【実施例1】
【0013】
以下に、本発明の実施例1である充放電試験装置について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の充放電試験装置10の概略図である。
図1では、充放電試験時の様子を示しており、充放電試験装置10に二次電池が接続されている状態を示している。
【0015】
充放電試験装置10は、充電装置20と電子負荷装置30を有している。充電装置20は、電気的な端子として第1の陽極20a及び第1の陰極20bを有する。充電装置20は、いわゆる給電装置として機能し、第1の陽極20aと第1の陰極20bの間で電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを発生させ、当該電気的エネルギーを第1の陽極20a及び第1の陰極20bから出力可能である。
【0016】
電子負荷装置30は、電気的な端子として第2の陽極30a及び第2の陰極30bを有する。電子負荷装置30は、いわゆる電子負荷として機能し、第2の陽極30aと第2の陰極30bの間に入力される電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを消費することが可能である。
【0017】
充電装置20の陽極20aと電子負荷装置30の陽極30aは、陽極接点10aを介して互いに接続されている。また、充電装置20陰極20bと電子負荷装置30の陰極30bは、陰極接点10bを介して互いに接続されている。
【0018】
二次電池40は、陽極が陽極接点10aと接続され、陰極が陰極接点10bに接続されている。二次電池40は、陽極接点10aと陰極接点10bとの間で脱着自在に取り付けられている。
【0019】
充放電制御部50は、充電装置20と負荷装置30に接続され、これらの動作を制御する。具体的には、例えば、充放電制御部50は、充電装置20の電気的出力及び負荷装置30の電気的消費に関する制御を行う。
【0020】
充放電試験装置10は、第1の陽極20aから陽極接点10aまでの間の電流Ic、陽極接点10aから第2の陽極30aまでの間の電流Id、並びに陽極接点10aと陰極接点10bとの間の電流Ib及び電圧Vbを測定可能に構成されている。
【0021】
充放電試験装置10を用いることで、測定された電流Ic、電流Id、電流Ib及び電圧Vbによって、試験中に起きた事象を解析可能である。
【0022】
充電装置20は、例えば、電流Icに基づくフィードバック制御を行うことで、自身の充電動作を制御する。また、負荷装置30は、電流Idに基づくフィードバック制御を行うことで、自身の負荷状態を制御する。
【0023】
充放電試験装置10においては、二次電池40の陽極が陽極接点10aに接続され、陰極が陰極接点10bに接続される。二次電池40は、充電装置20の第1の陽極20aと第1の陰極20bから出力される電気的エネルギー供給を受け、電子負荷装置30の第2の陽極30aと第2の陽極30bに電気的エネルギーを放出する。
【0024】
従って、充電装置20から出力される電気的エネルギーが電子負荷装置30にて消費される電気的エネルギーを上回る場合、二次電池40は充電装置20から出力される電気的エネルギーの余剰エネルギーを自身に蓄える充電動作となる。また、充電装置20から出力される電気的エネルギーが電子負荷装置30にて消費される電気的エネルギーを下回る場合、二次電池40は充電装置20から出力される電気的エネルギーの不足エネルギーを自身に蓄えられた電気的エネルギーから電子負荷装置30へ放電する放電動作となる。
【0025】
上述のように、充放電試験装置10においては、第1の陽極20aと第2の陽極30aとが接続され、その間に陽極接点10aが配されている。言い換えれば、第1の陽極20aと第2の陽極30aとが第1の接続ラインで接続されており、当該第1の接続ラインに陽極接点10aが配されている(接続されている)。また、上述のように、充放電試験装置10においては、第1の陰極20bと第2の陰極30bとが接続され、その間に陰極接点10bが配されている。言い換えれば、第1の陰極20bと第2の陰極30bとが第2の接続ラインで接続されており、当該第2の接続ラインに陰極接点10bが配されている(接続されている)。
【0026】
図2は、本発明の充放電試験装置10のブロック図である。
【0027】
上述のように、充電装置20は、充電装置20の外部へと接続される第1の陽極20aと第1の陰極20bとを有する。また、充電装置20は、充電用電源21と充電用電源コントローラ23を有する。
【0028】
