特許第6873542号(P6873542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873542
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】栽培環境監視システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   A01G7/00 603
   A01G7/00 601Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-47345(P2017-47345)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-148842(P2018-148842A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517088953
【氏名又は名称】江藤 文敏
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【弁理士】
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】呉 一憲
(72)【発明者】
【氏名】古川 靖祐
(72)【発明者】
【氏名】江藤 文敏
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/091586(WO,A1)
【文献】 特開2012−080790(JP,A)
【文献】 特開2017−012057(JP,A)
【文献】 特開2015−144598(JP,A)
【文献】 特開2016−029917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0030877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00−7/06
A01G 9/14−9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
園芸ハウス内の温度,湿度および園芸ハウス内に差し込む光の照度を計測するセンサを1つの筐体内に内蔵し、温度,湿度および照度の計測データを無線で送信する、園芸ハウス内の園芸ハウスを構成するパイプの任意箇所に設置自在で取り外し自在に構成された複数のセンサ装置と、
前記センサ装置から送信される計測データを無線アンテナによって受信するセンサ親機、前記センサ親機で受信した計測データを携帯電話網アンテナによってインターネット網へ送出すると共にインターネット網を介して外部機器と交信する携帯通信ルータ、および、前記センサ親機および前記携帯通信ルータに対する通信制御を行うと共に前記センサ装置から送信される計測データをサーバへ送信してサーバに記憶させるコンピュータを有する、持ち運び自在な1つのケース内に前記センサ親機、前記携帯通信ルータおよび前記コンピュータが収容されて構成され、園芸ハウス内の任意の位置に設置される前記携帯電話網アンテナとケーブルを介して接続されて、園芸ハウス内に設置される分電盤から園芸ハウス内において電源が供給される、複数の各園芸ハウス毎にまたは前記センサ装置と通信できる範囲内にある複数の園芸ハウスに対して1つ設けられる集約装置と、
前記携帯通信ルータとインターネット網を介して通信する通信端末と
を備えて構成される栽培環境監視システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記センサで計測される温度または湿度または照度の計測値が所定値を超えると、登録された前記通信端末へ前記携帯通信ルータによってインターネット網を介して警報を送信することを特徴とする請求項1に記載の栽培環境監視システム。
【請求項3】
園芸ハウス内に設置される園芸設備機器を制御する機器制御回路が形成された制御ボードを前記分電盤に備え、
前記コンピュータは、前記携帯通信ルータに受信される前記通信端末からの指令に従って前記制御ボードに制御信号を送出して園芸設備機器を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の栽培環境監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸ハウス内の少なくとも温度,湿度および照度を計測して園芸ハウス内の栽培環境を監視する栽培環境監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の栽培環境監視システムとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この栽培環境監視システムでは、温室内に栽培環境要素測定装置が設置される。栽培環境要素測定装置は、複数の室が設けられたケーシングと、複数の室のそれぞれに配置される環境要素測定手段と、複数の室のいずれかに配置され、各環境要素測定手段の制御及びデータ収集を行う制御機構部とを有する。制御機構部が配置された室には、結露を回避する必要のある環境要素測定手段であるCOセンサが配置される。