特許第6873573号(P6873573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873573
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20210510BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20210510BHJP
   E05D 11/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   E05D3/14 A
   F16C11/04 F
   F16C11/04 V
   E05D11/06
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-194108(P2018-194108)
(22)【出願日】2018年10月15日
(65)【公開番号】特開2019-203369(P2019-203369A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2019年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-95238(P2018-95238)
(32)【優先日】2018年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】柿田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】山口 将
(72)【発明者】
【氏名】越川 伸市郎
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 健二
(72)【発明者】
【氏名】荒井 将人
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/069179(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/183555(WO,A1)
【文献】 特開2009−013619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ本体と、ソケット部を有する取付部材と、上記取付部材を上記ヒンジ本体に対して、上記ヒンジ本体に近づいた閉位置と上記ヒンジ本体から離れた開位置との間で回動可能に支持するリンク機構と、を備え、
上記リンク機構は、上記ヒンジ本体に設けられた互いに平行な第1及び第2枢軸と、上記取付部材の上記ソケット部に設けられ上記第1及び第2枢軸と平行な第3及び第4枢軸と、一端部が上記第1枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第3枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第1リンクと、一端部が上記第2枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第4枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第2リンクと、を有し、
上記第4枢軸が上記第3枢軸よりも上記ソケット部の開口寄りに配置され、上記取付部材が上記閉位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の奥側に配置され上記第2リンクが上記ソケット部の上記開口側に配置され、上記取付部材が開位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の上記開口に臨み、上記第2リンクが上記開口の反対側に臨むヒンジ装置において、
さらに、上記取付部材の開き位置を定める規制部材を備え、
上記規制部材は、上記第2枢軸と上記第4枢軸との間を延びる主部と、上記主部の一端部に形成されて上記第4枢軸に着脱可能に係合される第1係合部と、上記主部の他端部に形成されて上記第2枢軸に着脱可能に係合される第2係合部と、を有し、
上記主部が上記ソケット部から突出した状態で、上記第1係合部が上記第4枢軸に係合可能であり、
上記規制部材が、上記第1リンクと上記第2リンクの少なくとも1つと、上記第4枢軸と上記ソケット部の開口縁部の少なくとも1つとで挟まれることにより、上記取付部材の上記開位置が定められていることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
上記規制部材における上記第1、第2係合部のうちの一方の係合部は、上記第2、第4枢軸のうちの対応する一方の枢軸を収容する収容空間と、上記一方の枢軸を上記収容空間に導く開放部とを有し、
上記第1、第2係合部のうちの他方の係合部は、上記第2、第4枢軸のうちの対応する他方の枢軸に係止される係合突起を有し、
上記一方の係合部が上記一方の枢軸に係合され、上記他方の係合部が上記他方の枢軸に係合されない状態で、上記規制部材が上記一方の枢軸を中心に回動可能であり、上記他方の係合部の上記係合突起の回動軌跡上に上記他方の枢軸の一部が位置することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
【請求項3】
上記他方の係合部は、上記係合突起に隣接し上記他方の枢軸の外周に接する係合面を有することを特徴とする請求項2に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
上記一方の係合部が上記第2係合部であり、上記他方の係合部が上記第1係合部であり、上記一方の枢軸が上記第2枢軸であり、上記他方の枢軸が上記第4枢軸であることを特徴とする請求項2または3に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
