【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としてのパチンコ機1の正面図であり、
図2は、パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図であり、
図3は、センター役物ユニット40の斜視図である。本実施例では、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、当該特別図柄が所定の大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプ(第1種タイプ)の遊技機に本発明を適用した例について説明する。
【0018】
[パチンコ機1の外観構成]
本実施例のパチンコ機1は、
図1に示すように、前面枠(ガラス枠)3に嵌め込まれたガラス板(透明板)4を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤20と、遊技球を貯留する上受け皿11および下受け皿12と、上受け皿11に貯留されている遊技球を遊技盤20へ発射するための発射ハンドル13と、を備える。本実施例のパチンコ機1は、プリペイドカードに対応したCR機であり、当該パチンコ機1の左側には、プリペイドカードの読み書きを行なうためのCRユニット50が設けられている。
【0019】
前面枠3は、内枠5に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として内枠5に対して開閉可能となっている。また、内枠5は、外枠2に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として外枠2に対して開閉可能となっている。前面枠3と内枠5は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。一方、外枠2は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、遊技ホールの島設備の島枠に固定される。
【0020】
前面枠3の上部左右には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に対して注意喚起するための警告音を鳴らしたりするスピーカ14が設けられている。また、前面枠3には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(ランプ)15が複数設けられている。
【0021】
上受け皿11には賞球や貸球が払い出されるようになっている。上受け皿11の上面右部には、CRユニット50に挿入されたプリペイドカードの残高等を表示する精算表示装置52が配設され、当該精算表示装置52には、遊技球の貸し出しを指示する球貸ボタン53と、CRユニット50に挿入されているプリペイドカードの精算(返却)を指示する精算ボタン54と、が設けられている。また、上受け皿11の上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行なうための演出ボタン16と、上下左右の操作を行なうための十字ボタン17とが配設されている。下受け皿12は上受け皿11から溢れた球を受けることができるようになっている。
【0022】
発射ハンドル13は、下受け皿12の右方に設けられており、遊技者により時計回りに回動操作されると、図示しない発射装置が作動し、発射ハンドル13の回動操作量に応じた発射威力で遊技球を1球ずつ遊技盤20へ向けて打ち出す。
【0023】
[遊技盤20の構成]
遊技盤20は、
図2に示すように、外レール21aと内レール21bとによって囲まれる遊技領域21が形成されている。この遊技盤20は、遊技領域21の略中央部に設けられ遊技球の流入口やワープ通路,ステージ等を含むセンター役物ユニット40と、センター役物ユニット40の右方に配置された普通図柄作動ゲート22と、センター役物ユニット40の下方に配置された常時開放の第1始動口23と、普通図柄作動ゲート22の下方に配置された開閉式の第2始動口24と、遊技領域21の下部に配置された大入賞口25と、遊技領域21の左下部に配置された常時開放の普通入賞口26と、何れの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口29と、を備える。また、遊技盤20には、遊技領域21を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする多数の釘21cが植設されており、
