特許第6873522号(P6873522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873522環状硫酸エステル系化合物の調製方法及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6873522
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】環状硫酸エステル系化合物の調製方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 327/10 20060101AFI20210510BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20210510BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20210510BHJP
【FI】
   C07D327/10
   H01M10/0567
   !H01M10/052
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-165200(P2020-165200)
(22)【出願日】2020年9月30日
【審査請求日】2020年9月30日
(31)【優先権主張番号】202010535321.7
(32)【優先日】2020年6月12日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518187318
【氏名又は名称】上海如鯤新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】江 杰
(72)【発明者】
【氏名】蔡 佳豪
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第110386916(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第108658928(CN,A)
【文献】 特開2003−238556(JP,A)
【文献】 特開平02−085276(JP,A)
【文献】 特開2008−230970(JP,A)
【文献】 BARAN, A. et al.,Synthesis of Bicyclo[2.2.2]octane-2,3,5,6,7,8 hexols (Bishomoinositols) as Glycosidase Inhibitors,J. Org. Chem.,2008年,Vol. 73,pp. 4370-4375
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 327/10
H01M 10/0567
H01M 10/052
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状硫酸エステル系化合物の調製方法であって、調製原料は、化合物A、硫黄含有酸化物を含み、

前記硫黄含有酸化物は、α型SO、β型SO、γ型SO、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体、三酸化硫黄N,N−ジメチルアニリン錯体、三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体、発煙硫酸から選択された少なくとも1つである、ことを特徴とする調製方法。
【請求項2】
Rは、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、ハロゲン化C1−C10アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、Xは、C又はSであり、

ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
Rは、H、メチル、ビニル、フッ素、CF、Phから選択された1つであり、Xは、C又はSであり、

ことを特徴とする請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記硫黄含有酸化物における硫黄原子の原子価状態は+6である、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
化合物A及び硫黄含有酸化物を一定の温度で反応させ、前記反応温度は−20〜200℃であ、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記反応温度は20〜100℃である、ことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は0.5〜20:1であ、ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は1〜5:1である、ことを特徴とする請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
前記調製原料は溶媒を更に含み、前記溶媒は、フラン系溶媒、ベンゼン系溶媒、ニトリル系溶媒、アルコールエーテル系溶媒、塩素化アルカン系溶媒、1,4−ジオキサンのいずれかから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成技術の分野に属し、具体的には、環状硫酸エステル系化合物の調製方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸エチレン(DTD)系化合物は、リチウムイオン電池の電解液添加剤であり、電池の初期容量の低下を抑制し、初期放電容量を増加させ、高温保存後の電池の膨張を低減し、電池の充放電性能とサイクル数を向上させることができる。
【0003】
