(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましくは、上記O/Wエマルションの粒径分布についてD(v,0.9)=30μm以下が当てはまる。特に好ましくは、液滴直径(その他ので点は上記定義どおりのO/Wエマルション中の)は、40μmまでの範囲、好ましくは30μmまでの範囲にある。
式(I)の1種のアルコールのR
aが水素を表し、或いは(i)式(I)の単一アルコール(式(I)の全部のアルコールのいくつかから)の又は(ii)式(I)の全部のアルコールの2若しくは3種以上のアルコールでこの数の又は(iii)式(I)の全部のアルコールでこの数の全てのR
aが水素を表す、製剤(上記定義どおり)が特に好ましい。
R
aが水素を表し、好ましくはR
aが水素を表し、かつR
bが3〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アシル部分を表す、式(I)の少なくとも1種のアルコールを含む製剤(上記定義どおり、特に上記好ましいとしての定義どおり)が最も特に好ましい(R
a及びR
bの上記及び好ましい意味は、O/Wエマルションである製剤に最も特に好ましく当てはまる)。
上記式(I)の化合物は、公報EP 2 133 102 A1に既に開示され、従来技術から多くの他の文献を参照して論じられている。EP 2 133 102 A1によれば、式(I)の化合物は、臭気を低減するのに顕著に適している。
式(I)の化合物は、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールのモノエステルである。式(I)の該化合物は、ある程度既にしばらくの間市販されていたか(例えばUS 3,329,713参照)又はLiebigs Ann. 1972, 756, 162-169又はUS 3,408,388に記載されているような2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールを既知方法でエステル化することによって得られる。式(I)の代替製造方法は、例えば、US 3,091,632、DE 3403696、US 5,166,413、WO 98/24752又はDE 10207747及びそれらの中でそれぞれ引用されている文献から分かり、それらに基づいて実施することができる。
驚くべきことに、我々自身の試験で、式(I)のアルコールが上で説明した望ましい方法で化学製剤の物理的特性に影響を与え得ることが明らかになった。式(I)のアルコールは、O/Wエマルション、特に下記:D(v,0.9)=40μm以下、好ましくはD(v,0.9)=30μm以下が当てはまる粒径分布のO/Wエマルションを安定化する。さらに、式(I)の化合物は界面活性剤含有製剤の粘度を一貫して上昇させる(以降、特に指定のない限り、粘度は22.7℃で測定される)。
さらに、我々自身の試験で、本発明の製剤又はその中に含まれる式(I)のアルコールは、下記二次特性の1つ、複数又は全てを一貫して有することが明らかになった:
−容易な入手可能性、
−濃縮形においてもの有用性、
−実質的又は完全な無色、
−それぞれの製剤内での高い安定性、
−不活性な挙動(例えば製剤の他成分に対して)、
−ヒトへの関連毒性及び/又はアレルギー作用がないこと、
−わずかな固有臭。
【0011】
本発明の製剤はさらに、例えばジプロピレングリコール(DPG)、フタル酸ジエチル(DEP)、クエン酸トリエチル(TEC)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)及び安息香酸ベンジル(BB)等の添加剤を含有することができる。
本発明に関連して、レーザー回折の原理を利用して粒径分布を決定した。粒径又は粒径分布を決定するための対応機器は、Malvern Instruments GmbH and Malvern Instruments Ltd.によって販売されている。以降、特に指定のない限り、Malvern Mastersizer Micro MAF 5000型の装置を利用して粒径分布を決定する。レーザー回折を利用して粒径分布を決定するとき、試験すべきO/Wエマルションのサンプルにレーザービームを透過させながら、レーザービームの散乱光の強度を測定する。得られたデータから、生じた回折パターンから粒径及び関連する粒径分布を計算する。
本発明の界面活性剤含有(好ましくは単相)製剤の粘度は温度依存性である。以降、特に指定のない限り、本発明の範囲内では、種々の界面活性剤含有製剤の粘度は、それらを比較できるように22.7℃の温度で測定する。特に指定のない限り、本発明の範囲内では、回転原理に従って機能する粘度計を利用して規定温度で粘度を測定する。当業者は、例えば、粘度を測定するためにHaakeからの粘度計(Haake Viscotester 7 plus)を使用する。
本発明の製剤は好ましくは
−下記式(I)
【0013】
(式中、いずれの場合も2つの部分R
a又はR
bの一方は水素を表し、他の部分R
a又はR
bはいずれの場合も2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アシル部分を表す)
の1種以上のアルコール
を含んでなり、
この製剤は、好ましくは、その粒径分布は下記:D(v,0.9)=40μm以下が当てはまるようなO/Wエマルションであり、かつ製剤中の2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のこれらのアルコールの総量は、2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のいずれの該アルコールをも含まないが、その他の点では同一組成を有する比較エマルションに比べて、O/Wエマルションが、上昇したエマルション安定性を有するように選択され、
及び/又は
