特許第6873686号(P6873686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873686
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20210510BHJP
   G01N 24/08 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A61B5/055 380
   A61B5/055 311
   G01N24/08 520Y
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-251960(P2016-251960)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-102585(P2018-102585A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】末岡 和大
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−523310(JP,A)
【文献】 特開2009−125582(JP,A)
【文献】 特表2013−517829(JP,A)
【文献】 特開2011−030673(JP,A)
【文献】 特開2014−036855(JP,A)
【文献】 特開2008−173246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TE(Echo Time)が異なる複数のデータを収集するシーケンス制御部と、
前記複数のデータに基づいて、前記シーケンス制御部が実行する第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する算出部と
を備え
前記算出部は、前記複数のデータに基づいて生成されたTEが異なる複数の画像に基づいて、TEを変化させたときの信号強度の変化を解析し、前記解析の解析結果を一つの画像に重畳させた重畳画像を生成し、
前記算出部が生成した前記重畳画像を表示部に表示させる制御部を更に備え、
前記算出部は、前記複数の画像の各点において、前記信号強度が閾値を上回るか否かを判定し、前記信号強度が前記閾値を上回る前記複数の画像の中で、最も長いTEに対応する前記複数の画像に対応するTEを前記各点ごとに算出することにより前記重畳画像を生成する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記複数のデータに対して差分処理を行い、差分画像を生成する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記UTE撮像法は、ラジアル収集を行う撮像法である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
画像を表示部に表示させ、ユーザからの操作を受け付ける制御部を更に備え、
前記算出部は、前記制御部が前記表示部に表示させた前記画像に基づいて前記ユーザから受け付けた前記操作に基づいて、前記第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作として、前記複数のデータに基づいて生成されたTEが異なる複数の画像のうちいずれかの画像を選択する操作を受け付け、
前記算出部は、ユーザが選択した画像に係るTEの値を、前記第2のパルスシーケンスにおけるTEの値として導出する、請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作として、関心領域を選択する操作を受け付け、
前記算出部は、ユーザが選択した前記関心領域に基づいて、前記第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する、請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記複数のデータに基づいて生成されたTEが異なる複数の画像に基づいて、前記シーケンス制御部が実行する第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記複数の画像に基づいて、TEを変化させたときの信号強度の変化を解析し、解析した結果に基づいて、前記第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記シーケンス制御部は、前記第1のパルスシーケンスにおいて、水信号と脂肪信号とが同位相となるタイミングで、前記複数のデータを収集する、請求項1〜のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TE(Echo Time)が異なる複数のデータを収集するシーケンス制御部と、
前記複数のデータに基づいて、前記シーケンス制御部が実行する第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する算出部と
を備え
前記シーケンス制御部は、前記算出部が導出したTEの値に基づいて、前記第2のパルスシーケンスを実行してTEが異なる複数のデータを収集し、
前記第2のパルスシーケンスにより得られた前記複数のデータのうちの所定のデータに対して、2つのデータの差分を取る処理である差分処理を含んだ処理を行い、画像を生成する生成部を更に備える、磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングにおいて、UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法等の撮像法では、磁場の不均一性を考慮したT値であるT値が短い組織を描出することができる。これにより、例えば軟骨や関節といった、従来の方法では描出しにくい組織を描出することが可能となる。
【0003】
値が短い組織を描出する方法として、小さなTE(Echo Time)において収集された画像と、大きなTEにおいて収集された画像との間で差分を取る方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、撮像対象の部位や組織ごとにT値が異なるため、どのようなTEにおいて収集された画像と、どのようなTEにおいて収集された画像との間で差分を取るのが最適であるかが、事前にはわからない場合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】O.M.Girard他、Optimization of Iron Oxide Nanoparticle Detection using Ultrashort TE Pulse Sequences: Comparison of T1 and T2* and Synergistic T1-T2* Contrast Mechanisms, Magnetic Resonance In Medicine,アメリカ合衆国、アメリカ国立衛生研究所、2011年6月、第65巻、第6号、p.1649-1660
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、T値が短い組織を描出することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、算出部とを備える。シーケンス制御部は、UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TE(Echo Time)が異なる複数のデータを収集する。算出部は、前記複数のデータに基づいて生成されたTEが異なる複数の画像に基づいて、前記シーケンス制御部が実行する第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示した図である。
