【実施例1】
【0023】
本発明の実施例は画素構造を提供し、
図2に示すように、当該画素構造は、第1の基板20と、第2の基板21と、前記第1の基板20と前記第2の基板21との間にある透光層22とを含む。
【0024】
その内、第1の基板20は、第2の基板21に向かう側に第1の反射膜23を有し、第2の基板21は、第1の基板20に向かう側に第2の反射膜24を有し、第1の基板20と第2の基板21がファブリーペロキャビティ(Fabry-Perot、FPキャビティと略称される)を形成し、ファブリーペロキャビティの反射光又は透過光を利用して表示を行い、
第1の基板20は、第2の基板21に向かう側に第1の電極を有し、第2の基板21は第1の基板20に向かう側に第2の電極を有し、第1の電極と第2の電極との間の電界の大きさを調整することによって透光層22の屈折率を調整し、透光層22の屈折率を調整することでファブリーペロキャビティの反射光又は透過光の干渉光の強度を調整することによって、画素構造の表示輝度を調整する。
【0025】
本発明の実施例では、透光層22の屈折率を調整することによってファブリーペロキャビティの反射光又は透過光の干渉光の強度を調整し、ファブリーペロキャビティの反射光又は透過光の干渉光の強度を調整することによって画素構造の表示輝度を調整するため、表示輝度の調整を実現するために偏光子を使用する必要はなく、従来の直観的な液晶表示デバイス及びシリコンベースの液晶表示デバイスと比較して、光エネルギー利用率及び表示輝度は向上される。
【0026】
任意選択で、
図2に示すように、透光層22は液晶層を含み、第1の基板20は、液晶層に向かう側の表面に第1の配向膜25を有し、第2の基板21は、液晶層に向かう側の表面に第2の配向膜26を有する。さらに任意選択で、液晶層における液晶は、ネマチック液晶、ブルー相液晶、強誘電性液晶などを含む。勿論、本発明の実施例では、透光層22が液晶層であることのみを一例として説明するが、これに限定されない。任意選択で、本発明における透光層22の材料は、他の位相変調電気光学材料などであってもよく、電気光学材料は、変調によって屈折率を変化させることができる。
【0027】
任意選択で、第1の基板20及び第2の基板21は透明基板であり、さらに透明ガラス基板又は透明プラスチック基板であってもよい。任意選択で、第1の電極及び第2の電極の材料はITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)、FTO(Fluorine Tin Oxide、フッ素スズ酸化物)又はグラフェン(Graphene)などであり、第1の配向膜25及び第2の配向膜26の材料はPI(Polyimide、ポリイミド樹脂)又は他の光励起重合の重合性モノマーである。なお、本発明の実施例における画素構造内の第1の電極は、第1の基板20の表面を覆う電極層であり、第2の電極は、第2の基板21の表面を覆う電極層である。
【0028】
任意選択で、反射膜、即ち、第1の反射膜23及び第2の反射膜24は、MgF
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2又はZnSのうちの1つ又は複数で形成される透明誘電体膜、金属反射膜、又は、誘電体金属を積層して形成された反射膜であり、つまり、第1の反射膜23又は第2の反射膜24は、MgF
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2又はZnSのうちの複数からなる積層構造であってもよい。
【0029】
なお、本発明における第1の反射膜23及び第2の反射膜24の材料は同じであってもよいし、異なってもよい。同様に、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率は同じであってもよいし、異なってもよい。ただし、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率はいずれも20%〜60%の範囲内にあり、エンドポイント値を含む。任意選択で、第1の反射膜23と第2の反射膜24との間の距離、即ち、ファブリーペロキャビティの厚さ範囲は1000nm〜5000nmである。
【0030】
本発明の一実施例では、液晶層内の液晶が、正の誘電異方性を有するネマチック液晶を使用することを例として説明し、第1の配向膜25と第2の配向膜26は同じ摩擦方向を有し、液晶層は、平行アライメントネマチック液晶に配置される。
【0031】
第1の電極と第2の電極との間に電圧が印加されていない場合、
図3aに示すように、FPキャビティ内の液晶ディレクターは、基板20又は21が位置する平面に平行に配列され、光0が液晶ディレクターに平行な偏光方向で垂直に入射するときに、液晶の屈折率は異常な屈折率n
eになり、第1の電極と第2の電極との間に電圧が印加される場合、
図3bに示すように、電界Eの作用で、液晶偏向が飽和に達すると、液晶ディレクターは基板20又は21が位置する平面にほぼ垂直し、同じ方向の入射光0を使用して入射するときに、液晶の屈折率は通常の屈折率n
oになる。つまり、本発明の実施例では、液晶分子が0°−90°の間で回転するように、第1の電極と第2の電極との間の電圧を変更することによって、液晶の屈折率のn
eからn
oまでの連続的な変化が実現され、光に対する位相遅延が実現される。
【0032】