図2ではそれらの一部を図示した。
【0024】
第2始動口24は、普通電動役物として構成される可変式の入球口であり、左右一対の開閉羽根(開閉部材)24aを備える。この第2始動口24は、通常は、開閉羽根24aが直立して遊技球の入球が困難な通常状態とされており、普通図柄が当り図柄で停止表示されて当り遊技(普通図柄当り遊技)が実行されるときに、図示しない第2始動口ソレノイドによって開閉羽根24aが左右に開くことにより、遊技球の入球が容易な開放状態とされる。
【0025】
大入賞口25は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、開閉板(開閉部材)25aを備える。この大入賞口25は、通常は、開閉板25aによって塞がれて遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、特別図柄が大当り図柄で停止表示されて大当り遊技が実行されるときに、図示しない大入賞口ソレノイドによって開閉板25aが手前に開くことにより、遊技球の入球が可能な開放状態とされる。
【0026】
センター役物ユニット40は、
図3に示すように、発射装置により打ち出され遊技領域21を流下した遊技球が入球可能な入球口41と、入球口41から入球した遊技球を下方へと誘導するワープ通路42と、ワープ通路42により誘導された遊技球が転動可能な転動面43aを有するステージ43と、ステージ43上に設けられ複数の球ポケット46が形成されたクルーン45と、ステージ43の前方の略中央から遊技球を遊技領域21へ流出させる特定流出口47と、センター役物ユニット40の略中央に設けられ表示画面上で特別図柄に対応する演出図柄(疑似図柄)の表示(図柄変動演出)などの各種演出を行なう演出図柄表示装置49と、を備える。
図4は、ステージ43の転動面43aの傾斜角度αを示す説明図であり、
図5は、ステージ43上のクルーン45の概略構成図であり、
図6は、クルーン45の
図5におけるA−A断面図であり、
図7は、球ポケット46の底面(傾斜面)46aの傾斜角度βを示す説明図である。
【0027】
ワープ通路42は、ワープ出口42aがステージ43の左側奥(後方)に設けられおり、誘導した遊技球をワープ出口42aからステージ43の奥側に排出する。ステージ43は、ユニットフレーム40aに固定された状態で、奥から手前に向かって緩やかに下るように傾斜角度α(
図4参照)で傾斜している。このため、ステージ43に排出され転動面43aを転動する遊技球は、手前(前方)に向かって流下する。特定流出口47は、ステージ43の前方の略中央に設けられているが、ステージ43は、特定流出口47以外の部分からも遊技球を前方に流出可能となっている。このため、転動面43aを転動する遊技球は、ステージ43の前方から流出して遊技領域21に戻ることになる。特定流出口47は、第1始動口23の真上の位置に設けられており(
図2参照)、特定流出口47から流出して遊技領域21に戻った遊技球は、殆ど全て第1始動口23に入球する。また、特定流出口47以外の部分から流出して遊技領域21に戻った遊技球は、第1始動口23に入球することなく流下してアウト口29に回収される。
【0028】
クルーン45は、外周に径方向内側に凹状に形成され遊技球を1球ずつ受け入れ可能な球ポケット46が等間隔で複数(例えば46(1)〜(4)の4つ)設けられた円盤状の回転体である。クルーン45は、ステージ43の転動面43aに対して略垂直に延びる回転軸45b回りに回転可能であり、クルーンモータ45aの駆動により所定の回転速度で所定方向(
図5の右回り方向)に回転することで各球ポケット46が周方向に沿って回転位置が変化(回転移動)する。各球ポケット46は、径方向内側から径方向外側に向かって傾斜角度βで緩やかに下るように傾斜した底面46aを有する。また、クルーン45は、ワープ通路42のワープ出口42aの手前に配置されており、回転により位置が変化した各球ポケット46が順にワープ出口42aに対向する。クルーン45は、いずれかの球ポケット46がワープ出口42aに対向する位置、例えば
図5の12時近傍に球ポケット46(1)が位置するときにワープ出口42aから排出された遊技球を球ポケット46(1)で受け入れ、受け入れた遊技球を底面46aと内壁面とで保持する(
図4参照)。また、クルーン45が回転し当該球ポケット46が、例えば
図5の4時近傍の位置などの所定の回転位置まで移動すると、底面46aによる遊技球の保持力(摩擦力)よりも底面46aの傾斜に沿って遊技球に生じる重力が大きくなって、遊技球は径方向外側に向かって底面46aを転動し、球ポケット46から転動面43aに送り出される。
