(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る塗布栓の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の塗布容器1は、被塗布部(
図4参照)Sに塗布する内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部10の内側に装着された筒状の塗布栓3と、容器本体2の口部10に離脱可能に装着され、塗布栓3を覆う有頂筒状のオーバーキャップ4と、を備えている。
【0025】
図1において、容器本体2、塗布栓3及びオーバーキャップ4は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うオーバーキャップ4側を上方、その反対側(容器本体2側)を下方という。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
なお、内容液としては特に限定されるものではないが、例えば人体や皮膚等の被塗布部に塗布される育毛剤、水虫薬等の薬剤、化粧料等の液体が挙げられる。
【0026】
容器本体2の口部10は、容器本体2のうち口部10以外の部位(肩部、胴部及び底部)よりも径が小さく形成されている。図示の例では、容器本体2の外周面には第1ねじ部11が形成されている。
【0027】
図1及び
図2に示すように、塗布栓3は、容器本体2の口部10に装着されると共に、容器本体2内に連通する連通孔20、及び連通孔20に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔21が形成された筒状の中栓部材22と、中栓部材22の内側に、上端部(先端部)51aが吐出孔21から上方に突出した状態で、下方に向けて(連通孔20側に向けて)移動可能に配設された塗布部材23と、塗布部材23を上方に向けて(吐出孔21側に向けて)付勢する金属製のコイルスプリング24と、を備えている。
【0028】
中栓部材22は、連通孔20が形成された第1中栓部材30、及び吐出孔21が形成された第2中栓部材31を備え、これら第1中栓部材30及び第2中栓部材31が組み合わされることで構成されている。
【0029】
第1中栓部材30は、容器本体2の口部10の内側に密に嵌合された第1嵌合筒部35と、第1嵌合筒部35の上端部から径方向外側に向かって延びた環状のフランジ部36と、第1嵌合筒部35の下端部から径方向内側に向かって延びた第1環状壁部(支持部)37と、第1環状壁部37の内周縁部から上方に向かって延びた第1ガイド筒部38と、を備えている。
第1中栓部材30は、第1嵌合筒部35、フランジ部36、第1環状壁部37及び第1ガイド筒部38が一体成形された樹脂製部材とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0030】
フランジ部36は、容器本体2の口部10の上端開口縁上に配置されている。これにより、第1中栓部材30は、容器本体2の口部10内に挿入された状態で口部10に装着されている。
第1環状壁部37には、上記連通孔20が第1環状壁部37を容器軸O方向に貫通するように形成されている。連通孔20は、例えば平面視円形状に形成され、周方向に間隔をあけて複数形成されている。ただし、連通孔20の形状はこの場合に限定されるものではなく、例えば平面視で周方向に円弧状に延びるように連通孔20を形成しても構わない。
【0031】
第1ガイド筒部38は、第1環状壁部37の内周縁部から上方に向けて僅かに延びるように形成されている。これにより、第1ガイド筒部38と第1嵌合筒部35との間には環状空間が画成されている。
このように構成された第1ガイド筒部38の内側には、後述する塗布部材23の第1軸部55が下方移動可能に挿通されている。第1ガイド筒部38は、第1軸部55を介して塗布部材23を容器軸O方向に移動可能にガイドしている。
【0032】
