(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873528
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】圧力検出に基づく自動化されたクロマトグラフィーカラム切替制御
(51)【国際特許分類】
G01N 30/02 20060101AFI20210510BHJP
G01N 30/52 20060101ALI20210510BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20210510BHJP
G01N 30/42 20060101ALI20210510BHJP
B01D 15/10 20060101ALI20210510BHJP
G01N 30/04 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/52
G01N30/46 E
G01N30/42
B01D15/10
G01N30/04 C
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-532669(P2017-532669)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2018-502293(P2018-502293A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2015079696
(87)【国際公開番号】WO2016096790
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】62/093,450
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ラスキ,カロル・マチェイ
【審査官】
高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05683491(US,A)
【文献】
特開平11−128604(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/151214(WO,A1)
【文献】
特表2000−508769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 −30/96
B01J 20/281−20/292
B01D 15/00 −15/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラムの中のクロマトグラフィー媒体の飽和のレベルをモニターするための方法であって、前記方法が、
非負荷カラムの入口の第1の圧力を測定する工程と;
負荷カラムからの入口の第2の圧力を測定する工程と;
前記第1および第2の圧力測定値を比較して、前記クロマトグラフィー媒体の前記飽和のレベルを決定する工程とを含み、
前記方法は、
前記非負荷カラムおよび前記負荷カラムの溶出液ラインからの圧力をそれぞれ測定する工程と;
各溶出液ラインからの圧力を前記第1の圧力および前記第2の圧力から引いたものである、前記非負荷カラムおよび前記負荷カラムの補正圧力を生成する工程とをさらに含み;
前記比較工程が前記補正した第1の圧力と第2の圧力を比較する、方法。
【請求項2】
前記第2の圧力を連続的に測定することによって、クロマトグラフィープロセスの間に前記飽和のレベルが連続的にモニターされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クロマトグラフィープロセス中の2つの異なる時点の前記第1の圧力と前記第2の圧力の差としてデルタ圧力を計算する工程;および、前記デルタ圧力を用いて前記カラムの飽和点(f)を決定する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
周期的向流(PCC)システムの各々のクロマトグラフィーカラムからの第1の圧力および第2の圧力を測定する工程、およびこれらの第2の圧力を前記第1の圧力と一緒に用いて、クロマトグラフィープロセスの間に前記PCCシステムの前記異なるクロマトグラフィーカラムの前記飽和のレベルを連続的に決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の圧力および前記第2の圧力が、同じ種類の検出器を用いて測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の圧力および前記第2の圧力が、圧力センサを用いて測定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムを備えるクロマトグラフィーシステムであって:
供給ポンプと前記少なくとも1つのカラムの入口との間の供給ラインの第1および第2の圧力を測定するように構成されている第1の検出器(この際、第1の圧力は非負荷カラムについて測定され、第2の圧力は負荷カラムについて測定される);
前記システムの第1のカラムからの溶出液ラインの圧力を測定するように構成されている随意の第2の検出器;および
前記検出器に接続され、前記第1および第2の圧力比較に基づいて前記第1のカラムの飽和レベルを決定するように構成されている、判定ユニット
をさらに備え、
前記判定ユニットが、前記第1および/または第2の検出器によって測定される圧力に基づいて、前記少なくとも1つのカラムの飽和レベルをクロマトグラフィープロセスの間に連続的に決定するように構成されており、
前記判定ユニットが、前記測定した圧力を使用して各々のカラムについて、それぞれ前記供給ラインからの前記第1の圧力および前記第2の圧力から前記溶出液ラインの前記圧力を引いたものである、補正した第1および第2の圧力を求め、且つ前記補正した第1の圧力および前記第2の圧力を比較するように構成されている、クロマトグラフィーシステム。
【請求項8】
少なくとも2つのカラムを周期的向流システムで備え、さらなる検出器を各々のさらなるカラムの後に1つさらに備え、各々のさらなる検出器が、各々のさらなるカラムからの前記溶出液ラインのさらなる圧力を測定するように構成され、各々の検出器が前記判定ユニットに接続され、前記判定ユニットが、前記第1、第2およびさらなる検出器によって測定した前記圧力に基づいて各々のクロマトグラフィーカラムの飽和レベルを前記クロマトグラフィープロセスの間に連続的に決定するように構成されている、請求項7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項9】