図4に示すように、入射光0はFPキャビティ内で複数回反射され、複数回屈折され、入射光0は、FPキャビティに入るときに、反射光ビーム1と屈折光ビームに分割され、当該屈折光ビームは、下面で反射されるとともに、透過光ビーム1′と反射光ビームに分割される。このように反射と屈折を繰り返すことによって、無数の反射光ビーム1、2、3、4…、及び無数の透過ビーム1′、2′、3′、4′…が得られる。その内、nは例えばFPキャビティ内の液晶の屈折率などのFPキャビティ内の誘電体の屈折率であり、dはFPキャビティの厚さであり、θはFPキャビティ内の光線と法線との間の角度である。
【0033】
その内、反射光ビームでも透過光ビームでも、隣接する2つの光ビームの間には固定の位相差δ=(2π/λ)・2nd・cosθがあり、例えば、反射光ビーム1と2との間及び透過光ビーム1′と2′との間には固定の位相差δ=(2π/λ)・2nd・cosθがあり、光コヒーレンス条件を満すため、干渉が発生し得る。
【0034】
r及びtをそれぞれFPキャビティの外側からFPキャビティ内への光の振幅反射率と透過率とし、r′及びt′をそれぞれFPキャビティ内からFPキャビティの外側への光の振幅反射率と透過率とする。FPキャビティの両側の誘電体の屈折率は同じであるため、ストークスの逆関係を満たすので、r=−r′、t
2+tt′=1になる。
【0035】
入射光0の振幅をAとし、反射光の複素振幅を下記式(1)の通りとし、透過光の複素振幅を下記式(2)の通りとすると、各反射光と各透過光の複素振幅が下記式(3)及び(4)のように得られる。なお、下記式(1)の反射光の複素振幅を文中ではU
〜と表現し、下記式(2)の透過光の複素振幅を文中ではU
〜’と表現する。以下、他の複素数記号も同様に表記する。
【0036】
【数1】
【0037】
その内、反射光1の複素振幅U
〜1後の負の符号は半波損失から導出されるものである。
【0038】
反射光の総複素振幅U
〜Rは下記式(5)の通りであり、反射光の総光強度I
Rは下記式(6)の通りであり、透過光の総複素振幅U
〜Tは下記式(7)の通りであり、透過光の総光強度I
Tは下記式(8)の通りであり、ここで、j=1、2、3、4…である。
【0039】
【数2】
【0040】
吸収を考慮しない場合、光パワーの保存により、総光強度I
0が保存され、I
R+I
T=I
0になる。反射光1には半波損失があるため、総透過光強度I
Tを優先的に計算し、さらに、I
R=I
0-I
Tで総反射光強度I
Rを取得することが考えられる。
【0041】
上記の分析から分かるように、透過光の総複素振幅は下記式(9)の通りであり、当該級数の合計は下記式(10)の通りであり、透過光の総光強度I
Tは下記式(11)の通りであり、その内、R=r
2はFPキャビティの上面と下面の光強度反射率であり、即ち、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の光強度反射率であり、I
0=A
2は入射光の総光強度である。
【0042】
【数3】
【0043】
反射光の総光強度I
Rは下記式(12)の通りである。
【0044】
【数4】
【0045】
図5は、画素構造のFPキャビティの反射と透過特性の、正規化された位相差(δ/π)に伴う変化のグラフである。使用のパラメータは、反射膜の反射率R=48%、入射光の波長λ=632.8nm、FPキャビティの厚さd=3062nm、FPキャビティ内の光線と法線との角度θ=0°として設定される。その内、実線は反射特性曲線であり、破線は透過特性曲線である。なお、本発明の実施例によって提供される画素構造は、FPキャビティの反射光を利用して画像を表示してもよいし、FPキャビティの透過光を利用して画像を表示してもよい。
【0046】
光の強度がI
0である入射光が画素構造の表面に垂直に入射する場合、上面で反射される反射光1、2、3、4…を選択して画像を表示すると、その光強度反射率I
R/I
0は下記式(13)及び(14)のように表すことができる。
【0047】
【数5】
【0048】
その内、F=4R/(1−R)
2はFPキャビティの細かさであり、δは第1の反射膜23で出射される隣接する2つの反射光の位相差であり、Rは第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率であり、λは狭帯域光源から出射される入射光の波長であり、n
LCはネマチック液晶の屈折率であり、dは第1の反射膜23と第2の反射膜24との間の距離であり、FPキャビティの厚さでもあり、θはFPキャビティ内の光線と法線との角度、即ち、入射光がFPキャビティ内で複数回反射される傾きであり、ここで、θ=0°である。
【0049】
図5の実線から分かるように、位相差δがπの奇数倍である場合に、光の強度反射率I
R/I
0は最大値に達し、ここを表示画像の明るい状態として選択し、位相差δがπの偶数倍である場合に、光の強度反射率I
R/I
0は最小値に達し、ここを表示画像の暗い状態として選択する。例えば、ある電圧で、液晶の屈折率に起因する反射光の位相差がちょうどδ/π=30の位置にある場合に、表示画像は完全に暗くなる。印加電圧を変更することで、液晶の屈折率が変化し、位相差δが変化し、光の強度反射率I
R/I
0が増加し始め、液晶の屈折率に起因する位相差がπ変化する場合、δ/π=29の位置に到達し、そのとき、光の強度反射率I
R/I
0は最大になり、表示画像が最も明るくなる。29<δ/π<30の間を中間輝度として表示することができる。
【0050】
同じ入射光で画素構造の表面に垂直に入射し、下面から透過する透過光1′、2′、3′、4′…を選択して画像を表示することもでき、その光強度透過率I
T/I
0は下記式(15)及び(16)のように表すことができる。
【0051】
【数6】
【0052】
同様に、F=4R/(1−R)
