(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873430
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】折板構造及び取付方法
(51)【国際特許分類】
E04D 3/00 20060101AFI20210510BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20210510BHJP
E04D 3/36 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
E04D3/00 D
E04D13/00 Z
E04D3/36 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-94160(P2017-94160)
(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公開番号】特開2018-188912(P2018-188912A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517164442
【氏名又は名称】有限会社鹿糠板金工業
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】山口 憲一
(72)【発明者】
【氏名】鹿糠 豪紀
【審査官】
園田 かれん
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−140420(JP,A)
【文献】
特開2013−083044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部及び凸部が連続する波形鋼板と、少なくとも3つの前記凸部を架け渡す板状部材と、
を備えた折板構造であって、
前記凸部に設けられた支持部を備え、
前記板状部材は、前記板状部材の下面が前記支持部の上面に対向した状態で前記支持部に支持されており、
前記支持部は、前記凹部及び前記凸部が連続する連続方向の両端側に位置する第1支持部と、前記連続方向における複数の前記第1支持部の間に位置する第2支持部と、を含んでおり、
前記第2支持部の上面の高さは、前記第1支持部の上面の高さよりも高い、
折板構造。
【請求項2】
前記凹部に対する前記第2支持部の上面の高さは、前記凹部に対する前記第1支持部の上面の高さよりも高い、
請求項1に記載の折板構造。
【請求項3】
前記板状部材は、弾性変形によって曲げられた状態で前記第1支持部及び前記第2支持部に支持されている、
請求項1又は2に記載の折板構造。
【請求項4】
前記第2支持部は、前記波形鋼板に対して別部材とされており、
前記第2支持部は、前記板状部材の下面が対向すると共に上方に突出する突部と、前記突部の下端から斜め下方に延在すると共に前記波形鋼板に接触する一対の傾斜延在部と、を有する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の折板構造。
【請求項5】
凹部及び凸部が連続する波形鋼板の少なくとも3つの前記凸部に板状部材を掛け渡し、前記凸部に設けられた支持部に前記板状部材を取り付ける取付方法であって、
前記支持部は、前記凹部及び前記凸部が連続する連続方向の両端側に位置する第1支持部と、前記連続方向における複数の前記第1支持部の間に位置する第2支持部と、を含み、
前記第2支持部の上面の高さは、前記第1支持部の上面の高さよりも高く、
前記板状部材の下面を前記第1支持部の上面、及び前記第2支持部の上面に対向させて、前記第1支持部及び前記第2支持部に前記板状部材を取り付ける工程を備える、
取付方法。
【請求項6】
前記凹部に対する前記第2支持部の上面の高さは、前記凹部に対する前記第1支持部の上面の高さよりも高い、
請求項5に記載の取付方法。
【請求項7】
前記板状部材を取り付ける工程では、前記板状部材を弾性変形させて曲げた状態として前記板状部材を前記第1支持部及び前記第2支持部に取り付ける、
請求項5又は6に記載の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部及び凸部が連続する波形鋼板を備えた折板構造、及び、波形鋼板に板状部材を取り付ける取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
折板構造については従来から種々のものが知られている。特開2004−285810号公報には、折板屋根が記載されている。この折板屋根は、凹部及び凸部を有する折板と、折板の複数の凸部の上に掛け渡される平葺き下地補強材及び平葺き鉄板と、を備える。折板には、換気口又はトップライト等の突起物が設けられる。
【0003】
