特許第6873463号(P6873463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873463
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】消臭剤、機能性潤滑剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210510BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q15/00
   A61L9/01
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-23227(P2017-23227)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-127428(P2018-127428A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】392025939
【氏名又は名称】中島化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100075476
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐見 忠男
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】中島 俊之
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿生
(72)【発明者】
【氏名】柳井 佑樹
【審査官】 山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−125492(JP,A)
【文献】 特開2006−347969(JP,A)
【文献】 特開昭54−157834(JP,A)
【文献】 特開昭57−142257(JP,A)
【文献】 特開2003−146875(JP,A)
【文献】 特表2004−530777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
A61L9/00−9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸系ポリマーからなる消臭剤であって、
前記アクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸完全中和物の粉体であり、
アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、酢酸、イソ吉草酸、及びノネナールからなる群から選択される少なくとも1つの悪臭成分を消臭するための消臭剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤、該消臭剤を含む機能性潤滑剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、悪臭を除去又は緩和するべく、消臭機能を有する成分と、その他の成分とからなる種々の消臭剤や消臭剤組成物が提供・提案されている。
例えば、特許文献1と特許文献2に記載の自動車内装部材の消臭剤は、硫酸亜鉛,塩化亜鉛,酢酸亜鉛,亜鉛系金属錯塩化合物のうちから選ばれる少なくとも1種を消臭成分として用い、安定化剤としてエチレンジアミン四酢酸および/または膠(にかわ)等の天然たんぱく質、更に繊維等の自動車内装部材と消臭剤とを結び付けるためのバインダーを含む。
特許文献3に記載の消臭剤組成物は、消臭剤と、有機溶媒可溶性でありかつ水溶性である高分子とを含有している。
特許文献4に記載の複合型殺菌消臭剤組成物は、(A)銀イオン、(B)水単独又は水及び水溶性溶剤の混合物、(C)高分子電解質、(D)界面活性剤及び/若しくは(E)固化機能性親水性高分子化合物を含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−9670号公報
【特許文献2】特開平11−128326号公報
【特許文献3】特開2004−358027号公報
【特許文献4】特開2011−167218号公報
【特許文献5】特開2003−146875号公報
【特許文献6】特開2005−289884号公報
【特許文献7】特開2006−347969号公報
【特許文献8】特開2007−182398号公報
【特許文献9】特開2016−113430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の消臭剤や消臭剤組成物は、消臭機能を有する成分のみでは使い勝手が悪いため、該消臭機能を有する成分に応じてその他の成分を添加しているが、該その他の成分の選定と添加量の調整が複雑になる傾向があった。また、消臭機能を有する成分は、悪臭全般に対して効果を発揮するのではなく、特定の悪臭にのみ効果を発揮するものであるから、該消臭機能を有する成分の選定が煩雑であった。更に、近年の消臭剤や消臭剤組成物は、消臭機能のみならず除菌等のような他の機能を付加しようとしており、成分の選定と添加量の調整が更に複雑になっている。すなわち、上記従来の消臭剤や消臭剤組成物は、組成が繁雑化するという問題があった。
一方、例えば特許文献5から特許文献9に示されるように、性交時あるいはマッサージ時に使用するものとして機能性潤滑剤が提供等されている。しかし、該機能性潤滑剤は、その使用目的から消臭機能を付与することが望ましいものであるが、該消臭機能の付与について特に考慮されていないという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、組成が簡易な消臭剤を提供することにある。また本発明で他の目的とするところは、消臭機能を有する機能性潤滑剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の消臭剤の発明は、アクリル酸系ポリマーからなることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の消臭剤の発明において、前記アクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体又はポリアクリル酸部分中和物の含水ゲル体であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の消臭剤の発明において、前記アクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸完全中和物の粉体であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に消臭剤の発明において、前記アクリル酸系ポリマーは、架橋型ポリアクリル酸又は架橋型ポリアクリル酸ナトリウムであることを要旨とする。