また、他の環境要素測定手段が配置される室は、制御機構部が配置された室から隔離して設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5748556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の栽培環境監視システムは、温室内における各種の栽培環境に関するデータを正確に収集できるかもしれないが、そのデータは、温室内における、栽培環境要素測定装置が設置される1箇所のものに限定される。このため、温室内における作物の植え付け位置によっては栽培環境が異なり、成育にむらが生じて秀品率が低下する。また、温室内における栽培環境を把握するには、その都度、温室に赴き、栽培環境要素測定装置によって測定される栽培環境要素を監視しなければならい。このため、作物の栽培従事者は温室から長時間離れることができず、事務作業や納品作業などを行っているときにも、栽培環境要素の状況が気になり、精神的な負担が大きい。また、栽培環境要素をリアルタイムに把握できないので、温室に赴いて栽培環境データを見てから後追いで栽培環境を改善することになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
園芸ハウス内の温度,湿度および園芸ハウス内に差し込む光の照度を計測するセンサを1つの筐体内に内蔵し、温度,湿度および照度の計測データを無線で送信する、園芸ハウス内の園芸ハウスを構成するパイプの任意箇所に設置自在で取り外し自在に構成された複数のセンサ装置と、
センサ装置から送信される計測データを無線アンテナによって受信するセンサ親機センサ親機で受信した計測データを携帯電話網アンテナによってインターネット網へ送出すると共にインターネット網を介して外部機器と交信する携帯通信ルータ、および、センサ親機および携帯通信ルータに対する通信制御を行うと共にセンサ装置から送信される計測データをサーバへ送信してサーバに記憶させるコンピュータを有する、持ち運び自在な1つのケース内にセンサ親機、携帯通信ルータおよびコンピュータが収容されて構成され、園芸ハウス内の任意の位置に設置される前記携帯電話網アンテナとケーブルを介して接続されて、園芸ハウス内に設置される分電盤から園芸ハウス内において電源が供給される、複数の各園芸ハウス毎にまたはセンサ装置と通信できる範囲内にある複数の園芸ハウスに対して1つ設けられる集約装置と、
携帯通信ルータとインターネット網を介して通信する通信端末と
を備えて、栽培環境監視システムを構成した。
【0006】
本構成によれば、温度,湿度および照度を計測するセンサを1つの筐体内に内蔵したセンサ装置を、園芸ハウス内の適切な複数箇所に設置することで、園芸ハウス内の各箇所における栽培環境データを集約装置に収集して監視することができる。そして、収集した園芸ハウス内の各箇所における栽培環境データに基づいて、園芸ハウス内に配置される園芸設備に対する適切な制御を行うことができる。このため、園芸ハウス内における作物の植え付け位置によって生じる成育むらを解消することができ、秀品率を向上させることが可能になる。
【0007】
また、園芸ハウス内の各箇所における栽培環境データは、集約装置によってインターネット網へ送出される。したがって、栽培従事者は、どこにいても、インターネット網を介して通信端末に栽培環境データを受信することができる。このため、栽培従事者は、園芸ハウスから離れた場所で、従来のように、栽培環境要素の状況を絶えず気にかける必要がなくなり、精神的な負担が軽減される。また、栽培環境データをリアルタイムに把握できるので、栽培環境の変化をいち早くキャッチして、栽培環境が悪化する前に栽培環境を改善することができる。この結果、栽培従事者の栽培作業の負担を大きく軽減することが可能な栽培環境監視システムを提供することができる。
また、複数のセンサ装置および集約装置間が無線で通信が行われて配線工事が不要になると共に、複数のセンサ装置を設置箇所から取り外して、集約装置と共に園芸ハウス外へ容易に運び出すことが可能になる。このため、園芸ハウス内における農薬散布時や、園芸ハウス内の蒸し込みによる熱消毒時、散水時におけるセンサ保護時、災害発生時などの緊急避難時等に、栽培環境を監視するための機器全体を簡単に素早く園芸ハウス外へ回収し、避難させることが出来る。さらに、回収した機器の再設置も簡単に素早く行える。
【0008】
また、本発明は、コンピュータが、センサで計測される温度または湿度または照度の計測値が所定値を超えると、登録された通信端末へ携帯通信ルータによってインターネット網を介して警報を送信することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、集約装置に通信端末のアドレスを登録しておくことで、栽培従事者は、センサで計測される温度または湿度または照度の計測値が所定値を超えると、自動的に警報を受信することができる。したがって、受信した警報から、園芸ハウス内に異常が生じたことを把握して、その異常を解消する対策を速やかにとることができる。このため、園芸ハウス内の環境を少ない労力で常に万全な状態に保つことが可能になる。
【0010】
また、本発明は、園芸ハウス内に設置される園芸設備機器を制御する機器制御回路が形成された制御ボードを分電盤に備え、コンピュータが、携帯通信ルータに受信される通信端末からの指令に従って制御ボードに制御信号を送出して園芸設備機器を制御することを特徴とする。
【0011】
