(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに対向する第1連通口及び第2連通口が設けられ、流体が前記第1及び第2連通口の一方を介して流入するとともに前記第1及び第2連通口の他方を介して流出可能に構成された弁箱と、
当該弁箱内に収容され、前記第1連通口と前記第2連通口の間に配置されるとともに、前記第1及び第2連通口の両方を開く開位置と、前記第2連通口を開くとともに前記第1連通口を閉じる第1閉位置と、前記第1連通口を開くとともに前記第2連通口を閉じる第2閉位置との間で移動可能な弁体と、
弾性体でそれぞれ構成され、前記弁体を前記開位置に保持するために、前記第1及び第2連通口側に前記弁体をそれぞれ付勢する第1付勢手段及び第2付勢手段と、を備え、
前記第1連通口側の流体の圧力が前記第2連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ当該流体の圧力差が第1所定値以上のときに、前記弁体が、当該第1連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記第2閉位置に位置し、前記第2連通口側の流体の圧力が前記第1連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ当該流体の圧力差が第2所定値以上のときに、前記弁体が、当該第2連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記第1閉位置に位置するように構成されていることを特徴とするバルブ。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバルブを備えた流体ダンパとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この流体ダンパは、作動流体が充填されたシリンダと、シリンダ内に軸線方向に摺動自在に設けられるとともに、シリンダ内を第1流体室と第2流体室に区画するピストンと、ピストンと一体のピストンロッドと、ピストンに形成され、軸線方向に貫通するとともに、第1及び第2流体室に連通する複数の連通孔と、各々が対応する連通孔に設けられた第1調圧弁、第2調圧弁及び第3調圧弁を備えている。
【0003】
この第2調圧弁は、流入口及び流出口が形成された弁箱と、弁箱内に軸線方向に移動自在に設けられた、互いに一体の弁体及び閉塞部材と、弁体を流入口側に付勢するコイルばねを有している。また、第2調圧弁は、その流入口及び流出口がそれぞれ第1及び第2流体室に連通孔を介して連通する第1流体室用の調圧弁と、その流入口及び流出口がそれぞれ第2及び第1流体室に連通孔を介して連通する第2流体室用の調圧弁で構成されている。第1及び第3調圧弁はそれぞれ、作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁するように構成された周知の調圧弁であり、第1及び第2流体室用の調圧弁で構成されている。第1調圧弁が開弁する所定圧力は、第3調圧弁のそれよりも低い。
【0004】
以上の構成の流体ダンパでは、振動による外力がシリンダ及びピストンロッドに伝達され、それにより、ピストンがシリンダ内を軸線方向に往復動し、第1及び第2流体室の一方側に摺動すると、ピストンによる押圧により一方の流体室内の作動流体の圧力が、他方の流体室内の作動流体の圧力よりも高くなる。この場合、シリンダに対するピストンの速度が第1所定速度よりも低いときには、第1調圧弁のみが開弁し、第1及び第2流体室が、第1調圧弁に対応する連通孔を介して互いに連通するのに伴い、第1及び第2流体室内の作動流体の圧力差に応じた減衰抵抗力が発生し、その減衰係数が比較的大きくなる。
【0005】
また、ピストンの速度が第1所定速度以上で、かつ第2所定速度よりも低いときには、第1調圧弁に加え、一方の流体室に対応する第2調圧弁の弁体及び閉塞部材が、流入口側の作動流体の圧力による押圧によって流出口側に駆動され、流入口が開かれる。このように、この場合には、第1調圧弁に加え、第2調圧弁が開弁されることによって、第1及び第2流体室が、第1及び第2調圧弁に対応する連通孔を介して互いに連通する結果、流体ダンパの減衰係数が比較的小さくなる。
【0006】
さらに、ピストンの速度が第2所定速度以上で、かつ第3所定速度よりも低いときには、第1調圧弁が引き続き開弁状態にあるのに対し、第2調圧弁の弁体及び閉塞部材が、流入口側の作動流体の圧力による押圧により流出口側にさらに駆動されることによって、流出口が閉塞部材で閉塞される。これにより、第1及び第2流体室が、第1調圧弁に対応する連通孔のみを介して互いに連通する結果、流体ダンパの減衰係数が比較的大きくなる。また、ピストンの速度が第3所定速度以上のときには、流出口が引き続き閉塞部材で閉塞されるとともに、第1調圧弁に加え第3調圧弁が開弁する。その結果、第1及び第2流体室が、第1及び第3調圧弁に対応する連通孔を介して互いに連通する結果、流体ダンパの減衰係数が比較的小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の調圧弁は、作動流体が常に流入口を介して流入するとともに流出口を介して流出するように、構成されている。