【0029】
本実施例では、4つの球ポケット46(1)〜(4)は、径方向内側から外側までの底面46aの距離(奥行き)が同じで、底面46aの各傾斜角度β1〜β4が異なるように構成されている。各傾斜角度β1〜β4は、
図7に示すように、小さい方から順に傾斜角度β1,β2,β3,β4となっている。なお、
図6では、傾斜角度β2,β4を示す。各傾斜角度β1〜β4が異なるから、各球ポケット46(1)〜(4)は、底面46aの傾斜に沿って遊技球に生じる重力が異なるものとなる。また、各球ポケット46(1)〜(4)は、底面46aの奥行きが同じで傾斜角度β1〜β4が異なるから、遊技球の保持位置の高さが異なり、保持する遊技球の位置エネルギに差が生じるものとなる。これらのことから、各球ポケット46(1)〜(4)で受け入れた遊技球を転動面43aに送り出す際の遊技球の速度(送出速度)が異なることになる。このように、底面46aの各傾斜角度β1〜β4が異なる理由は後述する。
【0030】
[パチンコ機1の遊技の概要]
次に、こうして構成されたパチンコ機1における遊技の概要について説明する。本実施例のパチンコ機1では、通常状態では、主に第1始動口23に遊技球を入球させて遊技を進行し、通常状態よりも第2始動口24への遊技球の入球可能性が高い特定状態(いわゆる時短状態、開放延長状態)では、主に第2始動口24に遊技球を入球させて遊技を進行する。遊技者による発射ハンドル13の回動操作によって遊技球が遊技領域21へ発射され、遊技球がセンター役物ユニット40の入球口41に流入すると、ワープ通路42を通って遊技球がステージ43の転動面43aまで流下する。その遊技球がクルーン45の球ポケット46に受け入れられると、クルーン45の回転により当該球ポケット46から遊技球が特定流出口47に向かうように転動面43aに送り出される。そして、遊技球が、クルーン45の右側且つ手前(前方)に設けられた特定流出口47から流出して遊技領域21に戻ると、殆ど全て第1始動口23に入球する。また、遊技球が特定流出口47以外の部分から流出して遊技領域21に戻ると、第1始動口23に入球することなく流下してアウト口29に回収される。
【0031】
第1始動口23に遊技球が入球すると、第1特別図柄の変動表示が開始される。そして、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当りとなり、大入賞口25が開放される大当り遊技が実行される。このため、第1始動口23は、遊技者に有利な遊技状態への移行の起因を発生させるものといえる。大入賞口25は第1始動口23の下方に位置しており、大当り遊技が実行されると、遊技者は左打ちすることにより大入賞口25に遊技球を入球させることができる。なお、遊技者は遊技球を遊技領域21の右側領域に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる右打ち)することによっても大入賞口25に遊技球を入球させることができる。大当り遊技終了後は、大当り図柄に応じて通常状態や特定状態が設定される。なお、特定状態では、特別図柄の大当り確率が通常状態よりも高確率とされてもよい(確変状態)。特定状態になると、遊技者は第2始動口24に遊技球が入球するように右打ちを行なう。第2始動口24に遊技球が入球すると、第2特別図柄の変動表示が開始される。そして、第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当りとなり、大当り遊技が実行される。このため、第2始動口24も、遊技者に有利な遊技状態への移行の起因を発生させるものといえる。
【0032】
[パチンコ機1の設置状態]
次に、パチンコ機1が遊技ホールの島設備に設置される設置状態について説明する。パチンコ機1は、通常は、
図4に示すような傾斜していない鉛直状態ではなく、所定の角度範囲内で前後方向に任意の傾斜角度をもったいわゆるネカセ(ネカセ状態)で設置される。
図8は、パチンコ機1のネカセ状態の一例を示す説明図である。図示するように、パチンコ機1は、通常は上部が後方へ任意の傾斜角度γで傾いたネカセとされる。これは、遊技領域21を流下する遊技球がガラス板4に衝突するのを抑制するためである。このため、転動面43aの傾斜は、実際の設置状態ではネカセによって傾斜角度αと異なる角度となり、通常のネカセでは傾斜角度αよりも小さい角度となることが多い。したがって、転動面43aを転動する遊技球に転動面43aの斜面方向に作用する重力や、球ポケット46内の遊技球に底面46aの斜面方向に作用する重力が設計よりも小さくなり易いものとなる。このため、重力による遊技球の加速度が小さくなるから、球ポケット46から送り出される際の遊技球の速度(勢い)や転動面43aを転動する際の遊技球の速度に影響が生じて速度が小さくなる傾向となる。勿論、パチンコ機1の上部が前方へ傾いたネカセとされている場合など、速度が大きくなる場合もある。
