特許第6873652号(P6873652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873652
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】微小電極の作製
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-204153(P2016-204153)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2017-77466(P2017-77466A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】14/886,761
(32)【優先日】2015年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−112794(JP,A)
【文献】 特開2000−223067(JP,A)
【文献】 特表平08−503381(JP,A)
【文献】 特開2010−276428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて導体を配置することと、
前記端部上に所定のサイズのビードを創出するために、前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、創出された前記ビードを備える前記金属ワイヤを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含む、方法であって
前記金属ワイヤがもう1つの端部を有し、前記方法が、電気接点を作るように更なる金属ワイヤを前記もう1つの端部に付着させることを含み、前記金属ワイヤを組み付けることが、前記ビードを備える前記金属ワイヤと前記付着された更なる金属ワイヤとを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることを含み、
前記ビード、前記金属ワイヤ、前記電気接点、及び前記更なる金属ワイヤの上に、シュリンクスリーブをスライドさせて次いで収縮させることを更に含む、方法。
【請求項2】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて導体を配置することと、
前記端部上に所定のサイズのビードを創出するために、前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、創出された前記ビードを備える前記金属ワイヤを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含み、
前記金属ワイヤのうちの前記ビードを含まない部分の上に、電気絶縁性のスリーブをスライドさせることを更に含み、
前記スリーブをスライドさせることが、前記ビードに接するように前記スリーブをスライドさせることを含む、方法。
【請求項3】
前記金属ワイヤを組み付けることが、前記ビードを備える前記金属ワイヤと前記スリーブとを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導体が更なるワイヤを含み、前記距離が、前記更なるワイヤの端部から前記金属ワイヤの前記端部までの距離を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記更なるワイヤと前記金属ワイヤとが共線的に整合される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記距離が0.1mm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて導体を配置することと、
前記端部上に所定のサイズのビードを創出するために、前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、創出された前記ビードを備える前記金属ワイヤを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含み、
前記ビードが球状のビード表面を有し、
前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記侵襲型プローブの前記外表面から突出する、方法。
【請求項8】
前記球状のビード表面が前記侵襲型プローブの前記外表面と面一である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記侵襲型プローブの前記外表面と面一となるように、前記球状のビード表面を研磨することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて導体を配置することと、
前記端部上に所定のサイズのビードを創出するために、前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、創出された前記ビードを備える前記金属ワイヤを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含み、
前記ビードが球状のビード表面を有し、
前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記侵襲型プローブの前記外表面の中へとくぼむ、方法。
【請求項11】
前記電気の放電の間に、前記導体及び前記端部に自然空冷をもたらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて配置された導体と、
