(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の生育情報管理装置である例えば、生育センサ装置10を搭載するトラクタ1の主な構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、トラクタ1に搭載する生育センサ装置10は、GPS装置12を有している。
このGPS装置12は、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System、全地球測位システム)を利用することで、当該トラクタ1の位置情報(緯度、経度情報)を取得することができる装置である。
また、生育センサ装置10は、「レーザ発光装置13」及び「レーザ受光部14」を有している。
【0022】
これら「レーザ発光装置13」及び「レーザ受光部14」等の機能等については、
図2を用いて説明する。
図2は、トラクタ1に搭載されている生育センサ装置10のレーザ発光装置13のレーザ光が植物Pに照射され、その反射光がレーザ受光部14で受光されている状態を示す概略図である。
【0023】
図1に示すレーザ発光装置13は、異なる波長を有する「第1の測定光」と「第2の測定光」を有し、第1測定光としては、例えば、赤の波長帯域の光であり、第2の測定光としては、例えば、赤外の波長帯域の光である。
これら第1の測定光と第2の測定光は、
図2に示すように、同一の植物Pに対し照射される。
そして、この反射光を
図1のレーザ受光部14が受光し、それらの反射率を取得することで、当該植物Pの生育状態、具体的には、植物Pに含まれる栄養素の量を把握することができる構成となっている。
この栄養素の量は、植物の生育情報である測定生育情報である例えば、正規化差植生指数(以下「植生指数」という。)(NDVI)情報であるが、この植生指数情報については後述する。
【0024】
なお、本実施の形態では、植物の生育情報をレーザ光で測定したが、本発明はこれに限らず、衛星写真、生育状況を測定できるセンサを搭載したドローン、もしくは作業員が現地で手作業にて生育情報を取得しても構わない。
【0025】
また、
図1の生育センサ装置10は、他に時刻情報を生成する「時計15」,各種情報を表示する表示部である例えば、「ディスプレイ16」、そして、各種情報を入力する各種情報入力装置17等も有している。
そして、生育センサ装置10は、これらGPS装置12等を制御する「生育センサ装置制御部11」を有している。
【0026】
生育センサ装置制御部11は、
図1に示す「第1の各種情報記憶部20」、「第2の各種情報記憶部30」、「第3の各種情報記憶部40」及び「第4の各種情報記憶部50」も制御する。
図3乃至
図7は、それぞれ「第1の各種情報記憶部20」、「第2の各種情報記憶部30」、「第3の各種情報記憶部40」、「第4の各種情報記憶部50」及び「第5の各種情報記憶部60」の主な構成を示す概略ブロック図である。これらの記憶部20等の内容については後述する。
【0027】
また、
図1の生育センサ装置10は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バス等を介して接続されている。
【0028】
本実施の形態では、例えば、北海道A町にB道路を挟んで両側に、例えば植物Pの畑である圃場(圃場Xと圃場Y)を有している利用者が、自己の
図2に示すトラクタ1で、圃場Xと圃場Yを走行し、植物Pの生育状況の情報を取得する例を用いて、以下説明する。
【0029】
利用者が、圃場Xと圃場Yで、
図2に示すように、トラクタ1を走行させると共に
図1の生育センサ装置10を動作させる。
すると、生育センサ装置10のレーザ発光装置13が2つの波長の異なるレーザ光(第1の測定光(赤)と第2の測定光(赤外))を同一の地点の植物Pに照射すると共に、レーザ受光部14それぞれの反射光を取得し、反射率(赤のレーザの反射率(R)、赤外のレーザの反射率(IR))を
図3の「反射率記憶部21」に記憶する。
【0030】
次いで、
図3の「植生指数生成情報生成処理部(プログラム)22」が動作し、
図3の「反射率記憶部21」と「植生指数計算式記憶部23」のデータを参照する。
この「植生指数計算式記憶部23」には、例えば、「植生指数(NDVI=(IR―R)/(IR+R))が記憶されている。
