特許第6873480号(P6873480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873480
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20210510BHJP
   A47J 36/34 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A47J27/14 N
   A47J36/34
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-199644(P2017-199644)
(22)【出願日】2017年10月13日
(65)【公開番号】特開2019-72093(P2019-72093A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592190497
【氏名又は名称】桐山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 英夫
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−000241(JP,A)
【文献】 特開2002−238770(JP,A)
【文献】 特開2005−021656(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0353778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A47J 36/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器と該調理容器を前後に傾倒させる傾倒機構とを備えた調理装置であって、
前記傾倒機構は、前記調理容器の両側に互いに平行に設けられ前記調理容器が傾倒していない状態で前後に延びる一対の側板と、前記一対の側板の延在方向の中央部に回動可能に連結され上方へ伸長可能な一対の駆動部と、前記一対の側板を介して前記調理容器を支持する架台部と、を有し、
前記架台部は、前記調理容器が傾倒していない状態で前記側板の前端と後端をそれぞれ下方から支持する前端支持部および後端支持部と、前記前端支持部に臨んで後方を向く開口を有するとともに前記調理容器の前方への傾倒時に前記側板の前端を係合させるように前記側板の前端の回転軌跡に沿って下方へ延びる前端係合溝と、前記後端支持部に臨んで前方を向く開口を有し前記調理容器の後方への傾倒時に前記側板の後端を係合させるように前記側板の後端の回転軌跡に沿って下方へ延びる後端係合溝と、を有し、
前記側板は、前後方向の中央から前後に延びて前記駆動部を前記中央の前方と後方に移動可能に連結させる中央連結溝を有することを特徴とする調理装置。
【請求項2】
前記駆動部は、鉛直方向に沿って配置されたシリンダーであり、下端部が前記架台部の前後方向の中央部に回動可能に軸支され、上端部が前記中央連結溝に回動可能に係合して上方へ伸長可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の調理装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記上端部に前記側板の前記中央連結溝に係合するローラを有することを特徴とする請求項2に記載の調理装置。
【請求項4】
前記側板は、前記前端と前記後端に、それぞれ、前記架台部の前記前端係合溝と前記後端係合溝に係合するローラを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調理装置。
【請求項5】
前記側板は、前記前端と前記後端に、それぞれ、前端ガイド部と後端ガイド部を有し、
前記前端ガイド部は、前記調理容器の後方への傾倒時における前記側板の前記前端の回転軌跡に沿って延在し、
前記後端ガイド部は、前記調理容器の前方への傾倒時における前記側板の前記後端の回転軌跡に沿って延在することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調理装置。
【請求項6】
前記架台部は、前記前端支持部の下方と前記後端支持部の下方に、それぞれ、前記側板の前記前端ガイド部に係合するローラと前記側板の前記後端ガイド部と係合するローラを有することを特徴とする請求項5に記載の調理装置。
【請求項7】
前記側板の前記前端ガイド部の先端と、前記架台部の前記前端支持部の下方の前記ローラに、近接スイッチが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の調理装置。
【請求項8】
前記側板の前記後端ガイド部の先端と、前記架台部の前記後端支持部の下方の前記ローラに、近接スイッチが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食材を調理するための調理装置に関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された発明は、ゾーニングを行うことで調理後の食材の食品衛生を容易に確保することのできる調理装置を提供することを課題としている(同文献、第0004段落−第0005段落等を参照)。この課題を解決する手段として、特許文献1は、食材を収容して調理するための調理容器と、該調理容器を支持すると共に該調理容器を食材投入側と同取り出し側とに切り替えて転傾動作を可能とする支持手段とよりなることを特徴とする調理装置を開示している(同文献、請求項1等を参照)。
【0003】
前記従来の調理装置によれば、調理容器を食材投入側と同取り出し側とに切り替えて転傾させることができる。これにより、食材投入および洗浄水の排出と、調理後の食材の取り出しとを調理容器を挟んで区画(ゾーニング)することができ、食材取り出し側に調理前の食材が飛散したり、調理容器の洗浄水が飛散したりするようなことがない。このため、調理後の食材の取り出し側の衛生状態を容易に作り出すことができ、調理後の食材の食品衛生を容易に確保することができる(同文献、第0010段落等を参照)。
【0004】
また、特許文献1に記載された発明と同様に、食材を調理するための調理装置に関する発明であって、ゾーニングを行うことで調理後の食材の食品衛生を容易に確保すること等が可能な調理装置の提供を課題とするものが知られている(下記特許文献2を参照)。
【0005】
