(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873685
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】研磨用組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20210510BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20210510BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-250401(P2016-250401)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-107223(P2018-107223A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116127
【氏名又は名称】ニッタ・デュポン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】戸田 智之
(72)【発明者】
【氏名】宮本 明子
【審査官】
内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−306880(JP,A)
【文献】
特開2015−66657(JP,A)
【文献】
特開2009−149493(JP,A)
【文献】
特開2014−139258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ砥粒と、
ケイ酸塩と、
2価以上の無機酸と、
水とを含み、
10.5〜12.5のpHを有する、研磨用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨用組成物であって、さらに、
シリコン研磨促進剤を含む、研磨用組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の研磨用組成物であって、
前記シリコン研磨促進剤は塩基性化合物である、研磨用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物に関し、さらに詳しくは、シリコンウェーハに適した研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の製造において、超精密加工は極めて重要な技術である。近年LSIデバイスの微細化が進み、それに伴って精密研磨後のウェーハの表面粗度や平坦性への要求が厳しくなる傾向にある。これまで一次研磨では、主として研削加工量に重点が置かれてきた。しかし、一次研磨後のウェーハの表面品質が、二次研磨や最終研磨後の表面品質に影響を及ぼすことがわかっている。そのため、今後は一次研磨でも、現状の研削加工量を維持しつつ、より高いレベルのウェーハ表面品質の実現が求められると考えられる。
【0003】
一次研磨後のウェーハの表面品質を向上させる手段として、研磨傷や異物残りの原因となり得る砥粒の量を低減することが有効と考えられる。一方、研磨に供されるウェーハの表面には、自然酸化膜が形成されている場合がある。砥粒の量を低減すると、酸化膜を除去する能力が低下するという問題がある。これを改善するため、水溶性ケイ酸塩によって酸化膜の除去を促進することが検討されている(例えば、特許第3521614号公報及び特許第4008219号公報を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3521614号公報
【特許文献2】特許第4008219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ケイ酸塩を用いると、10倍以上の希釈を想定した濃縮研磨用組成物において、砥粒が凝集することがあるため、安定した性状を保つことが難しい。一般に、研磨用組成物は、輸送コスト、在庫スペース、希釈作業頻度を低減するために、できる限り高希釈に対応した濃縮状態が好ましい。したがって、濃縮研磨用組成物の性状安定性が望まれる。
【0006】
本発明の目的は、ケイ酸塩を含む研磨用組成物において砥粒の凝集を低減することができる研磨用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による研磨用組成物は、シリカ砥粒と、ケイ酸塩と、2価以上の多価酸と、水とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シリカ砥粒の凝集を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々の検討を行った。その結果、シリカ砥粒を含む研磨用組成物に、高pH(具体的には12以上)の下でケイ酸塩を酸化膜除去促進剤として添加すると、白濁又はゲル化が起きる場合がある。このような現象は濃縮された研磨用組成物で特に起きやすい。この際に、無機酸を添加することによりpHを調整することは可能であるが、研磨用組成物内に中和による塩が増加する。塩濃度が高くなると、砥粒表面における電気二重層が縮小し、砥粒同士が自身らの分子間引力の圏内に進入して凝集する。これに対し、本発明者らは、多価酸を添加して中和すれば、塩濃度を低減し、凝集を抑制することができることを新たに見出した。本発明は、このような新しい知見に基づいて完成された。以下、本発明の一実施形態による研磨用組成物を詳述する。
【0010】
本発明の一実施形態による研磨用組成物は、シリカ砥流と、ケイ酸塩と、2価以上の多価酸と、水とを含む。本実施形態による研磨用組成物は、シリコンウェーハの一次研磨に好適に用いられる。
【0011】
シリカは、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等を用いることができる。
【0012】
シリカの含有量は、特に限定されないが、例えば研磨用組成物全体の0.01〜10重量%である。シリカの含有量は、研磨後のシリコンウェーハの研磨傷や異物残りを低減するという観点からは、できるだけ少なくする方が好ましい。一方、研磨用組成物がシリカを全く含まない場合には、シリコンウェーハ表面の酸化膜を除去することができなくなる。
【0013】
ケイ酸塩は、シリコンウェーハ等の表面に形成された酸化膜の除去を促進する酸化膜除去促進剤として機能する。ケイ酸塩は、可溶性金属ケイ酸塩であってもよい。ケイ酸塩は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムである。
【0014】
多価酸は2価以上の無機酸又は3価以上の有機酸であってもよく、pH調整剤として機能する。2価以上の無機酸は、例えば硫酸、リン酸である。3価以上の有機酸は、好ましくはキレート剤であり、さらに好ましくはアミノカルボン酸系キレート剤であり、例えば、NTA(ニトリロ三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミペンタアセテート酸)、TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸)である。
【0015】
研磨用組成物は、10.5〜12.5のpHを有していてもよい。
【0016】
研磨用組成物はさらに、シリコン研磨促進剤を含んでいてもよい。シリコン研磨促進剤は塩基性化合物であってもよい。塩基性化合物は、例えば、DETA(ジエチレントリアミン)、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)である。
【0017】
本実施形態による研磨用組成物は、上記の他、界面活性剤、水溶性高分子等、研磨用組成物の分野で一般に知られた配合剤を任意に配合することができる。
【0018】
本実施形態による研磨用組成物は、シリカ砥粒、ケイ酸塩、多価酸その他の材料を適宜混合して水を加えることによって作製される。本実施形態による研磨用組成物は、あるいは、シリカ砥粒、ケイ酸塩、多価酸その他の材料を、順次、水に混合することによって作製される。これらの成分を混合する手段としては、ホモジナイザー、超音波等、研磨用組成物の技術分野において常用される手段が用いられる。
【0019】
以上で説明した研磨用組成物は、適当な濃度となるように水で希釈した後、シリコンウェーハの研磨に用いられる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0021】
表1に示す比較例及び実施例1〜5の研磨用組成物を作製した。研磨用組成物の残部は水であり、「%」は重量%を意味する。シリカ砥粒以外の塩基性化合物(ケイ酸塩、シリコン研磨促進剤)を添加した後、酸を添加することによりpHを11.6に調整した。
【0022】
【表1】
【0023】
比較例及び実施例1〜5のいずれも、4.0重量%のシリカ砥粒と、酸化膜除去剤として8.0重量%のケイ酸ナトリウムと、pH調整剤として酸と、シリコン研磨促進剤として2.0重量%のDETAと、残部として水とを含有する。シリカ砥粒は、平均二次粒子径125nmを使用した。
【0024】
比較例は、pH調整剤として1.1重量%の塩酸(1価の無機酸)を使用した。実施例1は、pH調整剤として1.6重量%の硫酸(2価の無機酸)を使用した。実施例2は、pH調整剤として2.2重量%のNTA(3価の有機酸)を使用した。実施例3は、pH調整剤として2.6重量%のEDTA(4価の有機酸)を使用した。実施例4は、pH調整剤として2.7重量%のDTPA(5価の有機酸)を使用した。実施例5は、pH調整剤として3.0重量%のTTHA(6価の有機酸)を使用した。
【0025】
上記の通り作製した比較例及び実施例1〜5に係る濃縮研磨用組成物を12時間以上50℃で保管した。その後、シリカ砥粒の凝集安定性を目視で判定した。沈殿物を確認できない場合、凝集安定性を○とし、沈殿物を確認した場合、凝集安定性を×とした。
【0026】
その結果、二価以上の多価酸を加えると、研磨用組成物は濃縮状態でもシリカ砥粒は凝集しないことが判明した。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。