充電用電源21は、電源陽極21a及び電源陰極21bを有している。充電用電源21は、電源陽極21aと電源陰極21bとの間で電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを発生させ、当該電気的エネルギーを電源陽極21a及び電源陰極21bから出力する。電源陽極21aは第1の陽極20aと電気的に接続され、電源陰極21bは第1の陰極20bに電気的に接続されている。従って、充電用電源21は、第1の陽極20aと第1の陰極20bの間で電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを発生させ、当該電気的エネルギーを第1の陽極20a及び第1の陰極20bから出力するともいえる。
【0029】
第1の電流計22は、電源陽極21aと第1の陽極20aとの間に接続されており、電源陽極21aと第1の陽極20aとの間に流れる電流を計測が可能である。言い換えれば、第1の電流計22は、第1の陽極20aから出力されて陽極接点10aに至る電流Ic(
図1参照)を測定可能である。
【0030】
充電用電源コントローラ23は、充電用電源21に接続されており、充電用電源21を制御することで充電用電源21から出力される電気的出力の挙動を制御する。充電用電源コントローラ23は、第1の電流計22に接続されており、第1の電流計22が測定した電流値を取得可能である。充電用電源コントローラ23は、第1の電流計22から取得した電流値に基づいて充電用電源21を制御可能である。
【0031】
上述のように、電子負荷装置30は、電子負荷装置30の外部に接続される第2の陽極30aと第2の陰極30bとを有する。また、電子負荷装置30は、放電用負荷31と放電用負荷コントローラ33を有する。
【0032】
放電用負荷31は、負荷陽極31a及び負荷陰極31bを有している。放電用負荷31は、負荷陽極31a及び負荷陰極31bに印加される電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを消費する。負荷陽極31aは第2の陽極30aと電気的に接続され、負荷陰極31bは第2の陰極30bに電気的に接続されている。従って、放電用負荷31は、第2の陽極30aと第2の陰極30bの間に印加される電圧、電流又は電力等の電気的エネルギーを消費するともいえる。
【0033】
第2の電流計32は、第2の陽極30aと負荷陽極31aとの間に接続されており、第2の陽極30aと負荷陽極31aとの間に流れる電流を計測が可能である。言い換えれば、第2の電流計32は、陽極接点10aから入力されて第2の陽極30aに至る電流Id(
図1参照)を測定可能である。
放電用負荷コントローラ33は、放電用負荷31に接続されており、放電用負荷31を制御することで放電用負荷31において消費される電気的負荷の挙動を制御する。言い換えれば、放電用負荷コントローラ33は、放電用負荷31を制御することで、二次電池40の放電負荷として消費される電気的負荷の挙動を制御する。
【0034】
上述のように、陽極接点10aは、充電装置20の第1の陽極20a及び電子負荷装置30の第2の陽極30aに接続される。
【0035】
陰極接点10bは、充電装置20の第1の陰極20b及び電子負荷装置30の第2の陰極30bに接続される。
【0036】
すなわち、充電装置20及び電子負荷装置30は、第1の陽極20a並びに第2の陽極30a及び第1の陰極20b並びに第2の陰極30bが夫々陽極接点10a及び陰極接点10bを介して互いに接続されている。
【0037】
二次電池40は、陽極が陽極接点10aに接続されており、陰極が陰極接点10bに接続されている。二次電池40は、充電装置20の第1の陽極20aと第1の陰極20bから出力される電気的エネルギー供給を受け、電子負荷装置30の第2の陽極30aと第2の陽極30bに電気的エネルギーを放出する。
【0038】
第3の電流計61は、陽極接点10aと二次電池40の陽極の間に接続されている。すなわち、第3の電流計61は、充放電試験時における二次電池40に入出力される電流Ib(
図1参照)を測定する。なお、第3の電流計61は、二次電池40と陰極接点10bの間に接続されてもよい。この場合でも、上述と同じく二次電池40に入出力される電流Ibを測定可能である。
【0039】
電圧計71は、陽極接点10a及び陰極接点10bに接続されており、陽極接点10aと陰極接点10bの電位差を測定する。すなわち、充放電試験時における二次電池40の二次電池電圧Vb(
図1参照)を測定する。
【0040】
したがって、第3の電流計61が負の値を示しかつ電圧計71(二次電池電圧Vb)が上昇推移を示す場合、二次電池40は充電動作となり、第3の電流計61が正の値を示しかつ電圧計71(二次電池電圧Vb)が下降推移を示す場合、二次電池40は放電動作となる。
【0041】