特許文献2に記載された調理装置は、食材を収容して調理するための調理容器と、該調理容器を支持すると共に該調理容器を両方向へ切り替えて転傾動作可能とする支持手段とを備えている。前記支持手段は、各別の第1,第2軸支持部と、駆動手段とよりなる。前記各別の第1,第2軸支持部は、前記調理容器の両側をベースフレームに回動自在かつ着脱可能に支持する。駆動手段は、前記第1,第2軸支持部の間に配置されて前記調理容器およびベースフレームに結合され、前記第1,第2軸支持部の何れか一方を離脱させたとき、他方の第2,第1軸支持部を中心に前記調理容器を転傾動作させる(同文献、請求項1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−238770号公報
【特許文献2】特開2005−241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された従来の調理装置は、調理容器を食材投入側へ転傾させる第1の駆動手段と、調理容器を食材取り出し側へ転傾させる第2の駆動手段とが設けられている。すなわち、調理容器の食材投入側への転傾は、第1の駆動手段のみによって行われ、調理容器の食材取り出し側への転傾は、第2の駆動手段のみによって行われる。そのため、第1の駆動手段および第2の駆動手段に、それぞれ単独で調理容器を転傾させるのに必要な大きな力を出力させる必要がある。
【0008】
前記特許文献2に記載された従来の調理装置において、第1軸支持部と第2軸支持部は、ブラケットと、ラッチ部材と、ピン部とを備えている。前記ブラケットは、前記調理容器に取り付けられた支持軸および該支持軸に取り付けられる。前記ラッチ部材は、前記ベースフレームに取り付けられ、前記ブラケットを保持部に着脱自在に保持可能である。ピン部は、前記保持部に対して進退移動することにより前記保持部に対する前記ブラケットの保持および保持解除を行う。この従来の調理装置は、第1軸支持部および第2軸支持部の構成が複雑である。
【0009】
本発明は、調理容器を傾倒させる駆動部の出力を低減させ、調理容器を前後に傾倒させる機構を単純化することができる調理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の調理装置は、調理容器と該調理容器を前後に傾倒させる傾倒機構とを備えた調理装置であって、前記傾倒機構は、前記調理容器の両側に互いに平行に設けられ前記調理容器が傾倒していない状態で前後に延びる一対の側板と、前記一対の側板の延在方向の中央部に回動可能に連結され上方へ伸長可能な一対の駆動部と、前記一対の側板を介して前記調理容器を支持する架台部と、を有し、前記架台部は、前記調理容器が傾倒していない状態で前記側板の前端と後端をそれぞれ下方から支持する前端支持部および後端支持部と、前記前端支持部に臨んで後方を向く開口を有するとともに前記調理容器の前方への傾倒時に前記側板の前端を係合させるように前記側板の前端の回転軌跡に沿って下方へ延びる前端係合溝と、前記後端支持部に臨んで前方を向く開口を有し前記調理容器の後方への傾倒時に前記側板の後端を係合させるように前記側板の後端の回転軌跡に沿って下方へ延びる後端係合溝と、を有し、前記側板は、前後方向の中央から前後に延びて前記駆動部を前記中央の前方と後方に移動可能に連結させる中央連結溝を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の調理装置は、調理容器と該調理容器を前後に傾倒させる傾倒機構とを備えている。そのため、たとえば、調理容器に調理前の食材を投入したり調理容器を洗浄したりするための区域と、調理済みの食材の取り出しなどを行うための区域とを、調理容器の前後で区画するゾーニングに対応することができる。すなわち、傾倒機構によって調理容器を前方に傾倒させることで、調理容器の前方の区域で食材の投入や調理容器の洗浄などを行うことができ、傾倒機構によって調理容器を後方に傾倒させることで、調理容器の後方の区域で食材の取り出しなどを行うことができる。
【0012】
この傾倒機構は、前記したように、一対の側板と、一対の駆動部と、架台部とを有している。また、架台部は、前記したように、前端支持部および後端支持部と、前端係合溝と、後端係合溝とを有している。さらに、側板は、前記したように、中央連結溝を有している。このような構成により、本発明の調理装置は、以下の手順および動作によって、調理容器を前後に傾倒させることができる。
【0013】
調理容器を前方に傾倒させるには、まず、調理容器の両側に設けられた一対の側板の中央連結溝に移動可能に連結された一対の駆動部を、一対の中央連結溝に沿って後方へ移動させる。これにより、側板に連結された駆動部の端部は、側板の中央連結溝の後端に移動するとともに、側板に対して回動する。その結果、一対の駆動部は、鉛直方向に対して所定の角度で後方へ傾斜した状態になる。
【0014】
次に、一対の駆動部を上方へ伸長させると、調理容器の両側に平行に設けられた一対の側板は、架台部の前端支持部によって下方から支持された前端を中心に回転して前方へ傾倒し、架台部の後端支持部によって下方から支持されていた後端が上方へ持ち上げられる。この一対の側板の前方への傾倒とともに、調理容器も前方へ傾倒する。また、側板の前端は、側板の前方への傾倒により、架台部の前端支持部から前方へ移動して、架台部の前端支持部に臨んで後方を向く前端係合溝の開口に導入される。一方、側板の後端は、架台部の後端支持部から上方へ持ち上げられて、架台部から離れる。
【0015】
一対の駆動部をさらに上方へ伸長させると、一対の側板は、架台部の前端係合溝に係合した前端を中心として回転することで、さらに前方へ傾倒し、水平に対する傾斜角度が増加する。これにより、調理容器も、一対の側板とともに、さらに前方へ傾倒する。ここで、架台部の前端係合溝は、前記したように、調理容器の前方への傾倒時に側板の前端を係合させるように、側板の前端の回転軌跡に沿って下方へ延びている。
【0016】
そのため、調理容器の前方への傾倒時に、側板の前端は、前端係合溝に導入されて係合された後、架台部の前端支持部に隣接する回転軸を中心に回転しながら、前端係合溝に沿って前方および下方へ移動し、前端係合溝の下端に達する。このとき、側板は、駆動部の伸長にともなって、架台部の前端係合溝に係合した前端を中心としてさらに前方へ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに増加する。このように、駆動部が側板の中央連結溝の後端に連結され、側板の前端が架台部の前端係合溝に係合した状態で、駆動部を上方へ伸長させることで、側板が設けられた調理容器を、水平から90度以上の傾斜角度まで前方に傾倒させることができる。
【0017】
調理容器が前方へ傾倒した状態からもとの水平な状態まで戻すには、一対の側板の中央連結溝に連結された一対の駆動部の端部を下方へ収縮させる。すると、一対の側板は、一対の駆動部の収縮にともなって、架台部の前端係合溝に係合した前端を中心として回転し、水平に対する傾斜角度が減少する。このとき、架台部の前端係合溝に係合した側板の前端は、架台部の前端支持部に隣接する回転軸を中心に回転しながら、前端係合溝の下端から前端係合溝に沿って後方および上方へ移動する。また、側板の後端は、上方へ持ち上げられて架台部から離れた位置から、下方へ移動して架台部に近づく。