なお、この植生指数は、植物P等の栄養素の量等を示すものである。
したがって、「植生指数生成情報生成処理部(プログラム)22」が動作し、上記の計算式に、上記の反射率を代入することで、植生指数を得ることができる。
本実施の形態では、植物の生育指数を求める方法として植生指数を挙げたが、植物の生育状況を示すものであれば、他の手法でも構わない。
【0031】
また、「植生指数生成情報生成処理部(プログラム)22」は、この求められた「植生指数」情報に、
図1のGPS装置12から得た当該測定地点の位置情報(緯度、経度)と、時計15から取得した当該測定の時刻情報を関連付けて、
図3の「植生指数情報記憶部24」に記憶される。
【0032】
したがって、この植生指数情報記憶部24に記憶される植生指数情報は、その測定の年月日(例えば、2015年12月20日)、時刻(12:00)、緯度及び経度の位置情報と共に、栄養素の量である「植生指数」に情報が相互に関連付けられて記憶されることになる。
【0033】
この植生指数情報の取得が、圃場Xと圃場Yで実施されることで、植生指数情報記憶部24は、圃場Xと圃場Yの植生指数情報を分けることなく、まとめて記憶する。
【0034】
次いで、このようにして取得した
図3の「植生指数情報」から、圃場Xと圃場Yとを分け、利用者が見やすい情報に加工する工程を、
図8乃至
図10のフローチャートを用いて以下説明する。
【0035】
図8乃至
図10は、生育状況をディスプレイ16に表示等する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、
図8のステップ(以下「ST」という。)1で、利用者が
図1の各種情報入力装置17を操作し、ディスプレイ16に、自己の圃場Xと圃場Yを表示するように要求する。
【0036】
すると、ST2へ進む。ST2では、
図4の「第1次生育データ表示情報生成処理部(プログラム)31」が動作し、
図3の「地図情報記憶部25」、「植生指数情報記憶部24」及び「表示記号記憶部26」を参照する。
そして、「植生指数情報」が存在する地図情報の地点に、表示記号である丸印を付し、「第1次生育データ表示情報」として
図4の「第1次生育データ表示情報記憶部32」に記憶する。
【0037】
図11は、圃場Xの植生指数情報に基づいて、情報が存在する地図情報の地点に丸印を付した「第1次生育データ表示情報」を示す概略説明図である。
図11に示すように、圃場Xでトラクタ1が走行し、植生指数情報を取得した地点には丸印が付されることになる。
【0038】
次いで、ST3へ進む。ST3では、
図4の「グリッド付き第1次生育データ表示情報生成処理部(プログラム)33」が動作し、
図4の「グリッド情報記憶部34」と「第1次生育データ表示情報記憶部32」を参照する。
ここで「グリッド情報記憶部34」には、区画である例えば、格子上のグリッド情報が記憶されている。
そして、第1次生育データ表示情報に、このグリッド情報を組み合わせて「グリッド付き第1次生育データ表示情報」を生成し、
図4の「グリッド付き第1次生育データ表示情報記憶部35」に記憶される。
【0039】
図12は、
図11の圃場Xにグリッド情報を組み合わせた「グリッド付き第1次生育データ表示情報」を示す概略説明図である。
図12で示すように、各グリッドGが「第1次生育データ表示情報(丸印)」と組み合わされて記憶され、グリッド付き第1次生育データ表示情報が生成されることになる。
【0040】
次いで、ST4へ進む。ST4では、
図4の「グリッド付き第1次生育データ表示情報記憶部35」を参照し、各グリッドに「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在するか否かを判断する。
例えば、
図12のグリッドG1は、図示されているように、グリッドG1内に「第1次生育データ表示情報(丸印)」が複数存在する。
したがって、この場合は、ST5で、各グリッドに「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在すると判断し、ST6へ進む。
【0041】
ST6では、
図4の「グリッド単位植生指数情報生成処理部(プログラム)36」が動作し、「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在するグリッド全てにつき、各グリッドに存在する「第1次生育データ表示情報(丸印)」に対応する