図2図2は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の実行するパルスシーケンスの一例を示した図である。
図3図3は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の実行するパルスシーケンスの別の例を示した図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る背景について説明した図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る背景について説明した図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が生成する画像の一例である。
図8図8は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が表示する画面の一例である。
図9図9は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が表示する画面の一例である。
図10図10は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が表示する画面の一例である。
図11図11は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を用いて、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を示すブロック図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、送信コイル107と、送信回路108と、受信コイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120と、画像処理装置130とを備える。なお、磁気共鳴イメージング装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路120及び画像処理装置130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。また、磁気共鳴イメージング装置100は、図示しない静磁場電源を備えても良い。
【0011】
静磁場磁石101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場電源を備えなくてもよい。また、静磁場電源は、磁気共鳴イメージング装置100とは別に備えられてもよい。
【0012】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス方向傾斜磁場Gz、位相エンコード方向傾斜磁場Gy、及びリードアウト方向傾斜磁場Gxである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0013】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御回路106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御回路106は、画像処理装置130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0014】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信回路108からRF(Radio Frequency)パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0015】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信する。受信コイル109は、磁気共鳴信号を受信すると、受信した磁気共鳴信号を受信回路110へ出力する。
【0016】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0017】
受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路110は、生成した磁気共鳴データをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、受信回路110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0018】
シーケンス制御回路120は、画像処理装置130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路110が磁気共鳴信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御回路120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0019】
第1の実施形態において、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスに続いて実行される第2のパルスシーケンスにおけるTE(Echo Time)を決定するための第1のパルスシーケンスと、最終的な医用画像を得るための第2のパルスシーケンスとを実行する。
【0020】
図2及び図3に、第1の実施形態においてシーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの一例が示されている。図2及び図3は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の実行するパルスシーケンスの一例を示した図である。図2及び図3は、共にUTE(Ultrashort Echo Time)撮像法のパルスシーケンスであるが、図2は、データ収集時のk空間上の位置を揃えるための傾斜磁場の印加であるフライバックがないパルスシーケンスの例であるのに対して、図3は、データ収集時のk空間上の位置を揃えるための傾斜磁場の印加であるフライバックがある場合のパルスシーケンスを示している。図2図3とともに、3次元ラジアル収集を行う場合について説明する。
【0021】
図2の上段は、シーケンス制御回路120が印加するRFパルスを表す。図2の中段は、シーケンス制御回路120が印加する傾斜磁場(リードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場Gy、スライス方向傾斜磁場Gz)を表す。また、図2の下段は、データ収集が行われるタイミングを表す。
【0022】
RFパルス10は、UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法において印加されるRFパルスを表す。RFパルス10は、例えば半波形の形をしたハーフパルスであっても良いし、ハーフパルス以外のパルスであってもよい。UTE撮像法においては、例えば、このようなRFパルス10が、グラジエントエコーと組み合わせられることで、スピンエコーにおける180度パルスや位相エンコーディングを省略することができ、エコーが、RFパルス10の印加後すぐに生成される。
【0023】
実線で示されている傾斜磁場11aは、RFパルス10に対応して、シーケンス制御回路120により印加される傾斜磁場の強度を模式的に示したものである。図2において、傾斜磁場11aは、極性を変えて、正方向と負方向に交互に印加される。傾斜磁場強度が平坦な部分を中心に、グラジエントエコーが生成されるので、エコーが生成されている間、データ収集が行われる。なお、傾斜磁場11aは、リードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場Gy、スライス方向傾斜磁場Gzの3軸の傾斜磁場の強度の時間変化を模式的に示したものであり、実際には、収集されるk空間上のスポークに対応して、各軸の傾斜磁場が、適切な比率で同時に印加される。一例として、k/A=k/B=k/Cの数式で表されるk空間上のスポークの収集が行われるとき、リードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場G、スライス方向傾斜磁場Gの強度の比は、G:G:G=A:B:Cとなる。シーケンス制御回路120は、これらの強度比で、リードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場G、スライス方向傾斜磁場Gを同時に印加している。