最初期の調製方法であるUS3100780、CN91104594では、エチレンオキシド及び三酸化硫黄を原料とし、両者の正確な添加比率で良好な収率を得ることができる。しかしながら、エチレンオキシドは有毒な発癌物質であり、燃焼・爆発しやすく、沸点はわずか10.8℃であり、長距離輸送が容易ではないため、使用範囲に影響を与える強い地域特性を有する。本反応は激しく発熱し、エチレンオキシド及び三酸化硫黄の沸点が低く、高圧が非常に発生しやすい。操作の安全性を確保するためには、正確な材料供給の制御が必要である。
【0004】
もう一つの方法では、亜硫酸エチレンを原料として、酸化法で調製する。例えば、CN1037510Aでは、三塩化ルテニウムの触媒下で、亜硫酸エチレンを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で酸化して、硫酸エチレンを調製する。この方法では、過剰の次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する必要があり、大量の塩含有廃水が生成され、製品に塩素が含まれるために電解液の性能に影響を与える。硫酸エチレンは水溶液中で安定しないため、収率が低い。緩衝塩を添加することで製品の安定性を高めて収率を向上させるという文献CN201811489064もあるが、塩含有廃水はさらに多くなっている。他のDTD調製方法には、次のもがある。CN201810107719では、調製のために、エチレングリコールを原料として、フッ化スルフリルと反応させるが、処理が難しい大量のフッ素含有廃水を生成する。
【0005】
上記の調製方法は、ガス原料であるエチレンオキシドの使用を必要とするか、又は大量の塩含有廃水を生成する。設備に対する要求が高く、3つの廃棄物(廃液・廃ガス・固形廃棄物)の量が多く、操作手順が煩雑であり、環境汚染が激しく、合成プロセスには大きな改善の余地がある。
【発明の概要】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明の第1態様では、環状硫酸エステル系化合物の調製方法を提供する。調製原料は、化合物A、硫黄含有酸化物を含む。
【0007】
好ましい実施形態として、Rは、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、ハロゲン化C1−C10アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSであり、
【0008】
好ましい実施形態として、Rは、H、メチル、ビニル、フッ素、CF、Phから選択された1つであり、Xは、C又はSであり、
【0009】
好ましい実施形態として、前記硫黄含有酸化物における硫黄原子の原子価状態は+6である。
【0010】
好ましい実施形態として、前記硫黄含有酸化物は、α型SO、β型SO、γ型SO、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体、三酸化硫黄N,N−ジメチルアニリン錯体、三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体、発煙硫酸から選択された少なくとも1つである。
【0011】
好ましい実施形態では、化合物A及び硫黄含有酸化物を一定の温度で反応させ、前記反応温度が−20〜200℃であるステップを含む。好ましくは、前記反応温度は、20〜100℃である。
【0012】
好ましい実施形態として、前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は0.5〜20:1である。好ましくは、前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は1〜5:1である。
【0013】
好ましい実施形態として、調製原料は溶媒を更に含む。前記溶媒は、フラン系溶媒、ベンゼン系溶媒、ニトリル系溶媒、アルコールエーテル系溶媒、塩素化アルカン系溶媒、1,4−ジオキサンの1つである。
【0014】
本発明の第2態様では、前記調製方法により得られた高純度の環状硫酸エステル系化合物が提供される。
【0015】
本発明の第3態様では、前記高純度の環状硫酸エステル系化合物を含む電解液が提供される。
【0016】
有益な効果は次のとおりである。化合物A及び三酸化硫黄の供給源が信頼でき、価格が安く、反応条件が温和であり、操作が簡単であり、反応プロセスで廃水の生成がなく、3つの廃棄物が少なく、製品の品質が良好であり、大規模生産に適し、高純度の電池グレードの硫酸エチレン系化合物の取得が可能であり、実施価値が高く、社会的及び経済的メリットがある。
【0017】
本発明は、慎重な研究により、化合物Aと硫黄含有酸化物を20〜100℃で反応させて、高収率及び高純度の環状硫酸エステル系化合物取得すること、及び、反応条件及び化合物Aと硫黄含有酸化物の比率を厳密に制御することで、反応条件が温和になり、制御が容易になることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、環状硫酸エステル系化合物の調製方法を提供する。調製原料は、化合物A、硫黄含有酸化物を含む。
【0019】
好ましくは、Rは、H、アルキル、アルケニル、ハロゲン化アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSであり、
【0020】
さらに好ましくは、Rは、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、ハロゲン化C1−C10アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSであり、
【0021】
さらに好ましくは、Rは、H、メチル、ビニル、フッ素、CF、Phから選択された1つであり、XはC又はSであり、
【0022】
Rは、H、アルキル、アルケニル、置換アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSである。好ましくは、Rは、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、ハロゲン化C1−C10アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSである。さらに好ましくは、Rは、H、メチル、ビニル、フッ素、CF、Phから選択された1つであり、XはC又はSである。