前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることによって、前記端部上に形成された所定のサイズのビードと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、前記ビードを備える前記金属ワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を備える、装置であって、
前記金属ワイヤがもう1つの端部を有し、前記装置が、電気接点を作るように前記もう1つの端部に付着された更なる金属ワイヤを備え、前記金属ワイヤを受容することが、前記ビードを備える前記金属ワイヤと前記付着された更なる金属ワイヤとを前記侵襲型プローブ内へと受容することを含み、
前記装置は、前記ビード、前記金属ワイヤ、前記電気接点、及び前記更なる金属ワイヤの上にスライドさせられて次いで収縮されるシュリンクスリーブを更に備える、装置。
【請求項13】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて配置された導体と、
前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることによって、前記端部上に形成された所定のサイズのビードと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、前記ビードを備える前記金属ワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を備える、装置であって、
前記金属ワイヤのうちの前記ビードを含まない部分の上にスライドさせられた電気絶縁性のスリーブを更に備え、
前記スリーブをスライドさせることが、前記ビードに接するように前記スリーブをスライドさせることを含む、装置。
【請求項14】
前記金属ワイヤを受容することが、前記ビードを備える前記金属ワイヤと前記スリーブとを前記侵襲型プローブ内へと受容することを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記導体が更なるワイヤを備え、前記距離が、前記更なるワイヤの端部から前記金属ワイヤの前記端部までの距離を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記更なるワイヤと前記金属ワイヤが共線的に整合されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記距離が0.1mm以下である、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて配置された導体と、
前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることによって、前記端部上に形成された所定のサイズのビードと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、前記ビードを備える前記金属ワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を備える、装置であって、
前記ビードが球状のビード表面を有し、
前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面から突出する、装置。
【請求項19】
前記球状のビード表面が前記プローブの前記外表面と面一である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プローブの前記外表面と面一となるように、前記球状のビード表面を研磨することを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
前記金属ワイヤの前記端部からある距離を置いて配置された導体と、
前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることによって、前記端部上に形成された所定のサイズのビードと、
前記ビードが侵襲型プローブの外表面に配置されるように、前記ビードを備える前記金属ワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を備える、装置であって、
前記ビードが球状のビード表面を有し、
前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面の中へとくぼむ、装置。
【請求項22】
前記電気の放電の間に、前記導体及び前記端部に自然空冷をもたらすことを含む、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には電極作製、具体的には、極小の電極の作製に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓手術に使用される侵襲的な医療用プローブ又はカテーテルは通常、調べられている領域又は手術されている心臓の領域の電位を収集するために電極を使用している。電極はまた、電流を心臓の中に注入するために、例えば、アブレーション、ペーシングのために、又はプローブの位置を決定するためにも使用され得る。関与する患者に対する外傷を最小限にするために、プローブは通常、可能な限り小さい直径を有している。
【0003】