請求項5に記載の機能性潤滑剤の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の消臭剤を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
[作用]
本発明の発明者等は、アクリル酸系ポリマーについて種々の実験を行った結果、該アクリル酸系ポリマーが消臭機能を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の消臭剤は、アクリル酸系ポリマーからなるものである。該アクリル酸系ポリマーは、一般的にはゲル化剤、増粘剤等として使用されており、入手が容易であるとともに、使い勝手がよく、消臭剤に係る組成を簡易なものとすることができる(請求項1)。
また、前記アクリル酸系ポリマーとして、ポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体と、ポリアクリル酸部分中和物の含水ゲル体との何れもが使用可能である(請求項2)。
また、前記アクリル酸系ポリマーとして、ポリアクリル酸完全中和物の粉体が使用可能である(請求項3)。
また、前記アクリル酸系ポリマーとして、架橋型ポリアクリル酸と、架橋型ポリアクリル酸ナトリウムとの何れもが使用可能である(請求項4)。
本発明の機能性潤滑剤は、アクリル酸系ポリマーからなる上記消臭剤を含んでおり、消臭機能を有するものとすることができる(請求項5)。
[効果]
本発明によれば、組成が簡易な消臭剤を提供することができ、また消臭機能を有する機能性潤滑剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
本発明の消臭剤は、アクリル酸系ポリマーからなるものである。該アクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸を単位構造とする高分子であって、該ポリアクリル酸の分子中には親水性のカルボキシル基が存在することから、分子中に水分子を取り込むことが可能であり、吸水性を有する。すなわち、該アクリル酸系ポリマーは、悪臭を発する尿や汗などのような水を含む物質を、その悪臭の成分ごと分子内に取り込むことで、消臭機能を発揮すると考えられる。従って、前記消臭剤は、例えば活性炭、光触媒、オゾン、塩素系化合物、亜鉛系金属錯塩化合物や酸化銀などの金属系化合物等といった一般的な消臭成分を添加せずとも、前記アクリル酸系ポリマーのみで特定の悪臭成分から生じた臭気を除去又は緩和することが可能である。
前記アクリル酸系ポリマーは、通常は粉体の形態を成しており、該粉体の形態のまま消臭剤として使用することができる。あるいは前記アクリル酸系ポリマーは、水を吸収させることで、分子内で水素結合、疎水性凝集、イオン結合等の非共有結合による架橋、つまりは物理架橋して網目構造を形成することで、多数の水分子を取り込むことが可能な含水ゲル体の形態となる。そして、前記アクリル酸系ポリマーは、該含水ゲル体の形態にして消臭剤として使用することもできる。前記アクリル酸系ポリマーの使用形態において、前記粉体と前記含水ゲル体とは、消臭対象とする悪臭成分や使い勝手等に応じて適宜使い分けされる。
【0008】
前記アクリル酸系ポリマーは、カルボン酸であるアクリル酸やメタクリル酸をモノマーとして重合した際、該モノマーに相当する下記一般式(1)及び/又は(2)の構成単位を有するポリマーである。該一般式(1)で表される構成単位は、アクリル酸由来の構成単位であり、該一般式(2)で表される構成単位は、一般式(1)で表される構成単位の塩(アクリル酸塩由来の構成単位)である。
また、前記アクリル酸系ポリマーは、下記一般式(1)又は(2)を質量単位で80質量%以上含み、好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%含む。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
前記アクリル酸系ポリマーは、上記の一般式(1)又は(2)の構成単位を有するのであれば、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマーであるポリアクリル酸又はポリメタクリル酸、あるいはそれらの塩の他に、上記の一般式(1)又は(2)以外の構成単位として、アクリル酸と共重合可能な、重合性不飽和結合を有する化合物(以下、「他の単量体」という)由来の構成単位を有していてもよく、特に限定されない。
前記他の単量体として、例えば、炭素数が4以上の不飽和モノカルボン酸又はその塩、不飽和ジカルボン酸又はその無水物若しくはその塩、他に(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜12のエステル等のノニオン系モノマー、イタコン酸、メタリルスルホン酸、マレイン酸、無水マレイン酸又はそれらのアルカリ金属塩等のアニオン系モノマー、イソプレンなどの炭素数1〜8のオレフィンなどが挙げられる。
具体例として、前記不飽和モノカルボン酸としては、前記メタクリル酸の他に、クロトン酸、イソクロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等が挙げられる。
前記不飽和ジカルボン酸又はその無水物としては、前記アニオン系モノマーとしても挙げた前記マレイン酸、前記無水マレイン酸、前記イタコン酸の他に、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0012】