図3の「植生指数情報記憶部24」の「植生指数情報(例えば、43.1等)」を抽出し、グリッド毎に平均化処理する。
【0042】
すなわち、
図12の全グリッドのうち、「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在する全てのグリッド内の「植生指数情報(例えば、43.1等)」が平均処理される。
そして、平均化された情報を「グリッド単位植生指数情報」として
図5の「グリッド単位植生指数情報記憶部41」に記憶される。
【0043】
次いで、ST7へ進む。また、
図12のグリッドG2のように、グリッドG2内に「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在しない場合で、ST5で、各グリッドに「第1次生育データ表示情報(丸印)」が存在しない判断されたときは、ST7へ進む。
【0044】
ST7では、
図5の「推定グリッド単位植生指数情報生成処置部(プログラム)42」が動作し、
図5の「グリッド単位植生指数情報記憶部41」を参照し、当該存在しないグリッドの周囲の一定の範囲内のグリッドに関する「グリッド単位植生指数情報」を抽出する。
【0045】
そして、当該第1次生育データ表示情報(丸印)が存在しないグリッドに近いグリッドの情報により重みを付ける「逆距離加重法(IDW(Inverse distance weighting))」で、当該グリッド、例えば、
図12のグリッドG2の平均化された「植生指数」を推定する。
【0046】
すなわち、逆距離加重法は、距離の逆数を重みとした加重平均で値を求め、値が存在しないグリッドの平均値を推定して補間する方法である。
このようにして、第1次生育データ表示情報(丸印)が存在しない(例えば、
図12のグリッドG2等)の「グリッド単位植生指数情報」を推定し、「推定グリッド単位植生指数情報」を生成し、
図5の「推定グリッド単位植生指数情報記憶部43」に記憶する。
【0047】
次いで、ST8へ進む。ST8では、
図5の「生育状況表示情報処理部(プログラム)44」が動作し、
図5の「生育状況基礎表示情報記憶部45」、「グリッド単位植生指数情報記憶部41」、「推定グリッド単位植生指数情報記憶部43」および
図3の「地図情報記憶部25」を参照する。
【0048】
ここで、生育状況基礎表示情報記憶部45には、生育程度情報である例えば、生育状況基礎表示情報、例えば、グリッド内の平均化した値によって「良好」「普通」「不良」と分け、それぞれの表示を、「3本ハッチング」、「1本ハッチング」「ハッチングなし」と表示すべき情報が記憶されている。
【0049】
そして、本工程では、これら「生育状況基礎表示情報記憶部45」、「グリッド単位植生指数情報記憶部41」、「推定グリッド単位植生指数情報記憶部43」および「地図情報記憶部25」の情報に基づいて、「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」を「生育状況基礎表示情報(良(3本ハッチング)、普通(1本ハッチング)、不良(ハッチングなし)」と関連付けると共に、地図情報と関連付けて「生育状況表示情報」を生成し、
図6の「生育状況表示情報記憶部51」に記憶する。
【0050】
すなわち、グリッド内の平均化した値(グリッド単位植生指数情報)と推定した値(推定グリッド単位植生指数情報)が、それぞれ、良、普通、不良のいずれの値に該当するか否かを判断し、該当する良、普通、又は不良のそれぞれの表示(3本ハッチング、1本ハッチング、ハッチングなし)を「生育状況表示情報」として、「生育状況表示情報記憶部51」に記憶する。
【0051】
図13は,
図12の圃場Xのグリッド毎の値に「生育情報表示情報」を付した情報を示す概略説明図である。
図13に示すように、圃場XのグリッドG毎に植物の栄養素が良の部分は3本ハッチング、普通の部分は1本ハッチング、不良の部分はハッチングなしで示されている。
【0052】
次いで、ST9へ進む。ST9では、
図6の「独立圃場情報処理部(プログラム)52」が動作し、「生育状況表示情報記憶部51」の生育状況表示情報を参照し、圃場の境界線を特定する。
すなわち、