第2中栓部材31は、第1嵌合筒部35の内側に密に嵌合された第2嵌合筒部40と、第2嵌合筒部40の上端部から径方向内側に向かって延びた第2環状壁部41と、第2環状壁部41の内周縁部から下方に向かって延びた第2ガイド筒部(筒体)42と、第2環状壁部41から上方に向かって延びた収容筒部43と、第2嵌合筒部40の上端部から径方向内側に向かって突設された環状の鍔部44と、を備えている。
【0033】
第2中栓部材31は、第2嵌合筒部40、第2環状壁部41、第2ガイド筒部42、収容筒部43及び鍔部44が一体成形された樹脂製部材とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
そして、第2中栓部材31は、第2嵌合筒部40が第1嵌合筒部35の内側に嵌合されることで、第1中栓部材30に対して上方から組み合わされている。
【0034】
第2嵌合筒部40は、その下端部が第1ガイド筒部38と第1嵌合筒部35との間に画成された環状空間内に位置するように、第1嵌合筒部35内に深く入り込んでいる。鍔部44は、第1中栓部材30におけるフランジ部36上に配置されている。これにより、第1中栓部材30及び第2中栓部材31は、容器軸O方向に互い位置決めされた状態で組み合わされている。
【0035】
第2ガイド筒部42は、容器本体2の口部10内に若干入り込む程度、下方に向けて延びている。図示の例では、第2ガイド筒部42は、第1ガイド筒部38よりも若干径が大きく形成されている。
このように構成された第2ガイド筒部42の内側には、後述する塗布部材23の第2軸部56が下方移動可能に挿通されている。第2ガイド筒部42は、第2軸部56を介して塗布部材23を容器軸O方向に移動可能にガイドしている。
【0036】
第2ガイド筒部42の下端開口縁(開口端縁)には、後述する塗布部材23の弁体57が下方から離反可能に当接する弁座45が形成されている。図示の例では、弁座45は下側開口端縁のうち、第2ガイド筒部42における内周縁部側に形成されている。
【0037】
収容筒部43は、上方に開口した筒状とされ、上端開口部が上記吐出孔21とされている。図示の例では、収容筒部43は、例えば容器軸O方向の長さが第2嵌合筒部40よりも長く形成されていると共に、第2ガイド筒部42よりも径が大きく、且つ第2嵌合筒部40よりも径が小さくなるように形成されている。ただし、収容筒部43の直径や容器軸O方向に沿った長さは、この場合に限定されるものではない。
【0038】
収容筒部43内には、後述する塗布部材23の第2塗布部材51が下方移動可能に収容されている。収容筒部43の内周面には、径方向内側に向かって僅かに突出すると共に、容器軸O方向に沿って縦長に形成されたガイドリブ46が周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、ガイドリブ46の上端部は収容筒部43の上端開口縁よりも下方に位置し、ガイドリブ46の下端部は第2環状壁部41に一体に連結されている。
後述する第2塗布部材51は、ガイドリブ46によって径方向外側から支持された状態で、容器軸O方向に移動可能にガイドされている。
【0039】
なお、周方向に隣り合うガイドリブ46同士の間に画成される隙間、及び収容筒部43と第2塗布部材51との間に画成される隙間のうち、ガイドリブ46よりも上方に位置する環状の隙間は、内容液が流通する液通路として機能すると共に、外部から容器本体2に外気を導入させて容器本体2内の空気置換を行う空気通路として機能する。
【0040】
塗布部材23は、第1ガイド筒部38及び第2ガイド筒部42内に下方移動可能に配設された第1塗布部材50と、第1塗布部材50の上方に配置され、収容筒部43内に下方移動可能に配設された第2塗布部材51と、を備えている。
【0041】
第1塗布部材50は、第1ガイド筒部38内に配設された円柱状の第1軸部55と、第1軸部55の上端部に連設され、第2ガイド筒部42内に配設された円柱状の第2軸部56と、第1軸部55と第2軸部56との接続部分から径方向外側に向かって突設され、弁座45に対して下方から離反可能に当接する環状の弁体57と、を備えている。
第1塗布部材50は、第1軸部55、第2軸部56及び弁体57が一体成形された樹脂製部材とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0042】
