【実施例1】
【0011】
図1、2および4において、Aは容器本体Dに装着されるキャップ本体、Bはキャップ本体AにヒンジCを介して一体成形される上蓋である。
容器本体Dの口部1の外周には、係合突条2が設けられている。
【0012】
図1に示すように、キャップ本体Aは、容器本体Dの口部1を密封する隔壁3と、隔壁3の周縁に立設される注出筒4と、注出筒4の下端外周からリング状底壁5を介して連設される嵌合筒部6と、嵌合筒部6の外周に一定の間隙を有して連設され、上端外周にヒンジCを介して上蓋Bを連設する外周筒部7と、隔壁3内に設けられた抜栓するためのプルリング8から構成されている。
【0013】
隔壁3には、使用時に注出口を開口するために破断可能な薄肉弱化部10によって画成される除去部11が設けられている。
プルリング8は、除去部11の上面に設けられ、ヒンジC側端部に立設される支柱部13と、支柱部13の上端部から連設されるリング部14とから構成されている。
【0014】
隔壁3には、薄肉弱化部10の他に、小さな穴開け用の薄肉部12が設けられ、
図3に示すように、薄肉部12とプルリング8とは、リング部14の下部から連設される柱状部15を介してつながっている。
柱状部15は、リング部14に近い部分ほど肉厚であり、薄肉部12に向けて細くなっている形状を有している。
本実施例においては、薄肉部12は、隔壁3の中心位置から支柱部13からみて左右の対向する2箇所の薄肉弱化部10の外側に連結して設けられている。
また、柱状部15は、支柱部13からみて、対向する左右の2箇所のリング部14の下部から伸びてそれぞれ薄肉部12とつながっている。
【0015】
なお、薄肉部12は、隔壁3内の支柱部13から離れた位置に設けられ、支柱部13近傍の薄肉弱化部10の破断より先に破断する位置であれば1箇所でも2箇所でもよく、たとえば隔壁の中央位置に薄肉部が1箇所設けられる場合には、プルリングの支柱部からみて対向する左右の2箇所のリング部の下部からV字状に柱状部が伸びて薄肉部で一体化してつなげてもよく、また、支柱部と反対側のリング部の下部から一つの柱状部を伸ばして薄肉部につなげてもよい。
また、薄肉部は薄肉弱化部と重なる位置に形成されるものであってもよい。
【0016】
注出筒4は、上部に、先端に向かって外方にラッパ状に湾曲するとともに薄肉となるリップ状に形成される湾曲部16が形成され、湾曲部16のヒンジC側内周面には、後述する上蓋Bの舌片41の係止凹部45および下係止段部44と係止する係止先端面17が形成されている。
【0017】
嵌合筒部6は、内周側にリング状底壁5の外周縁と接続する内筒20と、外周側に外筒21とを備え、内筒20と外筒21は、上部で環状の蓋係合部22により連設され、蓋係合部22の上部には、外方に突出する環状の膨出部23が設けられている。
外筒21の内周には、口部1の外周に設けられる係合突条2と係合する係止部24が突設されており、嵌合筒部6を打栓することにより容器本体Dの口部1に嵌合し、内筒20外周と外筒21内周とにより口部1を挟持するとともに、口部1の係合突条2と外筒21の係止部24とが係合して、キャップ本体Aが容器本体Dの口部1に嵌着される。
【0018】
嵌合筒部6および外周筒部7には、容器の使用後に容器本体Dの口部1からキャップを分離して廃棄するための分別機構が設けられている。
該分別機構として、外筒21の下端部外周と外周筒部7の下端部内周は、ヒンジCと反対側の位置に所定円弧範囲にわたって設けられる破断不能な連結部25と、該円弧範囲以外のヒンジC側の円弧範囲に間隔をおいて複数配設される破断可能な弱化部26とを介して連設されている。
【0019】
また、外周筒部7のヒンジCが連設される箇所の近傍に上端から垂直方向に細幅の縦スリット27が所定の深さで形成され、縦スリット27の下方には、破断可能な薄肉の弱化壁28が縦スリット27と同一の細幅で形成されている。
本実施例では、縦スリット27および弱化壁28は、垂直方向に形成されているが、垂直方向に限らず、斜め方向や階段状などに形成されていても構わない。
【0020】
さらに、
