【文献】
SHUSTOV, G. V.; RAUK, A.,3-Methylazetidin-2-one and Its Precursors: Optical Resolution and Absolute Configurations,Tetrahedron: Asymmetry,1996年,vol. 7, no. 3,pp.699-708
【文献】
ABDULQAWI, R. et al.,P2X3 receptor antagonist(AF-219) in refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-co,The Lancet,2015年 3月,Vol.385, No.9974,pp.1198-1205.,ISSN:0140-6736, 特に, Abstract
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医薬活性成分は、それぞれの固体形態によって、実質的に異なる物理的特性を有し得る。このような物理的特性の違いは、例えば医薬活性成分の製造方法もしくは投与方法、または医薬活性成分を含む医薬組成物に影響を与え得る。本発明は、医薬活性成分の製造方法もしくは投与方法、または医薬活性成分を含む医薬組成物において、他の固体形態と比較して非常に有用な、1,3,5−トリアジン誘導体またはその溶媒和物の結晶を提供する。
一般的に、医薬品として有用な化合物の結晶の物性は、薬物のバイオアベイラビリティー、原薬の純度、製剤の処方などに大きな影響を与えるため、医薬品開発においては、極めて重要である。従って、式(I)で示される化合物に関して、いかなる結晶形が医薬品として最も優れているかを研究する必要がある。すなわち、それらの物性は、個々の化合物の属性に依存するため、一般的に、良好な物性を有する原薬用の結晶形を予測することは困難であり、各化合物について実際に種々検討することが求められる。
従って、本発明の課題は、式(I)で示される化合物について、原薬として良好な物性を有する結晶形を提供することにある。
また、特許文献9には、化合物I−127の製造方法は記載されていないが、類似の化合物として、特許文献9の参考例3に、下式に示すような1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法が開示されている。しかしながら、その製造方法は未だ十分とは言えず、改良の余地があった。
【化6】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、式(I)で示される化合物において、無水物I形、無水物II形、二水和物の結晶形が存在することを見出した。さらには、無水物I形結晶および二水和物結晶が他の結晶形に比べ、より安定であることを見出した。ならびに、無水物I形結晶が他の結晶形に比べ、結晶の圧縮度(%)が低く、結晶の流動性が良好であることを見出した。
また、本発明者らは、化学純度および/または光学純度の高い中間体およびそれらの製造方法、ならびにP2X
3および/またはP2X
2/3拮抗作用を有する光学活性な1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法を見出した。
本発明は、以下の項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)〜(35’)、(3’’)、(5’’)および(36’’)〜(42’’)に関する。
(1’)式(I):
【化7】
で示される化合物またはその溶媒和物の結晶。
(2’)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°および25.4°±0.2°、または、
回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°および19.4°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(2’A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°および25.4°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(2’B)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°および19.4°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(3’)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°および32.8°±0.2°、または、
回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°および27.8°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(3’A)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°および32.8°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(3’B)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°および27.8°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(3’’)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
【0013】
(4’)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.7°±0.2°、7.7°±0.2°、11.8°±0.2°、15.2°±0.2°および17.7°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
(5’)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.7°±0.2°、7.7°±0.2°、11.8°±0.2°、15.2°±0.2°、17.7°±0.2°、20.6°±0.2°、20.8°±0.2°、26.5°±0.2°、27.1°±0.2°および29.1°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
(5’’)ラマンスペクトルにおいて、871cm
−1±2cm
−1、996cm
−1±2cm
−1、1114cm
−1±2cm
−1、1234cm
−1±2cm
−1、1340cm
−1±2cm
−1および1577cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
【0014】
(6’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
(7’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶の製造方法。
(8’)P2X
3および/またはP2X
2/3拮抗剤である、上記項目(6’)記載の医薬組成物。
(9’)慢性咳嗽の治療および/または予防に用いられる、上記項目(6’)記載の医薬組成物。
(10’)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防に用いられる、上記項目(6’)記載の医薬組成物。
(11’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、P2X
3および/またはP2X
2/3拮抗剤。
(12’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、慢性咳嗽の治療および/または予防剤。
(13’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、難治性慢性咳嗽の治療および/または予防剤。
(14’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、慢性咳嗽の治療および/または予防方法。
(15’)上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、難治性慢性咳嗽の治療および/または予防方法。
(16’)慢性咳嗽の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶の使用。
(17’)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶の使用。
(18’)慢性咳嗽の治療および/または予防のための、上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶。
(19’)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防のための、上記項目(1’)、(2’)、(2’A)、(2’B)、(3’)、(3’A)、(3’B)、(4’)、(5’)、(3’’)および(5’’)のいずれかに記載の結晶。
(20’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(1’)記載の結晶。
(21’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(2’)記載の結晶。
(22’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(2’A)記載の結晶。
(23’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(2’B)記載の結晶。
(24’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(3’)記載の結晶。
(25’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(3’A)記載の結晶。
(26’)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(3’B)記載の結晶。
(27’)
図4に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(4’)記載の結晶。
(28’)
図4に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(5’)記載の結晶。
(29’)
図2に実質的に一致するラマンスペクトルにより特徴付けられる、上記項目(1’)記載の結晶。
(30’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°および25.4°±0.2°、または、
回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°および19.4°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(31’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°および25.4°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(32’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°および19.4°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(33’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°および32.8°±0.2°、または、
回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°および27.8°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(34’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°および32.8°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(35’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°および27.8°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(36’’)以下の(a)および(b):
(a)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトル;
(b)
図2に実質的に一致するラマンスペクトル;
からなる群から選択される1以上のスペクトルおよび/または曲線により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
【0015】
(37’’)
図6に実質的に一致するラマンスペクトルにより特徴付けられる、上記項目(1’)記載の結晶。
(38’’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.7°±0.2°、7.7°±0.2°、11.8°±0.2°、15.2°±0.2°および17.7°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、871cm
−1±2cm
−1、996cm
−1±2cm
−1、1114cm
−1±2cm
−1、1234cm
−1±2cm
−1、1340cm
−1±2cm
−1および1577cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
(39’’)以下の(i)および(ii):
(i)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.7°±0.2°、7.7°±0.2°、11.8°±0.2°、15.2°±0.2°、17.7°±0.2°、20.6°±0.2°、20.8°±0.2°、26.5°±0.2°、27.1°±0.2°および29.1°±0.2°に特徴的なピークを有する、
(ii)ラマンスペクトルにおいて、871cm
−1±2cm
−1、996cm
−1±2cm
−1、1114cm
−1±2cm
−1、1234cm
−1±2cm
−1、1340cm
−1±2cm
−1および1577cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する、
からなる群から選択される1以上の物理化学的性質により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
(40’’)以下の(a)および(b):
