(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、アイブロウ、アイライナーなどの固形棒状化粧料としては、結合材として油脂、ロウ、脂肪酸、炭化水素等のワックス類や粘土類と、着色剤及び体質材を混練し、棒状に成形して得られるものである。
この固形棒状化粧料において、近年、塗布性と共に、着色剤及び体質材等の粉体成分を増量し、かつ、使用中の折損強度等も向上させる目的の固形棒状化粧料が知られている。
上記のように粉体成分を多量に含ませたい場合には、粉体成分を含む組成物を皿状の容器に詰めプレスして固形状の化粧料を得るのが一般的である。
【0003】
例えば、1)折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力に優れると共に、塗布性、経時安定性に優れる固形棒状化粧料を提供するために、平板状顔料を1〜15質量%、該平板状顔料を含む顔料及び体質材25〜50質量%と、ワックス成分を15〜35質量%とを含有する固形棒状化粧料であって、該平板状顔料の50%以上がそのa−b線と、この固形棒状化粧料の軸と平行とすることを特徴とする固形棒状化粧料(例えば、本願出願人による特許文献1参照)、2)密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する油性固形化粧料を提供するために、(A)R
1SiO
1.5単位とR
13SiO
0.5単位(式中、R
1は置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂、(B)ラウロイルリシン粉末、(C)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子、(D)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を配合することを特徴とするほほ紅またはアイカラーに好適な油性固形化粧料(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、3)樹脂皿へのプレス充填により、扁平シルク粉体等の粉体成分を多量に含む固形状アイブロウ化粧料などに好適な粉体化粧料を得ることも広く知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2の固形棒状化粧料では、塗膜の付着力、塗布性、経時安定性のバランスが若干不十分なことがあり、特に眉毛に着色をすることができない点に若干課題がある。眉毛に着色できるように融点の低いワックス成分等を用いている製品も存在はするが、眉毛同士の付着が起こったり、べたつきを感じたり、使用性が良くないばかりか、高温での芯の軟化や溶融が起こったり、未だ消費者ニーズに沿う固形棒状化粧料として十分でない点に課題があるのが現状である。また、昨今揮発性溶剤を含み、眉毛に塗布でき、ラインを引く事もできるパウダーの仕上がりの化粧料も報告されているが、これらの化粧料は、高価な気密容器を必要とする。上記特許文献3の皿状のプレス成形品となる粉体化粧料では眉部の肌、眉毛上でのボカシが可能であるという特色があるものの、はっきりとしたラインを引くことができず、固着性が劣る等の欠点を持つものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の固形棒状化粧料は、少なくとも粉体成分を60〜90質量%と、固着樹脂成分と、シリコーン溶剤と、ワックス成分とを含有する固形棒状化粧料であって、該粉体成分が顔料及び体質材であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に用いる顔料としては無機顔料、有機顔料など化粧料に用いられるものであれば特に制限なく用いることができるが、化粧料としてのパウダリーな塗布感を得るために平板状顔料が好んで用いられる。
平板状顔料としては、例えば、マイカ、マイカチタン、カルミン被膜マイカチタン、酸化クロム被膜マイカチタン、酸化鉄被膜マイカチタン、酸化鉄・カルミン被膜マイカチタン、酸化鉄・紺青被膜マイカチタン、青被覆マイカチタン、紺青被膜マイカチタン、ベンガラ被膜マイカ、ベンガラ被膜マイカチタン、ベンガラ・カルミン被膜マイカチタン、ベンガラ・酸化鉄被膜マイカチタン、ベンガラ・紺青被膜マイカチタン、ベンガラ・酸化鉄・紺青被膜マイカチタンなど、また、ガラスフレーク又は塊状フレークを母材とした上に、金属もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料、などの少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
好ましくは、塗膜の均一性及び塗布性の点から、酸化鉄被膜マイカチタン、マイカチタン、青被覆マイカチタンが挙げられ、特に、酸化鉄被膜マイカチタン、マイカチタンの使用が望ましい。更に好ましくは、これらの平板状顔料を親油化剤などにより親油性処理したものを挙げることができる。この親油性処理としては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、ハイドロゲンジメチコン、ラウロイルリシン、ステアリン酸、ステアリン酸変性、アミノ酸、アミノ酸変性等の親油化剤により親油性処理することが好ましく、特に好ましくは、ジメチコンやハイドロゲンジメチコン等のシリコーン系オイルにより処理することが好ましい。
【0012】
これらの平板状顔料において、好ましくは、平均粒子径は5〜100μmとすることが望ましく、更に好ましくは、5〜20μmであるものが望ましい。なお、本発明(後述する実施例等も含む)において、「平均粒子径」は、光学顕微鏡または電子顕微鏡による観察による、粒子径を平均粒子径としたものであり、平板状顔料では、平板状方向、大径での粒子径を平均粒子径としたものである。
【0013】
これらの平板状顔料の含有量は、通常、加えすぎると強度低下、塗布性能低下、使用感低下が懸念されるが、他の配合成分との相互作用などにより、これらの性能低下を克服し、逆に、好ましい強度、塗布性能、使用特性を得るために、固形棒状化粧料全量に対して、10〜50質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)好ましいことを見出した。更に好ましくは、15〜35%が望ましいことも見出した。