本構成によれば、収集した園芸ハウス内の各箇所における栽培環境データに基づいて、園芸ハウス内に設置される園芸設備機器に対する制御を遠隔地から行うことができる。このため、リアルタイムに把握される栽培環境データに基づいて、リアルタイムに園芸設備機器をより適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、園芸ハウス内における作物の植え付け位置によって生じる成育むらを解消することができ、秀品率を向上させることが可能になると共に、栽培従事者の栽培作業の負担を大きく軽減することが可能な栽培環境監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態による栽培環境監視システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】一実施の形態による栽培環境監視システムが備える集約装置の内部の概略構成を示すブロック図である。
図3】園芸ハウス内における一実施の形態による栽培環境監視システムの機器設置状況を示す概念図である。
図4】一実施の形態による栽培環境監視システムが備える集約装置にオプション機器を備えた際におけるその概略構成を示すブロック図である。
図5】園芸ハウス内における、オプション機器を備えた一実施の形態による栽培環境監視システムの機器設置状況を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明による栽培環境監視システムを実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態による栽培環境監視システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
栽培環境監視システム1は、園芸ハウス2内に設置される複数のセンサ装置3および集約装置4と、園芸ハウス2から離れた場所5に存在する通信端末6とを備えて構成される。
【0019】
センサ装置3は、温度,湿度および照度を計測する温湿照度センサを1つの筐体3a内に内蔵しており、温湿照度センサによって測定した温度,湿度および照度の計測データをアンテナ3bから無線で送信する。筐体3aには通気口が形成されており、温湿度センサは園芸ハウス2内の空気と同じ空気にさらされる。照度センサは筐体3aの天面に設けられ、透明ビニールからなる園芸ハウス2内に射し込む光を受けやすい位置に配置されている。筐体3aは、その天面を除く5面のうちの1面に、マグネットが選択的に取り付け自在に構成されている。センサ装置3は、このマグネットにより、園芸ハウス2内の任意箇所に設置自在に、また、設置箇所から取り外し自在に、構成されている。
【0020】
集約装置4は分電盤7から電源供給を受けて動作する。この集約装置4は、各センサ装置3と無線アンテナ8によって例えば特定特小無線で通信すると共に、携帯電話網アンテナ9によって携帯電話網およびインターネット網10を介して通信端末6と通信する。通信端末6は、栽培従事者が所有するスマートフォンや携帯電話、タブレット等の携帯端末6aや、栽培従事者の自宅11等に設置されるPC(パーソナルコンピュータ)6b等によって構成される。携帯端末6aは、収穫した作物を軽トラック12で客先に納品する際や、旅行中などにおいても、栽培従事者が携帯することができる。
【0021】
園芸ハウス2が複数設けられる場合、集約装置4は複数の各園芸ハウス2毎に設けられる。または、集約装置4がセンサ装置3と通信できる範囲内における、1箇所の園芸ハウス2に設けられる。本実施形態による集約装置4は1,000坪の園芸ハウス2を基準にしているので、その範囲内にある複数の園芸ハウス2に対して、1つの集約装置4で対応することができる。
【0022】
図2は、集約装置4の内部の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
集約装置4は、持ち運び可能なジュラルミンケース13に収納されて構成されている。集約装置4は、コンパクトパソコン14、センサ親機15、携帯通信ルータ16およびLAN用ハブ例えばWifiルータ17をジュラルミンケース13の内部に備え、これら各装置には、電源プラグ18を経由して分電盤7から電源が供給される。
【0024】
無線アンテナ8はジュラルミンケース13の外部に突出してジュラルミンケース13と一体に設けられ、センサ親機15に接続される。センサ親機15は、各センサ装置3から送信され、無線アンテナ8で受信される計測データを集計装置、例えばコンパクトパソコン14へ出力する。センサ親機15およびコンパクトパソコン14間はUSBケーブルによって接続されている。コンパクトパソコン14は、センサで計測される温度、湿度および照度等の様々な計測値を図示しないサーバへ送信し、センサ親機15から出力される計測データをサーバに記憶させる。
【0025】
また、携帯電話網アンテナ9はケーブル19を介して携帯通信ルータ16に接続され、園芸ハウス2の任意の位置に設置される。携帯通信ルータ16は、携帯電話網アンテナ9を介して携帯電話網に接続され、さらにインターネット網10に接続される。携帯通信ルータ16、Wifiルータ17およびコンパクトパソコン14間はLANケーブルによって接続されている。コンパクトパソコン14は、センサで計測される温度または湿度または照度の計測値が所定値を超えると、携帯通信ルータ16および携帯電話網アンテナ9により、登録された通信端末6へインターネット網10を介して警報を電子メール等によって送信する。