前記全ての検出器が同じ種類である、請求項7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項10】
前記検出器が圧力センサである、請求項9に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項11】
前記判定ユニットが、前記クロマトグラフィープロセス中の2つの異なる時点の前記補正した第1の圧力と前記補正した第2の圧力の差としてデルタ圧力を計算し;前記デルタ圧力を用いて前記カラムの飽和点(f)を決定するようにさらに構成されている、請求項7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項12】
前記判定ユニットに接続され、前記クロマトグラフィープロセスの間に前記決定した飽和レベルを連続的にモニターし、前記決定した飽和レベルに依存して異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止をリアルタイムで制御するように構成されている制御ユニットをさらに備える、請求項7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのカラムを備えるクロマトグラフィーシステムを制御するための方法であって、
請求項1に記載の少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムの飽和レベルを決定する工程と;
前記決定した飽和レベルに従って前記異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止を制御する工程とを含む、方法。
【請求項14】
前記クロマトグラフィープロセスの間に前記飽和レベルを連続的に決定すること、および前記決定した飽和レベルに従って前記異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止をリアルタイムで制御することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つのカラムを備える周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための方法であって、
前記周期的向流クロマトグラフィーシステムの各々のカラムから非負荷カラムを代表する第1の圧力を測定する工程と;
前記周期的向流クロマトグラフィーシステムの各々のカラムから負荷カラムを代表する第2の圧力を測定する工程と;
溶出液ラインの圧力を前記第1の圧力及び前記第2の圧力から引いたものである、補正した第1の圧力及び第2の圧力を使用し、且つ前記補正した第1の圧力及び第2の圧力を比較することによって、各々のクロマトグラフィーカラムの飽和レベルを決定する工程と;
前記決定した飽和レベルに依存して前記カラムへの、および前記カラム間の供給を制御する工程と
を含む、方法。
【請求項16】
クロマトグラフィープロセスの間に前記飽和レベルを連続的に決定すること、ならびに前記決定した飽和レベルに依存して前記カラムへの、および前記カラム間の前記供給をリアルタイムで制御することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記決定した飽和レベルに依存して供給ポンプと緩衝液ポンプの流量を制御することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記決定した飽和レベルに従って、異なるカラムが負荷ゾーンにどのくらいの時間、どの位置にいなければならないかを調節することによって、前記異なるカラムの特性および/または流量の相違を補うことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記判定ユニットが、デルタ圧力を前記クロマトグラフィープロセスの間に2つの異なる時点の前記第1の圧力と前記第2の圧力の差として計算し;前記デルタ圧力を用いて前記カラムの飽和点(f)を決定するようにさらに構成されている、請求項7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーカラムの結合容量を求めるための方法、クロマトグラフィーシステムおよびクロマトグラフィーシステムを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーカラムの溶質に対する結合容量は、プロセスクロマトグラフィーにおいて非常に重要な要因である。結合容量は、クロマトグラフィーステップの生産性およびコストに直接影響を及ぼす。結合容量は、動的/破過容量の点で、または最大結合容量として定義される。動的容量は、溶液がクロマトグラフィー媒体に充填されたカラムを通って流れる条件、例えばカラム体積と供給流量の比として定義される滞留時間によって決まる。最大結合容量は、滞留時間が無限に長い場合には、カラムの破過容量を表す。初期破過容量は、溶質が溶出液中で最初に検出される時点にカラムによって取り上げられる結合溶質の量として定義される。破過容量はまた、破過の所与百分率の容量としても定義されることができ、ここでその百分率は、供給材料中に存在する溶質の百分率で表される、カラムからの溶出液中に存在する結合溶質の量を表す。この定義によれば、最大結合容量は、100%の破過容量、すなわち溶質がこれ以上カラムに結合することができない時点と等しくなる。そのため、最大容量を求めるために、破過容量は異なる破過レベルで測定され、ここでそのレベルは、サンプル負荷の間にカラムからの溶出液において測定される溶質の濃度のレベルによって定義される。多くの場合、これらの濃度は、溶出液ラインに設置された検出器で通過画分中のシグナルを連続的にモニターすることによって求められる。これらの濃度(シグナル)の時間(または体積または負荷質量)に対するプロットは、破過曲線と呼ばれる。クロマトグラムでの破過の位置およびその形状は、どのくらい多くの溶質がカラムに結合することができるか、およびどれほど素早く全ての吸着部位が溶質によって飽和するかに関連する。それはまた、任意の時点にどれほど多くの溶質がカラムに結合することができるかも示す。
【0003】