第1軸部55は、第1ガイド筒部38よりも上方に突出するように延びており、その上端部は第2ガイド筒部42付近に位置している。図示の例では、第1軸部55は第1ガイド筒部38の内径よりも僅かに径が小さく形成され、第1軸部55と第1ガイド筒部38との間には環状の隙間が画成されている。
ただし、上記隙間は必須なものではなく、例えば第1軸部55の外周面を第1ガイド筒部38の内周面に摺接させても構わない。
【0043】
第2軸部56は、第2環状壁部41よりも上方に突出するように延びており、その上端面は収容筒部43内に位置している。第2軸部56は第2ガイド筒部42の内径よりも僅かに径が小さく形成され、第2軸部56と第2ガイド筒部42との間には環状の隙間が画成されている。内容液は、この隙間を通じて連通孔20から吐出孔21に向けて供給される。
【0044】
弁体57は、上方から下方に向かうに従い漸次拡径するテーパ状に形成されている。これにより、弁体57の外周面は、径方向外側に向かうに従って漸次下方に向けて延在した傾斜面とされている。
そして弁体57は、コイルスプリング24による付勢力によって弁座45の全周に亘って外周面が下方から押し付けられ、弁座45に対して離反可能に密に当接している。これにより、弁座45及び弁体57は連通孔20と吐出孔21との間の連通を遮断している。
【0045】
なお弁体57は、
図3に示すように、中栓部材22に対する塗布部材23の下方移動に伴って弁座45から下方に離反する。これにより、先に述べたように第2軸部56及び第2ガイド筒部42の間に画成された隙間を通じて、連通孔20と吐出孔21との間を互いに連通させることが可能となる。
【0046】
従って、弁座45及び弁体57は、連通孔20と吐出孔21との間に配設されると共に、連通孔20と吐出孔21との間の連通を遮断し、且つ中栓部材22に対する塗布部材23の下方移動に伴って連通孔20と吐出孔21との間を連通させる開閉バルブ58として機能する。
【0047】
図2に示すように、弁体57の外周縁部は、第1ガイド筒部38よりも径方向外側に突出している。また、第1軸部55の外周面には、径方向外側に向けて突出したリブ片59が周方向に間隔をあけて複数形成されている。リブ片59は、弁体57よりも下方に配置され、その外縁部は弁体57の外周縁部よりも径方向内側に位置している。
【0048】
第2塗布部材51は、容器軸Oと同軸に配設された円柱状に形成され、ガイドリブ46にガイドされた状態で収容筒部43内に配設されている。第2塗布部材51の上端部51aは、収容筒部43よりも上方に突出している。
図示の例では、第2塗布部材51の上端部51aは、径方向にカット面51bが向かい合うように加工されることで、最上部に稜線部51cが配置された形状とされている。なお、稜線部51cは斜めに傾斜するように形成されている。
ただし、第2塗布部材51の上端部51aの形状はこの場合に限定されるものではなく、被塗布部Sに応じて適宜変更して構わない。
【0049】
第2塗布部材51の下端面は、第1塗布部材50における第2軸部56の上端面に対して上方から接触している。つまり、第2塗布部材51は、第1塗布部材50に対して重なった状態で収容筒部43内に配置されている。
この際、第2軸部56の上端面は第2環状壁部41よりも上方に位置しているので、第2塗布部材51と第2環状壁部41との間には、容器軸O方向に隙間H1が確保されている。従って、第2塗布部材51は、この隙間H1分(ストローク分)だけ下方移動可能とされ、
図3に示すように、第2塗布部材51の下端面が第2環状壁部41に上方から接触した時点で、それ以上の第2塗布部材51の下方移動が規制される。
【0050】
なお、
図2に示すように、収容筒部43に対する第2塗布部材51の上端部51aの上方への突出量H2は、上記隙間H1よりも大きい。そのため、第2塗布部材51の下方移動が規制された場合であっても、第2塗布部材51の上端部51aは、収容筒部43よりも上方に突出した状態を維持している。
上述した第2環状壁部41は、中栓部材22と塗布部材23との間に配設され、塗布部材23の上端部51aを吐出孔21の外部に突出させた状態で、下方に向けた塗布部材23の所定量を超える移動を規制する規制部材として機能する。
