(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873555
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
H02P9/04 J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-85035(P2017-85035)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-186585(P2018-186585A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
【審査官】
大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−174568(JP,A)
【文献】
特開2014−029771(JP,A)
【文献】
特開2006−138777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00−9/48
H01R 9/00−11/00
G01R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動される同期発電機からの出力電圧を、端子台に設けた出力電圧切替用端子への短絡板の取付位置を低電圧位置と高電圧位置とに組み替えることによって低電圧と高電圧とに切り替えるエンジン発電機において、前記低電圧位置又は高電圧位置に対応して配列された複数の前記短絡板が、絶縁材料からなる連結部材を介してそれぞれ連結されることで前記端子台に対して一体で着脱可能に形成され、
前記連結部材が矩形平板状のシート部材であり、該シート部材の一方の面に前記短絡板の外縁形状に合わせて窪み部を設け、前記短絡板が前記窪み部の周縁に形成された係止片によって該窪み部に嵌め込まれた状態で保持され、
前記シート部材における前記短絡板が嵌め込まれた面と反対側の面に、前記低電圧位置に対応して配列された短絡板と、前記高電圧位置に対応して配列された短絡板とを識別するための文字が印字されたことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項2】
前記シート部材が可撓性を有する軟質材料からなることを特徴とする請求項1記載のエンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機に関し、詳しくは、端子台に設けられている出力電圧切替用端子への短絡板の取付位置を変更することで発電機の出力電圧を切り替えるエンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンで同期発電機を駆動して発電する可搬式のエンジン発電機では、使用場所や負荷に応じて出力電圧を低電圧(例えば200V)と高電圧(例えば400V)とに切替可能とし、端子台に設けられている電機子端子への短絡板の取付位置を変更することで出力電圧を切り替えるようにしたものが広く使用されている。さらに、低電圧位置に対応した短絡板の取付位置と高電圧位置に対応した短絡板の取付位置とを識別する表示を端子台に設けて、短絡板の取り付け間違いを防止したものも知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−184796号公報
【特許文献2】特開2010−252479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の短絡板を組み替える作業では、複数の短絡板がそれぞれ正しい位置に取り付けられたか否かを目視で確認していたので、見落としによる間違いを防止するための高い信頼性を図る上では不十分であった。また、短絡板の形状が薄くて小さいので、端子台に対して着脱する際に、手が滑って短絡板を落下させ易いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、複数の短絡板の組み替えを一体に行うことで、出力電圧の切り替えを正確かつ容易に行うことができる短絡板構造を備えたエンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン発電機は、エンジンにより駆動される同期発電機からの出力電圧を、端子台に設けた出力電圧切替用端子への短絡板の取付位置を低電圧位置と高電圧位置とに組み替えることによって低電圧と高電圧とに切り替えるエンジン発電機において、前記低電圧位置又は高電圧位置に対応して配列された複数の前記短絡板が、絶縁材料からなる連結部材を介してそれぞれ連結されることで前記端子台に対して一体で着脱可能に形成され
、前記連結部材が矩形平板状のシート部材であり、該シート部材の一方の面に前記短絡板の外縁形状に合わせて窪み部を設け、前記短絡板が前記窪み部の周縁に形成された係止片によって該窪み部に嵌め込まれた状態で保持され、