プローブのサイズが小さいことは、結果として、プローブの電極がそれに応じて極小のサイズを有することを意味する。更に、場合によっては、1つのプローブが、互いから空間的に分離されかつ電気的に絶縁された複数の電極を有することが望ましい。そのような多電極プローブは、心臓内の空間的に分離した部位からの同時的な電位収集、及び/又はそれらの部位の同時的なアブレーションに使用され得る。しかしながら、必要とされている多電極は、極小のサイズをなさなければならない。
【0004】
脳波記録手技など、電極を使用する他のタイプの手技もまた、患者に対する外傷を最小限にするために、極小の電極を備える小さなプローブを使用することで恩恵を受ける。
【0005】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Grunewaldらに対する米国特許出願第2013/0060245号には、直接的な組織の接触に適合されたアブレーションカテーテルが記載されている。そのカテーテルは、温度及びインピーダンス測定のための熱的及び電気的特性を含めて、組織の感知をより正確なものにする微小要素を有すると述べられている。その微小要素は、灌注アブレーション電極の中空チャンバを通じて延び、また微小要素の遠位端部は、電極の外側に突出し得るか又は電極と面一となり得る。
【0006】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Kyomasu Ryuichiに対する日本国特許公報第JP2000−235995号には、ワイヤボンディングのためのボール形成法が記載されている。その開示では、細管の底部から延びるワイヤの先端と放電電極との間に高電圧が印加されて、ワイヤの先端にボールが形成されると述べられている。
【0007】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、これらの組み込まれた文書において、いずれかの用語が、本明細書で明示的又は暗示的に示される定義と矛盾する様態で定義されており、本明細書における定義のみが考慮されるべきである場合を除き、本出願の不可欠な部分と見なされるものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態は、方法を提供するものであり、該方法は、
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
ワイヤの端部からある距離を置いて導体を配置することと、
端部上に所定のサイズのビードを創出するために、距離及び放電の電位を設定した上で、導体と端部との間に電気の放電を発生させることと、
ビードがプローブの外表面に配置されるように、創出されたビードを備えるワイヤを侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含む。
【0009】
通常、金属ワイヤはもう1つの端部を有し、本方法は、電気接点を作るように更なる金属ワイヤをもう1つの端部に付着させることを含み、ワイヤを組み付けることは、創出されたビード備えるワイヤと付着された更なる金属ワイヤとを侵襲型プローブ内へと組み付けることを含む。本方法は、創出されたビード、金属ワイヤ、電気接点、及び更なる金属ワイヤの上に、シュリンクスリーブをスライドさせて次いで収縮させることを更に含み得る。
【0010】
開示する実施形態では、本方法は、ワイヤのうちのビードを含まない部分の上に、電気絶縁性のスリーブをスライドさせることを含む。通常、本方法は、ビードに接するようにスリーブをスライドさせることを含む。本方法はまた、創出されたビードと電気絶縁性のスリーブとを備えるワイヤを侵襲型プローブ内へと組み付けることを含み得る。
【0011】
開示する更なる実施形態では、導体は更なるワイヤを含み、距離は、更なるワイヤの端部から金属ワイヤの端部までの距離を含む。通常、更なるワイヤと金属ワイヤとは共線的に整合されている。
【0012】
開示するなおも更なる実施形態では、その距離は0.1mm以下である。
【0013】
代替的な実施形態では、ビードは球状のビード表面を有する。その球状のビード表面は、プローブの外表面と面一であってもよい。別の方法としては、球状のビード表面は、球状のビード表面の半径だけ、プローブの外表面から突出する。本方法は、プローブの外表面と面一となるように、球状のビード表面を研磨することを含み得る。更に別の方法としては、球状のビード表面は、球状のビード表面の半径だけ、プローブの外表面の中へとくぼんでいる。
【0014】
更なる代替的実施形態では、本方法は、電気の放電の間に、導体及び端部に自然空冷をもたらすことを含む。
【0015】
本発明のある実施形態により、装置が更に提供され、該装置は、
あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
ワイヤの端部からある距離を置いて配置された導体と、
距離及び放電の電位を設定した上で、導体と端部との間に電気の放電を発生させることによって、端部上に形成された所定のサイズのビードと、
ビードがプローブの外表面に配置されるように、創出されたビードを備えるワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を含む。
【0016】
本開示は、以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併せて読むことで、より完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のある実施形態によるカテーテル処置システムの略図である。