上記第1リンクは、主板部と、上記主板部と直交して上記主板部の両側縁に連なる一対の側板部を有し、上記第2リンクの上記他端部は、上記第4枢軸が挿通される挿通部を有しており、
上記規制部材は、上記主部の一端部に連なり上記第4枢軸に沿って延びる架橋部を有し、上記架橋部の両端部には一対の荷重受部が形成され、上記一対の荷重受部にそれぞれ上記第1係合部が形成され、上記一対の荷重受部間に、上記第2リンクの上記挿通部が配置される空隙が形成されており、
上記取付部材の開き位置において、上記第1リンクの上記一対の側板部と、上記第4枢軸または上記ソケット部の開口縁部との間で、上記規制部材の上記一対の荷重受部が挟まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒンジ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置における開き位置規制構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
筺体の開口部を扉で開閉するために用いられるヒンジ装置は、筐体に取り付けられるヒンジ本体と、ソケット部を有し扉に取り付けられる取付部材と、取付部材をヒンジ本体に回動可能に連結するリンク機構と、を備えている。リンク機構は、ヒンジ本体に設けられた互いに平行な第1及び第2枢軸と、取付部材のソケット部内に設けられ第1及び第2枢軸と平行な第3及び第4枢軸と、一端部が第1枢軸を介してヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が第3枢軸を介して取付部材に回動可能に連結された第1リンクと、一端部が第2枢軸を介してヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が第4枢軸を介して取付部材に回動可能に連結された第2リンクと、を有している。
【0003】
上記構成のヒンジ装置では、通常、扉の閉位置と開位置との間の回動角度が100°〜120°程度に設定されている。しかし、扉を閉位置から例えば90°以上回動させると、扉が壁等にぶつかるような場合には、扉の回動角度をより小さくすることが求められる。そのような場合に、扉の回動角度が90°より小さくなるようにヒンジ装置を製造すると、ヒンジ装置の種類が増えてしまい、ヒンジ装置の製造費や管理費が嵩むという問題がある。
【0004】
そこで、ヒンジ装置に装着して扉の回動角度を狭める規制部材が種々開発されている。下記特許文献1に記載されている規制部材は、その両端部に係合部を有し、これら係合部を取付部材のソケット内に配置された第3枢軸と第4枢軸に嵌めることにより、ヒンジ装置に装着されている。扉が開いた時に、第1リンクが規制部材に当たることにより、扉の開き位置が定められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5643438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のヒンジ装置では、規制部材の両端部の係合部を第3、第4枢軸にそれぞれ嵌めることにより規制部材を装着するが、第3枢軸がソケット部の奥側に位置しているので、ソケット部内に指を入れて規制部材を押し込みながら、一方の係合部を第3枢軸に嵌めなければならず、装着時の作業性が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ヒンジ本体と、ソケット部を有する取付部材と、上記取付部材を上記ヒンジ本体に対して、上記ヒンジ本体に近づいた閉位置と上記ヒンジ本体から離れた開位置との間で回動可能に支持するリンク機構と、を備え、上記リンク機構は、上記ヒンジ本体に設けられた互いに平行な第1及び第2枢軸と、上記取付部材の上記ソケット部に設けられ上記第1及び第2枢軸と平行な第3及び第4枢軸と、一端部が上記第1枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第3枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第1リンクと、一端部が上記第2枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第4枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第2リンクと、を有し、上記第4枢軸が上記第3枢軸よりも上記ソケット部の開口寄りに配置され、上記取付部材が上記閉位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の奥側に配置され上記第2リンクが上記ソケット部の上記開口側に配置され、上記取付部材が開位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の上記開口に臨み、上記第2リンクが上記開口の反対側に臨むヒンジ装置において、
さらに、上記取付部材の開き位置を定める規制部材を備え、上記規制部材は、上記第2枢軸と上記第4枢軸との間を延びる主部と、上記主部の一端部に形成されて上記第4枢軸に着脱可能に係合される第1係合部と、上記主部の他端部に形成されて上記第2枢軸に着脱可能に係合される第2係合部と、を有し、上記主部が上記ソケット部から突出した状態で、上記第1係合部が上記第4枢軸に係合可能であり、上記規制部材が、上記第1リンクと上記第2リンクの少なくとも1つと、上記第4枢軸と上記ソケット部の開口縁部の少なくとも1つとで挟まれることにより、上記取付部材の上記開位置が定められていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、規制部材の主部を指でつまんで、取付部材のソケット部の開口寄りに配置された第4枢軸に規制部材の第1係合部を係合するとともに、ソケット部の外に位置する第2枢軸に第2係合部を係合することにより、規制部材の装着作業を楽に行なうことができる。