不純物が存在する場合の溶質の破過結合容量は、精製プロトコールを開発する際に最適化する最も重要なパラメータの1つである。不純物は溶質と同様の光吸収性を有することがかなり多いので、結合破過容量の決定は、退屈で面倒な作業である。典型的な実験では、カラムからの溶出液は一連の画分に回収され、それはその後に溶質について高解像度技術、例えばHPLCなどを用いて分析される。従って、クロマトグラフィーカラムの結合容量の決定は、むしろ難しくなる。クロマトグラフィーカラムへの供給材料適用の間に供給液の濃度が無作為に変動する例では、真の破過容量は測定することが不可能である。最適なプロセス条件でカラムを操作したい場合、後者は非常に重要である。例えば、目的の溶質がカラム溶出液中のその濃度の特定の値、例としてその初期濃度の10%に達する時に、特定の条件下で捕獲クロマトグラフィーステップの最大の生産性が得られることを示すことができる。破過容量が上記の方法に従って求められる場合、供給材料濃度かまたはプロセス条件(流量および/またはクロマトグラフィー媒体の性質を含む)のいずれかが、予測不能な形で時間とともに変動するならば、カラムの負荷を正確な10%の破過で終了することは不可能である。
【0004】
さらに、変動するプロセス条件下で異なる破過レベルで破過容量を決定することは、連続クロマトグラフィーの場合に非常に重要である。
【0005】
連続クロマトグラフィーでは、数個の同一のカラムは、方法要件に応じて、カラムが直列に、かつ/または並列に動作するような配置に接続される。従って、全てのカラムは原則としては同時に、しかし方法ステップでは僅かにずれた状態で実行することができる。この手順は繰り返すことができるので、各々のカラムは、プロセスにおいて数回負荷され、溶出され、そして再生される。1回のクロマトグラフィーサイクルがいくつかの連続するステップ、例えば負荷、洗浄、溶出および再生に基づいている「従来の」クロマトグラフィーと比較して、複数の同一カラムに基づく連続クロマトグラフィーでは、これらの全てのステップは同時に、各々異なるカラムで行われる。連続的なクロマトグラフィーの運用は、結果としてクロマトグラフィー樹脂の利用が改善され、処理時間が短くなり、バッファー要件が少なくなり、その全てがプロセスの経済に役立つ。連続クロマトグラフィーは、時々、擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーと表示される。擬似移動床クロマトグラフィーは、周期的にシステムを構成する全てのクロマトグラフィーカラムがサンプルの流れと反対の方向に同時に動くので、周期的向流プロセスの一例である。カラムの見かけ上の動きは、カラムに出入りする入口および出口の流れの向きを適切に変えることによって実現される。
【0006】
Bishop et al (“Simulated Moving Bed technology in Biopharmaceutical Processing”, Bischops, M.and Pennings, M., Recovery Biological Products XI, (2003) Banff, Alberta, Canada)は、擬似移動床(SMB)技術に基づく連続クロマトグラフィー法を開示し、それはプロテインA親和性樹脂によるIgGの実験室規模の精製に首尾よく用いられた。SMBによって得られるマルチカラムおよびマルチゾーン連続アプローチはプロセス効率を大幅に増加させるという事実にも関わらず、SMBシステムは大規模なcGMPバイオ医薬品の製造にこれまで利用されてこなかった。それは主にハードウェアの全体像と操作上の全体像の両方からシステムが複雑であるためである。連続した方法はより複雑であり、非常に正確に予め定義された時点で同時に行う多くの操作(ステップ)を必要とするので、操作上の全体像は特に注目される。バッチクロマトグラフィーと対照的に、システムへの入力に変動性がない場合にのみ確立することのできる定常状態の仮定に基づいて安全率が機能するという定義によって、プロセス変数を説明するために安全率を導入することは連続プロセスに推奨されない。
【0007】
Heeter et al (Heeter, G.A.and Liapis, A.I., J.Chrom A, 711 (1995)は、典型的な4ゾーンのSMBシステムに変わるものとして、3カラムの周期的向流クロマトグラフィー(3C−PCC)原理に基づく方法を示唆した。最近、Lacki et al (“Protein A Counter−Current Chromatography for Continuous Antibody Purification”, Lacki, K.M.and Bryntesson, L.M., ACS (2004) Anaheim, CA USA)は、MabSelect(商標)親和性樹脂へのIgG吸着のためのそのような3C−PCCシステムの使用を記載した。この3C−PCC法は、典型的な4ゾーンのSMBシステムよりも単純なハードウェアおよび容易な操作を必要とし、システムの資本設備および維持に関連するコストを直接的に低減する。
【0008】
実際に、擬似移動床技術は、様々なその他の分野において数十年間利用されてきた。例えば、米国特許第3,291,726号(Universal Oil Products)は、石油化学工業向けの連続擬似向流吸着プロセスを早くも1966年に記載した。
【0009】
歴史的に、信頼性のある連続プロセスに必須の要因は:1)使用するカラムの品質、より具体的にはカラム間の類似性またはさらには同一性、2)一定の供給材料組成、および3)ハードウェア信頼性、より具体的にはポンプによって送達される一定の流量である。カラムが同一でない場合、一般に連続クロマトグラフィープロセスを設計するために使用される理論計算は正しくないことになり、効率的で頑丈な連続クロマトグラフィープロセスを設計することは困難になる。同じ議論は、供給材料濃度および流量が予期しない方法で時間とともに変動する場合にあてはまる。そのため、同一のカラムでスケールアップを検討するには、信頼性のあるポンプがシステムに必要不可欠である。しかし、反復可能な結果を得るために、カラムをクロマトグラフィー媒体で充填することは非常に複雑である。プレート数またはその他の充填特性の小さな相違でさえ、最終結果に大きな影響を及ぼし得る。さらに、クロマトグラフィー樹脂の容量は一般に樹脂耐用年数/使用の間に変化するので、新鮮な樹脂に選択されるプロセス条件は、数回使用した樹脂に適用できない。また、供給液濃度も変動するならば、常にその最適条件で動く効果的な連続クロマトグラフィープロセスを設計することはさらにより複雑になるであろう。
