(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6873585
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】着脱可能な足場を備えた竪型射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/84 20060101AFI20210510BHJP
B22D 17/26 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B29C45/84
B22D17/26 K
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-50462(P2020-50462)
(22)【出願日】2020年3月23日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2019−051627(JP,A)
【文献】
特開2020−040289(JP,A)
【文献】
特開平11−216743(JP,A)
【文献】
中国実用新案第210436561(CN,U)
【文献】
中国実用新案第204136372(CN,U)
【文献】
実開昭58−155217(JP,U)
【文献】
実開昭59−153211(JP,U)
【文献】
実開昭51−068811(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締装置の固定盤がベッドの天板に固定され、前記ベッドの側方に足場が着脱自在に取り付けられるようになっている竪型射出成形機であって、
前記竪型射出成形機に設けられているコントローラは、前記竪型射出成形機に設けられている複数個のモータに対して駆動の制約が無い通常運転モードと、低速運転のみが許容されている準備運転モードと、駆動が不可の停止モードとが用意され、これらから択一的に選択されるようになっており、
前記ベッドの前記足場の取付部分にはリミットスイッチが設けられ、前記リミットスイッチにより前記足場の取付状態が検出されて前記コントローラに入力されると、前記コントローラにおいて前記準備運転モードまたは前記停止モードに切り換えられるようになっている竪型射出成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型射出成形機において、前記足場には安全マットが設けられ、前記足場が取付状態でありかつ前記安全マット上に作業者がいることが検出されたら、前記コントローラにおいて前記停止モードに切り換えられることを特徴とする竪型射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置と射出装置とからなり、型締装置の固定盤がベッドの天板に設けられている竪型射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竪型射出成形機は従来周知であり、一対の金型を上下方向に型開閉する型締装置、型締めされた金型に溶融樹脂を射出する射出装置とから概略構成されている。型締装置がトグル式からなる場合には、型締装置は固定盤と、上可動盤と下可動盤と、複数本のタイバーと、トグル機構とからなる。固定盤はベッドの天板に固定されており、タイバーが固定盤を貫通している。そして、それらのタイバーの上端部に上可動盤が、下端部に下可動盤が設けられている。トグル機構が下可動盤と固定盤の間に設けられ、トグル機構を駆動すると固定盤に対して上可動盤と下可動盤とが駆動される。すなわち型開閉される。トグル機構と下可動盤はベッド内に収納されており、射出装置は上可動盤の上部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−216743号公報
【特許文献2】特開2019−51627号公報
【0004】
竪型射出成形機は、設置面積が小さい、インサート成形に適している等、優れた特徴があるが、機械高さが高いのでメンテナンスには脚立等の架台が別途必要になる。架台は一般的に竪型射出成形機の近傍に設置するようにするが、架台が安定するように架台の足場をしっかりと設定する必要があり、比較的スペースを要する。つまり竪型射出成形機の周囲には、架台を設置するための十分なスペースを確保しておかなければならないという問題がある。これに対して、特許文献1、2に記載されているように専用の足場を備えた竪型射出成形機が提案されている。具体的に説明すると、特許文献1に記載の竪型射出成形機に設けられている足場は長方形状の板状を呈し、ベッドを囲んでいる側板に設けられている。足場は蝶番によって回動自在になっており、通常運転時においては足場は垂直になるように回動させておく。