温度センサ81は、充放電試験時における二次電池40の温度を測定する。
【0042】
データ記録部91には、第1の電流計22、第2の電流計32、第3の電流計61、電圧計71及び温度センサ81の測定値が夫々入力され、充放電試験時における充電電流Ic、放電電流Id、二次電池入出力電流Ib及び二次電池電圧Vbが記録される。データ記録部91においては、例えば、充電電流Ic、放電電流Id、二次電池入出力電流Ib及び二次電池電圧Vbの挙動がタイムチャートの態様で記録される。
【0043】
充放電制御部50は、充放電制御コントローラ51と、データ表示部52及び制御プログラムメモリ部53とを有する。なお、充電制御部50は、充電装置20及び負荷装置30と脱着自在に接続されるパソコン等の端末装置であってもよい。
【0044】
充放電制御コントローラ51は、充電用電源コントローラ23と、放電用負荷コントローラ33と、温度センサ81と、データ記録部91と、データ表示部52及び制御プログラムメモリ部53とに接続されている。充放電制御コントローラ51は、充電用電源コントローラ23を介して、充電装置20の充電用電源21による充電動作または充電の挙動を制御可能である。例えば、充放電制御コントローラ51は、充電装置20から出力される電気的エネルギーが定電流モード、定電流/定電圧モード、定電力モード、パルス充電モード又は定抵抗モードの充電モードで出力されるように充電用電源コントローラ23を制御する。
【0045】
また、充放電制御コントローラ51は、放電用負荷コントローラ33を介して、負荷装置30の放電用負荷31による放電動作または放電の挙動を制御可能である。例えば、充放電制御コントローラ51は、電子負荷装置30に入力される電気的エネルギーが、定電流モード、定電流/定電圧モード、定電力モード、パルス放電モード、又は定抵抗モードの負荷モードで消費されるように放電用負荷コントローラ33を制御する。また、充放電コントローラ51は、充電用電源コントローラ23、放電用負荷コントローラ33、温度センサ81及びデータ記録部91に試験開始信号を送ることで時間同期した試験を開始する。尚、充電と放電のモードは時間的に全く同時の同期ではなく、二次電池の応答特性に応じた同期でよい。
【0046】
データ表示部52は、文字画像等を表示可能な表示ディスプレイを含み、データ記録部91から送られたデータもしくはそれに基づいて算出されたデータまたはこの両方を表示する。
【0047】
例えば、データ表示部52には、データ記録部91から送られたデータである電流値Ic、電流値Id、電流値Ib、電圧値Vb及び二次電池の温度測定値が表示される。また、例えば、データ表示部52には、上記したデータ記録部91から送られた電流値Ic、電流値Id、電流値Ib、電圧値Vb及び二次電池の温度測定値に基づいて算出された、二次電池のインピーダンス、二次電池温度及び電池容量等の性能状態が表示される。この表示されたデータに基づいて、二次電池の良否判定を行うことが可能である。
【0048】
なお、表示ディスプレイを有する外付けの端末が充放電制御部50に接続され、データ表示部52に表示される情報が、当該外付けの端末の表示ディスプレイに表示されることとしてもよい。
【0049】
制御プログラムメモリ部53は、予め二次電池の実装環境に即した充電モード、負荷モード及び試験時間等のテストシーケンスを充放電試験に関するプログラム(以下、単に充放電プログラムと称する)として保存し、これを充放電コントロ−ラ51に供給する。充放電制御コントローラ51は、制御プログラムメモリ部53から充放電プログラムを読み込み、当該充放電プログラムに従って充電装置20及び充電装置30を制御して充放電試験を実施する。
【0050】
図3は、
図1に示した充放電試験装置10の充放電試験時における充電電流Ic、放電電流Id及び二次電池入出力電流Ib並びに二次電池電圧Vbの挙動を示したタイムチャートの1事例である。この事例においては、二次電池40の導電方向と同一である放電電流を正方向(Id>0)とし、二次電池40の導通方向と逆方向である充電電流を負方向(Ic<0)とする。また、二次電池電圧の初期値をV
0とする。
【0051】
二次電池入出力電流Ibが負の値をとる場合(Ic+Id<0)、二次電池40は充電動作となり、二次電池入出力電流Ibが正の値をとる場合(Ic+Id>0)、二次電池40は放電動作となる。充電と負荷が同時に制御された充放電試験中に、充電電流Ic、放電電流Id、充電電流Icと放電電流Idの差分Ic+Id,二次電池入出力電流Ib、二次電池電圧Vb及び二次電池温度を測定することで、二次電池のインピーダンス変化、二次電池の発熱量、二次電池の電池容量の経時変化を観測することが可能となる。
【0052】