【0026】
無線アンテナ8およびセンサ親機15は、センサ装置3から送信される計測データを受信する受信部を構成する。また、携帯電話網アンテナ9および携帯通信ルータ16は、受信部で受信した計測データをインターネット網10へ送出すると共に、インターネット網10を介して通信端末6等の外部機器と交信する交信部を構成する。コンパクトパソコン14は、受信部および交信部に対する通信制御を行う制御部を構成する。この制御部は、ミニパソコンや、ボードコンピュータ、マイコンボードなどによっても構成することができる。
【0027】
図3は、園芸ハウス2内における栽培環境監視システム1の機器設置状況を示す概念図である。なお、同図において図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0028】
本実施形態では、センサ装置3は、園芸ハウス2を構成するパイプ2aにマグネットで5箇所に取り付けられる。センサ装置3のこの5箇所の取り付け位置は、作物の植え付け範囲20の中心および四隅に設定され、植え付け範囲20の全体をカバーする。携帯電話網アンテナ9は、園芸ハウス2の、携帯電話網からの電波を受信しやすい位置に設置される。本実施形態では、園芸ハウス2内の出入り口2b付近に設けられる。また、園芸ハウス2内は暖房機21によって暖房される。暖房機21は重油を燃料とする。
【0029】
図4は、集約装置4にオプション機器を備えた際におけるにその概略構成を示すブロック図である。また、図5は、園芸ハウス2内における、オプション機器を備えた栽培環境監視システム1の機器設置状況を示す概念図である。なお、図4および図5において図2および図3と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0030】
オプション機器には、COセンサ22、電力・流量センサ23、土壌センサ24、定点カメラ25、I/Oボード26などがある。
【0031】
COセンサ22はジュラルミンケース13の内部に設けられ、コンパクトパソコン14にUSBで接続される。このCOセンサ22は、園芸ハウス2内の二酸化炭素濃度を測定して、その測定値をコンパクトパソコン14へ出力する。また、電力・流量センサ23は分電盤7に設けられ、園芸ハウス2内で使用される電気機器の使用電力量を計測する。また、暖房機21にはその燃料である重油の流量を計測する流量計27が設けられている。流量計27は、暖房機21に供給される重油の流量に応じたパルス信号を電力・流量センサ23へ出力する。電力・流量センサ23は流量計27から受信するパルス信号に基づいて、暖房機21で使用される重油の使用量を計測する。電力・流量センサ23で計測される使用電力量および重油の使用量は、特小無線で送信され、センサ親機15に受信される。
【0032】
また、土壌センサ24は、図5に示すように、作物の植え付け範囲20における土壌中に差し込まれ、コンパクトパソコン14と有線または無線で接続される。この土壌センサ24は、作物の植え付け範囲20における土壌中のEC値(電気伝導率)を測定し、その計測値をコンパクトパソコン14へ出力する。また、定点カメラ25は、園芸ハウス2内の任意箇所のパイプ2aなどに取り付けられ、コンパクトパソコン14と有線または無線で接続される。この定点カメラ25は、作物の成育状況などを静止画または動画で撮影し、その撮影データをコンパクトパソコン14へ出力する。コンパクトパソコン14に出力される種々の計測データおよび撮影データは、コンパクトパソコン14に備えられる記憶部に一時的にログとして記憶され、その後、サーバへ送信されてサーバに時系列で記憶される。
【0033】
また、I/Oボード26は制御ボードを構成し、分電盤7に設けられて、コンパクトパソコン14と有線または無線で接続される。I/Oボード26には、園芸ハウス2内に設置される園芸設備機器を制御する機器制御回路が形成されている。このI/Oボード26は遠隔制御機能を有し、I/Oボード26に接続される電磁バルブ28を備える灌水装置などの園芸設備機器を、通信端末6が操作されて遠隔から送信される指令に従って制御する。コンパクトパソコン14は、携帯通信ルータ16に受信される通信端末6からの指令に従って自動的に、または、そのキーボードに手動で直接入力される指令に従って、I/Oボード26に制御信号を送出して、園芸設備機器を制御する。電磁バルブ28は、作物への灌水を行う灌水用ホース27への水の供給を、指令に従って断続する。園芸ハウス2内に設けられてこのように遠隔操作される園芸設備機器としては、灌水装置の他に、循環扇、開閉窓、カーテン、除湿器などがある。また、I/Oボード26は機器エラー通知機能を有し、暖房機21に設けられた機器エラー検知センサからエラー信号を有線や無線で受信し、コンパクトパソコン14へエラー信号を出力する。
【0034】