このとき足場は側板内に収納されて側板と同一壁面が構成された状態になる。一方、メンテナンスが必要になったら足場を側板から引き出す。つまり足場が水平になるように回動する。そうすると足場は側板から外方に所定幅で突出する。作業者は外方に突出した足場の上に乗って作業することができる。これに対して特許文献2に記載の竪型射出成形機においては、専用の足場が用意されており、着脱自在になっている。具体的には竪型射出成形機のベッドには、その側方にナットが埋め込まれている。足場をベッドの側方に押しつけ、所定の締付用ボルトによってナットに螺合させると、足場を竪型射出成形機に固定することができる。メンテナンスが完了したら足場は竪型射出成形機から取り外す。特許文献1、2に記載の竪型射出成形機の足場は、いずれもコンパクトでスペースを取らないので、竪型射出成形機の周囲に予め確保すべきスペースは小さくて済む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載の竪型射出成形機は、メンテナンスが必要なときに容易に足場を用意することができるし、足場はコンパクトでスペースを取らないので優れてはいる。しかしながら解決すべき課題も見受けられる。具体的には、安全性の点で改善の余地が見受けられる。特許文献1、2の記載の竪型射出成形機では、作業者が足場を引き出したり、足場を取り付けたりしてメンテナンスしているとき一応は竪型射出成形機の運転を停止するように留意してはいる。しかしながら誤って運転を開始してしまう可能性があり、事故につながる虞がある。
【0006】
本発明は、上記したような問題点を解決した、竪型射出成形機を提供することを目的としており、具体的には、着脱自在な足場を備えた竪型射出成形機であって、足場が設けられているときには確実に作業者の安全を確保できる、安全性の高い竪型射出成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、固定盤が設けられているベッドの側方に足場が着脱自在に取り付けられるようになっている竪型射出成形機を対象とする。そして本発明は、ベッドの足場の取付部分にリミットスイッチを設け、足場の取付状態、取り外し状態が検出されて、竪型射出成形機のコントローラに入力されるように構成する。さらに竪型射出成形機は、竪型射出成形機に設けられている複数個のモータに対して駆動の制約が無い通常運転モードと、低速運転のみが許容されている準備運転モードと、駆動が不可の停止モードとが用意されこれらから択一的に選択されるように構成する。そして足場の取付状態が検出されると、コントローラは準備運転モードまたは停止モードに切り換えるように構成する。さらに、足場には安全マットを設ける。安全マット上に作業者がいることが検出されたら、コントローラにおいて停止モードに切り換えられる。
【0008】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、型締装置の固定盤がベッドの天板に固定され、前記ベッドの側方に足場が着脱自在に取り付けられるようになっている竪型射出成形機であって、
前記竪型射出成形機に設けられているコントローラは、前記竪型射出成形機に設けられている複数個のモータに対して駆動の制約が無い通常運転モードと、低速運転のみが許容されている準備運転モードと、駆動が不可の停止モードとが用意され、これらから択一的に選択されるようになっており、前記ベッドの前記足場の取付部分にはリミットスイッチが設けられ、
前記リミットスイッチにより前記足場の取付状態が検出されて前記コントローラに入力されると、
前記コントローラにおいて前記準備運転モードまたは前記停止モードに切り換えられるようになっている竪型射出成形機として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の竪型射出成形機において、前記足場には安全マットが設けられ、前記足場が取付状態でありかつ前記安全マット上に作業者がいることが検出されたら、前記コントローラにおいて前記停止モードに切り換えられることを特徴とする竪型射出成形機として構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、型締装置の固定盤がベッドの天板に固定され、ベッドの側方に足場が着脱自在に取り付けられるようになっている竪型射出成形機を対象としている。つまり竪型射出成形機の設置面積を大きくする必要もなく、竪型射出成形機の周囲に架台設置用のスペースを用意する必要もなく、メンテナンスにおいて必要な足場を設けることができる竪型射出成形機を対象としている。そして本発明によると、