【0009】
好ましくは、上記規制部材における上記第1、第2係合部のうちの一方の係合部は、上記第2、第4枢軸のうちの対応する一方の枢軸を収容する収容空間と、上記一方の枢軸を上記収容空間に導く開放部とを有し、上記第1、第2係合部のうちの他方の係合部は、上記第2、第4枢軸のうちの対応する他方の枢軸に係止される係合突起を有し、上記一方の係合部が上記一方の枢軸に係合され、上記他方の係合部が上記他方の枢軸に係合されない状態で、上記規制部材が上記一方の枢軸を中心に回動可能であり、上記他方の係合部の上記係合突起の回動軌跡上に上記他方の枢軸の一部が位置する。
上記構成によれば、最初に一方の係合部を一方の枢軸に係合させた状態で、規制部材を回し、他方の係合部を他方の枢軸に向けて押し込むことにより、主部の弾性変形を伴って他方の係合部を他方の枢軸に係合することができ、規制部材の装着作業をより一層楽に行なうことができる。
【0010】
好ましくは、上記他方の係合部は、上記係合突起に隣接し上記他方の枢軸の外周に接する係合面を有する。
上記構成によれば、他方の係合部の係合面と他方の枢軸の外周面とが接することにより、規制部材の装着状態を安定させることができる。
【0011】
好ましくは、上記一方の係合部が上記第2係合部であり、上記他方の係合部が上記第1係合部であり、上記一方の枢軸が上記第2枢軸であり、上記他方の枢軸が上記第4枢軸である。
上記構成によれば、最初にソケット部から露出した第2枢軸に第2係合部を係合させてから、ソケット部内の第4枢軸に対して第1係合部を押し込むことにより、規制部材の装着作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0012】
好ましくは、上記第1リンクは、主板部と、上記主板部と直交して上記主板部の両側縁に連なる一対の側板部を有し、上記第2リンクの上記他端部は、上記第4枢軸が挿通される挿通部を有しており、上記規制部材は、上記主部の一端部に連なり上記第4枢軸に沿って延びる架橋部を有し、上記架橋部の両端部には一対の荷重受部が形成され、上記一対の荷重受部にそれぞれ上記第1係合部が形成され、上記一対の荷重受部間に、上記第2リンク部の上記挿通部が配置される空隙が形成されており、上記取付部材の開き位置において、上記第1リンクの上記一対の側板部と、上記第4枢軸または上記ソケット部の開口縁部との間で、上記規制部材の上記一対の荷重受部が挟まれる。
上記構成によれば、第2リンクの他端部に、規制部材の第1係合部との干渉を避けるための切欠を形成せずに済み、第2リンクの強度を保つことができる。また、規制部材の一対の荷重受部により、取付部材の開き動作時の荷重をバランス良く受け止めることができる。
【0013】
本発明の他の態様は、ヒンジ本体と、ソケット部を有する取付部材と、上記取付部材を上記ヒンジ本体に対して、上記ヒンジ本体に近づいた閉位置と上記ヒンジ本体から離れた開位置との間で回動可能に支持するリンク機構と、を備え、上記リンク機構は、上記ヒンジ本体に設けられた互いに平行な第1及び第2枢軸と、上記取付部材の上記ソケット部に設けられ上記第1及び第2枢軸と平行な第3及び第4枢軸と、一端部が上記第1枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第3枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第1リンクと、一端部が上記第2枢軸を介して上記ヒンジ本体に回動可能に連結され他端部が上記第4枢軸を介して上記取付部材に回動可能に連結された第2リンクと、を有し、上記第4枢軸が上記第3枢軸よりも上記ソケット部の開口寄りに配置され、上記取付部材が上記閉位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の奥側に配置され上記第2リンクが上記ソケット部の上記開口側に配置され、上記取付部材が開位置にある時、上記第1リンクが上記ソケット部の上記開口に臨み、上記第2リンクが上記開口の反対側に臨むヒンジ装置において、
さらに、上記取付部材の開き位置を定める規制部材を備え、上記規制部材は、主部と、上記主部に形成されて上記第4枢軸に着脱可能に係合される係合部とを有し、上記規制部材の上記主部は拘束されず上記第4枢軸を中心に回動可能であり、上記主部が上記ソケット部から突出した状態で、上記係合部を上記第4枢軸に係合可能であり、上記規制部材が、上記第1リンクと上記第2リンクの少なくとも1つと、上記第4枢軸と上記ソケット部の開口縁部の少なくとも1つとで挟まれることにより、上記取付部材の上記開位置が定められていることを特徴とする。
【0014】
上記他の態様によれば、規制部材の主部を指でつまんで、取付部材のソケット部の開口寄りに配置された第4枢軸に規制部材の係合部を係合するだけで、規制部材の装着作業を楽に行なうことができる。
【0015】
好ましくは、上記係合部は、上記第4枢軸を収容する収容空間と、上記第4枢軸を上記収容空間に導く開放部とを有し、上記開放部の幅が上記第4枢軸の径より小さい。
上記構成によれば、規制部材を係合部の弾性変形を伴って装着するので、装着状態を安定して維持することができる。
【0016】