【0051】
本実施形態では、第1塗布部材50が樹脂製であるのに対して、第2塗布部材51は内容液を含浸可能な含浸材で形成されている。
含浸材としては、例えばスポンジ等の多孔質材料や、合成繊維が樹脂溶液によって固化され、毛細管現象を利用して内容液を含浸させることが可能な繊維体等が挙げられる。ただし、これらの場合に限定されるものではなく、内容液を含浸できれば良い。
【0052】
上述した繊維体を含浸材として採用する場合には、例えば数μ〜数十μの繊維径を有する合成繊維(例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維やアクリル繊維等)を複数束ねた状態で、樹脂溶液を利用して束状の合成繊維を固化させれば良い。その際、気孔率(固体部分である合成繊維と気孔(空隙)との容積比率或いは体積比率)が例えば40%〜80%程度の範囲内に収まるように合成繊維の密度を調整すれば良い。これにより、毛細管現象を利用して内容液を適切に含浸させることが可能となる。なお、上記樹脂溶液としては例えばポリウレタン樹脂を溶液化したものを利用できる。
【0053】
コイルスプリング24は、第1中栓部材30の第1環状壁部37と、第1塗布部材50の弁体57と、の間に圧縮された状態で配設されている。
コイルスプリング24は、下端部側が第1ガイド筒部38に外嵌された状態で、第1環状壁部37によって下方から支持されている。従って、コイルスプリング24は、第1中栓部材30に対する相対的な位置ずれが防止された状態で第1中栓部材30に対して組み合わされている。
コイルスプリング24の上端部側は、複数のリブ片59に外嵌されている。従って、コイルスプリング24は、第1塗布部材50に対しても相対的な位置ずれが防止された状態で第1塗布部材50に対して組み合わされている。
【0054】
そして、コイルスプリング24の上端部は、第1塗布部材50における弁体57の外周縁部に対して下方から接触している。これにより、コイルスプリング24は、弁体57を介して中栓部材22の全体を上方に向けて付勢している。
【0055】
図1に示すように、オーバーキャップ4は、容器本体2の口部10及び塗布栓3を径方向外側から囲繞するキャップ筒60と、キャップ筒60の上端開口部を塞ぐキャップ天壁61と、を備えた有頂筒状に形成されている。
【0056】
キャップ筒60のうち、容器本体2の口部10を囲む部分の内周面には、第1ねじ部11に螺着される第2ねじ部62が形成されている。オーバーキャップ4は、第1ねじ部11に対する第2ねじ部62の螺着によって、容器本体2の口部10に離脱自在に装着されている。
ただし、オーバーキャップ4の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば容器本体2の口部10に対してアンダーカット嵌合させることにより装着しても構わない。
【0057】
キャップ天壁61には、下方に向けて延びると共に、収容筒部43の外周面に対して離脱可能に嵌合するサポート筒部63が形成されている。サポート筒部63を収容筒部43に嵌合させた状態でオーバーキャップ4を容器軸O回りに回転させることができるので、容器本体2の口部10に対するオーバーキャップ4の装着及び取り外し操作を安定して行える。
【0058】
(塗布容器の使用)
次に、上述のように構成された塗布栓3を具備する塗布容器1を利用して、被塗布部Sに内容液を塗布する場合について説明する。
【0059】
はじめに、商品流通時や未使用時の段階では、
図1及び
図2に示すように、コイルスプリング24によって塗布部材23が上方に付勢されているので、弁体57が弁座45に対して下方から押し付けられた状態で密に当接している。これにより、開閉バルブ58が閉弁した状態となるので、連通孔20と吐出孔21との間の連通を遮断することができ、高いシール性を確保することができる。従って、意図せずに吐出孔21から内容液が漏出することを効果的に防止することができる。
【0060】