2はFPキャビティの細かさであり、δは第2の反射膜24で出射される隣接する2つの透過光の位相差であり、Rは第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率であり、λは狭帯域光源から出射される入射光の波長であり、n
LCはネマチック液晶の屈折率であり、dは第1の反射膜23と第2の反射膜24との間の距離であり、FPキャビティの厚さでもあり、θはFPキャビティ内の光線と法線との角度、即ち、入射光がFPキャビティ内で複数回反射される傾きであり、ここで、θ=0°である。
【0053】
図5の破線から分かるように、位相差δがπの偶数倍である場合に、光の強度透過率I
R/I
0は最大値に達し、ここを表示画像の明るい状態として選択し、位相差δがπの奇数倍である場合に、光の強度透過率I
R/I
0は最小値に達し、ここを表示画像の暗い状態として選択する。ある電圧で、液晶の屈折率に起因する透過光の位相差がちょうどδ/π=30の位置にあると仮定すると、表示画像は完全に明るくなる。印加電圧を変更することで、液晶の屈折率の変更に起因して位相差δが変化し、光の強度透過率I
R/I
0が減少し始め、液晶の屈折率に起因する位相差がπ変化する場合に、δ/π=29の位置に到達し、そのとき、光の強度透過率I
R/I
0は最小になり、表示画像は最も暗くなる。29<δ/π<30の間で、中間輝度として表示することができる。
【0054】
図6は、画素構造の反射透過特性の、液晶の屈折率に伴う変化のグラフである。使用のパラメータは、R=48%、λ=632.8nm、d=3062nm、θ=0°として設定される。その内、実線は反射特性曲線を示し、破線は透過特性曲線を示す。
図6から分かるように、液晶の屈折率の変更に伴って、透過光の光強度又は反射光の光強度も変更される。
【0055】
つまり、本発明の実施例では、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することによって、液晶の屈折率をn
e〜n
oの間で変化させることができ、FPキャビティの反射光又は透過光の位相差が(29π、30π)の間で変化するときに、画素構造の表示輝度を最も明るい状態と最も暗い状態の間で変化させ、それによって、画素構造の表示輝度の調整は偏光子を必要とせずに実現される。
【0056】
なお、本発明の実施例における画素構造は単色光のみを変調し、例えば、赤色光、青色光、又は緑色光のみを変調する。勿論、異なる色の単色光を変調するときに、画素構造のパラメータを調整する必要があり、ここで詳細に説明しない。
【0057】
本発明の実施例は、表示デバイスをさらに提供し、
図7に示すように、当該表示デバイスは複数の画素構造70を含み、当該画素構造70は上記のいずれかの実施例によって提供される画素構造である。なお、本発明の実施例によって提供される表示デバイスは、画素構造内の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する駆動回路などをさらに含み、ここで詳細に説明しない。
【0058】
任意選択で、
図8に示すように、表示デバイス内の任意の2つの画素構造70のファブリーペロキャビティの厚さdは同じく、全ての画素構造70のFPキャビティが大きなファブリーペロキャビティを構成するようにする。なお、当該表示デバイスは単色表示デバイスであり、例えば、当該表示デバイスは赤色光表示デバイス、緑色光表示デバイス、青色光表示デバイス又は他の色の表示デバイスである。
【0059】
任意選択で、表示デバイスは、複数の画素ユニットを含み、各画素ユニットは少なくとも3つの画素構造を含み、同じ画素ユニット内の画素構造のファブリーペロキャビティの厚さは異なる。なお、本発明の実施例では、第1の基板20と第2の基板21との間の距離を異ならせることによって、ファブリーペロキャビティの厚さを異ならせることができる。
【0060】
図9に示すように、各画素ユニット9は、第1の画素構造90、第2の画素構造91、及び第3の画素構造92を含み、第1の画素構造90、第2の画素構造91、及び第3の画素構造92のFPキャビティの厚さはそれぞれ異なって、第1の画素構造90、第2の画素構造91、及び第3の画素構造92が異なる色の単色光を透過させるようにする。例えば、第1の画素構造90は青色光を透過させ、第2の画素構造91は緑色光を透過させ、第3の画素構造92は赤色光を透過させ、これに基づいて、各画素ユニット内の赤色光、青色光及び緑色光が混合された後、カラー画像を表示することができる。つまり、
図9に示す表示デバイスはカラー画像を表示可能な表示デバイスである。
【0061】
なお、
図8に示す構造では、第1の電極及び第2の電極はいずれも基板全体を覆う層全体の電極であってもよく、
図8及び
図9に示す構造では、第1の電極は第1の基板20を覆う層全体の電極であり、第2の電極は各画素構造内にある1ブロックの電極であり、異なる画素構造の第2の電極は互いに独立してもよい。つまり、第1の電極は従来の液晶表示装置内の共通電極に相当し、第2の電極は従来の液晶表示装置内の画素電極に相当する。これに基づいて、第1の電極と第2の電極との間の電界によって、各画素構造内の液晶の屈折率を個別に制御することで、各画素構造のグレースケールを制御することができ、表示デバイス全体の表示画像を表示の必要がある画像に制御する。
【0062】
本発明の実施例は、投影表示システムをさらに提供し、狭帯域光源と、狭帯域光源の出射光路にある表示デバイスを含み、当該表示デバイスは
図8に示すような単色表示デバイスである。任意選択で、当該投影表示システムは、プロジェクターやテレビなどの投影表示装置に適用できる。その内、プロジェクターは、劇場、ホームシアター、及び学校の教育又は展示ホール用のフロントプロジェクション又はリアプロジェクションのプロジェクターであってもよい。任意選択で、当該狭帯域光源はレーザー光源であり、勿論、本発明はこれに限定されず、他の実施例では、狭帯域光源はLED光源などであってもよい。