【0024】
また、データ収集期間12a、データ収集期間12b、データ収集期間12c、データ収集期間12dは、データ収集が行われる期間を意味する。第1の実施形態においては、シーケンス制御回路120は、UTE撮像法のパルスシーケンスであって、マルチエコーのパルスシーケンスを、第1のパルスシーケンスとして実行する。ここで、マルチエコーとは、一つのRFパルスに対して、エコーが複数生成されることを意味する。図2の例では、RFパルス10に対して、エコーが、データ収集期間12aに対応するエコー、データ収集期間12bに対応するエコー、データ収集期間12cに対応するエコー、データ収集期間12dに対応するエコーの計4つのエコーが生成される。これらのエコーは、それぞれTE(Echo Time)が異なる。
【0025】
なお、データ収集期間12aとデータ収集期間12cとは、印加される傾斜磁場の極性が同じであり、これら2つの収集は、それぞれk空間上で同一の位置に関する収集を、TEを変えて行ったものである。また、データ収集期間12b及びデータ収集期間12dは、印加される傾斜磁場の極性が同じであり、これら2つの収集は、それぞれk空間上で同一の位置に関する収集を、TEを変えて収集を行ったものである。なお、データ収集期間12aとデータ収集期間12bとでは、印加される傾斜磁場の極性が反対であり、これら2つの収集は、それぞれk空間上で原点に対して反対の位置に関して行われたものである。
【0026】
以上をまとめると、シーケンス制御回路120は、一つのRFパルス10に対応して、例えばデータ収集期間12a及びデータ収集期間12cにおいて、同一のk空間上のスポークについて、TEが異なる複数のデータを収集する。一つのデータ収集期間、例えばデータ収集期間12aにおいて、収集されるk空間上の位置が、所定のスポークに沿って変化する。収集されるk空間上のスポークは、印加されるリードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場G、スライス方向傾斜磁場Gの強度比により決定される。
【0027】
また、点線で示されている傾斜磁場11bは、RFパルス10の次に印加されるRFパルスに対応して、シーケンス制御回路120により印加される傾斜磁場の強度を模式的に示したものである。シーケンス制御回路120は、リードアウト方向傾斜磁場Gx、位相エンコード方向傾斜磁場G、スライス方向傾斜磁場Gが印加される強度の比を、RFパルス10の場合から変化させることにより、k空間上の異なるスポークに対してデータ収集を行うことができる。同様に、傾斜磁場11c、11d、11e、11f、11g、11h、11iは、異なるRFパルスに対応して、シーケンス制御回路120により、印加される3軸の傾斜磁場の強度比を異ならせて印加された傾斜磁場の強度を模式的に示したものである。シーケンス制御回路120は、このようなパルスシーケンスを実行することにより、3次元k空間全体のデータ収集を行うことができる。
【0028】
なお、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの例としては、図2の例に限られず、例えば図3のように、フライバックがある場合のパルスシーケンスを実行してもよい。かかる場合、シーケンス制御回路120は、データ収集期間13a及びデータ収集期間13bにおいて、データ収集を行う。データ収集期間13aとデータ収集期間13bとの間に印加される傾斜磁場の効果により、データ収集期間13bにおいて収集されるk空間上の位置が、データ収集期間13aにおいて収集されるk空間上の位置と同一の位置となる。このように、シーケンス制御回路120は、同一のk空間上の位置に対して、TEが異なる複数のデータを収集する。フライバックがある場合、フライバックがない場合と比べて収集時間は長くなる。一方、1つのRFパルスで収集されるk空間上の位置が同一であるため、フライバックがある場合、フライバックがない場合と比較して、より誤差が生じにくいという利点がる。
【0029】
なお、第1のパルスシーケンスは、臨床診断に使うための画像を生成する第2のパルスシーケンスとは異なり、高分解能の画像を生成する必要はないので、k空間上での収集密度を減らす等して収集画像データの分解能を落とし、例えば数十秒程度でスキャンが完了するような条件設定としてもよい。第1のパルスシーケンスは、例えば臨床診断に使いたい画像データ収集前の、プリスキャンとしての役割を担う。
【0030】
また、シーケンス制御回路120が実行する第2のパルスシーケンスの例としては、第1のパルスシーケンスと同様のシーケンスでもよいし、第1のパルスシーケンスとは異なるシーケンスでもよい。
【0031】
なお、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの例としては、上述の例に限られない。例えば、シーケンス制御回路120は、他のグラジエントエコー系のパルスシーケンスを実行しても良い。例えば、シーケンス制御回路120は、PETRA(Pointwise Encoding Time reduction with Radial Acquisition)のパルスシーケンスを用いて、ラジアル収集とカーテシアン(Cartesian)収集とを組み合わせても良い。
【0032】
また、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスが、3Dラジアルスキャンである場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスまたは第2のパルスシーケンスとして、2Dスキャンのパルスシーケンスを用いても良い。また、1つのRFパルスで複数のk空間上のライン(スポーク)を収集してもよく、逆に、一つのk空間上のラインを収集するのに、複数のRFパルスを用いても良い。
【0033】
シーケンス制御回路120は、このように傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路110から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データを画像処理装置130へ転送する。
【0034】
画像処理装置130は、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。画像処理装置130は、記憶回路132、入力装置134、ディスプレイ135、処理回路150を備える。処理回路150は、インタフェース機能150a、算出機能150b、制御機能150c、生成機能150dを備える。
【0035】
第1の実施形態では、インタフェース機能150a、算出機能150b、制御機能150c、生成機能150dにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132へ記憶されている。処理回路150はプログラムを記憶回路132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路150にて、インタフェース機能150a、算出機能150b、制御機能150c、生成機能150dにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0036】