好ましくは、上記第1リンクは、主板部と、上記主板部と直交して上記主板部の両側縁に連なる一対の側板部を有し、上記第2リンクの上記他端部は、上記第4枢軸が挿通される挿通部を有しており、上記規制部材の上記主部は上記第4枢軸に沿って延び、上記主部の両端部には一対の荷重受部が形成され、上記一対の荷重受部にそれぞれ上記係合部が形成され、上記一対の荷重受部間に、上記第2リンク部の上記挿通部が配置される空隙が形成されており、上記取付部材の開き位置において、上記第1リンクの上記一対の側板部と、上記第4枢軸または上記ソケット部の開口縁部との間で、上記規制部材の上記一対の荷重受部が挟まれる。
上記構成によれば、第2リンクの他端部に、規制部材の係合部との干渉を避けるための切欠を形成せずに済み、第2リンクの強度を保つことができる。また、規制部材の一対の荷重受部により、取付部材の開き動作時の荷重をバランス良く受け止めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒンジ本体に対する取付部材の回動範囲を狭めるための規制部材を、楽に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置の平断面図であり、(A)は筺体の開口を扉で閉じた状態、(B)は扉を開いた状態をそれぞれ示す。
図2】上記ヒンジ装置の分解斜視図である。
図3】同実施形態で用いられる規制部材の斜視図である。
図4】上記規制部材の側面図である。
図5】(A)〜(D)は、上記規制部材を上記ヒンジ装置に装着する工程を、順を追って説明する断面図である。
図6】上記ヒンジ装置の要部の斜視図であり、(A)は上記規制部材を装着する直前の状態、(B)は装着完了後の状態をそれぞれ示す。
図7】上記ヒンジ装置の要部の拡大平断面図であり、(A)は取付部材が閉位置にある時の状態、(B)は取付部材が開位置にある時の状態をそれぞれ示す。
図8】本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置の要部を扉が開いた状態で示す平断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置の規制部材を示す斜視図である。
図10】第3実施形態の規制部材を図9とは異なる角度で示す斜視図である。
図11】(A)〜(C)は、第3実施形態の規制部材の装着工程を、順を追って説明する断面図である。
図12】第3実施形態のヒンジ装置を規制部材の装着完了後の状態で示す斜視図である。
図13】第3実施形態のヒンジ装置の要部の平断面図であり、(A)は取付部材が閉位置にある時の状態、(B)は同取付部材が開位置にある時の状態をそれぞれ示す。
図14】本発明の第4実施形態に係るヒンジ装置の規制部材を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は図14(A)におけるC−C矢視断面図、(D)は図14(A)におけるD−D矢視断面図である。
図15】(A)〜(C)はそれぞれ第4実施形態の規制部材を異なる方向から見た斜視図である。
図16】(A)〜(D)は、第4実施形態の規制部材の装着工程を、順を追って説明する断面図である。
図17】第4実施形態において取付部材が閉位置にある時のヒンジ装置の平断面図であり、(A)は図14(C)に対応する断面で示し、(B)は図14(D)に対応する断面で示す。
図18】第4実施形態において取付部材が開位置にある時のヒンジ装置の平断面図であり、(A)は図14(C)に対応する断面で示し、(B)は図14(D)に対応する断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置を、図1図7を参照しながら説明する。図1図2に示すように、ヒンジ装置1は、ヒンジ本体10と、取付機構20と、取付部材30と、リンク機構40とを、基本構成として備えている。
【0020】
ヒンジ本体10は、断面コ字形をなして細長く形成されており、主板部11と、この主板部11の両側縁に主板部11と直角をなして連なる一対の側板部12とを有している。
【0021】
ヒンジ本体10は、その長手方向を筺体2の奥行方向と一致させた状態で、筐体2の開口部2a近傍における側壁2bの内面に、取付機構20を介して取り付けられる。この取付状態で、一対の側板部12は上下方向に対向している。以下の説明では、筺体2の奥行方向において奥側を「後」、開口部側を「前」と定める。また、図1において紙面と直交する方向が上下方向である。
【0022】
取付機構20は公知の構造であるので簡単に説明すると、ベース金具21(図1にのみ示す)と、マウント部材22を有している。
ベース金具21は、筺体2の側壁2bの内面に固定されており、前端部に係合凹部を有し、後端部に係合ピン(いずれも図示せず)を有している。
【0023】
図2図5(A)に示すように、マウント部材22は、断面コ字形をなしてヒンジ本体10と同方向に延びており、調節機構23を介してヒンジ本体10内に取り付けられている。
マウント部材22の前端部には、上下方向に延びる係合ピン25が設けられており、マウント部材22の後端部には支持ピン26が設けられている。この支持ピン26には、係合部材27が回動可能に支持されるとともに、この係合部材27を回動付勢する捩りコイルバネ28が巻かれている。
【0024】
マウント部材22の係合ピン25がベース金具21の係合凹部に係合し、係合部材27の凹部27aがベース金具21の係合ピンに係合することにより、ヒンジ本体10はマウント部材22を介してベース金具21に着脱可能に取り付けられている。
【0025】
調節機構23は、ヒンジ本体10を前後方向に位置調節するとともに、その前端部を左右方向(すなわち筺体2の側壁2bと直交する方向)に位置調節するものであるが、本発明の要旨ではないので、詳細な説明を省略する。
【0026】