竪型射出成形機に設けられているコントローラは、竪型射出成形機に設けられている複数個のモータに対して駆動の制約が無い通常運転モードと、低速運転のみが許容されている準備運転モードと、駆動が不可の停止モードとが用意され、これらから択一的に選択されるようになっている。そしてベッドの足場の取付部分にはリミットスイッチが設けられ、
リミットスイッチにより足場の取付状態が検出されてコントローラに入力されると、
コントローラにおいて準備運転モードまたは停止モードに切り換えられるようになっている。そうすると、少なくとも足場が取り付けられている限り通常運転モードには切り換えられないので、安全が確保されることになる。さらに他の発明によると、足場には安全マットが設けられ、足場が取付状態でありかつ安全マット上に作業者がいることが検出されたら、コントローラにおいて停止モードに切り換えられるように構成されている。足場が取り付けられているときにもモータを低速で運転する必要がある場合があるが、そのようなときにも、安全マットに作業者が乗っているときには完全に停止したい。この発明によれば安全マットに作業者が乗っているとき、停止モードに切り換えられるので、確実に安全が確保されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る竪型射出成形機を示す正面図である。
【
図2】その(A)は、本実施の形態に係る竪型射出成形機のベッドの一部を示す斜視図、その(B)は他の実施の形態に係る竪型射出成形機のベッドの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係る竪型射出成形機1も従来の竪型射出成形機と同様に、
図1に示されているように、型締装置2と、この型締装置2の上部に設けられている射出装置3とから構成されている。型締装置2は、竪型射出成形機1を支持するベッド4と一体的に設けられており、ベッド4の天板に固定されている固定盤5と、この固定盤5の上方に配置されている上可動盤6と、固定盤5の下方に配置されている下可動盤と、固定盤5を摺動自在に貫通し上可動盤6と下可動盤とを連結している複数本のタイバー9、9、…と、固定盤5と下可動盤の間に設けられているトグル機構とから構成されている。下可動盤とトグル機構はベッド4内に収納されているので、
図1には示されていない。固定盤5の上面には下側金型10が、上可動盤6の下面には上側金型11が設けられ、トグル機構を駆動するとこれらの金型10、11が型開閉されるようになっている。
図1には示されていないが、上可動盤6の中央部にはくり抜きが明けられ、上方から射出装置3が挿入されて、上側金型11の図示されないスプルに射出装置3の射出ノズル13が当接するようになっている。
【0012】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1のベッド4は、その側部において、
図2の(A)に示されているように、ナット16、16が埋め込まれている。つまりナット16、16がその雌ネジの穴が側方に開口するように設けられている。本実施の形態に係る竪型射出成形機1は、これらのナット16、16によって、足場17を取付けるようになっている。足場17は、
図1に示されているように、ベッド4の側方に固定されるようになっている所定の高さの枠体からなるベース部18と、このベース部18の上部に固定されている籠部19とから構成されている。籠部19は前方と側方の3面が金属柵によって保護されていると共に後方の1面が開放され、作業者Sは後方から中に入り籠部19内から竪型射出成形機1を安全にメンテナンスできるようになっている。足場17は、ベース部18の下方部分を竪型射出成形機1のベッド4の側方に押し当て、そして取付用ボルト21によってナット16、16に締め付けることによって竪型射出成形機1に取り付けることができる。
【0013】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1は、足場17に関連して安全を確保するいくつかの特徴がある。第1の特徴は、ベッド4において足場17の取付部分にリミットスイッチ23が設けられている点である。本実施の形態においてリミットスイッチ23は非接触式からなり、検出側つまりスイッチ23aが
図2の(A)に示されているようにベッド4に埋め込まれ、被検出側つまりアクチュエータ23bが
図1に示されているように足場17側に設けられている。このようなリミットスイッチ23はコントローラ15に接続されている。従って、足場17が取付用ボルト21によってベッド4に取り付けられると、スイッチ23aによってアクチュエータ23bが近接したことが検出され、コントローラ15に足場17が取付状態である旨通知される。