【0063】
本発明の実施例では、狭帯域光源により照明し、狭帯域光源の線幅が小さい(約1〜2nm)ため、FPキャビティの反射率は高くない。従って、FPキャビティの半高全幅(約10nm)は光源の線幅に対して十分に広く、狭い光源の発光スペクトルを利用してファブリーペロキャビティの広い変調スペクトルを「フィルタリング」し、表示デバイスの色域カバレッジを大幅に向上させる。
【0064】
図10は、反射型投影表示システムを示し、狭帯域光源は、第1の狭帯域光源101、第2の狭帯域光源102、及び第3の狭帯域光源103を含み、表示デバイスは第1の表示デバイス104、第2の表示デバイス105、及び第3の表示デバイス106を含み、投影表示システムはさらに、第1のハーフミラー107、第2のハーフミラー108、第3のハーフミラー109、及び光合成コンポーネント110を含む。
【0065】
その内、第1のハーフミラー107は、第1の狭帯域光源101から放射された第1の光線を第1の表示デバイス104に反射するために使用され、第1の表示デバイス104は第1の狭帯域光源101から放射された第1の光線を反射して、特定の光強度の第1の光線を第1のハーフミラー107に出射し、第1のハーフミラー107はさらに、第1の表示デバイス104から出射された第1の光線を光合成コンポーネント110まで透過させるために使用され、
第2のハーフミラー108は、第2の狭帯域光源102から放射された第2の光線を第2の表示デバイス105に反射するために使用され、第2の表示デバイス105は第2の狭帯域光源102から放射する第2の光線を反射して、特定の光強度の第2の光線を第2のハーフミラー108に出射し、第2のハーフミラー108はさらに、第2の表示デバイス105から出射された第2の光線を光合成コンポーネント110まで透過させるために使用され、
第3のハーフミラー109は、第3の狭帯域光源103から放射された第3の光線を第3の表示デバイス106に反射するために使用され、第3の表示デバイス106は第3の狭帯域光源103から放射された第3の光線を反射して、特定の光強度の第3の光線を第3のハーフミラー109に出射し、第3のハーフミラー109はさらに、第3の表示デバイス106から出射された第3の光線を光合成コンポーネント110まで透過させるために使用され、
光合成コンポーネント110は、合成された光ビームを利用して投影するように、第1の光線、第2の光線、及び第3の光線を1つの光ビームに合成するために使用される。
【0066】
本発明の他の実施例では、
図11に示すように、投影表示システムは、透過型投影表示システムであってもよく、狭帯域光源は、第1の狭帯域光源111、第2の狭帯域光源112及び第3の狭帯域光源113を含み、表示デバイスは第1の表示デバイス114、第2の表示デバイス115、及び第3の表示デバイス116を含み、投影表示システムはさらに、光合成コンポーネント117及び投影レンズ118を含む。
【0067】
その内、第1の狭帯域光源111は、第1の光線を放射するために使用され、第2の狭帯域光源112は、第2の光線を放射するために使用され、第3の狭帯域光源113は第3の光線を放射するために使用され、第1の表示デバイス114は特定の光強度の第1の光線を光合成コンポーネント117まで透過させ、第2の表示デバイス115は特定の光強度の第2の光線を光合成コンポーネント117まで透過させ、第3の表示デバイス116は特定の光強度の第3の光線を光合成コンポーネント117まで透過させ、光合成コンポーネント117は、合成された光ビームを利用して投影するように、第1の光線、第2の光線及び第3の光線を1つの光ビームに合成するために使用される。
【0068】
任意選択で、第1の狭帯域光源は、波長が632.8nmである赤色光を放射するレーザー光源であり、第1の表示デバイス内のファブリーペロキャビティの厚さdは3062nmであり、第1の表示デバイス内の反射膜の反射率Rは48%であり、第1の表示デバイス内の液晶層の屈折率nの変化範囲は1.498〜1.550であり、
第2の狭帯域光源は、波長が530nmである緑色光を放射するレーザー光源であり、第2の表示デバイス内のファブリーペロキャビティの厚さdは2564nmであり、第2の表示デバイス内の反射膜の反射率Rは42%であり、第2の表示デバイス内の液晶層の屈折率nの変化範囲は1.498〜1.550であり、
第3の狭帯域光源は、波長が450nmである青色光を放射するレーザー光源であり、第3の表示デバイス内のファブリーペロキャビティの厚さdは2177nmであり、第3の表示デバイス内の反射膜の反射率Rは37%であり、第3の表示デバイス内の液晶層の屈折率nの変化範囲は1.498〜1.550である。
【0069】
本実施例では、液晶は、電圧が印加されていない状態での屈折率が1.550である。
【0070】
第1の狭帯域光源101が、波長が632.8nmである赤色光を放射するレーザー光源であり、第1の表示デバイス104内のファブリーペロキャビティの厚さdが3062nmであり、第1の表示デバイス104内の反射膜の反射率Rが48%である場合に、FPキャビティの透過光を選択して表示を行い、