図2(b)に示すように、嵌合筒部6の外筒21の内周下部には、連結部25の周方向両端に対応する位置に割溝29が形成され、ヒンジC側の2カ所に切欠部30が形成されている。
割溝29は、係止部24の径方向の厚みよりも深く形成され、切欠部30は、係止部24の径方向の厚みと同じ深さに形成されている。
【0021】
上蓋Bは、
図1に示すように、平坦な頂壁35と、頂壁35の周縁から垂下される側周壁36と、頂壁35の内面から垂設される密封筒37とから構成されている。
側周壁36の下端外周縁は、ヒンジCに連設され、ヒンジCの反対側の下端外周には摘み38が設けられており、摘み38の上部の側周壁36は他の周囲の側周壁36の下端部より薄肉になっている。
側周壁36の内周面の下端近傍には、蓋係合部22の膨出部23が嵌合して閉蓋状態を維持する環状の係止溝39が設けられている。
【0022】
密封筒37の下端外周面には、注出筒4の内周面に当接する環状のシール部40が形成され、下端のヒンジC側の半周には、上蓋Bの内面に付着した内容液が注出筒4を伝って容器内に還流して周辺に垂れないように舌片41が垂設されている。
舌片41は、軸方向断面が弓形状をなし、舌片41の外周面は、上蓋Bを開閉する際に注出筒4の湾曲部16の内周面に沿って摺動するように湾曲面が形成されている。
舌片41は、ヒンジCの反対方向から見て所定周範囲に最も高く形成された先端部を有する山形をなしている。
【0023】
舌片41の先端部には、略垂直な壁面が形成される下係止段部44が形成され、下係止段部44の底縁には、注出筒4の湾曲部16の先端に対応するように舌片41の基部側に向かって深さが漸次浅くなる凹面となる係止凹部45が形成されている。
【0024】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、
図2に示すように、完全に開蓋した状態で一体成形される。
本実施例のヒンジキャップを容器本体Dに装着するには、まず上蓋BをヒンジCを支点に回動して閉蓋する必要がある。
【0025】
上蓋Bを閉じる際には、まず舌片41の先端部が注出筒4の湾曲部16内周の係止先端面17に乗り上げるようになり、下係止段部44が係止先端面17を乗り越えて上係止段部19に係合すると同時に、係止先端面17が係止凹部45に嵌合して上蓋Bが係止される。
この状態から、さらに上蓋Bを閉じる方向に力を加えると、係止先端面17と係止凹部45の凹面は緩やかに係止しているので、小さな力で係止状態が速やかに解除され、舌片41は、湾曲部16の内周面を摺動しながら上蓋Bが回動し、蓋係合部22の膨出部23が上蓋Bの係止溝39に嵌合することで閉蓋動作が完了し、
図1に示す閉蓋状態となる。
その後、ヒンジキャップは、内容液を高温充填した容器本体Dの口部1を嵌合筒部6に当てがい、上方から押圧して打栓することにより、キャップ本体Aの係止部24が容器本体Dの係合突条2を乗り越えて、口部1が嵌合筒部6に嵌合し、装着される。
【0026】
ヒンジキャップが装着された容器を使用するには、まず、上蓋Bの摘み38に手指を掛けて引き上げ、膨出部23と係止溝39の嵌合を解除して上蓋Bを回動させていくと、舌片41の下係止段部44が注出筒4の上係止段部19に係合するとともに係止先端面17が係止凹部45に嵌合して、
図4に示すように上蓋Bを常に一定の開度で係止する。
【0027】
次に、抜栓について説明する。
抜栓に際し、
図4、5に示すように、プルリング8のリング部14内に指を掛け、引っ張り上げると、まずリング部14につながる2箇所の小さな穴開け用の薄肉部12が破断される。薄肉部12の破断に際し、空気が入り込んで液面が波立っても、小穴12aであるため、そこから内容液が飛び散ることはない。
薄肉部12が破断される際に、薄肉部12に連結する薄肉弱化部10の部分も破断されるが、それ以上薄肉弱化部10が破断されることはない。
薄肉部12の破断に際して、少々抵抗があるため、プルリング8の持ち上げが一時的に停止されるが、さらにプルリング8を引っ張り上げて、支柱部13近傍の薄肉弱化部10から破断しはじめ、続いて順次薄肉弱化部10を破断していき、最後に隔壁3の除去部11を切り取り、注出口を開口する。
【0028】