【0010】
近年、Bangtsson P. et al.は、クロマトグラフィーカラムが飽和して、プロセスの目的、例として収率または生産性を満たすレベルとなる時点を検出する方法を提案した(米国特許出願公開第20120091063号)。この方法では、飽和レベルの検出は、供給材料および溶出液からの負荷カラムの前後のUVシグナルの比較に基づく。この溶液は多くの分離タスクに対して頑丈であることが示されているが、生成物濃度が低い場合および/または不純物の濃度が高い場合には、この方法の適用性は制限されることが証明され得る。単一カラム構成であろうと、多層カラムシステムであろうと、クロマトグラフィー媒体の飽和のレベルを効果的にモニターすることのできる方法を開発することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2012/074481号
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、カラムの中のクロマトグラフィー媒体の飽和レベル/結合容量を判定およびモニターするための信頼性のある動的な方法を提供することである。
【0013】
従って、一態様では、本発明は、カラムの中のクロマトグラフィー媒体の飽和のレベルをモニターするための方法を提供し、その方法は、非負荷カラムの入口の第1の圧力を測定すること;負荷カラムの入口の第2の圧力を測定すること;ならびに第1および第2の圧力測定値を比較して、クロマトグラフィー媒体の飽和のレベルを決定することを含む。
【0014】
特定の実施形態では、飽和のレベルは、第2の圧力を連続的に測定することによって、クロマトグラフィープロセスの間に連続的にモニターされる。特定の実施形態では、本方法は、クロマトグラフィープロセスの間の2つの異なる時点の第1の圧力と第2の圧力の差としてデルタ圧力を計算すること;および、デルタ圧力を用いてカラムの飽和点(f)を決定することをさらに含む。
【0015】
特定の実施形態では、本方法は、非負荷カラムおよび負荷カラムの溶出液ラインからの圧力をそれぞれ測定する工程;ならびに、第1の圧力および第2の圧力を対応する溶出液ラインからの圧力で調節することにより、非負荷カラムおよび負荷カラムの補正圧力を生成する工程をさらに含み;この際、比較工程は、補正した第1の圧力と第2の圧力を比較する。
【0016】
特定の実施形態では、本方法は、周期的向流(PCC)システムの各々のクロマトグラフィーカラムからの第1および第2の圧力を測定すること、ならびにこれらの第2の圧力を第1の圧力と一緒に用いて、クロマトグラフィープロセスの間にPCCシステムの異なるクロマトグラフィーカラムの飽和のレベルを連続的に決定することをさらに含む。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、カラムの中のクロマトグラフィー媒体の飽和レベル/結合容量を判定およびモニターするための方法を実現するためのクロマトグラフィーシステムを提供することである。従って、本発明のもう一つの態様は、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムを備えるクロマトグラフィーシステムを提供し、そのシステムは、供給ポンプと少なくとも1つのカラムの入口との間の供給ラインの第1および第2の圧力を測定するように構成されている第1の検出器(この際、第1の圧力は非負荷カラムについて測定され、第2の圧力は負荷カラムについて測定される);システムの第1のカラムからの溶出液ラインの圧力を測定するように構成されている随意の第2の検出器;および、検出器に接続され、第1および第2の圧力比較に基づいて第1のカラムの飽和レベルを決定するように構成されている判定ユニットをさらに備える。
【0018】
特定の実施形態では、クロマトグラフィーシステムの判定ユニットは、第1および/または第2の検出器によって測定される圧力に基づいて、少なくとも1つのカラムの飽和レベルをクロマトグラフィープロセスの間に連続的に決定するように構成されている。特定の実施形態では、判定ユニットは、クロマトグラフィープロセスの間の2つの異なる時点の第1の圧力と第2の圧力の差としてデルタ圧力を計算し;デルタ圧力を用いてカラムの飽和点を決定するようにさらに構成されている。特定の実施形態では、判定ユニットは、測定した圧力を使用して、各々のカラムについて、それぞれ供給ラインからの第1および第2の圧力から溶出液ラインの圧力を引いたものである、補正した第1および第2の圧力を求め;補正した第1および第2の圧力を比較するように構成されている。特定の実施形態では、判定ユニットは、デルタ圧力をクロマトグラフィープロセスの間の2つの異なる時点の補正した第1の圧力と補正した第2の圧力の差として計算し;デルタ圧力を用いてカラムの飽和点を決定するようにさらに構成されている。
【0019】
特定の実施形態では、クロマトグラフィーシステムは、少なくとも2つのカラムを周期的向流システムで備え、さらなる検出器を各々のさらなるカラムの後に1つさらに備え、各々のさらなる検出器は、各々のさらなるカラムからの溶出液ラインのさらなる圧力を測定するように構成され、各々の検出器は判定ユニットに接続され、判定ユニットは第1、第2およびさらなる検出器によって測定した圧力に基づいて各々のクロマトグラフィーカラムの飽和レベルをクロマトグラフィープロセスの間に連続的に決定するように構成されている。
【0020】
特定の実施形態では、クロマトグラフィーシステムは、判定ユニットに接続され、クロマトグラフィープロセスの間に決定した飽和レベルを連続的にモニターし、決定した飽和レベルに依存して異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止をリアルタイムで制御するように構成されている、制御ユニットをさらに備える。
【0021】