(a)
図4に実質的に一致する粉末X線回折スペクトル;
(b)
図6に実質的に一致するラマンスペクトル;
からなる群から選択される1以上のスペクトルおよび/または曲線により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の二水和物結晶。
(41’’)298.15Kで測定した場合に、以下の結晶学的データ:
空間群:P1
a=9.8720(5)Å
b=10.9952(5)Å
c=12.2781(6)Å
α=67.712(4)°
β=80.870(4)°
γ=80.870(4)°
に実質的に一致する、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
(42’’)298.15Kで測定した場合に、以下の結晶学的データ:
空間群:P1
a=9.9ű0.5Å
b=11.0ű0.5Å
c=12.3ű0.5Å
α=67.7°±0.5°
β=80.9°±0.5°
γ=86.9°±0.5°
により特徴付けられる、上記項目(1’)記載の化合物の無水物I形結晶。
【0016】
また、本発明は以下の項目(1)〜(34)に関する。
(1)式(I):
【化8】
で示される化合物またはその溶媒和物の結晶。
(2)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°または7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1)記載の化合物の結晶。
(3)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°、32.8°±0.2°または7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、27.8°±0.2°に特徴的なピークを有する上記項目(1)記載の化合物の結晶。
(4)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物。
(5)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶の製造方法。
(6)式(II):
【化9】
で示される化合物またはその塩と、式(III):
【化10】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩を、
塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化リチウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される1以上の添加剤の存在下で反応させることを特徴とする、式(IV):
【化11】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩の製造方法。
(7)添加剤が塩化リチウムである、上記項目(6)記載の製造方法。
(8)上記項目(6)または(7)記載の製造方法により式(IV)で示される化合物またはその塩を得、p−トルエンスルホン酸を添加することを特徴とする、式(IV−A):
【化12】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩の製造方法。
(9)上記項目(6)記載の製造方法において、添加剤がp−トルエンスルホン酸であることを特徴とする、式(IV−A):
【化13】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩の製造方法。
(10)R
1がメチルである、上記項目(6)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)式(IV−B):
【化14】
で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩。
(12)式(IV−B):
【化15】
で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩を水素化分解反応に付し、硫酸を添加することを特徴とする、式(V):
【化16】
で示される化合物の1/2硫酸塩の製造方法。
(13)式(V):
【化17】
で示される化合物の1/2硫酸塩。
(14)式(VI):
【化18】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩を、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールからなる群から選択される1以上の溶媒存在下で、加水分解反応に付すことを特徴とする、式(I):
【化19】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
(15)R
1がメチルである、上記項目(14)記載の製造方法。
(16)上記項目(6)〜(10)のいずれかに記載の方法により、式(IV−B):
【化20】
で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩を製造する工程を包含する、式(VI):
【化21】
(式中、R
1はメチル)で示される化合物またはその塩の製造方法。
(17)上記項目(12)記載の方法により、式(V):
【化22】
で示される化合物の1/2硫酸塩を製造する工程を包含する、式(VI):
【化23】
(式中、R
1はメチル)で示される化合物またはその塩の製造方法。
(18)上記項目(6)〜(10)のいずれかに記載の方法により、式(IV−B):
【化24】
で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩を製造する工程、および、上記項目(12)記載の方法により、式(V):
【化25】
で示される化合物の1/2硫酸塩を製造する工程を包含する、式(VI):
【化26】
(式中、R
1はメチル)で示される化合物またはその塩の製造方法。
(19)上記項目(16)〜(18)のいずれかに記載の製造方法により、式(VI):
【化27】
(式中、R
1はメチル)で示される化合物またはその塩を得、得られた式(VI)で示される化合物またはその塩を、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールからなる群から選択される1以上の溶媒存在下で、加水分解反応に付すことを特徴とする、式(I):
【化28】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
(20)P2X
3および/またはP2X
2/3拮抗剤である、上記項目(4)記載の医薬組成物。
(21)慢性咳嗽の治療および/または予防に用いられる、上記項目(4)記載の医薬組成物。
(22)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防に用いられる、上記項目(4)記載の医薬組成物。
(23)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、P2X
3および/またはP2X
2/3拮抗剤。
(24)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、慢性咳嗽の治療および/または予防剤。
(25)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含有することを特徴とする、難治性慢性咳嗽の治療および/または予防剤。
(26)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、慢性咳嗽の治療および/または予防方法。
(27)上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶を含む医薬組成物を投与することを特徴とする、難治性慢性咳嗽の治療および/または予防方法。
(28)慢性咳嗽の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶の使用。
(29)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶の使用。
(30)慢性咳嗽の治療および/または予防のための、上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶。
(31)難治性慢性咳嗽の治療および/または予防のための、上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶。
(32)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(1)記載の結晶。
(33)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(2)記載の結晶。
(34)
図1に実質的に一致する粉末X線回折スペクトルにより特徴付けられる、上記項目(3)記載の結晶。
(35)
図2に実質的に一致するラマンスペクトルにより特徴付けられる、上記項目(1)記載の結晶。
(36)
図2に実質的に一致するラマンスペクトルにより特徴付けられる、上記項目(2)記載の結晶。
(37)
図2に実質的に一致するラマンスペクトルにより特徴付けられる、上記項目(3)記載の結晶。
【発明の効果】
【0017】
本発明の結晶は、式(I)で示される化合物の医薬原体として有用である。すなわち本発明の結晶を含有する医薬組成物は、慢性咳嗽または難治性慢性咳嗽の治療剤または予防剤として非常に有用である。
また、本発明の結晶のうち、無水物I形結晶および二水和物結晶は、医薬原体として有用である。
さらに、無水物I形結晶は、次の特徴が挙げられる。
(i)結晶の圧縮度(%)が低く、結晶の流動性が良好である。
(ii)ICHコードQ3Cに規定されている残留溶媒を含まない結晶形である。
(iii)固体安定性が高く、医薬原体の保存中に生成する類縁物質の種類が少ない。
また、二水和物結晶は、上記(ii)および(iii)の特徴が挙げられる。
ならびに、本発明の製造方法は、製造中間体として有用な式(IV)および式(V)で示される化合物、ならびに、式(I)で示される化合物およびその結晶を製造することができる。
本製造方法は工業的に優れた製造方法であり、本発明の製造方法の特徴として、次の点を挙げることができる。
(a)式(IV)で示される化合物を製造する工程において、LiCl等を添加することにより、アザ−マイケル付加反応速度を促進することができる。
(b)式(V)で示される化合物を製造する工程において、生成物を1/2硫酸塩として得ることにより、高収率で得ることができる。
(c)式(I)で示される化合物を製造する工程において、反応溶媒としてイソプロピルアルコール等を使用することにより、ラセミ化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
固体形態の選択及び制御は、特に薬物となる化合物にとって重要である。固体形態の慎重な選択及び制御は、化合物に関する製造、処方又は投与の問題を減らすことができる。
【0020】
特に言及がなければ、本明細書中及び特許請求の範囲記載の数値は、おおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、温度、その他の因子に起因する。
【0021】
本明細書中で用いる「結晶」とは、構成する原子、イオン、分子などが三次元的に規則正しく配列した固体を意味し、そのような規則正しい内部構造を持たない非晶質固体とは区別される。本発明の結晶は、単結晶、双晶、多結晶などであってもよい。
さらに、「結晶」には結晶多形が存在することがあり、それらを含めて「結晶形態」といい、本発明に含まれることを意図する。
加えて、「式(I)で示される化合物」は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
結晶形態および結晶化度は、例えば、粉末X線回折測定、ラマン分光法、赤外吸収スペクトル測定法、水分吸脱着測定、示差走査熱量測定、溶解特性を含めた多くの技術によって測定することができる。
【0022】
本明細書中で用いる「塩」とは、例えば「式(I)で示される化合物」とカウンター分子が同一結晶格子内に規則正しく配列することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。結晶格子中で化合物とカウンター分子との間でプロトン移動することにより、イオン結合を介するものをいう。
【0023】
塩形成の研究は、その化学構造を変更することなく薬剤の物理化学的特徴および得られる生物学的特徴を変更する手段を提供する。塩形成は薬剤の特性に劇的な影響を及ぼし得る。適切な塩の選択においては、塩の吸湿性、安定性、溶解度および加工特性も重要な観点である。塩の溶解度は、薬剤として使用するためのその適性に影響を及ぼし得る。水性溶解度が低い場合、in vivo 投与における溶解速度は吸収過程に律速され、低いバイオアベイラビリティをもたらし得る。また、水性溶解度が低いことにより、注射による投与が困難となり得るため、適切な投与経路の選択に制限が生じ得る。
【0024】
上記「式(I)で示される化合物」は、溶媒和物、薬学的に許容される塩、または塩の溶媒和物に変換してよい。本発明の一態様において、本化合物は塩基付加塩の形である。塩基付加塩は、無機および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から製造される塩を含む。無機塩基由来の塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛および他の金属塩を含み、これに限定されない。薬学的に許容される非毒性塩基由来の塩は、一級、二級または三級アミン類、天然に存在する置換アミン類、環状アミン類および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、ベンザチン、カフェイン、コリン、クロロプロカイン、シクロプロカイン、N’N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチル−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メグルミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、三級ブチルアミン(2−メチルプロパン−2−アミン)、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等を含む置換アミン類、ならびに非毒性アンモニウムおよび四級アンモニウム、およびアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムを含み、これらに限定されないカチオンの塩を含む。
【0025】