また、前述の公報には、折板の凹部に配置された集水シート筒、連結筒及び排水口と、集水シート筒、連結筒及び排水口の上方で複数の凸部の上に掛け渡される箱カバーと、を備えた水上部雨仕舞い装置が記載されている。この水上部雨仕舞い装置では、折板が勾配を有し、折板の凹部を流れる雨水等が集水シート筒及び連結筒を通って排水口から流れ出ることにより、雨水等を排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−285810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した折板屋根では、折板に形成された複数の凸部の上に掛け渡される平葺き鉄板が設けられており、水上部雨仕舞い装置では、当該複数の凸部の上に掛け渡される箱カバーが設けられている。この平葺き鉄板及び箱カバーは、いずれも水平方向に延びる平板部材とされている。従って、当該平板部材が作業員等によって踏まれたり、当該平板部材に重量物が載置された場合には、折板の凹部に対向する位置において平板部材が凹むことが懸念される。平板部材が凹んだ場合には、この凹んだ部分に雨水等が溜まる問題が発生しうる。
【0006】
本発明は、水を溜まりにくくすることができると共に、凹みにくくすることができる折板構造及び取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る折板構造は、凹部及び凸部が連続する波形鋼板と、少なくとも3つの凸部を架け渡す板状部材と、を備えた折板構造であって、凸部に設けられた支持部を備え、板状部材は、板状部材の下面が支持部の上面に対向した状態で支持部に支持されており、支持部は、凹部及び凸部が連続する連続方向の両端側に位置する第1支持部と、連続方向における複数の第1支持部の間に位置する第2支持部と、を含んでおり、第2支持部の上面の高さは、第1支持部の上面の高さよりも高い。
凹部に対する第2支持部の上面の高さは、凹部に対する第1支持部の上面の高さよりも高くてもよい。
【0008】
この折板構造では、少なくとも3つの凸部を架け渡す板状部材が、当該凸部の上方で第1支持部及び第2支持部によって支持される。板状部材の下面は、凹部及び凸部の連続方向の両端側に位置する第1支持部の上面と、当該連続方向における複数の第1支持部の間に位置する第2支持部の上面とに対向し、第2支持部の上面の高さは第1支持部の上面の高さよりも高い。よって、板状部材の下面は、両端側の第1支持部から中央側の第2支持部に向かうに従って上方に曲線状に湾曲する。従って、板状部材の下面が中央側に向かうに従って上方に湾曲することにより、板状部材の面外剛性を高めることができるので、板状部材が踏まれたりしたときに板状部材が凹むのを抑制することができる。よって、凹んだ部分を生じにくくすることができるので、板状部材の上に水を溜まりにくくすることができる。
【0009】
また、板状部材は、弾性変形によって曲げられた状態で第1支持部及び第2支持部に支持されていてもよい。この場合、弾性変形によって曲げられた状態で第1支持部及び第2支持部に板状部材が支持される。従って、厚さが均一の平板部材を弾性変形で折り曲げることにより、中央側に向かうに従って上方に湾曲する板状部材を形成することができる。よって、板状部材として平板部材を用いても前述と同様の効果を得ることができるので、構成が簡易な平板部材を用いることができると共に、板状部材にかかるコストを抑えることができる。
【0010】
また、第2支持部は、波形鋼板に対して別部材とされており、第2支持部は、板状部材の下面が対向すると共に上方に突出する突部と、突部の下端から斜め下方に延在すると共に波形鋼板に接触する一対の傾斜延在部と、を有してもよい。このように第2支持部を突部及び一対の傾斜延在部を備える構成とすることにより、第2支持部の構成を簡易にすることができる。従って、簡易な構成の第2支持部を波形鋼板に取り付けることにより、板状部材を支持する構成を容易に設けることができると共に、第2支持部にかかるコストを抑えることが可能となる。
【0011】
本発明に係る取付方法は、凹部及び凸部が連続する波形鋼板の少なくとも3つの凸部に板状部材を掛け渡し、凸部に設けられた支持部に板状部材を取り付ける取付方法であって、支持部は、凹部及び凸部が連続する連続方向の両端側に位置する第1支持部と、連続方向における複数の第1支持部の間に位置する第2支持部と、を含み、第2支持部の上面の高さは、第1支持部の上面の高さよりも高く、板状部材の下面を第1支持部の上面、及び第2支持部の上面に対向させて、第1支持部及び第2支持部に板状部材を取り付ける工程を備える。
凹部に対する第2支持部の上面の高さは、凹部に対する第1支持部の上面の高さよりも高くてもよい。
【0012】