本発明の一実施形態では、クロマトグラフィーシステムは周期的向流システムである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、クロマトグラフィーシステムを制御するための信頼性のある動的な方法を提供することである。従って、一態様では、本発明は、本発明の特定の態様に従う少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムの飽和レベルを決定する工程;および、決定した飽和レベルに従って異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止を制御する工程を含む、少なくとも1つのカラムを備えるクロマトグラフィーシステムを制御するための方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、クロマトグラフィープロセスの間に飽和レベルを連続的に決定すること、および決定した飽和レベルに従って異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止をリアルタイムで制御することを特徴とする。
【0023】
本発明のさらなる目的は、周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための信頼性のある動的な方法を提供することである。従って、一態様では、本発明は、システムの各々のカラムから非負荷カラムを代表する第1の圧力を測定する工程;システムの各々のカラムから負荷カラムを代表する第2の圧力を測定する工程;発明の特定の態様に従って各々のクロマトグラフィーカラムの飽和レベルを決定する工程;および、決定した飽和レベルに依存してカラムへの、およびカラム間の供給を制御する工程を含む、少なくとも2つのカラムを備える周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための方法を提供する。
【0024】
特定の実施形態では、周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための方法は、クロマトグラフィープロセスの間に飽和レベルを連続的に決定すること、ならびに決定した飽和レベルに依存してカラムへの、およびカラム間の供給をリアルタイムで制御することを特徴とする。
【0025】
特定の実施形態では、周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための方法は、決定した飽和レベルに依存して供給ポンプと緩衝液ポンプの流量を制御することをさらに含む。
【0026】
特定の実施形態では、周期的向流クロマトグラフィーシステムを制御するための方法は、決定した飽和レベルに従って、異なるカラムが負荷ゾーンにどのくらいの時間、どの位置にいなければならないかを調節することによって、異なるカラムの特性および/または流量の相違を補うことをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による1つのクロマトグラフィーカラムと2つの検出器を備えるクロマトグラフィーシステムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1のクロマトグラフィーシステム設計による検出器から得られるUVシグナルと圧力シグナルを比較する図表を示す図である。
【
図3】本発明による4つの検出器を備える3カラムの周期的向流(3C−PCC)システムを概略的に示す図である。
【
図4a】
図3の3つのバルブを概略的に示す図である。
【
図4b】
図3の3つのバルブを概略的に示す図である。
【
図4c】
図3の3つのバルブを概略的に示す図である。
【
図5】3C−PCCシステムの3つの検出器から得られるUVシグナルと圧力シグナルを比較する図表を示す図である。実線:UVシグナル;点線:圧力シグナル。
【発明を実施するための形態】
【0028】
先行技術に関連して考察される困難を回避するために、フィードバックのような制御原理に基づくリアルタイム制御アルゴリズムが本発明によって提供される。従って、プロセスのどんな時点でも異なるカラムの状態を評価するための方法は、特に関心が持たれる。例えば、特定の破過レベルのクロマトグラフィーカラムの結合容量を知ることにより、カラムがまだ溶質に結合することができるか、およびカラムが完全な飽和に達するまでにどのくらいの溶質が結合できるかを評価することができる。同様に、初期破過容量に達したかどうかを知ることはプロセス収率を展望する上で重要な関心事である。それは、この時点で溶質はカラムからの溶出液流に見出され、適切な行動が取られなければ、廃棄流に向けられるかまたはその他の非結合成分と一緒に回収されることになるためである。
【0029】
従って、本発明の一実施形態は、飽和しているカラムの圧力低下をモニターし、この情報を用いて望ましい破過点を検出することに基づく、カラムの飽和レベルまたは破過を検出するための方法論を提供した。これは、(1)圧力低下の明確な値を検出すること、または(2)時間およびまたは適用した体積または質量の関数として圧力低下の変化率を検出することによって達成することができる。本発明の別の実施形態は、カラムの飽和レベルまたは破過を検出するためのより単純な方法を提供する。従って、検出は、非負荷カラムからの圧力と負荷カラムからの圧力の比較に基づくものでありうる。「非負荷カラム」とは、分離するサンプルをまだ負荷していないか、あるいは標的化合物かまたは不純物の破過の直前の、同じカラムを意味する。あるいは、「非負荷カラム」は、分離カラムとして同じ種類の樹脂で充填され、同じカラム平衡化緩衝液で平衡化される同一のカラムであってよい。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による簡単なクロマトグラフィーシステムの部分を概略的に示す。このクロマトグラフィーシステムは、1つのクロマトグラフィーカラム1を含む。それは、クロマトグラフィーカラム1の入口端5に接続された供給ライン3をさらに含む。カラム1に通すサンプルは、供給ライン3を通して加えることができる。システムは、反対側、すなわちクロマトグラフィーカラム1の出口端7に接続された溶出液ライン9をさらに含む。クロマトグラフィーカラム1を通過したサンプルは、溶出液ライン9を通過することができる。クロマトグラフィーシステムは、好ましくはカラム1の入口端5に近い、供給ライン3に沿ったどこかに位置する第1の検出器11を含む。第1の検出器11は、供給ラインのシグナルを検出するように構成されている。さらに、クロマトグラフィーシステムは、好ましくはカラム1の出口端7に近く、溶出液シグナルを検出するように構成されている、溶出液ライン9に沿ったどこかに位置する第2の検出器13を含む。第1および第2の検出器11、13は、好適には同じ種類の検出器である。特定の実施形態では、第1および第2の検出器は、圧力センサである、すなわちサンプルの圧力を測定する。圧力センサは周知であり、あるいは、他の名前の中でも、圧力変換器、圧力伝送器、圧力送信器、圧力指示器、ピエゾメーターおよびマノメーターと呼ばれることがある。その他の可能性のある種類の検出器は、UV、pH、導電率、光散乱、蛍光、IRまたは可視光を測定するものである。システムの中の異なる検出器が同じ種類の検出器でない場合、検出されたシグナルは、本発明によるさらなる計算に使用される時に相関している必要がある。