取付部材30は、カップ形状のソケット部31と、ソケット部31の開口31aの縁部に連なる一対の鍔部32を有しており、扉3の側縁部近傍においてその背面(筺体2側の面)に取り付けられている。より具体的には、扉3には穴3aが形成されており、この穴3aにソケット部31が収容され、一対の鍔部32が上下に配置された状態で扉3に固定されている。
【0027】
取付部材30は、リンク機構40により、図1(A)に示す閉位置と図1(B)に示す開位置との間でヒンジ本体10に回動可能に連結されている。
リンク機構40は、ヒンジ本体10の前端部に設けられた第1枢軸41および第2枢軸42と、取付部材30のソケット部31に設けられた第3枢軸43および第4枢軸44を有している。これら枢軸41〜44は互いに平行をなして上下方向に延びている。
【0028】
第1枢軸41は、第2枢軸42より前方において側壁2bから離れている。第3枢軸43はソケット部31の奥側に配置され、第4枢軸44はソケット部31の開口31a寄りに配置されている。第1枢軸41と第2枢軸42の間隔に比べて、第3枢軸43と第4枢軸44の間隔は狭くなっている。本実施形態では図2に示すように、第3枢軸43と第4枢軸44はU字形の部材により一体に形成されている。
【0029】
リンク機構40はさらに、第1リンク45と第2リンク46を有している。
第1リンク45は、断面が略コ字形をなしており、主板部45aと、この主板部45aの両側縁に直角をなして連なる一対の側板部45bとを有している。一対の側板部45bの一端部が第1枢軸41を介してヒンジ本体10の前端部に回動可能に連結され、他端部が第3枢軸43を介して取付部材30のソケット部31に回動可能に連結されている。
【0030】
第2リンク46は、主板部46aと、この主板部46aの一端部の両側に直角をなして連なる一対の側板部46bを有している。一対の側板部46bが第2枢軸42を介してヒンジ本体10の前端部に回動可能に連結されている。主板部46aの他端部は上記一端部に比べて幅が狭く、丸められて挿通部46cとなっている。この挿通部46cに第4枢軸44が挿通されることにより、第2リンク46は取付部材30のソケット部31に回動可能に連結されている。
第1枢軸41と第2枢軸42の間隔および第3枢軸43と第4枢軸44の間隔は、第1枢軸41と第3枢軸43の間隔および第2枢軸42と第4枢軸44の間隔より狭い。
【0031】
扉3および取付部材30が図1(A)に示す閉位置にある時、第1リンク45がソケット部31の奥側に配置され第2リンク46がソケット部31の開口31a側に配置される。取付部材30の図1(A)に示す閉位置は、扉3が筐体2の前端面に突き当たることによって定められているが、ヒンジ装置1単体の状態では、取付部材30は、図1(A)閉位置よりもさらに閉方向へ所定の角度(例えば5°程度)だけ回動可能である。ヒンジ装置1単体での取付部材30の閉位置は、第1リンク45が取付部材30のソケット部31の底部に突き当たることによって定められる。
【0032】
扉3および取付部材30が開く際に、扉3は回動しながら前方へ変位する。第3枢軸43は、常に第4枢軸44より前方に位置しており、第4枢軸44を中心に図1において反時計回り方向に回る。扉3および取付部材30が図1(B)に示す開位置にある時、第1リンク45がソケット部31の開口31aに臨み、第2リンク46が開口31aの反対側に臨む。
【0033】
扉3および取付部材30は、後述する規制部材50が装着されていない場合には、図1(B)に示す開位置よりさらに開き方向に開くことができる。その場合の開き角度は、100〜120°が一般的である。この場合の扉3の開位置(取付部材30の開位置)は、第2リンク46が取付部材30のソケット部31の開口31aの縁部に当たることにより定められる。
【0034】
第1枢軸41には捩りコイルばね48が巻かれている。捩りコイルばね48の一端部は、ヒンジ本体10の主板部11の前端部に当たり、他端部は、第2リンク46の一対の側板部46bに架け渡された受圧ピン49に当たっている。その結果、取付部材30がリンク機構40を介して捩りコイルばね48により回動付勢されている。取付部材30は、閉位置と所定の中間位置との間に位置している時には閉じ方向に回動付勢され、中間位置と開位置との間に位置しているときには、開き方向に回動付勢される。
【0035】
次に、本発明の特徴部をなす規制部材50について説明する。規制部材50は、扉3の回動角度範囲を、規制部材50が装着されない場合の100〜120°から例えば85°に狭めるために用いられる。
ヒンジ装置1の殆どの構成部材は金属製であるが、規制部材50は硬質の樹脂により成形されている。
【0036】
図3図4に示すように、規制部材50は、第4枢軸44に沿って延びる主部51と、主部51の両端部に形成され主部51より断面積の大きな(厚肉の)一対の荷重受部52とを一体に有している。一対の荷重受部52は、主部51から同方向に突出しており、一対の荷重受部52間には空隙56が形成されている。
【0037】
各係合部55は、内周が180°を越える円筒面をなす収容空間55aと、この収容空間55aに連なる開放部55bとを有している。収容空間55aの内径は第4枢軸44と実質的に同径をなし、開放部55bの幅は、第4枢軸44の径より狭くなっている。
荷重受部52には、第1リンク45との干渉を避けるための凹曲面をなす逃げ面52aが形成されている。
【0038】
上記規制部材50は次のようにしてヒンジ装置1の第4枢軸44に装着される。なお、規制部材50は、ヒンジ装置1単体の状態で装着してもよいし、扉3にヒンジ装置1(ベース金具21を除く)を取り付けた状態で装着してもよい。
【0039】
図5(A)、図6(A)に示すように、取付部材30を閉じ位置にして、ソケット部31の開口31aの第4枢軸44側を開放状態にする。規制部材50の主部51を指でつまみ、一対の係合部55の開放部55bを第4枢軸44に向け、規制部材50を第4枢軸44に近づける。