図2】本発明のある実施形態による、プローブの遠位端部の一部分を横断面で示す略図である。
図3A】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図3B】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図3C】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図3D】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図3E】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図3F】本発明のある実施形態による、微小電極組立体の形成における各段階を示す。
図4】本発明のある実施形態による、組立体の形成及びプローブの遠位端部への組立体の組込みにおける各工程の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
侵襲型プローブの遠位端部上の微小電極は通常、場合によっては約400マイクロメートルの極小の直径を有する。微小電極は通常、白金、金、パラジウム、イリジウム、又はこれらの金属から形成された合金などの不活性金属でできており、また、微小電極を形成するために、従来技術のシステムは、遠位端部内に既にある導電ワイヤに極小の白金ビードをはんだ付けによって付着させる。この付着は、面倒でかつ時間を要し得るだけでなく、極小の要素を操作及びはんだ付けし得る専用の設備を必要とし得る。
【0019】
本発明の実施形態は、これらの問題を克服するものである。通常は白金などの不活性金属から作製された短い金属ワイヤの第1の端部が、導電体から距離を置いて配置される。導電体はまた通常、ワイヤの形態であり、本明細書では「スパーク」ワイヤとも呼ばれる。不活性金属ワイヤの第1の端部上に所定のサイズのビードを創出するために、スパークワイヤと第1の端部との間の距離及び放電の電位を設定した上で、電気の放電、つまりスパークが、スパークワイヤと不活性金属ワイヤの第1の端部との間に発生される。
【0020】
ビードが創出されると、ビードを備える不活性ワイヤは、ビードがプローブの外表面に配置されるように、侵襲型プローブ内へと組み付けられる。
【0021】
通常、ビードの創出に先立って、短い金属ワイヤの第2の端部が、通常は銅の導電ワイヤに付着される。ポリイミドスリーブなど、電気絶縁性のプラスチックスリーブが、その組合せ体にスライドさせられ得、その後に、ビードが上述のように短い金属ワイヤの第1の端部上に形成され得る。スリーブ付きの組合せ体は、創出されたビードと共に、次いでプローブの開口部の中に挿入され得るが、その開口部の直径は、スリーブの外径と対応するように設定されている。この挿入により、通常、スリーブがビードに接することになり、その結果、挿入の後、微小電極として働くビードは、プローブから絶縁され、その結果、スリーブ付きの組合せ体は開口部をシールするように働く。
【0022】
本発明の態様では、所与のサイズのビードが、上記で言及した距離及び電位に対して特定の値を設定することによって容易に生産され得る。更に、このビードの生産方法は、微小電極の組立ての従来技術の方法で必要とされるような、ビードをはんだ付けする必要性を排除するものである。
【0023】
システムの説明
ここで図1を参照すると、図1は、本発明のある実施形態によるカテーテル処置システム20の略図である。システム20は通常、身体器官に対する医療手技の間に使用されるものであり、その手技は、とりわけ、器官から電気信号を収集すること、及び/又は器官に電気信号を注入することが想定される。本明細書における説明では、身体器官は一例として心臓を含むと想定され、システムは、心臓から心内の心電図(ECG)信号を収集するように応用される。しかしながら、システム20は、脳から脳波計(EEG)信号を収集するなど、任意の身体器官へ/任意の身体器官から実質的に任意の電気信号を収集/注入するように応用され得ることが理解されよう。
【0024】
以下の説明は、システム20が、プローブ24を用いて心臓22から心内ECG信号を感知すると想定する。プローブの遠位端部26は、信号を感知するための少なくとも1つの微小電極組立体28を有すると想定される。遠位端部26への組立体の組込みと同様に、組立体28の構造及び構成について以下でより詳細に説明する。通常、プローブ24は、システム20のユーザー32によって実施される心臓手術の間に、対象30の身体の中に挿入されるカテーテルを含む。本明細書の説明において、ユーザー32は、医療専門家であると想定される。
【0025】
システム20は、ECGモジュール44と通信する処理ユニット42を備えるシステムプロセッサ40によって制御され得る。プロセッサ40は、通常はマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを含む、オペレーティングコントロール52を備えるコンソール50上に取り付けられてもよい。医療専門家32は、オペレーティングコントロールを用いてプロセッサと対話し、このプロセッサは、以下に説明するように、システム20によって生じた結果を医療専門家に向けて画面54上に提示するために使用され得る。
【0026】
画面は、組立体28内の1つ又は2つ以上の電極によって収集されたECG信号の解析及び処理の結果を、信号がECGモジュール44に転送された後に表示する。通常は、得られたECG信号は、電位対時間グラフの形態で画面54上に提示され、このようなグラフの概略例60が図1に示されている。しかしながら、ECGモジュールから取得された、得られたECG信号はまた、局所興奮時間(LAT)などの、ECG信号と関連付けられる他の結果を導出するために、プロセッサ40によって用いられてもよい。これらの結果は、通常は、心臓22の内面の三次元(3D)マップ64の形態で画面54上に提示される。