【0033】
図9は、球ポケット46から送り出される遊技球の移動軌跡の一例を示す説明図である。
図9では、例えば球ポケット46(1)で遊技球を受け入れて(
図5参照)、クルーン45の回転による変位によって、受け入れた遊技球を球ポケット46(1)から転動面43aに送り出す様子を示す。図示するように、球ポケット46から送り出された遊技球は、本来は移動軌跡S0に沿うように、クルーン45の右側且つ手前(前方)に設けられた特定流出口47に向かって移動して、特定流出口47に入球する可能性が高いことが望まれる。しかし、上述したように、パチンコ機1のネカセの傾斜角度γによって、遊技球の速度に影響が生じる。その影響が比較的小さければ、球ポケット46から送り出された遊技球は移動軌跡S1またはS2に沿うように移動し、その影響が比較的大きければ、球ポケット46から送り出された遊技球は移動軌跡S3またはS4に沿うように移動する。特に、パチンコ機1の上部が後方側に傾斜するネカセの場合、転動面43aの角度が傾斜角度αよりも小さくなってパチンコ機1の前後方向における遊技球の加速度(速度)が小さくなり易いから、移動軌跡S1やS3に沿う場合が多いものといえる。
【0034】
ここで、クルーン45の各球ポケット46(1)〜(4)の底面46aの傾斜角度βを同じ角度(共通の角度)としていると、いずれの球ポケット46から送り出される遊技球にも同じ影響が生じて同じ速度で送り出されることになる。このため、ネカセの傾斜角度γによっては、いずれの球ポケット46から遊技球が送り出された場合も、移動軌跡S0に沿った軌跡とはならずに移動軌跡S3となったりするなど、遊技球が特定流出口47に適切に誘導されないものとなる。そうなると、遊技球が特定流出口47を経て第1始動口23に入球する可能性が大きく低下し、第1特別図柄を主体とする遊技の進行が阻害されて遊技興趣が損なわれることになる。
【0035】
そこで、本実施例では、底面46aの傾斜角度βを異なる角度とし、送り出す遊技球の速度を異なるものとすることで、ネカセの傾斜角度γに応じて特定流出口47へ入球し易い球ポケット46(1)〜(4)を変化させているのである。
図10は、ネカセ状態と遊技球が入球しやすい球ポケット46との関係の一例を示す説明図である。
図10の傾斜角度γとしては、パチンコ機1の上部が後方へ傾く通常のネカセにおける角度範囲のうち、最も小さい角度γ1、比較的小さい角度γ2、比較的大きい角度γ3、最も大きい角度γ4を例示する。本実施例では、ネカセが角度γ1の場合に、球ポケット46(1)から送り出された遊技球が最も移動軌跡S0に沿うように移動して特定流出口47(第1始動口23)へ入球し易くなるように、球ポケット46(1)の傾斜角度β1を定めた。また、ネカセが角度γ2の場合に、球ポケット46(2)から送り出された遊技球が最も移動軌跡S0に沿うように移動して特定流出口47へ入球し易くなるように、球ポケット46(2)の傾斜角度β2を定めた。さらに、ネカセが角度γ3の場合に、球ポケット46(3)から送り出された遊技球が最も移動軌跡S0に沿うように移動して特定流出口47へ入球し易くなるように、球ポケット46(3)の傾斜角度β3を定めた。また、ネカセが角度γ4の場合に、球ポケット46(4)から送り出された遊技球が最も移動軌跡S0に沿うように移動して特定流出口47へ入球し易くなるように、球ポケット46(4)の傾斜角度β4を定めた。このように、各球ポケット46(1)〜(4)は、ステージ43の転動面43aに送り出した遊技球が特定流出口47(第1始動口23)へ入球し易い順(入球可能性、入球率が高い順)が、パチンコ機1のネカセの傾斜角度γによって変化するように傾斜角度βが異なる角度とされているのである。これにより、パチンコ機1のネカセの傾斜角度γが所定の角度範囲内のどのような角度であっても、いずれかの球ポケット46から送り出された遊技球が移動軌跡S0に沿うような速度で送り出すことができる。なお、傾斜角度β1〜β4は、パチンコ機1を実際に傾斜角度γ1〜γ4とした状態で実験などにより特定流出口47(第1始動口23)への入球率を確かめたり、シミュレーションにより移動軌跡や入球率を確かめたりすることなどにより、適切な角度に定めることができる。
【0036】
