【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0039】
〔実施例1〕 GUS変異体発現ベクターの構築
GUS遺伝子に、
図1Aに示す方法で変異を導入した。用いたプライマーの配列(5’-3’)を
図1Bに示す。具体的にまずプライマーa(配列番号3)及びプライマーd(配列番号6)を用いて、GUS遺伝子の5’側をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって増幅した。また、プライマーc(配列番号5)とプライマーb(配列番号4)を用いて、GUS遺伝子の3’側をPCRで増幅した。プライマーcとdには、導入するアミノ酸変異のコドン配列が含まれる。その後、両PCR産物をテンプレートにしてプライマーaとbを用いてSplice Overlap Extension PCRを行い、GUS変異体(以下、このGUS変異体を「GUSm」と記載する場合がある。)の遺伝子を構築した。PCRはKOD-Plus-Neo ポリメラーゼを用いて、まず94℃で2分間インキュベートしてDNAを変性させ、その後、94℃ 30秒、55℃30秒、68℃1分間のサイクルを30回行い、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅したDNAサンプルを確認した。その結果を
図2に示す。レーン 1は変異導入前のGUS遺伝子をテンプレートにしてプライマーaとbを用いて増幅したものであり、レーン 2は変異導入GUS遺伝子5’断片、 レーン 3は変異導入GUS遺伝子3’断片、 また レーン 4は変異体GUS遺伝子増幅産物である。発現ベクターに入れるため、GUS遺伝子の5’と3’側には制限酵素NotIとXhoI切断部位を配置した。
【0040】
〔実施例2〕 GUS変異体発現ベクターの構築
実施例1で作製したGUS遺伝子および変異体遺伝子を発現ベクターにクローニングした。まず増幅したGUS遺伝子DNAを制限酵素NotIおよびXhoIで消化した。一方、高親和性抗NP (4-hydroxy-3-nitrophenyl acetic acid:分子量198)抗体可変領域をコードする大腸菌発現ベクターpET-VH(NP)-Rluc及びpET-VL(NP)-(G3S)3-EYFP(非特許文献1)をそれぞれNotIとXhoIで処理し、アガロースゲル電気泳動で確認を行った。結果を
図3に示す。レーン Mは分子量マーカーであり、 レーン 1と2は制限酵素処理後と前のGUS変異体遺伝子を示す。レーン 3と4は制限酵素処理後と前のpET-VH(NP)-Rlucベクター、レーン 5と6は制限酵素処理後と前のpET32-VL(NP)-(G4S)3-EYFPベクターである。アガロースゲル電気泳動の後、分離したDNA断片を切り出し、精製を行い、T4リガーゼを用いて、制限酵素処理した遺伝子とプラスミドを連結し、発現ベクターpET32-VH(NP)-GUSm 及び pET32-VL(NP)-(G4S)3-GUSmを作製した。
【0041】
〔実施例3〕 VH(NP)遺伝子と変異体GUS遺伝子間への(G
4S)
3リンカーの挿入
実施例2で構築したpET32-VH(NP)-GUSmに(G
4S)
3リンカー配列を挿入するため(
図4A)、以下の遺伝子操作を行った。具体的には、まずプライマーe (TCC
AAGCTTGCGGCCGGTGGATCCGGT)(配列番号7)とプライマーf (CGTAACATA
GCGGCCGCGCTACCGCCACCGCCGG) (配列番号8)を用いて、pET-VL(NP)-(G3S)3-EYFPをテンプレートにGSリンカー遺伝子を増幅した。PCRはKOD-Plus-Neo ポリメラーゼを用いて、まず94℃で2分間インキュベートしDNAを変性させた。その後、94℃ 30秒、55℃30秒、68℃1分の反応を30サイクル行い、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅したDNAサンプルを確認した。その結果を
図4Bに示す。増幅したGSリンカー遺伝子断片をHindIII/NotIで処理して、同じ酵素セットで処理したベクター(
図4C)とT4リガーゼで連結して、pET32-VH(NP)-(G4S)3-GUSmを構築した。
【0042】
〔実施例4〕 V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSm及びV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmの発現
pET32-VH(NP)-(G4S)3-GUSm及びpET32-VL(NP)-(G4S)3-GUSmを用いて、大腸菌 SHuffle T7 lysYを形質転換した。その後、プラスミドを保持した大腸菌を500 mlのLBA培地(10 g/L トリプトン、5g/L 酵母、5g/L NaCl、100 μg/mLアンピシリン)で30℃でOD
600が0.6となるまで培養した後、0.5 mM IPTGを添加し、16℃でさらに16時間培養した。遠心分離によって集菌した後、超音波破砕機により大腸菌を破砕し、菌体ライセートを調製した。発現誘導前後の大腸菌をサンプリングして、SDS-PAGEで分析した。結果を
図5に示す。レーン Mはタンパク質分子量マーカーであり、レーン 1は発現誘導する前の細胞内全タンパク質、レーン 2は発現誘導後の細胞内全タンパク質である。矢印は目的タンパク質を示す。