図13の圃場Xの場合は、グリッドの外形線を境界線Rとする。そして、境界線R内の領域を独立圃場(独立圃場情報の一例)としてラベリング(例えば、「1」)して
図6の「独立圃場情報記憶部53」に記憶する。
【0053】
このように、生育センサ装置10が自動的に各圃場を分けて「植生指数情報」を管理するので、利用者が、圃場Xと圃場Yという複数の圃場を有している場合、利用者がそれぞれのデータを分けて管理する必要がなく、使い易い装置となっている。
また、生育センサ装置10が自動的に圃場毎の生育状況に関する表示である生育情報表示(良、普通、不良)を付する構成となっているので、利用者は、容易に圃場毎の情報を分離して管理することができると共に、圃場毎の施肥料計画を容易に作成することもできる。
【0054】
また、本実施の形態では、生育情報表示(良、普通、不良)を点ではなく、所定の面積を有する面情報であるグリッド毎の情報として、利用者に示すことができる。このため、利用者にとって利用し易い情報となる。
【0055】
また、植生指数情報が存在しないグリッドがあっても生育情報表示(良、普通、不良)を推定することができる。したがって、利用者にとって施肥料計画を立案し易い構成ともなっている。
【0056】
次いで、ST10へ進む。ST10では、
図6の「独立圃場情報記憶部53」を参照し、地図情報と共に、独立圃場情報等をディスプレイ16に表示する。
図14は、ディスプレイ16に表示された利用者の圃場X(1)と圃場Y(2)がB道路を挟んで、別個の独立の圃場として表示された状態を示す概略図である。
このように本実施の形態では、複数の圃場Xと圃場Yの「植生指数情報」が圃場毎に分けてファイル等に格納させていなくても、生育センサ装置10により、自動的に分離して表示されることになる。したがって、利用者にとって使い易い装置となっている。
【0057】
また、
図14の画面では、圃場毎にラベリングされているため、例えば、圃場Xが「1」、圃場Yが「2」と番号が付されている。
【0058】
また、同工程では、ディスプレイ16上で、利用者に圃場又は圃場領域を自動選択又は任意選択するか否かの選択画面も表示される。
【0059】
次いで、ST11で圃場の自動選択を選択した場合は、ST12へ進む。ST12では、利用者が画面をクリックして選択した圃場(例えば、「1」である圃場X)を、選択された選択圃場として、
図6の「選択圃場記憶部54」に記憶する。
【0060】
すなわち、例えば、利用者が「1」である圃場Xを選択したときは、圃場X全体を選択したものと判断し、圃場X全体を「選択圃場記憶部54」に記憶する。
【0061】
次いで、ST13へ進む。ST13では、
図6の「グリッド単位植生指数平均情報生成処理部(プログラム)55」が動作し、「グリッド単位植生指数情報記憶部41」と「推定グリッド単位植生指数情報記憶部43」を参照し、「選択圃場記憶部54」の選択圃場(例えば、「1」である圃場X)内に存在するすべてグリッドの「グリッド単位植生指数情報」及び「推定グリッド単位植生指数情報」の平均値である「グリッド単位植生指数平均情報」を求め「グリッド単位植生指数平均情報記憶部56」に記憶する。すなわち、「グリッド単位植生指数平均情報」は、過去分を含めた圃場Xのすべてのグリッドの植生指数の平均情報である。
【0062】
次いで、ST14へ進む。ST14では、「標準化グリッド単位植生指数情報生成処理部(プログラム)57」動作し、「グリッド単位植生指数情報記憶部41」と「推定グリッド単位植生指数情報記憶部43」の例えば、現在の各グリッドの「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」を上述の「グリッド単位植生指数平均情報」で除算し、各グリッドの「標準化グリッド単位植生指数情報」を求め、「標準化グリッド単位植生指数情報記憶部58」に記憶する。
すなわち、「標準化グリッド単位植生指数情報」は、圃場Xについての現在のグリッドの植生指数情報と、すべての年の全グリッドの植生指数情報の平均と比較した「標準化情報」となる。
【0063】
この処理を圃場Xの各グリッドに対応する過去の各年における「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」に対しても実行する。
この処理を行うことで、過去の異なる時期に測定された生育指数であっても、圃場内の相対値として比較することができる。
