(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記解除機構は把持部を有し、当該把持部に回動操作を加えることによって上記連動を解除可能であって、把持部は手動操作部内に配置されているとともに、当該手動操作部着脱可能に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の排水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の排水栓装置において、手動操作部は電動操作部の動作と連動する様構成されており、電動操作部による操作が行われた場合、動作伝達部によって手動操作部へと電動操作部の動作が伝達される。即ち、手動操作部は直接操作によって作動し、電動操作部は電気信号によって手動操作部を間接的に作動させる構造である。従って、電動操作部が作動中に故障し、その動作が停止してしまった場合、手動操作部と動作伝達部が干渉してしまうため、手動操作も電動操作も行うことが不可能となるという問題を有していた。
又、上記問題が生じた場合には、槽体のエプロン部を取り外し、ユニット化された電動操作部を取り外す必要があるが、当該作業は一般の使用者には困難であった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み発明されたものであって、複数の操作部を有する排水栓装置に関し、一方の操作部が故障しても、他方の操作部によって弁体の昇降操作が可能となる排水栓装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、槽体に形成された排水口と、
排水口の開閉を行う弁体と、
弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
上記操作装置は複数の操作部と解除機構を備え、
少なくとも1つの操作部は手動操作に基づいて排水口の開閉を行う手動操作部であって、
当該手動操作部は他の操作部の動作と連動し、
解除機構は把持部を有し、当該把持部に操作を加えることによって上記連動を解除可能であって、
把持部は手動操作部内に配置されているとともに、当該手動操作部に対して取付可能に配置されていることを特徴とする排水栓装置である。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、槽体に形成された排水口と、
排水口の開閉を行う弁体と、
弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
上記操作装置は複数の操作部と解除機構を備え、
少なくとも1つの操作部は手動操作に基づいて排水口の開閉を行う手動操作部であって、当該手動操作部は他の操作部の動作と連動し、
解除機構は回動操作を加えることによって上記連動を解除可能であるとともに、回動範囲を規制する規制機構を有することを特徴とする排水栓装置である。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、上記解除機構は把持部を有し、当該把持部に回動操作を加えることによって上記連動を解除可能であって、把持部は手動操作部内に配置されているとともに、当該手動操作部着脱可能に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の排水栓装置である。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、上記手動操作部は、直接押動操作を行うボタン部と、ボタン部の裏面より接続された操作軸を有し、
上記把持部は、操作軸に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の排水栓装置である。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、上記操作部は槽体に形成された貫通口に挿通されるケーシングの内部に配置され、
把持部はケーシングの内周に沿って当接するガイド部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4に記載の排水栓装置である。
【0013】
請求項6に記載の本発明は、上記複数の操作部の内、