【0027】
プロセッサ40は、プロセッサのメモリ内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよいし、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供かつ/若しくは記憶されてもよい。
【0028】
プロセッサ40は通常、プローブ追跡モジュール、遠位端部26にかかる力を測定する力モジュール、遠位端部用の灌注液を制御する灌注モジュール、及び調整された電力を遠位端部に与えるアブレーションモジュールなど、ECGモジュール44とは別の他のモジュールを備える。簡単にするために、このようなモジュールは図1には示していない。カリフォルニア州ダイアモンドバー(ダイアモンドバー(Diamond Bar)のバイオセンスウェブスター社(Biosense Webster)によって生産されているCarto(登録商標)システムは、ECGモジュール44などのECGモジュール、並びに本明細書で言及した他のモジュールを使用している。
【0029】
図2は、本発明のある実施形態による、遠位端部26の一部分を横断面で示す略図である。遠位端部26は、一例として、導電性ドーム70から形成されると想定され、この導電性ドーム70の中へ灌注開口部72及び組立体開口部74が形成されている。一例として、3つの灌注開口部72が図2に示されているが、通常は、3つよりもはるかに多くのそのような開口部が存在してもよく、また灌注開口部は、ドーム70のうちの実質的にいかなる部分に形成されてもよい。同様に一例として、3つの組立体開口部74が図2に示されているが、ドームに形成されたそのような開口部が1つだけ存在しても、2つ又は3つ以上存在してもよく、また組立体開口部は、図示されるように、ドームの平坦端部78、平坦端部の縁部80、及びドームの壁部81を含めて、ドームのうちの実質的にいかなる部分に形成されてもよい。ドーム70は、上記で参照した米国特許出願第2013/0060245号で記載されているドームと、構造において概ね類似していてもよい。
【0030】
ドーム70は、外表面88と内表面90とを有し、後者は、ドームによって囲まれた空洞82の外表面を形成する。空洞82は、開口部72を介して排出される灌注液を受容するように構成され得る。以下で説明するように、組立体28は、組立体の個々の近位部分84が空洞82に進入し空洞82を横切る一方で、組立体の個々の遠位部分86がドーム70の外表面88に位するように、個々の(respected)組立体開口部74の中に挿入される。
【0031】
挿入後、遠位部分86内の微小電極92は、縁部80の組立体開口部74内の組立体28に関して図2で例示するように、外表面88からわずかに突出し得る。別の方法としては、挿入後、遠位部分86内の微小電極92は、縁部78の組立体開口部74内の組立体28に関して図で例示するように、外表面88に対してわずかにくぼんでいてもよい。更に別の方法としては、挿入後、遠位部分86内の微小電極は、壁部81の組立体開口部74内の組立体28に関して図で例示するように、外表面88とほぼ面一となり得る。いくつかの実施形態では、ビードが外部表面の幾何学的形状と厳密に調和するように、ビードの輪郭を形作るために二次的な研磨工程が実施され得る。
【0032】
微小電極92が表面88から突出するか、表面88と面一であるか、表面88の中へとくぼんでいるかにかかわらず、所与の組立体28が対応する開口部内に挿入された後、微小電極は、ドーム70が組織と接触したときに、組織から電気信号を送受信することが可能となる。
【0033】
微小電極92の形成について以下に説明する。
【0034】
図3A〜3Fは組立体28の形成における各段階を示し、図4は、本発明のある実施形態による、組立体の形成及び遠位端部26への組立体の組込みにおける各工程の流れ図である。初期の工程100で、本明細書では白金を含むと想定される、金属製で生体適合性の不活性導電ワイヤ150が、通常ははんだ付け、抵抗溶接、又はレーザー溶接によって、ワイヤの形態をなす別の導体152、通常は銅に付着される。不活性金属ワイヤ150は、遠位端部154と近位端部156とを有する。導体152は、遠位端部158と近位端部160とを有する。この付着のプロセスは、不活性ワイヤの近位端部156を導体の遠位端部158に接合体162によって連結するものであり、それにより、2つの導体は互いに固定されるようになる。工程100は図3Aでは概略的に示されており、本発明のある実施形態では、不活性ワイヤ150は、3mmのおおよその長さと、175マイクロメートルのおおよその直径とを有する。必ずしもそうではないが通常は、導体152は、不活性導電ワイヤ150の直径よりも小さい直径を有する。
【0035】
第1の準備工程104では、工程102で形成された組合せ体が、通常はバイスで把持されることによって、固定位置に取り付けられる。
【0036】
第2の準備工程106では、通常は導電ワイヤである、導体176の先細先端部174が、不活性ワイヤの遠位端部154から測定距離「A」に配置される。いくつかの実施形態では、距離「A」は約0.1mm以下である。通常、2本のワイヤは共線であるべきであるが、任意の好都合な配向、例えば水平又は垂直をなしてもよい。導体176はまた、本明細書ではスパークワイヤ176とも呼ばれる。発電機180がスパークワイヤ176と導体152との間に接続される。いくつかの実施形態では、発電機180は、高DC電流を与える、カリフォルニア州モンロビア(Monrovia)のアマダミヤチ社(Amada Miyachi)によって生産されているMiyachi UnitekモデルUB29などの抵抗溶接機を備える。