【0040】
次に、図5(B)に示すように、規制部材50の一対の係合部55の開放部55bを第4枢軸44にあてがい、規制部材50を押し込むことにより、図5(C)に示すように、係合部55の収容空間55aに第4枢軸44を嵌め込む。開放部55bの幅が第4枢軸44の径より小さいので、開放部55bは第4枢軸44の通過の際に係合部55の弾性変形を伴って広げられ、第4枢軸44が収容空間55aに嵌った時に、係合部55の弾性復帰を伴って元の幅に戻る。
【0041】
上記一対の係合部55が第4枢軸44に係合される際、規制部材50の空隙56に第2リンク46の挿通部46cが入り込む。換言すれば、一対の係合部55は、第2リンク46の挿通部46cを挟むようにして第4枢軸44に係合される。このような構造を採用することにより、第2リンク46の端部に切欠を形成せずに済み、第2リンク46の強度を保つことができる。
【0042】
最後に図5(D)、図6(B)に示すように規制部材50を回して主部51をソケット部31内に収容することにより、装着工程が完了する。
【0043】
上記規制部材50の装着は、下記の理由により、楽に行なうことができる。
第1に、規制部材50の係合部55が第4枢軸44に係合される際、主部51がソケット部31から突出しており、装着が完了するまで主部51を指でつまむことができる。
第2に、第4枢軸44がソケット部31において開口31a寄りに配置されている。
第3に、主部51は拘束されず自由に回動可能であり、係合部55を第4枢軸44に係合するだけで、規制部材50がヒンジ装置1に装着される。
【0044】
本実施形態では、規制部材50の収容空間55aの内周が180°を越える円筒面からなり、開放部55bの幅が第4枢軸44の径より狭いため、扉3および取付部材30の開閉を繰り返しても、規制部材50は第4枢軸44から脱落せず、確実に装着状態を維持することができる。
【0045】
図1(A)、図7(A)に示すように、扉3および取付部材30が閉位置にある時、規制部材50は第1リンク45と筺体2の前端面との間に配置されていて、ソケット部31内に収容されている。この時、荷重受部52の逃げ面52aに第1リンク45の側板部45bの円弧面をなす端部が配置されている。
【0046】
図1(B)、図7(B)に示すように、扉3および取付部材30が回動すると、規制部材50は第2リンク46に押され、ソケット部31の開口31aの縁部に向かって回動する。さらに扉3および取付部材30が回動して回動角度が例えば85°に達すると、規制部材50に第1リンク45が当たり、第1リンク45の回動が阻止されるため、取付部材30の開位置、ひいては扉3の開位置が定められる。
【0047】
より具体的に説明すると、上記開位置において、第1リンク45の一対の側板部45bが第4枢軸44の近傍で一対の荷重受部52に当たり、これら一対の荷重受部52が、第1リンク45の一対の側板部45bと第4枢軸44との間に挟まれる。
また、規制部材50の一対の荷重受部52が第1リンク45の一対の側板部45bとソケット部31の開口31aの縁部との間に狭まれる。
上記一対の荷重受部52は、第4枢軸44と開口31aの縁部のいずれか一方と、一対の側板部45bとで挟まれることにより、取付部材30の回動を規制してもよい。
【0048】
上記のように規制部材の一対の荷重受部52が第1リンク45の一対の側板部45bを介して取付部材30および扉3の開き動作時の荷重をバランス良く受け止めることができ、取付部材30および扉3の回動規制を安定して行なうことができる。
【0049】
扉3および取付部材30が開位置から閉位置に戻る時には、規制部材50の主部51が筺体2の前端面に押されるため、規制部材50は回動してソケット部31内に収容される。規制部材50は回動可能であるので、扉3および取付部材30が回動する際の抵抗にはならない。
【0050】
次に、図8を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と細部が異なるだけであるので、図において各構成部材に同番号を付してその詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、第1リンク45の代わりに第2リンク46が規制部材50に当たることにより、第2リンク46の回動が規制され、扉3および取付部材30の開き位置が定められる。より具体的には上記開き位置において、規制部材50の一対の荷重受部52が第2リンク46の主板部46aとソケット31の開口31aの縁部とで挟まれる。
【0051】
次に、図9図13を参照しながら、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置について説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる樹脂製の規制部材60を用いるが、ヒンジ装置の他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図9図10に示すように、本実施形態の規制部材60は、第2枢軸42(他方の枢軸)と第4枢軸44(一方の枢軸)との間を延びるとともにく字形に折れ曲った主部61と、主部61の一端部に形成され第4枢軸44に沿って延びる架橋部62と、架橋部62の両端部に形成され架橋部62より厚肉をなす一対の荷重受部63とを一体に有している。
主部61と架橋部62は略直交しており、架橋部62の中央に主部61が連なっている。一対の荷重受部63は、架橋部62から同方向に突出しており、一対の荷重受部63間には空隙66が形成されている。
【0053】
一対の荷重受部63の先端部には、それぞれ第1係合部65(一方の係合部)が形成されている。第1係合部65は、第1実施形態の係合部55と同様の形状をなし、内周が180°を越える円筒面をなす収容空間65aと、第4枢軸44の径より小さい幅の開放部65bを有している。
