中央鏡反射光Ru2、Rd2は、側方鏡412の後方面に反射された背面反射光Bu、Bdが、中央鏡の両側方側から入射することで増光されているため、使用者の顔に満遍なく照射されるようになっており、従来の洗面化粧台から光をうける状態を再現できる。
【0052】
このように、鏡を操作するという単純な1つの操作で異なった2つのシーンを同時に疑似体験することができ、その2つのシーンの両方を考慮した最適な化粧を行うことができる。
なお、本実施形態において、背面反射光Bu、Bdが中央鏡411の方向に反射されやすいように、側方鏡412の後方面を側方鏡412の鏡面に対して中央鏡411側に偏向させるようにしてもよい。
また、側方鏡412は、フラット状態時と比べて角度を変えず平行移動しているが、側方鏡412の後方面が中央鏡411の鏡面のほうを向くようにわずかに角度を変えた状態であっても良く、この場合、中央鏡411により多くの背面反射光Bu、Bdが入射しやすくなり、中央反射光Ru2、Rd2がより増光される。
【0053】
次に、
図11及び
図12を用いて第2スイング状態での光の照射状態について説明を行う。
【0054】
図11及び
図12に示すように、第2スイング状態において、側方鏡412は、左右の側方鏡412を突き合わせた状態で中央鏡411の正面である第2位置に位置する。
この第2スイング状態において、フラット状態及び第1スイング状態において左右の側方鏡412が位置していた第1位置の領域には鏡がなく、ミラーキャビネット本体430の前方が開放されている。また、側方鏡412の内側側面が平坦面になっているため、突き合わせた側方鏡412の間から光がもれないようになっている。
なお、第2スイング状態において、側方鏡412を突き合わせた状態から隙間が開きにくいように、側方鏡412の内側側面に磁石を取り付けてもよい。
また、本実施形態において、側方鏡412は、側方鏡412の移動量Dをできるだけ大きくしており、上方照明部421及び下方照明部422よりも前方側の位置である側方鏡反射光消失領域にある。
【0055】
この状態において、側方鏡412の背面は、キャビネット反射光Cu、Cdと、中央鏡反射光Ru1、Rd1と、を遮っている。また、上方照明部421及び下方照明部422よりも側方鏡412が前方であり、側方鏡412の鏡面に照射光Lu、Ldが入射しないため、第2位置での側方鏡反射光Ru1、Rd1はなく、使用者に鏡面で反射された光は届かない。
一方で、側方鏡412の左右両側方である第1位置では、ミラーキャビネット本体430の前方が開放されているので、側方鏡412に反射する側方鏡反射光Ru1、Rd1がなく、キャビネット反射光Cu、Cdだけが使用者側に届く。
また、
図12に示すように、第2スイング状態において、カウンター反射光Rkが、使用者側に向けて照射されている。
【0056】
そのため、使用者は、使用者の顔の正面が暗く、両側面がぼんやり明るくなることから、例えば、夜の街中を歩いている状態で、両側方のネオンや周囲の建物の窓やショールームから漏れる光で顔の側面がぼんやりと明るくなるようなシーンを疑似体験することができる。
【0057】
更に、側方鏡反射光Rd1が使用者側に届いておらず、使用者の顔の下方から照射される光は、ほぼカウンター反射光Rkだけとなっている。よって、夜道などの地面からのほんのりとした光の照り返しのあるシーンを再現でき、側方鏡412の正面に立った使用者は、より自然な形のシーンを疑似体験しながら化粧を行うことができる。
【0058】
このように、部屋の照明の調整が不要で、側方鏡412を操作するという手軽な操作で、複数の光の入射状態を作り出し、昼の屋外に限らず、屋内でのシーンを疑似体験することができ、時間の制約があるときでも女性にとって使い勝手が良く、使用者が想定する様々なシーンに適切な化粧を施すことができる。
【0059】
つぎに、上述した本発明の実施形態による洗面化粧台1における作用について説明する。
まず、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、様々なシーンを鏡ユニット410の前で疑似体験させる上で欠かせない太陽光もしくは上方から光の擬似照明となる上方照明部421と、床面やテーブルなどから顔の下方に入射される床面反射光を作り出す擬似照明となる下方照明部422とを備えているので、日常生活の様々なシーンにおける顔への光の入射状態を自然な形で正確にシーン再現し、疑似体験させながら化粧を施すことが可能となっている。
さらに、本件発明においては、側方鏡412を、側方鏡412の正面に立った使用者側に平行移動させるという簡単な操作で、側方鏡412の背面が上方照明部421及び下方照明部422から照射された照射光Lu、Ldを遮るように工夫しているため、側方鏡412の鏡面で反射される側方鏡反射光Ru1、Rd1を減光することが可能となっている。これによって夕方や暗い部屋の照度が低いシーンを簡単な操作でシーン再現でき、今から行く空間のイメージだけに頼ることなく実際の照明環境下に近い状況で化粧を施すことが可能となったものである。言うまでもなく、側方鏡412が移動されていない3つの鏡が面一になっている場合(
図5参照)は、上方照明部421及び下方照明部422から鏡ユニット410に照射された照射光Lu、Ldは鏡ユニット410の各鏡面ですべて同じように反射され、その反射光である鏡面反射光Ru、Rdが、鏡ユニット410の正面に立った使用者側の顔に上方及び下方から照射されるため、例えば、晴天の昼間で影がないようなシーンで、顔の正面および側面に上方、下方から光が当たる公園や街中を歩くシーンを再現することができるものである。
