【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代ロボット中核技術開発/革新的ロボット要素技術分野/人間との親和性が高いウェアラブルアシスト機器のための可変粘弾性特性を有する革新的ソフトアクチュエータシステムの開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、アクチュエータ1の外観斜視図及び分解斜視図である。
図2は、アクチュエータ1の軸方向断面図、径方向断面図及び軸方向視の平面図である。
図1に示すように、アクチュエータ1は、弾性素材からなり円筒状に形成された管体2と、管体2の両端を封止する封止部材4;4と、管体2の両端部に封止部材4;4をそれぞれ固定する締付部材6;6と、図外の駆動対象物(牽引対象物)と連結可能な連結具8;8とを備える。
【0009】
管体2は、シリコーンゴムやその他の合成ゴム、天然ラテックスゴム等、弾性を有し伸縮自在な素材により形成される。管体2には、軸方向(長手方向)に沿って延長する複数の繊維12が内包されている。なお、軸方向に沿ってとは、数学的に厳密な意味を示すものでなく、軸方向に対しての傾斜を許容するものである。
【0010】
図2(b)に示すように、複数の繊維12は、管体2の円周方向に均等に分布するように内包され、管体2の厚み方向に所定厚さの繊維層を形成する。
図1(b)に示すように、複数の繊維12は、管体2の軸J方向に沿って管体2の一端部2aから他端部2b側に連続して同一方向を向くように延長すると共に、その各端部が一端部2a及び他端部2bを超えて所定長さ延長、露出した状態とされる。
【0011】
繊維12としては、例えば、炭素(カーボン)繊維、ガラス繊維、ナイロン、ポリアミド系繊維やポリオレフィン系繊維、金属繊維等の被伸長性を有するものを適宜選択して用いることができる。また、繊維12は、フィラメント、ヤーン(スパン・ヤーン及びフィラメント・ヤーン)、ストランド等のいずれの形態でも用いることができ、さらに、撚りをかけずに収束させた無撚繊維、これらの繊維を複数本撚って作成した繊維を用いることも可能である。繊維の種類にもよるが、二種類以上の種類の異なる繊維を組み合わせても良い。
【0012】
管体2の一端部2a及び他端部2bの内周側には、管体2の外径に略対応する外径を有する円柱状の封止部材4;4が挿入される。封止部材4;4が一端部2a及び他端部2bに内挿されることにより、管体2の内部には外部から流体を供給可能な密閉された空間Sが形成される。各封止部材4;4は、管体2の外周側からバンド等の締付部材6;6により管体2と共に加締め固定される。封止部材4は、締付部材6;6による管体2と加締め固定できるものであれば、例えば、ゴム、樹脂、金属等の素材のいずれでも良い。なお、アクチュエータ1の膨縮動作の応答性を考慮した場合、軽量な素材を用いることが好ましい。
【0013】
一方の封止部材4には、空間Sと外部とに連通する給排孔40が形成される。給排孔40には、後述の連結具8から延長するチューブ42が接続される。
図2(c)に示すようにチューブ42は、後述のジョイント84に設けられた開口部8aを介して連結具8の外部に引き出され、図外の流体給排手段から延長する配管と接続される。そして、流体給排手段の駆動により、チューブ42及び給排孔40を介して空間Sに空気等の流体が供給・排出される。
なお、給排孔40を両方の封止部材4;4に設けても良く、両方の封止部材4;4側から流体を供給・排出することにより、管体2の膨縮する速度、即ち、管体2の応答速度を向上させることができる。
【0014】
管体2の一端部2a及び他端部2bからそれぞれ露出する繊維12には、連結具8;8が取り付けられる。本実施形態に係る繊維12は、管体2の軸J方向への伸長を規制する規制部材であると共に、連結具8;8に牽引力を伝達する牽引部材としても機能する。
【0015】
図2(a)に示すように、各連結具8は、例えば、スリーブ80と、リング82と、ジョイント84とで構成される。スリーブ80は、筒状部材からなり、一端側の内周にリング82の外周の形状に沿って接触可能に形成された接触面80aを有し、外周にねじ溝80bを有する。リング82は、断面円形状の環状部材である。ジョイント84は、一端側にリング82を収容可能な円形状に窪む凹部86と、他端側に駆動対象物との接続を確保可能な取付部88とを備える。
凹部86には、リング82が当接する当接面86aと、内周にスリーブ80のねじ溝80bに噛み合うねじ溝86bとが形成される。凹部86の底部には、軸J方向に貫通して内外に連通する開口部8aが設けられる。取付部88は、凹部86の軸線と直交方向に延長する貫通孔88aとして形成され、例えば、駆動対象物とボルト止め可能に構成される。
【0016】