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
【0037】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0038】
なお、算出機能150b、制御機能150c、生成機能150d、ディスプレイ135は、それぞれ算出部、制御部、生成部、表示部の一例である。また、シーケンス制御回路120は、シーケンス制御部の一例である。
【0039】
なお、記憶回路132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、寝台制御回路106、送信回路108、受信回路110等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0040】
処理回路150は、インタフェース機能150aにより、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信し、シーケンス制御回路120から磁気共鳴データを受信する。また、インタフェース機能150aを有する処理回路150は、磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データを記憶回路132に格納する。記憶回路132に格納された磁気共鳴データは、制御機能150cによってk空間に配置される。この結果、記憶回路132は、k空間データを記憶する。
【0041】
記憶回路132は、インタフェース機能150aを有する処理回路150によって受信された磁気共鳴データや、制御機能150cを有する処理回路150によってk空間に配置されたk空間データ、生成機能150dを有する処理回路150によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶回路132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0042】
入力装置134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。ディスプレイ135は、制御機能150cを有する処理回路150による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、生成機能150dを有する処理回路150によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0043】
処理回路150は、制御機能150cにより、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、処理回路150は、制御機能150cにより、画像をディスプレイ135に表示させる。また、処理回路150は、制御機能150cにより、ユーザからの操作を受け付ける。ユーザから受け付ける操作の例としては、後述するように、複数の画像のうちいずれかの画像を選択する操作、関心領域(ROI(Region Of Interest))を選択する操作などがあげられる。
【0044】
また、処理回路150は、制御機能150cにより、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。
【0045】
処理回路150は、算出機能150bにより、第1のパルスシーケンスにおいて収集したデータに基づいて、第1のパルスシーケンスに続いて実行される第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を算出する。かかる処理の詳細については後述する。
【0046】
処理回路150は、生成機能150dにより、シーケンス制御回路120から取得したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。また、処理回路150は、生成機能150dにより、第2のパルスシーケンスにより得られたデータに対して、後述の差分処理等を施すことで、画像を生成する。
【0047】
続いて、実施形態に係る背景について、簡単に説明する。
【0048】
磁気共鳴イメージングにおいて、UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法等の撮像法では、磁場の不均一性を考慮したT値であるT値が短い組織を描出することができる。これにより、例えば軟骨や関節といった、従来の方法では描出しにくい組織を描出することが可能となる。
【0049】
値が短い組織を描出する方法として、小さなTEにおいて収集された画像と、大きなTEにおいて収集された画像との間で差分を取る方法が考えられる。
【0050】
しかしながら、撮像対象の部位や組織ごとにT値が異なるため、どのようなTEにおいて収集された画像と、どのようなTEにおいて収集された画像との間で差分を取るのが最適であるかが、事前にはわからない場合があった。
【0051】
かかる状況が、図4及び図5に示されている。図4及び図5は、第1の実施形態に係る背景について説明した図である。
【0052】
図4において、画像20は、TEが短い場合における画像を示している。画像20は、例えば、TE=0.1msの画像である。画像20には、組織のTの情報が含まれている。画像21aは、例えば、TE=2.0msの画像である。画像22は、画像20と画像21aとの間の差分画像を表している。画像20においてはT2*成分が緩和していない一方、画像21aにおいてはT2*成分が緩和しているので、それらの差分画像を生成することにより、画像22に、組織22a、22b、22c等、短いT成分を持つ組織を強調して描出することができる。すなわち、画像21aは、差分画像を生成する対象としてのTEの値が適切な場合における画像になる。
【0053】
一方、図5において、画像20は、図4と同様に、TEが短い場合における画像を示している。画像21bは、例えば、TE=4.6msの画像を表している。画像23は、画像20と画像21bとの間の差分画像を表している。画像21bにおいては、T2*成分以外にも、T成分などその他の緩和の効果が入ってきてしまうので、画像20と画像21bとの間で差分画像を生成した場合、差分画像に、T成分以外の緩和の効果が入ってきてしまう。その結果、見たい組織が十分に強調されない場合がある。すなわち、画像21bは、差分画像を生成する対象の画像のTEの値が、適切な値より長い場合における画像になる。
【0054】
また、差分画像を生成する対象の画像のTEの値が、適切な値より短い場合、どちらの画像においても、T成分が緩和していないので、それらの差分画像を生成した場合、差分画像に、T成分の効果が入らない。その結果、見たい組織が十分に強調されない場合がある。
【0055】
かかる背景のもと、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100においては、シーケンス制御回路120が、UTE(Ultrashort Echo Time)撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TEが異なる複数のデータを収集する。続いて、処理回路150が、算出機能150bにより、収集された複数のデータに基づいて生成された、TEが異なる複数の画像に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を算出する。
【0056】
かかる構成について、図6図8を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。図7及び図8は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が生成する画像及び磁気共鳴イメージング装置100が表示する画面の一例である。
【0057】