【0018】
側板の中央連結溝の後端に連結された一対の駆動部の端部をさらに下方へ収縮させると、一対の側板は、架台部の前端係合溝に係合された前端を中心として後方へ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに減少する。一対の側板が水平になると、一対の側板の前端は、架台部の前端係合溝の開口から後方に移動して架台部の前端支持部によって下方から支持され、一対の側板の後端は、架台部の上方の位置から下降して、架台部の後端支持部によって下方から支持される。これにより、調理容器が傾倒していない、もとの状態に戻る。
【0019】
一方、調理容器を後方に傾倒させるには、まず、一対の側板の中央連結溝に移動可能に連結された一対の駆動部を、一対の中央連結溝に沿って前方へ移動させる。これにより、側板に連結された駆動部の端部は、側板の中央連結溝の前端に移動するとともに、側板に対して回動する。その結果、駆動部は、鉛直方向に対して所定の角度で前方へ傾斜した状態になる。
【0020】
次に、一対の駆動部を上方へ伸長させると、調理容器の両側に平行に設けられた一対の側板は、架台部の前端支持部によって下方から支持された後端を中心に回転して後方へ傾倒し、架台部の前端支持部によって下方から支持されていた前端が上方へ持ち上げられる。この一対の側板の後方への傾倒とともに、調理容器も後方へ傾倒する。また、側板の後端は、側板の後方への傾倒により、架台部の後端支持部から後方へ移動して、架台部の後端支持部に臨んで前方を向く後端係合溝の開口に導入される。一方、側板の前端は、架台部の前端支持部から上方へ持ち上げられて、架台部から離れる。
【0021】
一対の駆動部をさらに上方へ伸長させると、一対の側板は、架台部の後端係合溝に係合した後端を中心として回転することで、さらに後方へ傾倒し、水平に対する傾斜角度が増加する。これにより、調理容器も、一対の側板とともに、さらに後方へ傾倒する。ここで、架台部の後端係合溝は、前記したように、調理容器の後方への傾倒時に側板の後端を係合させるように、側板の後端の回転軌跡に沿って下方へ延びている。
【0022】
そのため、調理容器の後方への傾倒時に、側板の後端は、後端係合溝に導入されて係合された後、架台部の後端支持部に隣接する回転軸を中心に回転しながら、後端係合溝に沿って後方および下方へ移動し、後端係合溝の下端に達する。このとき、側板は、駆動部の伸長にともなって、架台部の後端係合溝に係合した後端を中心としてさらに後方へ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに増加する。このように、駆動部が側板の中央連結溝の前端に連結され、側板の後端が架台部の後端係合溝に係合した状態で、駆動部を上方へ伸長させることで、側板が設けられた調理容器を、水平から90度以上の傾斜角度まで後方に傾倒させることができる。
【0023】
調理容器が後方へ傾倒した状態からもとの水平状態まで戻すには、一対の側板の中央連結溝に連結された一対の駆動部の端部を下方へ収縮させる。すると、一対の側板は、一対の駆動部の収縮にともなって、架台部の後端係合溝に係合した後端を中心として回転し、水平に対する傾斜角度が減少する。このとき、架台部の後端係合溝に係合した側板の後端は、架台部の後端支持部に隣接する回転軸を中心に回転しながら、後端係合溝の下端から後端係合溝に沿って前方および上方へ移動する。また、側板の前端は、上方へ持ち上げられて架台部から離れた位置から、下方へ移動して架台部に近づく。
【0024】
側板の中央連結溝の前端に連結された一対の駆動部の端部をさらに下方へ収縮させると、一対の側板は、架台部の後端係合溝に係合された後端を中心として後方へ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに減少する。一対の側板が水平になると、一対の側板の後端は、架台部の後端係合溝の開口から前方に移動して架台部の後端支持部によって下方から支持され、一対の側板の前端は、架台部の上方の位置から下降して、架台部の前端支持部によって下方から支持される。これにより、調理容器が傾倒していないもとの状態に戻る。
【0025】
以上のように、本発明の調理装置は、調理容器の前方または後方への傾倒時に、一対の側板の中央連結溝に移動可能に連結された一対の駆動部を、後方または前方に移動させることで、調理容器を傾倒させる方向を切り替えることができる。したがって、調理容器の両側に設けられた一対の駆動部によって調理容器を傾倒させることができ、調理容器の片側の駆動部だけで調理容器を傾倒させる場合と比較して、個々の駆動部の出力を低減することができる。
【0026】
また、本発明の調理装置は、調理容器の前方または後方への傾倒時に、側板の前端または後端が、架台部の前端係合溝または後端係合溝に係合することで、調理容器が架台部から脱落することが防止される。また、架台部の前端係合溝または後端係合溝に係合した側板の前端または後端と反対側の側板の後端または前端は、架台部の後端支持部または前端支持部によって下方から支持された状態から自由に上方へ移動し、架台部から離れる。したがって、従来のような複雑な構成の第1軸支持部および第2軸支持部を設ける必要がなく、調理容器を前後に傾倒させる機構を単純化することができる。
【0027】
前記本発明の調理装置において、前記駆動部は、鉛直方向に沿って配置されたシリンダーであり、下端部が前記架台部の前後方向の中央部に回動可能に軸支され、上端部が前記中央連結溝に回動可能に係合して上方へ伸長可能に設けられていてもよい。これにより、前述のように、一対の駆動部を一対の側板の中央連結溝に沿って前後へ移動させると、駆動部が下端部を軸支する回転軸を中心に回動して鉛直方向に対して所定の角度で前後へ傾斜する。また、駆動部の上端部を上方へ伸長させることで、前述のように、調理容器を前後へ傾倒させることができる。
【0028】
前記本発明の調理装置において、前記駆動部は、前記上端部に前記側板の前記連結溝に係合するローラを有してもよい。これにより、駆動部の上端部のローラを介して駆動部を側板に連結し、駆動部を側板に対して回動可能かつ中央連結溝に沿って移動可能に連結することができる。
【0029】
前記本発明の調理装置において、前記側板は、前記前端と前記後端に、それぞれ、前記架台部の前記前端係合溝と前記後端係合溝に係合するローラを有してもよい。これにより、側板の前端と後端を、それぞれ、架台部の前端係合溝と後端係合溝に沿って移動しやすくすることができる。
【0030】