「式(I)で示される化合物」、「式(II)で示される化合物」、「式(IV)で示される化合物」、「式(IV−A)で示される化合物」、「式(IV−B)で示される化合物」および「式(V)で示される化合物」の酸付加塩の例には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、オルトリン酸、硝酸、リン酸若しくは硫酸など、又は有機酸、例えば、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、サリチル酸、マレイン酸、グリセロリン酸、酒石酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸、ヘキサン酸若しくはアセチルサリチル酸などを有するものが含まれる。
【0026】
本明細書中で用いる「溶媒和物」とは、例えば「式(I)で示される化合物」に対し、任意の数の溶媒分子と規則正しく配列しているものをいう。
溶媒分子としては、例えば、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2−トリクロロエテン、キシレン、酢酸、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、水(すなわち水和物)、エタノール、アセトン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸が挙げられる。
好ましくは、酢酸、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、水(すなわち水和物)、エタノール、アセトン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸が挙げられる。
より好ましくは、水(すなわち水和物)、エタノール、アセトン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などが挙げられる。
また、「式(I)で示される化合物」を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。
「式(II)で示される化合物」、「式(III)で示される化合物」、「式(IV)で示される化合物」、「式(IV−A)で示される化合物」、「式(IV−B)で示される化合物」、「式(V)で示される化合物」および「式(VI)で示される化合物」についても、溶媒和物を形成しうる。
【0027】
本発明の水和物またはその結晶は、例えば、「式(I)で示される化合物」に対して、約2モル当量の水分子を含有する。本発明の水和物結晶として、好ましくは、二水和物が挙げられる。
本発明の水和物またはその結晶の水分含量は、例えば、4.7〜9.7重量%が挙げられる。好ましくは、約5.6〜7.6重量%が挙げられる(二水和物の理論値は6.6%であるが、結晶に付着した水の影響で水分含有量が高くなる場合や、測定前に結晶中の水の一部が脱離し水分含有量が低くなる場合もある)。
【0028】
本発明の結晶は重水素変換体であってもよい。本発明の結晶は同位元素(例、
3H,
14C,
35S,
125I等)で標識されていてもよい。
【0029】
本明細書中で用いる「無水物」は、「無溶媒和物」、「非溶媒和物」、「無水和物」および「非水和物」と同義である。
【0030】
式(I):
【化29】
で示される化合物は、特許文献9に記載されているP2X
3および/またはP2X
2/3拮抗剤である。慢性咳嗽の治療剤または予防剤として非常に有用である。式(I)で示される化合物は、本願実施例を参考に調製することができる。
【0031】
式(I)で示される化合物の互変異性体は、式(I’):
【化30】
で示される化合物(アミノ体)であり、式(I)で示される化合物と同様に、P2X
3および/またはP2X
2/3受容体拮抗作用を有する。
また、式(VI)で示される化合物も上記と同様に互変異性体を取り得る。
【化31】
【0032】
式(I)で示される化合物は、式(I)で示される化合物(イミノ体)と式(I’)で示される化合物(アミノ体)の混合物も包含し、任意の割合で混合されていてもよい。式(VI)で示される化合物についても同様である。
なお、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、単結晶構造解析の結果、以下の分子構造(イミノ体)を取ることを確認した(詳細については実施例3に記載)。
【化32】
式(I)で示される化合物の二水和物結晶および式(I)で示される化合物の無水物II形結晶については、分子構造(アミノ体/イミノ体)は同定していない。
【0033】
(粉末X線回折(XRPD))
一般に結晶性有機化合物は、3次元空間に周期的に配列された多数の分子よりなる。構造周期性は、通例、ほとんどの分光学的プローブ(例えば、X線回折、赤外スペクトル、ラマンスペクトル及び固体NMR)によって明確に区別可能な物理的特性を発現する。中でも、粉末X線回折(XRPD)は、固体の結晶性を測定するための最も感度の良い分析法の1つである。X線が結晶に照射されると、結晶格子面で反射し、互いに干渉しあい、ブラッグ則によって予測される条件を満たす方向の回折線のみ強度が増大し、構造の周期に対応した秩序だった回折線を示す。一方、非晶質固体については秩序だった回折線は認められない。非晶質固体は、通常、その構造の中に秩序だった繰返し周期をもたないため、回折現象は起こらず、特徴のないブロードなXRPDパターン(ハローパターンとも呼ばれる)を示す。
【0034】
式(I)で示される化合物の無水物の結晶形態は、粉末X線回折パターンや特徴的なピークにより特徴付けることが可能である。式(I)で示される化合物の無水物の結晶形態は、特徴的な回折ピークの存在によって他の結晶形態(例えば、水和物結晶など)と区別することができる。本明細書中で用いる特徴的な回折ピークは、観察された回折パターンから選択されるピークである。複数の結晶を区別する上では、ピークの大きさよりも、その結晶に見られ、他の結晶で見られないピークが、その結晶を特定する上で好ましい特徴的なピークとなる。そういった特徴的なピークであれば、一つ又は二つのピークでも、当該結晶を特徴付けることができる。測定して得られたチャートを比較し、これらの特徴的なピークが一致すれば、粉末X線回折スペクトルが実質的に一致するといえる。
【0035】
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、粉末X線回折の回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0036】
以下の表及び図において表示されるピークの強度は、一般に、多くの因子、例えばX線ビームに対する結晶の選択配向の効果、粗大粒子の影響、分析される物質の純度又はサンプルの結晶化度によって変動し得ることが知られている。また、ピーク位置についても、サンプルの高さ変動に基づいてシフトし得る。さらに、異なる波長を使用して測定するとブラッグ式(nλ=2dsinθ)に従って異なるシフトが得られるが、このような別の波長の使用により得られる別のXRPDパターンも、本発明の範囲に含まれる。
【0037】
単結晶構造解析(桜井敏雄著「X線構造解析の手引き」裳華房発行(1983年)、Stout & Jensen著 X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968)などを参照)は結晶を特定する方法のひとつで、当該結晶における結晶学的パラメーター、さらに、原子座標(各原子の空間的な位置関係を示す値)及び3次元構造モデルを得ることができる。本発明のような複合体の結晶の構造を同定する際には、単結晶構造解析が有用である。
【0038】
(ラマン分光法)
ラマンスペクトルは分子又は複合体系の振動の特徴を示す。その起源は分子と光線を含む光の粒子である光子との間の非弾性的な衝突にある。分子と光子の衝突はエネルギーの交換をもたらし、その結果エネルギーが変化し、これにより光子の波長が変化する。即ち、ラマンスペクトルは、対象分子に光子が入射されたときに発せられる、極めて波長の狭いスペクトル線であるため、光源としてはレーザー等が用いられる。各ラマン線の波長は入射光からの波数シフトにより表示され、これはラマン線と入射光の波長の逆数の間の差である。ラマンスペクトルは分子の振動状態を測定するものであり、これはその分子構造により決定される。
一般に、ラマンスペクトルにおける吸収帯(cm
−1)は±2cm
−1の範囲内で誤差が生じ得るから、上記の吸収ピークの値は±2cm
−1程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、ラマンスペクトルにおける吸収帯のピークが完全に一致する結晶だけでなく、吸収帯のピークが±2cm
−1程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0039】
(赤外吸収スペクトル測定法(IR法))
赤外吸収スペクトル測定法は、赤外線が試料を通過するときに吸収される度合いを、各波数について測定する方法である。赤外吸収スペクトルは通例、横軸に波数を、縦軸に透過率又は吸光度をとったグラフで示される。吸収ピークの波数及び透過率(又は吸光度)はグラフ上で読み取ることができるほか、データ処理装置による算出値を用いることができる。赤外吸収スペクトルはその物質の化学構造によって定まる。従って、種々の波数における吸収を測定して物質を確認又は定量することができる。結晶多形の判別は、その結晶多形に特徴的な官能基、即ち、主として結晶構造中の水素結合に関与する官能基、例えばC=O結合、OH結合及びNH結合等ならびに、その他特徴的な官能基、例えば、C−X(ハロゲン)結合、C=C結合及びC≡C結合等の吸収帯を比較することによって行なうことができる。特徴的な官能基に対応する約20個の吸収ピーク、より好ましくは約10個の吸収ピーク、最も好ましくは約5個の吸収ピークから選択される。通例、試料の吸収スペクトルは波数4000cm
−1〜400cm
−1の範囲で測定する。吸収スペクトルの測定は装置の分解能、波数目盛り及び波数精度の確認を行なったときと同一の操作条件の下で行なう。
【0040】
一般に、赤外吸収スペクトル測定における吸収帯(cm
−1)は±2cm
−1の範囲内で誤差が生じ得るから、上記の吸収ピークの値は±2cm
−1程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。従って、赤外吸収スペクトル測定における吸収帯のピークが完全に一致する結晶だけでなく、吸収帯のピークが±2cm
−1程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0041】
赤外吸収スペクトルの測定方法は、臭化カリウム錠剤法、溶液法、ペースト法、液膜法、薄膜法、気体試料測定法、ATR法、拡散反射法等がある。このうち、ATR法(Attenuated total reflection)は全反射測定法と呼ばれ、反射法の一つである。この方法は、KRS−5のような高い屈折率の物質で作られたプリズムの表面に試料を密着させ、プリズムに対して臨界角以上の角度で光を入射させ、プリズムと試料の境界で全反射された光を測定して吸収スペクトルを得る方法である。ATR法で測定できる条件の一つは、プリズムの屈折率が試料よりも大きいことであるので、試料によってプリズムの材質を変える必要がある。また、その他の条件として、プリズムと試料が密着していなければならない。従って、液体、粉末、プラスチック、軟らかいゴム等の測定に適しており、試料を化学的又は物理的に処理することなく測定できる利点がある。一方、拡散反射法は、粉末試料の測定において臭化カリウム錠剤を作らず、粉末のまま測定する方法である。光を試料にあてると、粉末表面で正反射して外部に出る光と、試料内部に入って透過と拡散を繰り返したのちに表面に出る拡散反射光(散乱光)とが生じるが、拡散反射法においては、後者を用いて吸収スペクトルを得る。
【0042】
(固体
13C−NMR(核磁気共鳴))
固体
13C−NMRは、(i)スペクトル数と対象化合物の炭素数が一致すること、(ii)化学シフト範囲が
1H−NMRに比べ広いこと、(iii)シグナルが固体
1H−NMRに比べてシャープであること、(iv)添加物が含まれていても、相互作用がない場合は、化学シフトが変化しないこと等から、結晶形の特定に有用である。なお、用いられる特定の分光計及び分析者の試料調製技法に応じて観察される化学シフトは、わずかに変動することが予想される。固体
13C−NMRスペクトルにおける誤差範囲はおよそ±0.5ppmである。
【0043】
(示差走査熱量測定法(DSC))
DSCは、熱分析の主要な測定方法の一つで、原子・分子の集合体としての物質の熱的性質を測定する方法である。
DSCにより、医薬活性成分の温度又は時間に係る熱量の変化を測定し、得られたデータを温度又は時間に対してプロットすることにより示差走査熱量曲線が得られる。示差走査熱量曲線より、医薬活性成分が融解する際のオンセット温度、融解に伴う吸熱ピーク曲線の最大値及びエンタルピーに関する情報を得ることができる。
DSCについて、観察される温度は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、DSCにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。示差走査熱量曲線から得られるオンセット温度における誤差範囲はおよそ±2℃である。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少は変化し得る。
【0044】
(示差熱熱重量同時測定法(TG/DTA))
TG/DTAは、熱分析の主要な測定方法のひとつで、原子・分子の集合体としての物質の重量及び熱的性質を測定する方法である。
TG/DTAは医薬活性成分の温度又は時間に係る重量及び熱量の変化を測定する方法であり、得られたデータを温度又は時間に対してプロットすることにより、TG(熱重量)及びDTA(示差熱)曲線が得られる。TG/DTA曲線より、医薬活性成分の分解、脱水、酸化、還元、昇華、蒸発に関する重量及び熱量変化の情報を得ることができる。
TG/DTAについて、観察される温度、重量変化は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、TG/DTAにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少は変化し得る。
【0045】
(水分吸脱着等温線測定法(DVS))
水分吸脱着等温線測定は、測定対象の固体について各相対湿度条件下での重量変化を測定する事で、水分の吸着、脱着挙動を計測する測定法である。
基本的な測定法として、0%RH(相対湿度0%)での乾燥重量を基準とし、5%又は10%ごとに相対湿度を上げ、それぞれの相対湿度での重量安定化後、基準値からの重量増加から、吸着水の量を求める事が出来る。同様に、100%RHから5%又は10%ごとに相対湿度を下げる事で、水の脱着量を測定する事が可能である。