はじめに、ステップS100において、シーケンス制御回路120は、UTE撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TEが異なる複数のデータを収集する。例えば、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスとして、図2に示したパルスシーケンスを実行し、データ収集期間12a及びデータ収集期間12cにおいて、又はデータ収集期間12b及びデータ収集期間12dにおいて、TEが異なる複数のデータを収集する。また、別の例として、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスとして、図3に示した、フライバックがあるパルスシーケンスを実行し、データ収集期間13a及びデータ収集期間13bにおいて、TEが異なる複数のデータを収集する。
【0058】
前述したように、第1のパルスシーケンスは、臨床診断に使うための画像を生成する第2のパルスシーケンスとは異なり、高分解能の画像を生成する必要はないので、k空間上での収集密度を減らす等して収集画像データの分解能を落とし、例えば数十秒程度でスキャンが完了するような条件設定としてもよい。
【0059】
なお、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスにおいて、水信号と脂肪信号とが同位相(in―phase)となるタイミングで、これらTEが異なる複数のデータを収集する。
【0060】
シーケンス制御回路120が、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となるタイミングで収集を行う理由は以下の通りである。
【0061】
すなわち、差分画像を生成する対象として、水信号と脂肪信号とが逆位相(out−phase)となるようなタイミングで収集された画像を用いると、差分画像には、異なるTE間での信号の差分と、水信号と脂肪信号との差分との、2種類の差分が混ざることになる。ここで、これら2種類の差分を定量的に分析することは難しく、水信号と脂肪信号との差分の寄与が、異なるTE間での信号の差分に着目する上で邪魔になることから、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)になっていたほうが望ましい。従って、本撮像である第2のパルスシーケンスにおいて、差分画像を生成する対象となる二つの画像に係るデータは、水信号と脂肪信号とが逆位相(out−phase)となるようなタイミングで収集されるよりも、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となるようなタイミングで収集されるほうが望ましい。従って、第2のパルスシーケンスのTEを決定するための第1のパルスシーケンスにおいても、シーケンス制御回路120は、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となるようなタイミングで、TEが異なる複数のデータを収集する。
【0062】
なお、水の共鳴周波数及び脂肪の共鳴周波数は既知であることから、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となる時刻は、所定の計算により導出することができる。シーケンス制御回路120は、これら事前に所定の計算により導出された時刻に基づいて、データ収集が行われるタイミングを調整する。
【0063】
続いて、ステップS110において、処理回路150は、算出機能150bにより、TEが異なる複数のデータに基づいて、TEが異なる複数の画像を生成する。処理回路150は、制御機能150cにより、生成したTEが異なる複数の画像を、ディスプレイ135に表示させてもよい。
【0064】
続いて、ステップS115において、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110において生成された複数の画像に基づいて、TEを変化させたときの信号変化を解析する。一例として、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110において生成された複数の画像に基づいて、TEを変化させたときの信号強度の変化を解析し、解析の解析結果を一つの画像に重畳させた重畳画像を生成する。かかる重畳画像の例が、図8に示されている。図8は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が表示する画面の一例である。また、かかる重畳画像を作る際における中間画像が、図7に示されている。図7は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が生成する画像の一例である。
【0065】
図7において、画像30a、画像30b、画像30c、画像30dは、処理回路150が算出機能150bにより重畳画像を作る際における中間画像を表している。画像30a〜画像30dのそれぞれは、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像それぞれから作られる。図7の例では、画像30aは、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、TE=1.0msとなる画像から作られる。画像30bは、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、TE=2.0msとなる画像から作られる。また、画像30c、画像30dは、それぞれ、TE=3.0ms、TE=4.0msの画像から作られた画像となる。
【0066】
まず、画像30a〜画像30dの生成方法について説明する。処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成された複数の画像それぞれに対して、信号値が所定の閾値を上回っている場所(信号が出ている場所)と、信号値が所定の閾値を上回っている場所以外の場所(信号が出ていない場所)とを特定する。かかる所定の閾値は、例えば、それぞれの画像における最大信号値に対して所定の割合として定めてもよいし、TEが異なる複数の画像を通じて、同一の値を所定の閾値として定めてもよい。続いて、処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を上回っている場所に対して、その画像のTEに対応した色付けを行う。逆に、信号値が所定の閾値を下回っている場所に対しては、色付けを行わない。
【0067】
例えば、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、最もTEが短い画像(TE=1.0msとなる画像)から、画像30aを生成する。具体的には、処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を下回っている場所に対しては、色付けを行わない(黒で表示する)。逆に、処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を上回っている場所に対しては、色付けを行う。処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30aのTEに対応した色「白」を用いて色付けを行う。このようにして、信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30aのTEに対応した色「白」を用いて色付けが行われ、信号値が所定の閾値を上回っていない箇所に対しては色付けが行われていない画像である画像30aを、処理回路150は算出機能150bにより生成する。
【0068】