このため、例えば、ピストンがシリンダ内を軸線方向に往復動する流体ダンパにおいて、第1及び第2流体室内の作動流体の圧力を調整するには、第1及び第2流体室用の調圧弁がそれぞれ別個に必要になってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、弁箱の第1連通口側と第2連通口側の流体の圧力差に応じて、第1及び第2連通口をそれぞれ、流入口及び流出口として又は流出口及び流入口として機能させることができるとともに、第1連通口側及び第2連通口側の流体の圧力を調整することができるバルブ、及びバルブを備えた流体ダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明によるバルブは、互いに対向する第1連通口及び第2連通口が設けられ、流体が第1及び第2連通口の一方を介して流入するとともに第1及び第2連通口の他方を介して流出可能に構成された弁箱と、弁箱内に収容され、第1連通口と第2連通口の間に配置されるとともに、第1及び第2連通口の両方を開く開位置と、第2連通口を開くとともに第1連通口を閉じる第1閉位置と、第1連通口を開くとともに第2連通口を閉じる第2閉位置との間で移動可能な弁体と、弾性体でそれぞれ構成され、弁体を開位置に保持するために、第1及び第2連通口側に弁体をそれぞれ付勢する第1付勢手段及び第2付勢手段と、を備え、第1連通口側の流体の圧力が第2連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ流体の圧力差が第1所定値以上のときに、弁体が、第1連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、第1付勢手段の付勢力に抗して第2閉位置に位置し、第2連通口側の流体の圧力が第1連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ流体の圧力差が第2所定値以上のときに、弁体が、第2連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、第2付勢手段の付勢力に抗して第1閉位置に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、流体が弁箱の第1及び第2連通口の一方を介して流入するとともに、第1及び第2連通口の他方を介して流出するように、弁箱が構成されている。弁箱内には、弁体が、第1及び第2連通口の両方を開く開位置と、第2連通口を開くとともに第1連通口を閉じる第1閉位置と、第1連通口を開くとともに第2連通口を閉じる第2閉位置との間で移動可能に収容されている。また、弾性体で構成された第1及び第2付勢手段が、弁体を、開位置に保持するために第1及び第2連通口側にそれぞれ付勢している。
【0012】
また、第1連通口側の流体の圧力が第2連通口側の流体の圧力よりも高く、かつその流体の圧力差が第1所定値以上のときに、弁体が、第1連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、第1付勢手段の付勢力に抗して上記の第2閉位置に位置し、第2連通口が閉じられる。これにより、第1連通口側の流体の圧力を、第2連通口を介して外部に排出しないように又は排出しにくくすることによって、増大させることができる。一方、第2連通口側の流体の圧力が第1連通口側の流体の圧力よりも高く、かつその流体の圧力差が第2所定値以上のときに、弁体が、第2連通口側の流体の圧力で押圧されることにより、第2付勢手段の付勢力に抗して上記の第1閉位置に位置し、第1連通口が閉じられる。これにより、第2連通口側の流体の圧力を、第1連通口を介して外部に排出しないように又は排出しにくくすることによって、増大させることができる。
【0013】
さらに、第1連通口側と第2連通口側の流体の圧力差が第1又は第2所定値よりも小さい場合において、第1連通口側の流体の圧力がより高いときには、流体を、第1連通口を介して流入させるとともに第2連通口を介して流出させることができ、第2連通口側の流体の圧力がより高いときには、流体を、第2連通口を介して流入させるとともに第1連通口を介して流出させることができる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、第1連通口側と第2連通口側の流体の圧力差に応じて、第1及び第2連通口をそれぞれ、流入口及び流出口として又は流出口及び流入口として機能させることができるとともに、第1連通口側及び第2連通口側の流体の圧力を調整することができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のバルブにおいて、第1及び第2付勢手段は、所定の予荷重が付与されることにより弾性変形しており、所定の予荷重は、第1連通口側の流体の圧力が第2連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ流体の圧力差が第1所定値よりも小さい第3所定値以上のときに、弁体が第1連通口側の流体の圧力で押圧されることにより第2連通口側に移動することによって、第2付勢手段の予荷重が解放されるとともに、第2連通口側の流体の圧力が第1連通口側の流体の圧力よりも高く、かつ流体の圧力差が第2所定値よりも小さい第4所定値以上のときに、弁体が第2連通口側の流体の圧力で押圧されることにより第1連通口側に移動することによって、第1付勢手段の予荷重が解放されるように設定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項1に係る発明の説明で述べたように、第1及び第2付勢手段は、弁体を、第1及び第2連通口側にそれぞれ付勢しており、すなわち互いに反対側に付勢している。上述した構成によれば、そのような第1及び第2付勢手段が、所定の予荷重が付与されることによって、弾性変形している。また、第1連通口側の流体の圧力が第2連通口側の流体の圧力よりも高く、かつその流体の圧力差が第1所定値よりも小さい第3所定値以上のときに、第1連通口側の流体の圧力による押圧により弁体が第2連通口側に駆動されることによって、第2付勢手段の予荷重が解放される。さらに、第2連通口側の流体の圧力が第1連通口側の流体の圧力よりも高く、かつその流体の圧力差が第2所定値よりも小さい第4所定値以上のときに、第2連通口側の流体の圧力による押圧により弁体が第1連通口側に駆動されることによって、第1付勢手段の予荷重が解放される。