上述の連結具8は、次のように繊維12に取り付けられる。まず、スリーブ80の接触面80aを外側に向けてスリーブ80の内周側に繊維12を貫通させる。次に、スリーブ80を貫通した繊維12をリング82の内周側に貫通させた後に、リング82に巻き付けるように放射状に折り返し、繊維12の先端側をスリーブ80の内周側に挿入する。次に、スリーブ80のねじ溝80bにジョイント84のねじ溝86bをねじ込むことにより、リング82に巻き付けられた繊維12がスリーブ80の接触面80aとジョイント84の当接面86aとの間に挟み込まれて固定される。
【0017】
以下、上記構成からなるアクチュエータ1の動作について説明する。
図2(a)に示す伸長状態から内部空間Sに圧縮空気を供給すると、管体2は、内包された複数の繊維12により軸J方向への伸長が規制され、
図3に示すように半径方向に膨張し、結果として軸J方向に収縮する。当該軸J方向への収縮により、繊維12は
図2(a)に示す直線状態から、
図3に示す弓なり状態となり、連結具8;8間を結ぶ延長経路が変化して連結具8;8の直線距離が短くなり、連結具8;8を介して連結された図外の駆動対象物に牽引力を作用させることができる。当該牽引力は、管体2の一端部2a及び他端部2bからそれぞれ露出するように軸J方向に延長し、連結具8;8によって固定された繊維12によって直接的に伝達されるため、空間Sを形成する管体2と封止部材4;4や締付部材6;6との間に不要な力や摩擦が生じることがない。このため、従来のアクチュエータに比べて耐久性を向上させることができる。
【0018】
なお、上記実施形態では、繊維12の全てを管体2の一端部2a及び他端部2bから露出させて、連結具8;8を取り付けたが、複数の繊維12のうち一部を管体2露出させ、この露出した繊維12に連結具8;8を取り付けるようにしても良い。この場合、繊維12は、管体2を軸方向視したときの中心軸Jを挟んで対称の位置から露出させて連結具8を取り付けることで、管体2による牽引力を駆動対象物に効率良く伝達することができる。
【0019】
図4は、管体2の他の形態を示す図である。上記実施形態では、管体2に内挿された複数の繊維12の全部または一部を露出させて連結具8;8を取り付ける構成としたが、管体2に内挿される繊維12とは別に、連結具8;8間に渡って延長する牽引用の繊維14を設けても良い。本実施形態における繊維14は、牽引部材としての役割を担い、管体2の外周面上において軸J方向に沿って延長する。また、繊維14は、管体2を軸方向視したときに、中心軸Jを挟んで対称な位置に配置される。繊維14の両端部は、前述の繊維12と同様に、管体2の一端部2a及び他端部2bよりも外側に延長し、連結具8;8によって固定される。また、管体2の両端部において繊維14は、締付部材6;6を介して管体2の外周に封止部材4;4とともに加締め固定される。繊維14の両端部は、管体2の一端部2a及び他端部2bを超えて外側に延長し、当該延長部分が上述の連結具8;8により固定される。
【0020】
このような繊維14を有する管体2であっても、繊維14の延長する経路が、
図4(a)に示す直線状態から、
図4(b)に示すように管体2の膨張に伴なって弓なりの状態となることにより、連結具8;8間の直線距離が短くなり、連結具8;8を介して連結された駆動対象物に牽引力を作用させることができる。また、アクチュエータ1を繰り返し伸長・収縮させたとしても、空間Sを形成するために管体2の端部に締付部材6;6により固定された封止部材4;4等で構成される端部構造を破壊する力が作用しないので、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0021】
なお、繊維14を締付部材6;6により固定するものとしたが、例えば、締付部材6;6に管体2の軸J方向に沿って延長する貫通孔を形成して繊維14を貫通させ、繊維14を締付部材6;6に対して移動可能としても良い。このように牽引部材として機能する繊維14を管体2の外周側に設けても、上述のように管体2の膨張により繊維14の延長する経路が短縮されるので、駆動対象物に牽引力を生じさせることができる。また、繊維14は、牽引力を生じさせる管体2の膨縮動作に従属的に動作するだけなので、駆動対象物に及ぼす牽引力と、管体2の膨張力とが分離され、牽引力の発生にともなう管体2の破壊が抑制され、アクチュエータ1の耐久性を向上させることができる。
【0022】
なお、連結具8の構成は、上記実施例に限定されず、管体2の端部から露出,延長する繊維を固定できるものであれば良い。また、連結具8を省略し、繊維を直接駆動対象物と接続して牽引力を発生させても良い。
【0023】
また、管体2の他の形態として、例えば、
図5に示すように、管体2の端部において中心軸Jを挟んで対称の位置から露出する繊維14の端部同士を留め具15等により連結して環状の連結部9を形成し、該連結部9を駆動対象物に直接固定することにより、上述の連結具8を不要とすることもできる。これにより、流体注入式アクチュエータ1の構造が簡素化され、耐久性能をより向上させることができる。