以上説明した実施例のパチンコ機1では、遊技球が転動可能な転動面43aを有するステージ43と、特定流出口47を経て遊技球が入球することで遊技者に有利な遊技状態への移行の起因を発生させる第1始動口23と、遊技球を受け入れると共に受け入れた遊技球を転動面43aに送り出す複数の球ポケット46(1)〜(4)を有するクルーン45と、を備える。また、各球ポケット46(1)〜(4)は、遊技球の送り出しの速度が異なると共にパチンコ機1のネカセの傾斜角度γによって変化するように構成されている。このため、パチンコ機1のネカセがどのような傾斜角度γであっても、球ポケット46(1)〜(4)のいずれかは遊技球を特定流出口47(第1始動口23)に入球させ易くなるから、第1始動口23への入球可能性が大きく損なわれて遊技興趣が低下するのを防止することができる。したがって、パチンコ機1のネカセ状態(傾斜角度γ)に拘わらず適切な遊技性を確保して遊技興趣が損なわれるのを防止することができる。
【0037】
また、各球ポケット46(1)〜(4)はクルーン45の外周面に設けられ、遊技球を受け入れてクルーン45の回転による変位によって遊技球を径方向外側に送り出す際の遊技球の速度が異なるように構成されている。このため、クルーン45に各球ポケット46(1)〜(4)を設けるコンパクトな構成で、特定流出口47(第1始動口23)への遊技球の適切な送り出しを実現することができる。また、クルーン45の回転による一定周期で、ネカセ状態(傾斜角度γ)に適したいずれかの球ポケット46(1)〜(4)が遊技球を受け入れて送り出すから、ネカセ状態に拘わらず、単位時間当たりの特定流出口47(第1始動口23)への遊技球の入球期待度を一定とすることができる。
【0038】
また、各球ポケット46(1)〜(4)は、クルーン45の径方向の内側から外側に向けて下るように傾斜する底面46aを有し、各々の底面46aが異なる傾斜角度βとなるように構成されているから、簡易な構成で特定流出口47(第1始動口23)への入球可能性が大きく低下するのを抑制することができる。
【0039】
実施例では、球ポケット46がクルーン45に4つ設けられるものとしたが、これに限られるものではない。少なくとも、第1の傾斜角度(例えばγ1やγ2)のときに遊技球を特定流出口47に入球させ易い球ポケット46(例えば球ポケット46(1)や46(2))と、第2の傾斜角度(例えばγ3やγ4)のときに遊技球を特定流出口47に入球させ易い球ポケット46(例えば球ポケット46(3)や(4))との組合せなど、2以上の複数の球ポケット46が設けられるものであればよい。
【0040】
実施例では、各球ポケット46の底面46aの傾斜角度βが互いに異なるものとしたが、これに限られず、各球ポケット46から送り出される遊技球の速度が異なるように構成されていればよい。例えば、各球ポケット46の底面46aの面粗度や材質を変えて摩擦係数が異なるものとしてもよいし、各球ポケット46の底面46aを凹凸状に形成するなど表面形状が異なるものとしてもよい。また、底面の傾斜角度βが同じでも球ポケット46の径方向の長さ(奥行き)を変えて、球ポケット46内の遊技球の保持位置(保持高さ)が異なるものとすることで、送り出される遊技球の速度が異なるように構成してもよい。このような底面46aの傾斜角度や摩擦係数、表面形状、奥行きのいずれか1つが異なる構成に限られず、2以上が異なる構成としてもよい。あるいは、底面46aだけでなく側面の摩擦係数や表面形状などが異なることで、各球ポケット46から送り出される遊技球の速度が異なる構成としてもよい。
【0041】
実施例では、各球ポケット46(1)〜(4)から遊技球が送り出される際の遊技球の速度が異なるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、各球ポケット46から遊技球が送り出される際の遊技球の送り出しの方向が異なるものとしてもよい他、送り出しの位置などが異なるものとしてもよい。このように、遊技球の送り出しの速度や方向の少なくともいずれかを含む送り出しの態様が異なると、送り出された遊技球の移動軌跡が異なることから、ネカセの傾斜角度γによって遊技球の特定流出口47への向かい易さ即ち入球し易さを変化させることができる。
【0042】