【0017】
以上により、第1連通口側と第2連通口側の流体の圧力差が第3又は第4所定値よりも小さく比較的小さいときに、第1及び第2付勢手段による付勢によって、流体の圧力による弁体の第1及び第2連通口側への移動量を小さくし、第1及び第2連通口を閉じにくくすることができる。それに加え、流体の圧力差が比較的大きいときに、第1又は第2付勢手段の予荷重が解放されることによって、流体の圧力による弁体の第1及び第2連通口側への移動量を大きくし、第1及び第2連通口を閉じやすくすることができる。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のバルブにおいて、弁箱は、第1及び第2連通口がそれぞれ形成された第1壁部及び第2壁部と、第1壁部と第2壁部の間に設けられた支持部と、を有し、弁体は、第1及び第2連通口の並び方向に延びるとともに、支持部に軸線方向に移動自在に支持された軸部と、軸部の軸線方向の一端部及び他端部にそれぞれ一体に設けられ、第1及び第2連通口をそれぞれ開閉するための鍔状の第1開閉部及び第2開閉部と、を有し、第1付勢手段は第1開閉部と支持部の間に、第2付勢手段は第2開閉部と支持部の間に、それぞれ設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1及び第2連通口が弁箱の第1及び第2壁部にそれぞれ形成されており、第1壁部と第2壁部の間に設けられた弁箱の支持部に、弁体の軸部が、軸線方向に移動自在に支持されている。軸部の一端部及び他端部には、第1及び第2連通口をそれぞれ開閉するための鍔状の第1及び第2開閉部がそれぞれ一体に設けられており、第1付勢手段は第1開閉部と支持部の間に、第2付勢手段は第2開閉部と支持部の間に、それぞれ設けられている。以上の構成により、支持部を反力受け部材として、第1付勢手段による付勢力を第1開閉部に、これを第1連通口側に付勢するように作用させ、第2付勢手段による付勢力を第2開閉部に、これを第2連通口側に付勢するように作用させることができるとともに、弁体、第1及び第2付勢手段を支持部の周りにコンパクトに設けることができる。
【0020】
前記目的を達成するために、請求項4に係る発明は、振動を抑制するための流体ダンパであって、作動流体が充填されたシリンダと、シリンダ内に軸線方向に移動自在に設けられ、シリンダ内を2つの流体室に区画するピストンと、互いに並列に設けられ、2つの流体室に連通する第1連通路及び第2連通路と、第1連通路を開閉するように設けられた、請求項1ないし3のいずれかに記載のバルブと、を備えることを特徴とする。
【0021】
以上の構成の流体ダンパでは、シリンダ内の2つの流体室に連通する第1及び第2連通路が設けられており、振動による外力がシリンダ及びピストンに伝達されることによりピストンがシリンダ内を2つの流体室の一方側に移動するのに伴い、この一方の流体室内の作動流体がピストンで押圧される。この場合、請求項1ないし3のいずれかに記載のバルブが、第1連通路を開閉するように設けられている。
【0022】
このため、前述した請求項1に係る発明の説明から明らかなように、振動による外力が流体ダンパに伝達されている場合において、第1連通口側と第2連通口側の作動流体の圧力差が比較的小さいとき、すなわち、シリンダに対するピストンの速度が比較的低いときに、バルブで第1連通路を開き、2つの流体室を第1及び第2連通路を介して連通させることにより、比較的小さい減衰係数の減衰抵抗力を発生させることができる。また、第1連通口側と第2連通口側の作動流体の圧力差が比較的大きいとき、すなわち、ピストンの速度が比較的高いときに、バルブで第1連通路を閉じることにより、2つの連通路の連通度合いを上記の場合よりも低くすることによって、比較的大きい減衰係数の減衰抵抗力を発生させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1に示す本発明の実施形態による流体ダンパ1は、シリンダ2と、シリンダ2内に軸線方向に摺動自在に設けられたピストン3と、ピストン3と一体のピストンロッド4を備えている。シリンダ2は、円筒状の周壁2aと、周壁2aの軸線方向の両端部にそれぞれ設けられた円板状の第1端壁2b及び第2端壁2cを、一体に有している。これらの周壁2a、第1及び第2端壁2b、2cで画成された空間は、ピストン3によって第1流体室2dと第2流体室2eに区画されている。第1及び第2流体室2d、2eには、作動流体HFが充填されており、作動流体HFは、粘性を有する適当な流体、例えばシリコンオイルで構成されている。
【0025】
また、シリンダ2の第1端壁2bには、軸線方向に外方に突出する凸部2fが同心状に一体に設けられている。凸部2fの第1端壁2bと反対側の端部には、自在継手を介して、第1取付具FL1が設けられている。さらに、上記の第2端壁2cの中心には、ロッド案内孔2gが形成されている。ピストンロッド4は、シリンダ2内に軸線方向に延び、その軸線方向の一端部がピストン3に一体に連結されており、ロッド案内孔2gにシールを介して液密に挿入されている。また、ピストンロッド4のピストン3と反対側の部分は、第2端壁2cから外方に延びており、ピストンロッド4の他端部には、自在継手を介して、第2取付具FL2が設けられている。