各相対湿度での重量変化値をプロットする事で、吸脱着等温線を得る事ができる。この結果から、各湿度における付着水分の吸着、脱着現象の考察が可能である。また、無水物結晶が湿度により水和物結晶と相互に結晶転移する場合には、結晶転移が起こる湿度、及び結晶水の量を計算する事が可能である。
付着水、及び結晶水の吸脱着は粒子径、結晶化度、晶癖等の影響を受けるため、測定結果は多少変化し得る。
【0046】
本発明の結晶を含有する医薬組成物は、慢性咳嗽の治療剤または予防剤として非常に有用である。
【0047】
本発明の結晶はそれ自体でヒト患者に投与することができるか、又は、該結晶を適当な担体又は賦形剤と混合した医薬組成物にて投与することができる。薬物の処方及び投与のための技術は、当業者に知られている製剤処方や技術を組み合わせて、適宜選択して、使用することができる。
【0048】
本発明の結晶又はそれらを含有する医薬組成物の投与経路は、限定されるものではないが、経口、直腸、経粘膜又は腸投与あるいは筋肉内、皮下、脊髄内、鞘内、直接的心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内、眼内、注射を含むことができる。好ましい投与経路は経口である。
【0049】
本発明の医薬組成物は、当該分野でよく知られた製法、例えば、慣用的な混合、溶解、顆粒化、糖衣−作成、粉末化、乳化、カプセル化、包括、凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
【0050】
本発明の結晶又はそれらを含有する医薬組成物は、水性溶液、好ましくは、生理学上適合する、リンゲル液又は生理食塩水のような緩衝液を用いて、注射により投与することができる。
【0051】
本発明の結晶又はそれらを含有する医薬組成物は、浸透させるべきバリアーに適した浸透剤を用いて、経粘膜投与することができる。該浸透剤は一般に当該分野で知られているものを用いることができる。
【0052】
本発明の結晶又はそれらを含有する医薬組成物は、当該分野でよく知られた医薬上許容される担体を合わせることによって、経口投与することができる。該担体により、本発明の結晶を、錠剤、丸剤、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、懸濁剤として投与することができる。経口投与用の医薬組成物は、固体賦形剤を用い、所望であれば他の適切な補助剤を添加した後、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって作成することができる。
【0053】
有用な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含めた糖等の充填剤、例えば、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びじゃがいも澱粉等のセルロース調製物、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースナトリウム等である。必要であれば、寒天、アルギン酸等の崩壊剤を添加することができる。アルギン酸ナトリウム等の塩を用いることもできる。
【0054】
経口投与に用いることができる医薬組成物は、ゼラチンで作成されたプッシュフィットカプセル、ゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤で作成された密封カプセル等を含む。プッシュフィットカプセルはラクトース等の充填剤、澱粉等のバインダー及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤と混合した有効成分を含むことができる。
【0055】
医薬組成物は、適当な固体若しくはゲル相の担体又は賦形剤を含むこともできる。そのような担体又は賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリエチレングリコール等のポリマーが挙げられる。
【0056】
本発明の結晶又はその医薬組成物について、治療上有効な量は、最初に細胞培養アッセイから見積もることができる。次いで、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、PK活性の最大の半分の阻害を達成する本発明の結晶又はその医薬組成物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するように、動物モデルで用いるために投与量を多く処方することができる。次いで、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な量をより正確に決定することができる。
【0057】
本発明の結晶又はその医薬組成物の治療効果は、細胞培養又は実験動物において、標準的な医薬手法によって測定することができる。例えば、特許文献9に記載の生物試験方法に従って評価すればよい。これらの細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトで用いる投与量の範囲を処方するために用いることができる。投与量は、使用する投与形態及び利用する投与経路に応じて変化させることができる。正確な処方投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。
【0058】
本発明の結晶又はその医薬組成物を、病気及び障害の治療のために他の薬剤と組合せることができるのも本発明の態様である。
【0059】
本発明によって、式(I)で示される化合物の無水物結晶または水和物結晶が提供される。当該結晶性固体は、少なくとも以下のいずれかの特徴を有する。
(1)熱、湿度、溶媒、光等に対する安定性が良好であり、保存安定性が高い。
(2)着色安定性が良好である。
(3)水または有機溶媒に対する溶解度が良好である。
(4)水または有機溶媒に対する溶解速度が速い。
(5)高純度である。
(6)有機溶媒の残存率が低い。
(7)濾過、遠心分離、製剤化等の操作性に優れている。
(8)比容積が小さい。
(9)帯電しにくい。
(10)環境負荷が少ない条件下、高収率で製造され、大量製造が可能である。
(11)注射剤等の医薬活性成分またはその製造用原体として有用である。
(12)血管痛を伴わない静脈注射に適したpH範囲に制御できるため、製剤時の液量コントロールや賦形剤の削減などに有利である。
(13)流動性が良好である。
(14)圧縮度(%)が低い。
特に本発明の結晶性固体は、広い湿度範囲(例:25〜99%RHなど)や過酷な環境下(例:多湿下)においても安定性が高い。
【0060】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
【0061】
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0062】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子および塩素原子が好ましい。
【0063】
「アルキル」とは、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルが挙げられる。
「C1−C4アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルが挙げられる。
【0064】
本発明は、式(II):
【化33】
で示される化合物またはその塩と、式(III):
【化34】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩を、
塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化リチウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される1以上の添加剤の存在下で反応させることを特徴とする、式(IV):
【化35】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩を製造する工程を包含する。
式(II)で示される化合物またはその塩、および、式(III)で示される化合物またはその塩は、市販試薬より公知の方法に従って製造、または市販品を使用することができる。
【0065】
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、およびそれらの混合溶媒を用いることができる。例えば、メタノールを用いることができる。
【0066】
反応温度は、通常、室温から溶媒が還流する温度の範囲で実施される。例えば、−10℃〜溶媒が還流する温度の範囲で行うことができる。例えば、80℃で行うことができる。
【0067】
反応時間は1〜20時間、例えば、5〜7時間である。
【0068】
式(II)で示される化合物に対して、式(III)で示される化合物の使用量は、通常、1.0〜10.0当量、例えば、2.0〜4.0当量、例えば、3.0当量用いることができる。
【0069】
添加剤としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化リチウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を用いることができる。これらの添加剤を複数選択し、同時に使用することができる。
式(II)で示される化合物に対して、添加剤の使用量は、通常、0.1〜5.0当量、例えば、1.0〜2.0当量、例えば、1.0〜1.5当量用いることができる。
【0070】
本発明は、式(IV):
【化36】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩に、p−トルエンスルホン酸を添加することを特徴とする、式(IV−A):
【化37】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩を製造する工程を包含する。
式(II)で示される化合物に対して、p−トルエンスルホン酸一水和物(またはp−トルエンスルホン酸水溶液)の使用量は、通常、0.5〜2.0当量、例えば0.8〜1.0当量用いることができる。
【0071】
本発明は、式(IV−B):
【化38】
で示される化合物のp−トルエンスルホン酸塩を水素化分解反応に付し、硫酸を添加することを特徴とする、式(V):
【化39】
で示される化合物の1/2硫酸塩を製造する工程を包含する。
式(IV−B)で示される化合物は、上記工程に従って製造することができる。
【0072】
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、テトラヒドロフランおよびそれらの混合溶媒を用いることができる。例えば、メタノールを用いることができる。
【0073】
反応温度は、通常、室温から溶媒が還流する温度の範囲で実施される。例えば、室温〜溶媒が還流する温度の範囲で行うことができる。例えば、30〜50℃で行うことができる。
【0074】
反応時間は30分〜20時間、例えば、1〜3時間である。
【0075】
加水素分解反応触媒としては、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、パラジウム黒等を用いることができる。
式(IV−B)で示される化合物に対して、加水素分解反応触媒の使用量は、通常、0.01〜1w/w、例えば、0.1〜0.3w/w用いることができる。
【0076】
式(IV−B)で示される化合物に対して、濃硫酸の使用量は、通常、0.01〜0.5当量、例えば、0.3〜0.4当量用いることができる。
【0077】
本発明は、式(VI):
【化40】
(式中、R
1はC1−C4アルキル)で示される化合物またはその塩を、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールからなる群から選択される1以上の溶媒存在下で、加水分解反応に付すことを特徴とする、式(I):
【化41】
で示される化合物またはその塩を製造する工程を包含する。
式(VI)で示される化合物は、上記工程および特許文献6、7、8および9に記載の方法に従って製造することができる。
【0078】
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールおよびそれらの混合溶媒を用いることができる。例えば、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)を用いることができる。
【0079】
反応温度は、通常−10℃から溶媒が還流する温度で行うことができる。例えば、30℃〜40℃で行うことができる。
【0080】
反応時間は0.1〜20時間、例えば、1〜5時間である。
【0081】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用いることができる。例えば、水酸化ナトリウムを用いることができる。
式(VI)で示される化合物に対して、塩基の使用量は、通常2.0〜5.0当量、例えば、2.0〜3.0当量用いることができる。
【実施例】
【0082】
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明する。これらは本発明を限定するものではない。数値(例えば、量、温度等)に関しては、いくらかの誤差及び偏差は考慮されるべきである。
特筆しない限り、%は成分の重量%及び組成物の全重量の重量%であり、圧力は大気圧か又はそれに近い圧力である。
【0083】
(粉末X線回折パターンの測定)
日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定を行った。測定条件を以下に示す。
(メソッド1)
(装置)
リガク社製SmartLab
(操作方法)
測定法:反射法
使用波長:CuKα線
管電流:200mA
管電圧:45kV
試料プレート:ガラス
X線の入射角:2.5°
サンプリング幅:0.02°
検出器:HyPix−3000(2次元検出モード)
(メソッド2)
(装置)
Bruker社製D−8Discover
(操作方法)
測定法:反射法
使用波長:CuKα線
管電流:40mA
管電圧:40kV
試料プレート:アルミニウム
X線の入射角:3°及び12°
(メソッド3)
Bruker社製D−8Discover
(操作方法)
測定法:反射法
使用波長:CuKα線
管電流:40mA
管電圧:40kV
試料プレート:アルミニウム
X線の入射角:3°
【0084】
(ラマンスペクトルの測定)
各実施例で得られた結晶のラマンスペクトルの測定を行った。測定条件を以下に示す。
(メソッド1)
測定機器:LabRAM ARAMIS (HORIBA JOBIN YVON社製)
測定方法:顕微レーザラマン分光法
レーザ波長:633nm(He−Neレーザ)
回折格子:600grooves/mm
検出器:CCD検出器
対物レンズ:20×(NA 0.25)
積算回数:5回
露光時間:5秒
(メソッド2)
測定機器:RAMANTouch Vis2−NIR−SNU (Nanophoton社製)