特に、揮発性の内容液の場合には、例えば容器本体2を把持した際の手の熱による温度上昇に起因して内容物が気化し、この気化による容器本体2の内圧上昇によって吐出孔21から漏れ出し易い傾向にある。或いは、冷蔵庫等の冷暗所で保管されている容器本体2を取り出した際における温度上昇に起因して内容物が気化し、この気化による容器本体2の内圧上昇によって、吐出孔21から漏れ出し易い傾向にある。
しかしながら、本実施形態の塗布容器1によれば、連通孔20と吐出孔21との間の連通を遮断して高いシール性を確保できるので、揮発性を有する内容液の場合であっても、漏出を効果的に抑制することができる。
【0061】
内容液を塗布する場合には、オーバーキャップ4を容器本体2の口部10から取り外した後、
図4に示すように、コイルスプリング24の付勢力(ばね力)に抗して塗布部材23の上端部51aを被塗布部Sに押し付ける。
なお、
図4では指先の爪を被塗布部Sとしている場合を例に挙げている。この場合の内容液としては、爪水虫用の水虫薬を利用できる。なお、水虫薬は揮発性を有する場合があるが、上述したように本実施形態の塗布容器1は、揮発性を有する内容液の場合であっても漏出を効果的に抑制できるので、水虫薬を塗布する塗布容器として好適に利用できる。
【0062】
被塗布部Sに塗布部材23を押し付けることで、塗布部材23の全体を連通孔20側に向けて移動させることができ、弁体57を弁座45から連通孔20側に離反させて開閉バルブ58を開弁させることができる。これにより、連通孔20と吐出孔21との間を連通させることができるので、容器本体2内の内容液を、連通孔20、第2ガイド筒部42と第2軸部56との隙間、収容筒部43内を通じて吐出孔21に供給することができる。
従って、吐出孔21から吐出した内容液を、塗布部材23を介して被塗布部Sに塗布することができる。
【0063】
その後、被塗布部Sに対する塗布部材23の押し付けを解除することで、コイルスプリング24の付勢力によって塗布部材23が移動して元の位置に復帰するので、弁体57が弁座45に対して押し付けられて密に当接する。そのため、開閉バルブ58を閉弁させて、連通孔20と吐出孔21との間の連通を再度遮断することができる。
従って、一度吐出した量の内容液を被塗布部Sに対して、例えば塗り広げるように塗布することができる。また、必要に応じて被塗布部Sに対する塗布部材23の押し付けを繰り返すことで、内容液を吐出孔21から適宜吐出させながら塗布を行うことができる。そのため、被塗布部Sに応じて、適切な量の内容液を調整しながら塗布することができ、使い易く、利便性を向上することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、高いシール性を確保することができ、内容液の漏出を効果的に抑制することができる。
特に、第2ガイド筒部42の下端開口縁に形成された弁座45に対してテーパ状の弁体57を下方から押し付けて当接させているので、弁座45の全周に亘って弁体57の外周面を均等に当接させることができるうえ、強く押し当てた状態で当接させることができる。従って、シール性を向上させることができる。
しかも、金属製のコイルスプリング24を利用しているので、例えば樹脂製スプリングと比べて高いばね力を確保できるので、小型化を図りながら高いシール性を確保し易い。
【0065】
また、内容液を塗布する際、第1ガイド筒部38及び第2ガイド筒部42を利用して第1塗布部材50をガイドできると共に、ガイドリブ46を利用して第2塗布部材51をガイドできるので、がたつき少なく塗布部材23の全体を被塗布部Sに対して押し付けることができるので、安定した塗布を行える。
【0066】
また、第2塗布部材51が含浸材で形成されているので、第2塗布部材51に含浸させた内容液を被塗布部Sに塗布することができる。これにより、被塗布部Sの所望する領域に、内容液を第2塗布部材51から染み出させながら塗布することができる。従って、例えば被塗布部S上に内容液が直ちに広がり出ることを抑制することができ、被塗布部Sの所望する領域に精度良く内容液を塗布することができるうえ、内容液の塗布量を容易に調整し易い。
【0067】
また、被塗布部Sに塗布部材23を押し付けた際、