図12に示すように、実線、太い破線、点線はそれぞれ、液晶の屈折率がn=1.550、n=1.540及びn=1.498である場合であり、細い直破線は赤色光の632.8nm波長に対応し、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での光強度が最大で、表示は明るい状態になり、ここがFPキャビティの中心波長であり、このとき、FPキャビティの半高全幅は約10nmであり(反射率Rと厚さdによって確定される)、光源の線幅(約2nm)に対して十分に大きく、光の利用効率は100%に近い。屈折率がn=1.498になるように電圧を加えたとき、点線と細い直破線との交点での光強度が最小になり、表示は暗い状態になる。従って、液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、表示輝度の明暗の変化を実現することができる。
【0071】
同様のパラメータで、FPキャビティの反射光を用いて表示を行うときに、
図13に示すように、実線、太い破線、点線はそれぞれ、液晶の屈折率がn=1.550、n=1.540及びn=1.498である場合であり、細い直破線は赤色光の632.8nm波長に対応し、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での強度が最小になり、表示は暗い状態になる。n=1.498になるように電圧を加えるときに、点線と細い直破線との交点での強度が最大になり、表示は明るい状態になる。このとき、反射スペクトル線に対応し、その半高全幅は非常に広く、光源の線幅よりもはるかに大きく、このような狭い線幅の中心波長が波長632.8nmの赤色光に対して、最大光エネルギー利用率は約88%である。液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、明暗の変化を実現することができる。
【0072】
以上のパラメータによって、赤色光を変調する単一画素構造を得ることができ、複数の単一画素構造を集積するときに、赤色光変調パネル、即ち、第1の表示デバイス104が得られる。
【0073】
第2の狭帯域光源102が、波長が530nmである緑色光を放射するレーザー光源であり、第2の表示デバイス105内のファブリーペロキャビティの厚さdが2564nmであり、第2の表示デバイス105内の反射膜の反射率Rが42%である場合に、FPキャビティの透過光を選択して表示を行い、
図14に示すように、実線、太い破線、点線は、n=1.550、n=1.540、n=1.498の場合であり、細い直破線は、緑色光の530nm波長に対応し、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での光強度は最大になり、表示は明るい状態になり、ここは上記のパラメータのFPキャビティの中心波長であり、このとき、FPキャビティの半高全幅は約10nmであり、光源の線幅(約2nm)に対して十分に大きく、光利用効率は吸収散乱効果に関係なく100%に近い。n=1.498になるように電圧を加えるときに、点線と細い直破線との交点での光強度は最小になり、表示は暗い状態になる。従って、液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、明暗の変化を実現することができる。
【0074】
図15に示すように、反射光を用いて表示を行い、同様に、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での光強度は最小になり、表示は暗い状態になる。n=1.498になるように電圧を加えるときに、点線と細い直破線との交点での光強度は最大になり、表示は明るい状態になる。このとき、対応する反射スペクトル線は、半値全幅が非常に広く、光源の線幅よりもはるかに大きく、このような狭い線幅の中心波長が波長530nmの緑色光に対して、最大光エネルギー利用率は約83%である。従って、液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、明暗の変化を実現することができる。
【0075】
以上のパラメータによって、緑色光を変調する単一画素構造を得ることができ、複数の単一画素構造を集積するときに、緑色光変調パネル、即ち、第2の表示デバイス105が得られる。
【0076】
第3の狭帯域光源103が、波長が450nmである青色光を放射するレーザー光源であり、第3の表示デバイス106内のファブリーペロキャビティの厚さdは2177nmであり、第3の表示デバイス106内の反射膜の反射率Rが37%である場合に、FPキャビティの透過光を選択して表示を行い、
図16に示すように、実線、太い破線、点線はn=1.550、n=1.540、n=1.498の場合であり、細い直破線は青色光450nm波長に対応し、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での光強度は最大になり、表示は明るい状態になり、ここは、上記のパラメータのFPキャビティの中心波長であり、このとき、FPキャビティの半高全幅は約10nmであり、光源の線幅(約2nm)に対して十分に大きく、光利用効率は、吸収散射効果に関係なく100%に近い。n=1.498になるように電圧を加える時に、点線と細い直破線との交点での光強度は最小になり、表示は暗い状態になる。従って、液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、明暗の変化を実現することができる。
【0077】
図17に示すように、反射光を用いて表示を行い、同様に、これにより分かるように、電圧が印加されていないときに、実線と細い直破線との交点での光強度は最小になり、表示は暗い状態になる。n=1.498になるように電圧を加えるときに、点線と細い直破線との交点での光強度は最大になり、表示は明るい状態になる。このとき、対応する反射スペクトル線は、半値全幅が非常に広く、光源の線幅よりもはるかに大きく、このような狭い線幅の中心波長が波長450nmである緑色光に対して、最大光エネルギー利用率は約78%である。従って、液晶の有効屈折率が1.498から1.550の間で変化するように電圧を調整するときに、明暗の変化を実現することができる。