この取付方法では、少なくとも3つの凸部の上に板状部材を掛け渡し、板状部材を当該凸部の上方で第1支持部及び第2支持部に取り付ける。このとき、板状部材の下面を、凹部及び凸部の連続方向の両端側に位置する第1支持部の上面と、当該連続方向における複数の第1支持部の間に位置する第2支持部の上面とに対向させる。また、第2支持部の上面の高さは第1支持部の上面の高さよりも高い。よって、板状部材の下面は、両端側の第1支持部から中央側の第2支持部に向かうに従って上方に湾曲するので、板状部材の面外剛性を高めることができる。従って、板状部材が踏まれたりしたときに板状部材の凹みを抑制することができる。よって、凹んだ部分を生じにくくすることができるので、板状部材の上に水を溜まりにくくすることができる。
【0013】
また、板状部材を取り付ける工程では、板状部材を弾性変形させて曲げた状態として板状部材を第1支持部及び第2支持部に取り付けてもよい。この場合、弾性変形によって板状部材を曲げた状態として板状部材を第1支持部及び第2支持部に支持する。従って、厚さが均一の平板部材を弾性変形で曲げることにより、中央側が盛り上がった板状部材とすることができる。よって、板状部材として構成が簡易な平板部材を用いることができると共に、板状部材にかかるコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水を溜まりにくくすることができると共に、凹みにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る折板構造を示す断面斜視図である。
【
図3】
図1の折板構造の第2支持部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る折板構造及び取付方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る折板構造1は、凹部11及び凸部12が連続する波形鋼板10と、波形鋼板10の上部に取り付けられた板状部材20とを備える。折板構造1は折板屋根である。板状部材20は例えばルーフファンの排気口を備えた煙突等の水上側に設けられるが、板状部材20は種々の場所に設置することが可能である。
【0018】
本実施形態において、波形鋼板10は、凹部11と凸部12とを交互に繰り返すシングル折板であり、凹部11と凸部12とは、傾斜部13を介して連続している。波形鋼板10は、一例として、ルーフデッキであり、波形鋼板10としてはガルバリウム鋼板(登録商標)を用いることが可能である。
【0019】
板状部材20は、波形鋼板10の凸部12に設けられた支持部30によって波形鋼板10の上方に支持されている。板状部材20は、例えば、厚さが均一とされた耐火野地板である下板と平板部材23とを含んでおり、光を透過させない不透明の部材によって構成されている。板状部材20は、凹部11及び凸部12が連続する連続方向Dにおける中央側が盛り上がるように支持されている。平板部材23、並びに、下板の上面21及び下面22は、連続方向Dの中央に向かうに従って、上方に湾曲している。例えば、板状部材20は、円弧状に湾曲している。
【0020】
平板部材23は、下板の上面21に設けられると共に、支持部30を包囲している。平板部材23は、支持部30を上方及び側方から包囲する板状とされており、例えばガルバリウム鋼板(登録商標)である。平板部材23の連続方向Dの端部は、傾斜部13に沿って斜め下方に延びると共に、ビスP1によって下板の側方に固定されている。更に、板状部材20の連続方向Dの端部には、平板部材23と下板との間に介在する板状の折板繋ぎが設けられていてもよい。
【0021】
図2は、折板構造1の横断面図である。
図2に示されるように、支持部30は、連続方向Dの両端のそれぞれに設けられた一対の第1支持部31と、連続方向Dにおける一対の第1支持部31の間に設けられた第2支持部32とを含んでいる。本実施形態では、板状部材20が4つの凸部12を架け渡すと共に、連続方向Dの両端に位置する2つの第1支持部31の間に、2つの第2支持部32が設けられている。
【0022】
例えば、第1支持部31は、板状部材20の連続方向Dの端部を凸部12に固定するハゼ金具であってもよい。第1支持部31は、波形鋼板10に対して別部材とされている。一例として、第1支持部31は、板状部材20の下板を第1支持部31に固定させるシーリング材付きのボルトB1が挿入される内部空間S1を備えたボルト収容部を有し、ボルト収容部にはボルトB1が上からねじ込まれる。
【0023】
板状部材20は、第1支持部31のボルト収容部の上面に下面22が接触した状態とされている。そして、上から板状部材20の下板にねじ込まれ板状部材20を上下に貫通するボルトB1と、平板部材23及び下板を上下に貫通するボルトB2とが第1支持部31にねじ込まれることによって、板状部材20が第1支持部31に固定される。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、第2支持部32は、上方に矩形状に突出する突部32aと、突部32aの下端から斜め下方に傾斜して延びる一対の傾斜延在部32bとを有する。第2支持部32は、波形鋼板10に対して別部材とされており、例えば、全体としてハット型とされている。第2支持部32の上面の高さは、第1支持部31の上面の高さよりも高い。なお、本明細書において、「支持部の上面の高さ」とは、設置された支持部の上面の高さ、すなわち、支持部の上端の最終設置位置を示している。