該製剤は(好ましくは単相)界面活性剤含有製剤であり、かつ製剤中の2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のこれらのアルコールの総量は、2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のいずれの該アルコールをも含まないが、その他の点では同一組成を有する比較製剤に比べて、製剤が、上昇した22.7℃での粘度を有するように選択される。
従って、本発明の製剤の上記好ましい実施形態では、決定的に2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)の該アルコールの存在ということになる。7〜10個の炭素原子を有するアルキル部分を有する式(I)のアルコールの存在に関係なく、2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のいずれの該アルコールをも含まない比較製剤に比べて、上昇したエマルション安定性又は上昇した粘度(いずれの場合も対応する比較製剤に比べて)が存在する。我々自身の試験で、2〜6個の炭素原子を有するアシル部分を有する式(I)のアルコールは、上記物理的特性を有利に整えることに関して一貫して特に有効であることが明らかになった。
1、2、数種又は全ての式(I)のアルコールのアシル部分が、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、クロトニル、n-ペンタノイル、イソペンタノイル、n-ヘキサノイル及びイソヘキサノイルから成る群より選択され、好ましくはn-ブチリル、イソブチリル及びクロトニルから成る群より選択される、本発明の製剤(上記定義どおり)が特に好ましい。
図式としても特定した下記リストのアシル部分は、式(I)の1、2、数種又は全ての(好ましくは使用した)アルコールの部分R
b又はR
aとしての好ましいアシル部分であり、それぞれの構造式中、破線は、描画アシル部分(構造式)と式(I)のアルコールの隣接酸素原子との間の共有結合を表す。
【0015】
本発明の製剤は、部分R
aが水素を表し、部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分(好ましくは上に列挙した部分R
b)を表す、上記定義どおりの式(I)の第1アルコール(特に上記好ましいとして定義したとおり)を含む場合に好ましいことが多い。
対応して、本発明の製剤は、好ましくは、部分R
aが水素を表し、部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す、式(I)の第1アルコール(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり、好ましくは上に列挙したとおり)を含み、かつ任意に、部分R
bが水素を表し、部分R
aが直鎖又は分岐アシル部分を表す、式(I)の第2アルコール(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)をさらに含んでよく、第2アルコールのこのアシル部分R
aは第1アルコールのアシル部分R
bと同一構造を有し、
この製剤は好ましくはO/Wエマルションであり、その粒径分布は下記:D(v,0.9)=40μm以下が当てはまり、式(I)の第1及び第2アルコールの総量は、好ましくは、式(I)のいずれの該第1アルコール又は第2アルコールをも含まないが、その他の点では同一組成を有する比較エマルションに比べて、O/Wエマルションが、上昇したエマルション安定性を有するように選択され、
及び/又は
該(好ましくは単相)製剤中の式(I)の第1アルコール及び第2アルコールの総量は、好ましくは、式(I)のいずれの該第1アルコール又は第2アルコールをも含まないが、その他の点では同一組成を有する比較製剤に比べて、製剤が、上昇した22.7℃での粘度を有するように選択される。
当然に、この場合、すなわち本発明の製剤が、部分R
aが水素を表し、部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す、式(I)(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)の第1アルコールを含み、かつ部分R
bが水素を表し、部分R
aが直鎖又は分岐アシル部分を表す第2アルコールを含み、第2アルコールのこのアシル部分R
aが第1アルコールのアシル部分R
bと同一構造を有する場合、それぞれのアシル部分が2〜6個の炭素原子を有する場合も好ましい(アシル部分は、この場合もやはり好ましくは上記リストから選択される)。この場合もやはり、部分R
aが水素を表し、部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す、式(I)の1、2、数種又は全てのアルコールのアシル部分が、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、クロトニル、n-ペンタノイル、イソペンタノイル、n-ヘキサノイル及びイソヘキサノイルから成る既に上述した群より選択され、
好ましくはn-ブチリル、イソブチリル及びクロトニルから成る群より選択される場合に最も特に好ましい。
本発明の一態様によれば、式(I)(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)の1、2、数種又は全てのアルコールが分岐アシル部分を有する、本発明の製剤(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)が好ましい。
或いは、いくつかの用途では、式(I)(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)の1、2、数種又は全てのアルコールが非分岐アシル部分を有する、本発明の製剤が好ましい。
式(I)の第1アルコールが下記式
【0017】
を有し、
かつ任意に存在し得る式(I)の第2アルコールが下記式
【0019】