【0031】
さらに、本発明によれば、第1および/または第2の検出器11、13は、判定ユニット15に接続されている。このユニットは、クロマトグラフィーカラムの結合容量を求めるために、第1および第2の検出器11、13で検出されたシグナルを分析する。
【0032】
本発明のもう一つの実施形態では、
図1に示されるクロマトグラフィーシステムと対照的に、クロマトグラフィーシステムは、好ましくはカラムの入口端に近い、供給ラインに沿ったどこかに位置する1つの検出器を含む。この検出器は、カラムが負荷されていない時であろうと、カラムが負荷されている時であろうと、クロマトグラフィープロセスの間に供給ラインの圧力シグナルを検出するように構成されている。特定の実施形態では、検出器は圧力センサである。さらに、クロマトグラフィーカラムの結合容量および/または飽和レベルを求めるために、検出器は、検出器で検出されたシグナルを分析する判定ユニットに接続される。
【0033】
本発明のもう一つの実施形態では、
図1および上に示される代わりのクロマトグラフィーシステムとは対照的に、クロマトグラフィーシステムは、カラムの供給ラインに沿ったどこかに位置する別の検出器をさらに含んでよい。この検出器は、供給ラインの圧力とは異なるシグナルを検出するように構成されている。さらに、クロマトグラフィーシステムは、溶出液ラインに沿ったどこかに位置し、圧力以外の溶出液シグナルを検出するように構成されている別の検出器を含む。これらの検出器は、好適には同じ種類の検出器であってよい。特定の実施形態では、検出器は、UV、pH、導電率、光散乱、蛍光、IRまたは可視光を測定する。さらに、これらの検出器も、判定ユニットに接続される。このユニットは検出したシグナルを分析し、クロマトグラフィーカラムの結合容量およびまたは飽和レベルを評価する際にこれらのシグナルと圧力シグナルを使用する。
【0034】
本発明の特定の実施形態を実証するために、検出した圧力シグナルを
図2(シグナル強度を経時的に示す)に示し、UVシグナルと比較する。
図2は、カラム前のUVシグナル(21、供給材料シグナル)、カラム後のUVシグナル(25、溶出液シグナル)、および供給ライン(28)で測定される圧力シグナルを表す曲線を示す。
【0035】
曲線21および25は、供給材料中の生成物の総濃度を表すUV値(27)を決定するために使用される。21と25の差の変化を追うことにより、カラムからの溶出液流中の生成物の濃度をモニターすることができ、それを使用して生成物によるカラム飽和のレベルを計算することができる(米国特許出願公開第20120091063号)。供給材料サンプルは、この例で、この時間ウィンドウの間は組成が一定であるので、供給材料シグナル21は、基本的に直線である。溶出液シグナル23は、一部のサンプルがカラム1を通過し、第2の検出器13が位置する溶出液ライン9の通路に入るとすぐに点aでゼロから上昇し始める。シグナルはその後、点bまで上昇し、そこでそれは平坦域25で横ばいになる。この平坦域25は、供給材料中の全ての非結合成分がカラムを通過した時に上昇する。シグナル23が再び上昇し始める時に平坦域25の後に、破過点cがさらに定められる。これは、カラム1中のクロマトグラフィー媒体が飽和し始め、カラムに結合しているはずのサンプルの一部の部分がカラムを破過するという事実による。シグナル23がシグナル21に接近する時に、破過点dがさらに定められる。この点は飽和点として定義され、クロマトグラフィー媒体がサンプルの成分によってほぼ完全に飽和する瞬間を表す。
【0036】
曲線28は、カラムへの供給材料適用中に供給ラインで測定された圧力の変化を表す。負荷フェーズ中の圧力の安定した増加により、カラムでかつ/または供給ラインで測定された圧力を、生成物で飽和したカラムと互いに関係づけることが可能になる。圧力曲線(28)はまた、そうでなければ米国特許出願公開第20120091063号のデルタUV法(点cおよびd)を用いて測定される、カラムからの生成物の様々な破過レベル(例えば、点eおよびfで表されるレベル)を検出するために使用することもできる。一実施形態では、圧力曲線とUV曲線(25)の破過部分との間の相間は、UV曲線が分かっているならば確立することができる。もう一つの実施形態では、圧力の変化(曲線28)は、カラムに異なる量の生成物を負荷し、圧力を測定し、カラムからの溶出液から回収した画分中の生成物の濃度を決定する実験を実施することによって、カラム飽和レベルと互いに関係づけられる。クロマトグラフィーシステムの測定された圧力は、例えば、樹脂の多孔性、樹脂の粒度、供給材料の粘度、カラムの長さおよび幅によって変化することがある。
【0037】
本発明によれば、任意の時点で、例として所定の時点で測定される点(e)または(f)のシグナルから、前の時点で測定されたシグナル(g)を引いたシグナル差として定義される、Deltasignalを計算することができる。完全なカラム飽和で測定されたシグナルからサンプル適用の初めに測定されたシグナル(点g)を引いたものとして定義される、Deltasignalmaxを計算することもできる。次に、このDeltasignalを例えば破過点および飽和点に適したレベルを定めるために使用することができる。破過点は、Deltasignalmaxの特定の予め定義した百分率、例えばおよそ1〜10%の範囲内またはより適切には1〜3%の範囲であると適切に定めることができ、飽和点はDeltasignalmaxの特定の予め定義した百分率、例えばおよそ60〜90%の範囲またはより適切には70〜80%の範囲であると適切に定めることができる。その他の実施形態では、破過点は、特定の予め定義したレベルのDeltasignalと適切に定めることができる。
【0038】
破過点および飽和点を決定するこのアプローチの1つの利点は、これをリアルタイムで自動的に行うことができ、供給材料濃度に依存しないことである。
【0039】