【0014】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1の安全に関する第2の特徴は、足場17の籠部19に、安全マット25が敷かれている点である。安全マット25は竪型射出成形機1のコントローラ15に接続するようになっており、作業者Sを検出してこれをコントローラ15に通知するようになっている。なお、コントローラ15はリミットスイッチ23によって足場17の取付状態を検出するが、取付状態にも拘わらず安全マット25がコントローラ15に対して接続されていないと、コントローラ15のモニタ上に接続を促すメッセージが出力されるようになっている。
【0015】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1は複数個のモータを備えているが、これらのモータの駆動に関して3個の運転モードを備えている。第1のモードは通常運転モードであり、制約無く各モータを駆動できるようになっている。成形サイクルを連続的に実施するときは通常運転モードが選択されている。第2のモードは準備運転モードであり、射出軸のサーボモータ、可塑化軸のサーボモータ、型締軸のサーボモータ等の各モータは低速運転のみが許容されるようになっている。成形サイクルの準備時に選択される。第3のモードは停止モードであり各モータは駆動が禁止される。メンテナンス時等に選択され安全を確保するようになっている。本実施の形態に係る竪型射出成形機1では、通常運転モードが選択されているときに足場17が取り付けられてコントローラ15が取付状態を検出すると、コントローラ15は低速運転モードに切り換える。竪型射出成形機1は低速での運転のみ可能になる。さらに足場17に作業者Sが乗ると安全マット25によってこれが検出されコントローラ15に通知される。コントローラ15は停止モードに切り換える。これによって竪型射出成形機1は駆動できなくなり、作業者Sの安全が確保される。なお、作業者Sが足場17から降りると、安全マット25を介してコントローラ15は安全を確認する。作業者Sがコントローラ15を操作すると低速運転モードに切り換えることができる。さらに、足場17を竪型射出成形機1から取り外すと、リミットスイッチ23によってコントローラ15は足場17が取り外されたことを認識する。作業者Sがコントローラ15を操作すると通常運転モードに切り換えることができる。
【0016】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1は色々な変形が可能である。例えば、
図2の(A)には、ナット16やリミットスイッチ23のスイッチ23aはベッド4において露出しているように示されているが、
図2の(B)に示されているように所定の引戸27によって隠れるようにしてもよい。足場17を取り付ける必要があるときに引戸27を引き出して、ナット16とスイッチ23aとを露出させる。そうすると足場17をベッド4に取り付けることができる。他の変形も可能である。例えばコントローラ15において通常運転モードが選択されているとき、足場17が取り付けられ、これをコントローラ15が検出したら低速運転モードに切り換えられるように説明した。しかしながら、コントローラ15が足場17の取付状態を検出したら停止モードに切り換えるようにしてもよい。本実施の形態において、足場17はベース部18と籠部19とからなるように説明したが、足場17はその形状や大きさを必要に応じて自由に選定することができる。例えば比較的機械高さが低い竪型射出成形機の場合には、作業者Sは高所に上がる必要はないので足場17に籠部19は不要であり、作業者Sがその上に乗ることができるシンプルな段部を備えていればよい。
【符号の説明】
【0017】
1 竪型射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 ベッド
5 固定盤 6 上可動盤
9 タイバー 10 下側金型
11 上側金型 13 射出ノズル
15 コントローラ 16 ナット
17 足場 19 籠部
21 取付用ボルト 23 リミットスイッチ
23a スイッチ 23b アクチュエータ
25 安全マット
【要約】
【課題】着脱自在な足場を備え作業者の安全を確保できる竪型射出成形機を提供する。
【解決手段】
竪型射出成形機(1)において固定盤(5)が設けられているベッド(4)の側方に足場(17)が着脱自在に取り付けられるようにする。ベッド(4)にリミットスイッチ(23)を設け、足場(17)の取付状態、取り外し状態を検出できるようにする。足場(17)には安全マット(25)を設ける。竪型射出成形機(1)のコントローラ(15)は、足場(17)の取付状態を検出したら、成形サイクルを実施する通常運転モードから、各種モータの駆動速度を低速に制限する準備運転モードに切り換える。コントローラ(15)は、安全マット(25)によって作業者(S)が乗っていることを検出したら各種モータを停止する停止モードに切り換える。
【選択図】
図1