前記本発明の調理装置において、前記側板は、前記前端と前記後端に、それぞれ、前端ガイド部と後端ガイド部を有し、前記前端ガイド部は、前記調理容器の後方への傾倒時における前記側板の前記前端の回転軌跡に沿って延在し、前記後端ガイド部は、前記調理容器の前方への傾倒時における前記側板の前記後端の回転軌跡に沿って延在してもよい。これにより、調理容器の前方への傾倒時に側板の後端ガイド部を架台部によって案内し、調理容器の後方への傾倒時に側板の前端ガイド部を架台部によって案内することで、調理容器の両側の一対の側板を安定させ、調理容器を安定させることができる。
【0031】
前記本発明の調理装置において、前記架台部は、前記前端支持部の下方と前記後端支持部の下方に、それぞれ、前記側板の前記前端ガイド部に係合するローラと前記後端ガイド部と係合するローラを有してもよい。これにより、調理容器の前方への傾倒時に側板の後端ガイド部を架台部の後端支持部の下方のローラによって案内し、調理容器の後方への傾倒時に側板の前端ガイド部を架台部の前端支持部の下方のローラによって案内することができる。
【0032】
前記本発明の調理装置において、前記側板の前記前端ガイド部の先端と、前記架台部の前記前端支持部の下方の前記ローラに、近接スイッチが設けられていてもよい。これにより、調理容器の後方への傾倒時に、側板の前端が上昇して前端ガイド部の先端が架台部の前端支持部の下方のローラから離れたときに、駆動部の伸長を停止させることができる。
【0033】
前記本発明の調理装置において、前記側板の前記後端ガイド部の先端と、前記架台部の前記後端支持部の下方の前記ローラに、近接スイッチが設けられていてもよい。これにより、調理容器の前方への傾倒時に、側板の後端が上昇して後端ガイド部の先端が架台部の後端支持部の下方のローラから離れたときに、駆動部の伸長を停止させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、調理容器を傾倒させる駆動部の出力を低減させ、調理容器を前後に傾倒させる傾倒機構を単純化することができる調理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る調理装置の側面図。
図2図1に示す調理装置の上面図。
図3図1に示す調理装置の側板の斜視図。
図4図1に示す調理装置の側板の中央連結溝および駆動部の拡大図。
図5図4に示すV−V線に沿う側板および駆動部の断面図。
図6図1に示す調理装置の架台部の前方側の上端部の斜視図。
図7図1に示す調理装置の架台部の後方側の上端部の斜視図。
図8A図1に示す調理装置の駆動部を後方へ移動させた状態を示す側面図。
図8B図8Aに示す調理装置の側板と架台部の拡大図。
図8C図8Bに示すC−C線に沿う断面図。
図9図8Aに示す調理装置の駆動部を伸長させた状態を示す側面図。
図10A図9に示す調理装置の駆動部を伸長させた状態を示す側面図。
図10B図10Aに示す調理装置の側板と架台部の拡大図。
図11A図10Aに示す調理装置の駆動部を伸長させた状態を示す側面図。
図11B図11Aに示す調理装置の側板と架台部の拡大図。
図12図1に示す調理装置の調理容器を後方に傾倒させた状態を示す側面図。
図13図1に示す調理装置の変形例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の調理装置の一実施形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る調理装置100の側面図である。図2は、図1に示す調理装置100の上面図である。以下の説明では、図1および図2に示す調理装置100の中心線C1,C2よりも左側の領域を調理装置100の前方Fとし、調理装置100の中心線C1,C2よりも右側の領域を調理装置100の後方Rとする。
【0038】
本実施形態の調理装置100は、主に、調理容器1と、この調理容器1を前後に傾倒させる傾倒機構50とを備えている。したがって、本実施形態の調理装置100は、調理容器1に調理前の食材を投入したり調理容器1を洗浄したりするための区域A1と、調理済みの食材の取り出しなどを行うための区域A2とを、調理容器1の前後で区画するゾーニングに対応することができる。たとえば、傾倒機構50によって調理容器1を前方Fに傾倒させることで、調理容器1の前方Fの区域A1で食材の投入や調理容器1の洗浄などを行うことができ、傾倒機構50によって調理容器1を後方Rに傾倒させることで、調理容器1の後方Rの区域A2で食材の取り出しなどを行うことができる。
【0039】
調理容器1は、たとえば、食材を投入して加熱調理を行うための鍋や釜である。調理容器1は、たとえば、飲食店や食堂の厨房、給食センターや惣菜の調理センターなどで用いられる大型の業務用調理釜である。業務用調理釜としては、たとえば、ガスバーナによる加熱を行うガス回転釜、蒸気による加熱を行う蒸気回転釜、誘導加熱(induction heating:IH)による加熱を行うIH回転釜などを用いることができる。図示の例において、調理容器1は、蒸気回転釜である。なお、図1および図2では、調理容器1の開口部1aを閉塞する蓋、蒸気配管、および蒸気バルブなどの図示は、省略している。
【0040】
傾倒機構50は、主に、一対の側板10と、一対の駆動部20と、架台部30と、を有している。一対の側板10は、調理容器1の左右両側に互いに平行に設けられ、調理容器1が傾倒していない水平な状態で前後におおむね水平に延びている。一対の駆動部20は、一対の側板10の延在方向である前後方向の中央部に回動可能に連結され、上方へ伸長可能な構成を有している。架台部30は、一対の側板10を介して調理容器1を支持している。以下、傾倒機構50の各構成について、より詳細に説明する。
【0041】
図3は、図1および図2に示す傾倒機構50の側板10の斜視図である。側板10は、たとえば、所定の間隔で対向する二枚の板材11によって構成され、調理容器1の側面に取り付けられる取付部12を有している。側板10は、たとえば、調理容器1の外形に沿う取付部12の円弧状の端部が、たとえば溶接などによって調理容器1に接合されることで、調理容器1に取り付けられている。
【0042】
図示の例において、側板10は、前端10fと後端10rに、一対のローラ13を有している。一対のローラ13は、それぞれ、側板10の二枚の板材11の間に配置されている。側板10の一対のローラ13は、それぞれ、側板10の二枚の板材11を連結する回転軸13aに、たとえばベアリングを介して回転自在に取り付けられている。側板10の一対のローラ13は、後述する架台部30の前端係合溝32fと後端係合溝32rに係合するように、軸方向の中央部に周方向の溝13bが設けられている。
【0043】