本発明のさらなる態様では、結合容量、例えば破過点および飽和点のこれらの決定は、異なるクロマトグラフィープロセスステップの開始および停止を自動制御するために使用される、すなわち特定の破過または飽和点レベルに達すると、制御システムはクロマトグラフィーシステムを制御してカラム溶出液を異なる回収点に向け直すなどの次のプロセスステップに進めるか、または負荷ステップを停止してカラム洗浄ステップを開始することができる。
【0040】
本発明のもう一つの態様では、クロマトグラフィーシステムは、いわゆる周期的向流(PCC)システムにおいて、1以上のクロマトグラフィーカラムを備える。周期的向流システムでは、ほとんどの時間、供給材料は直列に接続された少なくとも2つのカラムを通過する。この連続は多くの場合、負荷ゾーンと呼ばれ、負荷ゾーンへのカラムの付加および負荷ゾーンからのカラムの除去は、それぞれ直列の最後と最初のカラムの予め定めた破過点および飽和点に基づく。
図3では、そのような3つのカラムを備える本発明によるシステムが概略的に示される。本発明の利益は、この例ではさらにより明白である。なぜならPCCシステムにおける1つの共通する問題が、効率的なシステム運用を得ることができるように、システムで使用されるカラムはできる限り同一である必要があり、供給材料の組成および流量は一定であるべきであるか、または少なくともプロセス時間によるそれらの変化を演繹的に分かっていなければならないということであるためである。本発明によって、決定した破過点および飽和点に従って、異なるカラムが負荷ゾーンにどのくらいの時間、どの位置にいなければならないかを調節することによって、カラム結合容量および/または流量の相違を補うことができる。
【0041】
図3では、供給ポンプ31は、第1の検出器33を介して第1のバルブブロック35に接続されていることが示される。緩衝液ポンプ37もこの第1のバルブブロック35に接続されている。第1のバルブブロック35は、さらに、第1のTバルブ41を介して第1のカラム39の入口に接続されている。第1のカラム39の出口端は、第2の検出器45を通って第2のTバルブ43に接続されている。第1のバルブブロック35は、さらに、第2のバルブブロック49を介して第2のカラム47の入口に接続されている。第2のカラム47の出口端は、第3の検出器53を介して第3のバルブブロック51に接続されている。さらに、第3のTバルブ55は、第2のTバルブ43と第3のバルブブロック51の間に接続されている。第3のTバルブ55は、第4のTバルブ57にも接続され、第4のTバルブ57は第1のTバルブ41と第2のバルブブロック49にも接続されている。この結果、第1のカラム39からの溶出液を、Tバルブ43、55、57および第2のバルブブロック49を通って第2のカラム47の入口に向けることができる。
【0042】
さらに、第1のバルブブロック35は、第5のTバルブ61を介して第3のカラム59の入口に接続されている。第3のカラム59の出口端は、第4の検出器65を介して第6のTバルブ63に接続されている。さらに、第7のTバルブ67は、第3のバルブブロック51と第6のTバルブ63の間に接続されている。第7のTバルブ67は、第8のTバルブ69にも接続され、第8のTバルブ69は第2のバルブブロック49と第5のTバルブ61にも接続されている。この結果、第2のカラム47からの溶出液を、第3のカラム59の入口に向けることができる。第3のカラム59からの溶出液は、バルブ63、67、51、55、57および41を通って第1のカラム39の入口に向けることができる。第1のバルブブロック35の構造は
図4aに概略的に示され、第2のバルブブロック49の構造は
図4bに概略的に示され、第3のバルブブロック51の構造は
図4cに概略的に示される。これらの図面では、4つのボックスからなる各群がTバルブ(スリーウェイバルブ)を表す。さらに、本発明によれば、第1、第2、第3および第4の検出器33、45、53、65は全て判定ユニット71に接続されている。判定ユニットは、検出した検出器からのシグナルを使用して、3つの異なるカラムの破過点および飽和点を決定するように構成されている。判定ユニット71および全てのバルブブロックおよびTバルブおよびポンプは、さらに、制御ユニット73に接続され(全ての接続は図示しない)、これは負荷ゾーンからカラムを除去するかまたは負荷ゾーンにカラムを負荷する時、流量を変える時、新しい洗浄ステップを開始する時に関してクロマトグラフィーシステムを制御するように構成されている。検出器33、45、53、65は、一実施形態では圧力センサである。本発明に使用することのできる検出器のその他の例は、既に考察されている。
【0043】
本発明の一実施形態では、
図3のシステムで実行されるクロマトグラフィープロセスは、以下を含む:
(a)供給ラインのシグナルを第1の検出器33で、そしてカラム39、47、59の各々からの溶出液のシグナルを(第2、第3および第4の検出器45、53、65で)連続的にモニターし、各々のカラム39、47、59について、補正したシグナルを計算すること;
(b)少なくとも1つの標的化合物を含む供給材料を第1の吸着剤(第1のカラム39中のクロマトグラフィー媒体)に通し、第1の吸着剤について測定した補正シグナル(
図2に関して上記のような定義)が予め定めた値x1に達する時に第1の吸着剤からの流出物を第2の吸着剤(第2のカラム47中のクロマトグラフィー媒体)に向け直すこと;
(c)供給材料を第2の吸着剤に向け直し、第1の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x2に達する時に標的化合物が結合した第1の吸着剤に洗浄液を通すこと;
(d)洗浄液流出物を第3の吸着剤(第3のカラム59中のクロマトグラフィー媒体)に向け、その後、第2の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x1に達する時に第2の吸着剤からの流出物を第3の吸着剤に向けること;
(e)第1の吸着剤を再生すること;
(f)供給材料を第3の吸着剤に向け直し、第2の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x2に達する時に標的化合物が結合した第2の吸着剤に洗浄液を通すこと;
(g)洗浄液流出物を第1の吸着剤に向け、その後、第3の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x1に達する時に第3の吸着剤からの流出物を第1の吸着剤に向けること;