【0025】
具体的には、突部32aの高さは、前述した第1支持部31のボルト収容部の高さよりも高い。突部32aは、上方から板状部材20の下面22が接触する天面部32cと、天面部32cの連続方向Dの両端から下方に直角に折り曲げられた側面部32dと、を有する。
【0026】
天面部32cは、例えば、平坦状とされている。天面部32cには、板状部材20を固定させるシーリング材付きのボルトB3をねじ込む。天面部32c及び一対の側面部32dを有する突部32aと、波形鋼板10の凸部12と、の間には、ボルトB3が挿入される内部空間S2が形成される。
【0027】
板状部材20は、突部32aの上面に下面22が接触した状態とされている。また、上からねじ込まれ板状部材20の下板を上下に貫通するボルトB3と、平板部材23及び下板を上下に貫通するボルトB4とが天面部32cにねじ込まれることによって、板状部材20が第2支持部32に支持される。
【0028】
傾斜延在部32bは、突部32aの下端且つ連続方向Dの両端のそれぞれから斜め下方に延在している。傾斜延在部32bの傾斜角度は、例えば、波形鋼板10の傾斜部13の傾斜角度と同一である。各傾斜部13に各傾斜延在部32bが接触した状態で外側からパッキン付きのビスP2が傾斜延在部32b及び傾斜部13にねじ込まれることにより、傾斜延在部32bが波形鋼板10に固定される。
【0029】
次に、波形鋼板10に板状部材20を取り付ける取付方法について説明する。まず、
図2に示されるように、厚さが均一とされた平板状の板状部材20の下板を用意する。そして、第1支持部31及び第2支持部32を波形鋼板10の凸部12の上に固定させ、連続方向Dの一端側(例えば
図2の左側)に位置する第1支持部31に板状部材20の下板を固定させる。
【0030】
このとき、第1支持部31の上面に下面22を接触させると共に、ボルトB1を上から板状部材20の下板及び第1支持部31にねじ込むことにより、連続方向Dの一端の第1支持部31に下板を固定する。そして、下板を弾性変形させて下面22を各第2支持部32の突部32aに接触させると共に、ボルトB3を上から下板及び各第2支持部32にねじ込むことによって各第2支持部32に下板を固定する。
【0031】
その後、更に板状部材20の下板を弾性変形させて連続方向Dの他端側(例えば
図2の右側)に位置する第1支持部31に下板を固定させる。具体的には、前述と同様、第1支持部31の上面に下面22を接触させてボルトB1を上から下板及び第1支持部31にねじ込むことにより、下板を第1支持部31に固定する。
【0032】
その後、平板部材23を弾性変形させて、板状部材20の下板、第1支持部31及び第2支持部32を上方及び側方から覆う。そして、平板部材23の連続方向Dの両端部分を傾斜部13に載せると共に平板部材23をビスP1で下板の側方に固定させる。更に、ボルトB2を上から平板部材23、下板及び第1支持部31にねじ込むと共に、ボルトB4を上から平板部材23、下板及び第2支持部32にねじ込むことにより、板状部材20の取り付けが完了する(板状部材を取り付ける工程)。
【0033】
次に、折板構造1、及び板状部材20の取付方法から得られる作用効果について説明する。
【0034】
折板構造1、及び板状部材20の取付方法では、少なくとも3つ(本実施形態では4つ)の凸部12を架け渡す板状部材20が、凸部12の上方で第1支持部31及び第2支持部32によって支持される。板状部材20の下面22は、凹部11及び凸部12の連続方向Dの両端側に位置する第1支持部31の上面と、連続方向Dにおける複数の第1支持部31の間に位置する第2支持部32の上面とに対向し、第2支持部32の上面の高さは第1支持部31の上面の高さよりも高い。
【0035】
よって、板状部材20の下面22は、両端側の第1支持部31から中央側の第2支持部32に向かうに従って上方に曲線状に湾曲する。従って、板状部材20の下面22が中央側に向かうに従って上方に湾曲することにより、板状部材20の面外剛性を高めることができる。よって、板状部材20の取り付け等を行う作業員に板状部材20が踏まれることがあっても、板状部材20が凹むのを抑制することができる。
【0036】
また、板状部材20が中央側に向かうに従って上方に湾曲することにより、平板部材23に、中央側が高くなる勾配を形成することができる。従って、中央側から両端側に向かって雨水等を流すことができるので、板状部材20の上に水を溜まりにくくすることができる。
【0037】