【0043】
〔実施例5〕 V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSm及びV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmの精製
40 mlのExtraction buffer(50 mM リン酸ナトリウム, 300 mM 塩化ナトリウム, pH 7.0)に懸濁した大腸菌をソニケーターによって破砕した後、1000 g、20分遠心を行い、上清を集め、固定化金属アフィニティクロマトグラフィーにより精製を行った。具体的には適量のTALON (宝バイオ,Clontech社)アガロースゲルを上清に加えて、2時間撹拌した。その後カラムに移して10 mlのExtraction bufferで3回洗浄を行い、2.5 mlの150 mMのイミダゾールを含むExtraction bufferを用いてゲルに結合したタンパク質を溶出した。精製過程の各段階でサンプリングして、SDS-PAGEによって分析を行った。その結果を
図6Aに示す。レーン Mは分子量マーカー、レーン 1-5はV
H(NP)-(G
4S)
3-GUS変異体を示す。レーン 1は不溶性画分、レーン 2は可溶性画分、レーン 3はフロースルー、レーン 4, 5は溶出したタンパク質である。またレーン 6-10はV
L(NP)-(G
4S)
3-GUS変異体を示す。レーン 6は不溶性画分を示し、レーン 7は可溶性画分、レーン 8はフロースルー、レーン 9, 10は溶出したタンパク質である。このように、V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSmではほぼ単一分子量(〜100 kd)のバンドが得られたが、V
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmでは35 kd付近にN末のチオレドキシンタグ(14 kd),V
L(12 kd)とGUS分解産物を含むと思われる夾雑物のバンドがかなり見られた。このため,V
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmについてはこのあと陰イオン交換樹脂を用いた精製を行い、最終的に単一バンドからなるタンパク質を得た。その結果は
図6Bに示す。レーン11は濃縮したTALON精製溶出画分であり、レーン12-15はNaClによる溶出した画分を示す。
【0044】
〔実施例6〕 抗原有無でのGUS活性(吸光度)の経時変化
V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSm及びV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmを137 mM NaCl, 2.7 mM KClを含む10 mMリン酸緩衝液(pH 7.4)にバッファーを交換し、終濃度100 nMとなるよう調製した。ここに終濃度5 μMとなるよう抗原NPを加え、25℃で10分間インキュベートした後、基質4-ニトロフェニルβ-D-グルクロニド(4-NPG,東京化成工業株式会社)を添加して、2分間隔で405 nmでの吸光度を測定した(n = 3)。なおこの際、それぞれのウェルでの655 nmでの吸光度をバックグラウンドとして減じた。その結果を
図7に示す。V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSm、あるいはV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmのみを含んだサンプルにNPを加えた場合、及び各50 nMのV
H(NP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmを含むがNPを加えない場合、28分後の吸光度は僅かしか増加しなかったのに対し、各50 nMのV
H(NP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmにNPを添加した場合に、吸光度すなわちGUS活性は大幅に増加した。
【0045】
〔実施例7〕 抗原濃度とGUS活性(蛍光)応答
各50 nMのV
H(NP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSmを含む溶液に、終濃度が5, 10, 50, 100, 500, 1000, 5000, 10000 nMになるようNPあるいはNIP (5-iodo-NP, NPより約10倍強く抗体に結合する)を添加し、25℃で10分間インキュベートした。その後、蛍光基質4-メチルウンベリフェニル-β-D-グルクロニド(MUG,和光純薬)を加えて、黒色ハーフウェルマイクロプレート中、25℃15分間インキュベートした後、340 nmで励起し480 nmでの蛍光強度を測定した。そして各濃度での蛍光強度に基づくNPおよびNIPの検量線を作成した。
図8に示すように、NPおよびNIP濃度の増加に従い、蛍光強度は徐々に増加し、10μM NIPを添加した場合に、抗原なしの時に比べて蛍光強度が5倍以上に増加した。これに対しNPに対する応答性は低く、10μM NPで2.5倍の蛍光増加に留まった。これは両抗原の本抗体に対する親和性の違い(NP〜5x10
5/M, NIP〜5x10
6/M)を反映していると思われる。
【0046】
〔実施例8〕 GUS変異体発現ベクターの構築