【0026】
また、ピストン3の外周面は、シールを介して、シリンダ2の周壁2aの内周面に液密に接しており、ピストン3の径方向の外端部には、軸線方向に貫通する複数の第1連通孔3a、第2連通孔3b、第3連通孔3c及び第4連通孔3d(それぞれ1つのみ図示)が形成されている。これらの連通孔3a〜3dの各々は、例えば円形の横断面を有し、第1及び第2流体室2d、2eに連通しており、作動流体HFが充填されている。第1及び第2連通孔3a、3bには第1及び第2リリーフ弁5、6が、第3連通孔3cには調圧弁11が、それぞれ設けられており、第4連通孔3dは、オリフィスとして構成されている。なお、第1〜第4連通孔3a〜3d、第1及び第2リリーフ弁5、6、ならびに調圧弁11の数は、任意である。
【0027】
上記の第1リリーフ弁5は、いわゆる常閉弁として構成され、弁体と、これを閉弁方向に付勢するばねを有しており、第1流体室2d内の作動流体HFの圧力が第2流体室2e内の作動流体HFの圧力よりも高く、その圧力差が所定の上限値VM(
図4及び
図5参照)よりも小さいときには、第1連通孔3aを閉じ、上限値VMに達したときには、第1連通孔3aを開く。これにより、第1及び第2流体室2d、2eが第1連通孔3aを介して互いに連通し、第1流体室2d内の作動流体HFの圧力が第2流体室2e側に逃がされることによって、両流体室2d、2e内の作動流体HFの圧力差が上記の上限値VM以下に制限される。
【0028】
同様に、第2リリーフ弁6は、弁体と、これを閉弁方向に付勢するばねを有しており、第2流体室2e内の作動流体HFの圧力が第1流体室2d内の作動流体HFの圧力よりも高く、その圧力差が上限値VMよりも小さいときには、第2連通孔3bを閉じ、上限値VMに達したときには、第2連通孔3bを開く。これにより、第1及び第2流体室2d、2eが第2連通孔3bを介して互いに連通し、第2流体室2e内の圧力が、第1流体室2d側に逃がされることによって、両流体室2e、2d内の作動流体HFの圧力差が上限値VM以下に制限される。なお、第1及び第2リリーフ弁5、6の上限値VMを互いに異なる値に設定してもよい。
【0029】
前記調圧弁11は、いわゆる常開弁として構成されており、
図2(a)に示すように、弁箱12と、弁箱12に収容された弁体13と、弁体13を付勢する第1ばね14及び第2ばね15を有している。弁箱12は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向の両端部にそれぞれ一体に設けられた板状の第1端壁及び第2端壁を有していて、これらの第1及び第2端壁には、第1連通口12a及び第2連通口12bがそれぞれ形成されており、流体が第1及び第2連通口12a、12bの一方を介して流入するとともに他方を介して流出するように構成されている。第1及び第2連通口12a、12bは、例えば、円形状に形成され、それらの径が第3連通孔3cの径と同じ大きさに設定されており、互いに同心状に配置されている。また、第1及び第2連通口12a、12bには、バルブシール(図示せず)が取り付けられている。
【0030】
さらに、弁箱12の内部は、作動流体HFが充填され、第1及び第2連通口12a、12bを介して第3連通孔3cに連通しており、第1連通口12aはシリンダ2の第1流体室2d側に、第2連通口12bは第2流体室2e側に、それぞれ配置されている。さらに、弁箱12の周壁には、板状の支持壁12cが一体に設けられており、支持壁12cは、第1連通口12aと第2連通口12bの間に配置され、弁箱12内を2つの空間に仕切っている。支持壁12cには、厚さ方向に貫通する支持孔12d及び複数の孔12eが形成されており、支持孔12dは、第1及び第2連通口12a、12bと同軸状に配置され、複数の孔12eは、支持孔12dの周りに配置されている。弁箱12内における支持壁12cの両側の2つの空間は、これらの孔12eを介して互いに連通している。
【0031】
上記の弁体13は、弁箱12の支持孔12dに挿入された軸部13aと、軸部13aの両端部にそれぞれ一体に設けられ、第1及び第2連通口12a、12bをそれぞれ開閉するための第1開閉部13b及び第2開閉部13cを有している。また、軸部13aを含む弁体13は、支持孔12dを介して支持壁12cに軸線方向に移動自在に、すなわち第1及び第2連通口12a、12bの並び方向に移動自在に、支持されている。第1及び第2開閉部13b、13cの各々は、頂部が比較的鈍角の錐体状に形成され、第1及び第2連通口12a、12bとそれぞれ同じ形状の横断面を有しており、その底部が軸部13aと一体になっている。また、第1開閉部13bは支持壁12cと第1連通口12aの間に、第2開閉部13cは支持壁12cと第2連通口12bの間に、それぞれ第1及び第2連通口12a、12bと同軸状に配置されており、各開閉部13b、13cの底部の横断面の面積は、第1及び第2連通口12a、12bのそれよりも大きな値に設定されている。
【0032】
前記第1及び第2ばね14、15は、圧縮コイルばねで構成されており、それらのばね定数は互いに同じ所定値K(