また、板状部材20は、弾性変形によって曲げられた状態で第1支持部31及び第2支持部32に支持される。よって、厚さが均一の平板部材を弾性変形で曲げることにより、中央側に向かうに従って上方に湾曲する板状部材20とすることができる。従って、板状部材20として平板部材を用いても前述と同様の効果を得ることができるので、板状部材20として簡易な平板部材を用いることができると共に、板状部材20にかかるコストを抑えることができる。
【0038】
また、平板部材23の連続方向Dの端部は、支持部30の側面に沿うように下方に折り曲げられている。従って、支持部30の側面に容易に平板部材23を取り付けることができると共に、支持部30の側面付近における強度を高めることができる。更に、平板部材23の連続方向Dの端部は、波形鋼板10の傾斜部13に沿うように斜め下方に延びている。従って、平板部材23を傾斜部13に沿って容易に設置することができる。
【0039】
また、第2支持部32は、波形鋼板10に対して別部材とされており、第2支持部32は、板状部材20の下面22が対向すると共に上方に突出する突部32aと、突部32aの下端から斜め下方に延在すると共に波形鋼板10に接触する一対の傾斜延在部32bと、を有する。このように第2支持部32を突部32a及び一対の傾斜延在部32bを備える構成とすることにより、第2支持部32の構成を簡易にすることができる。従って、簡易な構成の第2支持部32を波形鋼板10に取り付けることにより、板状部材20を支持する構成を容易に設けることができると共に、第2支持部32にかかるコストを抑えることが可能となる。
【0040】
以上、本発明に係る折板構造及び取付方法の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明は、各請求項の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、前述の実施形態では、波形鋼板10とは別部材とされた第1支持部31及び第2支持部32について説明した。しかしながら、第1支持部及び第2支持部は、波形鋼板10と一体、又は波形鋼板10の一部であってもよい。例えば、波形鋼板10の凸部12が変形されることにより、第1支持部及び第2支持部が形成されていてもよい。
【0042】
また、前述の実施形態では、第1支持部31がハゼ金具である例について説明したが、第1支持部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様については適宜変更可能である。第2支持部についても同様である。例えば、第1支持部は、第2支持部32と同様のハット型とされていてもよい。
【0043】
また、前述の実施形態では、弾性変形によって曲げられた状態で支持部30に支持される板状部材20について説明した。ここで、板状部材は、現場で弾性変形によって曲げられた状態で支持部に支持されてもよいし、現場で塑性変形によって曲げられた状態で支持部に支持されてもよい。板状部材は、折り曲げられた状態で支持部に支持されてもよい。更に、板状部材は、予め(例えば現場に搬送される前に)曲げられていてもよいし、予め折り曲げられていてもよい。
【0044】
また、前述の実施形態では、平板状であって厚さが均一の平板部材23と下板とを備えた板状部材20について説明したが、板状部材の構成、形状、大きさ、材料及び配置態様については適宜変更可能である。例えば、連続方向Dの両端側と比較して中央側が厚い板状部材を備えていてもよい。
【0045】
また、前述の実施形態では、平板部材23及び下板を備えた板状部材20について説明したが、下板を省略することも可能である。更に、本発明に係る板状部材は、単一の部材であってもよいし、複数の部材によって構成されていてもよい。すなわち、板状部材は、例えば、平板部材及び下板が一体となったものであってもよい。また、板状部材は、支持部と一体であってもよい。すなわち、支持部は板状部材の一部であってもよい。この場合、波形鋼板に、一体となった板状部材及び支持部を容易に設置することができる。
【0046】
また、前述の実施形態では、シングル折板である波形鋼板10について説明したが、本発明に係る波形鋼板は、シングル折板に限定されない。波形鋼板は、内部でグラスウール等の断熱材を挟み込んだ二重折板であってもよく、波形鋼板の形状、大きさ及び材料についても特に限定されない。更に、前述の実施形態では、折板屋根である折板構造1について説明したが、本発明に係る折板構造は、床等、屋根以外の構造にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…折板構造、10…波形鋼板、11…凹部、12…凸部、13…傾斜部、20…板状部材、21…上面、22…下面、23…平板部材、30…支持部、31…第1支持部、32…第2支持部、32a…突部、32b…傾斜延在部、32c…天面部、32d…側面部、B1,B2,B3,B4…ボルト、D…連続方向、P1,P2…ビス、S1,S2…内部空間。