少なくとも1つの操作部は電気信号に基づいて排水口の開閉を行う電動操作部であって、
当該電動操作部は、駆動部の動作を手動操作部に伝達する動作伝達部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明によれば、手動操作部内に把持部が配置されるとともに、把持部が当該手動操作部内に着脱可能となるよう配置されているため、配管レイアウト性や施工性等が向上する。即ち、今までは把持部は手動操作部に対して一体に形成されていたのに比べ、装置形状の設計における自由度が向上する。
又、操作装置が解除機構を備えることにより手動操作部と他の操作部との連動を容易に解除することができる。又、解除機構が回動を規制する規制機構を備えることから、過度に解除機構を回動させてしまったり、回動方向を間違えたり、といった操作ミスによる部材の破損を未然に防ぐことが可能となる。
さらに、把持部は操作軸に着脱可能であるため、手動操作部と他の操作部との連動を解除するのに際し、ボタン部を取り外すだけで解除機構を操作可能となる。又、この時把持部がガイドの役割をはたし、操作機構の作動性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の弁体を、図面を参照しつつ説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするものであって、これによって本発明が制限して理解されるものではない。又、以下の実施形態においては、特に断りの無い限り
図1に示す施工状態を基準として上下左右を説明する。
【0017】
本実施形態の排水栓装置は
図1乃至
図12に示すように、槽体1の排水口を開閉する弁体4と、弁体4の昇降を操作する操作装置5、及び当該弁体4の昇降状態を保持するロック機構45を有している。
【0018】
槽体1は上方が開放された箱状の浴槽であり、底部には円形の孔部が開口され、当該底部の孔部には円筒状の排水栓2が取り付けられている。又、槽体1の縁部には弁体4を遠隔的に操作するための操作装置5が取り付けられている。
排水栓2は槽体1の底面の孔部に配置された略円筒状の部材であって、軸方向に開口された貫通孔によって排水流路が形成されている。排水栓2の外周には雄螺子が螺刻されており、上端において外側に向けて鍔部が形成されている。又、排水栓2は内周において、ワイヤ受け3が嵌合されているとともに、当該ワイヤ受け3にはレリースワイヤ50の端部が保持されている。尚、上記貫通孔は排水栓2が槽体1の底面に取り付けられた際、槽体1内の湯水を排出するための排水口として機能する。
【0019】
ロック機構45は内部にギアを備えており、操作装置5に加えられた操作によって弁体4が上昇した際、上記ギアの噛合により当該弁体4の上昇状態を保持するものであり、更にもう一度操作装置5に操作が加えられると、上記ギアの噛合が解除されてスプリングにより弁体4が下降し排水口を閉塞するよう構成されている。尚、ロック機構45は上方に向けて延設されたロッド部46を有し、当該ロッド部46が押し下げられることによって作動する。
【0020】
レリースワイヤ50は中空の筒状である樹脂製のアウターチューブと、金属の撚り線であるインナーワイヤから成り、操作装置5に操作が加えられるとインナーワイヤがアウターチューブ内部を摺動することで操作装置5の操作を弁体4へと伝達する。即ち、インナーワイヤが弁体4側へ向けて摺動した際には弁体4を上昇させ、逆に、インナーワイヤが操作装置5側へ向けて摺動した際には弁体4を下降させる。
【0021】
弁体4は外周にパッキンが嵌着された止水部材であり、その裏面において弁軸40先端が嵌合されており、レリースワイヤ50によって操作装置5の操作が伝達されることにより昇降し、排水口の開閉を行う。
【0022】
操作装置5は手動操作に基づいて排水口の開閉を行う手動操作部51と、電気信号に基づいて排水口の開閉を行う電動操作部52を有しており、ケーシング6、ボタン部20、操作軸21、把持部30、動作伝達部35、モータ41から構成されている。尚、手動操作部51はケーシング6、ボタン部20、操作軸21から構成され、電動操作部52はケーシング6、図示しない電動ボタン部、基盤、動作伝達部35、及びモータ41から構成されている。又、手動操作部51は電動操作部52の動作に連動するよう構成されており、操作装置5は操作軸21を回動させることにより当該連動を解除する解除機構を備えている。