【0078】
以上のパラメータによって、青色光を変調する単一画素構造を得ることができ、複数の単一画素構造を集積するときに、青色光変調パネル、即ち、第3の表示デバイス106が得られる。
【0079】
なお、ネマチック液晶の変換速度は約ミリ秒のオーダーであり、このような方式で表示を変調することはアナログモードと呼ばれる。電圧によって液晶の屈折率を調整し、各屈折率は異なる光強度に対応し、異なる表示効果を実現する。
【0080】
なお、δ=4πn
ed/λ=30π、即ち、位相差がπの偶数倍である場合、赤色光の波長λ=632.8nmであり、FPキャビティの厚さd=3062nmであるため、電圧が印加されていないときに、液晶の屈折率n
eは約1.550であり、透過型は明るい状態で表示され、δ′=4πn
effd/λ=29π、つまり、位相差がπだけ減少する場合、表示は暗い状態に変わり、このとき、n
eff=29π*λ/4πd=1.498である。青色光と緑色光の計算についても同様であり、ここで詳細に説明しない。
【0081】
上記の反射型投影表示システムでは、入射光がいずれもデバイス表面に垂直に入射する(即ち、θ=0°)ため、ハーフミラーを使用して、変調パネルの同じ側における入射光と反射光を区別する。ただし、システムでハーフミラーを使用すると、変調パネルに入射する入射光と変調された出射光を区別できるが、光がハーフミラーを経るたびに半分の光エネルギーの損耗がある。このとき、高輝度を実現するには、狭帯域光源の発光の強度を上げる必要がある。この状況は、垂直に入射するときに限られる。デバイス表面に小さな角度(1〜2°)で入射すると、
図18に示すように、変調パネルに入射する入射光と変調された出射光は重ならないので、ハーフミラーなしで光変調を実現することができる。小さな角度で入射すると、変調の思想は上記の実施例で説明したものと全く同じであるが、上記のデバイスの対応するパラメータと
図12―17に示される変調曲線はいずれも変化し、これは、当業者が本発明の思想から容易に想到し得るものである。
【0082】
本発明の実施例は、表示装置をさらに提供し、当該表示装置は、狭帯域光源と、前記狭帯域光源の出射光路にある表示デバイスとを含み、前記表示デバイスは、
図9に示すような表示デバイスである。任意選択で、当該表示装置はテレビ、ヘッドマウント表示装置、ビデオメガネ、携帯電話、コンピューター、時計などであってもよく、その内、テレビはレーザーテレビ、大画面プロジェクションテレビなどのリアプロジェクションテレビを含む。
【0083】
その内、狭帯域光源は、第1の狭帯域光源、第2の狭帯域光源、及び第3の狭帯域光源を含み、画素ユニット内の少なくとも3つの画素構造は第1の画素構造90、第2の画素構造91、及び第3の画素構造92を含み、第1の画素構造90は、表示のために第1の狭帯域光源から放射された光線を透過させるために使用され、第2の画素構造91は、表示のために第2の狭帯域光源から放射された光線を透過させるために使用され、第3の画素構造92は表示のために第3の狭帯域光源から放射された光線を透過させるために使用される。
【0084】
任意選択で、第1の狭帯域光源は、赤色光を放射する光源であり、第2の狭帯域光源は緑色光を放射する光源であり、第3の狭帯域光源は青色光を放射する光源である。さらに、任意選択で、第1の狭帯域光源、第2の狭帯域光源、及び第3の狭帯域光源はレーザー光源であり、勿論、本発明はこれに限定されず、他の実施例では、第1の狭帯域光源、第2の狭帯域光源、及び第3の狭帯域光源はLED光源などであってもよい。
【0085】
任意選択で、第1の狭帯域光源は、波長が632.8nmである赤色光を放射するレーザー光源であり、第1の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは3062nmであり、第1の画素構造内の反射膜の反射率は48%であり、第1の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.498〜1.550であり、
第2の狭帯域光源は、波長が530nmである緑色光を放射するレーザー光源であり、第2の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは2564nmであり、第2の画素構造内の反射膜の反射率は42%であり、第2の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.498〜1.550であり、
第3の狭帯域光源は、波長が450nmである青色光を放射するレーザー光源であり、第3の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは2177nmであり、第3の画素構造内の反射膜の反射率は37%であり、第3の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.498〜1.550である。
【0086】
光源と透過率又は反射率との対応関係は
図12から
図17に示す通りであり、ここで再度説明しない。
【0087】
波長が632.8nmである赤色光透過方式を例として、