測定方法:顕微レーザラマン分光法
レーザ波長:532nm
回折格子:1200grooves/mm
検出器:CCD検出器
対物レンズ:20×(NA 0.45)
積算回数:1回
露光時間:3秒
【0085】
(示差走査熱量(DSC)の測定)
各実施例で得られた結晶のDSCの測定を行った。アルミニウムパンに試料約4.199mgを量り、簡易密封して測定した。測定条件を以下に示す。なお、示差走査熱量(DSC)による測定は±2℃の範囲内で誤差が生じうる。
装置:TA Instruments Discovery
測定温度範囲:0℃―220℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気:N
2 50mL/分
【0086】
(NMR測定)
NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
【0087】
(HPLC測定)
(メソッドA)
カラム:XBridge C18,φ4.6×150 mm,3.5μm(Waters)
カラムオーブン:40℃
流量:毎分1.0 mL
UV検出波長:254nm
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
グラジエントプログラムを表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
(メソッドB)
カラム:CHIRALPACK AS-RH,φ4.6×150 mm,5 μm (ダイセル化学)
カラムオーブン:35℃
流量:毎分1.0 mL
UV検出波長:254nm
移動相A:液体クロマトグラフィー用精製水
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
グラジエントプログラムを表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
(メソッドC)
カラム:CHIRALPACK IC,φ4.6×250 mm, 5μm (ダイセル化学)
カラムオーブン:35℃
流量:毎分1.0 mL
UV検出波長:262nm
移動相:0.1%ギ酸水溶液/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル 混液 (3:2)
【0092】
(メソッドD)
カラム:Cadenza CD-C18, φ3.0×150mm, 3μm
カラムオーブン:50℃
流量:毎分0.55mL
UV検出波長:262nm
移動相A:0.1%TFA水溶液
移動相B:アセトニトリル
グラジエントプログラムを表3に示す。
【0093】
【表3】
なお、HPLCの保持時間には、多少の誤差を含むものとして理解される必要がある。
【0094】
(TG/DTAの測定)
実施例7で得られた結晶約4.4mgを量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
装置:日立ハイテクノロジーズ TG/DTA STA7200RV
測定温度範囲:室温−300℃
昇温速度:10℃/分
【0095】
(単結晶構造解析の測定と解析方法)
単結晶構造解析の測定条件および解析方法を以下に示す。
(装置)
リガク社製 XtaLAB P200 MM007
(測定条件)
測定温度:25℃
使用波長:CuKα線(λ=1.5418Å)
ソフト:CrysAlisPro 1.171.39.46e (Rigaku Oxford Diffraction, 2018)
(データ処理)
ソフト:CrysAlisPro 1.171.39.46e (Rigaku Oxford Diffraction, 2018)
データはローレンツ及び偏光補正、吸収補正を行った。
(結晶構造解析)
直接法プログラムShelXT(Sheldrick, G.M.,2015)を用いて位相決定を行い、精密化はShelXL(Sheldrick, G.M.,2015)を用いて、full−matrix最小二乗法を実施した。非水素原子の温度因子はすべて異方性で精密化を行った。酸素O5上の水素原子H5は差フーリエマップから導き、精密化を行った。残りの水素原子はShelXLのデフォルトパラメータを用いて計算により導入し、riding atomとして取り扱った。全ての水素原子は、等方性パラメーターで精密化を行った。R1 (I>2.00s(I))は0.0470であり、最終の差フーリエから電子密度の欠如も誤置もないことを確認した。
図7および
図8の作図にはPLUTON(Spek,1991)/ORTEP(Johnson,1976)を使用した(50% PROBABILITY level)。
【実施例1】
【0096】
化合物(3)の合成
【化42】
[1]化合物(3)の合成
(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(1)(20.01g、165.1mmol)にメタノール(20mL)、メタクリル酸メチル(2)(49.64g、495.8mmol)を室温で加えた。−10℃に冷却後、塩化リチウム(7.07g、167mmol)を加えた。反応液を80℃に昇温し、6時間攪拌した。反応液を25℃に冷却し、9.1%塩化ナトリウム水溶液(77.03g)を加えて、分液により水層を除去した。得られた水層にトルエン(61.04g)を室温で加え、分液により水層を除去した。得られた2つの有機層を合併し、トルエン(16.99g)を加えて50℃で減圧留去した。
p−トルエンスルホン酸一水和物(28.91g、152.0mmol)をエタノール(16.00g)に溶解してp−トルエンスルホン酸のエタノール溶液(44.91g)を調製した。
上記で調製した濃縮液にトルエン(155.91g)を加え、上記で調製したp−トルエンスルホン酸のエタノール溶液(5.88g)および化合物(3)の種晶(19.95mg、0.05070mmol)にトルエン(63μL)を加えて懸濁させたスラリーを室温で加えた。得られたスラリーに上記で調製したp−トルエンスルホン酸のエタノール溶液(39.93g)を加え、エタノール(10mL)を加えて2時間攪拌し、終夜放置した。0℃に冷却して2時間攪拌し、固体をろ取し化合物(3)(20.75g、31.9%)を粗生成物として得た。
化合物(3)の粗生成物の一部(5.00g)にトルエン(1.92g)、酢酸エチル(21.70g)およびメタノール(2.90g)を加え、50℃で3時間攪拌した。0℃に冷却し、固体をろ取して化合物(3)(4.65g)を得た。
元素分析:C 61.22%, H 7.09%, N 3.56%, S 8.12%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 1.12(d, J=7.0 Hz,3H), 1.55(br d, J=6.7 Hz, 3H), 2.29(s, 3H), 2.50(s, 2H), 2.83(br dd, J=13.2 Hz, 6.9 Hz, 1H), 2.90(m, 2H), 3.62(s, 3H), 7.13(m, 2H), 7.47(m, 7H)
【0097】
[2]化合物(3)の種晶の合成
(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(1)(2.00g、16.5mmol)、メタノール(1.59g)、メタクリル酸メチル(2)(4.97g、49.6mmol)および塩化リチウム(0.70g、17mmol)を室温で混合し、80℃に昇温して4時間攪拌した。反応液を25℃に冷却し、9.1%塩化ナトリウム水溶液(7.70g)を加えて、分液により水層を除去した。得られた有機層にトルエン(5.21g)を加えた後、p−トルエンスルホン酸一水和物(2.88g、15.1mmol)をメタノール(1.58g)に溶解して調整したp−トルエンスルホン酸のメタノール溶液(4.46g)を加えた。この反応液を0℃に冷却したトルエン(6.94g)に加え、0℃で30分攪拌した。析出した固体をろ取することで化合物(3)の種晶(1.60g,24.6%)を得た。
[実施例1−1]
【0098】
化合物(3)の合成
【化43】
(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(1)(20.00g、165.0mmol)にp−トルエンスルホン酸一水和物(1.57g、8.25mmol)、メタクリル酸メチル(2、49.57g、495.1mmol)を室温で加え、99℃に昇温し、99℃で16時間反応させた。25℃に冷却後、反応液にメタノール(8mL)を加えた後、p−トルエンスルホン酸一水和物(27.31g、143.6mmol)を酢酸エチル(40mL)およびメタノール(4mL)に溶解したp−トルエンスルホン酸溶液と混合した。この反応液に酢酸エチル(100mL)を25℃で加え、析出した固体をろ取することで化合物(3)(28.14g)を粗生成物として得た。
化合物(3)の粗生成物(28.14g)に酢酸エチル(15mL)およびメタノール(30mL)を加え、60℃に昇温した後に40℃に冷却し、化合物(3)の種晶(20.0mg、0.308mmol)に酢酸エチル(60μL)を加えて懸濁させたスラリーを40℃で加えた。得られたスラリーを40℃で30分攪拌した後、22℃に冷却して酢酸エチル(218mL)を加え、0℃に冷却して1時間撹拌した。析出した固体をろ取することで化合物(3)(22.29g、34.32%)を得た。
【実施例2】
【0099】
化合物(4)の合成
【化44】
化合物(3)(22.00g、55.91mmol)にトルエン(95.26g)と水(44.00g)を加えて懸濁し、8%水酸化ナトリウム水溶液(27.54g)と水(4.40g)を加えて分液により水層を除去した。得られた有機層に水(11.00g)を加え、分液により水層を除去した。得られた有機層を50℃で減圧留去し、メタノールを加える操作を繰り返し行い、メタノールへ溶媒置換した。得られた濃縮液に濃硫酸(2.04g、19.8mmol)、10%パラジウム炭素(2.20g、約40%湿潤品)およびメタノール(17.41g)を加えた。反応液を40℃に昇温し、水素雰囲気下で90分攪拌した。ろ過によりパラジウム炭素を除去し、得られたろ液にメタノール(52.24g)および濃硫酸(0.67g、6.5mmol)を加えた。得られた反応液にアセトニトリルを加え、減圧留去する操作を繰り返し行い、アセトニトリルへ溶媒置換して0℃に冷却した。析出した固体をろ取することで化合物(4)(8.58g、92.3%)を得た。
元素分析:C 35.72%, H 7.18%, N 8.55%, S 9.63%
1H−NMR(DMSO−d6)δppm: 1.10(d, J=7.1 Hz, 3H), 2.62(m, 1H), 2.75(dd, J=12.7H, 5.9 Hz, 1H), 2.89(dd, J=12.7 Hz, 7.3 Hz, 1H), 3.63(s, 3H)
【0100】
(参考例1) 化合物(5)の合成
【化45】
化合物(4)(19.00g、114.3mmol)をアセトニトリル(45.00g)に懸濁した。2℃で1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(19.10g、125.5mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を加え、2℃で30分攪拌した。反応液をN,N−カルボニルジイミダゾール(21.30g、131.4mmol)をアセトニトリル(75.00g)に懸濁したスラリーに2℃で加えた。反応液にアセトニトリル(15.00g)を加え、2℃で1時間22分攪拌した。反応液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(17.40g、114.3mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を2℃で加え、1℃に冷却した。反応液に1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン塩酸塩(16.80g、114.6mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を加えた。反応液を60℃に昇温し、2時間10分攪拌した。反応液を20℃に冷却した。反応液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(27.80g、182.6mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を2℃で加え、−10℃に冷却した。反応液にN,N−カルボニルジイミダゾール(29.70g、183.2mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を加えた。反応液を2℃で1時間20分攪拌した。反応液にメタノール(7.50g)、酢酸(4.80g、79.9mmol)およびアセトニトリル(3.00g)を2℃で加えた。反応液を50℃で減圧留去した。得られた濃縮液にN,N−ジメチルアセトアミド(27.00g)を加え、10℃に冷却して17%硫酸水(204.1g)および水(19.00g)を加えた。反応液に17%硫酸水(31.30g)および水(2.50g)を25℃で加え、1時間48分攪拌した。反応液を50℃で減圧留去した。得られた濃縮液に水(190mL)を加え、2℃に冷却した後、17%硫酸水(3.30g)および水(1.30g)を加えた。反応液を2℃で1時間15分攪拌し、析出した固体をろ取して化合物(5)(27.13g、85.0%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δppm:1.24(d, J=7.1 Hz, 3H), 3.02(m, 1H), 3.68(s, 3H), 4.02(dd, J=13.4 Hz, 6.3 Hz, 1H), 4.24(dd, J=13.3 Hz, 8.4 Hz, 1H), 6.60(dd, J=2.8Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.85(d, J=1.6Hz, 1H), 8.48(dd, J=2.9 Hz, 0.6 Hz, 1H), 9.70(brs, 1H)
【0101】
(参考例2) 化合物(8)の合成
【化46】
[1]化合物(8)の合成
ナトリウム tert−ブトキシド(12.50g、130.1mol)をN−メチル−2−ピロリドン(64.00g)に懸濁し、4−アミノフェノール(7)(14.10g、129.2mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン(16.00g)を加えた。反応液を100℃に昇温し、2−ブロモピリジン(6)(19.50g、123.4mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン(4.00g)を加えた。反応液を115℃で8時間20分攪拌し、50℃に冷却した。反応液に水(29.00g)を50℃で加え、25℃に冷却して水(107.00g)を加えた。反応液に化合物(8)の種晶(8、20mg)および水(195mg)を加えて20℃で50分攪拌した。反応液に水(156.00g)を25℃で加え、5℃に冷却して1時間30分攪拌した。析出した固体をろ取することで化合物(8)(17.81g、77.5%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δppm:3.60(s,2H), 6.69-6.73(m, 2H), 6.83(ddd, J=8.4Hz, 0.8Hz, 0.8Hz, 1H), 6.92-6.96(m, 3H), 7.63(ddd, J=8.0Hz, 7.2Hz, 2.0Hz, 1H), 8.18(ddd, J=5.2Hz, 2.0Hz, 0.8Hz, 1H)