【0023】
ケーシング6は内部に操作装置5の部材を収納する箱体であって、ケーシング上部6a、ケーシング中部6b、ケーシング下部6cより構成され、それぞれがC字リングによって接続されている。尚、ケーシング上部6a、ケーシング中部6b、及びケーシング下部6cをまとめて指す場合は「ケーシング6」と記載する。
【0024】
ケーシング上部6aは槽体1の縁部に形成された貫通口に取り付けられており、上端に形成されたフランジ部分とナットによって当該貫通口を挟持している。又、ケーシング上部6aは中空の筒状であり、内部にはボタン部20及び操作軸21が配置されている。
【0025】
ケーシング中部6bは中央に形成された機構室7と、機構室7の外周に形成された迂回路8による二層構造として壁部9により区画されており、その正面は蓋体13によって閉塞されている。尚、それぞれの空間はパッキンによって完全に止水されており、迂回路8内の排水が機構室7に流入することはない。又、
図2に示すように、ケーシング6の背面側にはモータ41を収納する空間が形成されている。
機構室7は内部に従動部23及び動作伝達部35等が配置された空間であり、壁部9の下方にはロッド部46が、上方には操作軸21が挿通される貫通口がそれぞれ形成されている。尚、各貫通口はロッド部46及び操作軸21の外径と略同一であるとともに、パッキンが配置されており、当該パッキンがロッド部46及び操作軸21と水密に当接しているため、上流側からも下流側からも内部に排水が流入することはない。又、機構室7には、手動操作部51が電動操作部52と連動状態にある時に従動部23の突条部26が収納される収納部10が形成されている。収納部10は機構室7の背面に凹設されているともに、上下方向に延設されており、当該収納部10に収納された状態の従動部23は、手動操作部51と電動操作部52の連動を解除する方向にのみ回動可能となっている。
迂回路8は機構室7の外側に形成された排水流路であり、ケーシング6の上方から流入した排水を通過させ、下流側へと排出する。
モータ41は図示しない電動ボタン部に対する操作をうけ回動する回転軸を備えており、当該回転軸先端に取り付けられたピニオンギア42が機構室7内に突出しているが、図示しないパッキンによって機構室7とモータ41が収納されている空間も完全に止水されている。
【0026】
ケーシング下部6cは内部にロック機構45が固定されている。尚、この時ロッド部46はケーシング上部6a上端よりも上方に向けて延設されている。又、ケーシング中部6bとケーシング下部6cが接続された状態において、上記ロッド部46は機構室7内に挿通されるとともに、操作軸21と連結している。又、ケーシング下部6cは下端においてゴム製のアウターチューブ15が取り付けられており、レリースワイヤ50のガイドを行うとともに、ケーシング6内に流入した排水を排水口から続く排水流路へと排出することができる。
【0027】
ボタン部20は直接押動されることにより上下動する平面視略円形の操作ボタンであって、その上面は浴室内に露出している。又、ボタン部20は裏面に操作軸21が接続されている。
【0028】
図2乃至
図5に示すように、操作軸21は上下方向に延設された円筒状であって、
図4に示すようにその上方は平面視おいて略十字形状のリブ22が外側に向けて突設されており、下端には従動部23が形成されている。又、上記リブ22外周には後述する把持部30が着脱自在に取り付けられている。
従動部23は操作軸21の下端に形成された拡径部分であって、後述する動作伝達部35と当接するように構成された段部24と、軸方向に延設された溝部25と、従動部23よりも更に外側に突設された突条部26を有している。段部24は従動部23の上面部分であって、
図4及び
図5に示すように、二箇所の溝部25によってその一部が切り欠かれている。尚、当該溝部25は上下方向に延設されているが、従動部23の下端までは形成されていない。突条部26は従動部23よりも外側に向けて突設されているとともに、上下方向に延設されている。突条部26は後述する動作伝達部35の係止部39に対応するよう構成されており、係止部39と当接する位置まで延設されている。又、