前記シート部材における前記短絡板が嵌め込まれた面と反対側の面に、前記低電圧位置に対応して配列された短絡板と、前記高電圧位置に対応して配列された短絡板とを識別するための文字が印字されたことを特徴としている。
【0008】
さらに、前記シート部材が可撓性を有する軟質材料からなることを特徴
としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエンジン発電機によれば、設定電圧の位置に対応して配列された複数の短絡板が、絶縁性のある連結部材を介してそれぞれ連結した状態で形成されているので、端子台に対して複数の短絡板を一体で着脱することが可能となり、出力電圧の切り替えを正確かつ容易に行うことができる。
【0010】
また、連結部材が柔軟性のある矩形平板状のシート部材で形成されているので、出力電圧切替用端子と短絡板とを密着させて、確実な電気的接触を得ることができるとともに、短絡板を着脱する際の作業性を向上させることができる。さらに、シート部材に印字された設定電圧を識別する文字を見ることで、短絡板を取り付ける際の向きを迷うことがなくなり、取付後においても設定電圧をより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態例を示すもので、出力電圧を低電圧に設定するときの端子台への短絡板の取付状態を示す説明図である。
【
図3】同じく、出力電圧を高電圧に設定するときの端子台への短絡板の取付状態を示す説明図である。
【
図6】同じく、同期発電機の端子台の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、エンジンによって同期発電機を駆動して発電を行うエンジン発電機は、同期発電機の電機子コイルを2分割し、2分割した電機子コイルを直列接続することで高電圧を、2分割した電機子コイルを並列接続することで低電圧を出力するように形成されている。
【0013】
すなわち、
図5に示すように、同期発電機11は、U相、V相、W相の3相の各電機子コイル12を中性点Oに接続するとともに、各電機子コイル12を内側コイル12aと外側コイル12bとに2分割し、内側コイル12aと外側コイル12bとを直列接続又は並列接続することによって出力電圧を高電圧と低電圧とに切替可能としている。
【0014】
各コイルの内端や外端及び中性点は、これらにそれぞれ対応させて端子台13に設けた出力電圧切替用端子13aにそれぞれ接続されており、直列接続する場合には、U相における内側コイル12aの外端U2と、外側コイル12bの内端X1とが接続される。V相及びW相も同様にして各内外コイルがそれぞれ直列接続された状態(図示せず)になると、各外側コイル12bの外端U1,V1,W1から遮断器15を介して出力端子台16の各出力端子U,V,Wに高電圧(例えば400V又は440V)の三相交流が出力される。
【0015】
一方、並列接続する場合には、U相における内側コイル12aの外端U2と、外側コイル12bの外端U1とが接続されるとともに、外側コイル12bの内端X1が中性点Oに接続される。V相及びW相も同様にして各内外コイルがそれぞれ並列接続された状態(図示せず)になると、各外側コイル12bの外端U1,V1,W1から遮断器15を介して出力端子台16の各出力端子U,V,Wに低電圧(例えば200V又は220V)の三相交流が出力される。このように、各出力電圧切替用端子13aの接続状態を短絡板14で組み替えることにより、高電圧出力状態と、低電圧出力状態とに切り替えることができる。
【0016】
また、端子台13は、
図6に示すように、絶縁性のある樹脂材料(例えば不飽和ポリエステル樹脂)で矩形平板状に形成された端子板13bに、12個の出力電圧切替用端子13aを所定間隔毎に4行3列の行列状に配設したものであり、各出力電圧切替用端子13aには、出力電圧に応じた所定位置に短絡板14を螺着するための雌ねじ孔13cが設けられ、前述の各コイルの内端や外端及び中性点に接続する配線(図示せず)が、配線接続部13dにそれぞれ接続されている。
【0017】
図1乃至
図4は、出力電圧を低電圧又は高電圧に設定する際の端子台13への短絡板14の取付状態を示すものであり、設定電圧位置に対応して配列された複数の短絡板14が、低電圧設定用のシート部材17又は高電圧設定用のシート部材18を介してそれぞれ連結された状態で、固定ボルト19を用いて端子台13に対して一体で着脱可能に形成されている。
【0018】
図1及び
図2は、出力電圧を低電圧に設定する際の端子台13への短絡板14の取付状態を示すものである。
図1に示すように、出力電圧切替用として用いられる6個の短絡板14は、長手方向に延びた金属板の両端部の取付面を出力電圧切替用端子13aに密着させて、一組の出力電圧切替用端子13a,13a間の電気的接続を確立できるように形成され、端子U1,U2間、端子X1,O間、端子V1,V2間、端子Y1,O間、端子W1,W2間、端子Z1,O間のそれぞれを接続して端子台13に取り付けられる位置に配列するとともに、
図2に示すように、シート部材17に設けられた窪み部17aに嵌め込まれた状態で保持されている。
【0019】