本発明におけるアクリル酸系ポリマーは、アクリル酸(塩)由来の構成単位によるポリアクリル酸(塩)が好ましい。
即ち、ポリアクリル酸(塩)には、分子内の全てのポリアクリル酸が中和されて上記の一般式(2)の構成単位による完全中和物と、分子内の一部のポリアクリル酸が中和されて、上記の一般式(1)及び(2)の構成単位による部分中和物とがある。前記アクリル酸系ポリマーには、ポリアクリル酸完全中和物と、ポリアクリル酸部分中和物の何れもが使用可能である。前記アクリル酸系ポリマーにおいて、ポリアクリル酸完全中和物と、ポリアクリル酸部分中和物とは、消臭対象とする悪臭成分や使い勝手等に応じて適宜使い分けされる。
更に、前記アクリル酸系ポリマーとして、架橋型ポリアクリル酸(塩)も使用可能であり、消臭対象とする悪臭成分や使い勝手等に応じて適宜使い分けされる。
【0013】
前記アクリル酸系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜5,000,000、より好ましくは5,000〜5,000,000、さらに好ましくは10,000〜5,000,000である。重量平均分子量(Mw)が前記範囲外の場合、後述する機能性潤滑剤において粘度を所望の範囲にすることができなくなるおそれがある。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができる。
【0014】
本発明の機能性潤滑剤は、前記アクリル酸系ポリマーからなる前記消臭剤を含むものである。なお、前記機能性潤滑剤は、性交時やマッサージ時の潤滑を図るため、あるいは腹部エコー検査や心電図検査時等に検査用ゼリーとして使用されるものである。前記機能性潤滑剤は、主として水溶性高分子と水とによって構成されており、所望に応じて保湿剤、香料、清涼剤、着色料等が更に添加されている。
前記水溶性高分子としては、例えばポリアクリル酸塩類、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド等の水溶性合成高分子、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、メトキシセルロース、エトキシセルロース等の水溶性繊維素誘導体、澱粉、変性澱粉、アルギン酸塩類等が例示される。前記水溶性高分子には、例示したもののうち二種以上を混合して使用してもよい。
前記消臭剤の前記アクリル酸系ポリマーで挙げたポリアクリル酸(塩)は、前記機能性潤滑剤の水溶性高分子で挙げたポリアクリル酸塩類に該当する。従って、前記機能性潤滑剤は、前記水溶性合成高分子として前記消臭剤の前記アクリル酸系ポリマーを使用することにより、消臭機能を付与することができる。特に、前記アクリル酸(塩)由来の構成単位によるポリアクリル酸(塩)は、人体に無害であり、刺激性がなく、かつpHはポリアクリル酸完全中和物で7〜9、ポリアクリル酸部分中和物で6〜8程度であって腐蝕性もなく、安全である。更にポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体又はポリアクリル酸部分中和物の含水ゲル体は、極めて潤滑性に富み、かつ性交やマッサージによる剪断力によってもその粘性は変化しにくく、優れた潤滑性を維持することができる。
前記ポリアクリル酸塩類としては、前記ポリアクリル酸ナトリウムの他に、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム等があり、これらを前記アクリル酸系ポリマーと混合して前記水溶性高分子として使用してもよい。
【0015】
通常、前記機能性潤滑剤において、前記水溶性高分子は5重量%前後あるいはそれ以下の濃度となるように水が添加されて、含水ゲル体とされる。該含水ゲル体は、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤が添加されたものとしてもよい。
また、前記ポリアクリル酸塩類は、その1重量%の濃度で25℃とした含水ゲル体の粘度が500mPa・s以上であることが好ましく、600mPa・s以上であることがより好ましく、700mPa・s以上であることがさらに好ましい。前記含水ゲル体の粘度が500mPa・sに満たない場合、前記機能性潤滑剤として所望の粘度を得るためにポリアクリル酸塩類の濃度を高める必要があり、潤滑性の悪化や、配合組成の煩雑化を招くおそれがある。
前記ポリアクリル酸塩類の含水ゲル体の粘度は、ポリアクリル酸塩類の重合度によって支配され、例えばポリアクリル酸ナトリウムの粘度平均分子量を35000として、濃度を1重量%とした場合に、25℃における粘度は約11000mPa・sである。前記ポリアクリル酸塩類は、単独でも前記機能性潤滑剤に要求される性能を満たすことが出来るが、必要によっては2種以上のポリアクリル酸塩類を混合したり、あるいはポリアクリル酸塩類と他の水溶性高分子とを混合したりすることで、好適な効果を得ることが出来る。
【0016】
[実験例]
以下、本発明を更に具体化した消臭に係る実験例について説明するが、本発明はこの実験例に限定されるものではない。
〔試料〕
NO.0:水(比較用ブランク)。
NO.1:ポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体(東亞合成社製、アロンビスGLX、濃度1重量%)。
NO.2:ポリアクリル酸部分中和物の含水ゲル体(東亞合成社製、アロンビスAH106X、濃度1重量%)。
NO.3:架橋型ポリアクリル酸ナトリウムの含水ゲル体(三洋化成社製、サンフレッシュST573、濃度1重量%)。
NO.4:ポリアクリル酸完全中和物の粉体(東亞合成社製、アロンビスGLX)。
NO.5:架橋型ポリアクリル酸ナトリウムの粉体(三洋化成社製、サンフレッシュST573)。
NO.6:架橋型ポリアクリル酸未中和物の含水ゲル体(東亞合成社製、ジュンロンPW−120、濃度1重量%)。
NO.7:ポリアクリル酸未中和物の含水ゲル体(東亞合成社製、ジュリマーAC−10LHP、濃度1重量%)。
NO.8:架橋型ポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体(東亞合成社製、レオジック206H 40729、濃度1重量%)。