図2に示すように、突条部26は手動操作部51が電動操作部52に連動している状態において、ケーシング中部6b内面に形成された収納部10内に配置されており、操作軸21は係止部39と反対方向(
図2における右回り方向)には回転することはできない。
又、従動部23は内に図示しない磁石を内部に備えており、当該磁石はセンサによって位置情報が検知可能となっている。
【0029】
把持部30は内部に上記操作軸21を挿通可能に形成された平面視略十字形状の挿通口31を有し、外周から外側に向けて四箇所のガイド部32が平面視略十字形状となるように突設されている。
このため、ガイド部32は把持部3を着脱自在に取り付けることができる。
尚、各ガイド部32の外側への突設幅はケーシング上部6aの下端内周面の半径とほぼ同一であり、手動操作部51が上下方向に変位する際、当該手動操作部51の揺動を防ぐガイドとして機能する。又、ガイド部32は手動操作部51と電動操作部52との連動を解除する際に把持し、操作軸21を回動させることが可能となっている。
【0030】
動作伝達部35は
図6及び
図7に示すように、背面側が開放された平面視半円形状を成し、一方の側面には軸方向にラックギア36が形成され、駆動部であるモータ41の回転軸に取り付けられたピニオンギア42と噛合している。又、動作伝達部35はラックギア36が形成されている側と対向する他方の内周面下端において、上記突条部26に対応するよう内側に向けて突設された係止部39が形成されている。又、動作伝達部35は
図5(b)に示すように、上端より内側に向けて当接部37が形成されており、当該当接部37は手動操作部51が電動操作部52と連動状態にあり、且つ電動操作部52が駆動した際に段部24と当接部37が当接するよう構成されている。ここで、当接部37にはスリット38が形成されている。手動操作部51と電動操作部52との連動状態が解除された際、段部24はスリット38の直下に配置され、当接部37は段部24と非当接状態となる。
上記動作伝達部35はケーシング中部6bと蓋体13によって挟持されており、モータ41が駆動した際にはピニオンギア42の回動に基づいて上下方向にのみ変位可能となっている。
【0031】
モータ41はケーシング6の背面に形成された空間内に配置され、図示しない電動ボタン部、基盤及び電源と連結されており、電動ボタンが操作された際、基盤からの電気信号に基づいてピニオンギア42を所定方向に回動させる。尚、モータ41は電気信号に基づいて双方向に回転可能である。
【0032】
以下に、本発明の排水栓装置の施工について説明する。
【0033】
本実施形態の排水栓装置においては、操作装置5を、工場において以下の状態まで組み立てる。
まず、ケーシング下部6cにロック機構45を取り付ける。次に、ケーシング中部6bに対して下方からケーシング下部6cを取り付ける。この時、ロッド部46は迂回路8と機構室7を区画する壁部9の下方に形成された貫通口に挿通され、端部が機構室7内に配置される。
次に、操作軸21をケーシング中部6b内に配置する。この時、操作軸21は把持部30が取り付けられていない状態で、機構室7の内側より壁部9上方に形成された貫通口に挿通され、その端部がケーシング中部6bの上端よりも上方に位置する。
ここで、壁部9の上方及び下方に形成された貫通口にはそれぞれパッキンが配置されており、各パッキンがロッド部46及び操作軸21と当接することによって水密状態となる。従って、迂回路8内を流れる排水が機構室7へと流入することはない。
次に、操作軸21に把持部30を挿通し、取り付ける。尚、上記壁部9上方に形成された貫通口は操作軸21の外径とほぼ同径であり、把持部30よりも小径となっているが、本発明においては把持部30を操作軸21とは別部材としているため、操作軸21を配置した後に把持部30を取り付けることが可能となる。又、操作軸21には略十字形状のリブ22が形成されており、把持部30にも略同一形状の挿通口31が形成されている。従って、操作軸21に取り付けられた把持部30を回動させると、操作軸21も共に回動する。
次に、動作伝達部35を従動部23に覆い被せるようにして取り付ける。この時、動作伝達部35は平面視略半円形状であることから、操作軸21を挿通する作業を行うことなく容易に取り付けることが可能となる。そして、図示しないビスを用いてケーシング中部6bに対して蓋体13を取り付ける。この時、動作伝達部35はケーシング中部6bと蓋体13によって挟持されるため、上下方向にのみ変位可能となる。