(h)第2の吸着剤を再生すること;
(i)供給材料を第1の吸着剤に向け直し、第3の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x2に達する時に標的化合物が結合した第3の吸着剤に洗浄液を通すこと;
(j)洗浄液流出物を第2の吸着剤に向け、その後、第1の吸着剤について得た補正シグナルが予め定めた値x1に達する時に第1の吸着剤からの流出物を第2の吸着剤に向けること;
(k)第3の吸着剤を再生すること;
(l)ステップ(b)〜(k)を繰り返すこと;
この際、少なくとも1つの標的化合物は、ステップ(d)、(g)および/または(j)で回収される。予め定めた値x1およびx2は、それぞれ破過点および飽和点を表す。
【0044】
本発明は、カラムの各々について測定したDeltasignalおよびDeltasignalmaxに基づいて破過および飽和の切り替え点を自動的に調節することによってカラムの特性のどんな相違も補うことができるので、向流システムを運用する際に同一でないカラムの使用を可能にする。また、それは、供給材料濃度の予想外の変化が供給材料濃度のどんな変化としても起こる場合に向流システムを運用することも可能にする、従って、カラムに負荷した標的の量の変動を自動的に補うDeltasignalに基づく破過および飽和の切り替え点を自動的に調節することによって、各々のカラムに負荷される質量の変化を補うことができる。
【0045】
本発明のもう一つの実施形態では、3以上のクロマトグラフィーカラムを備えるクロマトグラフィーシステムを、灌流細胞培養に由来する供給材料の流れからの生成物の直接捕獲に使用することができる。そのような流れの中の成分の濃度は時間とともに変動すること、そして、自動制御アルゴリズムなしにクロマトグラフィーシステムを運用することは、誤って演繹的に割り当てられたリダイレクト点のために生成物をかなり失うというリスクなしには不可能であることが当業者には周知である。
【実施例】
【0046】
本実施例は、説明目的のためだけに提供されるものであり、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0047】
この実施例は、本発明による3カラム周期的向流(3C−PCC)システムを使用し、プロテインAクロマトグラフィー樹脂での、MAbと宿主細胞タンパク質を含有する混合物からモノクローナル抗体(MAb)を精製するための連続一次捕獲ステップを例示する(すなわち、この例では検出器はUV検出器または圧力センサである)。より具体的には、3つの同様のカラムに、プロテインAクロマトグラフィー樹脂MabSelect(商標)SuRe LX(GEヘルスケア・バイオサイエンス、ウプサラ、スウェーデン)を充填した。3つのカラムの各々の前後に測定したUVまたは圧力シグナルの連続比較に基づく自動制御機能を持つ3カラム周期的向流システム、3C−PCCに構成されたAKTA(商標)PCC(GEヘルスケア・バイオサイエンス、ウプサラ、スウェーデン)クロマトグラフィーシステムにカラムを接続した。各々の検出器からの吸光度を、UNICORN(商標)ソフトウェア(GEヘルスケア・バイオサイエンス、ウプサラ、スウェーデン)を用いて記録した。UNICORN(商標)は、全てのポンプおよびバルブの制御にも使用される。プロテインAカラムMAbからの溶出液を1つのプールに回収した。
【0048】
次の単一のカラムクロマトグラフィーサイクルを、3カラムAKTAPCCシステムを連続的に操作するためのベースとして使用した:1)5カラム容量(CV)の緩衝液Aによるカラム平衡化;2)供給材料によるカラム負荷;3)5CVの緩衝液Aによるカラム洗浄;4)1CVの緩衝液Bによるカラム洗浄;5)4CVの緩衝液Cによるカラム溶出;6)2CVの緩衝液Dによるカラムストリップ;7)3CVの緩衝液EによるカラムCIP。全てのステップは流量0.94mL/分で実施した。
【0049】
使用した溶液の組成を下に記載する:
緩衝液A:PBS緩衝液、pH7.4
緩衝液B:50mM 酢酸塩緩衝液 pH6
緩衝液C:50mM 酢酸塩緩衝液 pH3.5
緩衝液D:100mM 酢酸塩 pH2.9
緩衝液E:100mM NaOH
供給材料:宿主細胞タンパク質を含有する清澄化細胞培養流体中約2.00g/L MAb
数百ミリリットルの供給材料含有溶液を、上記の実験的な3C−PCC構成に連続的に供給した。供給液の吸光度および圧力は、供給ライン上に位置する第1の検出器によって連続的に測定された。緩衝液Bを飽和したカラムに適用することによって、精製されたMAbを別々の方法でシステムから溶出した。飽和したカラムは、溶出ステップの前に洗浄した。
【0050】
図5は、3カラム周期的向流システムを使用して、プロテインAカラムでのモノクローナル抗体の連続捕獲の間に得た部分データを示す。3つの異なる負荷サイクルについて測定した対応する圧力変化とUVシグナルの変化は、十分に文書化されている。初期圧力増加および各々のサイクルの終わりの圧力低下は、PCC運用の間のそれぞれの流路の開閉に関連するシステム構成の効果によるものである。
【0051】
本発明の特定の実施形態が示され記載されたが、本発明の教示から逸脱することなく変更および修正がなされてよいことは当業者には明らかである。前述の説明および添付の図面に示される事項は、説明のために提供されるものであり、制限として提供されるものではない。本発明の実際の範囲は、先行技術に基づいて正しい見方で考察される場合、以下の特許請求の範囲において定義されるものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 クロマトグラフィーカラム
3 供給ライン
5 入口端
7 出口端
9 溶出液ライン
11 第1の検出器
13 第2の検出器
15 判定ユニット
21 供給材料シグナル
23 溶出液シグナル
25 平坦域
27 UV値
28 供給ライン 曲線
31 供給ポンプ
33 第1の検出器
35 第1のバルブブロック
37 緩衝液ポンプ
39 第1のカラム
41 第1のTバルブ
43 第2のTバルブ
45 第2の検出器
47 第2のカラム
49 第2のバルブブロック
51 第3のバルブブロック
53 第3の検出器
55 第3のTバルブ
57 第4のTバルブ
59 第3のカラム
61 第5のTバルブ
63 第6のTバルブ
65 第4の検出器
67 第7のTバルブ
69 第8のTバルブ
71 判定ユニット
73 制御ユニット