図12に示すように、最も明るい状態は、屈折率n=1.550のときであり、632.8nmの中心波長での光源の透過率は1であり、ただし、光源には一定の線幅があり、632.8nmでの強度は最も大きく、他の場所(例えば631nmから635nm)の間での強度は異なる。実際の光の透過率は下記式(17)から算出することができ、その内、P(λ)は光源の強度分布関数であり、T(λ)はデバイスの透過率関数であり、λ
1―λ
2は狭帯域光源の発光スペクトルの波長範囲に対応する。つまり、FPキャビティは光源の各波長に対応する透過率を有し、例えば、632nmでの透過率は0.9であり、632.8nmでの透過率は1であり、633nmでの透過率は0.95であり、このような加重平均によりデバイスの透過率を計算する。明るい状態n=1.550の場合、透過率は約97%であり、暗い状態n=1.498に対応する場合、透過率は約12%であり、それによって、コントラストCFP=97%/12%=8.1:1が得られる。
【0088】
【数7】
【0089】
反射光で表示を行う場合に、最も暗い状態はn=1.550のときであり、632.8nmの中心波長での光源の反射率は0である。つまり、632.8nmでの光源の反射強度は最も小さく、他の場所(例えば631nmから635nm)での反射強度は異なる。実際の光の反射率は下記式(18)式から反映することができ、その内、P(λ)は光源の強度スペクトル線関数であり、R(λ)はデバイス反射率関数である。つまり、FPキャビティは光源の各波長に対応する反射率を有し、このような加重平均によりデバイスの反射率を計算する。暗い状態n=1.550の場合、反射率は約3%であり、明るい状態n=1.498の場合、反射率は約88%であり、それによって、コントラストCFP=88%/3%=29.3:1が得られる。
【0090】
【数8】
【0091】
上記の全ての言及された明るい状態と暗い状態以外に、他の場所を明るい状態又は暗い状態として選択することもできる。
図12の透過スペクトル線を例にとると、電圧が印加されていない場合、液晶の屈折率はn=1.550であり、表示は最も明るくなり、電圧を増加することによって液晶の屈折率が1.498近く(例えば、n=1.500)まで低下し始めるときに、ここを表示の暗い状態としてもよい。同様に、
図13の反射スペクトル線を例にとると、電圧が印加されていない場合、液晶の屈折率はn=1.550であり、表示は最も暗くなり、電圧を増加することによって液晶の屈折率が1.498近く(例えば、n=1.500)まで低下し始めるときに、表示の明るい状態とする。このようにして、少量のコントラストを犠牲しながら、液晶の屈折率の変化範囲を縮小し、それにより、必要な電圧が低下し、消費電力が削減される。
【実施例2】
【0092】
本発明の実施例は画素構造を提供し、
図2に示すように、当該画素構造は第1の基板20と、第2の基板21と、前記第1の基板20と前記第2の基板21との間にある透光層22とを含むが、この構造には、25及び26に示される構造が含まれていない。
【0093】
その内、第1の基板20は、第2の基板21に向かう側に第1の反射膜23を有し、第2の基板21は第1の基板20に向かう側に第2の反射膜24を有し、第1の基板20と第2の基板21がファブリーペロキャビティ(Fabry-Perot、FPキャビティと略称される)を形成し、ファブリーペロキャビティの反射光又は透過光を利用して表示を行い、
第1の基板20は、第2の基板21に向かう側に第1の電極を有し、第2の基板21は、第1の基板20に向かう側に第2の電極を有し、第1の電極と第2の電極との間の電界の大きさを調整することで透光層22の屈折率を調整することによって、画素構造の表示輝度を調整する。
【0094】
任意選択で、第1の基板20及び第2の基板21は透明基板であり、さらに、透明ガラス基板又は透明プラスチック基板であってもよい。任意選択で、第1の電極及び第2の電極の材料はITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)であり、なお、本発明の実施例における画素構造内の第1の電極は第1の基板20の表面を覆う電極層であり、第2の電極は第2の基板21の表面を覆う電極層である。
【0095】
任意選択で、反射膜、即ち、第1の反射膜23及び第2の反射膜24はMgF
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2又はZnSのうちの1つ又は複数で形成された透明誘電体膜、金属反射膜、又は、誘電体金属を積層して形成された反射膜であり、つまり、第1の反射膜23又は第2の反射膜24はMgF
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2又はZnSのうち複数からなる積層構造であってもよい。
【0096】
なお、本発明では、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の材料は同じであってもよいし、異なってもよい。同様に、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率は同じであってもよいし、異なってもよい。ただし、第1の反射膜23及び第2の反射膜24の反射率はいずれも60%〜99%の範囲内にあり、エンドポイント値を含む。任意選択で、第1の反射膜23と第2の反射膜24の間の距離、即ち、ファブリーペロキャビティの厚さ範囲は100nm〜1000nmである。
【0097】
当該実施例では、液晶層内の液晶が、正の誘電異方性を有するネマチック液晶5CBを使用することを例として説明する。第1の電極及び第2の電極に電圧が印加されていない場合、FPキャビティ内の液晶ディレクターはランダムに配列され、光0が垂直に入射するときに、その有効屈折率はn