を有する、本発明の製剤(上記定義どおり、特に上記好ましいとして定義したとおり)が特に好ましい。
式(Ia)の化合物(CAS番号18491-15-1)及び式(Ib)の化合物(CAS番号77-68-9)はいずれの場合もそれ自体既知である。化合物(Ia)と化合物(Ib)の混合物も知られている(CAS番号25265-77-4)。該混合物は、例えばBASF、DSM、Eastman又はPerstorpから市販されている。
【0020】
Yukagaku (1993), 42(1)(44〜48ページ)は、ウラボシ科(Polypodiaceae)の特定植物における上記式(Ib)の2-メチルプロピオン酸-3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルエステルの存在を開示している。匂い物質ヘキサナール、ヘプタナール、4-ヘキセン-1-オール、1-ヘプテン-3-オール、バニリン、セドロール、リナロオール、β-イオノン、α-ピネン、イソ酪酸イソブチル、α-テルピネオール及びケイ皮酸エチルも見い出された。開示混合物は本発明の主題ではない。開示混合物は上記定義の意味の製剤ではない。
Yukagaku (1989), 38(9)(689〜693ページ)、Nippon Nogei Kagaku Kaishi (1989), 63(7)(1231〜1234ページ)及びNippon Nogei Kagaku Kaishi (1988), 62(12)(1763〜1768ページ)は、異なるタイプの豆における上記式(1b)の2-メチルプロピオン酸-3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルエステルの存在について報告している。とりわけ、ヘキサナール、2-フェニルエタノール、バニリン、マルトール、グアイアコール、4-ビニルグイアカオール、フルフリルアルコール、フルフラール、セドロール、酪酸ブチル及びケイ皮酸エチル等の匂い物質も同定された。開示混合物は本発明の主題ではない。開示混合物は上記定義の意味の製剤ではない。
JP 11222574は、多孔性建築材料用水性シーラント中の成分としての、本発明に従っても使用できる特定化合物の使用について記載している。JP 2003171635は、建築材料用接着剤中の成分としての、本発明に従っても使用できる特定化合物の使用について記載している。しかしながら、本発明は、これらの開示化合物及び混合物のいずれに関するものではない。しかしながら、(多孔性)建築材料用の接着剤又はシーラントの成分としての、本発明に従って使用できる式(1)の化合物の使用、特にJP 11222574の多孔性建築材料用水性シーラント中の成分として又はJP 2003171635の建築材料用接着剤中の成分としての使用は、本発明の範囲内では一般的に好ましくない。
FR 2867972は、本発明に従って使用できる特定化合物のマニキュア液における使用について記載している。該マニキュア液は本発明の主題ではない。ワニス、特にマニキュア液における使用は本発明の範囲内では一般的に好ましくない。
WO 2004/062363は、表面上の殺菌膜形成用混合物における上記式(Ib)の2-メチルプロピオン酸-3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルエステルの使用について記載している。この混合物は任意に香油(香料)を含有し得るが、そこではそれ以上詳細に特定されていない。WO 2004/062363に記載された混合物、特にWO 2004/062363の実施例1の混合物は本発明の主題ではない。本発明に従って使用すべき式(I)のアルコール、特に表面上の殺菌膜形成用混合物、特に膜形成剤を含む該混合物における式(Ib)のアルコールの使用は、本発明の文脈では一般的に好ましくない。
【0021】
WO 95/21606は、脱水による不飽和2,2,4-トリメチルペンタ-3-エン-1-イル-イソブチラートの製造用出発材料として、R
b=イソブチリル及びR
a=Hである式(I)の化合物(3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルイソブチラート)について述べている。これに関連して、そこでは例えば不飽和イソブチラートと呼ばれる特定の2,2,4-トリメチルペンテン-1-イル-エステルを付臭剤及び香味料として使用できることを記載している。言及されたブチラートはかんきつ類のフルーティーでグリーンな花の芳香を有する。式(I)の化合物を含有する、WO 95/21606に開示された混合物及び式(I)の化合物の使用は本発明の主題ではない。3-3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルイソブチラートと2,2,4-トリメチルペンタ-3-エン-1-イル-イソブチラートを含んでなる混合物は、本発明の文脈では一般的に好ましくない。
US 5,942,467では、そこで指名された実施形態によれば、上記式(Ib)の物質2-メチルプロピオン酸-3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチルエステルが掘削流体の成分として提案されている。本発明は、本発明に従って使用すべき式(I)のアルコールの掘削流体の成分としての如何なる使用に関するものではなく、特にUS 5,942,467の掘削流体の成分としての使用に関するものではない。そこで開示された混合物は本発明の主題ではない。
Food Res. Int. 2001, 34, 473-481及びJ. Food Science 2002, 67, 848-854は、上記式(Ia)の2-メチルプロピオン酸-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-1-(1-メチルエチル)-プロピルエステルの、調理済みエビ又は調理済みタコの香味料への寄与について報告している。そこで開示された混合物は本発明の主題ではない。本発明の文脈では、本発明に従って使用すべき式(I)、特に式(Ia)のアルコールの、調理済みエビ又は調理済みタコに基づいた混合物における使用は好ましくない。