以上で、工場における操作装置5の組み立ては完了となる。
次に、現場において、槽体1の縁部に形成された開口に、ケーシング上部6aを取り付ける。そして、当該ケーシング上部6aの下方よりケーシング中部6bを取り付け、C字バンドにてケーシング上部6aとケーシング下部6cを接続する。
次に、操作軸21にボタン部20を嵌合させた後、排水栓2下流側の配管にアウターチューブを取り付けるとともに、ワイヤ受け3に弁軸40を固定し、弁体4を弁軸40に嵌合させることで、本実施形態の排水栓装置の施工が完了する。
【0034】
次に、本実施形態の排水栓装置の動作について説明する。
【0035】
まず、手動操作部51による操作について詳述する。
図1に示すように、弁体4が下降状態にあって、排水口を閉塞している際に、手動操作部51に対する操作、即ちボタン部20に対して直接押動操作が加えられると、ボタン部20が下方に向けて変位するとともに、操作軸21が下降する。この時、アウターチューブ内をインナーワイヤが弁体4側へと摺動し、弁体4を下方から突き上げて弁体4が上昇する。又、操作軸21の下降に伴いロッド部46が押し下げられてロック機構45が作動し、弁体4の上昇状態が保持される。
この時、
図8に示すように、動作伝達部35はボタン部20に押動操作が加えられる前の高さ位置に留まっており、ボタン部20及び従動部23のみが下降する。
【0036】
上記弁体4の上昇状態において更にボタン部20に対して直接押動操作が加えられると、ロック機構45内のギアの噛合が解除されるため、インナーワイヤが操作装置5側に摺動することによって弁体4が下降する。又、弁体4の下降に伴いボタン部20と操作軸21が上昇し、元の場所に復帰する。
【0037】
上記の通り、手動操作部51による操作が行われている際、動作伝達部35を含む電動操作部52を構成する全ての部材は一切作動しない。
【0038】
次に、電動操作部52による操作について詳述する。
弁体4が下降状態にあって、排水口を閉塞している際に、図示しない電動ボタン部に操作が加えられると、電気信号に基づいてモータ41が作動し、ピニオンギア42が回動することでラックギア36が下方へ変位し、動作伝達部35が下降する。この時、
図9に示すように、当接部37が段部24と当接し、従動部23(操作軸21)を押し下げることで電動操作部52の動作を手動操作部51へと伝達する。そして、手動操作部51が下降することにより弁体4が上昇するとともに、ロック機構45によって弁体4の上昇状態が保持される。
その後、図示しないセンサによって所定位置まで操作軸21が下降したことが検知されると、モータ41は逆回転を行い、動作伝達部35が元の場所に復帰する。この時、操作装置5の各部材の位置関係は
図8に示すように、手動操作部51によって弁体4を上昇させた時と全く同一となる。
【0039】
上記弁体4の上昇状態において更に電動ボタンに対して操作が加えられると、モータ41が再び駆動し、動作伝達部35が操作軸21を押し下げることでロック機構45内のギアの噛合が解除されて弁体4が下降する。この時、操作装置5の各部材の位置関係は
図1のように、手動操作部51の操作によって弁体4を下降させた時と全く同一となる。
【0040】
以上のように、本発明において、手動操作部51は電動操作部52の動作に連動する構造となっている。そして、電動操作部52に対して操作が加わった際には、モータ41の駆動の都度動作伝達部35が
図1、
図8に示す元の位置へと復帰する構造であるため、どのような操作を行った場合であっても、弁体4の上昇時や下降時における各部材の位置関係は必ず所定の配置となる。従って、電動操作部52の操作後に手動操作部51の操作を行うことや、手動操作部51の操作後に電動操作部52の操作を行うことが可能となる。
【0041】
一方、砂やゴミ等の噛み込みやセンサの破損により、動作伝達部35が
図9のように下降した状態でモータ41が停止してしまった場合、従動部23と動作伝達部35が干渉してしまい手動操作部51による操作を行うことができない。当該場合においては、以下のように解除機構を作動させることで手動操作部51と電動操作部52の連動を解除することができる。
まず、