また、例えば、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、2番目にTEが短い画像(TE=2.0msとなる画像)から、画像30bを生成する。具体的には、処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を下回っている場所に対しては、色付けを行わない(黒で表示する)。逆に、処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を上回っている場所に対しては、色付けを行う。処理回路150は、算出機能150bにより、信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30bのTEに対応した色「薄い灰色」を用いて色付けを行う。このようにして、信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30bのTEに対応した色「薄い灰色」を用いて色付けが行われ、信号値が所定の閾値を上回っていない箇所に対しては色付けが行われていない画像である画像30bを、処理回路150は算出機能150bにより生成する。
【0069】
同様に、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、3番目にTEが短い画像(TE=3.0mとなる画像)から、画像30cを生成する。信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30cのTEに対応した色「灰色」を用いて色付けが行われ、信号値が所定の閾値を上回っていない箇所に対しては色付けが行われていない画像である画像30cを、処理回路150は算出機能150bにより生成する。
【0070】
同様に、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像のうち、4番目にTEが短い画像(TE=4.0msとなる画像)から、画像30dを生成する。信号値が所定の閾値を上回っている箇所に対して、画像30dのTEに対応した色「濃い灰色」を用いて色付けが行われ、信号値が所定の閾値を上回っていない箇所に対しては色付けが行われていない画像である画像30dを、処理回路150は算出機能150bにより生成する。
【0071】
続いて、処理回路150は、算出機能150bにより、それぞれのTEについて生成された複数の中間画像を重畳して、重畳画像を生成する。図8に、かかる重畳画像の例が示されている。重畳画像31は、ステップS115において、処理回路150が算出機能150bにより生成する重畳画像の一例である。処理回路150は、算出機能150bにより、画像30a〜画像30dを重畳して、重畳画像31を生成する。
【0072】
ここで、処理回路150は、算出機能150bにより、各点において、色付けが行われた中間画像のうち、最も長いTEに対応する中間画像のTEに対応する色を用いて、重畳画像31を生成する。例えば、図8の部位31aは、図7の画像30aで色付けがされており、画像30b、画像30c、画像30dでは色付けがされていない。従って、色付けが行われた中間画像のうち、最も長いTEに対応する中間画像は、画像30aとなる。従って、部位31aは、画像30aのTEに対応する色である「白」を用いて色付けがされる。また、図8の部位31bは、図7の画像30a及び画像30bで色付けがされており、画像30c、画像30dでは色付けがされていない。従って、色付けが行われた中間画像のうち、最も長いTEに対応する中間画像は、画像30bとなる。従って、部位31bは、画像30bのTEに対応する色である「薄い灰色」を用いて色付けがされる。また、図8の部位31cは、図7の画像30a、画像30b及び画像30cで色付けがされており、画像30dでは色付けがされていない。従って、色付けが行われた中間画像のうち、最も長いTEに対応する中間画像は、画像30cとなる。従って、部位31cは、画像30cのTEに対応する色である「灰色」を用いて色付けがされる。また、重畳画像31において、データがあるその他の部位については、「濃い灰色」を用いて色付けがされる。
【0073】
また、処理回路150は、制御機能150cにより、このようにして生成した重畳画像等の画像をディスプレイ135に表示させる。
【0074】
続いて、処理回路150は、制御機能150cにより、ユーザからの操作を受け付ける。例えば、処理回路150は、制御機能150cにより、図8に示されるGUIを用いて、ユーザからの入力を受け付ける。パネル40は、ユーザから、続いて実行される第2のパルスシーケンスにおいて差分画像に用いられるTEのうち、長い方のTEに関する操作を受け付けるためのパネルである。図8におけるTEは、かかるTEを表している。なお、続いて実行される第2のパルスシーケンスにおいて差分画像に用いられるTEのうち、短い方のTEは、例えば固定値に設定される。処理回路150は、制御機能150cにより、ディスプレイ135上のパネル40に、例えば、「TEとして用いるTEを選択してください」とメッセージを表示する。また、処理回路150は、続いて実行される第2のパルスシーケンスに係るTEであって、差分画像に用いられるTEのうち、長い方のTE(TE)に関する操作を受け付ける。ボタン40a、ボタン40b、ボタン40c、ボタン40dは、これら第2のパルスシーケンスにおけるTEの値に関してユーザからの操作を受け付けるためのボタンである。ディスプレイ135に表示された重畳画像31の情報から、ユーザは、第2のパルスシーケンスにおける最適なTEを判断する。重畳画像31の情報をもとに得られた判断に基づいて、ユーザがボタン40a、ボタン40b、ボタン40c、ボタン40dのいずれかを選択すると、処理回路150は、制御機能150cにより、ユーザから選択されたボタンに対応したTEの値を、TEの値として受け付ける。
【0075】
続いて、ステップS120において、算出機能150bを有する処理回路150は、制御機能150cによりディスプレイ135に表示させた前述の画像に基づいてユーザから受け付けた操作に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。例えば、処理回路150は、図8においてユーザがボタン40bにより選択したTEの値を、第2のパルスシーケンスに係るTEであって、差分画像に用いられるTEのうち、長い方のTE(TE)として導出する。このようにして、処理回路150は、算出機能150bにより、ステップS110で生成された複数の画像に基づいて、TEを変化させたときの信号強度の変化を解析し、解析した結果に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。
【0076】
続いて、ステップS130において、シーケンス制御回路120は、ステップS120において算出機能150bにより算出されたTEの値に基づいて、第2のパルスシーケンスを実行し、TEが異なる複数のデータを収集する。第2のパルスシーケンスの例としては、図2図3に示されているように、第1のパルスシーケンスと同様のシーケンスでもよいし、第1のパルスシーケンスとは異なるシーケンスでもよい。典型的には、第2のパルスシーケンスにおいては、第1のパルスシーケンスと比較して、高分解能の画像データが得られるような撮像条件で撮像が行われる。
【0077】
なお、ステップS130において、シーケンス制御回路120は、典型的には、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となるタイミングで、TEが異なる複数のデータを収集する。
【0078】