なお、繊維14は、あらかじめ環状に成形したものを、管体2の端部において中心軸Jを挟んで対称の位置から露出するように設けても良い。このように、あらかじめ環状に成形された繊維14を用いることにより、留め具15を用いることなく、管体2の各端部に環状の連結部9を設けることができる。
【0024】
図6は、管体2を直列に連結した形態を示す図である。なお、図示していないが、封止部材4;4に形成された連結機構により、管体2A;2Bが連結されているものとする。
図6に示すように、複数(
図6では説明の便宜上2個とした)の管体2A;2Bを直列に連結して構成する場合には、
図4や
図5に示すように管体2の外周を軸線に沿って繊維14を配置する構造を採用することにより、繊維14を共通化した1つのアクチュエータを構成することができる。
即ち、繊維14は、直列に連結された2つの管体2A;2Bにわたり、その外周を軸Jに沿って管体2Aの端部2aから管体2Bの端部2bへと連続して延長して設けられる。このように延長する繊維14は、直列に連結された管体2A;2Bに、例えば、
図5に示すように、管体2の軸Jを挟んで対称となる位置に対をなすように設けられ、管体2Aの端部2a側に延長する繊維14同士、及び管体2Bの端部2b側に延長する繊維14同士が連結される。そして、管体2Aの端部2a側で連結された繊維14と、管体2Bの端部2b側で連結された繊維14とを図外の駆動対象物に取り付けることで、構造を簡素化することができるとともに、繊維14を介して管体2Aの端部2aから管体2Bの端部2bへと牽引力を直接的に駆動対象物に伝達可能となる。なお、繊維14の数量については、2本に限定されず、適宜変更すれば良い。
【0025】
図7は、連結具8を省略する他の形態を示す図である。
図1に示すアクチュエータ1では、繊維12を管体2の両端部2a;2bから直線状に延長させて、連結具8を取り付けるように構成したが、
図7(a)の矢印に示すように、各端部2a;2bから延長した繊維12の延長方向を転換させて中心軸Jを挟んで再び管体2の内部を逆向きに延長するようにしても良い。
即ち、管体2の内部において、一本の繊維12が、管体2の軸線方向に延長し、各端部2a;2bの外側において環部20;20を形成しながら、
図7(b),(c)に示すように所定角度づつ軸J周りにずらし、例えば、モーターのコイルを巻くように、巻き回してアクチュエータ1を構成しても良い。そして、各端部2a:2bにおいて形成された複数の環部20を纏め、図外の駆動対象物に取り付けることにより牽引力を作用させることができる。この場合、繊維12が牽引部材として機能する。このように牽引部材を構成した場合、封止部材4を管体2の成形過程において一体化させることにより、締付部材6を不要とし、アクチュエータ1の構造を簡素化できる。
なお、本例では、管体2に内挿される繊維12を巻き回すとして説明したが、
図4や
図5に示すように、アクチュエータ1は管体2に内挿される繊維12とは別に設けた繊維14を管体2の外周に巻き回してなる。この場合、繊維14は、締付部材6や管体2の表面に接着などにより固定しても良い。また、繊維14を締付部材6や管体2の表面に接着などにより固定しない場合には、管体2の膨張時に巻き回された繊維14に周方向への偏りが生じないように、偏り防止手段を設けると良い。偏り防止手段としては、例えば、管体2の膨張・収縮に伴なって外径変化のない封止部材4に対応する外周において、巻き付けられた繊維14を締付部材6で締め付けたり、巻き付けられた繊維14間を他の繊維により周方向に結びつけたりすることにより可能であり、その方法については適宜設定自在である。
また、繊維14の巻き回し回数に応じて、管体2に内挿される繊維12を省略することも可能である。即ち、繊維14が牽引部材及び管体2の軸J方向への伸長を規制する規制部材として機能する。ここで、繊維14の巻き回し回数に応じてとは、管体2における繊維12を省略し、膨張させたときに、繊維14に必要とする牽引力が得られないことを言う。好ましくは、管体2を膨張させたときに、外周に巻き回された繊維14の間から管体2がはみ出さないように巻き回し回数を設定すると良い。
また、管体2に内挿して巻き回す際の繊維12の本数や管体2の外周に巻き回す際の繊維14の本数は、1本に限定されず、2本や3本等の複数の繊維12;14により巻き回しても良い。
【0026】
なお、上述のように牽引部材として繊維を管体2の外周に配設する場合には、少なくとも管体2の軸方向への伸縮に伴ない半径方向への膨張・収縮する範囲内においては、同一方向に延長させることが好ましい。つまり、管体2の軸方向への伸縮に伴ない半径方向への膨張・収縮する範囲内では、牽引部材となる繊維同士が交差せずに延長していれば良く、このときの繊維(牽引部材)の延長する方向は、軸方向に沿って延長するように配設するのみに限らず、軸Jに対してねじれの状態(軸Jに対して傾斜した状態)で延長していても良い。