引用文書は、本発明に従って使用すべき式(I)のアルコールが、エマルションの安定性及び粘度の重要な物理的パラメーターに影響を与えるのに適しているという効果へのいずれの示唆をも提供していない。
【0022】
本発明の製剤は付臭剤を含み得る。本発明の製剤の成分として有利に使用し得る付臭剤は、例えばS. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, Vol. I and II, Montclair, N.J., 1969(自費出版)又はH. Surburg, J. Panten, Common Fragrance and Flavor Materials, 5
th Ed., Wiley-VCH, Weinheim 2006の中で見つけられる。特に、既に上述した文書EP 2 133 102 A1に開示されているような付臭剤に注目されたい。この文脈では特に前記文書EP 2 133 102 A1の段落[0062]及び[0063]に注意されたい。そこで名前を挙げられた付臭剤は本発明の好ましい製剤で使用するのに特に有利であり;そこで名前を挙げられた付臭剤は、参照によって、本技術開示の構成要素である。
本発明の製剤(上記定義どおり、好ましくは上記好ましいとして定義したとおり)は、式(I)(上記定義どおり)のアルコールの非存在下で不快臭を有する製剤であってもよい。該製剤では、式(I)(上記定義どおり)の1種以上のアルコールの存在の結果、前記不快臭を低減することができる。このような場合、文書EP 2 133 102 A1で既に論じられた臭気低減に加えて、本発明に従って存在する、物理的特性、すなわちエマルション安定性及び/又は粘度の改変又は調整の効果が生じる。
しかしながら、当然に本発明は、文書EP 2 33 102 A1に述べられた1種以上の付臭剤を含まず、当該文書の開示によって規定された不快臭の原因である1種以上の物質をも含まない該製剤にも関する。
【0023】
本発明の第1態様によれば、本発明の製剤はO/Wエマルションである。従って、本発明のO/Wエマルションは、好ましくは、上記定義どおり(好ましくは上記好ましいとして定義したとおり)の本発明の製剤である。本発明の好ましいO/Wエマルションは、乳化剤として、本発明の製剤の議論における上記定義どおりの式(I)の1種以上のアルコールを含み、かつそれは下記:
D(v,0.9)=40μm以下、好ましくはD(v,0.9)=30μm以下、
D(v,0.5)=20μm以下、好ましくはD(v,0.5)=15μm以下
かつ好ましくはさらに、
D(v,0.1)=2.5μm以下、好ましくはD(v,0.1)=2.0μm以下
が当てはまる粒径分布を有する。
従って、本発明のO/Wエマルションでは、比較的多数の粒子が特に小さい粒径を有する乳化油粒子の粒径分布が特に好ましい。該O/Wエマルションは、規則正しく高い白色度を有する。
本発明のO/Wエマルションでは、本発明の製剤に関連して上述したことが、式(I)の好ましいアルコールについて当てはまる。従って前と同じように、式(Ib)のアルコールの使用が非常に特に好ましい。本発明の好ましいO/Wエマルションは、本発明の製剤に関連して上で定義したとおりの式(I)の1種以上のアルコールを乳化剤として含み(該好ましいO/Wエマルションは好ましくは上記定義どおりの本発明の製剤でもある)、エマルションの安定性は、空気の排除下、25℃及び1013HPaの圧力でこのエマルションを3週間(21日)貯蔵した後に粒径分布について下記:D(v,0.9)(t
21d):D(v, 0.9)(t
0d)<2、好ましくは<1.5、特に好ましくは<1.2が当てはまり、或いはLUM社製ルミサイザー(lumisizer)を用いて決定されるO/Wエマルションの不安定指標が、式(I)のいずれのアルコールをも含まないが、その他の点では同一組成を有する比較O/Wエマルションの不安定指標と比べて、75%以下、好ましくは65%以下、特に好ましくは55%以下であるように整えられている。貯蔵に関しては、上述したことがそれ相応にさらに当てはまり;ルミサイザーを用いて決定される不安定指数に関しては、後述することがそれ相応にさらに当てはまる。
【0024】
エマルションがこの種の安定性を有するかどうかをチェックするためには、対応O/Wエマルションのサンプルを空気の排除下、25℃及び1013HPaの圧力で3週間(21日)貯蔵する。貯蔵の直前及び直後にいずれの場合も粒径分布(粒径分布の決定方法については、上記及びさらに後記実施例を参照されたい)を決定する。次に測定値D(v,0.9)(t
21d)及びD(v,0.9)(t
0d)から率を得る。率が2未満(好ましくは<1.5、特に好ましくは<1.2)である場合、調査したエマルションは対応する安定性を有する。
本発明のさらなる態様によれば、本発明の製剤は界面活性剤含有製剤である。本発明の界面活性剤含有製剤は好ましくは、一般的に論じ、さらに上で定義したとおりの本発明の製剤である。本発明の好ましい界面活性剤含有(好ましくは単相)製剤は下記成分
−22.7℃での粘度を上昇させる手段としての、式(I)の1種以上のアルコール(本発明の製剤の議論における上記定義どおり)、
−好ましくはスルファート及びスルホナートから成る群より選択され、特に好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む、1種以上のアニオン性界面活性剤
及び必要に応じて
−1種以上のさらなる界面活性剤
を含む。
式(I)の好ましいアルコールについて、本発明の製剤に関して上述したことがそれ相応にまたしても当てはまる。従って、この点について式(Ib)のアルコールの使用がまたしても特に好ましい。
【0025】