続いて、ステップS140において、生成機能150dを有する処理回路150は、算出機能150bにより算出されたTEが異なる複数のデータのうち、所定のデータに対して、2つのデータの差分を取る処理である差分処理を含んだ処理を行い、差分画像を生成する。例えば、ステップS130において、シーケンス制御回路120は、第1の大きさのTE(TE)と、第2の大きさのTE(TE)の二つのTEで、第2のパルスシーケンスを実行し、TEの大きさがTEであるデータと、TEの大きさがTEである二つのデータを収集する。典型的には、TEは、組織のTの緩和がまだ起こっていない短時間のTEであり、TEは、組織のTの緩和が起こっているが、その他の緩和が起こってない時間のTEであり、ステップS120で導出されたTEである。ステップS140において、処理回路150は、生成機能150dにより、TEの大きさがTEであるデータから得られた画像と、TEの大きさがTEであるデータから得られた画像との間で差分処理を行い、差分画像を生成する。
【0079】
また、必要に応じて、処理回路150は、制御機能150cにより、ステップS140において生成した差分画像を、ディスプレイ135に表示する。
【0080】
なお、実施形態はこれに限られない。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、処理回路150が、制御機能150cにより、ステップS115において生成された重畳画像をディスプレイ135に表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。処理回路150は、制御機能150cにより、重畳画像31の代わりに、ステップS110で生成されたTEが異なる複数の画像をディスプレイ135に表示させ、ユーザからの操作を受け付けてもよい。かかる場合、ステップS120において、処理回路150は、制御機能150cにより、ユーザから受け付けた操作に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。
【0082】
かかる状況の一例が、図9に示されている。ステップS115において、処理回路150は、制御機能150cにより、重畳画像31に代えて、画像30a〜画像30dをディスプレイ135に表示させる。処理回路150は、ディスプレイ135に表示された画像30a〜画像30dを見たユーザから、第2のパルスシーケンスにおけるTEの入力を、表示された複数の画像のいずれかを選択する形式で受け付ける。換言すると、処理回路150は、制御機能150cにより、ディスプレイ135に表示された画像30a〜30dのうちいずれかの画像を選択する操作を受け付ける。例えば、図9において、ユーザが画像30bに対応するボタン40bを選択すると、ステップS120において、処理回路150は、算出機能150bにより、ユーザが選択した画像30bに係るTEの値を、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値として導出する。
【0083】
なお、処理回路150は、制御機能150cにより、中間画像である画像30a〜画像30dではなく、ステップS110において生成された、TEが異なる複数の画像そのものを、ディスプレイ135に表示させてもよい。
【0084】
また、実施形態はこれに限られない。第1の実施形態では、処理回路150が算出機能150bにより第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出するにあたって、ユーザからのフィードバックを受け付ける場合について説明した。実施形態はこれに限られない。ステップS120において、算出機能150bを有する処理回路150は、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を、TEが異なる複数のデータに基づいて生成されたTEが異なる複数の画像に基づいて、自動的に算出することにより導出してもよい。かかる処理の一例として、処理回路150は、算出機能150bにより、第1のパルスシーケンスの実行前に事前にプリセットされた関心領域(ROI(Region Of Interest)に基づいて、当該関心領域内における平均的な信号強度のTEの値による変化を解析し、解析結果に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出してもよい。
【0085】
また、かかる関心領域は、第1のパルスシーケンスの実行前に事前にプリセットされることを要せず、第1のパルスシーケンスの実行後、ユーザからの入力を受け付ける形で設定されてもよい。かかるユーザインターフェースの例が、図10に示されている。図10は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が表示する画面の一例である。
【0086】
表示画面32は、関心領域(ROI)を表示するための画面であり、表示画面32には、重畳画像31や、画像30a〜30dのいずれかの画像等が表示される。関心領域33は、現在の設定における関心領域を表している。設定パネル34及び設定パネル36は、関心領域を設定するためのパネルであり、表示パネル35は、導出された第2のパルスシーケンスにおけるTEの値をユーザに表示するための表示パネルである。
【0087】
ステップS115において、処理回路150は、制御機能150cにより、関心領域33を選択する操作を受け付ける。
【0088】
例えば、処理回路150は、制御機能150cにより、設定パネル34を通じて、関心領域33を選択する操作を受け付ける。ユーザは、ボタン34a、ボタン34b、ボタン34c、ボタン34d等を通じて、関心領域33を上下左右に移動することができ、また、ボタン34e、ボタン34fを通じて、関心領域33を拡大縮小することができる。また、ユーザは、ボタン34gを通じて、関心領域33を確定することができる。
【0089】
また、別の例として、予め本撮像における所定の部位と、当該所定の部位を観察するのに適した関心領域との組がプリセットされており、ユーザに本撮像において観察する部位を選択させることにより、処理回路150は、関心領域33を選択する操作を受け付けても良い。例えば、処理回路150は、制御機能150cにより、設定パネル36を通じて、関心領域33を選択する操作を受け付ける。ユーザは、ボタン36a、ボタン36b、ボタン36cを通じて、本撮像における撮像対象の部位を選択することにより、当該部位に対して、事前に設定された関心領域を、関心領域33として選択することができる。例えば、ユーザがボタン36bを選択すると、処理回路150は、制御機能150cにより、ボタン36bに対応する部位に係る関心領域を、関心領域33として設定する。
【0090】
処理回路150が制御機能150cにより関心領域33を選択する操作を受け付けると、ステップS120において、処理回路150は、算出機能150bにより、ユーザが選択した関心領域33に基づいて、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。例えば、処理回路150は、算出機能150bにより、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を、差分画像を取る対象であるTEのうち短い方のTEを、TE=0.1ms、差分画像を取る対象であるTEのうち長い方のTEを、TE=2.0msecと導出する。処理回路150は、例えば、TEの値を固定値とし、TEの値を、ユーザが選択した関心領域33における、TEを変化させたときの信号強度の変化に基づいて導出する。例えば、処理回路150は、算出機能150bにより、ユーザが選択した関心領域33内における、平均的な信号強度が、所定の閾値を初めて下回るようなTEを、TEの値として導出する。なお、実施形態はこれに限られず、処理回路150は、TEの値及びTEの値の値両方を、ユーザが選択した関心領域33における、TEを変化させたときの信号強度の変化に基づいて導出してもよい。
【0091】
また、処理回路150は、制御機能150cにより、導出したTEの値を、表示パネル35を通じて表示させる。例えば、処理回路150は、表示領域35aに、TEの値を、表示領域35bに、TEの値を、表示させる。
【0092】