また、図示の例において、側板10は、前端10fと後端10rに、それぞれ、前端ガイド部11fと後端ガイド部11rを有している。前端ガイド部11fは、後述する調理容器1の後方Rへの傾倒時における側板10の前端10fの回転軌跡に沿って延在している。後端ガイド部11rは、後述する調理容器1の前方Fへの傾倒時における側板10の後端10rの回転軌跡に沿って延在している。
【0044】
側板10は、前後方向の中央すなわち中心線C1から前後に延びる中央連結溝14を有している。中央連結溝14は、図1に示すように、駆動部20を側板10の前後方向の中央よりも前方F側と後方R側に移動可能に連結させる長孔状に形成されている。図1に示す例において、中央連結溝14は、駆動部20の下端を回動可能に軸支する回転軸21を中心とする円弧状に形成されている。中央連結溝14は、駆動部20を側板10の前後方向の中央の前方F側と後方R側に移動可能に連結させる。
【0045】
一対の駆動部20は、たとえば、鉛直方向に沿って配置されたシリンダーである。駆動部20の下端部は、回転軸21によって、架台部30の前後方向の中央部に回動可能に軸支されている。駆動部20の上端部は、中央連結溝14に回動可能に係合して、上方へ伸長可能に設けられている。駆動部20としては、たとえば、油圧によって伸縮する油圧シリンダーや、空気圧によって伸縮するエアシリンダーなどを用いることができる。駆動部20は、たとえば、側板10の中央連結溝14に連結される上端部に、側板10の中央連結溝14に係合するローラ22を有している。
【0046】
図4は、図1に示す側板10の中央連結溝14および駆動部20の拡大図である。図5は、図4に示すV−V線に沿う側板10および駆動部20の断面図である。なお、図4では、中央連結溝14と駆動部20との関係を理解しやすくするため、駆動部20のローラ22の一部を切除した状態を示している。駆動部20は、上端部に、ベアリング22bと、このベアリング22bによって回転自在に支持された回転軸22aと、この回転軸22aに固定されたローラ22とを有している。
【0047】
駆動部20の上端部は、側板10の二枚の板材11の間に配置されている。回転軸22aは、側板10の二枚の板材11に形成された中央連結溝14に通されている。駆動部20のローラ22は、直径が拡大された拡径部22eと直径が縮小された縮径部22dを有している。ローラ22の拡径部22eは、側板10の二枚の板材11の外側に配置され、ローラ22の縮径部22dは、側板10の二枚の板材11に形成された中央連結溝14に挿入され、中央連結溝14の延在方向である側板10の前後方向に移動可能に係合している。
【0048】
これにより、駆動部20の上端部は、側板10の中央連結溝14に回動可能に連結され、側板10の前後方向に移動可能な状態で側板10の中央連結溝14に係合している。すなわち、側板10の中央連結溝14は、側板10の前後方向の中央から前後方向に延び、駆動部20を側板10の前後方向の中央すなわち中心線C1の前方Fと後方Rに移動可能に連結させている。
【0049】
架台部30は、図1および図2に示すように、たとえば、矩形の枠状の部材であり、複数の支柱や梁によって構成され、一対の側板10を介して調理容器1を支持している。架台部30は、一対の側板10を支持する上端部に、前端支持部31fおよび後端支持部31rと、前端係合溝32fと、後端係合溝32rと、を有している。
【0050】
図6は、図1に示す調理装置100の架台部30の前方F側の上端部の斜視図である。図7は、図1に示す調理装置100の架台部30の後方R側の上端部の斜視図である。前端支持部31fおよび後端支持部31rは、架台部30の左右両側で、前方F側の上端部と後方R側の上端部にそれぞれ設けられた比較的に平坦な部分である。
【0051】
より詳細には、前端支持部31fは、後方R側よりも前方F側が低くなるように緩やかに傾斜している。また、後端支持部31rは、前方F側よりも後方R側が低くなるように緩やかに傾斜している。前端支持部31fの後端と、後端支持部31rの前端には、それぞれ、上方に突出する凸部33f,33rが設けられている。前端支持部31fおよび後端支持部31rは、図1に示すように、調理容器1が傾倒していない状態で、側板10の前端10fと後端10rをそれぞれ下方から支持する。
【0052】
図示の例において、架台部30は、前端支持部31fの下方と後端支持部31rの下方に、それぞれ、ローラ34を有している。図6に示す前端支持部31fの下方の一対のローラ34は、図3に示す側板10の前端ガイド部11fの二枚の板材11に係合する周方向の溝34bを有し、架台部30の板状の上端部を貫通する回転軸34aによって回転自在に支持されている。図7に示す後端支持部31rの下方の一対のローラ34は、図3に示す側板10の後端ガイド部11rの二枚の板材11に係合する周方向の溝34bを有し、架台部30の板状の上端部を貫通する回転軸34aによって回転自在に支持されている。
【0053】
架台部30の前端係合溝32fは、架台部30の左右両側において、前方F側の上端部に設けられている。図6に示すように、前端係合溝32fは、前端支持部31fに臨んで後方Rを向く開口を有している。また、前端係合溝32fは、調理容器1の前方Fへの傾倒時に側板10の前端10fを係合させるように、側板10の前端10fの回転軌跡に沿って下方へ延びている。詳細については後述するが、側板10の前端10fは、調理容器1の前方Fへの傾倒時に、架台部30の前端支持部31fの下方のローラ34の回転軸34aを中心に回転する。すなわち、前端係合溝32fは、ローラ34の回転軸34aを中心とする円弧状に形成されている。
【0054】
架台部30の後端係合溝32rは、架台部30の左右両側において、後方R側の上端部に設けられている。図7に示すように、後端係合溝32rは、後端支持部31rに臨んで前方Fを向く開口を有している。また、後端係合溝32rは、調理容器1の後方Rへの傾倒時に側板10の後端10rを係合させるように側板10の後端10rの回転軌跡に沿って下方へ延びている。詳細については後述するが、側板10の後端10rは、調理容器1の後方Rへの傾倒時に、架台部30の後端支持部31rの下方のローラ34の回転軸34aを中心に回転する。すなわち、後端係合溝32rは、ローラ34の回転軸34aを中心とする円弧状に形成されている。
【0055】
なお、調理装置100は、側板10の前端ガイド部11fの先端と、架台部30の前端支持部31fの下方のローラ34に、近接スイッチが設けられていてもよい。また、調理装置100は、側板10の後端ガイド部11rの先端と、架台部30の後端支持部31rの下方のローラ34に、近接スイッチが設けられていてもよい。
【0056】
以下、本実施形態の調理装置100の作用について説明する。
【0057】