【0054】
主部61の他端部には、第2係合部68(他方の係合部)が形成されている。詳述すると、主部61には、主部61の面と直交するリブ61aが形成されている。第2係合部68は、このリブ61aの先端に形成された係合突起68aと、この係合突起68aに隣接する係合面68bと、を有している。係合面68bにおいて係合突起68aの近傍部は湾曲面をなしている。
さらに本実施形態の第2係合部68は、係合突起68aと係合面68bを介して対向する二股の補助係合突起68cとを有している。これら係合突起68a,係合面68b、補助係合突起68cにより、大きく開放された収容空間68xが形成されている。
【0055】
上記規制部材50はヒンジ装置1の第4枢軸44と第2枢軸42に装着される。以下に、その装着工程を説明する。
図11(A)に示すように、取付部材30を閉位置にした状態で、規制部材60の主部61を指でつまみ、一対の第1係合部65の開放部65bを第4枢軸44に向け、規制部材60を第4枢軸44に近づける。
【0056】
次に、図11(B)に示すように、規制部材60の一対の第1係合部65の開放部65bを第4枢軸44にあてがい、規制部材60を押し込むことにより、第1係合部65の収容空間65aに第4枢軸44を嵌め込む。開放部65bの幅が第4枢軸44の径より小さいので、開放部65bは第4枢軸44の通過の際に第1係合部65の弾性変形を伴って広げられ、第4枢軸44が収容空間65aに嵌った時に、第1係合部65の弾性復帰を伴って元の幅に戻る。
【0057】
上記一対の係合部65が第4枢軸44に係合される際、規制部材60の空隙66に第2リンク46の挿通部46cが入り込む。換言すれば、一対の係合部65は、第2リンク46の挿通部46cを挟むようにして第4枢軸44に係合される。
【0058】
次に、規制部材60を、第4枢軸44を中心にして回すことにより、図11(C)、図12に示すように第2係合部68を第2枢軸42に係合する。詳述すると、第2係合部68の係合突起68aの回動軌跡上に、第2枢軸42の一部が位置している(回動軌跡と干渉している)ため、規制部材60を回すと係合突起68aが第2枢軸42に当たる。この状態で、規制部材60の主部61または架橋部62を押し込むと、係合突起68aが主部61の弾性変形を伴って第2枢軸42を乗り越え、第2枢軸42が第2係合部68の収容空間68xに収容される。この状態で、第2係合部68の係合突起68aが第2枢軸42に係止されるので、規制部材60は、ヒンジ本体10から離れる方向の回動を禁じられ、補助係合突起68cが第2枢軸42に係止されるので、ヒンジ本体10の主板部11に向かう回動を禁じられる。また係合面68bが第2枢軸42の外周に接しているので、安定した係合状態が得られる。
【0059】
上記規制部材60の装着工程において、第1係合部65を第4枢軸44に係合する際に主部61がソケット部31から突出しており、指でつまむことができること、および第4枢軸44がソケット部31において開口31a寄りに配置されていること、規制部材60を回してソケット部31の外に位置する第2枢軸42に係合することにより、作業性良く規制部材60の装着を行うことができる。
【0060】
本実施形態の規制部材60は、第4枢軸44のみならず第2枢軸42にも係合されているので、扉3および取付部材30の開閉に伴い、第2リンク46と一緒に回動する。
図13(A)に示すように、規制部材60の主部61はく字形に折れ曲がっているので、扉3および取付部材30が閉位置にある時、主部61において筺体2の側壁2bに対向する部位は、ソケット部31内に収容されており側壁2bと干渉しない。
【0061】
図13(B)に示すように、扉3および取付部材30が開位置にある時、第1リンク45の一対の側板部45bが規制部材60の一対の荷重受部63に当たり、一対の側板部45bと第4枢軸44との間で一対の荷重受部63が挟まれる。
【0062】
容易に理解できるので図示しないが、第3実施形態でも第1実施形態と同様に、規制部材60が、第1リンク45または第2リンク46とソケット部31の開口31aの縁部とで挟まれることにより、扉3および取付部材30の開位置が定められるようにしてもよい。
【0063】
次に、図14図18を参照しながら、本発明の第4実施形態に係るヒンジ装置について説明する。本実施形態では、樹脂製の規制部材70以外のヒンジ装置の構成は第1実施形態と同じであるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図14図15に示すように、規制部材70は、第2枢軸42(一方の枢軸)と第4枢軸44(他方の枢軸)間を延びるとともに湾曲形状をなす主部71と、中央が主部71の一端部に連なるとともに第4枢軸44に沿って延びる架橋部72と、架橋部72の両端部に形成された架橋部72より厚肉の一対の荷重受部73と、を一体に有している。一対の荷重受部73には、それぞれ第1係合部75(他方の係合部)が形成され、主部71の他端部には第2係合部78(一方の係合部)が形成されている。
上述の点で、第4実施形態の規制部材70は、第3実施形態の規制部材60と似ている。しかし、本実施形態の第1係合部75と第2係合部78の形状および役割は、第3実施形態の規制部材60と異なっている。以下、詳述する。
【0065】
第2係合部78は、主部71から延びる2つの第1片78xと1つの第2片78yにより構成されている。第1片78xと第2片78yは主部71の延び方向と交叉する方向に対向しており、第1片78xと第2片78y間に収容空間78aが形成されるとともに、この収容空間78aに連なる開放部78bが形成されている。この開放部78bは主部71の反対側に位置しており、その幅は第2枢軸42の径以上である。