【0064】
次いで、ST15へ進む。ST15では、「統計化グリッド単位植生指数情報処理部(プログラム)59」が動作し、「選択圃場記憶部54」の選択圃場(例えば、「1」である圃場X)の各グリッドに対応する「標準化グリッド単位植生指数情報記憶部58」の現在と過去の「標準化グリッド単位植生指数」を取得して、現在の「標準化グリッド単位植生指数」と過去の「標準化グリッド単位植生指数」をグリッド毎に平均し、この情報を「統計化生育情報」である例えば、「統計化グリッド単位植生指数情報」として、
図7の「統計化グリッド単位植生指数情報記憶部61」に記憶する。
【0065】
したがって、本工程では、圃場Xのグリッド単位植生指数情報を現在だけでなく、所定期間内の過去の情報も取得でき、これらを平均化し、統計化情報とすることで、より精度の高い情報とすることができる。
このため、利用者が施肥料計画を策定するに際し、精度の高い参考情報となる。
【0066】
そして、このように精度の高い情報である「統計化グリッド単位差植生指数情報」が、上述のように、
図6の「統計化グリッド単位植生指数情報記憶部61」に記憶する。
この「統計化グリッド単位植生指数情報」が,統計生育情報の一例である。
【0067】
また、この工程では「生育状況基準表示情報記憶部45」の「生育状況基準表示情報」を参照し、「統計化グリッド単位植生指数情報」を「生育状況基準表示情報」と関連付け「統計化生育状況表示情報記憶部62」に記憶される。
すなわち、「統計化グリッド単位植生指数情報」のグリッド毎に良、普通、不良の表示が関連付けられた状態で「統計化生育状況表示情報記憶部62」に記憶される。
【0068】
次いで、ST16へ進む。ST16では、利用者の統計化情報の求めに応じて、「統計化生育状況表示情報記憶部62」の情報をディスプレイ16に表示する。
すなわち、利用者が、圃場Xの施肥料計画を立案するために、現在のデータだけではなく、過去のデータも含めた「統計化情報」を入手したいときは、
図1の各種情報入力装置17を操作し、ディスプレイ16にかかるデータ(統計化生育状況表示情報)を表示すべき旨を入力する。
【0069】
図15は、ディスプレイ16に表示された圃場Xの「統計化生育状況表示情報」を示す概略説明図である。
図15では、選択された圃場Xは「Field_1」として示されると共に、各グリッドの良、普通、不良の生育状況が、それぞれ「3本ハッチング」、「1本ハッチング」及び「ハッチングなし」として表示される。
このため、かかるディスプレイ16を視認した利用者は、過去のデータを含めた統計化情報における生育状況を容易かつ明確に把握することができ、今後の施肥料計画を容易に行うことができる。
【0070】
一方、ST11で「自動選択」を選択しないときは、ST17へ進む。ST17で、「圃場領域の任意選択を選択」すると、ST18に進む。
ST18では、ディスプレイ16上で、圃場領域の範囲の入力が求められる。
【0071】
図16は、利用者が圃場領域の範囲の入力を行った状態を示す概略説明図である。
図16では、利用者が(a)(b)(c)及び(d)の4点で、任意の領域である例えば、圃場領域「Field_2」を特定している。
【0072】
次いで、ST19へ進む。ST19では、入力された範囲(Field_2)に対応するグリッドを選択グリッドとして、
図7の「選択グリッド記憶部63」に記憶させる。
すなわち、入力された範囲である「Field_2」内で圃場としてグリッドが存在する部分、
図16の場合は、独立圃場である「圃場Y」のグリッドの部分を
図7の「選択グリッド記憶部63」に記憶させる。
【0073】
したがって、利用者が
図16に示すように、たとえ、圃場と関係ない部分を含めて範囲を入力したとしても、本実施の形態では、自動的に対象範囲を圃場のグリッド部分とする。このため、利用者は範囲指定の操作が容易となる。
【0074】
次いで、ST20へ進む。ST20では、
図7の「選択グリッド単位植生指数平均情報生成処理部(プログラム)64」が動作し、
図5の「グリッド単位植生指数情報記憶部41」と「推定グリッド単位植生指数情報記憶部42」を参照し、「選択グリッド記憶部63」の選択グリッドと同じグリッドのすべての「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」の平均値である「選択グリッド単位植生指数平均情報」を求め「選択グリッド単位植生指数平均情報記憶部65」に記憶する。