【0102】
[2]化合物(8)の種晶合成
ナトリウム tert−ブトキシド(3.20g、33.3mmol)をN−メチル−2−ピロリドン(16.42g)に懸濁し、4−アミノフェノール(7)(3.64g、33.4mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン(4.12g)を加えた。反応液を100℃に昇温し、2−ブロモピリジン(6)(5.01g、31.7mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン(1.10g)を加えた。反応液を115℃で6時間攪拌し、ナトリウム tert−ブトキシド(1.07g、11.1mmol)を加えて115℃で2時間35分攪拌した後に50℃に冷却した。反応液に水(7.50g)を50℃で加えた後に25℃に冷却して水(67.54g)を加え、1℃に冷却して結晶化させた。得られたスラリーを5℃で30分攪拌した後に、析出した固体をろ取することで化合物(8)の種晶(3.84g、65.2%)を得た。
【0103】
(参考例3) 化合物(9)の合成
【化47】
[1]化合物(9)の合成
化合物(5)(10.13g、36.27mmol)に臭化ナトリウム(4.1g、39.9mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(27.70g)を加えた。反応液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.16g、39.9mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(0.96g)を加え、75℃に昇温した。反応液に4−クロロベンジルクロリド(6.43g、39.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(9.56g)に溶解して調製した4−クロロベンジルクロリドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を75℃で加え、N,N−ジメチルアセトアミド(9.56g)を加えた。反応液を75℃で5時間15分攪拌した。反応液を25℃に冷却し、酢酸(0.65g、11mmol)を加えて40℃に昇温した。反応液に化合物(8)(7.43g、39.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(9.55g)に溶解して調製した化合物(8)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を加え、N,N−ジメチルアセトアミド(9.55g)を加えた。反応液を40℃で3時間攪拌し、室温に冷却した。反応液にアセトン(27.94g)および水(35.46g)を加えた。反応液に化合物(9)の種晶(10.13mg)、水(0.40g)およびアセトン(0.08g)を加え、室温で3時間25分攪拌後、終夜放置した。反応液を室温で1時間攪拌後、水(30.39g)を加えて3時間25分攪拌した。析出した固体をろ取して化合物(9)(16.72g、88.3%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δppm:1.19(d, J=7.1 Hz, 3H), 2.91(m, 1H), 3.61(s, 3H), 3.90(dd, J=13.6 Hz, 6.2 Hz, 1H), 4.12(dd, J=13.6 Hz, 8.4 Hz, 1H), 5.18(d, J=14.2 Hz, 1H), 5.22(d, J=14.2 Hz, 1H), 6.85(m, 2H), 6.96(m, 1H), 7.00(m, 1H), 7.14(m, 2H), 7.31(m, 2H), 7.50(m, 2H), 7.70(m, 1H), 7.89(brs, 1H), 8.14(m, 1H)
【0104】
[2]化合物(9)の種晶合成
化合物(5)(5.01g、17.9mmol)に臭化ナトリウム(2.00g、19.4mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(13.67g)を加えた。反応液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.55g、19.7mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(0.47g)を加え、75℃に昇温した。反応液に4−クロロベンジルクロリド(3.16g、19.6mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(4.71g)に溶解して調製した4−クロロベンジルクロリドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を75℃で加え、N,N−ジメチルアセトアミド(4.71g)を加えた。反応液を75℃で4時間30分攪拌した。反応液を25℃に冷却して酢酸(0.32g、5.3mmol)を加え、40℃に昇温した。反応液に化合物(8)(3.66g、19.7mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(4.71g)に溶解して調製した化合物(8)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を加え、N,N−ジメチルアセトアミド(4.71g)を加えた。反応液を40℃で3時間25分攪拌し、室温に冷却した。反応液にアセトン(13.79g)および水(17.54g)を加え、室温で終夜放置した。反応液を25℃に昇温して5時間攪拌し、水(15.00g)を加えて25℃で2時間攪拌した。析出した固体をろ取して化合物(9)の種晶(8.17g、87.2%)を得た。
【実施例3】
【0105】
式(I)で示される化合物の合成
【化48】
[1]式(I)で示される化合物の合成
化合物(9)(70.00g、134.1mmol)に2−プロパノール(109.91g)、水(63.00g)および48%水酸化ナトリウム水溶液(27.94g、335.3mmol)を加えた。反応液を35℃に昇温し、4時間10分攪拌した。反応液に2−プロパノール(32.97g)、メタノール(177.30g)および水(63.00g)を加えて50℃に昇温した。反応液にギ酸(18.52g、402.3mmol)および式(I)で示される化合物の種晶(70.00mg)を加え、50℃で1時間10分攪拌した後に水(280.00g)を加えて25℃に冷却した。析出した固体をろ取して式(I)で示される化合物の無水物I形結晶(62.86g、92.3%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δppm:1.13(d, J=7.0 Hz, 3H), 2.76(m, 1H), 3.83(dd, J=13.5 Hz, 6.1 Hz, 1H), 4.03(dd, J=13.5 Hz, 8.5 Hz, 1H), 5.14(m, 1H), 5.25(d, J=14.4 Hz, 1H), 6.82(d, J=8.6 Hz, 2H), 7.00(m, 2H), 7.08(m, 2H), 7.25(m, 2H), 7.43(d, J=8.3 Hz, 2H), 7.72(m, 1H), 8.06(dd, J=5.4 Hz, 1.8 Hz, 1H), 8.67(brs, 1H)
【0106】
[2]式(I)で示される化合物の種晶合成
化合物(9)(1.50g、2.87mmol)にメタノール(5.95g)、水(3.00g)および48%水酸化ナトリウム水溶液(0.60g、7.20mmol)を加えた。反応液を40℃に昇温し、1時間30分攪拌した。反応液を室温に冷却し、ギ酸(0.40g、8.62mmol)、酢酸エチル(10.5mL)、水(9mL)を室温で加えて分液により水層を除去した。得られた有機層に水(3mL)を加え、分液により水層を除去し、有機層に2−プロパノール(90mL)を加え、40℃で減圧留去した。得られた濃縮残渣に水(7.5mL)、2−プロパノール(7.5mL)を加えて25℃で1時間30分攪拌した。水(7.5mL)、メタノール(7.5mL)を加えた後、60℃に昇温して2時間攪拌し、25℃に冷却して析出した固体をろ取して式(I)で示される化合物の無水物I形結晶の種晶(10、1.25g,85.6%)を得た。
【0107】
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶の粉末X線回折の結果を、
図1に示す(メソッド1)。
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°、26.6°±0.2°、27.8°±0.2°および32.8°±0.2°、
または回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°、17.2°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°、25.4°±0.2°および27.8°±0.2°にピークが認められた。
上記粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):15.8°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、23.9°±0.2°および25.4°±0.2°、
または回折角度(2θ):7.9°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、15.8°±0.2°および19.4°±0.2°のピークが式(I)で示される化合物の無水物I形結晶として特に特徴的である。
【0108】
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶のラマンスペクトルの結果を
図2に示す(メソッド1)。
829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1093cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1、1243cm
−1±2cm
−1、1370cm
−1±2cm
−1、1599cm
−1±2cm
−1、1659cm
−1±2cm
−1、1735cm
−1±2cm
−1、2938cm
−1±2cm
−1、3067cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
【0109】
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、829cm
−1±2cm
−1、989cm
−1±2cm
−1、1013cm
−1±2cm
−1、1128cm
−1±2cm
−1および1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、829cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、989cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、1013cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、1128cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、1370cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、829cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、989cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、1013cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、1128cm
−1±2cm
−1の吸収ピークおよび1370cm
−1±2cm
−1の吸収ピークからなる群から選択される1以上の吸収ピークを有する。
【0110】
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶のDSC分析結果を
図3に示す。オンセット温度は約196℃を示した。
【0111】
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶の単結晶構造解析の結果を以下に示す。
結晶学的データを表4に示す。
【表4】
ここで、Vは単位格子体積、Zは単位格子中の分子数を意味する。
【0112】
また、非水素原子の原子座標を表5〜表7に示す。ここで、U(eq)とは、等価等方性温度因子を意味する。
【表5】
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
次に、水素原子の原子座標を表8〜表9に示す。ここで、U(iso)とは、等方性温度因子を意味する。また、表8〜9の水素原子の番号は、結合している非水素原子の番号に関連して付けた。
【表8】
【0116】
【表9】
【0117】
さらに、原子間結合距離(単位:オングストローム)を表10〜表11に示す。
【表10】
【0118】
【表11】
【0119】
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、非対称単位中に、式(I)で示される化合物が2分子存在していた。式(I)で示される化合物の分子構造図を、
図7および
図8にそれぞれ示す。
なお、表5〜表7および表10〜表11における非水素原子の番号は、それぞれ
図7および
図8に記載された番号に対応している。
【0120】
表10〜表11に記載の通り、C12−N2の結合距離は約1.26Åを示し、C37−N7の結合距離は約1.27Åを示した。
C12−N2の結合距離およびC37−N7の結合距離は、C12−N3の結合距離(約1.39Å)およびC37−N8の結合距離(約1.37Å)よりも短いため、無水物I形結晶中の式(I)で示される化合物は、いずれもイミノ構造:
【化49】
であると同定した。
【実施例4】
【0121】