【0037】
電極形成工程108では、発電機180の電圧レベルが調整され、それにより、作動されると、発電機180は、先端部174と不活性ワイヤの遠位端部154との間で、本明細書ではスパークとも呼ばれる電気の放電を空気中に発生するようになる。発電機は、通常は約1Vの電圧で、約5msの期間にわたって作動され、その間に、放電を生じさせるために約200AのDC電流が流れる。この放電は、遠位端部154を微小電極92へと変形させ、微小電極92は、通常は形状において部分的に球状であり、不活性ワイヤ150に付着したままであるビードの形態をなす。一実施形態では、スパークは、少なくとも100ampを1〜10msにわたって与えるように設定された発電機で発生された。
【0038】
スパークは極めて迅速に形成され、本発明者らは、微小電極の形成には強制空冷ではなく自然空冷で十分であることを見出した。微小電極92はまた、本明細書ではビード92とも呼ばれる。ビード92の形成は、組立体28をプローブ24の遠位端部26の中に挿入するのに先立って、組立体28を形成するプロセスを終結させるものである。
【0039】
図3Bは、ビード92の形成に至るまでの工程102〜108を概略的に示し、図3Cは、ビード92の形成後の完成した微小電極組立体28を概略的に示している。ビード92は直径Dを有し、これは不活性ワイヤ150の直径よりも大きいものである。いくつかの実施形態では、直径Dは約400マイクロメートルである。
【0040】
スリーブ取付工程109では、通常はポリイミドなどのプラスチックでできた絶縁スリーブ170が、工程100で形成された不活性ワイヤと導体との組合せ体の上にスライドさせられる。非膨張形態にあるスリーブ170の初期の内径は、不活性ワイヤ150の直径よりもわずかに小さくなるように構成されている。スライドさせる操作は、スリーブ170が膨張し、不活性ワイヤ150を把持するように、すなわち、膨張形態にあるスリーブの内径が、不活性ワイヤ150の領域において、不活性ワイヤの直径と等しくなるように実施される。
【0041】
スライドさせる操作はまた、スリーブ170が接合体162を被覆するように、ただし微小電極92はスリーブによって被覆されないように実施される。
【0042】
別の方法としては、薄肉のシュリンクスリーブが組合せ体の上で使用され得る。収縮プロセスをスリーブに適用することにより、スリーブは、ビード、不活性ワイヤ、及び導電ワイヤに適合して、組合せ体を電気的に隔離するように働く。
【0043】
最後の成形工程110では、工程109で生産された、完成した微小電極組立体28が、ドーム70内の選択された組立体開口部74の中にスライドされる。開口部は、絶縁スリーブの直径は収まるがビードの直径は収まらない直径を有するように構成される。微小組立体が、選択された組立体開口部内に着座された後、微小組立体は次いで、接着剤を使用して固定される。
【0044】
任意の所与の組立体28を個々の組立体開口部74の中に組み込むことは、ビード92が外表面88からわずかに突出すること、表面とほぼ面一となること、又は表面の中へとわずかにくぼむことで終結する。
【0045】
図3D、3E、及び3Fは、ビード92がそれぞれ外表面88から突出し、表面と面一となり、表面の中へわずかにくぼむように、組立体28が開口部74の中に挿入された後の工程110を概略的に示している。典型的な突出距離は、ビードの半径であり、それにより、400マイクロメートルのビードは、表面から200マイクロメートルだけ突出し得る。典型的なくぼみ距離は、典型的な突出距離とほぼ同じである。
【0046】
必要とされる場合、微小電極のいかなる突出も、組立体が接着剤で固定された後に、ドーム70の表面を研磨することによって、例えばバフ研磨することによって排除され得る。
【0047】
上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上に具体的に示し、記載した内容に限定されるものではないということが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲には、上記で説明した様々な特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせ、並びに、上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術には開示されていないそれらの変形例及び改変例が含まれる。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤを設けることと、
前記ワイヤの前記端部からある距離を置いて導体を配置することと、
前記端部上に所定のサイズのビードを創出するために、前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることと、
前記ビードがプローブの外表面に配置されるように、前記創出されたビードを備える前記ワイヤを侵襲型プローブ内へと組み付けることと、を含む、方法。