すなわち、「選択グリッド単位植生指数平均情報」は、過去分を含めた選択グリッドのすべてのグリッドの植生指数の平均情報である。
【0075】
次いで、ST21へ進む。ST21では、「標準化選択グリッド単位植生指数情報生成処理部(プログラム)66」が動作し、「グリッド単位植生指数情報記憶部41」と「推定グリッド単位植生指数情報記憶部42」の現在の選択グリッドの「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」を、上述の「選択グリッド単位植生指数平均情報」で除算し、各選択グリッドの「標準化選択グリッド単位植生指数情報」を求め、「標準化選択グリッド単位植生指数情報記憶部67」を記憶する。
【0076】
すなわち、「標準化選択グリッド単位植生指数情報」は、選択された選択グリッドについての現在の選択グリッドの植生指数情報と、すべての年の選択グリッドの植生指数情報の平均と比較した「標準化情報」となる。
【0077】
この処理を選択グリッドに対応する過去の各年における「グリッド単位植生指数情報」と「推定グリッド単位植生指数情報」に対しても実行する。
この処理を行うことで、過去の異なる時期に測定された生育指数であっても、選択グリッド圃場内の相対値として比較することができる。
【0078】
次いで、ST22へ進む。ST22では、「統計化選択グリッド単位植生指数情報処理部(プログラム)68」が動作し、「選択グリッド記憶部63」の選択グリッドに対応する「標準化選択グリッド単位植生指数情報記憶部67」の現在と過去の「標準化グリッド単位植生指数」を取得して、現在の「標準化グリッド単位植生指数」と過去の「標準化グリッド単位植生指数」をグリッド毎に平均し、この情報を「統計化生育情報」である例えば、「統計化選択グリッド単位植生指数情報」として、「統計化選択グリッド単位植生指数情報記憶部69」に記憶する。
【0079】
また、この工程では「生育状況基準表示情報記憶部45」の「生育状況基準表示情報」を参照し、「統計化選択グリッド単位植生指数情報」を「生育状況基準表示情報」と関連付け「統計化選択生育状況表示情報記憶部70」に記憶される。
すなわち、「統計化選択グリッド単位植生指数情報」のグリッド毎に良、普通、不良の表示が関連付けられた状態で「統計化選択生育状況表示情報記憶部70」に記憶される。
【0080】
したがって、利用者が施肥料計画を策定するに際し、精度の高い参考情報となる。
また、本工程では、利用者は自己が必要とする任意の範囲を選択できるので、圃場全体の情報が必要でない場合、必要な部分の情報を取得することができる。
【0081】
次いで、ST19へ進む。ST23では、利用者の標準化情報の求めに応じて、「統計化選択生育状況表示情報記憶部70」の情報をディスプレイ16に表示する。
すなわち、利用者が、圃場Yの施肥料計画を立案するために、現在のデータだけではなく、過去のデータも含めた「標準化情報」を入手したいときは、
図1の各種情報入力装置17を操作し、ディスプレイ16にかかるデータ(統計化選択生育状況表示情報)を表示すべき旨を入力する。
【0082】
すると、
図16で選択された圃場Yは「Field_2」で選択された圃場Yの各グリッドの良、普通、不良の生育状況が、それぞれ「3本ハッチング」、「1本ハッチング」及び「ハッチングなし」として表示される。
このため、かかるディスプレイ16を視認した利用者は、過去のデータを含めた標準化情報における生育状況を容易かつ明確に把握することができ、今後の施肥料計画を容易に行うことができる。
また、利用者は、圃場全体でなく、圃場の一部についての情報を得たいときでも、任意の範囲を指定できるので、使い易い装置となっている。
【0083】
また、本発明では、利用者の圃場等の位置情報及び植物の生育状況等を利用者のスマートフォン等の携帯端末に記憶させ、利用者が、携帯端末を所持して、登録された圃場に近接したときに、携帯端末のディスプレイに、当該圃場の植物の生育状況等の情報を表示する構成を付加しても構わない。
【0084】
さらに、ディスプレイに当該圃場の生育状況だけでなく、作物の名前、種まきをした日時、施肥をした日時等も併せて表示可能な構成としても構わない。
【0085】
なお、本発明は上述の実施の形態に限らない。