実施例2及び3で構築したpET32-VH(NP)-(G4S)3-GUSm及びpET32-VL(NP)-(G4S)3-GUSm (
図9A)にVH(BGP)及びVL(BGP)遺伝子を挿入するため、以下の操作を行った。まずプライマー a,b (VH(KTM)NcoBack: 5’-ATATGCCATGGATCAAGTAAAGCTGCAGCAGTC-3’ (配列番号9), VH_HindFor: 5’-CCCAAGCTTGCTCGAGAGACGGTGACCGT-3’ (配列番号10)) とプライマー c, d (Vk(KTM)NcoSalBack: 5’-CATGCCATGGGGTCGACGGACATTGAGCTCACCCAG-3’ (配列番号11), Vk_HindFor: 5’-CCCAAGCTTCCGTTTTATTTCCAGCTT-3’ (配列番号12))を用いて、pUQ1H(KTM219) と pMAL-VL(BGP)ΔT をテンプレートにVH(BGP)及びVL(BGP)遺伝子を増幅した。PCRはKOD-Plus-Neo ポリメラーゼを用いて、まず94℃で2分間インキュベートし、DNAを変性させた。その後、94℃ 30秒、55℃30秒、68℃1分の反応を30サイクル行い、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅したDNAサンプルを確認した。その結果を
図9Bに示す。増幅したVH(BGP)及びVL(BGP)遺伝子断片をNcoI/HindIIIで処理して、同じ酵素セットで処理したベクター(
図9C)とT4リガーゼで連結し、pET32-VH(BGP)-(G4S)3-GUSmとpET32-VL(BGP)-(G4S)3-GUSmを構築した。
【0047】
〔実施例9〕 VL(BGP)-(G4S)3-GUSm遺伝子のpRsetSAプラスミドへの挿入
VL(BGP)-(G4S)3-GUSmのN-terminalにアミロイド前駆体タンパク質由来可溶化タグ配列APP hyper acidic regionを付加するため、以下の操作を行った(
図10A)。プライマーe (VLBGPback_to_pRSETSA(Bam): 5’- GGAGGAGGTGGGATCCATGGGGTCGACGGACATTG -3’ (配列番号13))とプライマーf (GUSmutXhoFor_to_pRSETSA(Hd): 5’- CAGCCGGATCAAGCTCTCGAGTAGTCATTGTTTGC-3’ (配列番号14))を用いて、実施例8で構築したpET32-VL(BGP)-(G4S)3-GUSmをテンプレートにVL(BGP)-(G4S)3-GUSmを増幅した。PCRはKOD-Plus-Neo ポリメラーゼを用いて、まず94℃で2分間インキュベートし、DNAを変性させた。その後、94℃ 30秒、55℃30秒、68℃2分の反応を30サイクル行い、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅したDNAサンプルを確認した。その結果を
図10Cに示す。増幅したVL(BGP)-(G4S)3-GUSmをBamHI及び HindIIIで処理して、同じ酵素セットで処理したpRsetSAプラスミド(
図10B、早稲田大学北口哲也博士より)とT4リガーゼで連結して、pRsetSA-VL(BGP)-(G4S)3-GUSmを構築した。
【0048】
〔実施例10〕 V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSm及びV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmの発現と精製
pET32-VH(BGP)-(G4S)3-GUSm及びpRsetSA-VL(BGP)-(G4S)3-GUSmを用いて、大腸菌 SHuffle T7 lysYを形質転換した。その後、プラスミドを保持した大腸菌を500 mlのLBA培地(10 g/L トリプトン、5g/L 酵母、5g/L NaCl、100 μg/mLアンピシリン)で30℃でOD
600が0.6となるまで培養した後、0.5 mM IPTGを添加し、16℃でさらに16時間培養した。遠心分離によって集菌した後、超音波破砕機により大腸菌を破砕し、菌体ライセートを調製した。発現誘導前後の大腸菌をサンプリングして、SDS-PAGEで分析した。結果を
図11に示す。レーン Mはタンパク質分子量マーカーであり、レーン 1は発現誘導する前の細胞内全タンパク質、レーン 2は発現誘導後の細胞内全タンパク質である。40 mlのExtraction buffer(50 mM リン酸ナトリウム, 300 mM 塩化ナトリウム, pH 7.0)に懸濁した大腸菌をソニケーターによって破砕した後、1000 g、20分遠心を行い、上清を集め、固定化金属アフィニティクロマトグラフィーにより精製を行った。具体的には適量のTALON (宝バイオ,Clontech社)アガロースゲルを上清に加えて、2時間撹拌した。その後カラムに移して10 mlのExtraction bufferで3回洗浄を行い、2.5 mlの150 mMのイミダゾールを含むExtraction bufferを用いてゲルに結合したタンパク質を溶出した。精製過程の各段階でサンプリングして、SDS-PAGEによって分析を行った。その結果を