【0066】
第1係合部75は、主部71の反対側に突出する係合突起75aと、この係合突起75aに隣接する係合面75bとを有している。この係合面75bは係合突起75aの近傍部で湾曲している。
【0067】
上記架橋部72において上記係合突起75aの反対側の面には、一対の荷重受部73を含む架橋部72の全長にわたって、溝79が形成されている。この溝79は、後述するようにソケット部31の開口31aの縁部が当たる当接面79aと、この開口31aの縁部に沿う湾曲した逃げ面79bとを有している。
【0068】
次に、上記構成をなす規制部材70のヒンジ装置1への装着工程について説明する。図16(A)、(B)に示すように、最初に、規制部材70の主部71を指でつまみ、第2係合部78を第2枢軸42に係合する。すなわち、第2枢軸42の径方向から規制部材70を近づけて、開放部78bを介して収容空間78aに第2枢軸42を収容する。
【0069】
次に、図16(B)に矢印で示すように規制部材70を、第2枢軸42を中心としてソケット部31に向けて回動させると、図16(C)に示すように、第1係合部75の係合突起75aが第4枢軸44に当たる。規制部材70が、第2枢軸42を中心に回動する際に、係合突起75aの回動軌跡上に第4枢軸44の一部が位置する(回動軌跡と第4枢軸44が干渉する)からである。
【0070】
図16(C)に示すように係合突起75aが第4枢軸44に当たった状態で、主部71又は架橋部72を押すと、主部71の弾性変形を伴って係合突起75aが第4枢軸44を超え、図16(D)に示すように第4枢軸44の裏側(ソケット部31の奥側に至り、係合面75aが第4枢軸44の外周に接した状態になる。
【0071】
図16(D)に示す規制部材70の装着状態では、係合突起75aが第4枢軸44に係止されるため、規制部材70は第2枢軸42を中心としてソケット部31から離れる方向に回動するのを禁じられ、ひいては第1係合部75が第4枢軸44から脱落するのを禁じられている。また、第1係合部75の係合面75bが第4枢軸44の外周に接するので、第4枢軸44への係合状態を安定して維持することができる。
なお、本実施形態では、第1係合部75は規制部材70がソケット部31の奥に向かて回動するのを禁じないが、この方向の回動は第2リンク46の主板部46aにより規制されている。本実施形態において規制部材70は、後述する取付部材30の回動の過程で、第2リンク42に対して数度の回動のみが許容される。
【0072】
上記規制部材70の装着工程において、主部71を指でつまんで、第2係合部78をソケット部31の外に位置する第2枢軸42に係合すること、規制部材70を回して第1係合部75を第4枢軸44に係合すること、この第1係合部75と第4枢軸44の係合の際に、主部71がソケット部31から突出しており、この主部71または主部71の端部の架橋部72を押し込むことにより係合できること、および第4枢軸44がソケット部31において開口31a寄りに配置されていることにより、作業性良く規制部材60の装着を行うことができる。
【0073】
本実施形態の規制部材70は、第3実施形態と同様に第4枢軸44のみならず第2枢軸42にも係合されているので、扉3および取付部材30の開閉に伴い、第2リンク46と一緒に回動する。
図17(A),(B)に示すように、扉3および取付部材30が閉位置にある時、規制部材70の架橋部72と一対の荷重受部73はソケット部31内に収容されている。規制部材70の主部71は湾曲しているので、主部71において筺体2の側壁2bに対向する部位は、ソケット部31内に収容されており側壁2bと干渉しない。
【0074】
図18(A),(B)に示すように、扉3および取付部材30が開位置にある時、第1リンク45の一対の側板部45bが規制部材70の一対の荷重受部73に当たり、一対の側板部45bとソケット部31の開口31aの縁部との間で一対の荷重受部73が挟まれる。この状態で、ソケット部31の開口31aの縁部が規制部材70の架橋部72に形成された溝79に入り込み、その当接面79aに当っている。
【0075】
容易に理解できるので図示しないが、第4実施形態の規制部材70は、第1リンク45と第4枢軸44との間で挟まれることにより、又は第2リンク46とソケット部31の開口31aの縁部とで挟まれることにより、扉3および取付部材30の開位置を定めるようにしてもよい。
【0076】
本発明は、上記実施に制約されず、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、第3実施形態において、第1係合部65の収容空間65aの内周の角度範囲は180°以下であってもよい。
規制部材の第1係合部と第2係合部の両方を、内周の角度範囲が180°を越える収容空間と、第2枢軸または第4枢軸の径より狭い幅の開放部とを有するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ヒンジ装置
10 ヒンジ本体
30 取付部材
31 ソケット部
31a 開口
40 リンク機構
41 第1枢軸
42 第2枢軸
43 第3枢軸
44 第4枢軸
45 第1リンク
45a 主板部
45b 側板部
46 第2リンク
46c 挿通部
50 規制部材
51 主部
52 荷重受部
55 係合部
55a 収容空間
55b 開放部
56 空隙
60、70 規制部材
61、71 主部
62,72 架橋部
63,73 荷重受部
65,75 第1係合部
66,76 空隙
68,78 第2係合部
65a 収容空間
65b 開放部
68a 係合突起
68b 係合面
75a 係合突起
75b 係合面
78a 収容空間
78b 開放部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18