図3参照)に設定されている。また、第1ばね14は第1開閉部13bと支持壁12cの間に、第2ばね15は第2開閉部13cと支持壁12cの間に、それぞれ所定の予荷重を与えられることにより圧縮され、弾性変形した状態で配置されており、第1ばね14は、第1開閉部13bを含む弁体13を第1連通口12a側に付勢し、これとは逆に、第2ばね15は、第2開閉部13cを含む弁体13を第2連通口12b側に付勢している。
【0033】
通常時、これらの第1及び第2ばね14、15による付勢によって、弁体13は、
図2(a)に示す弁箱12内の所定の開位置に位置している。この状態では、第1及び第2開閉部13b、13cは、第1及び第2連通口12a、12bに臨んでおり、両連通口12a、12bは完全に開かれている。また、弁体13は、この開位置と、
図2(d)に示す第1閉位置と、
図3(c)に示す第2閉位置との間で移動可能である。
図2(d)に示すように、弁体13が第1閉位置にあるときには、第1連通口12aが第1開閉部13bで完全に閉じられ、第1開閉部13bの頂部が第1連通口12aの縁部にバルブシート介して液密に接触するとともに、第2連通口12bが開かれる。また、
図3(c)に示すように、弁体12が第2閉位置にあるときには、第2連通口12bが第2開閉部13cで完全に閉じられ、第2開閉部13cの頂部が第2連通口12bの縁部にバルブシート介して液密に接触するとともに、第1連通口12aが開かれる。
【0034】
なお、
図2(b)〜(d)及び
図3では便宜上、調圧弁11の一部の構成要素の符号の図示を省略している。
【0035】
以上の構成の流体ダンパ1は、例えば、
図7に示す免震構造の構造物Bに適用され、構造物Bの上下の梁BU、BDに、免震装置(図示せず)と並列に連結される。この場合、下梁BDは、構造物Bを支持する基礎に設けられた基礎梁であって、免震装置は、構造物Bの振動を長周期化させるように構成されており、積層ゴムタイプのものや、ボールベアリングを有する2つのスライダを組み合わせたタイプのものなど、種々のものを用いることができる。
【0036】
また、
図7に示すように、流体ダンパ1の第1及び第2取付具FL1、FL2は、第1連結部材EN1及び第2連結部材EN2にそれぞれ取り付けられる。これらの第1及び第2連結部材EN1、EN2は、鋼材で構成され、下梁BD及び上梁BUにそれぞれ取り付けられ、下梁BDから上方に、上梁BUから下方に、それぞれ延びる。以上により、流体ダンパ1のシリンダ2及びピストンロッド4はそれぞれ、第1及び第2連結部材EN1、EN2を介して、下梁BD及び上梁BUに連結され、流体ダンパ1は、上下の梁BU、BDの間に水平に延びる。
【0037】
なお、構造物Bへの流体ダンパ1の連結手法は任意であり、他の適当な手法を採用してもよいことは、もちろんである。
【0038】
次に、
図1、
図2及び
図7を参照しながら、流体ダンパ1の動作について説明する。構造物Bが振動するのに伴い、上下の梁BU、BDの間に水平方向の相対変位が発生すると、この相対変位が、第1及び第2連結部材EN1、EN2を介して、シリンダ2及びピストンロッド4に外力として伝達されることにより、シリンダ2とピストンロッド4が軸線方向に相対的に移動し、ピストンロッド4と一体のピストン3がシリンダ2内を摺動するのに伴い、第1流体室2d内の作動流体HFと第2流体室2e内の作動流体HFの圧力差に応じた流体ダンパ1の減衰抵抗力が発生する。
【0039】
この場合、ピストン3が第2流体室2e側(
図1の右方)に摺動したときには、それにより第1及び第2流体室2d、2eがそれぞれ膨張及び収縮されることによって、第2流体室2e及び第2連通口12b側の作動流体HFの圧力が、第1流体室2d及び第1連通口12a側の作動流体HFの圧力よりも高くなり、弁箱12内の第2連通口12b側の作動流体HFが、孔12eを通って第1連通口12a側に流動する。これに伴い、弁体13の第2開閉部13cは、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力で押圧され、それにより、弁体13が、第2ばね15の付勢力に抗して第1連通口12a側に駆動されることによって、前述した予荷重で圧縮されていた第2ばね15がさらに圧縮され、その圧縮量が増大するとともに、予荷重で同様に圧縮されていた第1ばね14の圧縮量が減少する(第1ばね14が伸びる)。
【0040】
この場合、構造物Bの振動度合いが比較的小さく、それにより、第2連通口12b側と第1連通口12a側の作動流体HFの圧力差(以下「流体圧力差」という)DPが、所定の予荷重相当値VP(
図4及び
図5参照)よりも小さいときには、第1ばね14の予荷重は残存した状態にあり、流体圧力差DPが予荷重相当値VPに達したときに、
図2(b)に示すように、第1ばね14の予荷重が完全に解放され、第1ばね14が圧縮されていない元の状態に戻るとともに、弁体13の第1開閉部13bの頂端が、第1連通口12aの直前に位置する。
【0041】
また、構造物Bの振動度合いが大きくなり、それにより流体圧力差DPが予荷重相当値VPよりも大きくなると、
図2(c)に示すように、弁体13が、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力による押圧により第1連通口12a側にさらに駆動されることによって、その第1開閉部13bの頂部が第1連通口12aに挿入され、第1連通口12aが第1開閉部13bで部分的に閉じられる。この場合、流体圧力差DPが大きいほど、第1連通口12aへの第1開閉部13bの頂部の挿入量が大きくなることによって、第1連通口12aの開度すなわち調圧弁11の開度は、より小さくなる。
【0042】
そして、流体圧力差DPが予荷重相当値VPよりも大きい所定の閉弁相当値VC(
図4及び
図5参照)に達すると、