この平板状顔料の含有量が10%未満では、実使用可能な強度を確保しながら、眉毛の上からのボカシ描画の塗布性の良好な物が得られず、一方、皮膚上への(ラインの)塗布性能、使用特性の点から50%以下とすることが望ましい。
【0014】
本発明において、化粧料としての着色の点から、該平板状顔料以外の顔料も用いることができる。
用いることができる顔料としては、例えば、酸化チタン、鉄黒、カーボンブラック、紺青、群青、青色1号、ベンガラ、黄酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、青色2号、青色404号、赤色201号、赤色202号、赤色220号、赤色102号、赤色104号、黄色4号、黄色4号Alレーキなどの顔料などの少なくとも1種が挙げられる。また、これらの顔料も上記親油性処理ができるものであれば、親油性処理した顔料であってもよい。
この顔料(上記平板状顔料を除く)の含有量の範囲は、後述するように、該顔料と上記平板状顔料及び体質材との合計含有量の範囲内で好適な量が調整される。
【0015】
本発明の固形棒状化粧料に使用される体質材としては、従来の固形棒状化粧料に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、球状樹脂粒子、窒化ホウ素、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、セリサイト、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、ラウロイルリシン等の白色系体質材や、棒状化粧料の色相によっては、有色系の体質材も使用することができ、当然これら数種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、体質材として、その物性、形状から球状樹脂粒子、例えば、シリコーンゴムパウダー、ナイロンパウダー、またこれらを被覆したシリコーン複合パウダー〔(ビニルジメチコン/ビニルメチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー〕などの少なくとも1種を単独で、または、他の体質材と併用することが望ましい。特に、球状樹脂粒子は、その平均粒子径は、5〜30μm、より好ましくは、5〜20μmが望ましい。
【0016】
この体質材、上記平板状顔料及び上記顔料からなる粉体成分の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、60〜90%、好ましくは、70〜85%とすることが望ましい。
この体質材、上記平板状顔料及び上記顔料のからなる粉体成分の合計含有量が60%未満では、眉毛上へのボカシラインの塗布性の良好な物が得られず、一方、90%超過では、強度が弱すぎたり、脆すぎたりして実使用に耐えられなくなり、好ましくない。
好ましい体質材の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、5〜15%が望ましい。
【0017】
本発明に用いる固着樹脂成分は、粉体の高分散性を示し、皮膜形成助剤として用いるものであり、例えば、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸などを挙げることができる。好ましくは固着性、塗布性などの点からアクリルシリコーンが挙げられる。
具体的に用いることができる固着樹脂成分としては、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリメチルシロキシケイ酸などを少なくとも1種を挙げることができる。
【0018】
これらの固着樹脂成分の合計含有量は、粉体成分全量に対して、好ましくは、1〜15%、更に好ましくは、3〜10%とすることが望ましい。
この固着樹脂成分の合計含有量が1%未満であると、均一で固着力のある塗膜が得られず、一方、15%超過では、脆い塗膜の描線となる。
【0019】
本発明に用いるシリコーン溶剤としては、例えば、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、アミノプロピルジメチコン、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、シメチコン等のシリコーン溶剤を挙げることができる。
【0020】
これらのシリコーン溶剤の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、使用性、化粧持ちの点から、1〜20%、更に好ましくは、1〜10%とすることが望ましい。
このシリコーン溶剤の含有量が1%未満であると、眉毛上へのボカシラインの塗布性の良好な物が得られず、一方、20%超過では、強度が弱すぎたり、脆すぎたりして実使用に耐えられなくなる。
【0021】
本発明に用いるワックス成分としては、固形棒状化粧料に用いられるワックス成分であれば特に限定されず、例えば、炭素数26〜33などの炭化水素系ワックス、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、ホホバワックス、カルナバワックス、合成ワックス、脂肪酸トリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ベヘン酸、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、トリベヘン酸グリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、モクロウ、ワセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、水添ひまし油、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、モノステアリン酸エチレングリコールなどの少なくとも1種が挙げられる。
好ましくは、塗布性、光沢付与の点から、上記炭化水素系ワックスなどが挙げられる。
【0022】