【0017】
〔悪臭成分〕
アンモニア:初期濃度150ppm。
トリメチルアミン:初期濃度20ppm。
硫化水素:、初期濃度20ppm。
メチルメルカプタン:初期濃度5ppm。
酢酸:初期濃度50ppm。
イソ吉草酸:初期濃度50ppm。
アセトアルデヒド:初期濃度100ppm。
ノネナール:初期濃度5ppm。
【0018】
〔試験方法〕
上記試料5gを試験容器(1L三角フラスコ)に投入した後、該試験容器内に上記の悪臭成分を上記の初期濃度で封入した。上記悪臭成分の封入下で前記試験容器を30分間放置した後、試験容器内に残存する悪臭成分の濃度を測定し、消臭率を算出した。また、悪臭成分の濃度の測定は、ガス検知管を用いたガスクロ測定によって直接法で行った。
【0019】
〔試験結果〕
上記試験方法による試験結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
NO.1からNO.8の試料について、消臭率が80%以上のものを◎、80%未満で50%以上のものを○、50%未満で0%を超えるものを△、0%のものを×として、消臭効果について評価した。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
表1及び表2の結果をまとめると、以下の通りであった。
NO.1のポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またアセトアルデヒドに対して消臭効果を示し、また硫化水素、ノネナールに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.2のポリアクリル酸部分中和物の含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またアセトアルデヒド、ノネナールに対して消臭効果を示し、また硫化水素に対してわずかに消臭効果を示した。
NO.3の架橋型ポリアクリル酸ナトリウムの含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またアセトアルデヒドに対して消臭効果を示し、また硫化水素、ノネナールに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.4のポリアクリル酸完全中和物の粉体は、硫化水素、酢酸、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またアンモニアに対して消臭効果を示し、またトリメチルアミン、アセトアルデヒド、ノネナールに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.5の架橋型ポリアクリル酸ナトリウムの粉体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またノネナールに対して消臭効果を示し、また硫化水素、アセトアルデヒドに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.6の架橋型ポリアクリル酸未中和物の含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、ノネナールに対して優れた消臭効果を示し、また酢酸、イソ吉草酸に対して消臭効果を示し、またメチルメルカプタン、アセトアルデヒドに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.7のポリアクリル酸未中和物の含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、イソ吉草酸に対して優れた消臭効果を示し、またノネナールに対して消臭効果を示し、また硫化水素、酢酸、アセトアルデヒドに対してわずかに消臭効果を示した。
NO.8の架橋型ポリアクリル酸完全中和物の含水ゲル体は、悪臭成分であるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールに対して優れた消臭効果を示し、またアセトアルデヒドに対して消臭効果を示し、また硫化水素に対してわずかに消臭効果を示した。
【0024】
上記の試験結果から、アクリル酸系ポリマーが消臭機能を有していることが示された。
アクリル酸系ポリマーのうち、ポリアクリル酸完全中和物(NO.1)、ポリアクリル酸部分中和物(NO.2)の含水ゲル体は、体臭の主な原因となるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸、アセトアルデヒドに対して消臭効果を示しており、該体臭に対する消臭剤として好適であることが示された。また体臭に対する消臭剤として好適であることから、身体に塗布して使用する機能性潤滑剤の材料として特に好適であることが示された。
アクリル酸系ポリマーのうち、ポリアクリル酸完全中和物の粉体(NO.4)は、特に硫化水素に対して優れた消臭効果を示しており、該硫化水素が主な原因となる生ゴミ臭、糞尿臭、煙草臭等の悪臭に対する消臭剤として好適であることが示された。
アクリル酸系ポリマーのうち架橋型ポリアクリル酸完全中和物(NO.8)、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム(NO.3)は、体臭の主な原因となるアンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸、アセトアルデヒドに対して消臭効果を示しており、該体臭に対する消臭剤として好適であるとともに、機能性潤滑剤の材料として好適であることが示された。
アクリル酸系ポリマーのうち架橋型ポリアクリル酸は、未中和物(NO.6)、完全中和物(NO.8)の含水ゲル体が加齢臭の主な原因となるノネナールに対して消臭効果を示しており、該加齢臭に対する消臭剤として好適であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、組成が簡易な消臭剤を提供することができるとともに、消臭機能を有する機能性潤滑剤を提供することができるから、産業上利用可能である。