適切なアニオン性界面活性剤は、例えばアルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルキルスルホナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスクシナート、アルキルスルホスクシナート、N-アルコイル(alkoyl)サルコシナート、アシルタウラート、アシルイソチオナート、アルキルホスファート、アルキルエーテルホスファート、アルキルエーテルカルボキシラート、αオレフィンスルホナート、特にアルカリ及びアルアリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、並びにアンモニウム及びトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルホスファート及びアルキルエーテルカルボキシラートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有し得る。
これらには、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ナトリウムラウリルサルコシナート、ナトリウムオレイルスクシナート、アンモニウムラウリルスルホスクシナート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホナートが含まれる。
【0026】
さらなる界面活性剤は非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤であってよい。
適切な非イオン性界面活性剤の例は、直鎖又は分岐であってよいアルキル鎖内に6〜20個のC原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、1モルのアルコールに対して約6〜60モルである。アルキルアミンオキシド、モノ若しくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルも適している。
適切な両性界面活性剤は、例えばアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシナート、アルキルカルボキシグリシナート、アルキルアンホアセタート又はアルキルアンホプロピオナート、アルキルアンホジアセタート又はアルキルアンホジプロピオナートである。
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はナトリウムココアンホプロピオナート(cocamphopropionate)を使用し得る。
四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドは適切なカチオン性界面活性剤である。
【0027】
驚くべきことに、社内試験で、式(I)のアルコール(特に既に好ましいとして上述した当該アルコール)は、特に界面活性剤ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含んでなる界面活性剤含有製剤において、粘度の著しい増加を規則正しくもたらすことが分かった。
同様のポジティブな結果が、1種以上の他のアニオン性界面活性剤、特にスルファート及びホスホナートから成る群より選択される他のアニオン性界面活性剤を含んでなる界面活性剤含有製剤における式(I)のアルコールの使用について社内試験で規則正しく達成された。
本発明のO/Wエマルションは、本発明の界面活性剤含有(好ましくは単相)製剤と同様に、式(I)のアルコール又は式(I)の複数のアルコール(上記定義どおり、好ましくは好ましいとして上で定義したとおり)と共に、常に追加化合物を含むことは明白である。
当業者は、ほとんど予備試験を利用せずに、本発明のO/Wエマルション又は本発明の(好ましくは単相)界面活性剤含有製剤が所望の物理的特性を受けるように選択しなければならない、式(I)のアルコール又は式(I)の複数のアルコールの総量がどれほどかを決定することができる。この目的を達成するために当業者は、必要ならば、異なる総量の式(I)のアルコールを試験して、(i)どれほどの総量から、(ii)どれほどの総量まで、所望の結果が達成されるかを決定するであろう。
本発明の(好ましくは単相)界面活性剤含有製剤では、式(I)の1種以上のアルコール(上記定義どおり、好ましくは上記好ましいとして定義したとおり)が粘度を上昇させるための薬剤として役立ち得るように(本発明の界面活性剤含有製剤について粘度上昇の比較は、22.7℃で決定した)、これに適した総量でそれらを使用する。この点について、適切な総量の決定に関しては、当業者に適したアプローチに関する上記ステートメントがそれ相応に当てはまる。
本発明は、
(a)下記式(I)
【0029】
(式中、いずれの場合も2つの部分R
a又はR
bは水素を表し、他の部分R
a又はR
bはいずれの場合も2〜10個のC原子を有する直鎖又は分岐アシル部分を表す)
の単一アルコールの、又は
(b)上記式(I)の2種以上の異なるアルコールを含むか又はそれらから成る混合物の、
製剤(例えば化粧又は医療又は洗浄製剤)の1つ以上の物理的特性(物理的特性は、エマルション安定性及び粘度から成る群より選択される)を改変するための手段として、好ましくは該製剤のエマルション安定性及び/又は粘度を上昇させるための手段としての使用にも関する。
式(I)の好ましいアルコールに関して、本発明の好ましい製剤、本発明のO/Wエマルション及び本発明の界面活性剤含有製剤についての上記ステートメントがまたしてもそれ相応に当てはまる。
物理的特性「エマルション安定性」を改変するための好ましい手段は乳化剤であり;それらはエマルションを安定化する。
用語「エマルション安定性」及び「粘度」の解釈に関して、またしても上記ステートメントがそれ相応に当てはまる。
本発明に従って使用すべき式(I)のアルコール(上記定義どおり、好ましくは上記好ましいと述べたとおり)が、特に工業によって望ましい、すなわち通常はそれを上昇させるように、O/Wエマルションのエマルション安定性及び特に界面活性剤含有製剤の粘度に影響を与え得ることは驚くべきことであり、予見できなかった。