図2(d)に示すように、弁体13が第1閉位置に位置し、第1連通口12aが第1開閉部13bで完全に閉じられ、調圧弁11が閉弁状態になる。また、上記の閉弁相当値VCは、前記第1及び第2リリーフ弁5、6の上限値VMよりも小さな値に設定されている(
図4及び
図5参照)。なお、前述したように、流体圧力差DPが上限値VMに達すると、第2リリーフ弁6が開弁することによって、DPはVM以下に制限される。
【0043】
次に、
図4〜
図6を参照しながら、外力によりピストン3が第2流体室2e側に摺動した場合における流体ダンパ1の各種のパラメータの関係について、上述した流体ダンパ1の動作と関連づけて説明する。
図4は、第2ばね15の圧縮量(以下「ばね圧縮量」という)QCと流体圧力差DPの関係を、
図5は、流体圧力差DPと第1連通口12aの開度すなわち調圧弁11の開度(以下「調圧弁開度」という)OPの関係を、
図6は、シリンダ2に対するピストン3の速度(以下「ピストン速度」という)VEと流体ダンパ1の減衰抵抗力FDの関係を、それぞれ示している。
図6において、第1所定速度V1は、予荷重相当値VPに相当するピストン速度VEであり、第2所定速度V2は、閉弁相当値VCに相当するピストン速度VE、第3所定速度V3は、上限値VMに相当するピストン速度VEである。
【0044】
上述したように、流体圧力差DPが予荷重相当値VPよりも小さいときには、第2ばね15が圧縮されるとともに、第1ばね14の予荷重が残存した状態にあることと、両者14、15が弁体13を互いに反対側に付勢していることから、
図4に示すように、ばね圧縮量QCに対する流体圧力差DPの比(第1及び第2ばね14、15全体のばね定数に相当)は、前記所定値Kの2倍(2K)になる。また、DP≦VPのときには、第1連通口12aが第1開閉部13bで閉じられず、
図5に示すように、調圧弁開度OPがその全開値OMになり、シリンダ2の第1及び第2流体室2d、2eが、調圧弁11が設けられたピストン3の第3連通孔3cと前記第4連通孔3dを介して互いに連通する結果、流体ダンパ1の減衰係数は比較的小さくなる。その結果、
図6に示すように、ピストン速度VEが予荷重相当値VPに相当する第1所定速度V1よりも低いときには、VEに対する流体ダンパ1の減衰抵抗力FDの変化度合いは、比較的小さくなる。
【0045】
また、前述したように、流体圧力差DPが予荷重相当値VP以上になると、第1ばね14の予荷重が解放されるため、
図4に示すように、ばね圧縮量QCに対する流体圧力差DPの比は、所定値Kになり、流体圧力差DPがさらに大きくなり閉弁相当値VC以上になると、弁体12が第1閉位置に位置し、第1開閉部13bが第1連通口12aの縁部に接触することによって、ばね圧縮量QCはそれ以上増大せず、流体圧力差DPは、第2リリーフ弁6の開弁により上限値VM以下に制限される。
【0046】
さらに、前述したように、また、
図5に示すように、流体圧力差DPが予荷重相当値VPよりも大きく、かつ、閉弁相当値VCよりも小さいときには、流体圧力差DPが大きくなるほど、調圧弁開度OPがより小さくなり、流体圧力差DPが閉弁相当値VC以上のときには、第1連通口12aが第1開閉部13bで完全に閉じられ、調圧弁開度OPは値0になる。
【0047】
また、調圧弁開度OPが上記のように変化するのに応じて、減衰抵抗力FDは、
図6に示すように、ピストン速度VEが第1所定速度V1よりも高く、かつ閉弁相当値VCに相当する第2所定速度V2よりも低いときには、ピストン速度VEの増加に対し、より大きく二次曲線的に増大する。さらに、ピストン速度VEが第2所定速度V2以上で、かつ上限値VMに相当する第3所定速度V3よりも低いときには、調圧弁11が閉弁状態にあることと、第2リリーフ弁6が開弁しないこととによって、第1及び第2流体室2d、2eが第4連通孔3dのみを介して互いに連通するため、流体ダンパ1の減衰係数は比較的大きくなり、減衰抵抗力FDは、ピストン速度VEの増加に対して、比較的大きな傾きで増大する。また、ピストン速度VEが第3所定速度V3以上のときには、第2リリーフ弁6の開弁により流体圧力差DPが最大値VMに制限されることによって、減衰抵抗力FDは最大値FMになる。
【0048】
また、構造物Bの振動による上下の梁BU、BDの相対変位がシリンダ2及びピストンロッド4に伝達されることによってピストン3が第1流体室2d側に摺動したときには、
図3(a)〜(c)に示すように、上述した第2流体室2e側に摺動したときの動作と同様の動作が調圧弁11において行われ、ピストン3の摺動により第1流体室2d内の作動流体HFの圧力が第2流体室2e内の作動流体HFの圧力よりも高くなるとともに、その圧力差に応じて、第2連通口12bが第2開閉部13cで開閉される。
【0049】
簡単に説明すると、第1流体室2d側と第2流体室2e側の作動流体HFの圧力差が予荷重相当値VP以上のときに、第2ばね15の予荷重が解放され(
図3(a))、この作動流体HFの圧力差がVP以上で、かつ閉弁相当値VCよりも小さいときに、作動流体HFの圧力差が大きいほど、第2開閉部13cによる第2連通口12bの閉じ度合いがより大きくなり、すなわち第2連通口12bの開度がより小さくなる(
図3(b))。また、第1流体室2d側と第2流体室2e側の作動流体HFの圧力差が閉弁相当値VC以上のときに、弁体13が第2閉位置に位置し、第2連通口12bが第2開閉部13cで完全に閉じられる(
図3(c))。以上から、ピストン3が第1流体室2d側に摺動する場合にも、第1流体室2d側と第2流体室2e側の作動流体HFの圧力差や、第1ばね14の圧縮量、第2連通口12bの開度、ピストン速度VE、流体ダンパ1の減衰抵抗力FDについて、