前述のように、本実施形態の調理装置100は、調理容器1と、この調理容器1を前後に傾倒させる傾倒機構50とを備えている。そのため、たとえば、調理容器1に調理前の食材を投入したり調理容器1を洗浄したりするための区域と、調理済みの食材の取り出しなどを行うための区域とを、調理容器1の前後で区画するゾーニングに対応することができる。すなわち、傾倒機構50によって調理容器1を前方Fに傾倒させることで、調理容器1の前方Fの区域A1で食材の投入や調理容器1の洗浄などを行うことができ、傾倒機構50によって調理容器1を後方Rに傾倒させることで、調理容器1の後方Rの区域A2で食材の取り出しなどを行うことができる。
【0058】
調理装置100の傾倒機構50は、前記したように、一対の側板10と、一対の駆動部20と、架台部30とを有している。また、架台部30は、前記したように、前端支持部31fおよび後端支持部31rと、前端係合溝32fと、後端係合溝32rとを有している。さらに、側板10は、前記したように、中央連結溝14を有している。このような構成により、本実施形態の調理装置100は、以下の手順および動作によって、調理容器1を前後に傾倒させることができる。
【0059】
図1および図2に示す本実施形態の調理装置100において、調理容器1を前方Fに傾倒させるには、まず、調理容器1の両側に設けられた一対の側板10の中央連結溝14に移動可能に連結された駆動部20を、一対の中央連結溝14に沿って後方Rへ移動させる。
【0060】
図8Aは、図1に示す調理装置100の駆動部20を側板10の中央連結溝14に沿って後方Rへ移動させた状態を示す側面図である。たとえば、図1に示すように、駆動部20にレバー23が設けられている場合には、このレバー23の下端部を把持して前方Fおよび下方へ移動させ、駆動部20の下端部を軸支する回転軸21を中心に駆動部20を後方Rへ回動させる。
【0061】
これにより、図8Aに示すように、側板10に連結された駆動部20の端部は、側板10の中央連結溝14の後端に移動するとともに、側板10に対して回動する。その結果、一対の駆動部20は、鉛直方向に対して所定の角度で後方Rへ傾斜した状態になる。なお、側板10の中央連結溝14に沿う駆動部20の移動は、たとえば油圧機構によって自動的に行うようにしてもよい。
【0062】
図8Bは、図8Aに示す調理装置100の側板10の前端10fと架台部30の前方F側の上端部の拡大図である。図8Cは、図8Bに示すC−C線に沿う断面図である。調理容器1が傾倒していない水平状態において、一対の側板10の前端10fは、架台部30の前端支持部31fによって下方から支持され、一対の側板10の後端10rは、架台部30の後端支持部31rによって下方から支持されている。より具体的には、側板10の前端10fに設けられたローラ13の周方向の溝13bが、架台部30の前端支持部31fの上に係合することで、側板10の前端10fが架台部30の前端支持部31fによって下方から支持されている。同様に、側板10の後端10rに設けられたローラ13の周方向の溝13bが、架台部30の後端支持部31rの上に係合することで、側板10の後端10rが架台部30の前端支持部31fによって下方から支持されている。
【0063】
図9は、図8Aに示す調理装置100の駆動部20を伸長させた状態を示す側面図である。次に、調理装置100の一対の駆動部20を上方へ伸長させると、調理容器1の両側に平行に設けられた一対の側板10は、架台部30の前端支持部31fによって下方から支持された前端10fを中心に回転して前方Fへ傾倒し、架台部30の後端支持部31rによって下方から支持されていた後端10rが上方へ持ち上げられる。より詳細には、一対の側板10は、前端支持部31fの下方のローラ34の回転軸34aを中心に回転する。この一対の側板10の前方Fへの傾倒とともに、調理容器1も前方Fへ傾倒する。また、側板10の前端10fは、側板10の前方Fへの傾倒により、架台部30の前端支持部31fから前方Fへ移動して、架台部30の前端支持部31fに臨んで後方Rを向く前端係合溝32fの開口に導入される。一方、側板10の後端10rは、架台部30の後端支持部31rから上方へ持ち上げられて、架台部30から離れる。
【0064】
図10Aは、図9に示す調理装置100の駆動部20を伸長させた状態を示す側面図である。図10Bは、図10Aに示す調理装置100の側板10の前端10fと架台部30の前方F側の上端部の拡大図である。一対の駆動部20をさらに上方へ伸長させると、一対の側板10は、架台部30の前端係合溝32fに係合した前端10fを中心として回転することで、さらに前方Fへ傾倒し、水平に対する傾斜角度が増加する。これにより、調理容器1も、一対の側板10とともに、さらに前方Fへ傾倒する。
【0065】
図11Aは、図10Aに示す調理装置100の駆動部20を伸長させた状態を示す側面図である。図11Bは、図11Aに示す調理装置100の側板10の前端10fと架台部30の前方F側の上端部の拡大図である。架台部30の前端係合溝32fは、前記したように、調理容器1の前方Fへの傾倒時に側板10の前端10fを係合させるように、側板10の前端10fの回転軌跡に沿って下方へ延びている。そのため、調理容器1の前方Fへの傾倒時に、側板10の前端10fは、前端係合溝32fに導入されて係合された後、架台部30の前端支持部31fに隣接するローラ34の回転軸34aを中心に回転しながら、前端係合溝32fに沿って前方Fおよび下方へ移動し、前端係合溝32fの下端に達する。
【0066】
このとき、側板10は、駆動部20の伸長にともなって、架台部30の前端係合溝32fに係合した前端10fを中心としてさらに前方Fへ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに増加する。このように、駆動部20が側板10の中央連結溝14の後端に連結され、側板10の前端10fが架台部30の前端係合溝32fに係合した状態で、駆動部20を上方へ伸長させることで、側板10が設けられた調理容器1を、水平から90度以上の傾斜角度まで前方Fに傾倒させることができる。
【0067】
調理容器1が前方Fへ傾倒した状態からもとの水平な状態まで戻すには、一対の側板10の中央連結溝14に連結された一対の駆動部20の端部を下方へ収縮させる。すると、一対の側板10は、一対の駆動部20の収縮にともなって、架台部30の前端係合溝32fに係合した前端10fを中心として回転し、水平に対する傾斜角度が減少する。このとき、架台部30の前端係合溝32fに係合した側板10の前端10fは、架台部30の前端支持部31fに隣接するローラ34の回転軸34aを中心に回転しながら、前端係合溝32fの下端から前端係合溝32fに沿って後方Rおよび上方へ移動する。また、側板10の後端10rは、上方へ持ち上げられて架台部30から離れた位置から、下方へ移動して架台部30に近づく。
【0068】