薄肉部12の破断により、容器内の内圧が大気圧と同じになるため、薄肉弱化部10が破断されても、液面は安定化されており、内容液が噴き出すことはない。
また、本実施例のように、支柱部13から離れて対向する左右の位置に2個の薄肉部12が設けられている場合には、プルリング8のリング部14内に指を入れるときに柱状部15が邪魔にならず、力も偏ることがなく均等にかかるため、薄肉部12を容易に破断することができる。
なお、薄肉部12を薄肉弱化部10より薄肉とすることによって、薄肉部12の破断が容易となるとともに、薄肉弱化部10への影響をより小さくすることもできる。
【0029】
上蓋Bは、所定の開度に係止されているので、そのまま容器を傾ければ、容器内の内容液は注出口から注出筒4の内周面に案内されて注出され、上蓋Bが揺動して注出の邪魔をしたり内容液によって汚れたりすることがなく、上蓋Bに手を添えなくてはならないような面倒もない。
なお、本実施例の抜栓キャップは、上蓋Bの内面に付着した内容液が注出筒4を伝って容器内に還流して周辺に垂れないように舌片41が垂設されているが、舌片41を備えない通常の抜栓キャップであっても構わない。
【0030】
容器の使用を終えた後にヒンジキャップを容器本体Dから取り外して廃棄するための分別手順は、まず、上蓋Bを回動して開蓋状態とし、上蓋Bを把持して手前に引っ張り、ヒンジCを介して外周筒部7を変形させ、縦スリット27の弱化壁28を破断させる。
さらに、上蓋Bを把持して手前に引っ張り、反時計方向に順次破断し、最後に連結部25を介して上蓋Bを引っ張り上げることにより、容易に容器本体Dからヒンジキャップを分別して廃棄することができる。
【0031】
さらに、外筒21の内周下部には、連結部25の周方向両端に対応する位置に、係止部24の径方向の厚みよりも深く形成される割溝29が設けられているので、連結部25を介して外筒21を引き上げた際の外筒21の撓み変形が助長されるとともに、係止部24は、より係合突条2を乗り越え易くなるとともに、外筒21の内周下部には、ヒンジC側の所定の位置に、係止部24の径方向の厚みと同じ深さに形成される切欠部30が設けられているので、係止部24の周方向の引っ張りに対する抗力が減少し、係止部24は、より係合突条2を乗り越え易くなる。
【実施例2】
【0032】
次に、薄肉部12の構成を変更した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0033】
図6〜8に示すように、キャップ本体Aの隔壁3に設けられた除去部11は第1実施例に比べて少し広く、薄肉部52は、薄肉弱化部10から離れ、隔壁3の中心に向けて少し内側に、2箇所設けられている。また、プルリング8の柱状部15は、実施例1と同じように、支柱部13からみて対向する左右のリング部14の下部の2箇所から伸びてそれぞれの薄肉部52につなげられている。
【0034】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
抜栓に際し、
図9に示すようにプルリング8のリング部14が引っ張られて、まず小さな穴開け用の薄肉部52が破断され、小穴52aから空気が流入し、内圧が大気圧と同じになり、液面が安定化される。
さらにプルリング8を引っ張り上げると、支柱部13近傍の薄肉弱化部10から破断しはじめ、順次薄肉弱化部10を破断し、除去部11が取り除かれて、注出口が開口される。
第1実施例と同様に、小さな穴開け用の薄肉部52が先に破断されて液面が安定しているため、薄肉弱化部10によって除去部11が取り除かれる際に、内容液が噴き出すことはない。
また、本実施例においては、薄肉部52は、薄肉弱化部10とは離れた位置にあるため、薄肉部52の破断による薄肉弱化部10への影響はない。
その他の作用効果については、第1実施例と同様である。
【0035】
上記各実施例では、抜栓キャップは、キャップ本体と上蓋とをヒンジを介して一体成形されたヒンジキャップとしているが、抜栓式のキャップ本体と上蓋とが別体で形成され、キャップ本体の上部に上蓋が嵌着または螺着されるキャップであっても構わない。
また、キャップ本体に分別廃棄機構を設けない抜栓キャップであっても構わない。