本発明の製剤に関連して、特に好ましいアシル部分に関して上述したことがそれ相応に当てはまる。
このように、
−選択的に(a)1種のアルコール又は
−選択的に(b)1又は2種以上のアルコール
が下記式(I)
【0031】
(式中、いずれの場合も2つの部分R
a又はR
bの一方が水素を表し、他の部分R
a又はR
bがいずれの場合も2〜6個のC原子を有する直鎖又は分岐アシル部分を表す)
のアルコールである、本発明の使用が特に好ましい。
式(I)の1、2、数種又は全てのアルコールのアシル部分が、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、クロトニル、n-ペンタノイル、イソペンタノイル、n-ヘキサノイル及びイソヘキサノイルから成る群より選択され、
好ましくはn-ブチリル、イソブチリル及びクロトニルから成る群より選択される場合にも好ましい。
下記
−部分R
aが水素を表し、かつ部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す上記定義どおりの式(I)のアルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)の、
又は
−下記
−部分R
aが水素を表し、かつ部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す上記定義どおりの式(I)の第1アルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)と、さらに
−上記定義どおりの式(I)の第2アルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)と
を含むか又はそれらから成る混合物の、
本発明の使用も好ましい。
下記
−部分R
aが水素を表し、かつ部分R
bが直鎖又は分岐アシル部分を表す上記定義どおりの式(I)の第1アルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)と、
−部分R
bが水素を表し、かつR
aが部分直鎖又は分岐アシル部分を表す上記定義どおりの式(I)の第2アルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)と
を含むか又はそれらから成る混合物
(ここで、第1アルコールの部分R
aは第2アルコールのR
bの意味を有し、かつ第1アルコールの部分R
bは第2アルコールのR
aの意味を有する)
の本発明の使用(上記定義どおり、好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)も好ましい。
究極的に、
下記式(Ib)
【0033】
のアルコールの、
又は
上記定義どおりの式(I)の第1及び第2アルコール(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)を含むか又はそれらから成る混合物
(ここで、式(I)の第1アルコールは下記式
【0035】
を有し、
かつ式(I)の第2アルコールは好ましくは下記式
【0037】
を有する)の本発明の使用(上記定義どおり、好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)が非常に特に好ましい。
本発明は、究極的に、
(a)下記工程:
−上記定義どおり(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)の乳化様式で作用する量の式(I)の1又は2種以上のアルコールの存在下で2種の液体を混合する工程
を有する、
O/Wエマルションを製造及び/又は安定化するため
及び/又は
(b)下記工程:
−界面活性剤含有液を、粘度を上昇させる量の上記定義どおり(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)の式(I)の1又は2種以上のアルコールと混合する工程
を有する、
粘度が上昇した界面活性剤含有製剤を製造するため
の方法にも関する。
従って、本発明の第1態様によれば、下記工程:
−上記定義どおり(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)の乳化様式で作用する量の式(I)の1又は2種以上のアルコールの存在下で2種の液体を混合する工程
を有する、O/Wエマルションの製造及び/又は安定化方法が好ましい。
式(I)の好ましいアルコールに関しては、本発明の製剤に関連してさらに構成されたステートメントがまたしても当然に当てはまる。
【0038】
従って、本発明の第2態様によれば、
下記工程:
−界面活性剤含有液を、粘度を上昇させる量の上記定義どおり(好ましくは上記好ましいとして述べたとおり)の式(I)の1又は2種以上のアルコールと混合する工程
を有する、粘度が上昇した界面活性剤含有製剤の製造方法が好ましい。
本発明の方法に関しては、本発明の製剤、本発明のO/Wエマルション、本発明の界面活性剤含有製剤、及び本発明の使用について上述したことがそれ相応に当てはまる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の好ましい実施形態を実施例を参照してさらに詳細に説明する。
実施例:
下記実施例は、本発明の製剤の組成例を示し、該製剤の選択された特性を説明する。これらの特性は特に以下のとおりである:
−O/Wエマルションの粒径分布
−エマルションの安定性
−界面活性剤含有製剤(シャンプー)の粘度。
本発明の好ましい実施形態を実施例を用いてさらに詳細に後述する。
実施例:
下記実施例は、本発明の製剤の組成例を示し、このタイプの製剤の選択された特徴を説明する。これらの特徴は特に以下のとおりである:
−O/Wエマルションの粒径分布
−エマルションの安定性
−界面活性剤(tenside)を含有する製剤(シャンプー)の粘度。
特に指定のない限り、実施例に示される量は質量百分率(w/w%)である。
【0040】
1.