実施例では、送出手段としての球ポケット46がクルーン45に凹状に設けられるものとしたが、これに限られず、遊技球をステージ43の転動面43aに送り出すものであれば如何なる構成としてもよい。例えば、ワープ出口42aから排出された遊技球がクルーン45の中心に到達すると共に、到達した遊技球をいずれかの球ポケット46から送り出すように構成してもよい。あるいは、複数の送出部として、遊技球を1球ずつ収容(受け入れ)可能でベルトコンベアに取り付けられた複数の収容部を備え、各収容部がベルトコンベアにより移動しながら傾いたりすることで遊技球を転動面43aに送り出すものとしてもよい。そのようにする場合、遊技球を送り出す際に収容部内で遊技球と接触する接触面における傾斜角度や摩擦係数、表面形状などを異なる構成とすればよい。また、複数の送出部が、受け入れた遊技球にバネなどによる付勢力を付与して送り出すものとしてもよい。そのようにする場合、複数の送出部が付与可能な付勢力が互いに異なる構成とすればよい。また、複数の送出部が、受け入れた遊技球を磁力により保持すると共に磁力を超える斜面方向の重力が遊技球に作用すると遊技球を送り出すものなどとしてもよい。そのようにする場合、複数の送出部の磁力が互いに異なる構成とすればよい。
【0043】
実施例では、ステージ43の転動面43aが傾斜角度αで傾斜しているものとしたが、これに限られず、転動面43aが傾斜していない水平面であってもよい。なお、このようにしても、パチンコ機1のネカセによって転動面43aが傾斜することになる。
【0044】
実施例では、第1始動口23の真上に設けられた特定流出口47を例示したが、これに限られず、特定流出口47が始動口(第1始動口や第2始動口)として構成されているものとしてもよい。また、特定流出口47は、ステージ43の前方に設けられるものとしたが、これに限られず、特定流出口47がステージ43の後方や側方に設けられるものとしてもよい。例えば、特定流出口47がステージ43の後方に設けられる場合、ステージ43の転動面43aが後方に下るように傾斜すると共にワープ出口42aがステージ43の側方に設けられており、クルーン45の球ポケット46に側方から遊技球が入球してクルーン45が
図5の左回りに回転することで、クルーン45の球ポケット46から送り出された遊技球が後方へ向かうものなどとすればよい。
【0045】
実施例では、本発明を第1種タイプのパチンコ機1に適用するものとしたが、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に適用してもよい。なお、1種2種混合タイプのパチンコ機は、通常状態では、左打ちによる第1始動口への遊技球の入球に基づいて大当り(図柄大当り)か否かを抽選するいわゆる1種の遊技性で遊技を進行させ、大当りが発生して時短状態が発生すると、右打ちによる第2始動口への遊技球の入球が容易となり、当該第2始動口への遊技球の入球に基づいて高確率で小当りとなる抽選を行ない、小当りが発生すると、大入賞口を開放する小当り遊技を実行し、開放中の大入賞口に入球した遊技球が当該大入賞口内に設けられた特定領域を通過(役物大当り)すると、大当り遊技を実行する、いわゆる2種の遊技性で遊技を進行させるものである。この場合、小当り遊技で用いる大入賞口をセンター役物ユニット40とし、特定流出口47を特定領域として、ステージ43で転動する遊技球が特定流出口47に入球(通過)すると役物大当りが発生するものなどとすればよい。また、特定流出口47は、固定されているものに限られず、左右方向に所定速度で往復移動するように構成されていてもよい。
【0046】
実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上受け皿11に払い出す構成としたが、いわゆる封入式のパチンコ機であってもよい。封入式のパチンコ機は、内部に封入した遊技球を循環させることにより遊技を行なうものである。また、実施例や変形例のパチンコ機は、いわゆる管理遊技機に適用されてもよい。管理遊技機は、主制御装置への外部からのアクセスを制限するものであり、枠制御装置から主制御装置へは特定情報(遊技の性能に影響を与える情報や、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報)以外を送信可能とし、枠制御装置はCRユニットと接続され、枠制御装置を介してのみ外部と通信可能に構成されたものである。
【0047】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、遊技領域21が「遊技領域」に相当し、ステージ43が「ステージ」に相当し、特定流出口47(第1始動口23)が「特定領域」に相当し、クルーン45の球ポケット46が「送出部」および「凹状部」に相当し、クルーン45が「送出手段」および「回転体」に相当する。また、底面46aが凹状部内の「傾斜面」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。