図4〜
図6に示す関係と同様の関係が成立する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、調圧弁11の弁箱12は、流体が弁箱12の第1及び第2連通口12a、12bの一方を介して流入するとともに、第1及び第2連通口12a、12bの他方を介して流出するように、構成されている。弁箱12内には、弁体13が、第1及び第2連通口12a、12bの両方を開く開位置と、第2連通口12bを開くとともに第1連通口12aを閉じる第1閉位置と、第1連通口12aを開くとともに第2連通口12bを閉じる第2閉位置との間で移動可能に収容されている。また、圧縮コイルばねで構成された第1及び第2ばね14、15が、弁体13を、開位置に保持するために第1及び第2連通口12a、12b側にそれぞれ付勢している。
【0051】
また、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力が第2連通口12b側の作動流体HFの圧力よりも高く、かつその作動流体HFの圧力差が閉弁相当値VC以上のときに、弁体13が、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力で押圧されることにより、第1ばね14の付勢力に抗して第2閉位置に位置し、第2連通口12bが閉じられる。これにより、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力を、第2連通口12bを介して第2流体室2e側に排出しないようにすることによって、増大させることができる。一方、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力が第1連通口12a側の作動流体HFの圧力よりも高く、かつその作動流体HFの圧力差が閉弁相当値VC以上のときに、弁体13が、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力で押圧されることにより、第2ばね15の付勢力に抗して第1閉位置に位置し、第1連通口12aが閉じられる。これにより、第2連通口12a側の作動流体HFの圧力を、第1連通口12aを介して第1流体室2d側に排出しないようにすることによって、増大させることができる。
【0052】
さらに、第1連通口12a側と第2連通口12b側の作動流体HFの圧力差が閉弁相当値VCよりも小さい場合において、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力がより高いときには、作動流体HFを、第1連通口12aを介して流入させるとともに第2連通口12bを介して流出させることができ、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力がより高いときには、作動流体HFを、第2連通口12bを介して流入させるとともに第1連通口12aを介して流出させることができる。
【0053】
また、第1及び第2ばね14、15に所定の予荷重が付与されており、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力が第2連通口12b側の作動流体HFの圧力よりも高く、かつその作動流体HFの圧力差が閉弁相当値VCよりも小さい予荷重相当値VP以上のときに、第1連通口12a側の作動流体HFの圧力による押圧により弁体13が第2連通口12b側に駆動されることによって、第2ばね15の予荷重が解放される。さらに、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力が第1連通口12a側の作動流体HFの圧力よりも高く、かつその作動流体HFの圧力差が予荷重相当値VP以上のときに、第2連通口12b側の作動流体HFの圧力による押圧により弁体13が第1連通口12a側に駆動されることによって、第1ばね14の予荷重が解放される。
【0054】
以上により、
図4を参照して説明したように、第1連通口12a側と第2連通口12b側の作動流体HFの圧力差が予荷重相当値VPよりも小さく比較的小さいときに、第1及び第2ばね14、15による付勢によって、作動流体HFの圧力による弁体13の第1及び第2連通口12a、12b側への移動量を小さくし、第1及び第2連通口12a、12bを閉じにくくすることができる。それに加え、作動流体HFの圧力差が比較的大きいときに、第1又は第2ばね14、15の予荷重が解放されることによって、作動流体HFの圧力による弁体13の第1及び第2連通口12a、12b側への移動量を大きくし、第1及び第2連通口12a、12bを閉じやすくすることができる。
【0055】
また、第1及び第2連通口12a、12bが弁箱12の第1及び第2壁部にそれぞれ形成されており、第1壁部と第2壁部の間に設けられた弁箱12の支持壁12cに、弁体13の軸部13aが、軸線方向に移動自在に支持されている。軸部13aの一端部及び他端部には、第1及び第2連通口12a、12bをそれぞれ開閉するための鍔状の第1及び第2開閉部13b、13cがそれぞれ一体に設けられており、第1ばね14は第1開閉部13bと支持壁12cの間に、第2ばね15は第2開閉部13cと支持壁12cの間に、それぞれ設けられている。以上より、支持壁12cを反力受け部材として、第1ばね14による付勢力を第1開閉部13bに、これを第1連通口12a側に付勢するように作用させ、第2ばね15による付勢力を第2開閉部13cに、これを第2連通口12b側に付勢するように作用させることができるとともに、弁体13、第1及び第2ばね14、15を支持壁12cの周りにコンパクトに設けることができる。