これらのワックス成分の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜10%、好ましくは、1〜5%とすることが望ましい。
これらのワックス成分の含有量が0.5%未満では、固形棒状化粧料の芯としての保形性が困難となり、一方、10%超過では、眉上への良好な塗布感が得られず、好ましくない。
【0023】
更に、本発明の固形棒状化粧料には、前記各成分の他に、好ましくは、ゲル化剤、油性成分などを含有せしめることが望ましく、更に、通常の固形棒状化粧料に用いられる任意成分、例えば、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、ビタミンE(酢酸トコフェロール)などの酸化防止剤、美容成分、香料などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0024】
用いることができるゲル化剤としては、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、キャンデリラロウ炭化水素などが挙げられる。
このゲル化剤の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、0.1〜5%、更に好ましくは、0.5〜2.0%とすることが望ましい。
【0025】
また、用いることができる油性成分としては、特に限定されるものではなく、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ひまわり油、ひまし油、スクワラン、トリ2−エチルヘキサングリセリル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、オリーブ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、エイコセン酸カプリル、ジノール酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどの少なくとも1種などを挙げることができる。
この油性成分の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、使用性-滑らかな塗布感付与の点から、0〜15%、更に好ましくは、2〜10%とすることが望ましい。
【0026】
本発明の固形棒状化粧料は、上記粉体成分(体質材、平板状顔料、平板状顔料以外の顔料)、固着樹脂成分、シリコーン溶剤、ワックス成分、ゲル化剤、油性成分などを加えて混練し、この混練物を押し出し成形などにより、直方体状、円柱状、角柱状などの任意の形状・大きさとなる目的の固形棒状化粧料を製造することができる。また、上記平板状顔料及び該平板状顔料以外の顔料と、上記親油化剤、即ち、ジメチコン、ラウロイルリシンなどから選ばれる親油化剤とを良く混練し、更に、体質材、固着樹脂成分、シリコーン溶剤、ワックス成分、ゲル化剤、油性成分などを加えて混練し、この混練物を押し出し成形などにより、直方体状、円柱状、角柱状などの任意の形状・大きさとなる目的の固形棒状化粧料を製造してもよいものである。
特に、本発明の固形棒状化粧料では、直径6mm以下の芯繰り出し容器に使用した場合にでも、実使用特性を損なわない強度を備えたアイブロウ等に好適な固形棒状化粧料が得られることとなる。
【0027】
このように構成される本発明の固形棒状化粧料では、少なくとも顔料及び体質材を含む粉体成分60〜90%と、固着樹脂成分と、シリコーン溶剤と、ワックス成分とを混練し、固形棒状化粧料に成形することにより、折損強度などの機械的強度は実用的な範囲であるとともに、眉毛の上からのボカシ描画に優れると共に、眉毛への付着力に優れ、しかも、皮膚上へラインを引けて、経時安定性に優れ、特に高温での安定性に優れ、かつ、経時後の表面の発粉現象が起きない固形棒状化粧料が得られることとなる。また、平板状顔料を含む顔料に親油性処理を施し、体質材とともに、上記粉体以外の材料と混練、成形することにより、更に上記特性を向上させた固形棒状化粧料が得られることとなる。
【0028】
本発明の固形棒状化粧料は、顔料及び体質材を含む粉体成分が60〜90%と多いにもかかわらず、何故、上記特性を発揮できるものとなるかは以下のように推測される。
すなわち、本発明の固形棒状化粧料は、少なくとも顔料及び体質材を含む粉体成分を60〜90質量%と、固着樹脂成分と、シリコーン溶剤と、ワックス成分とを含有するものであり、固着樹脂成分が各成分を均一に分散する事により、折損強度などの機械的強度は実用的な範囲とすることができ、更に、均一に分散された多量の粉体成分が、ワックス成分により、点接着されており、塗布と言う軽い摩擦力により崩れる事により、眉毛上へのボカシ描画に優れると共に、眉毛への付着力に優れ、しかも、その形状により皮膚上へラインを引けることができ、経時安定性に優れ、特に高温での安定性に優れ、かつ、粉体成分が多く、芯表面へのワックス成分の分布が少ない事により、経時後の表面の発粉現象が起きないものとなる。
【実施例】
【0029】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0030】
〔実施例1〜7及び比較例1〜11〕
下記表1に示す配合処方の固形棒状化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)をロール分散、溶解、調製して、押し出し成形により円柱状の各固形棒状化粧料(φ2×60mm)を得た。
なお、表1中の粉体成分として用いる顔料の欄における「ベンガラ、黒酸化鉄、酸化チタン、グンジョウ(群青)、コンジョウ(紺青)」の配合比率(質量比)は、順番に60:20:10:5:5であり、また、顔料の欄の2種、体質材Aの欄の2種の各平均粒子径は5〜20μmの範囲内のものを用いた。
【0031】
得られた各固形棒状化粧料について、下記各評価方法により、耐温度性(70℃、12時間経時直後の使用性)、発粉状態〔室温(25℃)下6ヶ月後の表面の発粉状態〕、アイブロウペンシルとしての使用性、眉毛上への塗布性(発色性)、眉毛上へのボカシ描画性、芯としての成形性、キャップを必要としない簡易容器での対応について評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0032】