O/Wエマルションの粒径分布
1.1
サンプルの調製
サンプル番号1〜7の7つのサンプル(7種のO/Wエマルション)について粒径分布の決定を行なった。これらの7つの各サンプルの組成を表1に示す。製剤の成分を2つの群(相)、A及びBに要約した。略称INCIは、化粧品原料の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)を意味し、7つのサンプルの個々の製剤成分に基づいている。
【0041】
表1
【0042】
各サンプル製造の第1作業工程で、表1に示した比率で相Aの製剤成分を調製し、一緒に混合し、約80℃の温度に加熱した。第2作業工程で、相Bの製剤成分を相応に準備し、一緒に混合し、同様に約80℃に加熱した。第3作業工程で、加熱相Bを加熱相Aに加えて一緒に混合し、乳化させた(Ultra Turraxスターラー:2分、5000rpm)。
次にそれぞれのサンプルをパドルスターラーを用いて(150rpm、10分)サンプルがほとんど室温に冷めるまで撹拌した。各サンプルのpH値は6.0だった。この結果、表1に列挙したサンプル番号1〜7のサンプルを得た。ここで、サンプル1は、式(I)と無関係の参考サンプルであった。調製した各サンプル1〜7の第1部分を用いて粒径分布を決定した。調製した各サンプル1〜7の第2部分を用いて安定性を決定した(さらに下記2.参照)。
サンプルの良い比較性を達成するため、全てのサンプルを確実に同一方法で調製した。試験を行なう熟練家の観点からすれば、サンプルの化学組成のみが異なった;調製に用いた手順工程及び手順パラメーターセット(温度、撹拌条件等)は異ならなかった。
【0043】
1.2
粒径分布の決定
粒径分布を決定するため、さらなる作業工程ではサンプル1〜7の関連部分をマスターサイザーMicro MAF 5000(製造業者:Malvern Instruments GmbH)で分析した。これをこなすため、下記サンプル調製工程を行なった。
1.3
粒径分布の決定の結果
サンプル番号1〜7のサンプルの粒径分布の決定の結果を表2に示す。7つの各サンプルについて3つの(体積ベース)値(D(v,0.1)、D(v,0.5)及びD(v,0.9)を決定した。ここで、
D(v,0.1)は、O/Wエマルション中の粒子の10%が、表に示した値より小さい直径を有することを意味し、
D(v,0.5)は、O/Wエマルション中の粒子の50%が、表に示した値より小さい直径を有することを意味し、
D(v,0.9)は、O/Wエマルション中の粒子の90%が、表に示した値より小さい直径を有することを意味する。
【0044】
表2
【0045】
例えばサンプル4(2%の式(I)のアルコールを含む)について、下記:D(v,0.5) 7.91及びD(v,0.9) 4.48が当てはまる粒径分布が測定された。サンプル1(式1のアルコールを含まない)は、下記:D(v,0.5) 17.44及びD(v,0.9) 45.84が当てはまる粒径分布を有する。従ってサンプル1に比し、サンプル4は多量のより小さい粒子を含む粒径分布(特にD(v,0.5)に基づく)を有する。
サンプル1及び4のD(v,0.5)に関する粒径分布曲線を
図1にグラフとして示してある。
図1中、連続曲線はサンプル1の粒径分布を示し、破線曲線はサンプル4の粒径分布を示す。X軸はμmでの粒径を示す。サンプル4の粒子の粒径分布曲線は、サンプル1の粒子の粒径分布曲線に比べて小さい粒子の方へ明らかにシフトしている。
【0046】
2.
O/Wエマルションの安定性
2.1
サンプルの調製
サンプル番号1〜7の7つのサンプルの対応部分についてO/Wエマルションの安定性を決定した。これらの7つのサンプルの組成は、表1に示した組成に対応する。1.1で述べたようにサンプルを調製した。
2.2
安定性の決定
LUM社製のLUMisizer(LUM GmbH)を用いてサンプル1〜7の一部を分析した。ルミサイザー(lumisizer)は、同時に遠心分離及び透過変化の測定を利用しながら7つのサンプルの分離プロセス(油相と水相の分離)を分析する。これらのサンプルの一部を別々のキュベットに詰めて遠心分離にかけた;これを行なう際に、キュベットの縦方向の透過プロファイルを連続的に測定した。分析の持続時間は1.25時間だった(これは約1カ月の貯蔵に相当する);2000rpmの回転速度と25℃の温度で分析を行なった。遠心分離の結果として分離が継続されたので、キュベット内で水相が完全に分離されている領域の幅は、分析時間中、連続的に増加した。このことは透過プロファイルで即座に認識することができる。
図3a及び
図3b(詳細は後述する)を参照されたい。
【0047】
2.3.
LUMIsizer分析及び不安定指標の決定の結果
2.2の条件下で7つのサンプルは異なる程度まで分離することが分かった。従って、これは7つのサンプルが異なるエマルション安定性を有することを意味した。
2.2の処理前、処理中及び処理後に個々のサンプルのそれぞれの分離の程度を定量的に測定した(
図3参照;時間の変化は個々のプロファイルの重なりによって示され;1つの測定値は255の個々のプロファイルを含む)。
図3(X軸:mmでの位置、Y軸:%での透過率)中、表示A、B、C、D、E及びFは下記を意味する:
A)分析キュベット
B)メニスカス
C)界面
D)セル底
E)最後のプロファイル
F)最初のプロファイル。
時間t=0では、キュベット内の個々のサンプルのそれぞれのエマルションの全てが均一であり;透過プロファイルはキュベットの充填領域全体で透過率が等しく低いことを示している(低い光透過率の油粒子の均一分布のため)。