図4に示すように、第2塗布部材51が第2環状壁部41に接触するので、塗布部材23の全体がそれ以上、連通孔20側に移動することが規制される。そのため、塗布部材23の全体が収容筒部43内に入り込んで収容されてしまうことを防止できる。従って、第2塗布部材51の上端部51aを被塗布部Sに対して常に押し付けながら内容液を塗布することができ、内容液を安定して塗布することができる。
それに加え、被塗布部Sに対して塗布部材23を強く押し付けながら内容液の塗布を行うことができるので、例えば被塗布部Sに対して刺激を与えながら内容液を塗布することができ、快適で心地よい塗布を行うこともできる。
【0068】
なお、先に述べたように、周方向に隣り合うガイドリブ46同士の間に画成される隙間、及び収容筒部43と第2塗布部材51との間に画成される隙間のうち、ガイドリブ46よりも上方に位置する環状の隙間は、空気通路として機能するので、被塗布部Sに対する内容液の塗布時、容器本体2内の空気置換を適切に行える。従って、内容液を安定且つスムーズに吐出させることができ、安定した塗布を行える。
【0069】
さらに、周方向に隣り合うガイドリブ46同士の間に画成される隙間、及び収容筒部43と第2塗布部材51との間に画成される隙間のうち、ガイドリブ46よりも上方に位置する環状の隙間は、内容液が流通する液通路としても機能するので、この液通路を調整することで、内容液が流通し難い通路とすることができる。
例えば、収容筒部43の内径及び第2塗布部材51の外径を互いに近づけるようにサイズ調整することで、両者の間に画成される液通路を狭くでき、内容液を流通させ難くすることができる。これにより、水虫薬等の揮発し易い内容液であっても、意図せずに吐出孔21から外部に噴き出すように吐出することを効果的に抑制することができる。
しかも、本実施形態のように、第2塗布部材51が含浸材で形成されている場合には、使用時に内容液を第2塗布部材51に積極的に含浸させるように、内容液の流れをコントロールすることができる。従って、内容液の全てを第2塗布部材51から染み出すようにすることができる。これにより、塗布容器1の使用可能時間を延ばすことができるうえ、被塗布部Sの所望する領域に、確実且つ所望の塗布量で塗布を行い易い。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る塗布栓の第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0071】
図5に示すように、本実施形態の塗布容器70は、樹脂製の板ばね(付勢部材)72を具備する塗布栓71を備えている。
【0072】
本実施形態の塗布栓71は、中栓部材22が2部品で構成されているのではなく、第2中栓部材31のみで構成されている。
第2中栓部材31の第2嵌合筒部40は、容器本体2の口部10の内側に密に嵌合されている。第2中栓部材31の鍔部44は、容器本体2の口部10の上端開口縁上に配置されている。従って、中栓部材22は、容器軸O方向に位置決めされた状態で容器本体2の口部10に装着されている。なお、本実施形態では、第2嵌合筒部40における下端開口部が連通孔20として機能する。
【0073】
第2嵌合筒部40の内側には、支持筒部75が下方から密に嵌合されている。支持筒部75の下端部には、径方向外側に向けて突出した環状の鍔部76が形成されている。鍔部76は、第2嵌合筒部40の下端開口縁に対して下方から接触している。これにより、支持筒部75は、容器軸O方向に位置決めされた状態で第2嵌合筒部40に対して組み合わされている。
なお、支持筒部75の上端部は、第2嵌合筒部40における容器軸O方向の中間部分に位置している。
【0074】
本実施形態の第1塗布部材50は、第2軸部56及び弁体57で構成されている。そして、弁体57と上記支持筒部75とは、上記板ばね72を介して連結されている。
板ばね72は、周方向に間隔をあけて複数形成され、上端部が弁体57の外周縁部に連結され、下端部が支持筒部75の上端部に連結されている。これにより、板ばね72は、支持筒部75によって下方から支持された状態で弁体57を介して塗布部材23の全体を上方に向けて付勢している。
【0075】
なお、支持筒部75、板ばね72及び第1塗布部材50は、一体成形された樹脂製部材とされている。また、板ばね72は、中栓部材22に対して塗布部材23が下方移動した際、容器軸O方向の中間部分が径方向に撓むように弾性変形する。