〔耐温度性(70℃、12時間経時直後の使用性)の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料を70℃の恒温槽に12時間静置し、取り出し直後に正常に使用可能か否かを下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:問題なく、良好に使用できる。
△:棒状化粧料として容器より繰り出せるが、変形している
×:溶解変形状態となり、容器より棒状化粧料は繰り出せず使用できない。
−:棒状化粧料として初期より正常に塗布できない為、評価基準に対応なし
【0033】
〔発粉状態〔室温(25℃)下6ヶ月後の表面の発粉状態〕の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料を室温(25℃)下に6ヶ月間静置し、各固形棒状化粧料表面の観察を行い粉体の析出の仕方を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:発粉は全くなかった。
△:わずかな発粉を認める。
×:発粉を認める。
【0034】
〔アイブロウペンシルとしての使用性の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料をアイブロウペンシルとしてモニター25人の皮膚(眉毛)に使用してもらい下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:15人以上が硬さほどよく良好に使用できたと回答。
△:15人以上が硬めであるが良好に使用できたと回答。
△△:15人以上が柔らかめであるが、良好に使用できたと回答。
×:10人以上が描線塗布には適さないと回答。
【0035】
〔眉毛上への塗布性(発色性)の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料をアイブロウペンシルとしてモニター25人の皮膚(眉毛等)に使用してもらい下記評価基準で評価した。
評価基準:
○: モニター全員の眉毛上にはっきり塗布色を確認できた。
△: 8割以下であるが、眉毛上に塗布色を確認できた
×: モニター全員の眉毛上に塗布色を確認できなかった。
【0036】
〔眉毛上へのボカシ描画性の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料をアイブロウペンシルとしてモニター25人の皮膚(眉毛等)に使用してもらい下記評価基準で評価した。
評価基準:
○: モニターの20人以上が、眉毛上にふわっとボカシた塗布色を認めた。
△: モニターの10人以上が、眉毛上塗布色を認めるが、眉毛に軽さがなく、
べたつき感を感じた。
×: モニター全員の眉毛上にふわっとぼかした塗布ができない。
【0037】
〔芯としての成形性の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料の成形性について下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:棒状化粧料として成形でき、正常に塗布できる。
△:棒状化粧料として成形できるが、塗布時に折れ、くずれ等を生じる。
×:棒状化粧料として成形できない。
【0038】
〔キャップを必要としない簡易容器での対応の評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料をキャップなしアイブロウペンシル容器、キャップ付きのアイブロウペンシル気密容器を用いて、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:キャップなし容器での保存、使用が可能
×:キャップ付きの気密容器で保存しないと成分が揮発し、化粧料として使用できなくなる。
【0039】
【表1】
【0040】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜7の固形棒状化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜11に較べて、実使用上の強度はそのままで、アイブロウペンシルとしての使用性、即ち、皮膚上の描画性に優れ、パウダーアイブロウとしての使用性、即ち、眉毛上へのボカシ描画性にも優れ、室温での表面の「粉吹き」が抑制され、かつ、耐温度性〔高温での経時安定性(70℃・12時間)〕に優れており、夏期の車内での放置等にも耐えうることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1、2及び3は、多量のワックス成分が含まれることから、温度変化等により粉体の析出が見られた。これは、時間の経過により温度や湿度差によりワックス成分が流動することによって粉状のワックスの析出が起こったものと考えられた。また、比較例1、2及び3は、ワックス成分の割合が粉体成分に対し多いため眉上への塗布が可能なパウダーアイブロウとしての使用には適さないことが確認された。比較例4及び5は、揮発成分が揮発した後、パウダーアイブロウとしての使用感が得られるものの、使用着後には多量のシリコーン溶剤の含有が災いして眉毛同士がべた付いて使用感の悪いものとなってしまったり、揮発を止めるため、キャップ付の高価な容器が必要となると考えられる。そして、比較例1〜5の何れもが、ワックス成分の割合が粉体成分に対し多いため、高温での経時試験後には形状を保てなくなっており、本発明の効果を発揮できないことが判った。次に、比較例6は粉体成分が90質量%超過のため、耐温度性、アイブロウペンシルとしての使用性に不適である。比較例7〜9は順次、固着樹脂成分を含有しない場合、シリコーン溶剤を含有しない場合であり、ゲル化剤及びワックス成分を含有しない場合であり、また、比較例10及び11は粉体成分として顔料、体質材を各単独で用いた場合であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが判った。
これに対して、本発明の範囲内となる実施例1〜7は、多量の粉体成分同士の粘着によって、却って形状を保持可能等であり、本発明の効果を発揮できるものと確認された。