(添加剤によるアザ−マイケル付加反応の促進効果)
【化50】
上記スキームと類似の反応が、Tetrahedron Asymmetry, Vol.7, No.3, pp.699-708, 1996(非特許文献16)に記載されている。当該文献では、反応溶媒としてメタノールを使用し、9日間加熱還流を行うことによって、アザ−マイケル付加反応の生成物が得られている(収率74%、1:1ジアステレオ混合物)。原料であるメタクリル酸メチル(化合物2)は、ポリマー合成の原料として用いられる化合物であり、長時間高温で反応すると重合する恐れがあるため、本反応条件は工業的な製造方法には適していない。
それに対し、上記アザ−マイケル付加反応において、添加剤として塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化リチウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を用いると、下記表12に示す通り、反応が促進されることが判明した。
【表12】
実施例1と同様にして、上記表12の各条件下で反応を行った。各反応溶液を攪拌しながらサンプリングし、約100mgを秤取して液体クロマトグラフィー用メタノールを加えて100mLに希釈後、10μLを注入してHPLC(メソッドA)を測定した。
*Conv.(%)は、下式により計算した。
【数1】
ここで、A1、A3’、A3’’とは、HPLC測定におけるそれぞれのピーク面積を示す。
A1:化合物(1)
A3’:化合物(3’)
A3’’:化合物(3’’)
なお、化合物(3’’)は以下に示す化学構造式である。
【化51】
これまで、非特許文献16記載に記載されているような、9日間加熱還流を行う反応条件しか知られていなかったが、これらの添加剤存在下で反応することにより、反応が促進され、1時間〜7時間という短時間で反応が完了することから、本製造方法は工業的に優れた製造方法であると言える。
【0122】
なお、非特許文献16では、(S)−1−フェニルエチルアミン((S)−α−メチルベンジルアミン)とメタクリル酸メチルとのアザ−マイケル付加反応完了後に、p−トルエンスルホン酸を加え、p−トルエンスルホン酸塩を得ている。それに対し、本願では、(R)−1−フェニルエチルアミン((R)−(+)−1−フェニルエチルアミン)とメタクリル酸メチルとのアザ−マイケル付加反応完了後に、p−トルエンスルホン酸を加え、p−トルエンスルホン酸を得ている。つまり、非特許文献16では、本願の式(IV−B):
【化52】
のエナンチオマーのp−トルエンスルホン酸塩が得られているため、本願発明は非特許文献16には記載されていない。
【実施例5】
【0123】
(化合物(4’)の硫酸塩と塩酸塩の単離収率比較)
【化53】
上記実施例2に記載の製造方法と同様にして、パラジウム炭素を除去した後のろ液に、メタノールおよび4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液を加えた。晶析溶媒として酢酸エチルを加え、減圧留去する操作を繰り返し行い、酢酸エチルへ溶媒置換して0℃に冷却し、析出した固体をろ取することで化合物(4’)の塩酸塩を得た。化合物(4’)の硫酸塩は、上記実施例2に従い合成した。
ここで、化合物(4’)の塩酸塩または化合物(4’)の硫酸塩の単離収率および析出した固体をろ取した後の各ろ液につき、約200mgを秤取して液体クロマトグラフィー用アセトニトリル15mLおよびトリエチルアミン45μLを加えた後、塩化ベンゾイル15μLを加えて液体クロマトグラフィー用アセトニトリルを加えて20mLに希釈後、10μL注入してHPLC(メソッドB)を測定した。別途、濃度計算用基準溶液として化合物(4’)の塩酸塩または化合物(4’)の硫酸塩の単離固体約10mgを秤取して液体クロマトグラフィー用アセトニトリル15mLおよびトリエチルアミン45μLを加えた後、塩化ベンゾイル15μLを加えて液体クロマトグラフィー用アセトニトリルを加えて20mLに希釈後、10μL注入してHPLC(メソッドB)を測定し、ろ液に含まれる化合物(4’)の濃度を下式により計算した。
【数2】
ここで、M
S、M
L、A
S、A
Lとは、HPLC測定におけるそれぞれのピーク面積を示す。
M
S:化合物(4’)の塩酸塩または化合物(4’)の硫酸塩の単離固体のHPLC測定における秤取量(mg)
M
L:ろ液のHPLC測定における秤取量(mg)
A
S:化合物(4’)の塩酸塩または化合物(4’)の硫酸塩の単離固体のHPLC測定におけるピーク面積
A
L:ろ液のHPLC測定におけるピーク面積
【表13】
表13より明らかな通り、化合物(4’)を塩酸塩として単離する場合(エントリー1〜6)、単離収率が約77%〜約88%とばらつきがあった。また、ろ液中に溶出したフリー体(化合物(4’))が約3%〜約10%確認された。
それに対し、化合物(4’)を硫酸塩として単離する場合(エントリー7〜10)、単離収率が約92%〜約94%と高収率で得られることが明らかとなった。また、ろ液中に溶出したフリー体の割合が約2〜約3%であった。
以上の結果から、化合物(4’)を硫酸塩として製造する方法は、ろ液中にフリー体が溶出する量が少なく、製造時におけるロスが小さいことから、工業的に優れた製造方法であると言える。
【実施例6】
【0124】
(ラセミ化抑制効果)
【化54】
特許文献6、7、8および9には、エステルを加水分解してカルボン酸を得る製造方法が開示されており、溶媒としては、ジオキサン、THF、DMSO、MeOH−THF混合液、THF−EtOH−水混合液、MeOH−水混合液、MeOH−THF−水混合液等が使用されている。
それに対し、上記加水分解反応において、イソプロピルアルコール、THFまたはt−BuOHを反応溶媒として用いると、下記表14に示す通り、生成物のラセミ化が抑制されることが判明した。
【表14】
実施例3と同様にして、上記表の条件下で反応を行った。各反応液につき、約100mgを秤取して液体クロマトグラフィー用メタノールを加えて20mLに希釈後、10μLを注入してHPLC(メソッドC)を測定した。
*化合物(9)のR体量は下式により計算した。単位はピーク面積(%)を示す。
【数3】
**式(I)で示される化合物のR体量は下式により計算した。単位はピーク面積(%)を示す。
【数4】
なお、化合物(9)のR体および式(I)で示される化合物のR体の構造式は以下に示すとおりである。なお、化合物(9)のR体および式(I)で示される化合物のR体の分子構造(アミノ体/イミノ体)は決定していない。
【化55】
上記表14に記載の通り、反応溶媒としてメタノールを使用した場合は、ラセミ化が起こり、光学異性体の量が0.43%から0.93%に増加したことがわかった。また、エタノールの場合も同様に、0.43%から約0.7%に増加した。それに対し、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールを使用した場合は、約0.5%に増加した。
以上の結果から、メタノールおよびエタノールを反応溶媒として使用した場合と比較すると、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールを使用した場合は、出発原料である化合物(9)に当初含有されていたR体の割合から若干増える程度であり、ラセミ化が抑制されていることが明らかとなった。よって、本製造方法は工業的に優れた製造方法であると言える。
【実施例7】
【0125】
[1]式(I)で示される化合物の二水和物結晶の合成
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶(50.00g、98.43mmol)に、2−プロパノール(314.02g)、水(150.00g)、48%水酸化ナトリウム(20.51g、246.1mmol)を加えて溶解した。得られた溶液に、35%塩酸(25.64g、246.1mmol)と式(I)で示される化合物の二水和物の種晶(50.00mg)を加えた後、室温で1時間攪拌し、水(250.00g)を加えて2時間撹拌した。得られたスラリーを5℃に冷却し、ろ過することで、式(I)で示される化合物の二水和物結晶(49.23g)を得た。
二水和物結晶であることは、示差熱・熱重量同時測測定(TG/DTA)、水分吸脱着測定(DVS)及び粉末X線回折測定で確認した。
【0126】
式(I)で示される化合物の二水和物結晶の粉末X線回折パターンを、
図4に示す(メソッド1)。
回折角度(2θ):5.7°±0.2°、7.7°±0.2°、11.8°±0.2°、15.2°±0.2°、17.7°±0.2°、20.6°±0.2°、20.8°±0.2°、26.5°±0.2°、27.1°±0.2°および29.1°±0.2°のピークが式(I)で示される化合物の二水和物結晶として特に特徴的である。
【0127】
式(I)で示される化合物の二水和物結晶のラマンスペクトルの結果を
図6に示す(メソッド2)。
871cm
−1±2cm
−1、996cm
−1±2cm
−1、1093cm
−1±2cm
−1、1114cm
−1±2cm
−1、1234cm
−1±2cm
−1、1248cm
−1±2cm
−1、1340cm
−1±2cm
−1、1577cm
−1±2cm
−1、1603cm
−1±2cm
−1、1662cm
−1±2cm
−1、1738cm
−1±2cm
−1、2971cm
−1±2cm
−1、3073cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
【0128】
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、871cm
−1±2cm
−1、996cm
−1±2cm
−1、1114cm
−1±2cm
−1、1234cm
−1±2cm
−1、1340cm
−1±2cm
−1および1577cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、871cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、996cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、1114cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、1234cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、1340cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、1577cm
−1±2cm
−1に吸収ピークを有する。
一つの実施形態において、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、871cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、996cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、1114cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、1234cm
−1±2cm
−1の吸収ピーク、1340cm
−1±2cm
−1の吸収ピークおよび1577cm
−1±2cm
−1の吸収ピークからなる群から選択される1以上の吸収ピークを有する。
【0129】
式(I)で示される化合物の二水和物結晶の示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)の結果を、
図5に示す。この結果、約55℃から約85℃に、吸熱ピークを伴う、6.4%の重量減少を確認した。式(I)で示される化合物の二水和物結晶の、水分含量の理論値は6.6%であることから、式(I)で示される化合物の二水和物結晶であることを確認した。
【0130】
[2]式(I)で示される化合物の二水和物の種晶の合成
化合物(9)(70.00g、134.1mmol)に、2−プロパノール(109.91g)、水(63.02g)、48%水酸化ナトリウム(27.95g、335.4mmol)を加えて、25℃で4時間撹拌した。得られた反応溶液に、2−プロパノール(16.49g)、メタノール(127.43g)、水(217.00g)を加えた後、25℃でギ酸(9.88g、215mmol)を加えて、25℃で35分間攪拌した。得られたスラリーに、ギ酸(8.64g、188mmol)と水(70.00g)を混合して調整したギ酸水溶液を25℃で滴下した後、水(7.00g)及びメタノール(27.70g)を加えた。スラリーをろ過することで、式(I)で示される化合物の二水和物の種晶(64.04g)を得た。
【0131】
(参考例4)
(特許文献9記載の化合物I−127の合成)
前述の通り、特許文献9には、化合物I−127の各製造工程は具体的には記載されていない。化合物I−127の類似化合物(特許文献9の参考例3)と同様にして、化合物I−127を合成した。以下に最終工程のみを示す。
【化56】
methyl (S,E)-3-(3-(4-chlorobenzyl)-2,6-dioxo-4-((4-(pyridin-2-yloxy)phenyl)imino)-1,3,5-triazinan-1-yl)-2-methylpropanoate (0.365 g, 0.7 mmol)、MeOH (1 mL)、THF (1 mL)、H
2O (1 mL)、4mol/L-LiOH水溶液 (0.7 mL, 2.80 mmol)を混合し、室温で2時間攪拌した。反応液を半飽和食塩水 (100 mL)と5%クエン酸溶液に加え、酢酸エチル(100 mL)で抽出し、有機層を半飽和食塩水(100 mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=50:50〜酢酸エチル/ヘキサン=80:20)で精製後、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い、ろ取後、80℃で3時間減圧乾燥し、白色粉末を得た。
1H NMR (DMSO-d6)δ: 0.86 (1.5H, t, J = 6.8 Hz, hexane), 1.03 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.18 (0.75H, t, J = 7.4 Hz, AcOEt), 1.25 (2H, brs, hexane), 1.99 (0.75H, s, AcOEt), 2.76 (1H, t, J = 7.2 Hz), 3.81 (1H, t, J = 10.5 Hz), 3.95 (1H, t, J = 10.2 Hz), 4.03 (0.5H, q, J = 7.4 Hz, AcOEt), 5.29 (2H, s), 7.02-7.12 (4H, m), 7.36-7.45 (6H, m), 7.85 (1H, t, J = 7.5 Hz), 8.16 (1H, s), 9.34 (1H, brs).