側板10の中央連結溝14の後端に連結された一対の駆動部20の端部をさらに下方へ収縮させると、一対の側板10は、架台部30の前端係合溝32fに係合された前端10fを中心として後方Rへ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに減少する。一対の側板10が水平になると、一対の側板10の前端10fは、架台部30の前端係合溝32fの開口から後方Rに移動して架台部30の前端支持部31fによって下方から支持され、一対の側板10の後端10rは、架台部30の上方の位置から下降して、架台部30の後端支持部31rによって下方から支持される。これにより、調理容器1が傾倒していない、もとの状態に戻る。
【0069】
一方、調理容器1を後方Rに傾倒させるには、まず、一対の側板10の中央連結溝14に移動可能に連結された駆動部20を、図1に示すように、一対の中央連結溝14に沿って前方Fへ移動させる。たとえば、図1に示すように、駆動部20にレバー23が設けられている場合には、このレバー23の下端部を把持して後方Rおよび上方へ移動させ、駆動部20の下端部を軸支する回転軸21を中心に駆動部20を回動させる。
【0070】
これにより、側板10に連結された駆動部20の端部は、側板10の中央連結溝14の前端に移動するとともに、側板10に対して回動する。その結果、一対の駆動部20は、鉛直方向に対して所定の角度で前方Fへ傾斜した状態になる。なお、側板10の中央連結溝14に沿う駆動部20の移動は、前述のように、油圧機構によって自動的に行うようにしてもよい
【0071】
本実施形態の調理装置100の傾倒機構50において、調理容器1を前方Fに傾倒させるための構成と、調理容器1を後方Rに傾倒させるための構成は、図1および図2に示す中心線C1,C2に線対称である。そのため、以下に説明する調理装置100の傾倒機構50によって調理容器1を後方Rに傾倒させる動作については、図8B図8C図9図10A図10Bおよび図11Bを援用し、図示を省略する。
【0072】
図1に示すように、一対の駆動部20が側板10の中央連結溝14の前端に移動した状態で、一対の駆動部20を上方へ伸長させると、調理容器1の両側に平行に設けられた一対の側板10は、架台部30の後端支持部31rによって下方から支持された後端10rを中心に回転して後方Rへ傾倒し、架台部30の前端支持部31fによって下方から支持されていた前端10fが上方へ持ち上げられる。より詳細には、一対の側板10は、後端支持部31rの下方のローラ34の回転軸34aを中心に回転する。この一対の側板10の後方Rへの傾倒とともに、調理容器1も後方Rへ傾倒する。また、側板10の後端10rは、側板10の後方Rへの傾倒により、架台部30の後端支持部31rから後方Rへ移動して、架台部30の後端支持部31rに臨んで前方Fを向く後端係合溝32rの開口に導入される。一方、側板10の前端10fは、架台部30の前端支持部31fから上方へ持ち上げられて、架台部30から離れる。
【0073】
一対の駆動部20をさらに上方へ伸長させると、一対の側板10は、架台部30の後端係合溝32rに係合した後端10rを中心として回転することで、さらに後方Rへ傾倒し、水平に対する傾斜角度が増加する。これにより、調理容器1も、一対の側板10とともに、さらに後方Rへ傾倒する。ここで、架台部30の後端係合溝32rは、前記したように、調理容器1の後方Rへの傾倒時に側板10の後端10rを係合させるように、側板10の後端10rの回転軌跡に沿って下方へ延びている。
【0074】
そのため、調理容器1の後方Rへの傾倒時に、側板10の後端10rは、後端係合溝32rに導入されて係合された後、架台部30の後端支持部31rに隣接するローラ34の回転軸34aを中心に回転しながら、後端係合溝32rに沿って後方Rおよび下方へ移動し、後端係合溝32rの下端に達する。このとき、側板10は、駆動部20の伸長にともなって、架台部30の後端係合溝32rに係合した後端10rを中心としてさらに後方Rへ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに増加する。
【0075】
図12は、図1に示す調理容器1が後方Rに90度の傾斜角度で傾倒した状態を示す側面図である。このように、駆動部20が側板10の中央連結溝14の前端10fに連結され、側板10の後端10rが架台部30の後端係合溝32rに係合した状態で、駆動部20を上方へ伸長させることで、側板10が設けられた調理容器1を、水平から90度以上の傾斜角度まで後方Rに傾倒させることができる。
【0076】
調理容器1が後方Rへ傾倒した状態からもとの水平状態まで戻すには、一対の側板10の中央連結溝14に連結された一対の駆動部20の端部を下方へ収縮させる。すると、一対の側板10は、一対の駆動部20の収縮にともなって、架台部30の後端係合溝32rに係合した後端10rを中心として回転し、水平に対する傾斜角度が減少する。このとき、架台部30の後端係合溝32rに係合した側板10の後端10rは、架台部30の後端支持部31rに隣接するローラ34の回転軸34aを中心に回転しながら、後端係合溝32rの下端から後端係合溝32rに沿って前方Fおよび上方へ移動する。また、側板10の前端10fは、上方へ持ち上げられて架台部30から離れた位置から、下方へ移動して架台部30に近づく。
【0077】
側板10の中央連結溝14の前端に連結された一対の駆動部20の端部をさらに下方へ収縮させると、一対の側板10は、架台部30の後端係合溝32rに係合された後端10rを中心として後方Rへ回転し、水平に対する傾斜角度がさらに減少する。一対の側板10が水平になると、一対の側板10の後端10rは、架台部30の後端係合溝32rの開口から前方Fに移動して架台部30の後端支持部31rによって下方から支持され、一対の側板10の前端10fは、架台部30の上方の位置から下降して、架台部30の前端支持部31fによって下方から支持される。これにより、調理容器1が傾倒していないもとの状態に戻る。
【0078】
以上のように、本実施形態の調理装置100は、調理容器1の前方Fまたは後方Rへの傾倒時に、一対の側板10の中央連結溝14に移動可能に連結された一対の駆動部20を、後方Rまたは前方Fに移動させることで、調理容器1を傾倒させる方向を切り替えることができる。したがって、調理容器1の両側に設けられた一対の駆動部20によって調理容器1を傾倒させることができ、調理容器1の片側の駆動部20だけで調理容器1を傾倒させる場合と比較して、個々の駆動部20の出力を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態の調理装置100は、調理容器1の前方Fまたは後方Rへの傾倒時に、側板10の前端10fまたは後端10rが、架台部30の前端係合溝32fまたは後端係合溝32rに係合することで、調理容器1が架台部30から脱落することが防止される。また、架台部30の前端係合溝32fまたは後端係合溝32rに係合した側板10の前端10fまたは後端10rと反対側の側板10の後端10rまたは前端10fは、架台部30の後端支持部31rまたは前端支持部31fによって下方から支持された状態から自由に上方へ移動し、架台部30から離れる。したがって、従来のような複雑な構成の第1軸支持部および第2軸支持部を設ける必要がなく、調理容器1を前後に傾倒させる機構を単純化することができる。