【0023】
であり、Rは、H、アルキル、アルケニル、置換アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSである。好ましくは、Rは、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、ハロゲン化C1−C10アルキル、アリール、ハロゲンから選択された1つであり、XはC又はSである。さらに好ましくは、Rは、H、メチル、ビニル、フッ素、CF、Phから選択された1つであり、XはC又はSである。
【0024】
別の実施形態として、前記化合物Aは、炭酸エチレン、炭酸ビニレン、フルオロ炭酸エチレン、ビニル炭酸エチレン、4−トリフルオロメチル炭酸エチレン、4−フェニル亜硫酸エチレンから選択された1つである。
【0025】
前記硫黄含有酸化物における硫黄原子の原子価状態は+6である。
【0026】
好ましくは、前記硫黄含有酸化物は、α型SO、β型SO、γ型SO、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体、三酸化硫黄N,N−ジメチルアニリン錯体、発煙硫酸から選択された少なくとも1つである。
【0027】
前記α型SOは、石綿のような繊維状の外観を有し、構造的には、[S(=O)(μ−O)]nのような形のポリマーであり、ポリマー分子の各末端は−OHで終了する。
【0028】
前記β型SOは、α構成と類似するが、異なる相対分子量を有する繊維状のポリマーである。その分子末端はすべて水酸基であり、融点は62.4℃である。
【0029】
前記γ型SOの環状構造は[S(=O)2(μ−O)]3と呼ばれる。
【0030】
前記γ型SOとβ型SOはいずれも準安定であり、長期間経過すると、最終的には安定したα構成に変化する。この変化は微量の水によって引き起こされる。
【0031】
好ましくは、前記環状硫酸エステル系化合物の調製方法は、化合物A及び硫黄含有酸化物を一定の温度で反応させるステップを含む。
【0032】
好ましくは、前記反応温度は、−20〜200℃である。好ましくは、前記反応温度は、20〜100℃である。さらに好ましくは、前記反応温度は、40〜80℃である。
【0033】
好ましくは、前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は0.5〜20:1である。さらに好ましくは、前記化合物Aと硫黄含有酸化物のモル比は1〜5:1である。
【0034】
好ましくは、前記硫黄含有酸化物の滴下時間は、1〜3時間である。硫黄含有酸化物の滴下時間を制御することで、反応物を十分に反応させ、副反応の発生を減少させる。
【0035】
前記化合物Aと硫黄含有酸化物の反応は、不活性ガス保護の下で行われる。
【0036】
本発明の目的をよりよく実現するために、溶媒も含まれる。前記溶媒は、フラン系溶媒、ベンゼン系溶媒、ニトリル系溶媒、アルコールエーテル系溶媒、塩素化アルカン系溶媒、1,4−ジオキサンから選択された1つである。
【0037】
前記フラン系溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランの1つを含む。
前記ベンゼン系溶媒は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの少なくとも1つを含む。
【0038】
前記ニトリル系溶媒としては、アセトニトリルが挙げられる。
前記アルコールエーテル系溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
前記塩素化アルカン系溶媒としては、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレンが挙げられる。
【0039】
さらに、反応生成物を後処理することで、環状硫酸エステル系化合物の純度が向上する。
【0040】
前記後処理プロセスは、濾過、減圧蒸留、再結晶化を含む。
【0041】
【0042】
本発明は、慎重な研究により、化合物Aと硫黄含有酸化物を20〜100℃で反応させて、高収率及び高純度の環状硫酸エステル系化合物取得すること、及び、反応条件及び化合物Aと硫黄含有酸化物の比率を厳密に制御することで、反応条件が温和になり、制御が容易になることを発見した。また、環状硫酸エステル系化合物の加水分解を効果的に低減することができる。生成物中の水分含有量≦100ppmである。
【0043】
本出願の第3態様では、前記環状硫酸エステル系化合物を含む電解液が提供される。好ましくは、前記環状硫酸エステル系化合物は硫酸エチレンである。
【0044】
以下、実施例を参照しながら、本発明を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をさらに説明するためにのみ使用され、本発明の保護の範囲を限定するものとして理解され得ないことを指摘する必要がある。上記の本発明の内容に基づいて、当業者によって行われたいくつかの非本質的な改善及び調整は、依然として本発明の保護範囲に属する。
【0045】
また、他に説明がなければ、使用している原材料はすべて市販品である。
【0046】
<実施例1>
炭酸エチレンと三酸化硫黄の反応による硫酸エチレンの調製
窒素の保護下で、220gの炭酸エチレンを25±5℃に冷却した後、40gの三酸化硫黄を滴下し始めた。滴下時間は2時間であり、滴下完了後、65±5℃に昇温し、6時間反応させた。二酸化炭素の生成があった。その後、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧蒸留して、過剰の炭酸エチレンを回収した。濃縮液に120mlのジクロロメタンを加え、溶解するために加熱還流し、−10℃に冷却して結晶化した。濾過、減圧乾燥により、硫酸エチレン47.1gを取得した。含有量は99.5%であり、収率は76%であった。
Mp(融点):95.2℃