また、上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ldは、使用者を直接照らさず、三面鏡ユニット410の鏡面を照らしており、本件発明では鏡面に反射した光だけで使用者を照らしている。そのため、側方鏡412をわずかに動かすだけでも、鏡面への光の入射角度及び入射量が変わり、顔への光の入射状態が変わるため、異なるシーンを再現することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、側方鏡412を単に平行移動させるという簡単な操作で、側方鏡412で反射される側方鏡反射光Ru1、Rd1を減光させるだけでなく、中央鏡411の鏡面に上方照明部421及び下方照明部422から照射される照射光Lu、Ldに加えて側方鏡412の背面を照らすキャビネット反射光Cu、Cdが反射した背面反射光Bu、Bdが入射されて、中央鏡411の鏡面で反射される中央鏡反射光Ru2、Rd2を増光するように工夫されている。これによって、簡単な操作で中央鏡411と側方鏡412で大きな照度差を作り出すようにしたものである。このように構成されたことによって、例えば、カラオケルーム等でスポットライトを直接受ける場合と、受けない場合の両方を同時に疑似体験できるようなシーンを作りだせるものである。更に詳述すれば、中央鏡411の正面に立った場合は、顔の正面がより明るく強調された状態となるため、スポットライトからの光を直接受け、自分がお立ち台に立って歌っているシーンとなり、側方鏡412の正面に立った場合は、顔の正面と顔の側面が薄暗い状態となり、自分がお立ち台に立って歌っているのではなく椅子に座って聞いている立場のシーンを疑似体験できるものである。このように、一つの空間内でも異なった光の状態となるシーンが多くあるが、本件発明では、単純な一つの操作で2つのシーンを同時に疑似体験することができるものであり、極めて実用的で優れた効果を奏するものである。言うまでもなく、この操作で、明るい昼と暗い夕方や夜などの状況も同様に作りだせるものとなる。更に、中央鏡411は上下方向だけでなく側方を含めた中央鏡411の略全面から使用者の顔に向けて光が照射され、使用者の顔に満遍なく光を当てることが可能となる。中央鏡411の略全面で明るく、また照度差がない状態に近づくため、従来の三面鏡と同等の使い方を中央鏡411で実現できるものである。
【0061】
また、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、上方照明部421及び下方照明部422を動かすことなく、側方鏡412を移動させるだけの簡単な操作で、使用者の顔を照らす側方鏡反射光Ru1、Rd1が完全に減光され、消失した状態を作り出せるように工夫されている。この側方鏡反射光消失状態において、側方鏡412の正面に立った場合、使用者の顔は側方鏡反射光Ru1、Rd1以外の間接的な光であるキャビネット反射光Cu、Cd、カウンター反射光Rk、中央反射光Ru2、Rd2の間接光で照らされる。そのため、顔に光がほとんど当たらない状態となり、例えば、カラオケルーム等において室内照明がお立ち台を照らすスポットライトしかなく、その唯一の照明から離れて歌を聴いているシーンのような完全間接照明シーンを疑似体験することができ、このシーンに最適な化粧を施すことが可能となった。
【0062】
また、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、調光領域において側方鏡412の平行移動する際の移動量Dに合わせて側方鏡反射光Ru1、Rd1を減光でき、使用者の顔へ当たる光の照度を徐々に変更することができる一方で、この調光領域からさらに使用者側に平行移動させて側方鏡反射光消失領域の範囲に移動させるだけで、手軽に安定して側方鏡反射光消失状態を作り出すことができ、発生頻度の多いシーンである完全間接照明シーンを簡単確実に再現できる。
このような優れた工夫によって、例えば、カラオケルームにおいて使用者の状態で変わる様々な光の照度、特に、カラオケルームで発生頻度が多い間接照明しか当たらない椅子に座っている状態での照度を、単に側方鏡を移動させる量だけで実現でき、一層の使い勝手やシーン再現性を向上させることができる。
【0063】
また、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、鏡ユニット410の側方鏡412を第2位置に移動させるという簡単な操作によって、側方鏡412が、上方照明部421及び下方照明部422から照射された照射光Lu、Ldによる中央鏡反射光Ru2、Rd2を遮り第2位置での側方鏡412に映る使用者の顔を暗くすることができる。一方で開放された第1位置となる領域では側方鏡412からの強い側方鏡反射光Ru1、Rd1は消失し、側方鏡412がない状態で上方照明部421及び下方照明部422が単に照射光Lu、Ldを照射しているだけの状態となるため使用者の顔への照射される光は減光され、使用者の顔の側面をぼんやり暗い状態で照らすような状態となる。よって、使用者の顔の正面は暗く、両側面がぼんやり明るい状態となることから、夜の街中を歩いている状態で、両側方のネオンや周囲の建物の窓やショールームから漏れる光で顔の側面がぼんやりと明るくなるようなシーンを再現できるものである。化粧を施して一番行くようなシーンであると思うが、これも単に鏡の操作だけで実現でき、化粧を失敗したくないときでも化粧をシーンに合わせて正確に行うことが可能となる。
【0064】
また、本発明の実施形態による洗面化粧台1によれば、床面や机、テーブルからの床面反射光をカウンター部220からの反射光であるカウンター反射光Lkで実現したものである。下方照明部422からの光を中央鏡411や側方鏡412で反射させた鏡面反射光Ru、Rdは、鏡面での反射であるため非常に照度が高く、また乱反射しないことから、一般的な床面反射光とは違ったものになる。本件発明においては、カウンター部220の上面で光が乱反射することを利用して使用者の顔の下方に光を当てるようにしたことで、床面や机、テーブルと等価の光を使用者に投光することが可能となり、一層自然な形でシーンを再現できるようになった。よって、夜道など地面からのほんのりとした照り返しのある夜の繁華街のシーンを高いレベルで再現可能となり、このシーンを疑似体験しながら最適な化粧を施すことが可能となった。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではなく、前述の本実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台1、照明ユニット420などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0066】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。