【0076】
(塗布容器の作用)
このように構成された塗布容器70であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、第1実施形態とは異なり、支持筒部75、板ばね72及び第1塗布部材50を一体成形して一部品で構成していると共に、第1実施形態における第1中栓部材30を必要としないので、部品点数を減らすことができ、構成の簡略化及び部品コストの低減化を図ることができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る塗布栓の第3実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0078】
図6に示すように、本実施形態の塗布容器80は、第2実施形態と同様に樹脂製の板ばね(付勢部材)82を具備する塗布栓81を備えている。
【0079】
本実施形態の塗布栓81を構成する第1中栓部材30は、第1環状壁部37の内側に容器軸Oと同軸に配設され、上方に向けて膨らんだ膨出部85を備えている。
膨出部85は、外周縁部が第1環状壁部37の内周縁部に全周に亘って接続され、第1環状壁部37との接続部分から径方向内側に向かうに従って漸次上方に向けて延びるように膨らんでいる。従って、膨出部85の外周面は、膨出部85の中央部(頂上部)から外周縁部に向かうに従って漸次下方に向けて延びる傾斜面とされている。なお、膨出部85の中央部には、連通孔20がさらに形成されている。
【0080】
本実施形態の第1塗布部材50は、第2軸部56及び弁体57で構成されている。
弁体57の外周縁部には、上記板ばね82が下方に向けて延びるように一体に形成されている。板ばね82は、周方向に間隔をあけて複数形成され、その下端部は膨出部85の外周面に摺接している。これにより、板ばね82は、膨出部85によって下方から支持された状態で弁体57を介して塗布部材23の全体を上方に向けて付勢している。
なお、板ばね82は、中栓部材22に対して塗布部材23が下方移動した際、下端部が膨出部85の外周面上を滑るように下方移動しながら径方向外側に拡がる。これにより、板ばね82は撓むように弾性変形する。
【0081】
(塗布容器の作用)
このように構成された塗布容器80であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、第2実施形態と同様に、板ばね82及び第1塗布部材50を一体成形しているので、部品点数を減らすことができ、構成の簡略化及び部品コストの低減化を図ることができる。
【0082】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、第2ガイド筒部42の下端開口縁に形成された弁座45に対して、テーパ状に形成された弁体57を連通孔20側から離反可能に当接させたが、弁体57の形状はテーパ状に限定されるものではない。例えば面同士が当接し合うように、弁座45及び弁体57を構成しても構わない。
【0084】
また、上記実施形態では、塗布部材23を樹脂製の第1塗布部材50、及び含浸材からなる第2塗布部材51の2部品で構成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば1部品で塗布部材23を構成しても構わない。
【0085】
例えば、
図7に示すように、第3実施形態における第1塗布部材50の第2軸部56を、さらに上方に向けて延在させ、収容筒部43よりも上方に突出するように塗布栓91を構成した塗布容器90としても構わない。
この場合には、第1塗布部材50で塗布部材23を構成することができるので、部品点数の削減及び部品コストの低減化を図ることができる。なお、この場合であっても、吐出孔21から吐出された内容液を、収容筒部43の上方に突出した第2軸部56の上端部56a(塗布部材の先端部)を介して、被塗布部Sに塗布することができる。
【0086】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。