(2) 前記金属ワイヤがもう1つの端部を有し、前記方法が、電気接点を作るように更なる金属ワイヤを前記もう1つの端部に付着させることを含み、前記ワイヤを組み付けることが、前記創出されたビードを備える前記ワイヤと前記付着された更なる金属ワイヤとを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記創出されたビード、前記金属ワイヤ、前記電気接点、及び前記更なる金属ワイヤの上に、シュリンクスリーブをスライドさせて次いで収縮させることを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記ワイヤのうちの前記ビードを含まない部分の上に、電気絶縁性のスリーブをスライドさせることを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記スリーブをスライドさせることが、前記ビードに接するように前記スリーブをスライドさせることを含む、実施態様4に記載の方法。
【0049】
(6) 前記ワイヤを組み付けることが、前記創出されたビードを備える前記ワイヤと前記電気絶縁性のスリーブとを前記侵襲型プローブ内へと組み付けることを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記導体が更なるワイヤを含み、前記距離が、前記更なるワイヤの端部から前記金属ワイヤの前記端部までの距離を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記更なるワイヤと前記金属ワイヤとが共線的に整合される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記距離が0.1mm以下である、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記ビードが球状のビード表面を有する、実施態様1に記載の方法。
【0050】
(11) 前記球状のビード表面が前記プローブの前記外表面と面一である、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面から突出する、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記プローブの前記外表面と面一となるように、前記球状のビード表面を研磨することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面の中へとくぼむ、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記電気の放電の間に、前記導体及び前記端部に自然空冷をもたらすことを含む、実施態様1に記載の方法。
【0051】
(16) あるワイヤ直径と、端部とを有する金属ワイヤと、
前記ワイヤの前記端部からある距離を置いて配置された導体と、
前記距離及び放電の電位を設定した上で、前記導体と前記端部との間に電気の放電を発生させることによって、前記端部上に形成された所定のサイズのビードと、
前記ビードがプローブの外表面に配置されるように、前記創出されたビードを備える前記ワイヤを受容するように構成された侵襲型プローブと、を備える、装置。
(17) 前記金属ワイヤがもう1つの端部を有し、前記装置が、前記もう1つの端部に付着された更なる金属ワイヤを備え、前記ワイヤを受容することが、前記創出されたビードを備える前記ワイヤと前記付着された更なる金属ワイヤとを前記侵襲型プローブ内へと受容することを含む、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記創出されたビード、前記金属ワイヤ、前記電気接点、及び前記更なる金属ワイヤの上にスライドさせられて次いで収縮されるシュリンクスリーブを備える、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記ワイヤのうちの前記ビードを含まない部分の上にスライドさせられた電気絶縁性のスリーブを備える、実施態様16に記載の装置。
(20) 前記スリーブをスライドさせることが、前記ビードに接するように前記スリーブをスライドさせることを含む、実施態様19に記載の装置。
【0052】
(21) 前記ワイヤを受容することが、前記創出されたビードを備える前記ワイヤと前記電気絶縁性のスリーブとを前記侵襲型プローブ内へと受容することを含む、実施態様19に記載の装置。
(22) 前記導体が更なるワイヤを備え、前記距離が、前記更なるワイヤの端部から前記金属ワイヤの前記端部までの距離を含む、実施態様16に記載の装置。
(23) 前記更なるワイヤと前記金属ワイヤが共線的に整合されている、実施態様22に記載の装置。
(24) 前記距離が0.1mm以下である、実施態様16に記載の装置。
(25) 前記ビードが球状のビード表面を有する、実施態様16に記載の装置。
【0053】
(26) 前記球状のビード表面が前記プローブの前記外表面と面一である、実施態様25に記載の装置。
(27) 前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面から突出する、実施態様25に記載の装置。
(28) 前記プローブの前記外表面と面一となるように、前記球状のビード表面を研磨することを含む、実施態様27に記載の装置。
(29) 前記球状のビード表面が、前記球状のビード表面の半径だけ、前記プローブの前記外表面の中へとくぼむ、実施態様25に記載の装置。
(30) 前記電気の放電の間に、前記導体及び前記端部に自然空冷をもたらすことを含む、実施態様16に記載の装置。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4