【0080】
また、本実施形態の調理装置100は、調理容器1の前方Fまたは後方Rへの傾倒時に、調理容器1の下端が、調理容器1が傾倒していない状態よりも低くなることがない。これにより、調理容器1の下方に十分なスペースを確保し、調理容器1の高さを必要以上に高くすることなく、架台部30の下方に、調理容器1の重量を測定する重量計を設置することが可能になる。したがって、重量計によって調理容器1内の食材の重量を正確に計量することができ、食材の均一な調理が可能になる。
【0081】
また、本実施形態の調理装置100は、調理容器1の前方Fまたは後方Rへの傾倒時に、調理容器1の開口部1aの下端の位置を、調理容器1が傾倒していない状態の開口部1aの位置よりも低くすることができる。これにより、たとえば、直径が600mmから1200mm程度の比較的に大きく、開口部1aの位置が比較的に高い位置になりやすい調理容器1に対する食材の投入、調理中の食材の芯温検査、食材の取り出しなどの作業を容易にすることができる。
【0082】
本実施形態の調理装置100において、駆動部20は、鉛直方向に沿って配置されたシリンダーであり、下端部が架台部30の方向の中央部に回動可能に軸支され、上端部が中央連結溝14に回動可能に係合して上方へ伸長可能に設けられている。これにより、前述のように、一対の駆動部20を一対の側板10の中央連結溝14に沿って前後へ移動させると、駆動部20が下端部を軸支する回転軸21を中心に回動して鉛直方向に対して所定の角度で前後へ傾斜する。また、駆動部20の上端部を上方へ伸長させることで、前述のように、調理容器1を前後へ傾倒させることができる。
【0083】
本実施形態の調理装置100において、駆動部20は、上端部に側板10の中央連結溝14に係合するローラ22を有している。これにより、駆動部20の上端部のローラ22を介して駆動部20を側板10に連結し、駆動部20を側板10に対して回動可能かつ中央連結溝14に沿って移動可能に連結することができる。
【0084】
本実施形態の調理装置100において、側板10は、前端10fと後端10rに、それぞれ、架台部30の前端係合溝32fと後端係合溝32rに係合するローラ13,13を有している。これにより、側板10の前端10fと後端10rを、それぞれ、架台部30の前端係合溝32fと後端係合溝32rに沿って移動しやすくすることができる。
【0085】
本実施形態の調理装置100において、側板10は、前端10fと後端10rに、それぞれ、前端ガイド部11fと後端ガイド部11rを有している。前端ガイド部11fは、調理容器1の後方Rへの傾倒時における側板10の前端10fの回転軌跡に沿って延在している。後端ガイド部11rは、調理容器1の前方Fへの傾倒時における側板10の後端10rの回転軌跡に沿って延在している。これにより、調理容器1の前方Fへの傾倒時に側板10の後端ガイド部11rを架台部30によって案内し、調理容器1の後方Rへの傾倒時に側板10の前端ガイド部11fを架台部30によって案内することで、調理容器1の両側の一対の側板10を安定させ、調理容器1を安定させることができる。
【0086】
本実施形態の調理装置100において、架台部30は、前端支持部31fの下方と後端支持部31rの下方に、それぞれ、側板10の前端ガイド部11fに係合するローラ34と後端ガイド部11rと係合するローラ34を有している。これにより、調理容器1の前方Fへの傾倒時に側板10の後端ガイド部11rを架台部30の後端支持部31rの下方のローラ34によって案内し、調理容器1の後方Rへの傾倒時に側板10の前端ガイド部11fを架台部30の前端支持部31fの下方のローラ34によって案内することができる。
【0087】
本実施形態の調理装置100において、側板10の前端ガイド部11fの先端と、架台部30の前端支持部31fの下方のローラ34に、近接スイッチが設けられている場合には、より安全性を向上させることができる。より具体的には、調理容器1の後方Rへの傾倒時に、側板10の前端10fが上昇して前端ガイド部11fの先端が架台部30の前端支持部31fの下方のローラ34から離れたときに、近接スイッチによって駆動部20の伸長を停止させることができる。
【0088】
本実施形態の調理装置100において、側板10の前端ガイド部11fの先端と、架台部30の後端支持部31rの下方のローラ34に、近接スイッチが設けられている場合には、より安全性を向上させることができる。より具体的には、調理容器1の前方Fへの傾倒時に、側板10の後端10rが上昇して後端ガイド部11rの先端が架台部30の後端支持部31rの下方のローラ34から離れたときに、近接スイッチによって駆動部20の伸長を停止させることができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、調理容器1を傾倒させる駆動部20の出力を低減させ、調理容器1を前後に傾倒させる傾倒機構50を単純化することができる調理装置100を提供することができる。
【0090】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0091】
図13は、図1に示す調理装置100の変形例を示す側面図である。この変形例の調理装置100Aは、側板10の中央連結溝14が、長孔状ではなく、凹状の切欠きによって形成されている点で、前述の実施形態の調理装置100と異なっている。この変形例の調理装置100のその他の点は、前述の実施形態の調理装置100と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して、説明を省略する。この変形例の調理装置100によっても、前述の実施形態の調理装置100と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 調理容器
10 側板
10f 前端
10r 後端
11f 前端ガイド部
11r 後端ガイド部
13 ローラ
14 中央連結溝
20 駆動部
22 ローラ
30 架台部
31f 前端支持部
31r 後端支持部
32f 前端係合溝
32r 後端係合溝
34 ローラ
50 傾倒機構
100 調理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13