処理回路150は、制御機能150cにより、更に、必要に応じて、表示パネル35を見たユーザから、関心領域33を再選択(再変更)する操作を受け付ける。ユーザから関心領域33の再選択を受け付けると、処理回路150は、算出機能150bにより、第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を再導出し、制御機能150cにより、再導出した結果を表示パネル35に表示させる。
【0093】
続いて、ユーザが、図示しないボタンにより、算出機能150bにより導出された第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を承認すると、シーケンス制御回路120は、ステップS130により、第2のパルスシーケンスを実行し、以降同様の処理が行われる。
【0094】
また、実施形態は上述の例に限られない。図6にステップS140において、2つの画像の間で差分処理が行われる場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS140において、3つ以上の画像の間で、差分処理を含んだ処理が行われることにより画像が生成されてもよい。一例として、ステップS130において、シーケンス制御回路120は、TE=TE、TE、TEの三種類のTEにおいて第2のパルスシーケンスを実行する。ステップS140において、処理回路150は、生成機能150dにより、TE=TEのデータから得られた画像をX、TE=TEのデータから得られた画像をX、TE=TEのデータから得られた画像をXとして、例えば2X-X-Xの処理により差分処理を含んだ画像を生成してもよい。
【0095】
このように、第1の実施形態では、シーケンス制御回路120が、UTE撮像法のパルスシーケンスであってマルチエコーのパルスシーケンスである第1のパルスシーケンスを実行し、TEが異なる複数のデータを収集する。処理回路150が、算出機能150bにより、TEが異なる複数のデータに基づいて、重畳画像31を生成する。これに基づいて、処理回路150は、臨床用の画像を生成するための第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出する。このことにより、臨床用の画像を生成するためのパルスシーケンスにおいて、適切なTEを導出することができ、T値が短い組織を適切に描出することができる。
【0096】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、シーケンス制御回路120が、臨床用の画像を生成するための第2のパルスシーケンスにおけるTEの値を導出するための第1のパルスシーケンスと、臨床用の画像を生成するための第2のパルスシーケンスとの2つのパルスシーケンスを実行する場合について説明した。第2の実施形態では、シーケンス制御回路120が、臨床用の画像を生成するためのパルスシーケンスのみを実行する場合について説明する。
【0097】
かかる場合、第1の実施形態において既に説明したように、差分画像を生成する対象として、水信号と脂肪信号とが逆位相(out−phase)となるようなタイミングで収集された画像を用いると、差分画像には、異なるTE間での信号の差分と、水信号と脂肪信号との差分とが含まれることになる。ここで、水信号と脂肪信号との差分の寄与が、異なるTE間での信号の差分に着目する上で邪魔になることから、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)になっていたほうが望ましい。従って、臨床用の画像を生成するためのパルスシーケンスのみを実行する場合、シーケンス制御回路120は、水信号と脂肪信号とが同位相(in−phase)となるようなタイミングで収集を行う。
【0098】
換言すると、第2の実施形態においては、シーケンス制御回路120は、UTE撮像法のパルスシーケンスを用いて、水信号と脂肪信号とが同位相となるタイミングで、TE(Echo Time)が異なる複数のデータを収集する。処理回路150は、生成機能150dにより、収集した複数のデータのうち所定のデータに対して、2つのデータの差分を取る処理である差分処理を含んだ処理を行い、画像を生成する。
【0099】
かかる処理の一例が、図11に示されている。図11は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様の処理を箇所においては、詳細な説明は省略する。
【0100】
ステップS200において、シーケンス制御回路120は、UTE撮像法のパルスシーケンスを実行し、水信号と脂肪信号とが同位相となるタイミングで、TEが異なる複数のデータを収集する。ここで、実行されるパルスシーケンスは、例えばマルチエコーを生成するパルスシーケンスであり、例えば図2図3で説明したパルスシーケンスである。また、水信号の共鳴周波数及び脂肪信号の共鳴周波数は既知であることから、水信号と脂肪信号とが同位相となるタイミングは、当該パルスシーケンスの実行前に所定の方法で算出することができる。シーケンス制御回路120は、当該算出結果にもとづいて、所定のタイミングで、TEが異なる複数のデータを収集する。
【0101】
続いて、処理回路150は、算出機能150bにより、後述の処理において差分処理を行う対象のデータを導出する。すなわち、処理回路150は、算出機能150bにより、TEが異なる複数のデータのうち、どのTEのデータを用いて、画像を生成するかを特定する。当該特定の処理は、第1の実施形態で述べたように、図8の重畳画像31のような画像を生成して、ユーザからTEの入力を受け付けることにより行われても良いし、図9のように、複数の画像を生成して、ユーザからTEの入力を受け付けることにより行われても良い。また、別の例として、当該特定の処理は、第1の実施形態で述べたように、予め設定された関心領域等に基づいて自動的に設定されてもよいし、図10のように、ユーザから関心領域の指定を受け付けて、受け付けた関心領域に基づいて、自動的に行われても良い。
【0102】
続いて、ステップS210において、処理回路150は、生成機能150dにより、収集したTEが異なる複数のデータに対して、差分処理を含んだ処理を行い、画像を生成する。典型的には、処理回路150は、生成機能150dにより、収集したTEが異なる複数のデータのうち、前述のステップで算出機能150bにより差分処理を行う対象のデータとして導出された2つのデータの間で差分処理を行って、画像生成を行う。
【0103】
このように、第2の実施形態においては、水信号と脂肪信号とが同位相となるタイミングで、TEが異なる複数のデータを収集され、それらのうち所定のデータが差分処理の対象となることで、1回のパルスシーケンスが実行される場合であっても、T値が短い組織を的確に描出することができる。
【0104】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピュータが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100による効果と同様の効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0105】
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0106】
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0107】
以上のように、少なくとも一つの実施形態によれば、T値が短い組織を描出することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
120 シーケンス制御回路
150 処理回路
150b 算出機能
150c 制御機能
150d 生成機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11