このような本実施形態による栽培環境監視システム1によれば、温度,湿度および照度を計測する温湿照度センサを1つの筐体3a内に内蔵したセンサ装置3を、園芸ハウス2内の適切な複数箇所に3次元的に自由に設置することで、園芸ハウス2内の各箇所における栽培環境データを集約装置4に収集して監視することができる。このことによって園芸ハウス2内の空間環境および環境むらが一瞬にして把握され、従来の一点測定では成し得なかった東西南北等の方位的な環境差、山や谷における園芸ハウス2内の環境差、さらに、園芸ハウス2内の5測定点の平均値や測定値を、時系列に基づいたデータとして正確に把握できる。したがって、収集した園芸ハウス2内の各箇所における栽培環境データに基づいて、園芸ハウス2内に配置される園芸設備に対する適切な制御を行うことができる。また、園芸ハウス2のハウスビニールの劣化や汚れによる光透過率の変化、暖房機21の図示しない熱風ダクト配管位置および長さ、灌水用ホース27の位置および長さ、園芸ハウス2内の空気を循環させる循環扇の配置や送風の強弱などを最適化することができる。このため、園芸ハウス2内における作物の植え付け位置によって生じる成育むらを解消することができ、秀品率を向上させることが可能になる。
【0035】
また、園芸ハウス2内の各箇所における栽培環境データは、集約装置4によってインターネット網10へ送出される。したがって、栽培従事者は、どこにいても、インターネット網10を介して携帯端末6aに栽培環境データを受信することができる。また、定点カメラ25で撮影された画像を通信端末6によって必要なときに随時確認したり、さらに、必要なときに定点カメラ25で園芸ハウス2内を随時撮影して、その画像を確認することができる。このため、栽培従事者は、園芸ハウスから離れた場所5で、自宅11に居たり、軽トラック12で作物を納品しているときでも、また、旅行中などにおいても、従来のように、栽培環境要素の状況を絶えず気にかける必要がなくなり、精神的な負担が軽減される。また、栽培環境データをリアルタイムに把握できるので、栽培環境の変化をいち早くキャッチして、栽培環境が悪化する前に栽培環境を改善することができる。この結果、栽培従事者の栽培作業の負担を大きく軽減することが可能な栽培環境監視システム1を提供することができる。
【0036】
また、本実施形態による栽培環境監視システム1によれば、集約装置4に通信端末6のアドレスを登録しておくことで、栽培従事者は、センサ装置3で計測される温度または湿度または照度の計測値が所定値を超えると、自動的に警報を通信端末6の電子メールなどで受信することができる。また、園芸ハウス2内における園芸設備機器の機器エラー信号も同様に受信することができる。したがって、受信した警報や機器エラー信号から、園芸ハウス2内に異常が生じたことを把握して、その異常を解消する対策を速やかにとることができる。例えば、園芸ハウス2内における園芸設備機器の不具合や、異常気象による環境変化などの、不測のトラブルによる園芸ハウス2内の異常をタイムリーに捕らえることで、作物への被害を最小限に抑えることができる。このため、園芸ハウス2内の環境を少ない労力で常に万全な状態に保つことが可能になる。
【0037】
また、本実施形態による栽培環境監視システム1によれば、収集した園芸ハウス2内の各箇所における栽培環境データに基づいて、園芸ハウス2内に設置される灌水装置等の園芸設備機器に対する制御を遠隔地から行うことができる。例えば、栽培従事者は、受信した栽培環境データに基づき、通信端末6によってインターネット網10を介して集約装置4と通信することで、園芸ハウス2内に配置される暖房機21や灌水装置、循環扇のオン・オフや窓の開閉等を、I/Oボード26によって遠隔制御することができる。このため、リアルタイムに把握される栽培環境データに基づいて、リアルタイムに園芸設備機器をより適切に制御することができる。
【0038】
また、本実施形態による栽培環境監視システム1によれば、複数のセンサ装置3および集約装置4間が無線で通信が行われて配線工事が不要になると共に、複数のセンサ装置3を設置箇所から取り外して、集約装置4と共に園芸ハウス2の外へ容易に運び出すことが可能になる。このため、園芸ハウス2内における農薬散布時や、園芸ハウス2内の蒸し込みによる熱消毒時、散水時におけるセンサ装置3の保護時、災害発生時などの緊急避難時等に、栽培環境を監視するための機器全体を簡単に素早く園芸ハウス2の外へ回収し、避難させることが出来る。さらに、回収した機器の再設置も簡単に素早く行える。
【0039】
また、本実施形態による栽培環境監視システム1によれば、各種センサで計測される温度または湿度または照度等の種々の計測値がサーバに記憶されて蓄積される。したがって、栽培従事者は、年月の経過によってサーバに蓄積される過去の計測データを閲覧して、栽培環境と作物の成育との関係を解析することができる。このため、翌年以降の生産性向上や、品種の変更による適切な環境調整などに資することができる栽培環境監視システム1を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…栽培環境監視システム
2…園芸ハウス
2a…パイプ
2b…出入り口
3…センサ装置
3a…筐体
3b…アンテナ
4…集約装置
5…園芸ハウス2から離れた場所
6…通信端末
6a…携帯端末
6b…PC
7…分電盤
8…無線アンテナ
9…携帯電話網アンテナ
10…インターネット網
11…自宅
12…軽トラック
13…ジュラルミンケース
14…コンパクトパソコン
15…センサ親機
16…携帯通信ルータ
17…Wifiルータ
18…コンセント
19…ケーブル
20…作物の植え付け範囲
21…暖房機
22…COセンサ
23…電力・流量センサ
24…土壌センサ
25…定点カメラ
26…I/Oボード
27…灌水用ホース
28…電磁バルブ
図1
図2
図3
図4
図5