遠心分離の持続時間が増すにつれて、増加性量の完全分離水相が生じる;これは、透過プロファイルにおいて、油相が分散又は分離している領域(
図3a及び
図3bの透過プロファイルの左側、X軸:mmでの位置、Y軸:%での透過率)に比べて、透過プロファイルにおける高い透過率の領域の増加性幅(
図3a及び
図3bの透過プロファイルの右側、X軸:mmでの位置、Y軸:%での透過率)によって示されている。
キュベット内の分離水相の幅は、遠心分離の持続時間が増加するにつれて増加する。それに応じて低い光透過率のこの領域の幅は減少する。この状況は、不安定指標として知られるものを用いて表される。時間t=0の所定点では、各サンプルの不安定指標はゼロである(充填キュベットの領域は高い透過率を有しない)。経時的に、不安定指標値が増加し、キュベット内の水相の幅、ひいては透過プロファイルで高い透過率を有する領域の幅も増加する。
遠心分離の持続時間(1.25時間=4,500秒)を利用してLUMIsizerでサンプル1〜7の不安定指標(INDEX)を決定する。試験の結果を
図2に示してある。時間t=4,500秒(=1.25時間)に対する値を表3に示す。0のINDEXは非常に安定を意味し、1のINDEXは完全分離を意味する。
【0048】
表3
【0049】
1.25時間続く分析の後、サンプル4(2質量%の式(I)のアルコールを含む)は0.2の不安定指標に達する。これは試験したサンプルの最低である。従ってサンプル4は、試験時間にわたって最低の不安定性(油相と水相の最低の分離)、ひいてはサンプル1〜7の群で最高の安定性を有する。
遠心分離の持続時間全体(1.25時間=4,500秒)にわたってほとんど連続的に測定する不安定指標を
図2にグラフとして(曲線として)示してある。サンプル4の曲線は線形であるが、サンプル1の曲線は、約1,000〜1,500秒後でさえ指数関数的飽和を経験する。従ってサンプル4は時間t=4,500秒(=1.25時間)においてサンプル1(0.4)に比べて低い不安定指標(0.2)を特徴とする。サンプル4の曲線進展は、サンプル4の分離プロセスが、指数関数的飽和を有する曲線進展によって表されるサンプル1の分離プロセスに比べて低い分離度をもたらす(時間t=4,500秒(=1.25時間)で)のみならず、かなり遅く進展すること(線形曲線進展)を示している。
図3a及び3bは、サンプル1(
図3a)及びサンプル4(
図3b)の透過プロファイルを示す。
図3a及び3bの透過プロファイルは、t=4,500秒(=1.25時間)の遠心分離の持続時間にわたって等間隔で記録したそれぞれ255の(重畳した)個々の測定値の結果(個々のプロファイル)である。
図3aに表示したサンプル1(式(I)のアルコールを含まない)の透過プロファイルは約120〜130mmの領域内の(光透過)水相(約70%の透過率、
図3aの右側)を示している。130mmより大きい領域は、キュベットの底部、ひいてはキュベット材料に相当する。約105〜約120mmの領域には、サンプル1の油相が分散又は分離している(約5%の透過率、
図3aの左側)。105mmの領域は、サンプルの外側であるがキュベット内の気体充填空間に相当する。
図3bに表示したサンプル4(2質量%の式(I)のアルコールを含む)の透過プロファイルは、約125〜130mmの領域内の(光透過)水相(約90%の透過率、
図3bの右側)を示している。約108〜約125mmの領域には、サンプル4の油相が分散又は分離している(約5%の透過率、
図3bの左側)。
従ってサンプル4の透過プロファイル(
図3b)は、サンプル1の透過プロファイル(
図3a、約120〜約130mmの領域内)に比べて薄い(光透過)水相(約125〜約130mmの領域内)を示している。
【0050】
3.
界面活性剤を含有する製剤(シャンプー)の粘度
3.1
サンプルの調製
サンプル番号V1〜V4の4つのサンプルについて粘度の測定を行なった。これらの4つの各サンプルの組成を表4に示す。製剤成分を4つの群(相)、A〜Dに要約する。略称INCIは、化粧品原料の国際命名法を意味し、4つのサンプルの個々の製剤成分に基づいている。
【0051】
表4
【0052】
第1作業工程で、相Aの製剤成分を調製し、泡の最初の生成が観察されるまで全体を慎重に撹拌した(泡の最初の生成が観察されたらすぐに撹拌プロセスを停止した)。第2作業工程で、ポリクアテルニウム-10(Ucare Polymer JR-400)を準備し、水及び混合物と混合し、約50℃に加熱すると、ポリマーが膨張し始めた。この分散系が清澄になり、わずかな粘性が観察されるとすぐに膨張プロセスは終了した。第3作業工程で、相Aの撹拌を続けながら相B、C及びDの製剤成分を加えた。結果として生じた混合物のpHを次に約5.4〜5.8に整えた。これによりサンプルV1〜V4を得た。
【0053】
3.2
粘度の決定
22.7℃の温度で回転粘度計(HAAKE Viscotester 7、タイプ3のシャフトを備える)を用いてサンプルV1〜V4の粘度を決定した。
3.3.
粘度決定の結果
サンプル番号V1〜V4のサンプルの粘度決定の結果を表5に示す。
【0054】
表5
【0055】
サンプルV3(1質量%の式(I)のアルコールを含む)は、他のサンプルに比べて最高粘度を示した(1324mPas)。サンプルV1(式(I)のアルコールを含まない)は480mPasの粘度を有したので、サンプルV3に比べてかなり低い粘度を有した。
4.
さらなる製剤例
4.1
シャワー用ジェル/シャンプー
【0056】
【0057】
4.2
標準O/Wエマルション