また、充放電制御部50により、充電装置20を定電流/定電圧モード、定電流モード、定電力モード、パルス充電モード又は定抵抗モードの電気的出力で設定し、電子負荷装置30を定電流/定電圧モード、定電流モード、定電力モード、パルス放電モード又は定抵抗モードの電気的負荷で設定することが可能である。すなわち、充電装置20及び電子負荷装置30の挙動を選択的に制御することにより、従来の単独充放電試験、パルス充放電試験又は同時充放電試験等の充放電試験を実施することが可能となる。さらに、一方ではパルス充電をしながらもう一方では定電力放電にて同時充放電を行うような、充電方式と放電方式が異なる複雑なシステム環境下での二次電池の特性評価も実施することが可能となる。
【0053】
すなわち、充放電試験装置10では、充電装置20の充電用電源21から出力される電気的出力を、定電流/定電圧モード、定電流モード、定電力モード、パルス充電モード又は定抵抗モードで制御すると共に、電子負荷装置30の放電用負荷31で消費される電気的負荷を定電流/定電圧モード、定電流モード、定電力モード、パルス放電モード又は定抵抗モードで制御することが可能である。それ故、充放電試験装置10では、充電装置20と前記電子負荷装置30を同時にまたは並行して制御して充電試験と放電試験をすることが可能である。
【0054】
したがって、本発明の充放電試験装置においては、充電及び放電が複雑に制御されたシステム環境下に二次電池が実装された場合、二次電池入出力電流Ib及び二次電池電圧Vbが単独充放電試験時と同じ特性を示すかどうかを確認及び比較することが可能となる。
【0055】
よって、本発明によれば、パルス充放電及び同時充放電における二次電池40の特性評価を実施することができ、且つ充放電モードを設定することで様々なシステム環境に即した充放電試験の評価を実施することが可能となる。すなわち、出荷される二次電池をよりシステム実装時に近い動作環境での良否判定をすることが可能となる。
【0056】
なお、良否判定は予め設定された基準に基づいて、充放電制御部50において自動的に行われ、その結果が表示部52に表示されてもよい。
【0057】
また、二次電池40を恒温恒湿槽に投入して充放電試験を実施してもよい。恒温恒湿槽にて充放電試験を実施することで、様々な周囲環境条件における充放電試験を行うことが可能である。例えば、恒温恒湿槽を用いることで、雨季、夏季又は冬季での動作のような自然環境を模した条件下における二次電池の動作試験を実施することが可能となる。
【0058】
図4は、本願発明の充放電試験装置10の他の実施例を示す概略図である。
図4に示す他の実施例においては、1つの二次電池に対して複数の充電装置20−1〜20−n及び電子負荷装置30−1〜30−nが接続されている。具体的には、陽極接点10aに複数の充電装置20−1〜20−n及び電子負荷装置30−1〜30−nの夫々の陽極が接続され、陰極接点10bに複数の充電装置20−1〜20−n及び電子負荷装置30−1〜30−nの夫々の陰極が接続される。
【0059】
各充電装置20−1〜20−n及び電子負荷装置30−1〜30−nは夫々図示しない充放電制御部50によって充電モード及び放電モードが選択される。充放電試験中において、各充電電流Ic−1〜Ic−n、放電電流Id−1〜Id−n及び二次電池入出力電流Ib並びに二次電池電圧Vbを測定する。これらの測定値と挙動を観測することにより、二次電池のインピーダンスの変化、二次電池の発熱及び二次電池の電池容量低下のような性能劣化の評価が可能となる。なお、充電装置20の数量nと電子負荷装置30の数量nは同一でなくともよい。
【0060】
よって、本発明の充放電試験装置においては、種々の充電モードを持つ複数の充電用電源と種々の負荷モードを持つ複数の放電用負荷が混在するような複雑なシステムの場合の二次電池の評価試験においても、二次電池が実装されるシステムの運用環境に即した正確な評価試験が可能となる。
【0061】
なお、上記実施例においては、充電装置20が電源として機能し、電子負荷装置30が負荷として機能することとしたが、充電装置20及び電子負荷装置30のそれぞれが電源及び負荷の両方の機能を果たすこととしてもよい。また電子負荷装置30は、負荷動作として電力を熱で消費するものだけではなく、一次電源に電力回生するものでもよい。
【0062】
また、上記実施例においては、充放電試験装置10に1つの二次電池40が接続される場合を例に説明したが、充放電試験装置10に複数の二次電池40が接続されてもよい。具体的には、例えば、陽極接点10aと陰極接点10bとの間に、複数の二次電池40が直列または並列に接続され、二次電池の各々に流れ込む電流値、二次電池の各々の電圧値及び二次電池の各々の温度が測定可能となっていてもよい。