【0056】
さらに、流体ダンパ1では、シリンダ内の第1及び第2流体室2d、2eに連通する第3及び第4連通孔3c、3dがピストン3に形成されており、振動による外力がシリンダ2及びピストン3に伝達されることによってピストン3がシリンダ2内を第1及び第2流体室2d、2eの一方側に移動するのに伴い、この一方の流体室内の作動流体HFがピストン3で押圧される。また、調圧弁11が、第3連通孔3cを開閉するように設けられている。
【0057】
以上により、
図6を参照して説明したように、振動による外力が流体ダンパ1に伝達されている場合において、ピストン速度VE(シリンダ2に対するピストン3の速度)が比較的低いときに、調圧弁11で第3連通孔3cを開き、第1及び第2流体室2d、2eを第3及び第4連通孔3c、3dを介して互いに連通させることにより、比較的小さい減衰係数の減衰抵抗力を発生させることができる。また、ピストン速度VEが比較的高いときに、調圧弁11で第3連通孔3cを閉じることにより、第1及び第2流体室2d、2eの連通度合いを上記の場合よりも低くすることによって、比較的大きい減衰係数の減衰抵抗力を発生させることができる。
【0058】
免震構造の構造物に適用されるような流体ダンパでは一般に、振動による水平方向の相対変位が比較的小さいときには、免震装置による構造物の振動の長周期化を阻害しないようにするために、流体ダンパの減衰係数を比較的小さな値に設定するのが好ましい。一方、相対変位が比較的大きいときには、相対変位の過大化による構造物の損傷を防止すべく、相対変位を抑制するために、流体ダンパの減衰係数を比較的大きな値に設定するのが好ましい。本実施形態によれば、上述したピストン速度VEに対する流体ダンパ1の減衰係数の変化特性から明らかなように、免震構造の構造物Bに見合った適切な大きさの減衰係数を有する流体ダンパ1を得ることができる。また、ピストン速度VEに対する流体ダンパ1の減衰係数の変化特性を得る上で、アクティブダンパやセミアクティブダンパのような特別な制御は不要である。
【0059】
また、
図2、
図3及び
図5を参照して説明したように、第1連通口12a側と第2連通口12b側の作動流体HFの圧力差に応じて、両連通口12a、12bを急に閉じずに、徐々に閉じることができるので、ピストン速度VEの増大に応じて流体ダンパ1の減衰係数を急増させずに、徐々に増大させることができる。
【0060】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、第1及び第2ばね14、15に予荷重を付与しているが、付与しなくてもよい。また、実施形態では、第1及び第2ばね14、15を、圧縮コイルばねで構成しているが、他の適当な弾性体、例えば引っ張りコイルばねで構成してもよい。その場合には、第1ばねは第1連通口と第1開閉部の間に、第2ばねは第2連通口と第2開閉部の間に、それぞれ設けられるとともに、第1及び第2連通口を開閉する第1及び第2開閉部の頂部は、第1及び第2ばねの内側にそれぞれ配置される。
【0061】
さらに、実施形態では、第1及び第2ばね14、15のばね定数を、互いに同じ所定値Kに設定しているが、互いに異なる値に設定してもよい。その場合には、本実施形態における閉弁相当値VCが相当する、本発明における第1及び第2所定値は、互いに異なる値になる。このことは、本実施形態における予荷重相当値VPが相当する第3及び第4所定値についても、同様に当てはまる。また、実施形態では、第1及び第2連通口12a、12bを徐々に閉じるようにするために、錐状に形成された第1及び第2開閉部13b、13cを用いているが、他の適当な形状に形成された第1及び第2開閉部を用いてもよいことは、もちろんである。
図8は、変形例による弁体13’を有する調圧弁を示している。同図に示すように、円柱状に形成された第1及び第2開閉部13b’13c’を用いてもよい。
【0062】
さらに、実施形態では、弁体13が開位置にあるときに、第1及び第2連通口12a、12bを完全に開くように、第1及び第2開閉部13b、13cを構成しているが、部分的に開くように構成してもよい。また、実施形態では、弁体13が第1及び第2閉位置にそれぞれあるときに、第1及び第2連通口12a、12bを完全に閉じるように、第1及び第2開閉部13b、13cを構成しているが、部分的に閉じるように構成してもよい。さらに、実施形態では、第4連通孔3d、第1及び第2リリーフ弁5、6を、ピストン3に設けているが、これらの少なくとも1つを省略してもよい。
【0063】
また、実施形態に関し、予荷重相当値VP及び閉弁相当値VCの少なくとも一方が互いに異なる所定値に設定された複数の調圧弁を、ピストンに設けてもよく、その場合には、ピストンの速度に応じて流体ダンパの減衰係数をよりきめ細かく変更することが可能になる。さらに、実施形態では、本発明における第1及び第2連通路として、ピストン3に形成された第3及び第4連通孔3c、3dをそれぞれ用いているが、シリンダに接続された連通路や、シリンダの周壁に形成された連通路などを、第1及び第2連通路の少なくとも一方として用いてもよい。
【0064】
また、実施形態は、本発明におけるバルブに相当する調圧弁11を、流体ダンパ1に適用した例であるが、他の適当な機構に適用してもよい。さらに、これまでに述べた種々のバリエーションを適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。