シート部材17は、柔軟性のある軟質ゴム(例えばクロロプレンゴム)からなる略矩形状の板部材であり、端子台13に取り付けた状態で全ての出力電圧切替用端子13aを覆う大きさに形成され、端子台13に取り付ける側の面に、短絡板14の外縁形状に合わせて窪み部17aが設けられている。また、窪み部17aの周縁には、長手方向に対向して一対の係止片17bが設けられ、短絡板14を窪み部17aに一旦嵌めると抜けにくくするとともに、先端が出力電圧切替用端子13aと接触しない程度に突出して形成されている。さらに、窪み部17aには、短絡板14に設けられたボルト挿通孔14aに対応する位置に、固定ボルト19によってシート部材17が挟まれることを防止するための逃がし孔17cが設けられている。
【0020】
このように、低電圧の位置に対応して配列された複数の短絡板14が、シート部材17に嵌め込まれた状態で保持されているので、端子台13に対して複数の短絡板14を一体で着脱することが可能となり、出力電圧の切り替えを迅速かつ確実に行うことができるとともに、誤った位置に短絡板14を取り付けた状態で発電機を運転してしまうことを防止できる。
【0021】
また、柔軟性のあるシート部材17を用いるので、出力電圧切替用端子13aと短絡板14とを密着させて、確実な電気的接触を得ることができる上に、嵌め込まれた短絡板14が係止片17bで保持されるので、短絡板14がシート部材17から脱落してしまうことを防止できる。さらに、シート部材17が略矩形状の板部材であることから、シート部材17を安定して把持できるので、端子台13への位置合わせが容易となり、短絡板14を着脱する際の作業性がより向上する。
【0022】
また、窪み部17aが形成された面とは反対側の面、すなわち、取付時に外側を向く面に設けられた設定電圧表示部20に、出力電圧が低電圧に設定された状態を識別する「200V繋ぎ用」の文字が印字されている。このように、シート部材17に印字された文字を見ることで、短絡板14を取り付ける際の向きを迷うことがなくなり、取付後においても設定電圧をより容易に確認することができる。
【0023】
ここで、出力電圧を低電圧から高電圧に設定する場合には、端子台13から低電圧設定用のシート部材17を取り外し、予め複数の短絡板14を嵌め込んで用意しておいた高電圧設定用のシート部材18を取り付ける。
【0024】
図3及び
図4は、出力電圧を高電圧に設定する際の端子台13への短絡板14の取付状態を示すものである。
図3に示すように、出力電圧切替用として用いられる3個の短絡板14は、端子U2,X1間、端子V2,Y1間、端子W2,Z1間のそれぞれを接続して端子台13に取り付けられる位置に配列するとともに、
図4に示すように、シート部材18に設けられた窪み部18aに嵌め込まれた状態で保持されている。
【0025】
また、窪み部18aが形成された面とは反対側の面に設けられた設定電圧表示部21に、出力電圧が高電圧に設定された状態を識別する「400V繋ぎ用」の文字が印字されている。なお、シート部材18の材質、板厚及び外形は、前述の低電圧設定用のシート部材17と共通に設計されており、短絡板14の取付構造についても、低電圧設定用のシート部材17と共通の構造であるので、同一の符号を付して説明は省略する。
【0026】
このように、出力電圧を設定する際には、予め複数の短絡板14が組み込まれた低電圧設定用のシート部材17又は高電圧設定用のシート部材18を端子台13に対して選択的に取り付けるだけでよいので、出力電圧の切り替えを正確かつ容易に行うことができる。また、各シート部材17,18の外形寸法を共通にすることで、端子台13に取り付けたときの各シート部材17,18の外縁を揃えることが可能となり、端子台13への位置合わせに用いる表示(例えばマーキング)も共通の位置に設けることができる。
【0027】
さらに、出力電圧の設定後においても、端子台13の表面が各シート部材17,18で覆われているので、出力電圧切替用端子13aに接続された配線が露出することを防止でき、安全性がより向上する。加えて、端子台13の設計変更や改造が不要であり、一組のシート部材17,18を用意するだけで既販のエンジン発電機にも容易に本発明を適用することができる。
【0028】
なお、シート部材は絶縁性を有するものであれば硬質の樹脂材料(例えばFRP:繊維強化プラスチック)などで形成されてもよく、この場合、複数の短絡板を接着、ねじ止め、嵌合などの接合手段によって取り付けることができる。また、シート状の部材を連結部材として用いることに限定されず、格子状に形成された枠体に複数の短絡板を接合した格子状連結部材などを用いることもできる。
【符号の説明】
【0029】
11…同期発電機、12…電機子コイル、12a…内側コイル、12b…外側コイル、13…端子台、13a…出力電圧切替用端子、13b…端子板、13c…雌ねじ孔、13d…配線接続部、14…短絡板、14a…ボルト挿通孔、15…遮断器、16…出力端子台、17…シート部材、17a…窪み部、17b…係止片、17c…逃がし孔、18…シート部材、18a…窪み部、19…固定ボルト、20,21…設定電圧表示部