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):4.67(s,4H);
13CNMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 68.7
【0047】
<実施例2>
炭酸ビニレンと三酸化硫黄の反応による硫酸ビニレンの調製
窒素の保護下で、43gの炭酸ビニレンを200mlのジクロロメタンに加え、0〜10℃に冷却した後、40gの三酸化硫黄を滴下し始めた。滴下時間は2時間であり、滴下完了後、40℃に昇温し、6時間反応させた。次に、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧濃縮して、約100gのジクロロメタンを回収した。その後、結晶化のために−10℃に冷却した。濾過、減圧乾燥により、硫酸ビニレン38.4gを取得した。含有量は99.0%であり、収率は63%であった。
Mp:51.0℃
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):5.25(s,2H);
13CNMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 150.5
【0048】
<実施例3>
フルオロ炭酸エチレンと三酸化硫黄の反応による4−フルオロ硫酸エチレンの調製
窒素の保護下で、200gのフルオロ炭酸エチレンを40〜50℃に制御した後、40gの三酸化硫黄を滴下し始めた。滴下時間は3時間であり、滴下完了後、温度を維持し、6時間反応させた。その後、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧濃縮して、約140gのフルオロ炭酸エチレンを回収した。濃縮液に250mlのジクロロエタンを加え、60℃に昇温し完全に溶解させた後、−10℃に冷却して結晶化した。濾過、減圧乾燥により、4−フルオロ硫酸エチレン55.4gを取得した。含有量は99.6%であり、収率は78%であった。
19FNMR(300MHz,CD3CN)δ(ppm):−79.23
【0049】
<実施例4>
ビニル炭酸エチレンと三酸化硫黄の反応による4−ビニル硫酸エチレンの調製
窒素の保護下で、60gの4−ビニル炭酸エチレン(CAS番号:4427−96−7)を200mlのジクロロエタンに加え、0〜10℃に冷却した後、80gの三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体(三酸化硫黄の濃度は50wt%であり、CAS番号は29584−42−7である)を加えた。添加時間は2時間であり、滴下完了後、40〜50℃に昇温して、6時間反応させた。その後、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧濃縮して、約100gのジクロロエタンを回収し、300mlのn−ヘプタンに加えた。その後、結晶化のために−10℃に冷却した。濾過、減圧乾燥により、4−ビニル硫酸エチレン41.3gを取得した。含有量は99.1%であり、収率は55%であった。
【0050】
<実施例5>
4−トリフルオロメチル炭酸エチレンと三酸化硫黄の反応による4−トリフルオロメチル硫酸エチレンの調製
窒素の保護下で、78gの4−トリフルオロメチル炭酸エチレン(CAS番号:167951−80−6)を200mlの2−メチルテトラヒドロフランに加え、0〜10℃に冷却した後、40gの三酸化硫黄を滴下し始めた。滴下時間は約2時間であり、滴下完了後、40℃に昇温して、6時間反応させた。次に、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧濃縮して、2−メチルテトラヒドロフランを回収し、濃縮液に100mlのジクロロエタンを加えた。その後、結晶化のために−10℃に冷却した。濾過、減圧乾燥により、4−トリフルオロメチル硫酸エチレン71.0gを取得した。含有量は99.3%であり、収率は74%であった。
【0051】
<実施例6>
窒素の保護下で、70gのα−フェニルエチレングリコール(CAS番号:93−56−1)を200mlのジクロロエタンに加え、温度を30〜40℃に制御し、70gの塩化チオニルを滴下し、滴下は1時間で完了した。次に、昇温し脱溶媒して、ジクロロエタンを回収した。その後、減圧蒸留により中間体4−フェニル亜硫酸エチレン88.6gを取得した。収率は95%であった。
【0052】
上記の調製された46.0gの4−フェニル亜硫酸エチレンを取って、100mlのジクロロエタンに加え、0〜10℃に冷却した後、20gの三酸化硫黄を滴下し始めた。滴下時間は1時間であり、滴下完了後、40℃に昇温して、6時間反応させた。次に、ミリポアフィルターで反応液を濾過し、濾過液を減圧濃縮して、ジクロロエタンを回収し、濃縮液に100mlのn−ヘプタンを加えた。その後、結晶化のために0℃に冷却した。濾過、減圧乾燥により、4−フェニル硫酸エチレン40.0gを取得した。含有量は99.6%であり、収率は80%であった。
【0053】
上記は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を他の形態に限定することを意図するものではなく、当業者であれば、上記に開示された技術的内容を使用して同等の変化を伴う同等の実施例に変更又は修正することができるが、本発明の技術的解決策の内容から逸脱することなく、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して行われたあらゆる簡単な修正、同等の変化及び改造は、依然として本発明の技術的解決策の保護範囲に属する。
【要約】      (修正有)
【課題】環状硫酸エステル系化合物の調製方法及びその用途の提供。
【解決手段】環状硫酸エステル系化合物の調製方法であって、調製原料は、下式の化合物A、硫黄含有酸化物を含む。

該方法によれば、高純度の電池グレードの環状硫酸エステル系化合物の取得が可能であり、実行価値が高く、社会的及び経済的メリットがある。
【選択図】なし