図9の状態において、操作装置5よりボタン部20を取り外す。尚、取り外しの際には吸盤をボタン部20に吸着させ、引き上げる方法の他、ボタン部20とケーシング6との隙間に棒等を差し込むことでも取り外すことが可能である。
次に、操作軸21に取り付けられている把持部30を把持し、操作軸21を回動させる。この時、
図10(a)の状態より、
図10(b)に示すように、突条部26が係止部39を乗り越え、手動操作部51と電動操作部52の連動状態が解除される。即ち、操作軸21の回動によって、段部24がスリット38の直下に配置されると共に当接部37の直下には溝部25が配置されることで、従動部23と動作伝達部35が互いに干渉しない位置に配置される。これにより、
図11及び
図12に示すように、操作軸21が元の位置に復帰することが可能となり、以降は手動操作部51によってのみ弁体4の昇降操作が可能となる。尚、操作軸21を回動させることにより、操作軸21内部に配置された磁石がセンサの検知範囲外に位置し、電動操作部52は作動不可能となる。
又、
図10(a)に示すように、手動操作部51が電動操作部52と連動状態にある時、突条部26は収納部10内に配置されており、連動を解除する方向にのみ回動させることができる。従って、作業者が誤った方向に操作軸21を回動させることは不可能である。一方、手動操作部51と電動操作部52の連動を解除した状態において、突条部26は動作伝達部35の当接部37と干渉するため、
図10(b)に示す連動解除状態から更に同一方向に回動させることはできない。従って、手動操作部51と電動操作部52の連動を確実に解除することができる。ここで、手動操作部51と電動操作部52の連動が解除された状態において、操作軸21を逆方向に回転(右回転)させることで、再び手動操作部51を電動操作部52に連動させることが可能である。この時、突条部26が係止部39を乗り越え、収納部10内に配置され、手動操作部51が再び連動状態となる。即ち、解除機構は手動操作部51が電動操作部52に連動している状態において、当該連動を解除する方向にのみ回動可能であり、連動が解除されている状態においては再び連動状態となる方向にのみ回動可能となるよう、回動範囲の規制機構を備えている。即ち、解除状態に応じて回動方向を規制するとともに、回転時には回動可能な角度を規制する。従って、誤方向への回動や過度の回動に伴う解除の失敗や部材の破損を防止することが可能となる。
【0042】
上記本発明における排水栓装置は、連動の解除操作が容易であり、従来の排水栓装置のように、電動操作部52が故障した際に槽体1のエプロン部を外して修理を行う、といった作業を省略することができる。従って、一般の使用者であっても連動の解除操作を行うことが可能となる。
【0043】
尚、手動操作部51と電動操作部52との接続解除は一時的な対処であり、最終的には電動操作部52を取り換える必要がある。その際にも把持部30が着脱自在であると当該取り換える作業が容易となる。又、手動操作部51内部に詰まりが生じた際等には、ボタン部20及び把持部30を取り外すことで内部の清掃が可能となる。
【0044】
又、上記排水栓装置は、ボタン部20とケーシング上部6aの間は僅かな空間が形成されており、当該空間から排水が流入することがあるが、流入した排水はケーシング上部6aを通過した後に、迂回路8内を通過し、ロック機構45の外側を通り、下流側へと排出される。即ち、機構室7は壁部9に配置されたパッキンにより、内部に排水が流入してしまうことがない。従って、排水の流入により排水栓装置が故障することを防ぐことができる。
【0045】
本発明における排水栓装置は以上であるが、本発明は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態において、操作機構は手動操作部と電動操作部を有していたが、2つ以上の手動操作部のみを有していても良い。又、手動操作部や電動操作部を合計3つ以上有していても良い。
又、上記実施形態において、解除機構は手動操作部内に配置されていたが、解除機構を手動操作部とは別の場所に設けても良い。
又、電動操作部を駆動させるための電動ボタン部について、脱衣場やリビングの壁面等に設けても良く、配置箇所は適宜変更可能である。同様に、手動操作部は槽体の縁部に配置されていたが、槽体の側壁に配置するなど、配置箇所は適宜変更可能である。