LC/MS m/z 508 [M+] 保持時間 2.02 min
ここで、LC/MSは、特許文献9のメソッド1の条件下で測定した。
【0132】
1H−NMRの結果を
図9に示す。
NMRのスペクトルチャートにおいて、酢酸エチルとヘキサンのピークが認められた。得られた結晶は80℃で3時間減圧乾燥しているため、結晶表面の付着溶媒ではなく、結晶格子に内包される酢酸エチルおよびヘキサンであると推測された。また、TG/DTA(
図13)において、吸熱を伴う重量減少が確認されたため、酢酸エチルおよびヘキサンの溶媒和物結晶であることが示唆された。
さらに、
1H−NMRの積分比から、式:
【化57】
で示される化合物、酢酸エチル、ヘキサンの存在モル比は、約4:1:1であった。
従って、特許文献9に記載の化合物I−127は、式:
【化58】
で示される化合物の酢酸エチル/ヘキサン溶媒和物結晶が得られていたと推定される(ただし、分子構造(アミノ体/イミノ体)については不明である)。
【0133】
次いで、得られた白色粉末の粉末X線回折のパターンを、
図10に示す(メソッド2)。
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.3°±0.2°、10.8°±0.2°、13.4°±0.2°、17.9°±0.2°、19.4°±0.2°、21.7°±0.2°、25.6°±0.2°にピークが認められた。
【0134】
また、得られた結晶のラマンスペクトルの結果を
図11に示す(メソッド2)。
821cm
−1±2cm
−1、856cm
−1±2cm
−1、893cm
−1±2cm
−1、1002cm
−1±2cm
−1、1094cm
−1±2cm
−1、1221cm
−1±2cm
−1、1269cm
−1±2cm
−1、1575cm
−1±2cm
−1、1604cm
−1±2cm
−1、1614cm
−1±2cm
−1、1649cm
−1±2cm
−1、1725cm
−1±2cm
−1および3073cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
821cm
−1±2cm
−1、1002cm
−1±2cm
−1、1269cm
−1±2cm
−1、1575cm
−1±2cm
−1、1614cm
−1±2cm
−1、1649cm
−1±2cm
−1および1725cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
1575cm
−1±2cm
−1、1614cm
−1±2cm
−1および1649cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
1614cm
−1±2cm
−1および1649cm
−1±2cm
−1に主な吸収ピークが認められた。
【実施例8】
【0135】
(式(I)で示される化合物の無水物II形結晶の合成)
式(I)で示される化合物の無水物I形結晶(約10mg)をバイアルに秤取し、CHCl
3を200μL添加した。25℃下、400rpmでマグネチックスターラーにて攪拌した(終夜運転)。7日後にろ過し、得られた粉末を粉末X線回折測定で確認した。
式(I)で示される化合物の無水物II形結晶の粉末X線回折パターンを、
図12に示す(メソッド3)。
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.5°±0.2°、12.1°±0.2°、16.4°±0.2°、17.1°±0.2°、18.1°±0.2°、18.5°±0.2°、20.3°±0.2°、23.0°±0.2°および24.7°±0.2°にピークが認められた。
上記粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):8.5°±0.2°、12.1°±0.2°、16.4°±0.2°、17.1°±0.2°および18.1°±0.2°にピークが認められた。
【実施例9】
【0136】
(流動性試験(圧縮度およびHausner比))
(測定方法)
1)50mLメスシリンダーに約10gの試料を静かに入れ、試料量を測定した。
2)粉体層の上面を圧密せず注意深くならし、ゆるみかさ体積(V
0)を読み取った。
3)メスシリンダーをパウダーテスター(PT-X型、ホソカワミクロン)の支持台に装着した。
4)粉体試料を10回、500回、1250回、2500回タップし、対応するかさ体積(V
10、V
500、V
1250、V
2500)を読み取った。
5)体積の差が最小目盛り(0.5mL)以下になった時点で終了し、最終のかさ体積を最終タップ体積(V
f)とした。
6)1)〜5)を3回繰り返し測定し、平均値を圧縮度及びHausner比の算出に採用した。
【0137】
(圧縮度及びHausner比算出方法)
圧縮度=(V
0-V
f)/V
0×100
Hausner比=V
0/V
f【0138】
(結果)結果を表15に示す。
【表15】
表15より明らかな通り、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶が、最も圧縮度(%)が低く、他の2つの結晶形と比較して、流動性が良好であることが判明した(参考:PMDA資料;粉体の流動性;圧縮度およびHausner比測定法、表16に抜粋を示す)。
【表16】
一般的に、医薬品の固形製剤化プロセスにおいて、医薬用粉体の流動性が高い方が、安定した製造を行うことができることが知られている。医薬品粉体の低流動性は粉体加工装置、例えば打錠機におけるホッパーでのブリッジ現象、錠剤重量偏差増大の原因になり得る。安定した医薬品粉体の生産には、流動性が高い結晶形が求められており、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、医薬品の製剤化プロセスにおいて、特に好ましい結晶形であることが判明した。
【実施例10】
【0139】
(ICHコードQ3Cに基づく残留溶媒量)
ヘキサンは、医薬品中の残留量を規制すべき溶媒(クラス2)であり、酢酸エチルは低毒性の溶媒(クラス3)である。従って、医薬品原体中におけるヘキサンの残留量は規定値以下に調製する必要がある。以下の表17に、ICHコードQ3Cに基づくクラス2の溶媒を示す。
【表17】
ヘキサンのPDE(Permitted Daily Exposure)は、2.9mg/日である。式(I)で示される化合物の酢酸エチル/ヘキサン溶媒和物結晶を医薬品原体として使用する場合は、投与量によっては、ヘキサンのPDEが規制値以上になる場合がある。それに対して、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶および二水和物結晶は、残留溶媒としてヘキサンを含まず、医薬品原体に用いる結晶形として優れていることが判明した。
【実施例11】
【0140】
(固体安定性試験)
(測定方法)
試料5mgを2mLバイアルに精密に各4本ずつ秤取し、キャップをして所定温度に保存した(密閉保存)。次いで、それぞれを所定期間保存後に取り出し、安定性(含量)を評価した。
(保存条件)
80℃密栓
(保存期間)
1週間
(検液調製条件)
各バイアルを25mLメスフラスコに洗い出した。
溶解時の媒体:アセトニトリル/水=1/1
(HPLC測定条件)
メソッドD
(結果)
結果を表18に示す。
【表18】
いずれの結晶形においても、残存率が99%以上であり、安定な結晶形であることが判明した。式(I)で示される化合物の酢酸エチル/ヘキサン溶媒和物結晶は、類縁物質が5種類生成した。式(I)で示される化合物の無水物I形結晶は、類縁物質が3種類生成し、式(I)で示される化合物の二水和物結晶は、類縁物質が2種類生成した。以上より、式(I)で示される化合物の無水物I形結晶および二水和物結晶は、生成する類縁物質の種類が少ないことが判明した。
【0141】
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、任意の従来の経路により、特に、経腸、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経口で、例えば注射液剤または懸濁剤の形態で、局所で、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形態で、または経鼻形態または座剤形態で医薬組成物として投与することができる。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒にして、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口用組成物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等および有効成分等を含有する錠剤、顆粒剤、カプセル剤とすることができる。また、注射用組成物としては、溶液剤または懸濁剤とすることができ、滅菌されていてもよく、 また、保存剤、安定化剤、緩衝化剤等を含有してもよい。
で示される化合物またはその溶媒和物の結晶、およびそれを含有する医薬組成物に関する。ならびに、式(I)で示される化合物またはその溶媒和物の結晶の製造方法に関する。