図11に示す。レーン 3は不溶性画分、レーン 4は可溶性画分、 レーン 5はフロースルー、レーン 6は溶出したタンパク質である。このように、V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmではほぼ単一分子量(〜100 kd)のバンドが得られた。矢印は目的タンパク質を示す。
【0049】
〔実施例11〕 抗原有無でのGUS活性(吸光度)の経時変化
V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmを25 mMリン酸緩衝液(pH 7.4)にバッファーを交換し、終濃度0.1 μMとなるよう調製した。ここに終濃度10μMとなるよう抗原BGP-C7(オステオカルシンのC末端の7残基ペプチド)を加え、25℃で10分間インキュベートした後、基質4-ニトロフェニルβ-D-グルクロニド (4-NPG,東京化成工業株式会社)を添加して、2分間隔で405 nmでの吸光度を測定した(n = 3)。なおこの際、それぞれのウェルでの655 nmでの吸光度をバックグラウンドとして減じた。その結果を
図12に示す。 V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmを含むがBGP-C7を加えない場合、28分後の吸光度は僅かしか増加しなかったのに対し、V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmにBGP-C7を添加した場合に、吸光度すなわちGUS活性は大幅に増加した。
【0050】
〔実施例12〕 抗原濃度とGUS活性応答
V
H(BGP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(BGP)-(G
4S)
3-GUSmを含む溶液に、終濃度が0, 1, 10, 10
2, 10
3, 10
4, 10
5, 10
6 nMになるようBGP-C7を添加し、25℃で10分間インキュベートした。その後、蛍光基質4-メチルウンベリフェニル-β-D-グルクロニド(MUG,和光純薬)を加えて、黒色ハーフウェルマイクロプレート中、25℃15分間インキュベートした後、340 nmで励起し、480 nmでの蛍光強度を測定した。そして各濃度での蛍光強度に基づくBGP-C7の検量線を作成した。また、基質4-NPGを加えて、405 nmでの吸光度を測定した(n = 3)。この際、それぞれのウェルでの655 nmでの吸光度をバックグラウンドとして減じ、そして各濃度での吸光度に基づくBGP-C7の検量線を作成した。
図13に示すように、BGP-C7濃度の増加に従い、蛍光強度及び吸光度は、徐々に増加した。
【0051】
〔実施例13〕 GUS変異体と野生型GUSの活性の比較
実施例5で作製したGUS変異体を含む融合タンパク質(V
H(NP)-(G
4S)
3-GUSmとV
L(NP)-(G
4S)
3-GUSm)及び野生型GUSを含む融合タンパク質(実施例5で作製したGUS変異体を含む融合タンパク質におけるGUS変異体を野生型GUSに置き換えた融合タンパク質)の酵素活性を以下の方法で測定した。
【0052】
両融合タンパク質をPBST buffer中でそれぞれ1μMのNPと混合し、これに1mg/mLの酵素基質(4-ニトロフェニルβ-D-グルクロニド)を加えた。反応速度が安定するまで10分間インキュベートした後、分光光度計(Beckmann DU530)を用いて、405nmの吸光度を15秒ごとに、15分間測定した。GUS変異体を含む融合タンパク質を使用した場合の吸光度の経時変化を
図14に、野生型GUSを含む融合タンパク質を使用した場合の吸光度の経時変化を
図15に示す。図に示すように、GUS変異体を含む融合タンパク質を使用した場合の吸光度変化量は0.0096 (min
-1)、野生型GUSを含む融合タンパク質を使用した場合の吸光度変化量は0.0188 (min
-1)であった。これらの値、反応生成物であるp-ニトロフェノールのモル吸光係数(18.3 mM
-1cm
-1)、及びタンパク質重量などから、ランベルト・ベール法に従って、両融合タンパク質の比活性を算出した。野生型GUSを含む融合タンパク質の比活性は0.55 μmolmin
-1mg
-1であったのに対し、GUS変異体を含む融合タンパク質の比活性は0.043 μmolmin
-1mg
-1であり、野生型GUSを含む融合タンパク質の1/13程度の活性を維持していた。
【0053】
前述したOS-ECIA法などの欠損変異体を用いる方法では、変異体の酵素活性が野生型に比べて著しく低下してしまう問題が指摘されていた。例えば、非特許文献1(T. Yokozeki, H. Ueda, R. Arai, W. Mahoney and T. Nagamune. Anal. Chem. 74, 2500-2504 (2002))には、変異体の活性が野生型の活性の最大でも6.0×10
-3倍(0.6%)に低下してしまうことが記載されており、また、Mohler WA, Blau HM (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 12423-12427には、細胞内での活性を比較して、変異体は野生型に比べ25-200倍弱いと記載されている。
【0054】
このような従来法における変異体の活性の低さを考慮すれば、GUS変異体を含む融合タンパク質が示した上述の活性は非常に高いものである。
【0055】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。