effになり、第1の電極及び第2の電極に電圧が印加される場合、
図3bに示すように、電界Eの作用下で、液晶の偏向が飽和に達すると、液晶ディレクターは、基板20又は21が位置する平面にほぼ垂直になり、同じ方向で入射光0が入射するときに、液晶の屈折率は通常の屈折率n
0=1.529になる。つまり、本発明の実施例では、液晶ディレクターが回転するように、第1の電極と第2の電極との間の電圧を変更することによって、液晶の屈折率のn
effからn
oまでの連続的な変化が実現され、それにより、光に対する位相遅延が実現される。
図19は当該実施例の画素構造の反射透過特性の、液晶の屈折率に伴う変化のグラフである。使用のパラメータは、反射膜の反射率R=90%、入射光の波長λ=632.8nm、液晶層の厚さd=414nm、θ=0°として設定される。ここで、ナノレベルの液晶層の厚さは、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素の化学蒸着、或いは二酸化ケイ素の蒸着によるスペーサーとして定義できる。
図19では、実線は反射特性曲線を示し、破線は透過特性曲線を示す。本発明の実施例では、第1の電極及び第2の電極に電圧を印加することによって、液晶の屈折率をn
eff〜n
oの間で変化させることができ、例えば、電圧が印加されていない場合又はある電圧で、液晶の有効屈折率n
effは1.58であり、電圧を増加して液晶分子を基板に対して完全に垂直させるときに、有効屈折率n
oは1.529であるため、画素構造の透過光と反射光は明暗の間で変化し、それによって、画素構造の表示輝度の調整は、偏光子及び液晶配向層を必要とせずに実現される。
【0098】
さらに、当該画素構造は2つの表示状態があってもよい。透過表示方式を例に取ると、電圧が印加されていない場合、又は、特定の電圧によって液晶の有効屈折率n
effが1.58になる場合、暗い状態として表示され、有効屈折率n
oが1.529になるように電圧を増加する場合、明るい状態として表示され、ナノレベルの液晶層の厚さにより、液晶の応答時間は非常に高速であり、画素が明るい状態と暗い状態にとどまる時間の比率を制御することによって、画素の輝度は制御される。この画素構造は、単色光のみを変調し、例えば、赤色光、青色光又は緑色光のみを変調する。勿論、異なる色の単色光を変調する場合に、画素構造のパラメータを調整する必要がある。
【0099】
本発明の実施例は、表示デバイスをさらに提供し、
図7に示すように、当該表示デバイスは複数の画素構造70を含み、当該画素構造70は当該実施例によって提供される画素構造である。
【0100】
任意選択で、当該表示デバイスは、
図8に示すような単色表示デバイスであってもよい。或いは、
図9に示すようなカラー表示デバイスであってもよく、
図9に示すカラー表示デバイスは第1の画素構造、第2の画素構造、及び第3の画素構造を含む。
【0101】
本実施例はさらに表示装置を提供し、当該表示装置は狭帯域光源と、前記狭帯域光源の出射光路にある表示デバイスとを含み、前記表示デバイスは、
図9に示すような表示デバイスである。
【0102】
本実施例は投影表示システムをさらに提供し、狭帯域光源と、狭帯域光源の出射光路にある表示デバイスとを含み、当該表示デバイスは、
図8に示すような第1の、第2の及び第3の単色表示デバイスである。当該投影表示システムは、
図10又は
図18に示すような反射型投影表示システムであってもよく、
図11に示すような透過型投影表示システムであってもよい。
【0103】
上記表示デバイス、表示装置、及び投影表示システムに含まれる構造のパラメータは以下のようであり、
任意選択で、第1の狭帯域光源は、波長が632.8nmである赤色光を放射するレーザー光源であり、第1の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは414nmであり、第1の画素構造内の反射膜の反射率は90%であり、第1の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.529〜1.58であり、
第2の狭帯域光源は、波長が530nmである緑色光を放射するレーザー光源であり、第2の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは347nmであり、第2の画素構造内の反射膜の反射率は89%であり、第2の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.529〜1.58であり、
第3の狭帯域光源は、波長が450nmである青色光を放射するレーザー光源であり、第3の画素構造内のファブリーペロキャビティの厚さは294nmであり、第3の画素構造内の反射膜の反射率は87%であり、第3の画素構造内の液晶層の屈折率の変化範囲は1.529〜1.58である。
【0104】
光源と透過率又は反射率との対応関係は
図20から
図25に示す通りである。
【0105】
本明細書の各実施例は、漸進的に説明されている。各実施例は、他の実施例との違いに焦点を当てており、各実施例の間の同じ又は類似の部分は、相互に参照することができる。開示された実施例の上記の説明は、当業者が本発明を実現又は使用することを可能にする。これらの実施例に対する様々な修正は当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施例で実施することができる。そのため、本発明は、本明細書に示される実施例に限定されず、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲に符合するものである。